2022年11月19日土曜日

60年先をいってた”ダイレクトフィネス”(意味不明)

 ”ベイトフィネス”とか言うて、釣り具業界が、軽いルアーとかをベイトリールで投げさせて釣り人から金をふんだくろうとしている昨今。軽いルアーはスピニングで、重いルア-はベイトで投げておけっ!って思ったりもするんだけど、まだ軽いルアーをベイトでっていうのは、リールの性能を上げて対応すればデキるっちゃできるし、ラインが縒れないとか、リールが単純で壊れにくいとか利点はそれなりにあるので、好きな人がそういうのを楽しむ分にはアリかなと思うけど、逆の重いルア-をスピニングでっていうのは、根本的に無理があるのに日本じゃむしろそれが当然と化している。重いルア-はベイトでっていうのは、ジギングと一部磯からを除いてルア-の世界ではほぼやる人いない状態。シーバスのベイト使用はあるけどシーバスルア-は軽いルアーの範疇だと思ってます。海外だとドデカプラグをベイトタックルでぶん投げるマスキー狙いとか”怪魚系”では”重いルア-をベイトで”は一般的だと思うけど、なぜか日本はいつものガラパゴス化って感じで、スピニングリールが構造的に抱えてて、根本的な解決が難しい糸ヨレが困るはずの、長時間ドラグ使ってライン出し入れしてやりとりするマグロ狙いとかに使ったり、ロウニンアジだカンパチだを強引に止めて勝負するとかのために、そもそも強度が得にくいスピニングをゴリ巻きで壊れないようにしたりして、どんどんスピニングが本来あるまじき奇形じみた無理矢理強度を持たせたものになっているように感じる。キャストが難しいっていう欠点はあるけどベイトでやってしまえば、糸ヨレ問題もリールの強度確保も解決するけど、要するにみんな難しいことには挑まないってことなんだろう。ワシ、実戦投入するところまで年齢的に時間切れで技術練り上げられんかったけど、ロウニンアジには最終的にベイトで挑みたいとは思ってた。左手サミングの練習とかはだいぶした。ロウニンアジ釣るところまでは行かんかったけど、シーバスやらライギョやらは左手サミングで釣れるところまで習熟したのは我ながら若い頃のワシ立派だと褒めたい。GTタックルでもワシなんかより上手な人が取り組めばできるはずだと思う。黎明期のGTアングラーは結構ベイトタックル使ってた。代表例は丸橋栄三先生の世界記録はABU10000C使用とか。大型ベイトのルア-キャスティング市場は、日本じゃほぼ手つかずで残ってる未開の沃野だと思うんだけどどうなんだろう?ハゼやらアジやらに向かってルアー投げさせてる暇があったら、そっちに手を出した方が正しい方向性だとワシャ思う。

 って関係ない長い話から入ったのは、先週からネタにしているお借りした大森4台のうち紅白2台のダイレクトリールが、これもベイトリールといえばそうなんだろうけど、”ベイトフィネス”とかいう概念のなかっただろう大昔にダイレクトリールの単純な構造を生かして、これでもかという軽量・繊細なリールを作っていたので「これはもう”ダイレクトフィネス”とでもいうべき代物だろう?!」って驚愕したので、ベイトフィネスがらみで一席ぶってみました。

 この紅白2台のおめでたい感じのダイレクトリールは、大森製作所製1959年発売のコンパック「モデル33」というリール。赤の方はハンドルノブが白でアルミシルバーの方はハンドルノブが赤で、大森製作所にしてはオシャレな見た目というと失礼か?

 2台だけ並べてると、大きさよく分からんと思うので、バス釣りに使ってたABUアンバサダー5000(パーミングカップの80年代モデル)と比較してみるとこんな感じ。

 写真じゃあんまり小さく見えないけど、実際はかなり小型な印象で、それは手にするとさらにその思いが補強されるんです。軽いんです。アンバサダー5000のほうはこの状態で測ると280gぐらい、赤のモデル33は約147gと、半分強の重さしかない。重さしかないけどこのぐらいならまだ常識的な範囲で、小型のダイレクトリールってだけの話なのかもしれない。それでも充分華奢で繊細には思うけど。

 ヤバいのは白なんでございます。110g。正直、アルミアルミしててそれもアルミ缶の底ぐらいしか厚さないんじゃないかっていう薄さ繊細さで、いじるの壊しそうで怖かったぐらい。

 今時の高級フィネス(繊細な釣り)用ベイトリールで130gぐらいのようなので、なんぼ単純な構造のダイレクトリールとはいえクソ軽いのがご理解いただけるだろうか。

 何が軽い要素か、比較して見る。

 スプールがまずアルミ、レベルワインダー(平行巻)のカバーもアルミ、ハンドルの柄もアルミ、極めつけはフット。単純な形だと薄いアルミは強度得られないためだと思うけど、二重円でまさにアルミ缶の底のへっこんだ部分を折り返して平面に収めたような形状にしている。赤い方はこれらに相当する部品はおそらく真鍮とかにクロームメッキだと思う。普通のリールに使われている素材でなんか安心できる。

 白のフットはアルミ板曲げ伸ばして板金加工で作ってるよね?って感じだけど、スプールも漏斗を二個作って芯棒と組み合わせたような作りで、漏斗つくってるアルミ屋さんに作り方習いにいってそうな代物。赤い方のが標準仕様で、アルミに置き換えできそうな部分を板金加工で全部アルミにしたってことだろうか?

 ギアとかは小っちゃいけど、ダイレクトリールなので極めて単純。スプール軸のギアの細かさには感心する。ハンドル軸のギアはアルミ製で芯に真鍮。なぜか分からんけど、赤は斜めに切ったギアだけど、白は真っ直ぐの歯のギア。なんで変える必要あったのかワシにわ分からん。どなたか分かる人がいたらご教授願います。

 ブレーキはメカニカルブレーキでスプールの軸を押さえる単純方式のみ。レベルワインダー(平行巻)は丸ABUと一緒のクロスギア方式なので歯車が一個あって歯車の数は計3枚。

 回転は、赤の方が手で回した感触では滑らかで良く回る。スプールの重量があるので”はずみ車”的に指で弾いたときに回りやすいってだけで、実際にルアー投げたときにどうなのかは、理屈から言えばスプール軽い白に軍配が上がるはずだけど、このリール達に合わせる竿がまったく見当が付かないので試し投げとかする気にはならんかった。白は下手にぶん回すと壊れるんじゃないかっていうトンガリ方してるので、今回は鑑賞だけにしておくのが無難かなという判断。

 白の方は大森製作所としても攻めまくった実験機的・挑戦的モデルだったんじゃないだろうか?「大森にもこんな変態性があったのかと驚かされます。」と持ち主であるレクエル堂さんがメールに書いてたけど、大いにうなずける。「ウチ軽く作れっていわれたらこのぐらい作れます。」って腕を見せつけてる感じだったのだろうか?大森製作所の印象としては、使い込んで塩かぶってボロボロに腐蝕している不燃物手前の状態のリールでも、ギアとかまるで平気でガタが来てるような個体をみたことないぐらい”余裕もってしっかり作ってあって丈夫!”っていう印象だったけど、こんなギリギリを攻めた方向性のも作ってたっていうのは面白い。アメリカ市場向けだろうけど、何に使ってたんだろうか?一般的な米国製のダイレクトリールはデッカいバスプラグを投げてたんだろうけど、そういうリールじゃないよね?って考えるとベイトフィネスでカスタムロッドあしらえて、クラッピーとかマスとか釣ってたんだろうか?むしろこの可愛らしいサイズは氷上に穴開けてウォールアイのアイスフィッシングとかが似合うか?想像力もかき立てられるリールである。

 という感じで借り物リール達で二週にわたってお送りしております当ブログ。4台借りたのでもう一台残っております。ぱっと見普通のクローズドフェイスリールで今回ついでに紹介する予定だったんだけど、ワシ的に結構面白かったので、ついでじゃもったいないので次回回しとさせていただきます。引き続きお楽しみに。

2 件のコメント:

  1. ナマジさん、おはようございます。

     デラックス期のコンパックカタログを見返してみたら33がカタログ落ちせず載ってました。
    "A feather-light, sporty reel... tournament-weight handle....."
    $5.50 赤アルマイト 重量4オンス=約112g=軽量版?
    イラストではフットにオリム製の特徴があり混乱します。
    調べたつもりですが再調査です。
    解説ではコンパック側も「カリカリ仕様でっせ!」って文句打ってます。

     一方ラインキャパは”ナイロンギアのパワフル型”のオリム製44と同じブレイデッド15ポンド100ヤード。
    私は分かりませんが、ここで書いてるトーナメントはキャスティング競技なのでしょうか。
     
     モデル33赤はイーベイでも常時出品があるぐらい数がありますが、極まれに出るプラスネジ&湾曲ハンドル六面ナット止め&真鍮板物一体フットのやつはオリム製です。
    こうなったらオリム製も身柄確保して取り調べるか…

     斜歯ギアの副作用としてスラスト方向に逃げる力が発生します、平歯にしたのはそれ由来の問題でもあったのでしょうか。気が向いたら実投比較してみます。



     シンプルに考え直してみると、コンパックには両軸用の竿が無く、スピンキャスト竿に合わせられるクローズドフェーススピニング互換の両軸として企画された可能性もありそうです。その最中に何かに目覚めて攻めたキワモノに仕上がったとか。
      
     バンタムⅢ級に対応するであろう竿、カタログ中に5フィート半ガイド4個の物が記載ありましたが、
    教えていただいたキラクや自作で考えようと思います。

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    1. レクエル堂さん おはようございます

       なるほどキャスティング競技用といわれればしっくりきました。そりゃカリッカリに尖らせててもおかしくないのは、ミッチェルの怪作”ウェディングケーキ”みても想像がつきます。規定回数内に一回まともにぶっ飛んでくれれば良いという世界ですからね。

       スピンキャスト用の竿ならたしかに合うのあるかもですね。
       しかし、ブレイデッド15ポンド巻いたら壊れるでしょ?そらあかん気がします。

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