2015年12月31日木曜日

2015年のベスト3(釣り編)


 秋のシーバスシーズンを病気療養で棒に振った今年ではあるものの、こうやって思い返してみると、なかなかに良い釣りも多かった一年だったと思う。
 ぶっちゃけ病気なんてのは長く生きてれば「そういう時もあるさ」な話で、あんまり気にせず復活したらまた良い釣りすれば良いだけのことのようにも思う。

○釣り:1位早春バチパターン、2位ワカサギ2束、3位テナガポイントのニゴイ攻略
 1位の早春のバチパターンは、ダイキリさんポイントでも近所ポイントでも結果が出て、サイズはもっと良いのが出ても良かったかなと思っているが、それはまた来年以降に期待できるので、順調に実績が重なって「前夜祭パターン」なんかもありそうだとかデータも積み上がってきており、非常に満足できる結果。年開けたらシーズンももうすぐで楽しみでならない。
 2位、ワカサギ2束は2月に2回達成しているが、小物釣り師としてやっと「束」を単位に複数数えて釣れるようになったというのは感慨深い。ワカサギ年末は苦戦したがこれからシーズン佳境なので今シーズンのデカいワカサギを多点掛けしてその重さを堪能してみたい。
 3位のテナガポイントのニゴイはここ数年「テナガボイル攻略」ということで狙っていた釣果なので嬉い。まだ安定して狙えるところまではいってないけれど、2回成功しているので今後も経験を積み重ねていけばテナガシーバスと併せて面白い釣りものになるのではないかと期待している。
 その他にも、釣友を訪ねての九州ライギョ遠征、関西ギギ遠征と国内ローカルな遠征も楽しい釣りだったし、病み上がりのリハビリにもなったオイカワ釣りも開拓が進んで充実してきている。
 来年も東京湾シーバス野郎と江戸前小物釣り師としての修行を進めつつ、遠征はサメかデカいナマズかなどと情報収集しているところである。来年の釣りも面白いに違いない。

○残念だった釣り:1位カヤックシーバス、2位夏休みサメ、3位無し
 1位はまあ言っても仕方ないことだが、行けてればスズキ様の3つや4つは釣れてたのにと思ってしまうのである。まあ忘れて来シーズンに期待。
 2位は「サメなんていやになるぐらいいるよ」とか言われがちだけど、狙うと当たり前だけど難しいという話で、釣れなかったことは残念だったけど、あたりまえって言えばあたりまえの結果で、これからも挑戦し続ける中でしか結果は出てこないんだろうと覚悟している。

○ルアー:1位インビンシブル8DR、2位にょろにょろ、3位ソルトウォーターグレードボーマーロングA
 1位、北欧はニールズマスター社インビンシブルはなぜかマイブームが到来。実釣でも、動きの良い軽いバルサミノーなのに投げやすく、8センチディープランナーは運河の足場の高いところで使うシャッドラップラパラからレギュラーの座を奪いっとって一軍登録の実力派。この辺りのちょっとマイナー風味の利いたルアーについて書きたくて「ルアー図鑑うすしお味」シリーズを立ち上げてゴリゴリと書きまくったのもなかなかに楽しかった。
 2位は、早春バチパターンで大活躍。超ド定番のバチ対応ルアー「にょろにょろ」が今年の春もニョロニョロと実力を発揮してくれました。
 3位のロングAは昔から好きなミノーだけど、これの「ソルトウォーターグレード」ブランドで高強度のポリカーボネイト製のが2008年から出ているというのを遅まきながら知って、爆買いアンド実戦投入、シーバスもクロダイもゲット。丈夫な道具が私は好きだ。

○釣り具:1位ランカーギアLGX66SM-2J、2位ワンダーカーボアジャスターさわ鮎VX中硬硬72/60、3位左手サミングライギョタックル
 1位のランカーギアXは小技の必要な運河の橋の下パターンとかで愛用。今年は4月5月のバチパターンが釣り場の減少もあって苦戦していたので、雨が降ってバチにあんまり良くない状況の時はアクアライン超えて運河のエリアでよく釣っていた。この時代のフェンウィックはグラスコンポジットの厚巻きのブランクスで適度にダルく粘りがあり丈夫なので大好き。カテゴリーとしてはバスロッドなのかもしれないが60アップのシーバスでも問題なく釣れる。
 2位は鮎竿である。リョービ製というところからもずいぶん昔の竿だと知れるが、それでも流石は鮎竿、軽い。7.2mの長尺にもかかわらず、ちょっと尻から間隔をとったところを持てば片手で扱える。陸っぱりで狙うワカサギ用に中古で買って導入したが十分に活躍してくれている。
 3位は、バレーヒルの名竿「ガンガン70」をぶった切ってバットにジョイントを持ってきた上でリールシートの位置を下げた「左手サミング仕様」の変態的なライギョロッドというか怪魚ロッド。これにABU7001にボールベアリング入れたリールを合わせて、GWのライギョ釣りに導入。7001という大型リールはスプールの糸巻き量が多く重いので回転性に心配があったが、意外となんとかなった。  

○PENN:1位4400ss、2位430ssg、3位6500ss
 1位は、「糸ヨレ多し」と評判の4400だが、なぜか相性が良いのか問題なく使えている。今年は早春のバチパターンの時にはこいつと5本継ぎのパックロッド「ブリストール」で通した。デカいボラやコイの突進にも、ドラグ性能ほか問題なく信頼できるリールである。今後もよろしく。
 2位はいつもお世話になってます。第4世代スピンフィッシャー。こいつもずいぶん永くメインのリールとして使っているけど壊れる気配が無い。シンプルでリールなんてこんな程度で十分と正直思う。
 3位の6500はターポン様逃して未だ獲物をゲットしていないので、瀬戸内海の怪魚、ナルトビエイで坊主竿卒業をと連れて行ったが、ナルトビエイも難易度高くまたも坊主を食らったのであった。こいつに似合う大物をいつか釣り上げたいものである。

 釣りに行けさえすれば、なんだかんだいっても面白いことが起こる。釣りに行けない時も本読みとかの楽しみはあったけど、やっぱりそれでも何度も釣りの夢を見てしまったぐらいに釣りに行きたかった。
 とりあえず釣り場復帰を果たして、また釣りができることはこの上ない喜びである。

 皆様良いお年をお迎えください。

2015年のベスト3(エンタメ編)




 今年も、一年を振り返る時期になりました。今年は病気で3ヶ月も自宅療養していたせいもあってアッちゅう間に過ぎたような気がします。自宅療養中、漫画やら小説やらにはずいぶん無聊を慰められました。今年もお面白い作品に沢山出会いました。

○本:1位「鯨人」、2位「1984年」、3位「謎の国家ソマリランド」
 1位はインドネシアのマッコウクジラを漁る部族のルポ。文字通りの血の海で狩られる鯨は悲しげな瞳でなにを見ているのか?他者の命を奪って生きていくという「生きる」ことの本質そのもののど真ん中ストレートの豪速球に痺れた。
 2位はSFの古典的名作だが、書かれたときから今に至るも色あせず、全くもってリアルな「監視社会」「言論統制」の恐怖を描きだしている。むしろ気軽にみんながネットにつながり、そこかしこに防犯カメラが設置された今こそ読んでその恐怖を認識しておかねばと思う。
 3位は辺境作家高野先生がいつものエンタメノンフな軽いのりのまま激ヤバの紛争地帯を行き、高野秀行はどう考えても圧倒的に面白いという事実を世間にしらしめたものとなっている。
 他にも釣り本では「磯の作法」「服部博物館」なんてのに出会えたし、SFでは「華竜の宮」もよかった。たくさんの本が書かれ続けているうえに、今年は自炊もしたので機会が多かったが再読したい本もたくさんある。幸せなことである。

○マンガ:1位「ゴールデン・カムイ」、2位「ヴォイニッチ・ホテル」、3位「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」
 1位はこの面白さが続けば国民的マンガになるのは間違いない。と、近年同じように太鼓判を押して予言したマンガのうち「宇宙兄弟」は見事的中させたが「ヒナまつり」は知る人ぞ知る的なマンガにとどまっており、これをはずすと負け越すので面白いだけでなく売れてほしいぐらいに思っているがたぶん期待通りになる。アイヌ蘊蓄も楽しい冒険活劇。
 2位は独特のセンスで読ませる気鋭の、なんというか変なラブストーリーという解釈でいいのか?説明難しいので3巻完結で短いし読んでほしい。ギャグも切れて俺好み。この人マイナーな掲載誌で短いのしか書いてないが長編描かせたら大ヒット飛ばせるはずの実力とみた。どっかメジャー青年誌が引っこ抜くべきだ。
 3位は「デ」の数間違えたかも?なにげに細密な画力もすごいが、癖のある皮肉っぽい切り口もなかなかにやりおる。空飛ぶ円盤が攻めてきた非日常の日常系。1位、3位あたりはすでにマンガ読みの間では評判になっている。次々に面白いマンガが生み出され続けていてとても楽しめている。
 マンガでは他に「シドニアの騎士」が講談社漫画賞取って完結したのも一ファンとして感慨深かった。

○アニメ:1位「SIROBAKO」、2位「響けユーフォニアム」、3位「シャーロット」
 1位のシロバコは年またぎの二期ものだったので今年のアニメに入れるべきか迷ったが、圧倒的に面白かったので入れざるをえない。アニメ制作現場の苦労やモノを創る情熱を描いた超良作でこれみてアニメ製作会社に就職したけど早くも絶望して辞めた若者がけっこういるとか聞く。働く現場の物語って「サラリーマンモノ」というジャンルがあるんだろうけど、全くもって人脈広げて出世してとかいう世界に共感も感心もないナマジ的にはドーデモイイ分野だけれど、こういうみんなでモノを創っていく物語は自分のような社会不適合者でも共感できるんだと意外な発見。
 2位は「ちはやふる」が開拓した「文化部モノでも熱いスポコンは成立する」を追証明した激熱部活モノ。1位2位は、売り上げを比べればもっと売れている萌え萌えした作品とかあるけど、ネット上の評判とはほぼ一致。シロバコもユーフォニアムも主人公達はまあそれなりに今時の「萌え」に対応したキャラクターデザインだが、そこにとどまらない熱い物語の質がネットのうるさ型の批評家たちを唸らせた。
 3位は、「監獄学園」と「下ネタ」も候補で迷ったが、シャーロットはどうにも好み。超能力バトルモノでアニメオリジナルの脚本。いろいろアラもある作品だと思うけど、食い物が旨そうなのと、ちょっとゲスいぐらいの駄目な主人公を取り巻く仲間との関係とその成長とか、なかなかに良かったと思う。
 深夜アニメは低予算だし数も多くて粗製乱造でつまらなくなってきているという批判も目にするが、そんなことはなくて面白いのがちゃんと創られていると思う。
 
 長期の自宅療養に突入したとき、まあ、初めは体調とか悪くてひたすら寝てるだけだったけど、ちょっと回復すると退屈し始めるわけで、長い療養期間どうやって暇つぶしするかということを考えると、さすがに1月も2月も読む本が小説でもマンガでも続かないんじゃないかと心配した。でも、全くの杞憂。
 自炊して再読したい本だけでも100冊単位であるし、そもそも新刊を追っかけるだけでかなり手一杯な状態で、病気療養中に「積ん読」状態の読んでない新刊ぐらいは読み尽くすだろうと思っていたがまだ結構残っている状態。
 世の中には人が一生かかっても楽しみ尽くせないぐらいの、沢山の本やらなんやらの作品が既にあって、さらに新しい作品が日々創られている。
 小説が読める、マンガが読める、アニメも観られるという趣味・嗜好を持っていることによって、どうも一生退屈しないですむことが約束されているらしい。
 たとえ病床にあろうとも寝たきりになったとしても、私の人生にはそういう楽しみが存在して奪われることはないと考えると、我が人生はけっこう安心だなと心やすらかに思うところである。

(イメージ画像:集英社新書「鯨人」より)

2015年12月27日日曜日

ビッグ・ブラザーがあなたを見守っている

 土曜の朝にパソコンが一瞬立ち上がってすぐにスクリーンが消えるという状態に突入。
 とりあえず一瞬の隙をついて起動、スクリーンの電源オンオフでも一瞬スクリーンが表示されるのでバックアップとってなかった最新の写真とかだけ急いでバックアップとって、とりあえずサポートセンターに電話して相談したところ、サービス期間が過ぎているけどサービスでということでアドバイスしてもらったが、回復はせず。「買い換え時ですネ」ということになった。

 ちょうど5年を過ぎた頃で、その時期に壊れるように時限的に仕組まれているんじゃないかと疑いたくなる。

 仕方ないので家電量販店に買いに行くが、こういうとき、必要なスペックのパソコンを自分で組み上げたりできない、もっと言えば買ったらすべてついてくるようなウインドウズマシンしか使いこなせない情報弱者、いわゆる「情弱」ぶりが我がことながら情けない。

 壊れる前の、「ウインドウズ7」の入ったパソコンで何も問題なかったのである。でも今時のパソコンには「ウインドウズ10」が入っている。「オフィス」なんていらんネン。でもこれも元から入っている。
 ウインドウズが「7」から「10」に変わったから以前使ってた「ATOK」も「一太郎」もまたバージョンアップ版をご購入なさる必要があるんだとよ。
 セットアップ始めて、それでも一度いじったことがある「ウインドウズ8」の使いにくさに比べれば、なじみやすい操作性で「10」はずいぶんましだなと思っていたが、録画して外付けハードディスクに貯めていたテレビ番組を見ようとしたんだけど、「ウインドウズ7」には標準でついていた「ウインドウズメディアセンター」というソフトが、「10」にはもう採用されておらず、せっせと録画していた番組を見ようと思っても見られないのにはショックを受けた。さすが世界を牛耳るマ○クロソフト様、使う者の少ないソフトはマイノリティーの利便など一顧だにせずぶった切ってくださる。無理矢理「ウインドウズ10」に「メディアセンター」をインストールする方法というのを海外有志が提供してくれているが、マ○クロソフト様のお許しを得た訳ではない非公式な方法なのでセキュリティーとかまで面倒見てくれそうもなく、情弱野郎には手が出ない。
 アニメとかは有料ネット配信利用、NHKスペシャルのサメとかダーウィンのヨーロッパオオナマズとかはNHKアーカイブス利用するしかないのか?とトホホな気分である。

 少数者の利便の切り捨ては、ヤ○ー様もご同様で、ネット上でバックアップをとるのに利用するオンラインストレージサービスはヤ○ー様にお願いして「ヤ○ーボックス」というのを利用していたのだが、「パソコンユーザー少ないので今後はストレージサービスはスマホ対応だけ残して撤退します。ウインドウズ10にも対応する気ありません。」という、このためだけにヤ○ープレミアム会員になって金払ってたのに、あまりと言えばあまりにひどい仕打ち。まあ、こちらは代替のサービスは各社提供しているので乗り換えることができるのでましなのかもしれないが、ヤ○ー様には前回もブログサービスの停止でいじめられているので頭にくる。
 でもって、ヤ○ー様の提供するホームページ作成サービスも利用しているのだが、これが新しいパソコンになったらうまく写真が貼り付けられなくなりやがって、今問い合わせしているが、「インターネットエクスプローラー(IE)」の新しいバージョンに対応し切れていないのかもしれないという気がして、その場合は、「IE」のダウングレードかなと思っている。
 このホームページ作成サービスもそうだが、世の中には「IE」の使用を前提に組んでいるシステムというのが間違いなくあって、仕事でもそういうのを使う場面があったが、どうも「ウインドウズ10」にはウェブブラウザが「IE」でなく初めて目にする「Edge」というのがあって、こちらがメインになっているのを見ると、マ○クロソフト様「IE」を切り捨てにかかっているような気がしてならない。おおコワ。

 くわえて、「ウインドウズ10」もそうだけど、やたらとアカウント作って個人情報を登録させようとしやがってくるのが、監視されそうで気持ち悪い。
 あなたにあったサポートをというやつなんだろうが、ようするに買ったものとか利用したサイトとか、こちらの趣味趣向を監視して、売れそうなものの宣伝をしてやろうといういやらしい思考が透けて見えて不快。そのうちおすすめのマニアックなエロ動画とか勝手に画面上に表示してきそうな気がしていやだ。
 情報が操作されて、行動が監視されたディストピアが今そこに迫っているような気持ち悪さ。

 にもかかわらず、「ネットなんかいらんのじゃ!」とパソコンスクリーンたたき割って力強く生きていくには、もう既にネットの利便性に浸りすぎた。土曜に壊れて正月休み中パソコン無しとか耐えられないというのが、正直「修理」を選択せずに買い換えた理由の大きなところである。

 家のパソコンのOSなんて「ウインドウズ95」あたりでも十分だとたぶん誰でも思うだろう。ネット見てメールして写真整理してワープロ打って表計算してぐらいにご大層なOSは必要ない。
 でも、儲かるための仕組みとしては、どんどんOSも新しくして、それに伴ってハードもソフトも古いのじゃだめで新しくしていかないといけないんですよというふうにしないと立ちゆかない。
 壊れたパソコンでできてたことを、新しいパソコンでも同じようにやりたい、別に新しい機能を求めていない、ただそれだけの希望なのに、進化の話でも例に出される鏡の国のアリスの「赤の女王」が言うように「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければいけない」状態をメーカーが作り出していて消費者もそれにつき合わされている。心の底からうんざりである。

 パソコンはじめ情報機器に関しては、もうどうしようもない情弱野郎なので、これからも全力疾走せざるを得ないのだろうと覚悟している。次回5年後にはウインドウズは15とかなのだろうか。また、昨日と今日のように取説首っ引きで検索かけまくりながらヒーヒーいいながら対応するのが目に見えている。

 釣り具に関しては、全力疾走につき合わないことに決めて、どこのメーカーがしょうもない新機能のついたリールを売り出そうが何しようが「スピンフィッシャーを一生使ってればええネン」と構えていられるのは、心の底から清々する立場である。これだけはすっきり気分よくいられるところであるなあと自分を慰めているところ。
 

2015年12月23日水曜日

図書館の憂鬱

 今週から無事に職場復帰している。長かったがこれで心安らかに年が越せる気がする。
 今日は祝日だが、天気下り坂で釣りには行かずうだうだしているところ。

 復帰前に、なまった心身のリハビリのため、電車に乗って出かけてどっかで時間をつぶして帰ってくるというのをやっていたわけだが、あまり似合いも馴染みもせず尻のすわりの悪いカフェよりは図書館の静かな空間がありがたかったのでよく利用した。

 そういうありがたい図書館に関する話題。
 何人かの作家と出版社が連盟で図書館協会に「新刊本をすぐに貸し出すのは止めてくれないか」という旨の申し入れをしたそうである。
 ネットで無料でお手軽に娯楽が手に入る時代に、出版業界というのは恒常的な売り上げ減に苦しんでいると聞いているが、それにしてもどうなのよという申し入れ内容。
 まあ、それで飯食っている人たちにしたら死活問題で、新刊本が図書館で貸し出される時期を遅くしてもらえればその分多少なりとも売り上げが増えるだろうという主張も分からないでもないが、「図書館」というおよそ人類の文明が作り出したもののうちでも最もすばらしいものの一つではないかという仕組みに対する謀反ではないかと疑問を抱く。

 図書館の機能は簡単にいってしまえば情報資料の保管共有であると思う。個人ではとても収集して整理して保管してということができない量の本など情報媒体を、税金などみんなの負担の基に扱い、貸し出したりといったサービスを提供する。だから基本的には図書館の本はみんなの財産であり、誰でも平等に利用できる。
 インターネットもある種情報資料の保管共有の機能を持ってはいるが、パソコンなどネット利用に関わるコストは無料ではないし、有り体にいえば年寄りとかそういう媒体になじみのない人間には使うことが難しく、システムとして複雑である。
 その点図書館は単純明快である。本を持ち帰るには貸し出しカードとか作る手間がいるが、開館中に館内で読む分には何ら面倒な手続きも発生しない。
 貧乏学生だろうが、ホームレスだろうが本を読む楽しみや資料にあたって調べものをする利便性はあまねくみんなに開放されている。

 これは相当に裕福な国でないと運営できない制度で途上国では図書館も学校もろくにない中でものを学ぼうとしていくと、最近ではネットが一番安上がりらしいとも聞く。
 要するに文明的な社会って何だと聞かれたときに、答えの一つとして「図書館が利用できる」とあげるぐらいのありがたいものだと私は思うのである。別に文明的でなくて野蛮でもいいっちゃいいんだろうけど、本読みとしての私は文明の恩恵を享受したいと切に願うのである。

 とはいえ私は若い頃から「本は買って読め、家は借りて住め」のことわざどおり、読みたい本は買ってきた(読み返したくなったときに手元になかったり、そもそも期限内に読まなければならないのは煩わしい)ので、図書館を利用するのは調べものの必要があるときぐらいなのだが、それでももし自分が仕事も金もなにもかも失って異土のカタイとなるとても、図書館で本を読むという楽しみは奪われることはないんだなと思うと心強い。

 図書館でタダで読まれると困るという出版側の気持ちは分かるが、タダで読む環境さえなくなった場合に本を買って読むかというと、それはもう本など読まなくなるのではないかと思う。
 今回の申し入れはタダで読ませるなと言っているのではなく、新刊本は少しタダで読むのは待ってくれという内容ではあるが、そうやって図書館のサービスの質を低下させ魅力を減じることは、図書館をきっかけに読書の楽しみを知る未来の読者を失うことにつながっていくのではないかと思うのである。
 ネットでタダで観られる映像やら読める情報やらではない「本」ならではの魅力は間違いなくあると思うんだけど、それは今の時代には放っておいて誰もが気づくという状況にはなくて、なりふり構わず宣伝してタダで撒き餌してでも読者を釣らないと結局は「本なんてもうオワコン、ダレも読まネ」ということになりかねない。

 本が売れなくなって、面白い本が作られなくなるなんてのは私のような本読みには耐えがたい苦痛なので、小説でもマンガでもこれからもガンガン買っていくつもりだが、どうか出版サイドも近視眼的にセコい利益を得ようとした結果「本を読む」という文化自体の衰退に手を貸さないようによく考えていってほしいと思うところである。

 我が家の最寄り駅の周辺には駅ビルと商店街に2軒の本屋があったが、商店街の方はつぶれてしまった。出版業界を巡る状況がことほど左様に厳しいというのは肌で感じるところだが、それでもなお、というやつである。

2015年12月19日土曜日

バルサ50がお安くなっています


 バルサ50ネタを書いたことが、どこか自分の心の中のスイッチを押してしまったようで、バルサ50のルアーが欲しいという気持ちが自分の中で着々と育っていき、辛抱たまらンようになってしまった。
 やっぱりバルサ50ならトップだよねということで、そうなるとやっぱりペンシルを意のままにアクションさせてちょっと小生意気なサーフェイスプラッガーでも気取っちまおうかと「ビッグラッシュ」を街の中古釣り具屋に漁りに出かけた。

 「バルサ50よフォーエバー」的な気持ちがあるのなら、版権買ったザウルストレイン製の新品を買うのが義理というモノかと思う。思うんだけどオリジナルが5,200円、ビッグラッシュで3,400円、と物価スライド考えるとそれほど値上がりしていないのかもしれないが、でもお高い。しかもコアなファンが買う分ぐらいを見込んで生産しているのか、ザウルス専門のウェブショップで見ても色が選べるほど残ってない。ちゃんと今でも好きな人がいて売れているというのは自分が買ってもないのにえらそうだが一ファンとして喜ばしい。
 売り切れてたけど新作でGTルアーサイズのビッグラッシュスケーターとかがデカシーバス用に作られてて激しく物欲を刺激された。使う予定もないのに発作的にポチってしまわず売り切れてくれていて良かったのかもしれない。

 ということで今すぐ欲しいぐらいに物欲が高まっているところに新品は手に入りにくいようなので中古屋へということにあいなった。
 ねらう獲物はさっきも書いたようにビッグラッシュ。の中でもウォーカーの方。ビッグラッシュと言えば、どちらかというとスケーターの足の長いロングスライドがバルサ50の代名詞というか伝説になっているが、水面の上を左右に動くだけならザラでもエエやんけという、全くもってサーフェイスプラグのペンシルベイトのなんたるかをこれっぽっちも分かっていない認識の下、ダイブもこなす器用なウォーカーの方がなんか使ったときに面白そうと、バス釣りなど数年行っておらず、次にトップのプラグを投げるような贅沢なバス釣りにいついけるのかなど、まるで見当もつかないが思ってしまったのである。
 ダイブするペンシルベイトもいまどき別に珍しくないけど、レッドペッパーのような不規則な小魚逃走系のダイブをするやつが多くて、サーフェイスプラッガーとして意のままにダイブさせて首振りなどの演出を加えて楽しむというのとはちょっと違うように思う。古いザラは竿をあおるとドボンとダイブしてくれた記憶があるが、そういう感じのアクションを求めているのである。私がしらんだけで今時のルアーにもそういうタイプはあるのかもだが「バルサ50が欲しい」というのが発端なので知ったこっちゃないというものである。

 でもって、中古屋に行くと、びっくりするぐらいに安く売っている。バス用のトップのプラグなんて気にしてみていなかったが、バルサ50とついでにズイールのルアーはタマ数も多いし「これ会社つぶれたときにパッケージする前の段階のが流れたやつやろ」という感じの新品同様のが1000円かそこらで売ってる。想い出の高嶺の花が場末の水商売のオネーチャンになっているのを見つけてしまったような気まずさが漂う。
 仕方ない俺が面倒みてやるかと、3つほど買ってしまった。ついでにホッツィーとスケーターのジュニアサイズも買って度量の大きいところを見せつけてやったところである。改めて塗装キレーだなと感心するが、ナマジ的にはよくルアー作るときに真似してた黄色のコーチドック模様がなんともかんともイイ。

 なんというか、なぜみんな争って買いあさらないのか不思議な気がする。バルサ50にせよズイールにせよ全盛期には釣り具屋の棚に出したら出しただけ売れるような人気ルアーだったわけである。高かったけどそれだけの価値があるルアーだと思っていたし、事実優れたルアーだと思う。それは今でも変わらないはずだ。
 バルサ50のペンシルとスイッシャーってリグがヒートンなんだけど、よく考えるとバルサにヒートン止めだと抜けてしまいそうなものである。なんか上手いこと工夫してるんだろうなというぐらいに気にとめる人間はいるかもしれないけど、その秘密を知る釣り人はあまりいないようで、ネットでググっても情報でてこない。
 でも私はその秘密を知っている。なぜならその疑問を明らかにするためにF師匠がビッグラッシュ解体して調べたからである。貧乏な学生の頃だったので「2800円もするルアーこの人割ってしもたんかい!」とビックリした。ビックリラッシュである。飽くなき探求心というかこだわりというか、今でもほとほと感心する。
 割ってみた結果「バルサの真ん中に堅いウッドの芯が通してあってなァ、そこにヒートンが届いてるんさァ」とのことであった。

 50以上の工程を経て作ってあるというのが名前の由来の一つだそうだが、結構改良加えながら工夫して作ってある力作で昨日今日出てきたような、なんかガチャガチャと見える金物のリグだけ格好付けたようなトップウォータプラグとは別物だと思うんだけどどうなのよ?と、まあそういう風に思うのもひいきの引き倒しで、則さんたちに上手く洗脳されたからなのかもしれないが、もしあんまりリアルタイムでバルサ50に親しんだことのない若いルアーマンでトップのプラグが好きならば、中古が安く手に入るのでちょっと買って試しに投げて欲しい。それで気に入ったら新品も買ってくれるとうれしいなと、オッサン釣り師は別にザウルストレインから金もらってるわけでもないのに書いてしまうのである。
 だまされたと思って是非。たとえ騙されたとしても後悔はしないはずです。 

 ということで、割とすぐに帰ってきた「ルアー図鑑うすしお味」第27弾は中古の値段をみるとB級だけどホントは永久にA級のバルサ50ビッグラッシュウォーカーでした。

2015年12月12日土曜日

モスバーガーがわりと好きだ

 ハンバーガーってあんまり好きじゃない。
 代表的なハンバーガー屋であるマクドナルドなんて、学生時代50円セールというのがやっていたときに「ハンバーガー10個」「お飲物はいかがいたしますか?」「いらンッ!」というのをやった記憶があるぐらいで、まあ、そういうのを求めるべきではない種類の食い物なんだろうけど、たいして旨くもないし量があるわけでもなく、単位価格あたりどれだけ腹が膨れるかという費用対効果を重視しがちだった我が食の人生において、夜遅くに腹を空かして車を走らせていてコンビニか牛丼屋が見つからなかったら利用するぐらいのもので、コンビニもないのにマクドだけあるという状況は今日あまりないので、ここ数年利用した記憶がない。

 最近業績不振で店舗をいくらか閉店整理しているらしいが、関東近郊ならどこでも駅前や街道沿いにマクドぐらいはあるぐらいに一般的な存在である。
 でも、我が故郷の街にはマクドはなかなかやってこなくて高校生の頃、街にはロッテリアとモスバーガーはあったけど、マクドはなかったような気がする。
 我が故郷のちっちゃな街からみても、さらに田舎の漁師町からでてきた同級生が、駅前のロッテリアで「ビックマックください」とオーダーしたのは「剛のモノがおるナァ」と高校で伝説になっていた。
 ちなみにハンバーガー屋ではないがケンタッキーフライドチキンも中学生の頃に我が街にやってきた。初ケンチキはご飯のおかずとして我が家でまずまずの評価を得た。ファーストフードを白飯のおかずにするというネタは吉田戦車が老夫婦がピザでやるネタを描いてて吹いた記憶がある。

 どうでもいいっちゃいいが、ファーストフードの略称は東西で異なるようで、マクドナルドは東ではマック、西ではマクド、ケンタッキーは東ではケンタ、西ではケンチキとなる。ケンタッキーはまあいいいのだが、マックって小さい「ッ」を勝手に追加していて略称にあるまじきていたらくのうえに、なんとなくこじゃれた東京モンくさい言い方でムカつく。最近「マクナル」とかいう呼び方もあるようで、こちらはちゃんと略称になってはいるが、さらに東京モンくさいしゃらくささが増量されていてムカつく。

 「マック」にしろ今時流行のなんやらややこしい呪文を唱えなければならないらしいコーヒチェーンにせよ、そういう流行モノ的しゃらくささがどうも私は嫌いらしくハンバーガ屋もコーヒーチェーンも苦手である。ドトールぐらいは時間つぶすのに入ったことはあるが、スターバックスとかの呪文系カフェの敷居はまたいでいない。詠唱すべき呪文を修得する気もない。こちらは「日常」でユッコが「ド、ドッピオ??」とかやってて激しく吹いた。

 「牛丼屋ってのは殺伐としているべきだ」という意見を目にしたことがあるが同意する。私は牛丼屋に限らずファーストフードなんて安い金額で最低限の食い物でさっさと腹を膨らますための殺伐とした店であるべきだと思っているのかもしれない。素性の怪しいわけの分からん食いモンをロクでもないブラック労働で提供しているというのを知ってしまうと「なにがスマイル0円じゃボケェ!」と殺伐とした気分にもなってくるというものだ。

 にもかかわらず、モスバーガーが割と好きである。この文章も数日前にモスカフェという座席のいっぱいある店舗の窓の外を眺めるシートでハンバーガー食い終わって茶をしばきつつ、電子メモでパチパチと打ってたという、客観的にみてスカしたいけすかねェ感じの「おまえはどこの意識高い系やねン」という本来私が唾棄すべきこじゃれたシュチュエーションに浸って書いていたていたらく。
 モスバーガーは費用対効果は悪い。ハンバーガー2個とお茶で千円はする。若い頃はハンバーガー3個にチキンかポテトも付けていたのでさらに金がかかった。マクドに比べればレタスもシャキシャキだし、作りたてで出てくるので、ファーストフードというよりは普通に食事という感じもするが、そうまでしてハンバーガー食いたいか?と自分でも疑問に思う。
 でも食いたくなる。
 大学受験のころ、たまに帰省していた兄貴が夜食にモスのテリヤキバーガーを買ってきてくれた。
 「モスのテリヤキは他のチェーンのハンバーガーと違って旨いよ」とか何とか言っていたような気がする。そのころはいつでも腹が減っていたし、甘辛いテリヤキソースと自家製っぽいマヨネーズのたっぷりかかったハンバーガーは確かに「写真とちがうやン」とつっこみたくなるペシャンコなハンバーガーよりずいぶん美味しかったような気がする。ソースやマヨネーズより兄の気遣いが味の決め手だったのかもしれない。
 まあ、そういう記憶をたまに想い出すから、モスバーガーは食べたくなるのである。

 「Q.E.D」の登場人物の「世界で一番売れているからハンバーガーとコーラが世界一の食べ物だ」という意見には全く同意しかねるが、個人個人の思いいれの中でマクドのハンバーガーが一番だという人がいるなら、自分の意見とは違うからといって別に否定するものではないと思っている。

2015年12月5日土曜日

リハビリの日々

 月曜に病院で診察を受けて、先生からそろそろ良くなりつつあるので、出勤するための準備として、なまった体を動かして1日八時間働く体力と気力を取り戻すために、まずは、電車乗ったり駅の階段上り下りしたり、部屋以外の場所で時間をつぶしたりしてリハビリするようにとの指示がでた。

 体調もそれなりによくなっているので「電車乗って出勤するぐらいワケないって、先生大げさだな」と思ったが、実際に電車乗って、ちょっと買い物などして戻ってくるというのをやってみると、これが3日続けたら太股のうらがパンパンになるほど疲れてしまい、体がおもいっきりなまっているのを思い知らされた。

 先生のいうことには、人間の体なんて2週間も寝込んでいたら使いものにならないぐらいに衰えるそうである。
 完全に寝たきりというわけではなかったけど、2ヶ月ぐらいは引きこもった状態だったので、予想以上の衰えぶりに驚いたところである。

 人間に限らず生き物の体って、使わない器官はすぐに退化してしまうというのは、携帯電話使うようになったら頭から電話番号を記憶しておく能力が退化したとかいう身近な例から、天敵がいなくて飛ぶ必要がないと羽まで退化させてしまうヤンバルクイナとかガラパゴスコバネウとかの離島の鳥などの種の進化の話まで良くある話ではある。

 でも逆にぜんぜん衰えない「雀百まで踊り忘れず」てなこともあったりして、自分の場合釣りの技術なんてのは何十年と培ってきたものであり、数ヶ月やそこらはなれたところで忘れるものではないと思っている。
 自宅療養中、最初の頃、病状がまだそれほど大したことないと思っていた頃と、回復しつつある後半の、しんどかったまっただ中を除いて、しょっちゅう釣りの夢を見た。どれだけ自分が釣りに執着しているのか思い知らされるぐらいに、見るときは毎晩のように見た。目覚めると釣りに行けない自分の状況に心底がっかりした。

 やっとリハビリがてら釣りもできそうになってきている。冬きたりなば春とおからじ。とにかく釣りに行けるのが楽しみでならない、待ちどおしい。
 とりあえず、車の運転はちょっとまだ出先で体調悪くなったりしたら帰って来れなくなりそうなので、電車でオイカワかなと、香港から帰ってきたSUZUKIさんをお誘いして明日行く予定。

 てなかんじで、しばらく釣りにも行けてなかったので健康ってだいじだなあと強く実感するところ。
 病気になりたくてなる人はいないだろうし、死や病といったものから人は誰も逃れられないとしても、それでもみなさんどうかご自愛を。