タイトルにあるとおり、どうも大森DIAMONDの系譜らしいんだけど、話題になるような機種でもなく、大森ファンにも無視されるような機種である。「どうせ”韓国大森”製の大手メーカーと同じようなしょうもないヤツだろ?」っていう予想はある意味正解である意味誤りである。
その辺りの事情を、パソコン椅子探偵ナマジがネットの海をさまよって集めた情報から推理し、みなさまに明らかにする所存である。
すまないが、関係者(大森沼の)を集めてくれたまえ!
まず外観から見ていこう、といっても逆テーパーロングスプールのどこにでもありそうな1990年代後半ぐらいのデザイン。3号が150m巻ける中型機。尻が妙に出っ張ってるのが特徴と言えば特徴か。スプールに「OMORI 801」のロゴと糸巻き量の表示、本体横には「JS2 DIAMOND」の文字が見て取れる。この時点で、大年の大森ファンは違和感を感じても不思議ではない。往年の大森製作所は自社のローマ字略称としては「OHMORI S.S.」をよく使っていて、”オモリ”ではない。こいつはパチモンなのか?とこの時点では思う。思うんだけど調べてみると、単なるパチモノではなさそうな気配が出てくる。
ネットで検索かけて調べてみると、どうもあまり売れずに中古屋ワゴンセールでたたき売られていたようだけど、箱入りでネットオークションなりに出品されているケースが散見され、もう一機種小型の「JS2 701」があったらしいという情報と共に、箱書きから製造元が判明した。
「大森(中国)有限公司」という香港の製造元で、企画自体は日本の「大森ジャパンサービス」という神奈川県茅ヶ崎市にあった業者の主導のよう。その住所は現在どうなってるかグーグルマップ&ストリートビューで調べてみると、すでに大森ジャパンサービスではなくなっているようで歯医者さんになっていた。
かつ、ネットフリマに当時のステッカーが出品されていて「SINCE1953 OMORI 801JS」という文字が竿とリールに添えられたデザインになっており、ローマ字表記が”オモリ”になってるとはいえ、ここまで書いてしまえるのは、商標権なり買ってないとさすがにマズそうで、大森製作所は1952年の創業で(微妙なズレは発売開始が53からとかのような気がする)その後70年代ぐらいに良いリール作ってた黄金時代があって、80年代の「マイコン」シリーズ大ヒットがあって、90年代ショボショボと傾きかかって、生産を韓国に移したり、上州屋に身売りしたりしていつの間にやら消滅。って感じだと思ってたけど、90年代後半に上州屋はくだんの「大森ジャパンサービス」に商標権等を売ったか引き継いだかして、「大森ジャパンサービス」としては当時の”今風のリール”をDIAMONDブランドで作って売りさばこうとしたんじゃなかろうか?というのが今回のパソコン椅子探偵ナマジの推理。このへん、商標権とか上州屋の知財管理担当者に電話して「どうなんですかそのへん!!売ってしまったんでしょ!歴史ある”大森DIAMOND”の商標権を2束3文で!!」と問い詰めたい気がするけど、対人関係苦手な引き篭もり気味のワシには無理じゃて。パソコンで検索して分かるのはこの辺が限界。どなたかその辺情報あればれいによってタレコミよろしくです。
でもって我が家に来たからには分解清掃注油なんだけど、正直あんまり気がすすまんくて、夏に買ったリールの一番最後に残ってしまっていた。宅配で送られてきて現物手に取ってハンドル回した瞬間「あっ、これ瞬間的逆転防止機構入ってやがる!」って判明した時点でやる気はガタンと落ちた。逆転レバーが付いてるタイプってことは、方式は違えどもいずれにせよ面倒くせえ機構なのよアレ(逆転機能省略すればクソ単純な設計にはできる)。
まあ放置しておいても仕方あるまいということで、エイヤッとやっつけにかかる。スプールはアルミ製でドラグノブが分解可能なのは好印象。ここはほとんどのメーカーでハメゴロされてる。ドラグパッドも大きな硬質フェルト製の3階建て方式で悪くはなさそう。意外と良かったりしてと思ったのもそこまでで、このあとワシ的に評価できたのはラインローラーにボールベアリングが入ってなくて樹脂製のスリーブが入ってるところぐらいで、あとは”なんだかな~”っていう感じ。ラインローラーのベアリングは入れる必要ないし、入れたら重くなるし錆びるし頭の悪い設計としか思えない。ワシわざわざジュラコン製ブッシュを削って大きさ合わせて換装して430ssgのラインローラーのボールベアリングは外しているぐらい。ちなみにボールベアリング無しで運用しても全く問題は無い。当たり前である。 とりあえずスプールのあとは本体蓋開けるか、って分解し始めてオヤッ?となる。重量感からいって本体アルミかと思ってたら樹脂製でやがる。ちなみに重量測ったら340gと同クラスの金属本体のカーディナルC4とかが300gなのに比べても重い。重けりゃダメって話じゃないし、その分丈夫になってるとかなら良いけど、樹脂製本体、樹脂製ローターなのにネジは全てタップネジで、ベールアームとかの取り付けもタップネジで安っぽい作りになっててどうにもいただけない。じゃあ何が重いのか?っていうと一つは悪評高い共回り式の中心貫通型のワンタッチハンドルが重いんだろう。測る気も失せたけど多分重い。それと、この機種の特徴的なお尻デッカチな形状の部分に何が入ってるかって、位置的にスプール上下のための歯車ぐらいだろうなと思ってたけど、実際にデッカいのが入ってるのを見ると何がしたかったんだ?って疑問に思う。ついでにS字の溝が切られたカムも亜鉛鋳造でデカい。重いって。歯車デカくするのはギア比稼いでスプール上下を減速していわゆる”スローオシュレ-ション”にしたかったのと、ロングスプールでスプール幅が広いので上下動の距離が必要だったんだろう。けど、スプール幅が広くて上下幅が必要なら普通は丸ABUのレベルワインダー(平行巻機構)に使われてるようなクロスギア使うんじゃないの?って思うし、実際にはハンドル2.5回転ぐらいでスプール1往復でそれほど極端な”スロー”でもないし、方式は今時のダイワみたいなS字カム方式なんだけど、ダイワのリールがこんな尻デカになってるのは見た記憶がない。普段ハンドル1回転1往復の単純クランク方式のリールばっか使ってるから、いまいち1:2.5が減速値として遅いのかどうなのかも感覚としてよく分からん。S字じゃないけどカム方式で減速してる4桁スピンフィッシャーはどんなんだったっけ?って4400ssクルクルしてみたらだいたい1:1.5ぐらいの感じだったので、減速できてるっていえばできてるのか?その分軽く巻けてライン放出性が良くなってるのか?実釣で確かめてみないと実際のところは分からんのだろうからそのうち使ってみるか?だれか実際に使った人がいたら、もろもろ含めて感想是非聞きたいところ。でもって、気が進まないけどローターのところに”瞬間的逆転防止機構”が鎮座ましましておられるんだろうから、しかたなくローター外すと頭の中に疑問符が並ぶ。
?????なんじゃこりゃ、マルチポイント方式でローターの内側に歯が切ってあるんか?いやいやいや回して止めて逆転とかクルクルやった時点で、間違いなく瞬間的に止まっててマルチポイント方式は遊びが比較的少ないとはいえ、遊びほぼ0の瞬間的逆転防止機構とは明確に区別できる。瞬間的逆転防止機構は浸水やら気温低下による油の粘度変化で作動しなくなることがあって、誤作動しても最悪急に逆回転掛かって手を怪我するようなことがないように、大型スピニングでは保険的にラチェット方式も付けてあることがあるって聞くけど、レバーやらバネやら何をどういじっても、ローター裏の歯に掛かるようなストッパー的なものは出てこず存在しないので、そういう保険でマルチポイント方式がついてるわけでもない。これ、元々マルチポイント方式のリールのローターの金型をそのまま流用して経費削ってるんだろ?っていうのが真相のようだと推理した。そういえばローター上面にバランス調整でオモリのようなのが固定されているけど、上から2枚目の写真で黒く見えてるこれ、重くもなんともない樹脂製なんである。元の機種では金属製のオモリでバランスとってたのを必要なくなったので樹脂の部品噛ませてあるだけに思う。そういう目で見ていくとベールアームの反対側支持部の部品はここだけ樹脂製じゃなくて金属製なんだけど、それだと今度は行きすぎてベールアーム側の重量が足りんくなったらしく、一番下の写真の様にベールスプリングの下に真鍮の板を何枚かぶち込んで調整している、っていう感じのやっつけ仕事。じゃあ、どこのメーカーのリールの金型流用かなって考えると、当時マルチポイント方式の逆転防止を採用していたのはシマノもあったけど、基本的にはリョービの印象が強い。メタロイヤルしかりサイノスしかり、機種特定できるかなとネットで当時のリョービの機種を見てはみたけど、特定までは至らなかった。ただローターナットの緩み止めにネジを一本入れるのはザウバーとかでも見られたし、上州屋繋がりでもあるしリョービがくさいとパソコン椅子探偵ナマジとしてはにらんでいる。ちなみに「ザウバーVS 2000 Zi」っていうリールが尻デカでひょっとするとその血筋が入っているのかもしれん。
でもって逆転防止は上の写真のニードルローラータイプの一方通行ベアリング(ワンウェイクラッチ)を上の樹脂の歯車でキュッと締めるか緩めるかの方式。下の写真の様にローターの下に鎮座してるけど、当然ながらこの位置は浸水しておかしくないけど防水でも何でもない。こういうアホな設計のリールが幅をきかせてたから、「リールは水道の蛇口からジャバジャバ水をかけてはいけない」とかワケの分からん話になって、スピニングリールに”防水性能”とか水辺で使う道具に、わざわざ新機能として宣伝しなきゃならんのがそもそもおかしいモノを高らかに宣伝文句に謳うようになったんだろうっていうチャンチャラおかしいお話。4桁スピンフィッシャーの逆転防止機構もローター下に入ってて、当然浸水は想定されるけど、ラチェット式は完全水没したところで普通に機能するので錆びない素材選定さえちゃんとしていれば機能的に全く問題ないうえに単純で安上がり。ローター軸のギアの直上、本体内に逆転防止が入ってる機種なら防水性もかなりある。大森オートベール方式しかりカーディナルCシリーズしかり。ローター下に剥き出しで瞬間的逆転防止機構もってくる仕様とか、そういう防水性に乏しいリールを使う人達って、雨の日には釣りに行かないのか?と雨が降ったら喜んでシーバス狙いに行く釣り人としては思ってたけど、たぶん雨の日には釣りに行かないんだろうし、磯で波飛沫をかぶったりもしないんだろう。せいぜい天気の良い休日に防波堤でサビキかチョイ投げぐらいで、サビキもチョイ投げも真面目にやると難しいし馬鹿にしてはいけないと知ってはいるけど、そういう人達は釣れなきゃそれでいいやで難しさに到達するほど釣り込まないだろうし、年に何回か使って道具も使いっぱなしで、であれば耐久性に優れた良品を求める必要などないし、ワゴン売りのイチキュッパー、ニーキュッパーぐらいのリールで、それなりに”今時”っぽい見た目をしてて店頭でクルクル回したときに軽く滑らかに回って遊びもなければそれで満足なんだろう。需要があるから供給があるっていつもの話。防水性という話で言うと、まだローターの下の逆転防止機構はマシな方で、いつも不思議に思ってたのはなんであんなに水が入るラインローラーにボールベアリングが入ってるかな?ということで、あそこは浸水防ぐのはエラい大変。特殊な防水シーリング済みやらセラミック製やらのボールベアリングはクソお高い。錆びないルーロン樹脂系ブッシュなら10個単位で数百円のお値段である。
そういう視点でこのリールを見ると、それなりに”できてる”のが理解できる。回転は滑らかで、ちゃんとガタつきを薄い銅の輪っか状のシムリング二枚で調整してあって、分解してパーツクリーナーで洗浄したらどこからともなくシムリングが現れてあせった。填まりそうな箇所はハンドル軸のギアの両サイドか、スプール上下の歯車の裏かなので、3箇所順に試してみたら、ハンドル軸のギア蓋側のボールベアリングとの間が正解で、それ以外だと明確にハンドル回すと”ギアゴロ感”が生じる。その場所は分解するとき見逃さないだろうと思っていたけど、シューマイ弁当の蓋裏にくっついてしまったシューマイみたいにボールベアリングの裏にくっついてて分解時気付かなかったんだろう。ベールスプリングもコイルグルグル方式で壊れないだろうし、ローター下に浸水させないような晴れの日の釣りなら瞬間的逆転防止機構も不具合起こさないだろうし、”遊び”がないと起こしたベールの位置調整がやりにくいとか玄人衆のような不便を感じるほどの腕もないだろうし、ラインローラーにはボールベアリング入ってないのでそこは錆びる心配もない。分解清掃などしないのならネジは樹脂本体に直接タップネジでなんら問題ないだろう。ドラグはむしろもっとケチって赤いファイバーワッシャー1枚方式とかの方が”ツマミがきちんと締まる”し安く上がったかもだけど、ロングスプール機には普通3階建てのドラグ入れたくなるというものだろう。ただ、それを”大森DIAMOND”の名前でやる意味があったのかって話で、この時代になると当然韓国製やら台湾製、その他アジア各地新興工業国からの安っすい似たような機種はワゴンにぶち込まれてただろうし、国内大手も安い価格帯は生産拠点海外に移したりしつつ、全力で広告も打って売りにきてたはずで、元々このリールがワゴン売りを想定してたのか、もっと高めの価格帯で勝負しようとしてコケてバッタモンとしてワゴン売りになったのか、おそらく後者なんだろうけど、そうであるならなぜこんな当時どこにでもあったような仕様のしょうもないリールにしたんだろうかと疑問でならない。もうとっくの昔に”ダイヤモンドリール”のブランド価値は地に落ちてたはずである。だから上州屋も2束3文で手放したんじゃなかろうか?
ワシが今、”大森DIAMOND”の商標権を手に入れたなら、って頭のおかしい妄想をするなら、以前にも書いたけどマイクロセブンCシリーズの手直しをして、ベールスプリングの強化、スプールエッジ形状の最適化、糸巻き幅とスプール上下幅の一致、ラインローラー形状等調整、ハンドルノブの形状オプションパーツ化、をやりたいところだけど、いかんせんマイクロセブンCシリーズは人気がない。銭の花が咲く目がまるでない。となると狙うは、史上最強級の単純軽量機「キャリアー」を上記と全く同じ手直しをして復刻完全版「キャリアUP」として、もいっちょは大森インスプールの最終形「コメット」のこれまた同様の手直しをベールスプリングはインスプールの場合そのままで良さげなので放置して施した復刻完全版「パーフェクトコメットさん」として、釣り具業界に殴り込みをかけたい。あと大事な事を忘れるところだった。銘板をくっつける接着剤は耐久性に優れたのを使う。これ重要。
などと耄碌したジイサンゆうておりますが、「大森ジャパンサービス」関係者の方でまだ商標権持ってるよ、という方がおられましたら、是非ご連絡を、2束3文で買いたたかせていただきますのでよろしくお願いします。
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