2022年11月26日土曜日

反対の逆、それはクルリと裏返る

 「オレはなんの変哲もない高校生」とかマンガ・アニメの世界の主人公は言っちまいがちだけど、だいたい両親が長期海外出張で一人暮らしとかからして特殊で、美少女と知りあったり、新たな力に目覚めたり、とんでもない事件にまきこまれたりして、まったく何が”なんの変哲もない”だ、って感じでヤレヤレだぜなんだけど、リールも似たようなモノで、意外に”普通”ってなんだ?ってくらいで、どのリールもいじってみると個性があって、このぱっと見「なんの変哲もないクローズドフェイスリール」に見える大森製作所製1959年発売のコンパック「クリッパーⅣ」もなにげに面白いリールだった。

 ということで、お借りしたリールを紹介する、人の褌ネタもこれで最後の第3弾となりました。人様のリールをお借りすることで、買う必要なくリールをいじって楽しめてとても安上がりで助かったんだけど、実はそれが呼び水になって”スピニング熱”がおもいっきりぶり返してしまっていて、現在整備待ちのボロリールが7台、海外からの発送待ちが2台と久しぶりの激しい発作でエラいことに。ブクブクと沈んでおりますそんな沼の底から今日も楽しくお届けいたします。

 まあでも、分解していくと”筒状”だったゼブコ「44クラシック」なんかよりは、とっても普通で、アルミのスプールを覆ってるカバーを外すと、ラインを引っかける棒が飛び出すローターがハマってて、ローター外すとスプールが見えて、ドラグはスプールの上に合成皮革製みたいなのが乗っている。このへんの構造は特にゼブコのと変わらないので、クローズドフェイスリールの基本的な仕組みなんだろう。

 ドラグパッドの乗っているスプールの頭が、なぜか歯車になっていて、ドラグパッドの端の方が歯車のギザギザでちょっと痛んでる感じで、何がしたいのか?やや不明だけど、これは後々の重要な伏線となるので記憶しておいていただきたい。

 で、ドラグの方式は、写真一番下の銅製のでっかいEクリップみたいな部品が、ドラグ調整つまみで上下して乗っかってるスプールをドラグパッドに押しつけたり緩めたりする仕組み。普通にドラグは機能する感触。

 ”蓋”のネジを外していくと、同じ大森製の「マイクロ7DX」なんかと同じように、本体が足の付いた枠とハンドルとギアの入ってる部分と蓋に3分割される。

 ギアの方式は単純なフェースギア方式で、ネジが一本蓋と本体等を固定すると同時にプッシュボタンの根元が刺さる棒になってるのが上手に兼業させてるなという感じだけど、蓋が上下対称なのといい、ハンドル位置も真ん中で、明らかに剥き出しにしたローター軸のギアの左右どちらから填めても機能しそうである。

 じつは、このリールはハンドル蓋ごと左右入れ替えにより左右の交換が可能と事前情報があったので「なるほどこれを反対に付ければ良いだけだな」と左右交換してみた。

 結果、飛行機を取り入れた意匠の「クリッパーⅣ」の機種名が背面飛行になってしまってるけど、左右入れ替えできて、もともとは右巻仕様だったのが左巻きにできた。

 このリール、ストッパーはハンドル軸のギア裏に付いてるんだけど、ストッパーオフと正回転のみ、逆回転のみのストッパーが設けられていて、左ハンドルの時は右ハンドル時の正回転時にストッパーがかかる”逆回転のみ”にハンドル根元のレバーを入れると左ハンドルで正回転でハンドルを回すことができる。ただ、その時はラインが出ていく。

 ありゃ?って感じだったけど、単純にギアごとひっくり返したら正回転でローターは逆に回る。なので、最初「左ハンドルにしたら巻くとき逆回転しなきゃならんから巻きにくいじゃん!」って思ったけど、ちょっと考えたらラインを一回引っ張り出して逆巻きに巻き直したら解決。って思いついて人心地ついた。けど、後で写真整理していて「そういうことだったのか!?」とパソコン椅子探偵真実にたどり着いた。

 謎は全て解けた!伏線を回収しておかねばである。このリールではドラグパッドが歯車の上に乗っている。ドラグパッド乗せておくだけなら平面が良くて、端をギザギザの歯車にする必要はない。でもこのリールを左右ハンドルを交換したときに、スプールが上下というか裏表同じ形であれば、ひっくり返して逆回転に巻いたスプールとして使えるのである。なので、本来下側にドラグの”音だし”のために設けられている歯車が右巻時には不要だけど上にも付いていたのである。これならラインを逆に巻き直しする必要なく、工程としては①ハンドルを蓋ごと左右交換、②スプールを裏返す、③ストッパーレバーは逆の方に入れる。という感じでロゴはひっくり返るけど右巻から左巻きに交換可能となる。ちょっと「ダムクイック110」のハンドル左右切り換えにも似てるけど、あちらはハンドル軸のギアが斜めに切られているウォームギア方式なのでスプールは逆転しなくてもそのまま使えるのが違いか。

 という感じで、このリールは主軸がハンドル軸のギアの真ん中を通るフェースギア方式だけど、左右にハンドル切り換え可能で、そのための小技も仕込んであって面白い機種でした。この時代っていろんな方法が考えられたリールの基礎を固めていった時代だと思うけど、なかなかに工夫がこらされていて、その後左右切り換えなんてのはそれこそ大森製作所が開発に大きく貢献したといわれているハイポイドフェースギアなら、逆転防止とかそのままでハンドルだけ換えればいいようになって、蓋ごと交換方式は消えて無くなった設計だけど。当時の工夫、挑戦する姿勢とかが偲ばれて楽しめました。

 って、終わるにはちょっと尺が短いかなという感じもあるので、クローズドフェイスリール周りの小ネタをチョコチョコと。

 クローズドフェイスリールって、釣り終わってラインをスプールに巻き取って片付けると、次回ラインを引っ張り出すのにカバー外してラインを拾い出さなければならず、意外に面倒臭い。なので、普通は先を8の字結びにするなどして輪っかにしてフットとかにひっかけて巻き込まないようにしてることが多いと思う。ワシも普段そうしてたけど、古いクローズドフェイスリールをいじってたら、そういえば、昔はライン巻き込まないように”キャスティングプラグ”結んでたりしたんだよな。ってジ様は思い出すのじゃ。”キャスティングプラグ”っていうのはゴムカバーで当たっても危険性が少ないようにしたキャスティング競技やキャスティング練習用のオモリで、昔はABUのとかが釣具屋のルア-コーナーには売ってたりしたモノだと遠い目でまたこれも思い出すのじゃ。黄色いのとかね。ゴムで覆ってあるので巻き込んだときにクローズドフェイスリールのライン放出リングにも優しいのもちょうど良かったんだろう。で、ついでに誰かがそのキャスティングプラグには”自動ハリス止め付きヨリモドシ”を付けておくと、仕舞うときにライン結ばなくても良くて手間がなくて良いよ、と紹介してくれてたのを思いだして、キャスティングプラグは持ってないので、手頃なルア-で代用しておいた。コーモラン「パクパク」はとぼけた顔してすすけた色合いも良い塩梅。

 でも、わし結構ライン巻き取るときスナップつけたままだったりするのよね。っていう場合は、ふつうにアイにスナップ接続すれば良い。クローズドフェイスリールのリール袋には一個、片方に自動ハリス止めを付けた手頃なルア-を入れておくと良いかなと思っちょります。

 でもって、オマケついでにもう一つ小ネタ。ルア-の釣りで使うスナップって結構重要で、意外に良いのを見つけるのに苦労するんだけど、最近スゴく良いのを見つけたので、これまた売れずに廃盤となるとイヤなので勝手に宣伝させてもらっておく。

 ルア-交換は頻繁にする方なので、スナップは必須だと思ってて、まずは強度面で必要充分に丈夫なのが大事なんだけど、そこは売ってるやつでそれほど酷いのはない。なのでそこそこ太いラインでごっついルアー投げるときは左端のクロススナップ方式のを愛用しているし、クロスしてない普通のでも大きめのはそこそこ安くても丈夫で使えるのが多いので困らないんだけど、シーバス以下メッキとかまでの小型のスナップが悩ましい。初期状態では問題ないんだけど使ってると引っ張られて変形して”コリャダメだろ?”って感じになってしまう。写真の左2列目3列目がアイに通す側じゃなくて軸側に掛けているワイヤーの部分が外れてしまったり間が狭くなってしっかり掛からずユルくなってるのがお分かりだろうか?こうなると強度的に信用できない状態で交換せざるを得ず、なんとかならないかとペンチでか締めてから使ったりしてもダメなときはダメで、結局値が張るけど”溶接スナップ”が最適かなとも思ったけど、ややお高いのよね。まあワシってばルア-を根掛かりとかでなくすのは年に一個二個とかの人なので、気にすんな必要経費だって気もするけど、試しに買ってみた溶接タイプじゃないバスディの「ウルトラライトスナップ」というのが抜群に良かった。丈夫で変形もしないし、小さく作られているのでワシの使ってるような古めの竿ならガイドも通るので、現場で老眼で苦労しながらスナップにライン結ばなくて良くてこりゃ助かるわい。右端の二個がそれで右の写真がパッケージ入り新品。買いだめしてます。

 良いモノだと思うので、廃盤にならないように皆さん買ってみてくださいとお薦めしておく。

 てな感じで、アレコレ書いてきましたが、改めて愛機達を貸してくださったレクエル堂サンには感謝を、ありがとうございました。ちょっとオマケ付けて返させてもらいますのでお楽しみに。

 今整備待ちのリール達の多くは、稼動状態に持ち込めるか怪しかったり、そこは端から諦めて、中身覗いてみたいので手に入れたまごうことない”ゴミスピ”とかボロいのが多いので、ちょっと手間食うかもですが、ボチボチと整備進めてブログネタにしようと思っておりますので、お好きな方はしばしお待ちください。

 釣りがわりと調子良い時期に入っと思ったらアクシデント発生のうえにスピニング熱も悪化、弱り目に蜂、アタイ病気が憎いっ!っといつもの台詞で締めておこう。

2022年11月19日土曜日

60年先をいってた”ダイレクトフィネス”(意味不明)

 ”ベイトフィネス”とか言うて、釣り具業界が、軽いルアーとかをベイトリールで投げさせて釣り人から金をふんだくろうとしている昨今。軽いルアーはスピニングで、重いルア-はベイトで投げておけっ!って思ったりもするんだけど、まだ軽いルアーをベイトでっていうのは、リールの性能を上げて対応すればデキるっちゃできるし、ラインが縒れないとか、リールが単純で壊れにくいとか利点はそれなりにあるので、好きな人がそういうのを楽しむ分にはアリかなと思うけど、逆の重いルア-をスピニングでっていうのは、根本的に無理があるのに日本じゃむしろそれが当然と化している。重いルア-はベイトでっていうのは、ジギングと一部磯からを除いてルア-の世界ではほぼやる人いない状態。シーバスのベイト使用はあるけどシーバスルア-は軽いルアーの範疇だと思ってます。海外だとドデカプラグをベイトタックルでぶん投げるマスキー狙いとか”怪魚系”では”重いルア-をベイトで”は一般的だと思うけど、なぜか日本はいつものガラパゴス化って感じで、スピニングリールが構造的に抱えてて、根本的な解決が難しい糸ヨレが困るはずの、長時間ドラグ使ってライン出し入れしてやりとりするマグロ狙いとかに使ったり、ロウニンアジだカンパチだを強引に止めて勝負するとかのために、そもそも強度が得にくいスピニングをゴリ巻きで壊れないようにしたりして、どんどんスピニングが本来あるまじき奇形じみた無理矢理強度を持たせたものになっているように感じる。キャストが難しいっていう欠点はあるけどベイトでやってしまえば、糸ヨレ問題もリールの強度確保も解決するけど、要するにみんな難しいことには挑まないってことなんだろう。ワシ、実戦投入するところまで年齢的に時間切れで技術練り上げられんかったけど、ロウニンアジには最終的にベイトで挑みたいとは思ってた。左手サミングの練習とかはだいぶした。ロウニンアジ釣るところまでは行かんかったけど、シーバスやらライギョやらは左手サミングで釣れるところまで習熟したのは我ながら若い頃のワシ立派だと褒めたい。GTタックルでもワシなんかより上手な人が取り組めばできるはずだと思う。黎明期のGTアングラーは結構ベイトタックル使ってた。代表例は丸橋栄三先生の世界記録はABU10000C使用とか。大型ベイトのルア-キャスティング市場は、日本じゃほぼ手つかずで残ってる未開の沃野だと思うんだけどどうなんだろう?ハゼやらアジやらに向かってルアー投げさせてる暇があったら、そっちに手を出した方が正しい方向性だとワシャ思う。

 って関係ない長い話から入ったのは、先週からネタにしているお借りした大森4台のうち紅白2台のダイレクトリールが、これもベイトリールといえばそうなんだろうけど、”ベイトフィネス”とかいう概念のなかっただろう大昔にダイレクトリールの単純な構造を生かして、これでもかという軽量・繊細なリールを作っていたので「これはもう”ダイレクトフィネス”とでもいうべき代物だろう?!」って驚愕したので、ベイトフィネスがらみで一席ぶってみました。

 この紅白2台のおめでたい感じのダイレクトリールは、大森製作所製1959年発売のコンパック「モデル33」というリール。赤の方はハンドルノブが白でアルミシルバーの方はハンドルノブが赤で、大森製作所にしてはオシャレな見た目というと失礼か?

 2台だけ並べてると、大きさよく分からんと思うので、バス釣りに使ってたABUアンバサダー5000(パーミングカップの80年代モデル)と比較してみるとこんな感じ。

 写真じゃあんまり小さく見えないけど、実際はかなり小型な印象で、それは手にするとさらにその思いが補強されるんです。軽いんです。アンバサダー5000のほうはこの状態で測ると280gぐらい、赤のモデル33は約147gと、半分強の重さしかない。重さしかないけどこのぐらいならまだ常識的な範囲で、小型のダイレクトリールってだけの話なのかもしれない。それでも充分華奢で繊細には思うけど。

 ヤバいのは白なんでございます。110g。正直、アルミアルミしててそれもアルミ缶の底ぐらいしか厚さないんじゃないかっていう薄さ繊細さで、いじるの壊しそうで怖かったぐらい。

 今時の高級フィネス(繊細な釣り)用ベイトリールで130gぐらいのようなので、なんぼ単純な構造のダイレクトリールとはいえクソ軽いのがご理解いただけるだろうか。

 何が軽い要素か、比較して見る。

 スプールがまずアルミ、レベルワインダー(平行巻)のカバーもアルミ、ハンドルの柄もアルミ、極めつけはフット。単純な形だと薄いアルミは強度得られないためだと思うけど、二重円でまさにアルミ缶の底のへっこんだ部分を折り返して平面に収めたような形状にしている。赤い方はこれらに相当する部品はおそらく真鍮とかにクロームメッキだと思う。普通のリールに使われている素材でなんか安心できる。

 白のフットはアルミ板曲げ伸ばして板金加工で作ってるよね?って感じだけど、スプールも漏斗を二個作って芯棒と組み合わせたような作りで、漏斗つくってるアルミ屋さんに作り方習いにいってそうな代物。赤い方のが標準仕様で、アルミに置き換えできそうな部分を板金加工で全部アルミにしたってことだろうか?

 ギアとかは小っちゃいけど、ダイレクトリールなので極めて単純。スプール軸のギアの細かさには感心する。ハンドル軸のギアはアルミ製で芯に真鍮。なぜか分からんけど、赤は斜めに切ったギアだけど、白は真っ直ぐの歯のギア。なんで変える必要あったのかワシにわ分からん。どなたか分かる人がいたらご教授願います。

 ブレーキはメカニカルブレーキでスプールの軸を押さえる単純方式のみ。レベルワインダー(平行巻)は丸ABUと一緒のクロスギア方式なので歯車が一個あって歯車の数は計3枚。

 回転は、赤の方が手で回した感触では滑らかで良く回る。スプールの重量があるので”はずみ車”的に指で弾いたときに回りやすいってだけで、実際にルアー投げたときにどうなのかは、理屈から言えばスプール軽い白に軍配が上がるはずだけど、このリール達に合わせる竿がまったく見当が付かないので試し投げとかする気にはならんかった。白は下手にぶん回すと壊れるんじゃないかっていうトンガリ方してるので、今回は鑑賞だけにしておくのが無難かなという判断。

 白の方は大森製作所としても攻めまくった実験機的・挑戦的モデルだったんじゃないだろうか?「大森にもこんな変態性があったのかと驚かされます。」と持ち主であるレクエル堂さんがメールに書いてたけど、大いにうなずける。「ウチ軽く作れっていわれたらこのぐらい作れます。」って腕を見せつけてる感じだったのだろうか?大森製作所の印象としては、使い込んで塩かぶってボロボロに腐蝕している不燃物手前の状態のリールでも、ギアとかまるで平気でガタが来てるような個体をみたことないぐらい”余裕もってしっかり作ってあって丈夫!”っていう印象だったけど、こんなギリギリを攻めた方向性のも作ってたっていうのは面白い。アメリカ市場向けだろうけど、何に使ってたんだろうか?一般的な米国製のダイレクトリールはデッカいバスプラグを投げてたんだろうけど、そういうリールじゃないよね?って考えるとベイトフィネスでカスタムロッドあしらえて、クラッピーとかマスとか釣ってたんだろうか?むしろこの可愛らしいサイズは氷上に穴開けてウォールアイのアイスフィッシングとかが似合うか?想像力もかき立てられるリールである。

 という感じで借り物リール達で二週にわたってお送りしております当ブログ。4台借りたのでもう一台残っております。ぱっと見普通のクローズドフェイスリールで今回ついでに紹介する予定だったんだけど、ワシ的に結構面白かったので、ついでじゃもったいないので次回回しとさせていただきます。引き続きお楽しみに。

2022年11月12日土曜日

秋の大森祭り!柿は甘いがリールは渋~い!!

 ちょっと前の話になるけどコロナ禍で法隆寺が拝観料等の収入減で維持管理費等経費が間に合わなくなって、クラウドファウンディング(ネット上で出資者やら寄付やらを募る集金方法)でお金を集める、という話題を目にして、何千何万という日本中のオヤジどもがおそらく思いついたであろうクソしょうもないネタを、恥ずかしながらワシも思いついてしまったことをここに告白しておく。

 柿食えば、金が無くなり法隆寺

 あっ痛い、モノを投げないでください、オッサンだから仕方ないんです。赦してください。

 というようなしょうもない枕で始まっております、今日のナマジのブログ、お題は冒頭写真の様に”柿”ではなくて、季節の果物に偽装してレクエル堂さんから送られてきた怪しげなリール達四台。一発で紹介し切れなさそうなので2週にわけてお送りしてみたいと思ってます。ご用とお急ぎでない方はごゆるりとお楽しみくださいませ(レクエル堂サン柿美味しゅうございました!)。

 今回、リール4台が我が家に来た経緯は、ちょっと前に当ブログで「大森製作所が、スピニングリール以外にもクローズドフェイスリールや太鼓リールを作っていたらしいというのはどっかで目にした記憶があるんだけど、それらを目にする機会は実物でもネット上でもこれまでなくて、例によって”OEM”という名の下請け仕事で、海外のブランドやらもしかしたらオリムピックとかの国産リールとして売られてたのかなと想像していた。」とボヤいてたところ、レクエル堂さんから「参考に必要でしたら大森のダイレクトリールとスピンキャストをお貸しします。」とのありがたい申し出を受けて、夏場たまってたジャンクリール達の整備を涼しくなってきてやっつけてから、今回お借りすることとあいなりました。改めてレクエル堂サンには感謝申し上げます。

 ブツは小型スピニングのコンパック「バンタムⅢ」、クローズドフェイスリールのコンパック「クリッパー」、小型ダイレクトリールは紅白ともモデル名はコンパック「モデル33」といずれもコンパックブランドで出ていて、なかなかこれらが大森製作所製だとは気付かないところである。なぜそれが大森製と分かったのかというのはまた後ほどにして、とりあえずあからさまに異形なスピニング「バンタムⅢ」が気になりすぎるので、分解してどんなモノか見ていきたい。

 見ていきたいんだけど、その前にまずこのリールの異様な小ささを皆さんにお示ししておきたい。今回の4台のうち後ろの方にうつってるクリッパーはごく普通のサイズ感なんだけど、他の3台は攻めッ攻めに攻めた小型機なのでイマイチ集合写真ではその小ささが伝わってないと思う。

  右の写真の比較対象の茶色いのは「デラックススーパー730」ではなく、ましてや「デラックススーパー777」でもなく、200gを切る軽量で通産省グッドデザイン賞も受賞の大森を代表するような小型機、茶色い方の北米版名コンパック「89アトラスⅢ」こと「マイクロセブンDX」なのである。マイクロセブンDXはかなりコンパクトで可愛い機種なんだけど、それより二まわりがところ小さく、でもリールが小さいからといって使う人間の手が小さいわけじゃないということから、ハンドルと脚が相対的に長く、脚と反対側に長く突き出した外蹴り式ベールの”蹴飛ばし”も併せて、脚の長い蜘蛛のような異形を感じさせる外見となっている。

 そして、このバンタムⅢその重量はなんとライン巻いた状態で実測約124g!ライン抜いたらおそらく120g強しかないというその軽さ、これだけでいかに面白いしろものか伝わるだろうか?

 でもって、分解に入る。

 ドラグは、写真だと見分けがつかないかもだけど、要するに一階建て方式で、ドラグパッドとワッシャーがそのわりに多くみえるのは、実は右から2枚目がバネの代わりの湾曲したワッシャーなのである。丸ABUのハンドルの根元に入ってるやつと似たような機能と言うと分かる人には分かるだろうか。で、右端がバネワッシャーの下に敷いてあるワッシャーで左2番目がフエルト製ドラグパッド、1番左が片側欠いた主軸と同期するワッシャー。という構成なので、欲を言えばバネワッシャーをスプールに固定化して、バネワッシャーの上に底のワッシャー1枚を持って来てこれまたスブールに固定した方が、ドラグパッドの作動時に摩擦する面積が増えて安定するはずだけど、現状でもそれなりにドラグとして機能していて、ドラグ締めていくにつれドラグパッドの接触面積が増えていくというのは案外良かったりして。なににせよドラグというモノがある程度分かった設計になっているのは確か。ドラグがまとものモノが付いているっていうのは大森製の特徴と言って良いのかと。

 そしてメチャ軽の要因の一つが、ローター周りで、ローター自体が鋳造じゃなくて薄いアルミ板をいわゆる板金加工したもののようで薄くて軽い。そしてベール関係がベールワイヤーの”バネ的力”を利用して外蹴りで反転する方式で、ベールアームも単純だし、ラインローラーは固定式どころかベールワイヤーの一部でしかない。

 左写真の様に、ベールアーム部?は斜めに切り込まれた円柱状で、ベールアームは常時ローターを挟むバネっぽく働いていて、投げるときはベールを起こすと写真真ん中のように傾斜の頂点越えて最後のところにきて窪みに填まるようになっていて止まる。ベール反転は脚の逆側の本体から伸びている”蹴飛ばし”がベールワイヤーの糸が掛かるところあたりを蹴っ飛ばして反転する。通常のベールアーム、ラインローラーが担当する機能の多くをベールワイヤー自体が担っていて、あからさまに単純な構造になっている。ベールスプリング、ラインローラーが少なくとも”無し”であり、それらを固定するネジだの支持する構造だのの必要性が生じない。さすがにベールアーム部の円柱のアルミとみられる金属はステンレスっぽいベールワイヤーに削られつつあるように見受けられるけど、素材の選定なり表面加工なりで強度確保するとかしたら、ラインローラーは固定式でも使えないほど糸ヨレ酷くないし、硬質クロームメッキのラインガイドは今でもフライロッドでは使われている程度には丈夫で、糸溝も砂っぽい場所で使うとかじゃなければ掘れないだろうし、軽さに振るならこれはこれでアリかもしれん。とか思うと一度このタイプのベールアームの機種を使ってみたくなって、ちょうどバンタムⅢ含む一山いくらの出物がネットオークションにあったのでマウスが滑ってしまったけど、競り負けて命拾いした。どこに沼は穴を開けて待ち構えてるか分かったモンじゃない。皆様もお気をつけて。

 そして、本体をご開帳といくと、これがビックリ玉手箱!ちょっと目を疑ったけど、いくら見てもドライバーでコツコツ叩いてみても、ハンドル軸のギアが黒い樹脂製(芯は真鍮製)です。ありがとうございます。そりゃ軽いわけである。

 マジかよ?強度的に大丈夫なのか?っていうのはギアに関しては大丈夫だったようでローター軸のギアは真鍮製のかさ歯車同士のベベルギアなんだけど特に摩耗もしてなくて充分滑らかに回ってる(当社比)。ただ、さすがにストッパーは持たなかったようでギア裏に設けられてるんだけど1枚歯が欠けていた。これは使用時ストッパーを切って使っておいて、取り込み時とかハンドルから手を離すときだけストッパーをかける”ミッチェル方式”で使った方が良さげなリールである。でもまあ120gちょいの超小型機に強い糸巻いて堅い竿でガツンと大アワセするわきゃないので、ミッチェル式採用のうえ繊細な釣りを楽しむ分には実釣可能ではなかろうかと思う。だって、ちゃんと糸巻いて投げるのはデキるように作られてるもん。

 でここから主軸を抜いてローターを抜いてと思ってたら、スプール上下用のピンが主軸にブッ刺さってて外せず、主軸が抜けないことが判明。構造的にローターにボールベアリングとかが入ってることもなさそうなので、分解ここまでで終了。

 でもって、このリールが大森製作所製である根拠は何ぞや?って話になっていくんだけど、今回の4台ともワシ、外見では大森製作所製とは判断つかん。今回のバンタムⅢについては、かろうじてハンドルの形が古い大森っぽいといえばぽい。ハンドル折り畳みじゃない時代の大森スピニングのハンドルは、リール側からハンドル軸のギアの芯の先が出てきててそこにネジが切ってあり、それが収まるハンドルの方には当然雌ネジが切ってあって、その上部がポコッと丸く飛び出している。昔触ったことあるリールでは「スーパー99」とかがそうだった。とはいえその程度の特徴は他のメーカー製のリールでもまま見られるものであり決め手にはならないだろう。

 ワシも初見で、バンタムⅢは「オリムピック製か?」と思った。事実オリムピック製として紹介しているネットの情報もあった。しかし、決定的な証拠としてレクエル堂さんが海外のサイトで見つけてきたという資料を見せてもらったら、大森製作所の80年代末ぐらいまでの代表的な機種を並べて歴史を振り返る的な、パンフレットかカタログかの抜粋で、その中に、今回お借りした4機種はしっかり発売開始年やらも含めて出てくるのである。大森製作所公式の資料のようなので、大森製作所が製造したリールで間違いないのだろう。ちなみにバンタムⅢは1954年発売。

 ただ、色々と周辺情報を総合していくと、単純明快にはいかないような臭いもしてきて、調べれば調べるほど混乱してくる。

 ちょうどタイミング良く、TAKE先生がサイトの方で元日吉産業の原氏のお話を紹介していて(2022/10/28の記事)、それを読むと当時力のあったオリムピックは埼玉の小さいリールメーカー各社に下請け仕事を発注していた様子がうかがえる。当然大森製作所もオリムの下請けはしていたとみるのが自然で、例えば、バンタムⅢもオリムピックがコンパックブランドのコマースパシフィック社に収めてた形だけど、実際には孫請けになる大森製作所が作ってた、なんてことがあり得たんじゃなかろうか?って思うし、オリムピックブランドで売ってた「NO.15 HI-STAR」なんていう機種を見ると、大森製作所作成と”大森公式”が書いている、コンパックプランドのバンタムⅢやシエラⅣと形式とか細部とか良く似てて、大森製のリールを「オリムピック」の名の下に売ってたのも当然あったのだろうと思う。大森がオリムのOEMという名の下請けしてたのは”ベルセカ”でもチラッと触れられてたので、どのあたりの機種がそうなんだろうと思ってたけど、ローターが薄いアルミ板金でベールワイヤーがベールアーム・スプリングの役割をするタイプはそれっぽいのではないかという気がしている。他にもあるのかも。

 オリムの製品は必ずしも自社工場生産だけじゃなかった。っていうと過去に感じていた、オリムの製品はしっかりしてるのと、そうでもないのと混ざってる。っていう感覚もナルホドナと納得するものがある。ワシが初めて実戦導入したインスプールスピニングである「トゥルーテンパー727」はカチッとしっかりした作りで、ボロかったけどメンテしたら実釣問題ないものだった、でも同時期の「エメラルド350」はイマイチ、カスカスした感触というか個体差もあったのかもだけど、使ってて「大丈夫かこれ?」っていうしっくりこない感触のモノだった。同じところが作ってるにしては違う気がしてたんだけど、気のせいではなくて実際の製造元が違っていたのかもしれない。それは必ずしもオリムピックの方がデキが悪い的な話ではなくて、埼玉の小さいメーカーには大森や日吉のような今でも評価が高いところもあれば、名も残ってないようなショボいところもあったんじゃないだろうか?っていうのが、今回推理でも何でもない、想像というかワシの妄想である。

 そのあたり、原氏のお話をまとめた本を企画中なのをTAKE先生サイトで匂わせていたので、当時の現場を見てきた人の語る内容は読まねばなるまいと思っちょります(たのまれてもおらんけど宣伝しておきました)。

 とはいえ、分からんからミステリアスな魅力が出てきて、沼にズブズブ沈んで行くっていう側面もあるので、何でもかんでも分かりゃ良いってモノでもないのかもしれない。でも知りたいノ。面倒くせぇぜ複雑なオヤジ心。

2022年11月5日土曜日

我が家の回転の力Act.Ⅱ

 

 我が家にフードプロセッサーがやってきた。これまで買おうかどうか悩んできたけど、使用を想定している用途がエソをすり身にするときと、鯵の頭と腸をコマセにするためにミンチにする時に限られていて、まあ文化包丁と小出刃の2本でチタタプしておけば良く(祝「ゴールデンカムイ」完結!最後まで面白かった!!)、まあいいやと思ってたんだけど、チタタプはみんなで飯食うから良いんであってジイサン一人で”我々が沢山叩いたもの”を意味するチタタプもオソマもネェだろって思うところもあり、正直月一ぐらいでコマセ用ミンチを作るはめになるんだけど、時間も手間も掛かるし面倒くせぇとは思ってた。フードプロセッサーって昔は引き出物とかでもらって、最初珍しがって何度か使うけどすぐ飽きて棚の奥にしまい込まれる調理器具筆頭で、実際我が実家にもあったけど何度かミックスジュースを飲んだような記憶がある程度で使われていなかった。昔ならそうやって棚の奥にしまい込まれてたんだろうけど、今時は要らんモノは「コメ兵(東海地方ローカルネタでゴメン!)」じゃなくてネットで売ろう!って話で、ヤ●オクでもメル●リでも、安く売ってるんじゃなかろうか?と覗いてみたら、選びたい放題に出品されてござる。しかも、千円台のお値打ちな感じのがゴロゴロしてて、鯵の頭ごと粉砕できる力技が必要なのと、魚調理が主目的なので、洗いやすい構造で、汚れ落ちしやすい素材が良いなとかえり好みしたとしてもすぐに良さげなのが見つかったので、1499円(送料込み)とお値段もお手頃だったので、スルリとマウスを滑らせてダブルクリック。その名も「ツインバードKC-D627フードプロセッサー」。デデデンッ!

 材料を入れる容器の部分が強化ガラス製で汚れが付きにくいのがまず良い。樹脂製だとどうしても細かい傷とかができてだんだん汚れ落ちしにくくなる。コマセ用ミンチ専用なら多少汚れててもかまわないようなものだけど、エソのすり身のときに食中毒でもおこしては話にならん。そして、回転部分は容器の中心軸に被せた歯の付いた筒の上の方で中心軸の中で回転する本体回転軸の回転を受け取って下の方で歯が回る構造で、歯の付近に掃除が面倒くせえような隙間が来ないようになってて、掃除がしやすくて魚ミンチにしても後々隙間から異臭が漂うようなことがなさそうなのが良くできてる感じ。

 そして、肝心要の歯がゴツい。フードプロセッサーなので他にもスライス用の変え刃とかも付属しているけど、基本魚をぶった切る”チョッパー”の出番しかないはずなので、コイツの仕事っぷりが何をさておいても重要。 

 真鍮製っぽい厚歯の2枚刃で、やってくれそうなイイ面構えをしている。

 一応取説では、白身魚のすり身を作る時、骨等は取り除いて角切りにしてからチョッパーにかけるようにと説明があるけど、ネット情報によるとそこそこ”強め”のフードプロセッサーなら青魚を丸ごとすり身にとかは可能とのことで、多分大丈夫だろうという見込みで購入したんだけど。さて実際にはどうだろうか?

 今回用意したのは、冷凍庫で場所を取ってる生の小アジの腸と頭詰め合わせ。あらかじめ湯煎で解凍しておく。さすがに凍った材料は砕けないだろう。

 あんまりいっぱい容器に入れると良くないようなのでこの2枚目の写真ぐらいにしておく。だいたい一回の操業で釣ってきた小アジから出る材料がこのぐらいの量なので、1度に処理できる容量的にもちょうど良い塩梅だったようだ。

 上に乗っける蓋の本体側に突起があって、それが本体上部のスイッチを押す仕様となっている。つまり中で刃が回転して切り刻んだ素材達が暴れている間は、自然と蓋をしっかり押さえておくことになる。

 でもって、スイッチオンにしてみると、動かなかったらどうしよう?などという不安はまったくの杞憂で力強く小アジの頭達をぶった切っていき、だんだんゲル状のミンチに変わっていく。一回止めて蓋開けて様子見て、もうちょっと細かくした方が良いなともう一回し。

 下準備とかに掛かる時間はあるけど、チョッパーにガーッとかけている時間は、ものの一分あるかないかで、いままでもっと小分けにしてチタタプチタタプと同じ量なら小一時間がとこかかってやってた作業が、あの苦労はなんだったのか?というぐらいあっけなく素早く仕事が終わる。こりゃイイ。

 できたミンチは、すぐにパン粉等と混ぜ合わせてコマセにしてしまわないのなら、ビニール袋に入れて冷凍保存しておく。頭のままだと隙間もできてかさばるけど、ミンチにしてしまうと大幅に体積が小さくなるので、つぎコマセ作るために解凍するまで省スペースで冷凍保管しておける。

 合格!!

 これは良いモノだ。初めてハンドドリルが我が家に来たときも、似たような感動を覚えたモノだけど”回転”の力を、電気としてあちこちに送って(最近は回転伴わない発電方式もあるけど)、送られた先で回転はもとより光や熱、音、演算なんてのに使えてしまえるという電気を使う現代生活の便利さを改めて思い知る。

 「回転を信じろッ!回転は無限の力だ それを信じろッ」っていうジャイロ・ツェペリの台詞も、フードプロセッサーの刃の力強い働きはもとより、生活全てに関わってくる電気を作る火力発電やら、物流になくてはならない車のエンジンやら、回転が我々にもたらすものの多さ大きさを考えると、納得することができる気がする。

 釣り人ならば、リールの回転もまた、我々に魚をもたらす力であることを信じてみても良いだろう。

2022年10月29日土曜日

パソコン椅子探偵ー「OMORI DIAMOND JS2 801」身上調査編ー

 このリールは何者か?そんなことに興味がある層はごく限られているだろう。

 タイトルにあるとおり、どうも大森DIAMONDの系譜らしいんだけど、話題になるような機種でもなく、大森ファンにも無視されるような機種である。「どうせ”韓国大森”製の大手メーカーと同じようなしょうもないヤツだろ?」っていう予想はある意味正解である意味誤りである。

 その辺りの事情を、パソコン椅子探偵ナマジがネットの海をさまよって集めた情報から推理し、みなさまに明らかにする所存である。

 すまないが、関係者(大森沼の)を集めてくれたまえ!

 まず外観から見ていこう、といっても逆テーパーロングスプールのどこにでもありそうな1990年代後半ぐらいのデザイン。3号が150m巻ける中型機。尻が妙に出っ張ってるのが特徴と言えば特徴か。

 スプールに「OMORI 801」のロゴと糸巻き量の表示、本体横には「JS2 DIAMOND」の文字が見て取れる。この時点で、大年の大森ファンは違和感を感じても不思議ではない。往年の大森製作所は自社のローマ字略称としては「OHMORI S.S.」をよく使っていて、”オモリ”ではない。こいつはパチモンなのか?とこの時点では思う。思うんだけど調べてみると、単なるパチモノではなさそうな気配が出てくる。

 ネットで検索かけて調べてみると、どうもあまり売れずに中古屋ワゴンセールでたたき売られていたようだけど、箱入りでネットオークションなりに出品されているケースが散見され、もう一機種小型の「JS2 701」があったらしいという情報と共に、箱書きから製造元が判明した。

 「大森(中国)有限公司」という香港の製造元で、企画自体は日本の「大森ジャパンサービス」という神奈川県茅ヶ崎市にあった業者の主導のよう。その住所は現在どうなってるかグーグルマップ&ストリートビューで調べてみると、すでに大森ジャパンサービスではなくなっているようで歯医者さんになっていた。

 かつ、ネットフリマに当時のステッカーが出品されていて「SINCE1953 OMORI 801JS」という文字が竿とリールに添えられたデザインになっており、ローマ字表記が”オモリ”になってるとはいえ、ここまで書いてしまえるのは、商標権なり買ってないとさすがにマズそうで、大森製作所は1952年の創業で(微妙なズレは発売開始が53からとかのような気がする)その後70年代ぐらいに良いリール作ってた黄金時代があって、80年代の「マイコン」シリーズ大ヒットがあって、90年代ショボショボと傾きかかって、生産を韓国に移したり、上州屋に身売りしたりしていつの間にやら消滅。って感じだと思ってたけど、90年代後半に上州屋はくだんの「大森ジャパンサービス」に商標権等を売ったか引き継いだかして、「大森ジャパンサービス」としては当時の”今風のリール”をDIAMONDブランドで作って売りさばこうとしたんじゃなかろうか?というのが今回のパソコン椅子探偵ナマジの推理。このへん、商標権とか上州屋の知財管理担当者に電話して「どうなんですかそのへん!!売ってしまったんでしょ!歴史ある”大森DIAMOND”の商標権を2束3文で!!」と問い詰めたい気がするけど、対人関係苦手な引き篭もり気味のワシには無理じゃて。パソコンで検索して分かるのはこの辺が限界。どなたかその辺情報あればれいによってタレコミよろしくです。

 でもって我が家に来たからには分解清掃注油なんだけど、正直あんまり気がすすまんくて、夏に買ったリールの一番最後に残ってしまっていた。宅配で送られてきて現物手に取ってハンドル回した瞬間「あっ、これ瞬間的逆転防止機構入ってやがる!」って判明した時点でやる気はガタンと落ちた。逆転レバーが付いてるタイプってことは、方式は違えどもいずれにせよ面倒くせえ機構なのよアレ(逆転機能省略すればクソ単純な設計にはできる)。

 まあ放置しておいても仕方あるまいということで、エイヤッとやっつけにかかる。スプールはアルミ製でドラグノブが分解可能なのは好印象。ここはほとんどのメーカーでハメゴロされてる。ドラグパッドも大きな硬質フェルト製の3階建て方式で悪くはなさそう。意外と良かったりしてと思ったのもそこまでで、このあとワシ的に評価できたのはラインローラーにボールベアリングが入ってなくて樹脂製のスリーブが入ってるところぐらいで、あとは”なんだかな~”っていう感じ。ラインローラーのベアリングは入れる必要ないし、入れたら重くなるし錆びるし頭の悪い設計としか思えない。ワシわざわざジュラコン製ブッシュを削って大きさ合わせて換装して430ssgのラインローラーのボールベアリングは外しているぐらい。ちなみにボールベアリング無しで運用しても全く問題は無い。当たり前である。

 とりあえずスプールのあとは本体蓋開けるか、って分解し始めてオヤッ?となる。重量感からいって本体アルミかと思ってたら樹脂製でやがる。ちなみに重量測ったら340gと同クラスの金属本体のカーディナルC4とかが300gなのに比べても重い。重けりゃダメって話じゃないし、その分丈夫になってるとかなら良いけど、樹脂製本体、樹脂製ローターなのにネジは全てタップネジで、ベールアームとかの取り付けもタップネジで安っぽい作りになっててどうにもいただけない。じゃあ何が重いのか?っていうと一つは悪評高い共回り式の中心貫通型のワンタッチハンドルが重いんだろう。測る気も失せたけど多分重い。それと、この機種の特徴的なお尻デッカチな形状の部分に何が入ってるかって、位置的にスプール上下のための歯車ぐらいだろうなと思ってたけど、実際にデッカいのが入ってるのを見ると何がしたかったんだ?って疑問に思う。ついでにS字の溝が切られたカムも亜鉛鋳造でデカい。重いって。歯車デカくするのはギア比稼いでスプール上下を減速していわゆる”スローオシュレ-ション”にしたかったのと、ロングスプールでスプール幅が広いので上下動の距離が必要だったんだろう。けど、スプール幅が広くて上下幅が必要なら普通は丸ABUのレベルワインダー(平行巻機構)に使われてるようなクロスギア使うんじゃないの?って思うし、実際にはハンドル2.5回転ぐらいでスプール1往復でそれほど極端な”スロー”でもないし、方式は今時のダイワみたいなS字カム方式なんだけど、ダイワのリールがこんな尻デカになってるのは見た記憶がない。普段ハンドル1回転1往復の単純クランク方式のリールばっか使ってるから、いまいち1:2.5が減速値として遅いのかどうなのかも感覚としてよく分からん。S字じゃないけどカム方式で減速してる4桁スピンフィッシャーはどんなんだったっけ?って4400ssクルクルしてみたらだいたい1:1.5ぐらいの感じだったので、減速できてるっていえばできてるのか?その分軽く巻けてライン放出性が良くなってるのか?実釣で確かめてみないと実際のところは分からんのだろうからそのうち使ってみるか?だれか実際に使った人がいたら、もろもろ含めて感想是非聞きたいところ。

 でもって、気が進まないけどローターのところに”瞬間的逆転防止機構”が鎮座ましましておられるんだろうから、しかたなくローター外すと頭の中に疑問符が並ぶ。

 ?????なんじゃこりゃ、マルチポイント方式でローターの内側に歯が切ってあるんか?いやいやいや回して止めて逆転とかクルクルやった時点で、間違いなく瞬間的に止まっててマルチポイント方式は遊びが比較的少ないとはいえ、遊びほぼ0の瞬間的逆転防止機構とは明確に区別できる。瞬間的逆転防止機構は浸水やら気温低下による油の粘度変化で作動しなくなることがあって、誤作動しても最悪急に逆回転掛かって手を怪我するようなことがないように、大型スピニングでは保険的にラチェット方式も付けてあることがあるって聞くけど、レバーやらバネやら何をどういじっても、ローター裏の歯に掛かるようなストッパー的なものは出てこず存在しないので、そういう保険でマルチポイント方式がついてるわけでもない。これ、元々マルチポイント方式のリールのローターの金型をそのまま流用して経費削ってるんだろ?っていうのが真相のようだと推理した。そういえばローター上面にバランス調整でオモリのようなのが固定されているけど、上から2枚目の写真で黒く見えてるこれ、重くもなんともない樹脂製なんである。元の機種では金属製のオモリでバランスとってたのを必要なくなったので樹脂の部品噛ませてあるだけに思う。そういう目で見ていくとベールアームの反対側支持部の部品はここだけ樹脂製じゃなくて金属製なんだけど、それだと今度は行きすぎてベールアーム側の重量が足りんくなったらしく、一番下の写真の様にベールスプリングの下に真鍮の板を何枚かぶち込んで調整している、っていう感じのやっつけ仕事。

 じゃあ、どこのメーカーのリールの金型流用かなって考えると、当時マルチポイント方式の逆転防止を採用していたのはシマノもあったけど、基本的にはリョービの印象が強い。メタロイヤルしかりサイノスしかり、機種特定できるかなとネットで当時のリョービの機種を見てはみたけど、特定までは至らなかった。ただローターナットの緩み止めにネジを一本入れるのはザウバーとかでも見られたし、上州屋繋がりでもあるしリョービがくさいとパソコン椅子探偵ナマジとしてはにらんでいる。ちなみに「ザウバーVS 2000 Zi」っていうリールが尻デカでひょっとするとその血筋が入っているのかもしれん。

 でもって逆転防止は上の写真のニードルローラータイプの一方通行ベアリング(ワンウェイクラッチ)を上の樹脂の歯車でキュッと締めるか緩めるかの方式。下の写真の様にローターの下に鎮座してるけど、当然ながらこの位置は浸水しておかしくないけど防水でも何でもない。こういうアホな設計のリールが幅をきかせてたから、「リールは水道の蛇口からジャバジャバ水をかけてはいけない」とかワケの分からん話になって、スピニングリールに”防水性能”とか水辺で使う道具に、わざわざ新機能として宣伝しなきゃならんのがそもそもおかしいモノを高らかに宣伝文句に謳うようになったんだろうっていうチャンチャラおかしいお話。4桁スピンフィッシャーの逆転防止機構もローター下に入ってて、当然浸水は想定されるけど、ラチェット式は完全水没したところで普通に機能するので錆びない素材選定さえちゃんとしていれば機能的に全く問題ないうえに単純で安上がり。ローター軸のギアの直上、本体内に逆転防止が入ってる機種なら防水性もかなりある。大森オートベール方式しかりカーディナルCシリーズしかり。

 ローター下に剥き出しで瞬間的逆転防止機構もってくる仕様とか、そういう防水性に乏しいリールを使う人達って、雨の日には釣りに行かないのか?と雨が降ったら喜んでシーバス狙いに行く釣り人としては思ってたけど、たぶん雨の日には釣りに行かないんだろうし、磯で波飛沫をかぶったりもしないんだろう。せいぜい天気の良い休日に防波堤でサビキかチョイ投げぐらいで、サビキもチョイ投げも真面目にやると難しいし馬鹿にしてはいけないと知ってはいるけど、そういう人達は釣れなきゃそれでいいやで難しさに到達するほど釣り込まないだろうし、年に何回か使って道具も使いっぱなしで、であれば耐久性に優れた良品を求める必要などないし、ワゴン売りのイチキュッパー、ニーキュッパーぐらいのリールで、それなりに”今時”っぽい見た目をしてて店頭でクルクル回したときに軽く滑らかに回って遊びもなければそれで満足なんだろう。需要があるから供給があるっていつもの話。防水性という話で言うと、まだローターの下の逆転防止機構はマシな方で、いつも不思議に思ってたのはなんであんなに水が入るラインローラーにボールベアリングが入ってるかな?ということで、あそこは浸水防ぐのはエラい大変。特殊な防水シーリング済みやらセラミック製やらのボールベアリングはクソお高い。錆びないルーロン樹脂系ブッシュなら10個単位で数百円のお値段である。

 そういう視点でこのリールを見ると、それなりに”できてる”のが理解できる。回転は滑らかで、ちゃんとガタつきを薄い銅の輪っか状のシムリング二枚で調整してあって、分解してパーツクリーナーで洗浄したらどこからともなくシムリングが現れてあせった。填まりそうな箇所はハンドル軸のギアの両サイドか、スプール上下の歯車の裏かなので、3箇所順に試してみたら、ハンドル軸のギア蓋側のボールベアリングとの間が正解で、それ以外だと明確にハンドル回すと”ギアゴロ感”が生じる。その場所は分解するとき見逃さないだろうと思っていたけど、シューマイ弁当の蓋裏にくっついてしまったシューマイみたいにボールベアリングの裏にくっついてて分解時気付かなかったんだろう。ベールスプリングもコイルグルグル方式で壊れないだろうし、ローター下に浸水させないような晴れの日の釣りなら瞬間的逆転防止機構も不具合起こさないだろうし、”遊び”がないと起こしたベールの位置調整がやりにくいとか玄人衆のような不便を感じるほどの腕もないだろうし、ラインローラーにはボールベアリング入ってないのでそこは錆びる心配もない。分解清掃などしないのならネジは樹脂本体に直接タップネジでなんら問題ないだろう。ドラグはむしろもっとケチって赤いファイバーワッシャー1枚方式とかの方が”ツマミがきちんと締まる”し安く上がったかもだけど、ロングスプール機には普通3階建てのドラグ入れたくなるというものだろう。

 ただ、それを”大森DIAMOND”の名前でやる意味があったのかって話で、この時代になると当然韓国製やら台湾製、その他アジア各地新興工業国からの安っすい似たような機種はワゴンにぶち込まれてただろうし、国内大手も安い価格帯は生産拠点海外に移したりしつつ、全力で広告も打って売りにきてたはずで、元々このリールがワゴン売りを想定してたのか、もっと高めの価格帯で勝負しようとしてコケてバッタモンとしてワゴン売りになったのか、おそらく後者なんだろうけど、そうであるならなぜこんな当時どこにでもあったような仕様のしょうもないリールにしたんだろうかと疑問でならない。もうとっくの昔に”ダイヤモンドリール”のブランド価値は地に落ちてたはずである。だから上州屋も2束3文で手放したんじゃなかろうか?

 ワシが今、”大森DIAMOND”の商標権を手に入れたなら、って頭のおかしい妄想をするなら、以前にも書いたけどマイクロセブンCシリーズの手直しをして、ベールスプリングの強化、スプールエッジ形状の最適化、糸巻き幅とスプール上下幅の一致、ラインローラー形状等調整、ハンドルノブの形状オプションパーツ化、をやりたいところだけど、いかんせんマイクロセブンCシリーズは人気がない。銭の花が咲く目がまるでない。となると狙うは、史上最強級の単純軽量機「キャリアー」を上記と全く同じ手直しをして復刻完全版「キャリアUP」として、もいっちょは大森インスプールの最終形「コメット」のこれまた同様の手直しをベールスプリングはインスプールの場合そのままで良さげなので放置して施した復刻完全版「パーフェクトコメットさん」として、釣り具業界に殴り込みをかけたい。あと大事な事を忘れるところだった。銘板をくっつける接着剤は耐久性に優れたのを使う。これ重要。

 などと耄碌したジイサンゆうておりますが、「大森ジャパンサービス」関係者の方でまだ商標権持ってるよ、という方がおられましたら、是非ご連絡を、2束3文で買いたたかせていただきますのでよろしくお願いします。

2022年10月22日土曜日

「私の愛したルア-」に限って廃盤になるのはなぜ?

 「愛ゆえに人は苦しまねばならぬ!! 愛ゆえに人は悲しまねばならぬ!!」
「こんなに苦しいのなら悲しいのなら・・・

愛などいらぬ!」

 などと聖帝風に始まっておりますルア-図鑑うすしお味第55弾でございます(「せいてい」で変換候補にちゃんと「聖帝」がでてくるATOKのオタクっぽさよ、と思ったら元々儒教由来の言葉のようだ。3”へぇ”ぐらいかな)。

 今期メッキ釣りで、とりあえず真っ先に投げて様子を見るし、一番信頼して投げてるのはストームブランド(ラパラ)の「フラッタースティック4」、投げてるミノーはほとんどバスディの「ドリフトトゥイッチャー50」である。

 フラッタースティック4については、安くて釣れて文句なしのシンキングペンシルなんだけど、7センチ、10センチに関しては既に廃盤で、4センチはまだカタログには載ってるけど、今新品があんまり売ってないという不穏な雲行きなのは、生産の端境期なだけだと信じたいところ。写真の様に色塗り替えたりもしつつメッキの歯形やらぶつけた傷やらでボロボロになるぐらいに酷使しまくってて信頼は揺るぎない。以前にも書いたように浮き上がる動きの強いバスディ「海爆リップレス」とは使い分けしていて、ゆっくりタダ引きで使う海爆リップレスに対して、多分普通の釣り人が想像できてないぐらいの思いっきり竿であおって速度を稼ぐ”ジャーク&ジャーク”で早さで見切る間を与えないぐらいのつもりで反応させて釣っている。まあ、いうても子供とはいえ回遊魚であるメッキにしてみれば、胸ビレ広げて余裕の巡航速度で追いついて食ってくるわけだけど、トロ臭い動かし方で食ってくる時にはおおむね早引き系でも食ってくるけど、逆に早引き系じゃないと食わんときは多いと思うのと、早引き系の方が探っていくときに時短で済むので多くの水域を探れるので、せっかちな人間には向いてる。廃盤になった7センチの方はバチ抜けシーバス用としてダイキリさんに教えてもらって、浮き上がりにくい水平姿勢のバランスで多くのバチ抜け用ルア-よりちょい下層を引けて実に良く釣れて頼もしいルア-だったけど廃盤になって久しい。なぜ廃盤になってしまったのか?と考えるに能力的にはあまたあるシンキングペンシルに全く劣ってはないはずだけど、値段が安いという美点が、高いモノをありがたがるアホウな釣り人に受けなかったのもあるのかなと思う。それと多分この手のシンキングペンシルって日本市場向けが主で、海外ではあまり使われなくて海外市場で数がはけなかったのも原因か?とかも考える。いまやストームブランドも世界企業のラパラ傘下で、なにしろ製造コストかかりそうなバルサミノーを1500円ぐらいでぶっ込んでくるメーカーなので、樹脂製のフラッタースティックは実売で千円前後とお値打ち価格だったんだけど、安い分釣れないんじゃないか?なんていう不安を抱くような、釣り具業界のカラクリを理解しておらず、ルア-の実力が分かるほど釣り込めない層には逆に受けなかったんだろう。フラッタースティック4まで廃盤になってしまわないように、ここで勝手に宣伝させてもらって微力ながらも応援しておきたい。費用対効果抜きにしても純粋に良く釣れるルア-なので皆さん買って投げてみてください。動きはタダ巻きだと普通にフラフラとシンペンの動きだけど、水面飛び出すギリギリ手前ぐらいの激しいジャークにはペケペケペぺぺッッという感じのせわしない横揺れを起こすので、是非お試しあれ。ワシ竿が全く向かないのを使ってるのでツィッチでは使ってないけど多分それも得意のハズ。

 バスディのドリフトトゥイッチャーは85、100の大型は生き残ったけど、70、50の小型2種はカタログ落ちしてしまった。

 ドリフトトゥイッチャーは、取り立てて特殊な機能は持ってない、シンキング固定重心のオフセットリップのミノーである。以前同様の特徴をもつマリア「フライングダイバー」の後釜を選定したときにも、最終候補にのこっていたぐらいで、誰も彼も重心移動だ飛距離だと小うるせぇなかで、固定重心で立ち上がりが早く動かしやすく、オフセットリップで動きが安定していて破綻しにくく、飛距離だってシンキングでそこそこ出るという、基本性能のしっかりした地味に良くできたミノーである。スズキ用としてはパンチが足りずに最終選考では「Fマグ改」に負けたけど、メッキ釣るのに5センチはちょうど良く、釣果も安定していて満足している。どうも、後継機的に「ボトムトゥイッチャー」というのが出ていて、写真の右端が試しに買ったそれなんだけど、コイツはスミス「Dコンタクト」に始まった、渓流やらで底を「転がす」系のヘビーシンキングミノーの類いのようで、飛距離やら底への届けやすさはドリフトトゥイッチャーより勝っているのだろうけど、重い分動きが確実に悪くてモサッとしてて互換性は無いように思う。軽いルアー、固定重心のルアーが動きの良さや立ち上がりの早さ、操作性の良さで、魚の前まで届けてしまえば釣る能力的には勝るっていうのはありがちで、底専用機のボトムトゥイッチャーはそれ以外の場面では使えなくもないんだろうけどイマイチだと評価せざるを得ない。ゴロタの浅場とかメッキ狙うときには重要な場所になるけど、底で転がってしまっては根がかって釣りにならんってのもある。ドリフトトゥイッチャー5もメッキ狙うときの使い方は、竿であおって速度を稼ぐジャーク&ジャークである。おもっクソ引っ張っても動き破綻せずひっくり返って水面から飛び出したりしないのは、もともと川の流れの中で使うことを想定してオフセットリップでしっかり水を噛んでしっかり動くという性能を付与してあるからだろう。その名のとおりツイッチで使うのが本来の使い方だろうけど、高速ジャーク&ジャークでも実力を発揮してくれる。コイツが廃盤になったのは、基本性能は高いんだけど、売りになるような派手な特徴がない”地味さ”があだになってるのかもと感じるところ。バスディのルアーは総じてその傾向があるけど、特にこのルア-は使って魚釣ってみればその非凡な優秀さが分かるんだけど、見た目やカタログスペックはなんともパッとしない使いどころの分かりにくいミノーではある。ただ本来想定されている流れの上流に投げてドリフトさせつつしっかりツイッチとかで動かす、っていう使い方に縛られず、やればなんでもできるってのが基本性能が高いゆえの応用力かなと思ってます。7センチ、5センチの小さいヤツこそ海では使い道が出てくると思うので廃盤は実に痛い。

 バスディのルアーとしては出世作の”シュガーミノー”の4センチ、5センチのサスペンドやシンキングも、軽くて良く動くので、飛距離でないけどメッキに食わせる力的には強くて、4センチサスペンドとかかなり”必殺”系のミノーである。このサイズの国産ミノーとしては草分け的存在だけど、他のメーカーの後発品でコイツと同等レベルに釣る能力のあるミノーってそうはないだろう。渓流でもメッキでもセイゴでも小さい獲物は総じて釣れる。ド定番だけど最終兵器的なミノーで流石にこいつは廃盤にならんだろうから安心して愛用している。

 ドリフトツィッチャーの7センチ5センチについては、すでに廃盤になってるので、いかんともしがたいだろう?って思うかもだけど、ワシまだ希望を捨ててない。バスディには「シュガーミノーリップレス」が「海爆リップレス」になって帰ってきて、その後廃盤になったけど、それでも最近また「海爆リップレス」は不死鳥のように復活した。という前例があるので、欲しいというような声が大きければ復活は有りえると思っていて、それはマス用のドリフトトゥイッチャーが海用にお色直しされて「海爆オフセットシンキング」的なモノで帰ってきても大歓迎なので、是非バスディさんにはよろしくお願いしたい。ちなみに使い始めてすぐに一旦廃盤になったので海爆リップレスは前身のシュガーリップレスもあわせて写真の様に大量在庫してしまっている。まったくたちの悪い病気で困ったモノである。アタイ病気が憎いッ!

 しかし、タイトルにもしたけどワシの気に入ったルア-に限って廃盤になるっていうのはなんでだろうか?使いどころや使い方が特殊で使いこなすのが難しいとかならわかるんだけど、今回の2種類を見ても意外に何でもできるような優等生で使い方も難しくないうえに、ワシのやるような極端な使い方にも対応してくれる。なぜ売れないのだろうか?結局、なんか”流行らなかった””飽きられた”ってだけで、良いモノでも消えていくのが定めなのかもしれない。

 とはいえ、カタログ落ちして焦って店が開けるぐらいに買いあさったラパラ「フローティングマグナム(Fマグ)」も「フラットラップ」も後者は8センチだけだけど復活を果たしており、良くできたルア-はどこかに評価する人が居て、そういう人達の要望が大きければ復活するというのは、ままあることなんだろうと思っている。新規で開発費やら金型代をかけずにものが売れるのなら作る側としても美味しい話だろうと思う。

 ということで、ラパラさんフラッタースティック4の生産継続とできたら7センチの復活を、バスディさんにはライトソルト用に振るとか売れそうな手を考えてドリフトツィッチャー5と7の復活をお願いします。

 あと、スミスさんハトリーズ「リトルダイナマイト」はポッパーじゃなくて水面直下系のミノー?ダーター?として”塩水仕様”で売り出したら、もう一稼ぎできまっせ。これも是非復活よろしくです。

2022年10月15日土曜日

パソコン椅子探偵ー「スーパースターNo.2」製造元迷宮入り編ー

  ええ、箱入り娘を買うてしまいました。基本ジャンクを買って使えるようにするというのが方針のハズなのに、「初期の大森製作所製」との説明に思わず見入ってしまい。写真で見ただけでも、大森っぽくはないなと思うけど、じゃあどこかというとオリムピックっぽいとは思うけど確証はない。箱と説明書が付いているので、買えばそのへん分かるだろうと興味が出てしまい、送料込み3300円と高くもないので、マウスが滑らかにすべることに対する抵抗は少なくダブルクリック。

 しかしながら、届いてみると箱にも取説にも、どこで作ったかの製造者名がない!これは難事件の予感。孤島で密室で因習の残る孤立した村の謎めいた女の気配がする。

 取説も日本語だし、”小売正価¥1450円”とあるので国内販売用で、国産だろうなというのは分かるけど、この時点では製造元の特定につながるような情報は少ない。「No.2」とあるので、No.1か無印の「スーパースター」があってもおかしくないかと、ネットで探ってみたけど、このNo.2自体はちょくちょくネットオークションとかには出てたようだけど、他にスーパースターと名の付くようなリールは見当たらなかった。商標権の関係とかもあって名前は同じ名前を使い続けたりするものだけど、それがないということは、これ作った後は自社ブランドでリールを売ってないとかも想定される。取説によると、ボールベアリング、ワンタッチスプールを採用、”歯車比”1:3、自重330gとなっていて、「中型スピニングリールでは理想的な最高級品です。」と高らかに謳っている。

 ということで、箱書きも取説も製造元特定には用をなさなかったんだけど、リールそのもの見てオリムっぽいと思ったのは、全体的な雰囲気とお尻に油差しのキャップが填まってる感じからそう思ったというのもあるけど、細部でもベールアームにベールワイヤーを固定する方式が、マイナスネジに覆い(カラー)を付けている点で、真ん中の写真の左が比較対象のオリンピック「アトラス」で、最初この固定方式どっかで見たことあるけど、なんだったっけ?と思い出せなくて、あちこちのサイトを見て回ったり参考文献である「ベルセカ(ベールアームは世界を回る)」をみたりして悶絶していたけど、何のことはない自分ちにあるリールだった。出品者さんは「大森製」を信じていたようだけど、大森っぽい要素はハンドルノブの摘まむところがえくぼのようにくぼんで絞ってあるところだけだと思う。一番下の写真で同じような大きさのマイクロセブンDX(右)のハンドルノブと比較したけど、同じようでいて明らかに形状が違う。マイクロセブンDXのほうがハンドルノブ根元が絞られている。スーパースターNo.2のハンドルノブ根元は寸胴。金型の違いは明らかでこれをもって大森製とは言い難く、このハンドルノブの形状はむしろオリム製「コンパック ホーネット」のそれに似ているのもオリム製説を強化するところ。

 とはいえ、分解していくとむしろオリムではない、いわんや大森ではないような、特徴的な”癖”が見えてくるので、どうもワシが知ってる既存のメーカーのモノではないとみるのが適当かなと思えてくる。

 ハンドルは左専用ネジ込み式で、たためないので外して送付されてきた。話脱線するけど、どうも最近の国産高級リールもねじ込み式でたためなくなっているらしくて「ガタつきが生じない」とか「壊れにくい」とか言ってるようなんだけど、普通にPENNや大森のたためるねじ込み式のハンドルでガタついた記憶がないし、ねじ込み式のハンドルが壊れるのは、スピニングリールの構造上本来やっちゃいけないゴリ巻きするからで、そういう特殊な”力こそパワー”な脳筋釣り師に合わせて商品作ると、遠征時とか持ち運びするのにいちいちハンドル外さなければならなくなる。汚れるし面倒くせえ。特殊な使い方する人間はマニアックな小工房の社外品でも付けて対応しておいて欲しいものである。最新のスピニングリールのこの迷走ッぷりはどうなのよ?とワシャ買わんので関係ないけど、スピニングリールがどういうモノか分かってない釣り人達がクソみたいなリール買わされてるのはさすがに不憫に感じる。

 スプールの方から分解してみていくと、まずワンタッチの先が針金バネで独特。初めて見る方式。ちょっと華奢で壊れそうには思うけど、これなら自作バネで修復できそうで、悪くない方式かなと思う。良くあるタイプの金属板のバネはさすがに自作は難しい。

 スプ-ルを主軸の台座に固定する方式も、台座の穴にスプールのスリーブ座面の棒を刺す方式で独特。普通主軸の横棒にスプールのお尻の溝を填めるのが多いかと。

 ドラグが、久しぶりに見るドラグのことが良く分かってないドラグ。

 右の写真をみるとパッと見、ドラグパッドが写ってないのかなという気がするかもだけど、ドラグパッドは、ワンタッチのスリーブに填まっている赤い繊維製ワッシャーです。一応こいつがドラグパッドとして機能するのが正しい形のハズ。ただ、実際には真ん中へんに写っているバネがドラグパッドとしても機能してしまっていて、当然バネの上下なんて平面でも何でもなくて滑らかには回らないので、ドラグは作動時引っかかり引っかかりギクシャクとろくでもない挙動になる。バネはドラグの調整幅を出すのに必要なんだろうけど、今時の普通のリールのようにドラグノブの中に配置されておらず、スプールのドラグが入ってそうなところに入れられていて、かつ上面がスプールと共に回ってはドラグノブが回って締まったりするので、バネ上面は主軸(に填まってるスリーブ)と同期する片方切り欠いたワッシャーでスプール回ってもドラグノブ回らないようにしてるのに、バネの下面はスプールの中仕切り?に接していて、スプールが回ると当然回ろうとして摩擦が生じる状態。せめて、バネの下にも切り欠きワッシャーを入れてバネの上面と下面でスプール回転時ねじれた方向に力が掛からないようにしておけば、下の切り欠きワッシャーの下に適当な滑る素材のパッド入れれば、スプール中仕切り上面とスリーブの座面の間でドラグパッドとして仕事してる赤ワッシャーと合わせて2階建て方式のドラグになるのに、良く分かってない人間が作るから変なことになっている。切り欠きワッシャー作るのは金属加工は得意じゃないので面倒臭いなと、次善の策としてバネ下面が平面になって滑りが確保できるように、硬質フェルトワッシャーで輪っかを作ってバネの下に敷いたら、だいぶマシな挙動にはなった。ただドラグ値が高いところで安定する感じだったので、ギチギチドラグで使うような大型リールでなし、赤ワッシャーを二枚のうち一枚、ちょうど良い大きさのがあったのでテフロンワッシャーに換装しておいた。それでも及第点とまではいかないけど、何とか最低限のドラグらしきものにはなったと思う。

 ローターカップは見えているナットを外すだけでは抜けてこなくて、回して外す方式で、外すとなんか重ねられた金属ワッシャーと赤い繊維製ワッシャーが出てくる。赤ワッシャーに穴ぼこが空いてそこに玉を填めてあり、ちょっと安っぽい作りに思うけど玉の填まった輪っかを上下の板で挟み込む”スラストボールベアリング”のようだ。

 ギアは単純なフェースギア。作るの簡単そうだけど、グリス盛り後も滑らかとは言い難い巻き心地。ただ低速だし、まがりなりにもボールベアリングも入ってるしで巻きは軽い。上等だろ?

 ローター軸のギアやお尻の油差しのキャップには真鍮のスリーブが噛ませてあるのが特徴で、なんかアルミ鋳造の本体の強度とかに不安があるんだろうか?アルミ直受けは極力避けている印象。

 唯一のアルミ直受けはハンドル軸のギアの軸受け部。って、そこは一番真鍮のスリーブ噛ますべきところと違うのか?という疑問が湧くのはワシだけだろうか?ちなみにハンドル軸のギアは亜鉛鋳造で軸に真鍮を鋳込んである。

 逆転防止のストッパーはハンドル軸のギアの裏にラチェットの歯が切ってあるタイプで、特に可も無く不可も無くだけど、形状とかでどこかに似ているとかの情報は引き出せなかった。

 ラインローラーは固定式で、使用時にラインが当たってた面が溝できかかって錆びており、錆びた面を上に向けると見た目悪いが使用を前提として整備するならこれは仕方ないところ。まあ使うあてないけどな。


 パーツ数は真鍮のスリーブがやや目立つけど、それほど複雑じゃないので少なめ。投げて巻くだけの機械に複雑な機構突っ込んでもジャマなだけで、必要な機構をシンプルに備えた設計がスピニングリールとして良い設計だと常々思うところではある。釣り場でトラブるような機構は蛇足。ジャムったら命に関わるような銃器の世界でコルトガバメントみたいな100年前の古くてシンプルな設計の銃が現役なのをみても、ミスったら後がない場面を任せる道具に求められるモノは何かというのが知れるというもの。とはいえウクライナに行くロシア兵にモシンナガンが配給されたってのを読んだ時は笑ったけどな。名銃だろうけどロシア帝国時代の銃でっせ。戦況が長びけばそのうちマズルローダーやらまで出てきて長篠の戦いまで後退するかも?もういっそ素手で殴り合っとけ!CQC(徒手近接戦闘)はプーチン閣下お得意のはずだろ?

 閑話休題。組むとき、スラストボールベアリングはローターの締め具合で適切な圧を掛ける必要があるけど、締める方向に回すとハンドル軸のギアが回ってしまう。外すときはストッパー掛ければ良かったけど、締める際にギアを無理矢理固定するとギアの歯を痛めそう。なんとかならんかと考えてオシュレーションスライダー用のギア上の突起を利用する方法を思いついた。さすがにこの突起は折れんだろう?オシュレーションスライダーをつっかえ棒にして、とりあえず締まるところまでしっかり締め気味で、どんなもんだろうと塩梅をみたら、ガタつかず回転は軽くちょうど良かった。

 整備していつものように青グリス大盛りで、軽く回るし、ベールの返りも良い感じに仕上がったんだけど、ごらんのように本体蓋の面がのっぺらぼう。蓋にブランド名や商品名が本来貼られていたのでは?そういうOEM用のリールで発注元に収めなかったのを、無銘で国内販売したものとかか?とか思って、同じ形の海外メーカーの製品とかないか、ネットで探ってはみたけど見つけることはできなかった。どなたか「同じ形のリールで名前が付いてるの見たよ」という方がおられましたら、情報提供よろしくです。

 という塩梅で残念ながら大森とは関係なさそう。ひょっとしたらオリムとは下請けなどで付き合いがあったとかで、ちょっと似た部分があるのかもとかも考えたけど、特に関係なく、海外からOEM(相手先ブランド名生産)請け負ってた工場で、歴史に名の出てこないようなところの製造なのかもしれない。まあ、オリムは部品普通に互換性があるぐらいのフルコピーが得意だったから、コピー先にこういう仕様のリールがあったという可能性も無きにし有らずだけど、オリムピック製だとすると、本体もとより箱にも取説にも社名がないのが不自然であり、その線もないのかなと思う。なにせミッチェル300系のフルコピー品に堂々と自社名を掲げてたぐらいである。そういうユルユルな時代もあったのさ。

 というわけで、今回”パソコン椅子探偵”としては、この子のお家はどこですか?という謎は迷宮入りで、どなたか何か情報をお持ちの方がおられたら、タレコミお待ちしております。あと使う予定もないので実物いじってみたい方とかおられればご相談下さい。

※情報提供いただき、初期のダイワ製と判明しました。捜査協力ありがとうございました。