2022年3月31日木曜日

今頃あの世に流れる悠魂川をカヌーで下っているのかも

 形あるモノ全ていつか壊れる。命はいつか失われる。なのに人は人が死ぬと少なからず衝撃を受ける。

  作家でカヌーイストの野田知佑先生の訃報が・・・

 先日、野田先生の著書で知った”フルライフ”についてひとくさり書いたばかりだったっていうぐらい、自分のモノの考え方や生き方に影響を与えている作家の一人で、84歳とご高齢で、まあ最近では大往生って言えるほどじゃないのかもだけど、平均寿命ぐらいは生きたんだろうから、そんなに悲しむなよって思うけど、やっぱり悲しいものは悲しい。

 ケン一ともCWニコル先生が亡くなったという話題になったときに、自分らが影響受けてきた作家先生とか、自分らの親世代なんだからそろそろみんな亡くなってくよな、とボヤいていた記憶があるけど、自分の肉体的遺伝子的な親が両親であるなら、自分の精神的、情報的な”親”は両親や教師を始め直接教えを受けた人達と併せて、読んできた小説、エッセイ、マンガ、見てきた映画、アニメその他モロモロの作者であるわけで、なかでも野田先生は、川や海で遊ぶ自分にとって極めて重大な影響を与えてくれた”親”であると言える。ならばこの悲しみもむべなるかな。

 高度経済成長期にあって、金持ちになったけど、川やら海やら埋めてコンクリで固めて、人も管理されて息苦しくなってた日本の状況に対して、断固として「それは違うだろう」と異を唱え、流れを遮る構造物一つないユーコン川とかをカヌーで下る素晴らしさを讃え紹介し、ひるがえって日本の川の目も当てられない現状と、他人のすることにいちいち口出ししてくる小役人や小役人的な社会を痛烈に批判していた。

 著書で書くだけではなく、長良川河口堰建設の反対運動では、開高先生らとともに中心的な役割を果たしておられた。当時高校生だったワシとケン一もケン一が雑誌の懸賞で当てたカヤックをケン一のおねーさんに車で運んでもらって、交代で漕いで「長良川河口堰建設反対カヌーイストミーティング」に参加している。ワシ先生にサインを救命胴衣に書いてもらった。今思うと「ユーコンとか寒い川で”沈”してカヤックから離れてしまったら浮けたところで助けも呼べないのに、死ぬのは結局一緒で意味がない」と当時も批判の声があったけどライジャケを着けない(後年丸くなって着用してた)という個人の自由を尊重し反骨精神溢れる先生に対して失礼な書きにくい素材に書かせてしまったなと反省している。

 以前、地元の川が汚されていくのを釣り人なら指をくわえて見てるんじゃない!っていうことを書いた。もちろんこの土建国家、長く政権第一党の座にある党の本部が「砂防会館」なんていう建物に入ってるような野蛮な国で、声を上げたところでそれが社会をすぐに変えられるかというと、そんなに甘くはない。実際、長良川河口堰もすでに新興工業国に負け始めてて大きな建設理由だった工業用水の需要も先細りが見えてたし、治水面は上流のダムならともかく河口で流れを遮るものがなぜ治水に利するのか誰も説明し切れてなかったように思うけど、それでも長良川河口堰は建設されて運用されている(いらんようになったのなら取っ払えよと今でも思うのでそう書いておこう)。それでもワシとケン一は指をくわえて見ているわけにはいかなかったし、10代のガキでも大人に手伝ってもらったけど、やれることはやったとガキの頃の自分たちを評価してやれる。

 結局、なにも変わらなかったんなら結果の伴わない努力で無意味じゃないのか、と賢い方々は言われるのだろう。「ベネフィットが伴わなければコストやリソースを割く価値がない(リソースにコストは含まれるのでは?と疑問に思われるかもですがワザとその手のバカっぽく書いてます)」とか上滑りして本質をなにもとらえてない短絡的なものの考え方なんぞクソ食らえである。うるせぇぞテメエみたいなクソ製造器はてめえのケツの穴でもしゃぶってろ!そして口からクソは吐くな!という感じである。

 なにも変わってないわきゃないのである。野田先生のような、作家として影響力、発言力のある方々が闘ってくれたから、アホみたいな公共事業に対する風当たりは間違いなく強くなったはずで”宍道湖・中海淡水化事業中止”とかがそういった流れの中で出てきた成果だったはずだ。堰作るだけ作って閉めなかったっていうのは建設業者には金が既に行ってるわけで”金をばらまく”っていう”クソみたいな公共事業”における本命の目的は果たされているわけで、馬鹿臭いけど政治的な決着としてはありっちゃありだなと思う。全く無意味な効果0の状況に金使ってて無駄だけど、運用してたら効果?は悪影響大でマイナスの設備に使われるよりマシ。

 ワシ、無職で経済力・権力とは縁がないし、発言力もたかだか日に100人かそこらの読者しかいない、しがないお気楽ブロガーであり限られているけど、それでも1人でも誰かの心に届けることができるならと、ゲリラ活動的に「反コンクリレジスタンス」の活動は続けていく所存であります。それが野田先生の”子”である読者の務めかなとおもっちょります。愚者は愚直にできることを力一杯やってみるよ先生!

 野田先生のご冥福を心よりお祈りいたします。先生ありがとう。

2022年3月26日土曜日

PENNスピンフィッシャー”714z”解体新書

 

 714zは優等生である。ってのは以前にも書いたけどまた書いておく。釣り場でも手入れにも面倒くせぇところが何もなく、長く使っていくのに全く不愉快な思いをしなくて済むし、不具合も限られている。不具合で憶えているのは、ベールスプリングが折れたのと、スズキとのやりとり中にドラグの”音出し”が外れて巻けなくなった事ぐらいで、前者は現在のコイルバネ式以外では避けようがないし、折れてもローターを手で回しながらベールを起こして釣りは最後までデキるといえばできる。後者も、魚が掛かったままの状態でワンタッチのスプールを外して外れてローター内で引っかかってる金属製の”音だし”を抜いてやってやりとり再開。最終的に魚は手にしている。

 分解しての整備、注油なしで、普段は釣り場から帰ったら蛇口から水道水ジャバジャバ掛けて塩気を落として、ボロ布で拭いて乾燥後、ラインローラーとハンドルノブ根元にオイルを注して、たまにスプール外して主軸にもオイル注しておくっていう手入れだけで、昨年の秋で2年は蓋開けず、ほったらかしに近い手入れ状況だったけど、機関に不調など生じず。いつも調子よく回ってくれている。

 っていうぐらいに、塩気のある釣り場で使っても手入れが楽。以前書いたように投げて巻いて魚釣る場面でも、ライントラブルは少ないし、巻きはウォームギアでちょい重めだけど滑らかで快適だし、ドラグはPENNなので当たり前に優秀。米本国では古リール好きの多くが、小型インスプールスピニングなら”ゼブコ”のカーディナルやら”ガルシア”のミッチェル、シェイクスピア(大森SS含む)、D.A.Mクイック、なんかを抑えて、一番のお気に入りにPENNのインスプール710系を推すだろうと思う。特にあちらの人は緑の通称”グリーニー”と呼ばれる時代のが大好きなようだ(へっへっへウチにも714と712の2台あるですよ、いいでしょ)。

 正直、魚釣る目的のためだけなら、714zだけ使っておけば良いっていうか、430ssgや4300ssでも430ssでも、あるいは適切な大森でも、今まで使ってきたスピニングだけで全く事足りる、というのはイヤッちゅうほど分かっちゃいる。分かっちゃいても”そういう病気(スピニング熱)”なので仕方ない。いろんなリールを使って楽しんでみたいのである。ということで、今年のシーバスは春は”丸ミッチェル”314とPENN720z、秋はシェイクスピア2062系ダムクイック220を使う予定でいる。っていうかミッチェル314が早速ジャジャ馬っぷりを発揮してくれていて、釣り自体はやること単純明快で単調になりがちなシーバス狙いを楽しくするリールとなってくれている。

 となると、714zはしばらくお休みで蔵で眠ってもらうことになる。使っているとベアリングなんかも塩噛んでたとしても意外に錆びないモノで平気なんだけど、長期保管になって動かさないと、潮かぶってた表面とかも腐蝕しかねないし、ネジ周りとかも塩が浸みてると固着しかねない。ということで1回塩抜き兼ねて、全バラししてパーツクリーナーで古い油脂類と汚れを落として、ガッチリ大盛り”グリスシーリング”に仕上げて保管しておこうということになった。バラすついでに、ワシ的にはインスプールスピニング最高の傑作機だと思う「714z」の機構やら構造やら、ネッチョリと書いてみようかなと思っちょります。まあ単純な構造で蓋はネジ一つで開けられる整備性の良さ。部品数も写真見て分かるように少なく、全バラしてもたいした手間ではなかったりする。

 スプールは、安全策ならラインも抜いておいたほうが腐蝕が避けられて良いけど、除湿剤入れた衣装ケースで保管なのでそこまで気にしなくて良いかとティッシュで拭きまくってグリスを適宜塗っておくにとどめた。

 スプールはワンタッチ式で、ドラグ1枚式だけどスプール上面の直径いっぱい使ったもので、純正のドラグパッドはテフロン製で、海で使うには耐久性に不安があるので4400ss用のカーボンシート(HT-100)のドラグパットに換装してある。純正のテフロン乾式もあんまり走らない魚相手なら充分以上の性能と使いやすさだとは思う。714zは小さいリールでもデカイ魚が狙える”スーパースポーツ”な機種なので、ワシゃドラグは換えた。性能はPENN社の長年の、トローリングっていうドラグを一番使う(締めッパじゃなくて適宜滑らせて使うという意味で)釣りで培って実績を積んできたドラグパッドの素材なので、調整幅とか細かいところはともかく、安定性や耐久性といった基本性能では国産機種にも負ける気は全くしない。っていうか負ける理由がないと思っている。

 スプールが乗っている金属製スリーブの台座の上にはテフロンのワッシャーが噛ましてあったんだけど、巻き形状が後ろ巻きだったのの修正のために、厚さを純正の1mmぐらいのから0.3mmのに変更している。後ろ巻きの修正の方法としては、他に720でやったようにベールアームの形状をいじるか、ベアリングとローターの間に適当なワッシャーを填めてローターを嵩上げするするなどの方法もあるけど、スプール台座のワッシャー変更で済めば一番楽。

 ドラグの調整幅を出すスプリングは一目見てミッチェルの影響が見て取れる。まあミッチェルは量産スピニングの元祖的存在なので、色んなところに影響を与えているということで大目に見てあげて欲しい。でもPENNらしいのはドラグパッドが直径デカいのでドラグパッド押さえる金属ワッシャーもデカいところ。頼もしいぜ。

 真ん中の写真のスプール裏、金属の板を曲げたものが一回外れた”音だし”部分で、止めているネジのところを緩まないようにネジの緩み止め剤「ロックタイト」で外れないように処置済み。ドラグ音はチリリリリ~ッという金属らしいかん高い音でなかなか良い。

 スプールでPENNらしいのが、中心の穴がスプールのアルミ剥き出しじゃなくて、真鍮製っぽいスリーブが填まっているころ。ワンタッチの差し込む方のスリーブはステンレスだと思うので、アルミ直受けだと柔いアルミの方が削れるからだろう。4桁スピンフィッシャーの大型機種とかになるとカーボンかジュラコンか樹脂系のスリーブが入ってて、アルミが削れないように耐久性を持たせるという設計が丈夫なPENNっぽいし、ドラグを安定して作動させるには、ドラグパッドが”摩擦力でお仕事”するのをジャマしない範囲で滑らかで小さい力で滑れば良いってのが良く分かってる感じがして好ましい。ドラグにボールベアリング?まあドラグパッドのお仕事のジャマはしないだろうから、よりドラグパッドの性能だけで仕事できるのかもだけど、どう考えても、締め付けたドラグパッドに掛かる摩擦力に比べてスリーブだけの滑らかさでも無視できる程度には充分小さくて、それをボールベアリングにしたところで違いが出るほどか?って思う。誰か実験してくれやんものか?極端な話7500ssとかでドラグ6キロとかに締めたら、スリーブだけでドラグノブ全く締めずに回したときの負荷がその6キロに対してどれだけの割合かってのを考えればイメージしやすいか?ドラグノブ外して刺してあるだけのスプールを回すのに必要な力は数グラムとかじゃないの?そうなるとトドのつまりは千分の1単位の世界のどうでも良いような微差のためにボールベアリングが2個も入ってるってことになる。実際にはドラグ作動時には力掛かってある程度の速度で回るから数グラムって事はないかもだけど、それでもドラグ締めてもスリーブが締まるわけじゃないからたいして抵抗増えないだろう。アホかと感覚的に思うよねって話。

 本体に移って、蓋を止めてるネジを外してパカッと開ける。左巻き専用機なので、蓋は本当に蓋としてだけ用をなせば良いので、途中から金属製から樹脂製に素材が変更されている。

 グリスグッチャリでもとは青グリスなんだけど、真鍮の銅から緑青が出ているのか緑っぽい茶色に変色している。

 スプール上下はハンドル1回転で1回上下の単純なクランク方式、逆転防止のストッパーはハンドル軸のギアに掛けるっていう単純明快な設計だけど、随所にPENNらしい耐久性にこだわった真面目なところが見て取れる。

 スプール上下のクランクがハンドル軸のギアに乗ってるところには、スリーブが入っているし、ハンドル軸のギア自体は真鍮のギアにステンレスの芯で、芯を受ける本体にも真鍮のスリーブが填められている。芯の真ん中へんがちょっと細くなってて、油溜まりなのか設計上の理由があるのか、ワシャ分からんけどなにかあるんやろな。

 まあ、部品がとにかく本体除くと真鍮とステンレス多用で、その分重いのかもしれんけど、海で使うにゃ心強い。グリスグッチャリにしておけば、およそ腐蝕する気がしない。

 ステンレス製の主軸も抜いて、ローターを抜く。ローターは716zの解説でTAKE先生のお褒めにあずかっていたように、ベールアーム・ベール反転バネとベール返しの引き金レバーを反対側に配置して錘無しで回転バランスとってます。

 そして、ベール返しの引き金レバーは横方向の板を折り曲げているのが一般的だけど、714zでは写真の様に縦になってて、ついでに両側から本体の出っ張りで保護されていて”熊の手”でベールを起こそうとしても無理な構造になっている。まあベールワイヤーへし曲げたクマはいたかもしれんけどな。

 ミッチェルやカーディナルがベール返しの引き金レバーを折り曲げて上の方に持って来ているのは、下の方にあると余計な摩擦抵抗やらがかかるからなんだそうです。その点も縦方式だと引っかける位置が上の方に来るので上手な設計になっているんだろうなと思っちょります。

 でもって、ベールアーム周りは快適に長く使うためにチョコチョコと手を入れて使っております。

 まずはラインローラーが水平になるように、ベールアームを止める樹脂の突起に、写真(右上)では分かりづらいかもだけど、下駄履かせて高さ調整してあります。714zのラインローラーはラインが転がりにくいV字谷的な形状で多少水平じゃなくても大丈夫かもだけど念のため。

 あとベールアーム周りで意外に大事なのが、ベールワイヤーの形状をちゃんと整えることで、ローターにベール関係のパーツを組むときの順番は、ベールアーム、ベールワイヤー付きのベール返し(ベールアームの反対側)と止めて最後にラインローラーの填まったベールワイヤーの先端をベールアームに差し込んで、ナットを締める。っていうのがやりやすい手順なんだけど、ナットを締める前にベールワイヤー先端が自然に無理なくベールアームの穴に填まるようになっていないと塩梅が悪い。ベールワイヤーが変形して開きすぎたりしていると、当然ベールの開閉に余分な摩擦力が生じてしまい上手く閉じなくなりかねない。
 ということで、ベールワイヤーが変形しにくいようにするには、収納時に折り畳めるようになっていたり、ベールワイヤーが太くなっていたりと、いろんな対策がとられるんだけど、PENNの場合は米国らしく”力こそパワー”な解決策をとっていて、バネを留める穴の位置がキツくなるように設定されていて、多少の不具合は無理矢理力技で閉じるようになっている。純正状態だとハンドル回してベールアーム閉じると”ガチャン”と思い切り力強く閉じる。多少のゆがみは何のそのという感じである。ただ、そのままだとバネ自体は5回巻きと標準的で特別丈夫に作られてるわけじゃないだろうからバネの寿命も短くなるし、恐ろしいことにベールワイヤーが折れるという噂も目にする。なので上から2番目の写真のようにドリルで穴を開け直して閉じる力を弱くしている。よく見ると穴開け失敗して内側穴ギリギリに開けてしまったのも含め4箇所穴があって、一番右が純正の穴で、真ん中上の成功した穴でもまだ強く感じたので、結局一番左の、ベールアームが止まるときにバネの先端が来る位置に開けた穴を使っている。この位置だとたまに閉じた反動でちょっと戻ってしっかり閉じた”止め”の位置に収まってないときもあるけど、ラインを巻き始めるとラインローラーが引っ張られることでベールアームは正しい位置に納まるので巻き形状が変にになったりの問題は生じていない。

 ラインローラーはどうもステンレスの無垢っぽい表面の感じで、ベールワイヤー側の部品もステンレスっぽいので、スリーブとか入ってなくても削れることはなさげ。ベールアームは真鍮か鋼系にメッキっぽいので長期的には削れるかもだけど、ナットの増し締めで間に合わなくなるまで削れるのは遠い先の話だろう。ただ、ステンレス無垢ってそこまで堅い素材じゃないようで、軸との接点ではなくてラインとの接点の方、V字谷の底の方にうっすらとラインが削った溝ができかけてる気がする。まあこれもすぐにどうこうなる話ではなく、スペアのラインローラーも確保済みなので問題ないんだけど、復刻版が出るなら硬質クロームメッキをかけるか、材質をセラミックやタングステンに変えてもらえればモアベターよ。

 でもって、ローターをすぽっと抜くと、アルミの輪っかがボールベアリングを押さえていて、ベール反転の”蹴飛ばし”はアルミの輪っかの下からステンレスの部品が突き出した設計となっている。普通「なぜアルミの一部を折り曲げて蹴飛ばしにしなかったのか?」と疑問に思うかもだけど、”PENN使い”ならむしろ疑問は「なぜアルミを使おうとしたのか?」というものになるだろう。実際に712ではベアリングを押さえてるのはアルミじゃなくて真鍮でその一部を曲げて”蹴飛ばし”にしている。真鍮でもステンレスでも今さら多少の重量増を気にするかよって話。でも”ウルトラスポーツ”って銘打った小型軽量機を目指すにあたって、どうにか耐久性を損なわず軽量化できないかと悩んだ末の結果なんだろうなとは思う。思うけど、でっかいドラグパッド押さえるステンレスの金属ワッシャーとか、ステンレスっぽいスプール上下のクランクとかのほうがアルミに置き換えやすいんじゃないの?って気はするんだけど、ドラグワッシャーとかアルミで曲がらないようにってPENN基準で考えると分厚くなってダメだったんだろうな。でもクランクのほうは大森とかもアルミで作ってるし、いけると思うんだけど、PENN社的にはダメだったんだろうか。まあらしいちゃらしいよね。蓋をプラの安っぽいのにするのは機能面になんら影響しないので良くても、曲がったワッシャーでは安定してドラグパッドを押さえられないからダメっていうのは、PENN社が真面目に実用機を作ってきた姿勢が現れているようにも思ったりして。

 アルミの輪っかを外すと、714z唯一のボールベアリングが填まったローター軸のギアが抜けてくる。ボールベアリング純正だったか、日本製のに交換してたか確認しようとしたら、シンガポール製だった。純正だろうか?中古なので以前の持ち主が交換している可能性はなくもないけど多分純正か。この個体は蓋が樹脂製、ハンドル根元の注油穴無しの多分後期の90年代製だろうけど、この頃はシンガポール製のボールベアリングを採用していたのかも。シンガポールは海路上の要衝だから工業国でもあるんだよな。でもシンガポール製品って分かる工業製品は始めて目にしたかも。そしてローター軸のギアはステンレス製で堅くて丈夫そうで格好いいのよね。このギア見てるだけで丼飯食えそう。一緒に回るハンドル軸のギアも真鍮製で丈夫なので、いかにも耐久性ありますよっていう感じで頼もしい。ステンレスのローター軸のギアのお尻を受けているのは、アルミ鋳造一体成形の本体構造で直受けにはしていなくて、ちゃんと真鍮のブッシュ入れて受けているのもPENNっぽくていい。回転する軸なりなんなりで素材が違う場合には間にワッシャー、ブッシュ、スリーブなんかを入れるっていうのがPENN社の基本姿勢なんだと思う。ボールベアリングなんてのは片軸受けになってるローター軸の場合は力の掛かる上の方に1個入れときゃ充分ってのが正解のような気がする。

 ちょっと脱線するけど、村田基先生のユーチューブチャンネルに視聴者から「”管釣り”でインスプールのカーディナル使ってたら、隣の人に「カリカリうるせぇ!」って怒られました。どうしたら良いんでしょう?」という質問が寄せられていて、村田先生も困っちゃってた、っていうのを記事にしている方が何人かおられて、スピ熱患者にはツボに填まるネタだったようである。まあ気になるとウルセェって言いたくなるのも分からんでもないけど、そういうのイヤなら混雑する管釣りなんぞで釣りしてなくて、人の来ないような魚少ない釣り場にでも行けよという気もする。

 っていう脱線をなぜしたかというと、714zはカリカリ鳴るストッパーをサイレント化する裏技が存在するので、どなたかPENN使いの先達(沖縄のお方だったか?)が紹介していたように記憶しているけど、人のネタで相撲取ってばかりでアレだけど、714zを管釣りに持っていきたいけど、隣の人に怒られるのが怖くてできないとお悩みの方もおられるかとおもうので、僭越ながらわたくしめからもご紹介しておきたい。

 714zと716zの違いは実はローターの大きさが違うことに伴う違いだけで、本体の中身とかは一緒で、おそらくローターの乗せ換えすら可能で、ギアも一緒で互換性がある。と同時に3桁時代のスピンフィッシャーの小型機430ssと420ssは設計的には714z、716zのアウトスプール版で、ギアとかは基本一緒なんである。ただ基本と書いたけど、微妙に変わってるのが逆転防止のサイレント化で、上の写真がギア取っ払ったあとの714zでストッパーはこんな感じに入ってるんだけど、下の写真、右が714zで左が420ssのギアとストッパーの”ドック”。420ssの方は昔の丸ABUのラチェットに掛けるタイプのサイレントドックと同様に薄い板でギア裏に設置されたラチェットを挟む形になっててサイレント化されている。なので、ギアとサイレントドックごと420ssあるいは430ssから移植すれば、714z、716zはサイレント化が可能なのである。ただ逆に714z、716Zのギアとドックを430ss、420ssに移植する”カリカリチューン”的なことはどうか?というと。サイレントドックはラチェットを挟み込むので外れることはないので、430ssと420ssの本体にはサイレントじゃないドックを固定するネジの穴が開いていない。ギアで上からある程度押さえが効く形で外れないかもしれないけど、こっちの移植は不安があると、以前ギアの互換性についてご質問いただいたことがあって、その時にもその旨書いた。その見解は変わらないんだけど、今回714zと420ssのハンドル軸のギアの違いを写真で示そうとして、オヤッと気がついたことがあって、分解した714zに入ってるハンドル軸のギアは、本来の714z、716z用の「8-716」ではなく、420ss、430ss用の、ラチェットを挟めるように、ラチェットをギアから浮かせるかたちでギアを削って隙間を作ってある「8-420」になっている。違い示せてないやんけ。ご質問いただいたときに比較のため分解したのは蓋が金属製の古めの716zなので、ラチェットとギアがくっついている「8-716」が入ってたんだけど、ある程度新しく、少なくとも430ss、420ssが発売された以降に作られたらしいと分かる今回の714zには、多分流用なんだろう「8-420」のギアが入ってたという話。714z、716Zはアウトスプール版の430ss、420ssが登場した時代はおろか、次の世代の4桁になっても売ってたぐらいのロングセラー機なので、部品の変更やら流用やらはいろいろあるのよね。ちなみに4桁時代の小型機の日本での扱いは「PENNリールジャパン」じゃなくて「コータック」で、コータックの1995年当時のカタログ見ると、4300ss、4200ssとともに、714z、716z、ついでに722zが掲載されている。もいっちょちなみにTAKE先生の著書「Let's Inner Spool!」では716zは「’78年製造開始、’95年生産終了」の大変な長寿モデルと紹介されているけど、”PENN使い”としてさらに細かく補足しておくと、色違いの”グリーニー”な716(と714)の製造開始は’66年とさらに10年以上古く、かつ’95年の生産終了のあと、2001年に714zとともに一度復刻されている(「MYSTIC REEL PARTS」さんの”年表”参照)。復刻版は正規輸入されなかったようだけど、どうもハンドルノブがお馴染みのT字型から後期の4300ssと同様の滑り止めの線が入った台形?のになってるのがそうらしい。

 ということでギア自体が420ssと同じなので、ワシのこの714zはサイレントドックだけ入手すれば、カリカリ鳴らなくデキるわけで「これは管釣りに行くときに必要だから入手しておかねば」とまた悪い病気が発症してしまい、セカイモンでイーベイに出物がないか調べたら、わりと普通に売りに出てる。物自体は即決で安く出てるけど手数料送料考えるとクソ高い。けど、なーにまた関税かからんように1万5千円目処でまとめて他のリールとかも買えば良いじゃんと、今考えると何がいいのか全く分からんけど思ってしまい、買うリールの候補とかも調べ始めて、ハタと「ひょっとしてサイレントドックぐらい我が家の蔵に在庫してないか?」と気がついて、エクセルで作った部品管理表を確認したらば、案の定ございました。そら430ssも420ssも所有してるんだからあって当然だわな。普通のドックはまず壊れない部品だけど、サイレントドックは薄い板の部分がたまに経年劣化とかで壊れるっちゃ壊れるので1個在庫しておりました。蔵をひっくり返してちゃんと実物も確認できて「これで、いつ管釣りに行くことになっても大丈夫」と胸をなで下ろし、セカイモンでお買いモンは今回回避することができた。冷静に考えればワシ今後の人生で管釣りにはまず行きそうにないのでサイレント化する必要など全くない。それでも一度欲しいと思ってしまえば制御が効かなくなって暴走するのが”スピニング熱”の怖いところか。


 てなかんじで、なんだかんだと撮影作業もしながらも、分解、パーツクリーナー吹きながら歯ブラシでゴシゴシ、ティッシュで拭き拭き、乾燥させてグリスグッチャリで仕上げていく。

 パーツクリーナーでペイントマーカーで書いてあった「名前」が薄れてほぼ消えるので、ついでに書き直しておく。この個体は売る気はさらさらないので名前は書いておかねばである。まだそれ程長いつきあいじゃないけどそれなりの頻度で使ってきたので、すでにワシの右手薬指がフットの塗装を剥がしている。置き傷とか不注意の不始末で生じた傷とかは恥ずべきだけど、こういうのはリールと手が馴染んできた証のようでなんとなく誇らしい。キズが付くのがよろしくないのは、見た目が悪くなるという以上に、塗装が剥げて表面処理された金属面が削れて、容易に腐蝕が進むようになるから、という実害面が大きく、指が削った塗装とかは、常に指で擦るので腐蝕してる暇がないので実害もあまり想定されないんじゃなかろうか。

 基本、穴という穴はグリスで浸水を塞ぐ方針で、全ての金属面がグリス(一部オイル)で濡れているのが必須。逆転防止切り換えレバーの根元とかは浸水箇所なので当然グッチャリ多めにグリスシーリング。蓋なんて樹脂製だから腐蝕しないけど、蓋の隙間は浸水箇所なのでやっぱりグリスシーリング。蓋裏にハンドル軸のギアの形がのこるぐらいまで、あちこちグッチャリ盛りまくってやると、組み上げて最初は巻きが重い。しかしある程度回してやって、グリスが落ち着くところに落ち着いて摩擦面とかには必要なだけ付着している状態になると、それなりに軽く回るようになってくる。全ての金属面というのは内部に限らず、外側もグリスチョイチョイと付けてからティッシュで拭き伸ばして、表面もぬらぬらにしておくと保管中に表面塗装が腐蝕したなんていうことはほぼ防げるはず。

 という感じで、グリス増し増しで”全バラフルメンテグリスシーリング”無事終了。

 714zには、これっていう特徴的な機能は搭載されていない。カーディナル33のような格好良く使い勝手の良いリアドラグも、ミッチェル308のプラナマティックのような独自機構もない。単純な設計のウォームギア機である。

 ただ、特に海水でシーバスとか狙うなら、その小柄な見た目と裏腹の、ある程度デカめの魚とやり合っても余裕の丈夫さと、潮かぶりながら釣りしても、水道水で洗って外から注油できるところだけ注油のほったらかしに近い手入れで何年も闘えるタフさ。実釣時のトラブルの少なさ。そのあたりはカタログ数値には出てこないし地味だけど実に実用的な美点で、使えば使うほど、コイツは使えるスピニングだということが身に染みてわかると思う。

 中古市場でのインスプールの需要って、マス用に偏ってて、714zよりは716zの方が人気あるぐらいだけど、シーバス釣りってリールに求められる性能・機能はそんなに厳しくなく、かつ今時のリールより耐腐食性っていうか浸水した時の整備等、トラブルへの対処のしやすさなんてのは古いリールの方が良かったりして、古い名機でシーバスやるっていうのは、楽しいだけでなく、わけの分からんぶっ壊れ方するようなリールで不愉快な思いをしなくていいし、実益が大きいと思っているので、興味がある人はとりあえず714z入手してナイロン2号巻いてハリス4号フロロぐらいでやってみてはどうかとお薦めしておきます。

 インスプールの扱いには最初戸惑うかもだけど、714zは手でベール起こせないように対策されてるし、すぐに慣れて使えるようになります。そうなれば「なんにも困らん!」っていうのが実感できるかなと思います。

 結論としては何度も書いているように、PENNスピンフィッシャー714zは、なんにも困らないで済む優等生なんです!ていうのをしつこく書いておきたかったのとともに、自分なりに思う整備の要点やら豆知識やら、バラバラとあちこちに書き散らしてたのを一回まとめておくか、と今回思いつくままに書いてみましたとさ。

2022年3月20日日曜日

手を加えて使う

 立ち込んでシーバス狙う季節になってきたんだけど、昨年履きつぶしたのでウェーディングシューズ買い直そうとしたら、今後の主力として期待していた、パズデザインズのキャンバス地のウェーディングシューズがあっさりカタログ落ちしてしまったのには落胆を隠せない。サイズもLで中敷き薄いのに変えたらピッタリで歩きやすく、値段も安めで、ちゃんとしたメーカー品だから入手も安定して可能だと思ってたのにこの仕打ち。ひどいっ!

 キャンバス地のウェーディングシューズって今時流行らんのだろうか?多少耐久性に劣るとしても、軽くて携行性が良くて、値段が安いっていうのは良いと思うのだけど、耐久性が違うって言っても、倍も違わんだろうから値段相応の働きはしてくれていると思ってるけど、なくなってしまったものはどうしようもない。

 まあワシ、道具いじるの好きなので道具の修繕とかはそれ程苦じゃない。

 ということで、次の候補を探さねばならんのだけど、それまでもたせねばならんので、右足外側がパックリ割れたのを、革の端布でパッチを当てて、端の何カ所かをPEラインで縫い止めつつ、グチャッと「コニシのSU」で接着しておいた。これで今年中くらいは持ってくれると信じて当座を凌ぎつつ、次の候補を選ばねばならん。わりとお世話になっている”プロックス”のが安くて良いんだけど、レビューを読むと、「2回使用でソールが剥げた」とかの不評も目に付くので、とりあえず中古で買ってみて様子見てみたい。幅広で”外反母趾”的には優しそうな感じはする。

 それでもダメなら、パズデザインズは足の形的なところは大丈夫そうなので、清水の舞台から飛び降りて、ちょっと良いのを買ってしまうか?まあボチボチ考えていこう。


 最近、もう一つ釣り具関係で手を入れたのが、ボロ個体を整備し実戦投入以来、激渋の中でも1匹ゲットとかでボウズ無しの快釣を続けていた「マイクロセブンC1」なんだけど、ルアー投げてる分には全く問題生じてなかったんだけど、カマスの切り身とハリのみの重さで自然な落とし込みで食わせる、アジ狙い身餌フカセ釣りで、ラインがフケた状態で巻き取ると、スプールではなくドラグノブの上部にラインを巻いてしまうことが2度ほどあった。

 まあこんなモンは、2度あることは3度ある前に対策しておけ、ッテ話でドラグノブ上部の巻き付く場所を、エポキシ盛って引っかかりがないようにして、巻き付かないように調整。以降、3度目はない。

 このリールに限らず、ワンタッチのポチッと押すところとか、ドラグノブのエンブレムの袴部分とか巻き付く余地があると、ユルく巻き込んだときに巻いてしまって、逆転させて丁寧に外さないと絡んで結び目できてしまったりするので、ラインを巻くときは張りを持たせて巻くってのが基本ではあるけど、巻き付くところを覆うなり段差を埋めるなりして処理しておくとモアベターよ。


 ってな感じて、魚釣ってて「この道具もうちょいこうすればいいのに?」「壊れたけど、ここをこう修繕すればまだ使える」とかいうのは、ワシのような道具いじる釣り人なら日々の釣りの中で出会いがちなものであり、まあその度にアレコレ考えて手を加えて使うのは、お金が節約できるという身も蓋もない実利面のほかに、道具を直して愛着持って使えるという、楽しさの面でも好ましいと思っちょります。皆さん道具は大事に使いましょう。大事にして良い状態に保てている道具は良い釣り楽しい釣りにつながるってワシャ思うんじゃ。

2022年3月13日日曜日

これがワシの”フルライフ”?

  ”フルライフ”という言葉を知ったのは、カヌーイストの野田知佑先生の著書でだったと記憶している。

 日本でサラリーマンをしていると、組織のために仕事をして、自分の担当しているその仕事は全体にたいしてどういう意義があるのか、分業が進みすぎて見えづらく実感がなく、家事は外食などで他人任せの割合が大きく、自分が何かを成し遂げているというような感覚が希薄である、対してアラスカの原野を切り開いて暮らすような人々は、家も自ら建てるし、食料も釣りや猟で得るか、その獲物で現金収入を得て買う。衣類すら狩で得た獣から作る場合もある。最寄りに公的機関などなく、問題が生じれば全て自分たちで解決せねばならず、過酷な自然を相手に自ずと人は”全力で生きる”ことを余儀なくされる。それはとても大変で技量や経験、判断力や責任を問われる生き方だけど、まさに己が力を振り絞って己が実力で自分のために生きているという強烈な満足感の伴う生き方でもあるように思う。というような趣旨のことを書かれていたように解釈している。でもって、野田先生はつかの間の”フルライフ”を感じるために、カヤックに荷物と愛犬を積んでユーコン川とかを下ったのである。

 まあ、ワシみたいな野外で遊ぶの好きな人間で、都会の生活で社会の歯車的な役割を果たすのが、それも大事で意義のあることだと知ってても、嫌いで苦手で実際上手にできなかったような輩は、そういう野田先生の書く”フルライフ”に憧れたものである。

 一方、最近のワシの状況は、実はフルライフなのではないかという気がしばらく前からしている。温暖な紀伊半島に引っ込んで、釣り三昧のお気楽な日々のどこが”フルライフ”か?とお叱りを受けるかもしれない。でも、今のワシの生活を俯瞰してみると、とにかく魚を釣るのが揺るぎなく基盤としてある。魚を釣ると、毎日のように学びがあり改善点や新たな挑戦すべき目標が見えてくる。そうなると釣り場から帰ってからは、魚を捌いてすぐ食う分、保存食にする分、お使いに出す分とそれぞれ調理して、腹一杯食う。愛猫にも食べていただく。そして、次の釣りの準備として仕掛け作ったり、リールを整備したり(次の釣りに関係ない場合も多いが)、毛鉤巻いたり、ハリ研いだり、細々とした小物をあつらえたり、やることはいっぱいある。仕事辞めて釣りの日々に突入したら時間などいくらでもあるだろうと思ったけど、けっこういっぱいいっぱいに時間が過ぎていく。忙しくしていたサラリーマン時代より本が読めていない。本読むしか仕方がない電車痛勤も無縁だからな。そういう生活基盤である魚釣りをやりながら、洗濯や掃除も健康で文化的な最低限の生活を送るために、コンビニバイトのようなチェックシートつくってきちんと自分でこなさなければならない。加えて当然猫様にお仕えするお務めは怠ることはできない。

 さらにいうなら、若いときのように寝る間も惜しんで没頭できる体力がないので、同じ1日でも使える時間が少なくなっていて、今の体力落ちて、膝やら腰やら痛くて、頭もいい加減耄碌した自分だと、魚釣って調理して、準備して、家事をこなして猫様に尽くしてっていうのだけで、体力いっぱいいっぱいで、自分の限界近くで自分と愛猫のために、目に見える形で、やらないかんこと、やるべき事をやっつけていて”これが今の精一杯”ってかんじであり、これはこれで全力でワシの人生を生きている感がちゃんとあるんである。自分の限界値が歳食って下がってきて、フルライフのハードルも下がってきたってことか。今の生活は充実していると言っても良いかと。

 ストレスの多い都会で働いてたときは、よく悪夢を見て眠りの質が悪かった。試験勉強が間に合わなくて単位が取れないという具体的でなにをか暗示しているような夢から、内容一切憶えてないのに、起きてその日ズッと嫌な気持ちを引きずるような後味の悪い夢もよく見ていた。最近夢は見てるんだろうけど憶えていない。朝方愛猫にたたき起こされるにしてもそれも含め快眠である。飯ももちろん旨い。

 冒頭写真はある日の昼飯なんだけど、カマスが釣れる時期にはカマスの干物をとにかく作って保存アンド”お使い”にまわして、釣った日には焼き霜造りとか生食もするけど、ドカッと酢締めにしておくと3,4日は余裕で日持ちするうえに生食に近い干物とはまた違った旨さで、食う前にサクサク切るだけで豪華なオカズになる。干物を”お使い”に出すと代わりにこれまた季節のモノが返ってきたりして、味噌汁には今年の初物のアオサ(ヒトエグサ)が入ってて春らしい磯の風味を楽しめた。デザートにはデコポンでこの時期の紀伊半島ではハッサクと2トップを張る柑橘で、ハッサクが酸味の効いたお汁タップリなバランスの良い味わいなのに対し、デコポンは袋が柔らかめで袋ごとバリバリとちょっと数の子みたいな食感も楽しみつつ味わうと、口いっぱいに甘みと香りが広がる甘み強めの品種。甲乙付けがたいけど甘いの好きなのでデコポンガやや好みか。写真は左デコポン、右ハッサク。

 ってな感じで、魚は自分で釣ってきて、野菜や果物は直売所で地元産のを買って、素人料理ながら工夫して美味しく食べるってのも、食べ物がどこから来てるのか目に見えていて、かつ季節にそってそれらが、旬の物だったりハシリのものだったり、旬を過ぎて値段の下がったのにもまた上手に食べる方法があったり、そういう何を今食うべきかっていうのを自分で選び取るのもフルライフっぽくて楽しめている。ここには自分勝手に料理をお薦めしてくる気まぐれなシェフはいない。

 人は何のために生きるのか、生物学的には遺伝子を次世代に繋ぐためという考え方もあり、人間は遺伝子の乗り物でしかないという極論でそのあたりを解説した学者さんもいた。ワシはまあ子供いないので遺伝子は甥っ子たちが確率1/8ずつワシの遺伝子引き継いでくれているだろうし、親戚縁者、ワシの持ってる遺伝子どっかに持ってる人がいて、上手く引き継いでくれてることも期待できるので良しとしておこう(わりと”ハミルトン則”知らない無知蒙昧な輩は多い)。社会文化的には、習慣や文化といった、生物学の世界では遺伝情報であるジーンに対する概念として”ミーム”と呼ばれるものを引き継いでいくという役目も持っている。まあ、これは次代にマニアックなリールネタとかの情報を引き渡すのがワシの役目と思うことにしよう(本当は釣りの楽しさ、楽しみ方を引き継ぎたいと願っている)。

 で、国とか社会組織とかとの関係では、労働・納税の義務を果たし社会の一員として責任ある行動をとらねばならんとか、空気読んで皆と共に生きるとかあるんだろう。あるんだろうけど、もうワシ働くのしんどいし、若いときそれなりに働いたから勘弁して欲しい。空気読んでって言うのは、ワシの役目は逆に天邪鬼なことを言ってみんなが同じことを言ってるような危ない状況をなくそうと努めるってのだと思うので、空気は読みつつ”読んでない言動”をあえてとるのが役目かなと思っている。

 というような感じで、たまさか遺伝情報を持って自己増殖を始めて脈々とつながってきた命である生き物として、長いホモサピの文化歴史の担い手として、また人間社会を構成する要員として、我々は好むと好まざるをえず生きているし生きていくべきなんだろう。

 ただそういったなかでも、そういった大きな流れや組織のなかでも、たまたま今産まれてきて生きていて、なんかしらんけど日々生活している我々1個人としては、そんな役割だの関係無しに、個人として力一杯生きて、生きることを目一杯楽しまなければ損だと感じている。日常的に恒常的に押しつられている価値観やら義務やらはあるけど、我々がここに”精神”とか”心”をもって生きている限り、社会やら文化やら、もっといえば生命がそれらの都合の良いように押しつけてくるものを、鵜呑みにして楽に家畜のように生きるのよりは、テメエで考えて、なんなら従うという判断も含め判断して、力一杯”生”を楽しむほうが健全だと思っている。我々個々人の魂的なモノは縛られることを強要されてはいないはずだ。

 わけのわからん大がかりな”グローバルスタンダード”な世界経済にイヤでも巻き込まれてはいるけど、それでもできる限りのレジスタンス活動をしていくのもワシのフルライフの一要素なのかなとおもっちょります。

 おっきな組織の一員として働いてたりすると、その中の歯車として自分一人ではなしえないような働きの一端を担ってたりして、そのことに充実感を感じたりもしたけれど、両隣の歯車の回転に否応なしに回されていると、歯車の歯は噛み合ってちゃんと回っているように見えても、ワシそんなに優秀な歯車じゃなかったから軸の方が持たなくて削れていってたのかなというような印象を振り返ると抱くところである。今はあちこちガタついて軸と言わず歯車と言わずあちこち削れてきたけど、それでも自分の速度で懸命に回れているように感じていて、わりと好ましく思ってます。

2022年3月6日日曜日

フライリールは迷わない

 フライリールを買ってしまった。

 これはそっち方面に症状が出ているのではないかと疑われるかもだけど、ちがうんです!そのあたりをご説明さていただきたい。お願いします。

 この冬は苦戦したけど、フライで狙うカマス釣りにおいて、主力のラインとして使ってたタイプⅣとタイプⅥのシンキングのシューティングヘッド(ST)というのが、もう製品としてはどこのメーカーのもシングルハンド用のは廃盤になってて、ウェートフォアード(WF)のフルラインよりは短い分割安で、接続するランニングラインの部分を細くして飛距離重視にするか、ある程度太くして絡みにくさ重視するか好みで選んだり、ランニングをヘッドほど沈み早くはなくして手前の沈み根とかへの根掛かりを回避したりと、用途に合わせて組み合わせを変えつつ使える便利さもあって、まあ最初に沈める釣りをやったときにJOSさんに組んでもらったのが、シューティングヘッド使ったシステムだったってのがぶっちゃけ大きいけど、長年フライ沈める釣りにはシューティングヘッドを使ってきた。とはいえ、今使ってるのが最後の在庫ぐらいで中古で出物もあまり期待できないし、もう手に入らないと考えた方が良い。となると”無ければ作る”というのと”代替品で済ます”というのをそろそろ考えざるを得ない。

 ということで、ちょっと今季は魚釣れてない時間も長かったので、その辺を模索して色々試していたんだけど、一応魚釣るにはタイプⅣとタイプⅥを状況に応じて使い分けたいので、いま使ってる「ラムソンLP3」のスプール2個は釣るために必要で、もう一個替えスプールがあると試し投げには便利。ついでに替えスプール持っていない主にボラ釣るのに使ってる9番用の「システム2 89」の替えスプールは前々から欲しいとは思ってたので、替えスプール狙いで安ければ本体ごとでもかまわないぐらいの心づもりで、ラムソンとシステム2の出物がないかネットオークション等を見張ってた。出物はラムソンに関してはスペアスプールだけ格安でっていう都合の良い出物はないけど、本体はそれなりにある。あるけどさすがに良いリールなので中古でもお高い。1万円近くしている。システム2のほうは元々安めの価格帯のリールで玉数は豊富。ただ、ワシんちにあるスプール側面に穴が開いてない古いタイプは滅多に出てなくて、穴の開いた時代のがほとんどで、買ってもスプール互換性があるのかどうか良く分からんので手が出ない。出ないんだけどふと、最初っからスペアスプール付きのを買ってしまえば、スペアスプール有りの体制になるじゃんと、いらんことに気がついてしまった。穴あき時代のは中古で本体だけなら5000円かそこらのもあって、替えスプールが付いても7,8千円ってところでお買い得。ボラ用の9番運用のは必要性・緊急性に乏しいのでまた別途探していけば良いとして、都合が良いことに替えスプール2個付きの「システム2」が7500円送料込みで売りに出されていて、コイツ確保で問題解決だな、というかフライリールはそれ程かさばらないので、いつものラムソンに魚釣る用にタイプⅣとタイプⅥのシューティングヘッド巻いておいて、新しいシステム2を試し投げ用にして釣り場に持ち込めば3種類一度に試し投げ可能。ということでスルッとマウスが滑って確保してしまったのが冒頭写真の、穴あき時代のSM社サイエンティフィックアングラーズブランドの「システム2 78M」であります。3台買ったわけじゃないです、2個は替えスプール。

 システム2シリーズは、比較的安価でちゃんとしたディスクドラグが付いていて堅牢という優等生で、往年、エーベルとかの高級リールを買えない釣り人にちゃんとした使えるドラグが付いてて海でも使えるリールを提供してた立派なシリーズである。ちなみにイングランド製。なんで安価なのかっていえば、高価なアルミ無垢からの削り出しとかじゃなくて、アルミ鋳造で堅実な作りをしているからで、じゃあほかのメーカーもアルミ鋳造にすれば良いじゃん、ってのは鋳造(ダイカスト)につかう金型は高額で、フライみたいなマイナーな釣りでは普通数が売れないので金型代が回収できないとのことで難しいようだ。そこがフライラインの世界ではトップブランドであるサイエンティフィックアングラーズの強みで、米国中心に数がはけるから鋳造でも儲けが出る。削り出しの方が強度が確保しやすいので軽量化とかの利点もあるけど、フライリールは片軸受けとはいえ、スピニングリールのように回転する軸を90度曲げたりという面倒くせぇ方式ではなく、スプールの真ん中に軸をブッ差してギアも介さず巻き取りする単純な”センターピン”とかよばれる構造が基本(ラージアーバーの機種で”ピン”に刺さってはいないのもある)なので鋳造でも充分実用的な軽さ強度のものが作れるとおもう。

 で、我が家に来たのであればまずは分解清掃。が必要なほどどこも具合悪くなってないし悪くなるような箇所もないんだけど、右巻き仕様になってたので、わしフライリールは左巻きなのでどのみち分解せねばならず、ついでにグリスアップしておいた。まあ単純な作りで手間ちゅうほどでもないんだけどね。スポッとスプールを抜くと、真ん中にブレーキディスク。端がギザギザしているのは、上の方の音だし(クリック)をカチカチ鳴らすため。でもってブレーキはそのディスクを上と下から挟みつけるかたちで音出しと反対側下に付いている、分解途中の右の写真のディスクの上に白い部品が見えてると思うけど、これが上下あるうちの上のブレーキパッドの柄の部分でツルツルするテフロンみたいな樹脂素材。構造的には自転車のディスクブレーキと似た感じだと思う。でもって、このブレーキディスクの根元の填め殺されている黒いドーナツ状の部品の中に逆転防止の部品が入ってて、巻くのが左か右かで、ブレーキディスクごとひっくり返して、リール巻くときにはディスクが回らず軽く巻けて、ラインが引き出されるときにはディスクが回って、ブレーキパッドがディスクを挟み込んで発生させる設定したドラグ値が掛かるという仕組み。

 システム2は、穴あき時代でもいくつかのタイプがあるようで、これは本体には穴がなく、スプールもハンドル側には穴が開いているけど、内側というかブレーキ側には右の写真の様に穴が開いていない(前の持ち主6番で運用してたようで、シール貼ってくれてあるので何のラインか分かりやすくて良かった。新品のちゃんとしたライン買うとこのシールは付いてる)。

 なぜ、ハンドル側以外穴開けてないか?軽量化には効くだろうに?というと、ブレーキに浸水してドラグの作動に悪い影響が出るのを防ぐためだと思う。穴開けまくれば軽くはなるだろうし別のモデルでは実際に開いているけど、ドラグの安定した作動環境を確保するためにこのモデルでは”開けてない”という設計意図が明確で、その辺もあって信頼にたる堅実なフライリールとなってるんだと思う。今時の軽量なリールは極端なモノだと自転車のスポークを思わせるぐらいにスカスカの穴だらけというか骨組みだけというかな状態だけど、そうなるとドラグ部には水かかり放題なので、ドラグ部自体を防水シーリングしてしまって分解清掃できなくなってきているとのこと。仕方ないといえば仕方ないと理解できるけど、フライリールって”単純な糸巻き”なところも魅力であって、そこまでやる必要あるのかなと個人的には思う。フライマンのエラいところは、頑固にフライリールの単純さにこだわるところってのもあると感じてて、ワシなど増速ギアぐらい付けりゃ良いのにと思わなくもないけど、かたくなにギアを介しての増速は認めない。増速で許されるのはスプールの直径を大きくする”ラージアーバー”までで、そういう”縛り”があるからこその工夫とかが、それはそれで楽しめる部分だと思う。道具は固定で技術を磨くっていうのがストイックなフライマンの基本姿勢だと思う。ワシゃインチキフライマンなのでこだわらんけど、さすがに最近の”飛距離”を売りにして細分化したわけの分からん投げ方用の道具とかは正直邪道だと感じてる。そんなに飛距離が欲しけりゃ投げ竿でジェット天秤に毛鉤付けて投げとけって思う。もっと言えば飛距離が足らんと思ったらキャスティング練習でもして技術で飛ばせって。

 ということで、システム2は大事な部分に水入りにくい構造ではあるんだけど、使ってりゃ普通に水被るし水入ります。そら魚がいる水中に投げ込んだ濡れたラインを巻いてくるんだからあたり前、塩水で使ってりゃ塩水対策はやってたとしても完全に腐蝕を防ぎきれるものではないけど、それでも気を使ってやればかなり防げる。とりあえず本体内側、スプール裏、ブレーキ周り含め中の部品あたりは全部マキシマの青グリスで濡れてるようにしておく。ついでに足を止めているネジも一回外してグリスまみれにして本体と足の間にもグリス塗って締め直して増し締めしておく。スプール内外、本体外側もちょっとグリス塗って拭き拭きして磨いておく。あとは使ったら水道水でジャバジャバ洗って布で拭いて乾燥、長期使わない時期はラインを抜いてグリスで拭き直しておくぐらいか?やったことないけどネジ周りとかシリコン系接着剤で覆ってやるってのも聞いたことがある。

 って感じで、リールの方は準備完了。ぶっちゃけ、カマス釣るのごときにディスクブレーキいらんがなっていう実態もこれあり、たまたま出物があったのでシステム2になったけど、同じサイエンティフィックアングラーズブランドのフライリールでもクリックブレーキのシステム1でも良かったぐらいで、クリックブレーキのリールならそんなに性能差って無いだろうから、なんでも良かった気もする。ただ、8番運用ならボラとか走る魚を釣る機会もあるだろうしディスクブレーキ付いていて困ることはない。その時にディスクブレーキの良いリールって意外に貴重で、有名メーカーでもろくでもないクソリールを市場にぶっ込んで来てたりしてたので、自分が使った事のある”間違いのない”リールならば迷わなくて良い。システム2は古いリールだけどそういう迷わなくて良いリールだと思っている。フライリールは増速無しの片軸受けセンターピン方式のまま変わらないんだろうから、とんでもない新機軸の製品が出てくるわけはなく、せいぜい軽くなるぐらいの変化しかないだろう。さすれば、古くてもちゃんとしたリールを使っておけば失敗することはないと思っている。

 リールの体制が整ったので、ラインをあれこれ釣り場で時合い待ちとかの時に試してみて、良さそうならそのまま実釣にぶち込んだりもしてみた。

 重めのシンキングのシューティングヘッドが廃盤になって、「自分で作る」か「代替品を使う」かという、対策方針なんだけど、自分で作るっていったって、PEラインとかの編み糸を芯にして、そこにタングステン粉を混ぜ込んだ樹脂を重ね塗りしていって、必要な太さ(重さ)を必要な部位に負荷しつつ、きちんとターンするようにテーパーを付ける。っていうような本格的なのは、そういう目的に使える樹脂が市販されているのかどうかってあたりからして全く知識がなく、ちょっとさすがに素人の工作の範疇を超えている。となると実際には”作る”といっても、既存の製品を切り貼りしてシューティングヘッド的ななにかをでっち上げるというのが実態だと思う。一番単純な”製法”としてはシンキングのウェートフォアード(WF)の前方14mだかの太い重さのある部分でぶった切って、好みのランニングラインに接続するという方法で、ケン一が実際にこの方法を採用している。WFのラインはタイプⅣならラインの全部がタイプⅣで沈むので、シューティングヘッドでランニングを中間浮力のインターミディエイトとかにした場合よりもライン全体が底に這うことになり、引っ張る速度によると根掛かりが怖かったりする。逆にいえば深い棚をキッチリひく能力は高い。あとランニングラインを軽くすれば当然投げるのは楽で、軽いランニングラインを引っ張って飛ぶほうが飛距離的にも有利。ということで、既存のWFのラインを切ってシューティングヘッドシステムに改造してしまうのは、ラインの番手を上げてヘッドの部分を短く仕上げるとかの応用も併用すれば、いままで使ってたシューティングヘッドシステムをほぼ代替するものを用意することはできる。ただ、問題としてはシューティングヘッドは10m無いような短いのが多かったけど、WFラインの太い部分は14mとかそこそこ長いので、同じ番手のラインを使うと同じ長さのヘッドにはならない。逆に短いヘッドににしようとすると、どの番手のラインをどの長さに切って使えばいいのか、調整は面倒くさい。そして、無職的には結構地味だけど効くのが、シューティングヘッドは短い分価格抑えられた設定だったけど、フルラインのWFは安心・定番のサイエンティフィックアングラーズの「ウェットセル」シリーズで5千円ちょいとそれなりにお高くて、切って使わない細い部分が生じたりもして割高になる。

 ということでなんか良い手はないかと考えつつ、WFのラインぶった切るにしても、最初っから良いラインでやるのは失敗したら悲しいので、まずは安物で試してみて経験積んでみようか、ということでネットオークションに怪しげな安いフライラインを出品している業者さんからいくつか買って、色々試してみた。

 まずは、9番のタイプⅤ相当のシンキングのダブルテーパー(DT)ラインという、なかなか笑えるブツが出品されていたので確保した。なぜ笑えるかというとダブルテーパーっていうのはフライラインの前と後ろを除いて一定の太さになっていて、前端後端がテーパー掛かってて、片方が使っててすり切れて滑りが悪くなったら逆転させてもう片方の端のテーパーを使う、という1本で前後ひっくり返して2度使えるお得なラインなんだけど、高番手のフライラインはそれなりに重いので、ラインがWFラインのように途中から細くなっていなくて、DTでずっと太いと投げるのがしんどい。普通のメーカーはDTは5番ぐらいまでしか用意していない。9番DTのタイプⅤ相当のフライラインを作ってるって時点で、そのメーカーがかなり怪しいことは間違いなく、多分フライフィッシングなんぞしたことがない、イヤホンのコードとか芯に樹脂をコーティングした製品を作ってる新興工業国の工場にどっか欧米とかのフライ系の釣り具メーカーが発注して、納品しなかったB級品とか、頼まれてもいない試作品とかの”バッタモン”を流して、流れ流れて日本のネットオークション出店の通販会社が買い付けて売りに出したとかそういう代物かなと思っている。写真でイヤホンコードと一緒に写してみたが違和感なく溶け込んでいると思う。触った感触とかはさらに似ている。ただぶった切る前のフルライン状態でフライラインとしては既に安い。2000円ちょいぐらい。それを2本に切って前後とも使うのである。上手くいけば2本シューティングヘッドが手に入る。1本1000円がとこっていうのは、無職に優しい経済性。早速ぶった切って、重さをいま使ってるタイプⅥのシューティングヘッドにあわせて18グラムにしたら長さは11m、ランニングラインに繋いでリーダーも繋いで実際に投げてみると、ちょっとラインが堅い感触があって、投げ続けているとランニングラインの方に変なヨレが入ったりするけど、使えなくはない。正直デキの良い製品では全くないけど1000円がとこで1本手に入るなら、値段相応って感じで及第点をあげようとおもう。でもってそれならともいっちょ調子に乗って10番DTタイプⅤ相当という同じ系統のラインを買ってみた。これはもっと短く切って3本ラインが作れないかと考えた。前後は当然テーパーが付いているけど、真ん中の太いだけの部分はどうするか。今時のややこしい投げ方をするときにラインの先を沈めて、抜くのに抵抗が掛かる状態を作って、竿をより曲げてやってキャストのパワーを稼ぐとかいうときに使うらしいけど、ポリリーダーというナイロン単繊維の上にフライラインの素材でちゃんとテーパー付けて樹脂コーティングしてある製品が有り、コレ接続すればあまった真ん中もシューティングヘッドとして使えるようになるのではないかと考えた。考えたんだけど、とりあえず端の方で作った、なんちゃってSTは7mという短めに仕上がったのは良いんだけど、太くなった分ラインの素材の堅さが強く出た感じで、明らかに使ってるとランニングラインが縒れてくる。コレはイマイチでございます。ということでお蔵入りかな。まあこういう試みに失敗はつきもの。気にせず次にいこう。

 次に「代替品を使う」って方向だけど、まあシューティングヘッド(ST)売ってないならウェートフォワード(WF)のフルラインを使うのが普通なんだろうなとはおもう。WFのタイプⅣとかならさっきも書いた定番の「ウエットセル」シリーズの買っときゃまず間違いはないだろう。ただ、WFをそのまま使うという線もあるけど、「自分で作る」に移行して、WFの太い部分を切ってランニングに繋げる方式も当然ありえて、そうなると安いラインがありがたいなと、またネットオークションで安ラインを探す。あまり安くても耐久性が悪ければ”安物買いの銭失い”になるので、フライライン表面のコーティングが剥がれたりヒビが入ったりは、芯が伸びのあるナイロン芯だと根掛かり引っ張ったときとかに起こりがちで、芯が編み糸(ブレイド)系の方が丈夫。ということで、芯が編み糸(ブレイドコア)系のをいくつか買ってみた。さっきぶった切ってST2本作ったDTラインつくってた同じメーカーのモノらしい、WF8番SタイプV相当というのを1600円ぐらいでと、カナダのメーカーに作らせたというWF8番の5ips、7ips(インチ/秒)をそれぞれ2000円強で買ってみた。

 1600円のはやっぱりちょっと堅めで、どうしても”イヤホンコード感”が抜けない代物で、ちょっと太くもありタイプⅤ相当とあったけどせいぜいタイプⅣぐらいかなという感触。ただ1600円という激安価格をかんがえるとまあこんなモンかな、と納得できる程度には使えるので、とにかく安いのをという基準で選ぶのなら”あり”ではないかと思う。前に飛ぶし、海に沈んでいく。芯はブレイドである程度丈夫そう、上等。

 2000円のカナダ製のは、ちょっとこれは”当たり”という感じで、多分米国のメーカーから発注受けてライン供給してたとかの工場の製品なんだろうけど、これはイヤホンコードじゃなくてフライラインらしいしなやかさがある。芯もブレイドだしすぐに樹脂がハゲチョロげるということもなさそうで、2000円という価格でこれはお値打ちと言わざるを得ない。使ってみて一シーズン持ってくれるぐらいの耐久性があればワシなんの文句もないんだけど。

 で、WFのままとりあえず釣り場で投げてみたんだけど、STとランニングラインは色が違うので明確に見分けが付いて、かつSTが見えてきてフライが上がってくる時にアタるパターンが多いので、どの辺まで上がってきてるのか分かりにくいWFフルラインは慣れるまで、そのへんに派手な色のスレッドで目印付けるとか工夫は必要だと思うけど、投げやすさや根掛かり回避能力的には、まあそのままでも行けそうな感触である。ワシもともとたいして遠投できんからな。ぶった切ってランニングラインに接続したほうが良さそうな状況が生じたら、その時ぶった切ることにしてとりあえずはWFはそのまま運用でいけそうな感触である。

 という感じで、色々と試すにあたって、フライラインとリーダーの接続、STとランニングラインの接続、ランニングやWFラインの後端とリールのバッキングラインとの接続を何回もやる必要があったので、色んな方法を試してみた。

 大別すると、フライラインにリーダーなりバッキングラインを直接結ぶ”直結系”と何らかの形で輪っかを作って、輪っかに輪っかをくぐらせる”ループトゥーループ系”の2系統あって、それぞれに利点があり欠点がある。

 まず直結系はフライラインの表面はある程度弾力のある樹脂でできているので、いわゆる電車結びをフライラインを芯にして締め込んでやると、ガッチリ食い込んで真ん中のフライラインが抜けないネイルノットと呼ばれる結びになる。リーダーを結ばず摩擦系ノットで道糸を抜けないように止めるのは難しいのに、フライラインの場合は素材の特性からフライライン自体を結ばない方法もわりと簡単確実。写真のようにリーダーをフライライン先端に接続するのに使う場合もあるし(段差をならすためと目印にオレンジのセキ糸巻いて瞬着で固めている)、ナイロンの編み糸のバッキングラインをフライライン後端に接続するのにも使う。ただこの場合交換するたびに結び直しが必要で、限られた数のスプールでフライラインを交換しつつ運用する場合やらにはあまり向かないし、シューティングヘッドとランニングラインのようにフライライン同士では結び目が大きくなりすぎて使えない。

 となると、ループトゥーループ方式で輪っかをつくることになるんだけど、これは色々な方法がある。フライライン後端とバッキングラインみたいな滅多に出てこない部分であれば、写真の様にフライライン側は折り返して3箇所ぐらいをナイロンラインでネイルノットでギュッと束ね留めてしまえば割りと簡単丈夫であとはビミニツイストとかでバッキングに輪っかを作ればループトゥーループで2回回して接続、交換自在となる。

 でも、それじゃあ接続部分が太すぎて投げるたびにガイドを出たり入ったりするような場所には使えない。ってなるとフライラインの芯を出して芯で輪っかを作るのと、”ブレイデットループ”と呼ばれるチューブ状の編み糸の先端に輪っかを作っておいてチューブにフライラインを突っ込んでこれまたナイロンラインでネイルノットかましてやるという方法がある。ブレイデットループの作り方は昔ケン一に教えてもらった方法をサイトで紹介してあるのでご参照下さい。あと売ってる段階ですでにループが付いてる場合は作らなくて良いけど、限界ギリギリの引っ張り合いするような釣りでは剥がれるという噂もあるので強度試験はした方が良いかも。

 でもって色々と作ってみると、ブレイデットループ方式(写真左)はやや接続部が太く長めになるので、投げるときSTとランニングの接続部とかだと、カシャンカシャンと引っかかる嫌いがある。熱収縮チューブで覆って引っかかりを少なくするとかはできるけど、手間もそれなりにかかるので、可能ならフライラインの芯を剥き出しにして”もやい結び”とかでループを作ってのほうが釣り場では使いやすい(写真右はオレンジのランニングラインが元からループ付きで黒のDTぶった切ったSTは芯を剥いてもやい結びのうえセキ糸巻いて瞬着)。ただ、フライラインの樹脂を剥いで芯だけにするのは結構難しくて、ワシャちょっとずつニッパの歯で挟みつつこそげ落とすように剥いでいくんだけど、綺麗に剥けずに時間が掛かったり、せっかく途中まで上手くいってたのに、失敗して芯ごと切ってしまってイィーッ!っとなったりする。フライラインの種類によって剥きにくいのがあるようなので、そういう場合は素直に別の方法をとった方が良い気がする。

 ということで、最終的には①バッキングとフライライン(ランニングライン含む)後端との接続は、フライラインを折り返して3箇所ナイロンラインでネイルノットで留めて輪っかにしてバッキングラインをビミニツイストでループトゥループ。②ランニングラインとSTの接続は、可能であればフライラインの芯を出してもやい結びで輪っか作って、結び目と結び目の余りをセキ糸でグルグル巻いて瞬着で固める。芯剥くのが難しい場合は、ブレイデッドループを作ってフライラインに被せて、ナイロンラインで3箇所ネイルノット。輪っか同士をくぐらせて必要なら熱収縮チューブで結び目を覆ってガイドの通りを良くしておく。③フライラインの先へのリーダーの接続は、フライラインの芯が剥けたら芯で輪っか作るのは②同様、難しければフライラインに直接ネイルノットで接続。という感じ。

 で、リーダーなんだけど、ブレイデッドのリーダーが最近流行んないみたいであんまり売ってなく、ナイロンのテーパーリーダー買うのも面倒なので、違う太さのラインを適宜結んで”ノッテッドテーパーリーダー”作って、そっちに順次移行していっている。いま使ってるのを例示すると、まず40LBナイロン1m強をバット部としてフライラインの先にネイルノットで接続して、ついでに目印にもなるようにオレンジのスレッドで巻いて瞬着で固めて引っかかりなくしている。でその先はもやい結びで結び目を瞬着で固めて輪っかにしておいて、そこから先を交換できるようにする。そこに5号フロロ40センチ、3号ナイロン約1.5m、先っちょのショックティペットはフロロの4号か掛かりが悪い時は3号を4~50センチを接続って感じになっている。市販のテーパーリーダーも中古屋で安く買ったのがまだ在庫あるんだけど、ワシほっておくとフライ交換のたびにリーダー短くなっていって気がつくとエラい太い部分にフライが付いてる事があったりしたので、結び目が無い市販のテーパーリーダーより自作のノッテッドテーパーリーダーのほうがティペット替え時が分かりやすくて向いている。もやい結びを多用しているのは、もっとも結び目が小さい結びだからで、太いフライラインの芯やリーダーの根元で他の結びだと結び目がガイドに引っかかるような場合でも比較的引っかかりが少なく仕上がる。フライマンは「もやい結びってなんや?」って思ってるかもだけど”パーフェクションループ”のことね(ちなみに”もやい結び”だと気がつく以前に「テツ西山の海のルア-&フライ講座」を読んでパーフェクションループを作ろうとしたら結べなくて難儀した。図が間違ってます)。

 という感じで、今時廃れてしまっているシューティングヘッドシステムにブレイデッドリーダー付けてっていう古い体制を刷新して、兵站おさおさ怠りなく運用できるようにしましたとさ。冬の時期、フライでカマス、ときどきタチウオルーレットは主軸の釣りなっているので、快適に釣れるように細々とした改良は今後も続けておきたい。