春だけじゃなかったんじゃ~!まだ続いとるんじゃ~!!
春の大森祭りが終わって”大森熱”が治まったかというと、そんなことはなくて、つい先日も大森以外も含めていくつかリール買ってしまっている。ああそうさルアーももろもろ買っているさ。
毎日暇な無職の年寄りなので、朝飯食いつつ1時間近くかけてネットオークションやらを良さげなブツがないかネットリと確認するのが日課となっている。
基本的にリールはもう釣りをする上で必要で買わなければならないものはない。なので買わんでも良いようなものだけど、買ってしまうのが”スピニング熱”という病気の怖いところ。とはいえ何でもかんでも買ってるかといえばそうではなくて、ボロくてワシが買って整備してやらんと人気もなくてゴミの日に出されてしまうようなのを探してたりはする。加えてインスプールの「マイクロセブンDX」については2台わが家にあるけど、2台とも比較的綺麗な個体で塩水で使うのがためらわれるので、ボロい個体が欲しい。とかの、なくても一切困らないけどちょっとだけ欲しい、ぐらいの機種はまだなんぼかある。
って思ってたら、茶色のマイクロセブンDX(=コンパック89アトラスⅢ)と同世代とおもわれる、「デラックススーパー777(以下「DS777」と略)」のボロ個体がオークションに出てきた。えらい名前だけど、この前身がフェースギア機の「スーパー777」でその後継機で大森得意のハイポイドフェースギア搭載なので”デラックス”を冠したようだ。大きさ的にはマイクロセブンDXが大森SSサイズで「デラックススーパー730」がNo.1サイズ、今回落札の「DS777」はNo.2サイズっていうのが大まかな感触だと思う。重量は300グラムぐらいとやや大きめで、ちょうどカーディナルC4の大きさの印象。
インスプールのこの大きさのリールって需要少ないのか、れいによって競りもせず落札価格1500円+送料700円で確保。ボロいとはいえ安すぎる。まあ、ありがたくはある。マイクロセブンDXについては識者の見解として、機械的には素晴らしいけど、実際使うとベール周りにラインが絡みやすかったりして今一つ、との評価も目にする。けど、こういうのって使う状況やら釣り人との相性やらあるハズなので、ぜひ自分で使ってみたかったというのがマイクロセブンDXのボロ個体を狙ってた理由だけど、同世代だけあってこのDS777もローターのカップが平べったくて、ベールアームやらベール反転周りやらがローターの開口部に近いという特徴は一緒で、実釣での検証作業ならシーバスに使えるこの大きさの方がワシ的には好適かもしれん。
というわけで、だいぶ腐蝕が出てるし固着も怖いのでネジだのツマミだのにCRC”666”をぶっかけて、ビニール袋に突っ込んで数日放置の後、全バラしグリスシーリングのフルメンテ敢行。
見た目はボロいけど、ベールスプリングも生きてるし、ベアリングも錆びてないようで滑らかに回ってるし、意外に機関は好調。
とりあえず、スプール周りから始める。これがこの大きさなので当然と言えば当然だろうけど「海で使ってました」っていうのが明白な感じに塩にやられている。ナイロンラインを抜いていくと腐蝕して白く粉吹いているし、ドラグノブがこの機種は金属製なんだけど、ごらんのようにメッキがハゲハゲでボロボロになっている。ベールアームの反対側のベールワイヤー固定のネジとスプール裏の”音だし”固定のネジが固着しているし、ベールスプリングも赤さびまみれになっている。固着は無理に外そうとするとねじ切りそうなので放置の方針で行く。清掃グリスアップは何とかなりそうな箇所だし無理はしない。
ただ、それらのある意味”外回り”な部分以外はなんら問題ないようで、サクサク分解していくと、フェルトパッド3階建て方式のドラグ、左サイドカバー内に収まった大森製ハイポイドフェースギア、ハンドル軸のギア裏の逆転防止機構と、ある種お馴染みの機構達が、欠けたり摩耗したりという感じもなく然るべき場所に収まっていて安心する。ローター軸のギアが太くて頼もしい感じだけど、それもそのはず、後でハンドル回して数えたら1:3.5ぐらいの低速ギアで、コリャ力強く巻けそう。
丸ミッチェル使ってみて、スプール径大きめの低速ギア機はシーバス釣るには悪くない気がしてるので良いかもしれん。
という感じでサクサクバラしてパーツクリーナーかけてブラシで汚れ落として、グリス大盛りにして組み上げるんだけど、いくつか調整した箇所があって、一つ目はラインローラーで、最初固着してたので固定式かと思ったけど、ちゃんと回転式ででもマイクロセブンDXのような真鍮のスリーブも後年のような樹脂製スリーブも入ってなくて直受けだなと思ってたんだけど、腐蝕で膨らんだ部分が引っかかって回転妨げてる感じなので、両側をヤスリで削って調整したところ、スリーブにはなってないけど芯の方に真鍮らしき金属が鋳込んであるようで(固着してるのかも?)2層になってて、ベール側のステンレスとラインローラーの真鍮で回転時摩擦部が構成されていて、この組み合わせは回転部分に良くあるパターンで丸ABUの”ブロンズベアリング”がまさにそうだと思うけど、さすが大森製作所、丁寧な作りだなと感心した。ちなみに上の層はアルミ?みたいな柔らかそうな金属で削れないのかちょっと心配だけど、ナイロンだと大丈夫だったようだ。回ってれば削れることは少ないのかも。腐蝕削ってやったらクルクルと良く回るようになったので一安心。
次に、ドラグパッドがどうもペッタンコになってしまってるようで、3階建てのフェルト湿式にしては調整幅が狭い感じがしたし、ドラグノブが押さえるワッシャーがだいぶ沈んでもいる。硬質フェルトの2ミリ厚のを買ってあって、そんな分厚いの使いどころがないなと思ってたけど、ここに来て出番が発生。グリスで濡れた純正のドラグパッドで型取りしてハサミとポンチでチョキチョキスポンとでっち上げて、ドラググリス塗って1枚純正と交換でちょうど良い高さになって、調整幅も充分で良い塩梅のドラグになった。
ドラグノブのボロボロ具合は流石にそのままグリス塗って使うには状態悪すぎのザラザラ具合なので、表面のメッキをサンドペーパーだので剥がして黒く塗るかと思って、サンドペーパーかけ始めたんだけど、なかなかメッキまで剥がせない。なら電動ドリル使ってサンダーフラッパーとかルータードリルとかで削るかと試すも、これが平面じゃないし、ってのもあって綺麗に剥がせない。こりゃメッキ剥がして表面滑らかになるまで削るのは無理だなと諦めて、適当にメッキがめくれてる部分とか落とせた段階で、腐蝕で削れた穴ぼこをエポキシで埋めて平らにして黒く塗るかと、エポキシ接着剤で表面塗装してみたら、なんとなく黒く塗らなくてもこれでいいやという感じになった。表面滑らかになって耐腐食性もそれなりに確保できただろうし、ドラグノブだけピカピカの黒塗りより、ある程度古びた雰囲気を残した方が味が出るかなという判断。古い車をレストアするときにわざとボロい風合いを残す手法があるようだけどそんな感じでいってみた。ついでに”音出し”の1枚板を曲げたのがややへたってキッチリとスプール座面のギザギザに当たりにくくなってたので、スプールエッジ内側と”音だし”の間に適当な太さのナイロンラインを詰めて固定をしっかりさせて調整して、チチチチッっと可愛い音が出るようにしておいた。
機能的には全く問題なしに復活。見た目はまああれだけど、このくらいのボロさは歴戦の強者っぽくて良いんじゃないかと個人的には思う。古い時代の道具だもん。それ相応の歴史を感じさせる見た目ってのは悪くないんじゃないの。少なくとも”腐蝕が怖くて塩水で使えない”っていうような美品じゃないので、実戦投入をためらわなくて良い。どんな塩梅かぜひ試してみたい。
ちなみに下の写真の左がマイクロセブンDXで右が今回のSD777。
こうやって並べると、間も埋めたくなってきてスーパーデラックス730もちょっと欲しくなってくるのが”スピニング熱”の怖いところ。
アタイ病気が憎いッ!
とまあ、2200円でこの実戦投入可能な個体が手に入ったのは大成功と言って良いと思うんだけど、その裏で大失敗もやらかしているので、皆様の他山の石となるべく恥を忍んで書き記しておこう。恥ずかしいけどみて欲しいッ!
シェイクスピアの「
2052EC」買っちまって、その後「
2062」系に飛び火したのは以前ネタにしたところだけど、シェイクスピアは
アグリースティックも安く出てたら確保したいし(売るほど持ってるけど)、マイクロセブンDXのシェイクスピア版「2200」もボロ個体でてれば欲しいしで、引き続き検索掛けてどんなの売りに出てるかチェックはしておりました。おりましたら、余計なモノを見つけてしまいました「2052EC」の初期版とおぼしき、スプールの刺さってるブッシュが金属製でハンドルがクルッと回して収納する方式のやつ。「機関好調なれど小傷あります」ってことでお値段控えめの送料込み6500円と相場よりだいぶ安い。反射食い。
まったく買う必要性はなかったけど、マウスが滑ってしもたから仕方なかったんじゃ。かんにんだぁ、かんにんしてくんろぉ~・・・
でも、いざブツが届いてみると、小傷も大したことないし、そのままでも使えるぐらいに快調だしで心ウキウキ。
今後、数十年のために、いっちょ気合い入れて全バラフルメンテグリスシーリングと行きますかと、2回目だし(サイズ違いの2062含めると5回目)サクサクと分解していく。
と、ここに思わぬ落とし穴が。なんとストッパーの切り換えレバーを止めているネジが固着してたようなんだけど、ネジの軸が細いこともあってか、ちょっと力を入れたらあっさり回ったような感触を残してねじ切れた。
やってしもた!
”調子良い道具は下手にいじらない”が正解で、いらんことをしてしまったがためにリールを使えなくしてしまったのかもしれない。当然もう一台の2052ECとも部品互換性あるし、なんなら2062系ともここのパーツは共通なので、使い回せば使用不可ということはないんだけど、1台使えない状態にしてしまったというのは、ジャンクで使えなくなってたのを上手に整備したときと正反対の、残念な気持ちになる。ワシが手にしなければそのまま快調に回り続けていたかもしれないのに、余計なことをしてしまった。ナマジ意気消沈。トホホのガックシ。
何とか実用可能な程度に、でいいので復活させられないか、ここから悪戦苦闘が始まる。パーツが手に入らないかセカ○モンで調べてみると、金具の方は売りに出てるけどネジがなく、かつ円安のおり、送料かけて取り寄せると5千円からかかってしまい、ネジもセットで出物があれば、金で解決するならそれで良しの割り切りもあり得たけど、ネジ探さねばならんのなら、ちょっと二の足踏まざるを得ず踏ん切りがつかなかった。
最初に試したのは、ドリルで折れて詰まってるネジごと穴をほじって切り直して、それ用の器具でバネをグリグリと捻って細くしておいてからその穴にねじ込んで開放、バネが中でギュッと開いて固定されネジ山の代わりになるという
「リコイル」という手法を430ssgの潰れたタップネジの穴の時に使ってたので、そのリコイル方式をまずは試してみる。これが、ネジの刺さっていた台座にあたるアルミか亜鉛の部品が、潮気で腐蝕し始めてて、穴が崩れてうまくネジを止めてくれない。不必要に穴を広げる結果に終わる。
これはあんまり力をかけると部品が持たないなということで、方向転換で穴を塞ぐ形でエポキシで固めて、エポキシに穴を開けてタップネジで固定。は一瞬上手く行きかけるけど、ネジを締めていくとネジ穴からエポキシが剥げてしまい固定できず。ただ、惜しい感じはあって金属の強度がなくても、樹脂でもエポキシより剥げにくくて堅ければ樹脂で埋める手でもある程度いけそう。
こういうときは、樹脂に補強を入れる方向でいくかなと考えて、樹脂は瞬着、補強の繊維はティッシュ(=木のセルロース繊維)でいくことにした。ルア-の穴補修とかに使われる方法である。
これはわりと上手くいって、なんとかネジが締まってレバーをしっかり押さえて固定してくれた。耐久性は不安が残るけどあまり頻繁に切り換えるレバーでもないし同じ機体が2個体居るので使うのには別個体使って、コイツはスペアスプール要因になりそうなのもあって、とりあえず及第点かなと。円安が解消するなりしてパーツが揃うようになったら純正品に交換したいけど、とりあえずはこんなもんで良いでしょう。ってぐらいには収拾つけて、正直いらんことした大失敗だけど、なんとか落としどころを見つけることはできたように思う。
あとは、ドラグパッドをれいによって、純正皮パッドからテフロンの0.5ミリ×2、1ミリの3枚に換装、台座のファイバーワッシャーもテフロンに換装でドラグもバッチリ。グリスグッチャリで仕上げておいた。
今回いじった2台とも共通だけど、塩水で使ったときに、内部はグリスもあって大丈夫でも外回りの腐蝕はけっこう気をつけないと、逆転切り換えレバーの本体穴とかでも塩気は入ってきがちなようで、しっかり普段からグリス塗って気をつけてやらねばという気がした。このへんPENN使いは放置でも大丈夫な気がしているので油断しがちで気を引き締めたいところ。
っていう感じで、1勝1敗な感じになっちょります。”スピニング熱”はもう治んないのかもな、というあきらめが漂い始めてるので、これからもボロいスピニング買って、ネタになりそうならゴチャゴチャ書いてみたいので、皆様またお楽しみに。
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