2026年10月3日土曜日

秘密じゃないクランクベイト

 雨貝健太郎著「秘密のクランクベイト」は面白い釣り本だとは聞いてたけど、米国バストーナメントを背景とした話らしいので、発行当時はあんまワシ関係ないなと読まずにいたんだけど、ここに来てパチモノクランク達をいじくってて、というかそれ以前から根魚をクランクで狙うようになってた影響や、紀伊半島が南国化するにつれ”強い”動きのルアーで迎え撃とうということで、ミノーをあれこれ物色したときに、ミノーで間に合わんかったらクランクだなと感じた経緯もあり、クランクベイトについてちょっとお勉強してみようかなと思いましたとさ。てなわけで2003年発行のこの本を読んでみることにした。クッソ、プレ値ついてやがって定価2400円が中古で4000円もした。とはいえ、内容はしっかりとした”クランクベイト論”で勉強になったし、読み物としても楽しめたのでまあお値段以上の価値はあったと思っておこう。

 読み始めると、まずは”元祖クランクベイト”フレッド・ヤング氏謹製の初期ビッグOから紐解いてファットボディーでブリブリ泳ぐクランクベイトの特徴と機能を、プロトタイプも含めた初期ロットの”ビッグO”のコレクションを用いて、その生い立ちから明らかにしている。そして、もう一方当時流行りだしていた薄いボディーでややおとなしい動きのフラットサイドの系譜についても触れ、という感じにクランクベイトの歴史から入り、クランクベイトのなんたるかを整理していく。

 クランクベイトとはなんぞや?という問いに「リアクションルアー」である。と筆者は述べる。北米にあんな形状の淡水魚はおらず、ベイトに合わせて形作られたルアーではなく、潜ったり障害物を回避したりする機能をもち、動きなどで魚の補食行動を誘うために必要な形をしているだけであり、リアルさなんぞは必要としない。と看破している。このあたりまったくその通りだと思う。ワシなんぞルアーのほとんどはその整理でいくとリアクションベイトであると思ってて、マッチザベイトとかルアーマンが言い出した時点で負けが9割方確定しているとこれまでも書いてきた。ルアーは餌に似せているのではなく、餌などを捕食するために魚が指標とする要素を、強調したり抽出したりして表現しているモノであり、よほど特定の餌に狂ってる場合を除いてマッチザベイトは役立たずだし、マッチザベイトが必要なときでさえ、たとえばバチ抜けでは細長い物体が真っ直ぐ進むという要素が重要で、脚とかウネウネした動きとかいらないなど、限られた要素を押さえていれば魚は釣れて、その限られた要素の絞り方、見せ方にどういうルアーが必要かということで、条件さえ満たしていれば割り箸にハリぶら下げても釣れるのである。加えて、適当な棚に沈むか、潜るかというような機能も備えておらねばならないので、そのへんからルアーに求められる魚に反応させる要素、と魚の反応する範囲に通すことができる機能を盛り込んだモノがルアーとして成立するのだとワシャ思ってる。単純明快な典型としてはスプーンなんて金属片のキラメキとゆらゆらする動きのみで魚に口を使わせるし、加えて魚に届けるために重量で飛距離を稼ぎ狙う棚に沈むような機能を持っている。人から見たリアルさなんぞ無用である。逆にあの金属のきらめきは遠くまで届くような天然の餌にはありえない強い刺激があり、時に自然物である餌よりも激しい魚の反応を引き出す。

 ただ、「シャロークランクは基本的にカバーを釣るためのルアー」であるとしていて、トーナメントシーンでは沈木だのにガンガン投げて当ててすり抜けさせて使うらしく、障害物回避能力が求められ、アメリカのトーナメントプロとかに言わせると一昔前の日本製クランクはゴミ扱いだったらしいけど、これには異論を唱えておきたい。まあ米国のバス釣りはトーナメントシーン中心にボート前提の釣りが多く、根がかってもシャロークランクなら近づいて回収機で回収できるだろうし、飛距離も軽視して回収重視で太いラインも使えるだろう、一方、日本では一部のトーナメント志向の釣り人を除いては、陸っぱりが多くてまた違うと思うところ。陸っぱりでクランクベイトでカバーに当てて釣ってたら根がかってルアー失って釣り場にゴミ残しつつ釣具屋ばっかり儲からせてしょうもないことになる。それはそれこれはこれって話であり、海でクランク使うワシの個人的な釣りにおいてはなおさら障害物には当てられない。蛎殻の生えた石組み、ロープ、一発でアウトの障害物が淡水とは状況を一変させる。それぞれの状況でもまた同じクランクベイトでも求められる要素や機能も変わるということで、アメリカバスプロの最強クランクベイト運用法が日本の野池や、いわんやおや紀伊半島の漁港においておや、ということを分かって混同しないようにして、米国プロトーナメントにおいての話として読んでいく。アメリカのバスプロ仕様の戦略と、紀伊半島のワシの戦略は違う。違うけど同じクランクベイトを使うなら参考になって、自分の釣りの知識を深めるのにおおいに役立つこともまたあるのである。

左から、古め練り大、復刻バルサ大、現行C80大、中、小、小小
 とりあえず、クランクベイトと言って思い浮かべるような、太っちょで高浮力、大きめのリップ、「ワイドウォブル」と表現されているけど、ようするに大きくブリブリとケツ振って泳ぐ、という特徴が上手くあわさると、アピール力高く、障害物もデカめのリップを振り回してはじいて高浮力も手伝ってかわしていく、メリケン仕様のシャロークランクの基本形ができあがる。これをまさに体現しているのが開祖フレッド・ヤング氏謹製のバルサ製だった頃の「ビッグO」だと著者は述べている。ちなみに手作りでは限界のあった生産を、コットンコーデル社が版権買ってプラスチックで大量生産した今でも入手できる「ビッグO」は優れたルアーではあるけど、初代の持っていた「バルサウッド独特の浮力とアクションはやはり失われていると言わざるを得ない」としている。まあそうだろうな。で、バグリーのバルサB系が初代の後を継ぐようなものである旨述べている。

 で、もう一つのシャロークランクとして、当時旋風を巻き起こしていた「フラットサイドクランク」についても新しくカテゴライズされた別の進化を辿ったルアーとして取り上げている。家内制手工業で作られるようなシダーウッド(杉)製の、薄くその名のとおり側面が平面のボディーで低浮力、動きは「タイトウィグル」な小さくプルプル震えるルアー達の、無視できない強さについて解説している。どうも”タービュランス”水を乱す力とでもいう要素が鍵らしい。フラットサイドクランクについてはかなりページを割いていて、ディープダイバーのような「ダイビングクランク」については、使用目的が多岐にわたるとして、各個撃破的に詳細な説明はせずシャロークランクが地形の上に存在する障害物である”カバー”を釣るのに対して、かけ上がりとか「主に地形変化を釣る」とサラッと流しているのと対照的で、当時の”フラットサイド熱”とでもいうものがしのばれるところ。

 フラットサイドクランクは、カバーの少ないテネシー州の人造湖で盛んに使われていたようで、その特性から、障害物回避能力は高くないけど、より”フィネス(嫌われる要素が少なく地味ぐらいの意味)”な釣りにマッチザベイト的に使われることが多かったようだ。ところが、当時のトーナメントシーンでは、本来障害物回避能力の高いビックOタイプのクランクで狙うべきシャローの障害物周りを、フラットサイドで攻めることが流行していて。一部のトッププロの”秘密”のクランクベイトだったのがバレて流行りだしてしまっている状況だったようだ。わざわざフラットサイドのクランクに、障害物に強い大きな”コフォン(棺桶)型リップ”をあてがってまで使ったのは、フラットサイドのボディーは先ほどちょっと触れた要素「タービュランス効果」、水流を”乱す”効果が大きく反射的なバイトを促進する効果があり、かつ、それはラトル音ほど不自然で飽きられやすくないとされている等の理由からだとのこと。フラットサイドが普通の丸っこいボディよりタービュランス効果を生みやすいのは、げんこつと平手で水をかいた時の差を例に出していたけど、イマイチぴんとこなかった。太いボディーのクランクの方が水を動かしてそうでタービュランス効果も大きそうに思う。でも、色々お勉強してタービュランスとウォーターディスプレイスメントの違いを理解すると、しっくりくる。太って丸っこいボディーはタービュランス効果は小さいけどウォーターディスプレイスメントは大きい、平べったくて平面なボディーはその逆。例として船を考えると釣り人なら分かりやすいかも、タービュランスは船のペラにまさに求められる性能で、ペラは曲がってるにしてもおおよそ薄くて平べったく設計される。肉厚で太ったスクリューとか重いだけで効率悪いだろう。対してウォーターディスプレイスメントは水を押しのける力で、船が進むときにその船体の水中部分で水を押しのける効果であり、その効果は遠くまで伝わる。船が沖を通過するときに、引き波が足下までやってきてジャバジャバするのは釣り人なら日常的に経験することだろう。対してタービュランスの効果は船を動かすほど強くても遠くには伝わらない。大型船の離着岸の時に海底の泥が巻き上げられることはあるけど、それでも効果が届く範囲は限定的でスクリューが掻いた水が岸壁でザバザバするようなことがあればその船は転覆しかかってるかなにか大きな問題を抱えている。ウォーターディスプレイスメントは水を押しのける、Dr.柏木いうところの”水押し”力とでもいうもので、ブリブリ大きな動きで泳ぐ太くて丸っこいクランクは、大きな船体が、水を押しのける動きで水を動かしたように、ウォーターディスプレイスメントが大きく、その”水押し力”の効果は遠くまで伝わってアピール力が強い。逆にタービュランス効果で”水を掻く力”が強い、バイブレーション的な小さな動きの薄くて側面が平面のいわゆる”フラットサイド”クランクは、ボディーの体積自体小さく水を押しのけて発生させる”水押し力”は少ないのでアピール力こそ劣るけど”水掻き力(という用語を提唱します)”は高くて、近くに寄った魚に口を使わせる引き金を備えている。ということだろう。クランクベイトを始めルアーを理解するうえでとてもためになる要素のとらえかただと思う。

 で、本書ではそういったクランクのそもそも論を第一章で論じてから、第二章ではカラーや素材に塗装、リップやラトルの有無の違いなどの基礎的な話を論じて、第三章で、本場米国バスプロトーナメントの取材を通じて目にしてきた、プロ達のシークレット、タイトル回収的に「秘密のクランクベイト」達を紹介している。ここがおつゆたっぷりで読み物として面白いところで、プロ達のそれぞれの戦略やら秘密にしておくその隠しっぷりとかも知れて面白い。で、読んでると当然その”秘密のクランクベイト”達が欲しくなる。幸いなことに当時はプレミアついて売り買いされただろう秘密のクランク達も、20年も経ちゃあ、すでに秘密でも何でもなく皆の知るところであり流行も落ち着いていて、買おうと思ったら買える値段で中古市場に出てるのもある。あるけど、よく考えるまでもなくワシ米国に渡ってバストーナメントに参戦するどころか、バス釣りさえ年一回行くかどうかで、ワシの日常の釣り場である海で投げるところがあるのかって話であり、さらによく考えると、既に持ってたりするのも多いし、ドンピシャじゃなくても似たような性格のモノは蔵に転がっていたりする。なので、「秘密のクランクベイト」として紹介されているクランクと、それに対応するであろう我が家のクランクベイトを紹介してみたい。

 まずは、”スパーシャロー”の刺客、1996年ポトマック川での勝利から注目を浴びるようになって、今時クランクベイト作ってるメーカーならシリーズに”SSR(スーパーシャローランナー)”を用意してるのが普通ってぐらいに、数々の追従者(≓パクり)を生み出したマンズ「ワンマイナス」。ご存じのように潜らないクランクベイトで、藻面の上とかの水面直下の美味しい棚を引いたり、なんなら竿立てて水面波立てて引いてくる”ウェイキング”も得意。これは、さすがに現物持ってる。オリジナルサイズとベビーサイズがなんぼか蔵に転がってる。ついでにストレッチベビーワンマイナスも転がってる。まあ、ワシ的にはクランクベイトは可能ならすべて「ピーナッツⅡ」一族に任せたいと思ってるので、ピーナッツⅡのSSRはデカ、ノーマル、タイニーと蔵にございます。シーバス狙いでタイニーは使ったけど結果は思わしくなかった。でも藻場の表層をラトル音させて引いてくるとかそのうち出番がありそうに思う。在庫は充分だぜ。

 続いては”オールドバグリー”日本でも真鍮アイの古物とかは人気で中古市場で高値がついてるけど、バグリーの「バルサB2」とかに米国のバスプロがご執心という話は、以前からワシの目に入るぐらいだから有名だろうと思う。できの悪い中米産のを箱買いして、良い動きするヤツだけを選別して、他はすぐにネットオークションに流すとか、昔のが手に入らないので塗装引っぺがして昔風に塗り直すとかとか。本書ではラリーニクソンの「ビティーB」、ケビンバンダムの「キラーB3」が典型例として紹介されているけど、日本でなら大森選手の「バルサB2」が有名か?わし、バグリーが新体制になってドミニカ工場で作り始めたときに、80年代の綺麗なバグリーが帰ってきたと思っていくつか買ったぐらいだけど、ドミニカ産ではいかんのか?と思うんだが、この本の当時はまだドミニカ工場じゃなかったし、ドミニカ産の綺麗な塗装は逆に重くてバルサの動きの良さを削ってしまいそうではある。まあワシはドミニカ産で充分。そんなトーナメントレベルでのシビアな違いなど分からんしな。でも古いバグリーもあることはある。写真の青い「バルサB1」は真鍮リグ。どっか中古屋でえぐったブツ。バグリーは差し込みリップのモデルだと、ぶっ壊されてリップが抜けるのが怖くて使いにくいけど、ワイヤーが貫通してるモデルなら出番はあるかも。そんなバグリーも今は工場セルビアだとか聞く。


 で、お次。本書の本命筋が初代ビッグOからバルサB系の流れとしたら、裏本命というか対抗馬的な位置づけの家内制手工業のフラットサイドクランク。「スタンフォード」、「テネシータフィー」、「ソニー・マクファーランド」あたりの小規模メーカーが紹介されていたけど、我が家の蔵にも大量生産で入手しやすいポーの「RC」シリーズとかは転がってるし、スミス「シャッティー」シリーズとダイワ「BHシャッド」シリーズ、「バスジャッカーⅡ」、レーベル「ベビーブリーム」あたりはフラットサイドクランクとしてもイケるのではなかろうか?ラトルなしならシャッドラップやらのバルサ製シャッド系はだいたいイケそうに思う。このあたりは普通に使ってるのも多い。シャッドラップとか今考えるとフラットサイドクランク的にタービュランス効果も効いてたんだろうなって思うけど、理屈は知らんけど釣れると分かってればそれで良かったっちゃそうなんだけど、知ってた方がモアベターよ。

 最後はスモールクランク。アメ人もずいぶんとまたせせこましいこともやるんだなと、”メリケンクランク使い”ならDD22とかぶん投げてボートデッキに膝ついてモリモリ巻いてるもんだという偏見を恥じたしだい。クラッピー用とかのスモールクランクにハリだけ大きいの乗せて使ったりするんだと。以外にお盛んらしく例としてノーマン「ディープタイニーN」、バグリー「ビティーB」、ボーマー「ファットA4F」、同「モデル5A」、ラパラ「リストラップRR04」、同「ラトリンファットラップRFR04」と色々出てきてた。まあワシも浅いところ用にファットA、モデルA、ラトリンファットラップは使ってる。どこでもそうだろうけど、特にトーナメントなんかやってる場所では魚がスレてて小さいルアーじゃないと口使わないとかあるんだろうってのは想像に難くない。つらいところである、と同類相哀れむところ。

 という感じで、楽しく読了したんだけど、そのお勉強した視点で自分の主力クランクベイトを考えてみる。現在”根魚クランク”で実績が高いのはストライクキング「5XD」、サンシャインフィッシング「ベクトロン60」、ベルズ「マジェンダ80」の3強である。まずはワシの求めるクランクベイトの性能としては、何はさておき潜行深度が重要である。潜りすぎて底の石組みとかに当てると高確率で蛎殻とかに根がかるので、底のちょい上50cmぐらいを安定して引いてこられるのが大事。たまに底に当たったぐらいならその後竿先上げるなり一回浮かせるなりしてなんとかできるけど、ガツガツと底を叩くようなことは砂底でもなければ不可。その”潜行深度”という際に、海水という浮力が強くなる条件下で12号50ポンドのナイロンリーダーを背負って潜らせるので、カタログスペックとはだいたい1mぐらい違ってくるし、そもそもカタログスペックも投げて巻くのか、トローリング的に船で引くのかでも違うのでぶっちゃけテキトーなことも多く、いちいち試して、潮位変化に応じたポイントごとの深度とあわせて把握しなければならない。5XDとベクトロン60は3m水深担当で、干満差とか海底の傾斜とか多少の水深差は、膝ついて竿先海中に突っ込むか、普通に立ち上がって竿立て気味に巻くかとかで調整できるけど、普段より1m以上浅くなるような大きく引いた干潮時とかは、ベクトロン45とかハスティー3とかの2m水深対応のものにバトンタッチする。5XDはそれなりに側面が平らなディープクランクで”水掻き力”もある程度期待できる。この形状はおそらくボーマー「ファットフリーシャッド」からの流れで、ファットフリーシャッドについては後世に残るだろうと書かれていたけど良くできてると思う。そいつをさらに発展させて急速潜行しつつ深く潜るように詰めてある優等生がストライクキングの「XD」シリーズで、ラトルも水掻きも水押しもバランス良く”全部のせ”してあって実際良く釣れるのも納得である。対してベクトロン60の方は、太っちょなアメルアらしさのある形状のディープクランクで、特徴はノンラトルであるということ。もともとバグリー「DB3」が5XDとか引いた後でも”変えると来る”で魚を連れてきてくれたんだけど、バルサ製で差し込みリップに後ろのフックアイはヒートンでは40UPの根魚が釣れてくるようになって強度不足でぶっ壊されて魚逃がす懸念が生じてきたので、代替となるモノをと考えて導入したものである。樹脂一体成形のベクトロンは強度的にはまあ安心だけど、ノンラトルだからといってDB3と同様の性格かというと、厳密には違うと考えてはいる。バルサなど木製ルアーと樹脂製ルアーの違いというと比重の違いでバルサは軽いということが注目されているけど、意外に違ってて釣果にも影響してきそうなのが、木製なら内部が充填されているけど、樹脂製は硬質発泡素材とかの例外を除くと、内部が空洞であるという点で、何が違うかというと音響特性が全然違ってくる。ノンラトルのルアーでもハリが当たる音やスプリットリングが擦れる音は発生させていて、その響き方は人間が聞いても違うレベルだし、イルカのような自ら超音波出して”音響定位”できるソナー持ちでなくても、自然音の反射の具合の違いは魚も聞き分けてておかしくないと思っている。でも、ラトルのような積極的に音を響かせているのと、ハリ音とかでは程度の違いが大きく、ベクトロンは水掻き効果も少ない曲面ボディーであり、全体的に大人しく仕上がってて嫌われる要素少なめ、でもそれなりに水押はブリブリと力強くアピール力はあるという良いあんばいなので、長くノンラトルクランクの名作として幾多のブランドを乗り換えつつ売られ続けていたのだろうと思う。DB3の完全互換ではないけど、5XDとローテーション組ませるには良い感じの違いのあるルアーだと思っている。でもって、マジェンダ80がまた独特で、水掻きも水押しも弱いミノーっぽい細いボディーで動きも細かいバイブレーションみたいな大人しい動きでスルスル動く、でもそういう弱いミノーみたいな特徴の中で1点ラトルだけが派手にアピール度高い。アピール全振りでも、フィネス全振りでもない、なんか一点豪華主義な感じのルアーでこれが理屈はよく分からんけどなぜか良く釣れる。あれか、地味なメガネのオネェチャンがチチだけデカいとめちゃくちゃモテるってのと共通か?しらんけど。なんにせよ良く釣れるので、よく売れて流行に習ってリアルになった後継型とかも含め長く愛されてきたけど、ワシはクランクとして使ってるけど、昨今一般的な分類で言うスプーンビルミノーってもう流行らないのか廃盤になって久しい。でも雨貝氏も、結局古いバグリーや、なんならバルサ版のビッグOでも、今でも売ってるならバスプロ達も使うだろうってぐらいで、よく釣れるルアーが流行り物として消費されて「まだそんなルアー使ってるの」ってな言い方されるのはかんに障るようで、「名作は色あせない」って書いてたけどけだし名言である。


 で、流行っていうと、本書から20年から経った現在までのクランクベイトの流行というか趨勢を振り返って見てみると、まずは大きな動きとしてバルサ製クランクの動きををプラで再現するっていうのがあったようだ。そらいつまでも古いバグリーとか供給の途絶えたルアーに頼ってられんって話で、その嚆矢となったのがラッキークラフトUSA「RC」シリーズらしく、そのへんの開発苦労話は書籍になってるようだけど、一部釣り人社のサイトで読めてなかなか面白い。で、その大きな流れの中で、マグナム化やウルトラディープ攻略とかの枝葉もでてきて現在に至る。フラットサイドクランクは一時の流行は収まったけどそこそこ定着。あと小規模工房の作るバルサB風のクランクも一時流行ったようだ。という感じか。写真のクランクはまあ、そうなると欲しくなるよねって話で、RCシリーズの後継というか廉価版?のLCシリーズ「LC1.5」と「LC2.5」。確かに素人目にもバルサクランクみたいな良い動きしてる。とはいえ素人目には前回取り上げたパチモノクランクも良い動きに見えるけどな。マグナムサイズもUSAラッキークラフト製「SKTマグナム」とかデカいのに良く動いてやりそうな雰囲気ムンムンで思わず3つぐらい確保してある。いつの日か50グラムからのマグナムクランクが火を噴く日を夢見ている。ウルトラディープ攻略の恩恵はワシXDシリーズやデュエル「バレットクランク7+」とかで享受しているところ。ありがたいこってす。

 しっかしパチモノだらけは今に始まったことではないにせよ、洋の東西さえ関係なしだな。もう各社から出てるシャロークランクが樹脂製でスクエアビルの「RC」シリーズのそっくりさんだらけ。まあ、ビッグOがその設計の基本部分をパクられてアルファベット戦争が勃発した際に、百花繚乱のルアーを選ぶ楽しみが釣り人にもたらされたわけで、単純に悪いとは思わんけど、丸パクは論外として、結構な大手が後発で「うちはリップを基盤リップにしました」とかちょい独自性っぽい設定を加えて売り出してるのとか、コーモランがファッツオー丸パクで怒られたかなんかで、ヘルメットかぶらせたのと大差ないやんけと思ってしまう。昭和のパチモノメーカーと令和のメイドインジャパンとで一緒のことやっててどうするねんって正直思う。

 ということで、ルアー図鑑第94弾は、クランクベイトはどこから来てどこへ行くのか?あたりにせまってみました。バス専用だと思われてるふしがあるけど、釣れる要素と機能を備えたらできあがった形なので、見た目に惑わされずなんだって釣れると信じて投げてみてください。ワシもそうしてます。

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