2020年7月25日土曜日
なんちゃってツイストバスター搭載!!
スピニングリールの糸ヨレはラインを90度曲げてからスプールに巻き付けるという始祖”イリングワース”から引き継ぐ構造における、避けがたい弱点なんだろうけど、最近のスピニングリールにはラインローラーの形状の工夫やらで困った糸ヨレをかなり軽減する機能が搭載されている。
”ツイストバスター”とかそのあたりの機構である。この機構、なんか小難しい設計とか極滑らかなボールベアリングによる回転とか、高度で複雑な技術が詰まってそうな印象だけど、ワシがTAKE先生ところのサイトとか実地とかで勉強したところによると、要するに”ラインローラーの上でラインが転がらなければ良い”っていうだけの単純な原理のようである。
ラインが転がりさえしなければ、出て行ったラインを縒りを入れることなく回収できるので”糸ヨレ”とは無縁でいられるらしい。ある程度スムーズにラインローラーが回転した方がラインは転がらないはずだし、ラインがラインローラーとこすれる摩擦で劣化するのも防げるので、ちゃんと設計されて良い塩梅にラインが転がらないようになっていれば、ラインローラー固定式でも糸ヨレはそれ程酷くならないとは聞くにしても、経験的にベアリングが錆びて固着したようなラインローラーでは糸ヨレ激しく発生するってのもあるので、ラインローラーは固定式より回転式が望ましいんだろうなとは思っている。
ただ、クルックルにラインローラー回った方が良いのかというと、そうでもないようでネット上で4桁スピンフィッシャーの4400ssの糸ヨレが酷いという意見が散見されて、ワシそんな風に思ったこと一度もなかったので、使うラインの太さとか竿との相性とかかな?と思ってたけど、なんとなくだけど犯人がラインローラーのボールベアリングなんじゃないかとワシャ疑っている。
4桁4400ssは末期にボールベアリング入りラインローラーの4400ssJが販売されていて、ベールアームごと取っ替えれば旧型の4400ssにもボールベアリング入りラインローラーが搭載できる。どうもssj化した人に糸ヨレが激しく出たんじゃないかと勘ぐっているけど、実例を調べられる機会がないので確証はない。まあ根拠のない偏見と差別かもしれんけど。ワシャ”ボールベアリング差別主義者”やからな。秘密結社BBB(”Ballbearing bashing band”ボールベアリングをボロクソにこきおろす者の団)でも立ちあげようかしら。
TAKE先生もラインローラーのベアリングにグリス入れて回転おさえたら糸ヨレ改善した事例を紹介されていて、設計やら使用状況にもよるんだろうけど”転がるか、転がらないか”は微妙なバランスの上で成り立つようではあるけど、なんにせよ良い塩梅にラインローラーが回転してラインを一定の位置で拾い続けるっていうのが王道のように思う。
ちなみに使ってる4400ssはラインローラーには樹脂製スリーブが入ってるけど、ボールベアリングは入っていない。回転は部屋でラインで擦った程度では回らないけど、輪ゴムで試すと回ってて、実釣時にもラインがあまり張ってないときや逆にドラグ出てくような高負荷時もあまり回ってない感触で、ラインが一定の張りでやや早めの巻き取りの時に、ラインローラーが回っている”シューシュー”という音が聞こえてくる。
ドラグ出ていくような高負荷時にはラインは4桁スピンフィッシャーだとV字の谷になってるラインローラーの底に押しつけられて転がらないだろうし、逆に張りがユルい時にはロ-ラーに押しつけられないので転がらずに素直に巻ける気がするので、糸ヨレ対策としてはちょうど良い効き具合なのかなと思う。
ということで、ラインが転がらないようにするにはどんなラインローラーの形状が良いのかっていうのを各釣り具メーカーさんは考えて、多分現在の主流は傾斜をつけて片方の隅にラインが行くようにしているんだと思う。右の写真は「98ツインパワー2000」のラインローラーで、ラインは右側の傾斜部から左の方の銀色の底の部分に移行して落ち着くようになっている。
他には過去にはラインローラーにラインが収まる溝を作ってラインが転がるのを防ぐ構造のもあったように記憶している。たぶんそれってローラーが固着して糸溝ができたリールが、なぜかラインが縒れないとかいう実体験から設計されたんじゃなかろうかと想像している。
でもって、今回、そういうラインローラーの工夫が成されていない古い時代のリールを”なんちゃってツイストバスター搭載機”に改造してみた。
機種は冒頭の写真のシェイクスピア「アルファ2260-030」。で、以前紹介したように大森製作所が作ったシェイクスピアだと思って買ったら違ってて、いろいろと残念なところもあり、ある程度整備、改善したうえで、ケン一のところに嫁に出していたんだけど「糸ヨレ酷し!」ということで出戻ってきていた。糸ヨレに関してはワシも実際使ってみたけど確かにすぐにヨレヨレでどこでもビミニツイストが作れるようになる。
ラインローラーは固着していたのを外して、ある程度回るようにしたんだけど、そもそもラインローラーのメッキが甘くてボロボロに剥げてしまったので、表面ならして瞬着でコーティングして、そんな強い糸を使う大きさのリールじゃないからこれでイケるやろと前回送り出したんだけど、ラインローラーの形状自体が転がりやすいU字型の曲線を描くタイプ(右の写真はU字型の例として大森「キャリアーNo.2」)で、ラインが1箇所に落ち着かない形状で、かつ、リール全体を小さく仕上げるためだと思うんだけどスプールの直径も小さくて、ラインが縒れるのが避けられなかったようだ。
スプールの直径ってスピニングリールの使いやすさには重要だと思ってて、古いインスプールのリールを使ってて意外にラインの放出性は良くて飛ぶしトラブルも少なくて「この程度でスピニングなんて充分じゃん」と思ってしまう。
単純なハンドル1回転でスプールが1回上下するクランク式で機構的にはどうってこともないのに、クランク式でスプール上下の幅が制限されるが故に糸巻き量を確保するためにスプールの直径が大きくなっていて、これが投げるときのラインの放出性の良さにずいぶん寄与している気がする。スプール上下の幅が狭いということはラインローラー上でスプール上下によってラインが引っ張られる?量が小さいはずでローラー上でラインが押しつけられるようにして転がるのも少ないのではなかろうかと思っている。直径の大きいスプールが使いやすいってのはインスプールに限らず大森のクランク式のスプール上下機構(オシュレーション機構)の小型機なんかでも共通で、何百mも遠投するような釣りに使うんじゃなし、ルアーの釣りとかにはスプールの長さは必要なくて、直径だけ大きくしてやれば単純明快に使いやすいリールができるんじゃないか?とぶっちゃけ思っている。っていうか昔のそういうリールはあきらかに使いやすい。大森製作所のリールのラインローラーは例に出したようにラインが縒れやすいハズのU時曲線型だけど、使ってて糸ヨレ酷かったという記憶がない。もちろん使っていくうちにヨレはどうしても入るけど、ナイロンラインならその頃には交換するので実質問題なく使えていた。
でもって件のアルファなんだけど、スプールの直径は今更どうしようもない。ただラインローラーは真鍮製で、ギリギリ自分の技術でも形状をいじれるのでラインローラーをいじることにした。
やることは単純で、ラインローラーを割り箸に突っ込んで填めて、その割り箸をハンドドリルで回転させて、ダイヤモンドヤスリをあててラインローラーの形状を削って、傾斜を付けて片側にラインが落ち着くようにして”なんちゃってツイストバスター”化してやる。
ちなみにラインローラーは真鍮製で軸も真鍮の直受けだけど、真鍮と真鍮の受けって「PENN720Z」ではボールベアリングの代わりにされているぐらいで、滑りやすさとか耐久性とか案外回転部分に採用する材質としては正しいのかもしれない。ただメッキが下手クソでボロボロに剥げてるようでは不合格ではある。
本来なら形状をいじった上で硬質クロームメッキでもかけるべきなのかもしれないけど、メッキって小さい部品だろうとメッキ槽にモノをぶち込んで処理する手間は一緒で、バイクのマフラーとかをメッキするのと値段一緒になるだろうと自動車整備の仕事してる友人に聞いたので、今回はあんまりラインに負荷かけるような釣りを想定しないリールなので真鍮剥き出しのままで行くことにした。
でもって、ギュイーンとドリル回して削って無事完成。左から右にユルく傾斜をつけて右の方の谷に落ちるようにしてます。
3時間ほどルアー投げた実釣でも糸ヨレ入ってなくて良い感じに仕上がったと自画自賛する。やっぱりある程度の高速回転時にシューシュー音がしててちゃんと回ってくれているようで一安心。ケン一家のチョイ投げマハゼ釣りの時期である秋までにはなんとかせねば、と思ってたけど余裕で間にあった。
釣り具に物理法則を無視したようなオカルト的な性能を持ったものは存在しえないっていうのは常々書いてるところだけど、逆に言うと物理だの工学だの要点をふまえてやれば、理屈通りの正しい道具にはなるんだなと今回改めて思った。
案外釣り具に関する事実は単純なことが多いとおもう。今回の例でいえば、糸ヨレはラインローラー上でラインが転がらなければそれで良いとか、スプールの直径が大きいと使いやすい、とかとか。
高校卒業程度の物理とかの一般的な知識の範囲で理解不能なことを謳ってるようなオカルトじみた機構はだいたい嘘っぱちか誇大広告なので疑ってかかったほうが良いと思っている。皆さんもお気をつけて。
なにげにU字型のラインローラーの例に出した大森ダイヤモンドが「キャリアーNo.2」なんだけど、今PENNから浮気して使ってるマイクロセブンCシリーズがなかなかに手にしっくりくる使い心地なこともあって、地味に大森熱も再発してたりしてネットオークションとか毎日確認して我慢できずにポチッとしたりしてます。コイツは某中古釣り具チェーンのネット販売で3千円ちょいの安値が付いてたので流れるようにポチってしまいました。
現在我が家にはリールが95台、ロッドが121本と、我が家の数値目標であるリール90台、竿120本をどちらも越えてしまっており、またネットオークションで売りに出すなりして整理せにゃならんなと思っちょります。
ちょっとリールと竿以外でも発症している病気があって、別途ネタにする予定だけど月の食費を1万円前後に切り詰めて生活している無職の貧乏人が、今月既に釣り具だけで2万円以上も散在してしまっている。アホか?!(断言するけどアホです!!)
アタイ病気が憎いッ!!
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昨年からMitchell301、441とラインローラーすらないリールでナマズ、ニゴイ、シーバスとやってますが特に問題になることもなく快適にやれてますが、
返信削除ローラーの付いた411に合わせたキャパのスプールを使うとその量をさばき切れずにピョン吉が出たり不都合があります。
固定式だとどうしてもたっぷり糸入れられなくなりますね。
それ以外は往復機構がちゃんとスプールの端から端まで往復しているかが重要で713z、4300ssもその辺優れてますし往年のMitchellの売りの一つです。
4400ssがライントラブル多いって言われる原因は糸の巻き過ぎが原因でちゃんとしたキャパならそう多いわけじゃありません。
マイコンとか80年代の日本製の経験がある人なら巻き加減を身体が覚えててトラブルに発展しないです。
やっぱり固定式でも大丈夫なリールは大丈夫なんですね。
削除我が家に固定式のリールはダイヤモンドスーパー99という割と大物用の大きさの1台きりで、自分でも試してみたいけどなかなか出番作るのが難しそうです。ラインローラーがない固定式である他にも、低速のスパイラルベベルギアに、ローター軸のギアも720Z同様にボールベアリングじゃなくて真鍮の「ブロンズベアリング?」でボールベアリングレス機でもありいろんな意味で漢らしいリールなのでそのうちなんか実戦投入の相手を考えたいですね。
実体験をふまえたご意見とても参考になりました。感謝です。
返信削除BBB団、私も入りたいですw
アンバサダー4500にミッチェル301、使っていて楽しいですし整備の手間も少なくて済みます。
余談ですが第二次世界大戦時にアメリカは自動車や航空機に整備に手間掛かるベアリングの使用を最小限にして真鍮ブッシュで代用、
製造と整備の手間省いています。
枢軸国は真鍮の材料調達がキツくてこの真似が出来なかったようです。
Pennみたいに真鍮ブッシュ多用って贅沢な手段みたいですよ。
真鍮やるなぁ!
削除2人居れば「団」名乗って良いでしょう。ふふふ。
BBB団の入団資格はボールベアリング不使用のリールを所有していて、それで魚釣ったことがある人間としましょうか。
団員鋭意募集中!!
なまじさん、こんばんは。
返信削除マイクロセブンC1の事を伝えたくて、記事を読んでいたら、終わりの方にマイクロセブンが出て来たのでちょうど良かった(笑)
昨日、マイクロセブンC1にて、ネイティブレインボーの56cmを釣り上げましたが、ドラグ性能等全然大丈夫でしたよ!
ちゃんとスムーズに出て行くし、微調整という意味ではリアドラグのカーボンマイコンよりは扱いやすいと思いましたね。
何せ軽いので、長時間の河川ルアー釣行などでは疲れないが何よりいいです。
ま、金属製のダイヤモンドリールじゃないと大森らしくない。と言われる方もいると思いますが、それはそれぞれの用途に合わせてでいいと思っています。
まずはおめでとうございます。
削除50後半のニジマスはドラグ試験するにはこれ以上ない魚ですね。
マイクロセブンCシリーズやっぱり良いですよね。シーバスは跳ねたり首振ったりはあるけどそれほど引く魚じゃないのであれですが、ボラは走りまくるので良い試験になりました。CSもC2も”合格”でCSの時はナイロン5ポンドでしたが、走りで切られることを考えなくて良いぐらいスムーズにドラグ作動してました。
カーボンのリールの軽さは確かに使ってて楽ちんですね。強度的にもシイラ釣るスピンフィッシャー5500SSがカーボン本体でなんら強度の不足とか感じたことなかったので、特殊な強度の必要な釣り以外ではカーボンで良いジャンって思ってます。
マイクロセブンCシリーズもっと評価されても良いと思いますが、まあ、我々2人で独占的に楽しんでおいても良いかもですね。