2022年10月1日土曜日

パソコン椅子探偵ー君の名は?稲村編ー

  日課のネットオークション巡回中、なんか細長いインスプールのジャンクなスピニングが目に付いた。見た目ボロく銘板も見当たらず、”中古なんでも屋”が買い取ったガラクタの中に混じってたようで、千円の開始価格で投げ売られてたけど、多分ワシが入札してやらんと誰も買わんな、と思ってしまうともう負けでスルリとマウスが滑ってダブルクリック。今回も止められなかったんじゃ~!

 予想どおり落札で送料入れて1680円でやってきましたこのゴミスピ。多分稲村製作所の「ロディーマチック825RL」の銘板落ちか同型機、ひょっとするとサイズ違い?あたりの稲村製作所製のスピニングでございます。1970年代初頭にダイワに吸収された稲村製作所については”ロディー”ブランドで海外、国内で売ってたほかヘドンブランドのOEM(相手先ブランド名生産)なんかもあったりして、昔のダイワのインスプールリール「7250HRLA」には稲村製作所の影響が見てとれるとか、古いリールをいじってると気になる存在ではあって、何度か入札したことはあるけど、”稲村沼”にも沈んでる住民はいるのか、稲村沼民なかなか強敵で落札には至らなかった。ということで気にはかけてたので今回のブツにもその妙な長い形になんか見覚えがあった。「ロディーマチック」には「820A」「2400」といった細長いスピニングがあってその系譜だなと”あたり”はつく、今回のは左右両用なのと逆転スイッチの形状等から「825RL」だろうとパソコン椅子探偵としては推理した。細かい所だけどベールアームのリリースレバーがかかる”切り欠き”の形状の癖が独特で稲村っぽいところだと思ったりもする。

 届いたブツを確認するとフットに「QUALITY PRODUCT OF JAPAN BY RODDY」とあり、推理は外れてなかったようだ。パチパチパチ。銘板はハンドル根元に土星の輪っか状にあるのが外れたのか、もしくは”ロディー”ブランドロゴなしで売ってた版か?

 例によってネジやらナットやら可動部やらにCRC666をぶっかけてビニール袋に詰め込んで、しばしおとなしく順番待ちをしていただいたあと、廊下の特設作業ブースにて居室の愛猫の「なにしてんねん、そんなもんで遊んどらんと、ワレを撫でたりせぬか、この下僕めが!」という視線を受けつつ分解清掃作業に入る。
 とりあえず、古くなったグリスがベットリでろくに稼動しないんだけど、グリスで覆われてた部品達は、年式相応に摩耗してたりはしたけど腐蝕からは守られており。グリスシーリングの霊験あらたかさを改めて感じたところである。

 そして、すでに蓋開けたこの時点で稲村独特という感じが醸し出されているのが、ハンドル軸のギアの上にストッパーの歯が切ってあるところで、これは、ダイワの「7250HRLA」やダイワが作ったと見られるPENN「101」にも引き継がれていった稲村伝来の方式かと。一番下の写真でハンドル軸のギアの端に見えてるギザギザはギアの歯ではありません。歯は裏に切られています。上に見えてるのはストッパーがかかる歯で、通常ハンドル軸にストッパーの歯を設ける場合は、ギアの下にもう一枚ストッパー用の径の小さい”ラチェット”的な歯車を設けるのが一般的だけど、ギア背面?全面をつかうとその分沢山歯が切れるのでハンドルの遊びが小さくできるという設計思想なのかなと思います。

 でもってギアからみていくと、ギア方式はローター軸のギアが直線的でハンドル軸のを斜めに切ってある、ズラした(オフセット?)フェースギア。同様のギア方式はシマノ製の「D.A.M SLS2」でも採用されていた。ただあんまり耐久性とか優れてないようで、使用によって削れ始めてるのが見てとれる。
 ローター軸のギアは芯が真鍮で、鋳造とおもわれる亜鉛かアルミのギアの歯部分が填め込んでEクリップで固定する形となっている。そしてローター軸のギアはボールベアリングで支持されていない。真鍮軸をアルミ本体に鋳込んだ真鍮ブッシュ受け!全国の秘密結社”BBB団(ボールベアリングをボロクソにこおろす者の団、現在団員2名)”団員の皆様お待たせしました。ボールベアリングレス機です。ギア比3.5倍強ぐらいの低速機なのでボールベアリングなんぞいらんのですよ。もちろんラインローラーもボールベアリングとは無縁の固定式。
 ハンドル軸のギアは真鍮を鋳込んだ亜鉛鋳造もので最初に言及したとおり上にストッパーの歯が設けられている。本体が細長いのはストッパーがギア後方に配置されているからというのも一因か。そのかわりギアとストッパーが重ならないので本体は薄い印象。

 ハンドル軸のギアの芯は真鍮が鋳込んであるので、ハンドルねじ込み式なんだけど、これがなかなかに独特でハンドルの逆側にはキャップがされているのではなく、ハンドルの代わりにネジが突っ込んであって、”ねじ込み式の共回り”ハンドルというべきものになっている。なにげにネジ込みのネジが大森みたいな交差したネジ山が切ってある左右兼用方式で、この頃の中小の”リール工場”は大森製作所に限らず、器用な技術を持っていたようだ。

 スプール上下の方式が独特で、ハンドル軸のギア裏(写真上:裏が見やすいようにひっくり返してます)に偏心した円が切ってあって、なんで偏心させてるのかイマイチ理解不能だったんだけど、設計の出発点が左右両用ではないリールのハンドル軸のギアの上に中心を外して”ピン”を立てて、それを左右にオシュレーションスライダーとかのレール上を行ったり来たりさせつつ、スプールの刺さってる主軸を上下させる仕組み(例:マイクロセブンDX)だったとすると、スプール上下は”ピンを行ったり来たりさせてどうにかする”っていう縛りで苦労した結果なんだろう。写真真ん中でお分かりいただけるだろうか?オシュレーションスライダ-が大きく分けて二つの部品によって構成されていて、一番下の写真で外して手に持ってる一つめが本体に刺さりつつ、ピンをギア裏の偏心円に突っ込む。ちなみにピンには真鍮のスリーブが被せてある。ギアが回ると、ピンが偏心円に導かれて行う円運動にともなって、一つめの部品は本体に刺さった部分を軸に、扇状に往復運動をする。二つ目の部品は真ん中写真では見やすいように主軸を外してあるけど主軸が刺さってて、扇状往復運動する一つめの部品の動きの先端方向に設けられた長方形の穴状のレールにピンを刺して、扇状の往復運動を、主軸を上下させる真っ直ぐな上下運動に変換している。なんともややこしいが、これ、後年のPENN101では、同じハンドル軸ギア上ストッパー方式でも、右下の写真の様にギアの上のストッパーの歯の上さらに上に、中心線を外した円形の凸部を設けて、その円を囲むような薄い板で作ったクランクにして、わりと一般的なハンドル一回転スプール上下一往復の”クランク方式”が採用されている。

 本当かどうか自信ないけど、左右両用のスピニングでクランク方式をとなった時に、右写真に見るような、良くある軸を含む形になる輪っかのクランクを使えば単純にできるけど、ピンで発想すると左右に貫通している軸をクランクのシャフトが越えることができずに暗礁に乗りあげる。本機種の方式は部品2個も使って、場所も取るし重くなるしだけど、参考になる前例があんまりない過渡期ならではの工夫と独自性溢れる機構だったんだろうと思うと趣深い。妙に長い本体はオシュレーションスライダーが2個の部品で場所取ってるからというのも一因かと。

 ドラグは男らしく1階建てかつバネ無しで「バネ無しでは調整幅出ないだろ?」と思うんだけど、ドラグパッドが写真左のように分厚い硬質フェルトになっていてその弾性を利用というかバネの代用としていたようだ。ただ、経年でペッタンコになっててあんまり弾性がなく調整幅出てなかったので、ちょうど厚めの2ミリの硬質フェルトもあるので新たに作りました。あれこれいじくってみたら滑り確保した方が良い感じだったので、フェルトをテフロンワッシャー二枚でサンドイッチしたところ、優秀とは言いがたいけれど、まあそれなりのドラグになりましたとさ。ちなみにスプールはワンタッチ式。

 という感じで、全バラしするとそれなりに部品数あって、凝った作りと言って良いかと。なんというかこの時代の職人さん達は、今ほど経費削減とか小うるさいこと言われてなくて、丁寧に仕事している感じがして良いモノです。ただ時代が進むと、その凝ったモノ作りをしていた稲村製作所は、削れるモノはギアの歯以外でも何でも削るダイワに吸収され、職人さん達ひょっとしてドラグにドラグパッドが入ってないようなリールも作らされてたのかもと思うと、ちょっと複雑な気持ちになる。

 ともあれ、固着やら破損やらはなく、無事分解清掃作業は終了、青グリス盛り盛りで仕上げてやりました。組むときに注意が必要なのは、真ん中写真の最後蓋をするときで、蓋に逆転防止の爪関連のパーツが付いてるんだけど、これをバネをたわませて戻ろうとする状態で填めてやるのが唯一の注意点かな?同型のリールを分解清掃する人で日本語読める人が何人居るかわからんですが、その人達には是非憶えて帰って欲しい豆知識でございました。

 見た目は塗装ハゲとかあるし、ギアも摩耗しかかってはいるけど、使おうと思えば使える状態に復帰させることができて今回も満足である。

 サイズは糸巻き量的にはカーディナルC4クラス、でも何度も書いてるように妙に長い。糸巻き量的に同クラスと思われるリールで、我が家にあって使ってるのですぐ持ち出せるシェイクスピア「2062NL-2」と比較してみたのでサイズ感とか感じていただければだけど、2062のサイズ感がまず分からんか?まあC4サイズってことでどちら様もよろしく。写真右が2062で左がロディーマチック、上の写真スプール方面から見るとだいたい同じサイズ感だけど、下の写真で横からの姿を比較するとやっぱり長いというのがお分かりいただけるだろう。長い分は分解して分かったように部品がゴチャゴチャと入ってて、その分重く約385gある。2062は約335gでデカいウォームギアが入ってるのでそこそこ重いんだけど、それより50gぐらいは重くなってる。まあ同クラスのPENN4400ssなんて400g近くあるから使って重いかどうかとはまた別問題だけど、重くて長いのに使って軽いとは思えんのよね。ちなみにC4は約300gとこのクラスの糸巻き量のスピニングの標準的お手本のような重量に収めていて軽すぎず重すぎずで好感が持てる。

 というように、1680円でこれだけ楽しめたら、もう元は取れたって感じなんだけど、使うかっていうと、正直あんまり使いたいと思わないのよこれが。稲村製作所が技術力あってヘドンブランドやらロディーブランドでブイブイいわせてたという、歴史の一端に触れられた気がするし、丁寧な仕事ぶりやら、まだよく分からん中での工夫にも好感が持てたけど、ワシが好きなのは単純な作りのリールで、例えば今使ってる2062系とか超シンプルな設計のウォームギア機だし、前回取りあげた大森のスーパーデラックス系はハイポイドフェースギアだけど左巻き専用の単純明快なインスプールだし、とかに感じる「こういう面倒臭くないリールが使ってて手間かからないし、使いやすくていいんだよ」感がこのリールにはあんまりないのである。同じ稲村製作所製でも、もっと洗練された、前述のダイワ「7250HRLA」の元ネタらしい「ロディーコンバーチブル7250RL」とかは多分好みに合致するかもだけど、稲村沼の猛者どもに勝てねンだわこれが。

 でもまあ、”ボールベアリングレス機”ってのは嫌いじゃないので、気が向いたら使ってみるか?売れるような綺麗な個体じゃないし、使いたい、いじってみたいという方はご相談を。

2022年9月24日土曜日

茶色い三連星

 大きさが違って見えるのは、遠近法や錯視でも、ましてや画像処理でもございません。実際に大きさが違います。 

 左から大森製作所「デラックススーパー777(以下「DS777」と略)」、「デラックススーパー730(以下「DS730」と略)」、「マイクロセブンDX」で、重さ比較すると実測で、約300g、250g強、200g弱という感じです。

 DS777の記事書いたときに「間も埋めたくなってきてスーパーデラックス730もちょっと欲しくなってくるのが”スピニング熱”の怖いとこ。アタイ病気が憎いッ!」といつもの台詞を書いておりましたが、欲しいと思ってしまったら負け!仕方ないね!!買っちゃうよね!?ということでDS730我が家にやってきました。

 意外に弾数は少なめの機種で、綺麗な箱入りとか買っても仕方ないので、絶妙にボロ目の個体が出てこないか探してはいた。実はボロいのがネットフリマに出てるのは知ってたけど、六千円弱と、それなりに程度の良いマイクロセブンDXの値段をみて値段設定したみたいで、同じ出品者の他の出品物見ると釣り具は少数で明らかに相場観をおもちでない様子。とはいえ「人気があるのはもう一つ小さい機種で、相場はこの機種では程度も悪いので3000円いくかどうかだとおもうので3000円でどうでしょう?」という交渉は、ワシが交渉受ける側ならいきなりの半額大幅値下げ交渉は頭にくるし、胡散臭くて信じられないしで、あまり出てこない機種で売れた値段調べるのも一苦労なので、相手側の不信感を買うだけだと思って踏み切れないでいた。その状態で気にはなってたけど半年ほど「お気に入り」に登録しつつ放置していただろうか?値段が下がった。さすがにもとの値段では売れないと感じたのだろう。4千円までさげてた。正直キレイめの個体ではないので3千円なら悩まないんだけどな、と思いつつもワシが買って使えるようにしてやるのがお役目かと、勝手に思って値切り無しで4千円送料込みで確保。8月の暑い時期に買ったので、とりあえずネジやらナットやらにCRC666をぶっかけてビニール袋に詰めてしばらく放置。台風が来てやっと時間の取れる涼しい状況が生じて分解清掃とあいなった。

 まあ、分解清掃自体はマイクロセブンDX、DS777と特に変わったことはなく難しくないんだけど、だいぶ海で愛用してきたのか、最初緑青が浮いてるのかと思ってた、蓋と本体の緑の部分はパテで腐蝕を埋めたあとだった。ってぐらい塩かぶっても手を入れながら使われて来た個体のようで、内部に砂やら塩の結晶っぽい粉末やらがこびり付いていて、整備のしがいがあるというもの。

 一ヶ所、どうにも錆びて固着して外せなかったのがローター軸にハマっている本機唯一のボールベアリング。記憶力の良い皆さんなら憶えておられるかもだけど、我が家にはマイクロセブンDXの蓋を買ったときに”オマケ”として付いてきた、730サイズ用の足のついた本体が保管してある。ベアリングも規格品で、他の大森ダイヤモンドリールのNo.1、No.2に共通の規格品(具体的にはNKS687-H-ZZ)で間に合いそう。ということで交換でも良かったんだけど、パテ塗ってある風合いとか全体の統一感がそこだけ新品だと損なわれるので、とりあえずベアリングはシャーッとか鳴ってるけど重くなるほどではないのでとりあえずパーツクリーナーで古い汚れを飛ばしてからグリスシーリングだけして戻す形とした。ベアリングは真ん中の芯に接する輪っかと玉意外はステンの薄板曲げて作ってる構造のハズなので、ドリルやら金ヤスリやら使って、錆びてるヤツを壊しながら取っ払う方法はありそうな気はするけど今回はそこまでしなかった。

 でもって、シンプルなインスプール、割り切った左ハンドル専用、ハンドル一回転一往復方式のスプール上下、ハンドル軸のギア裏に設けたストッパーという単純な設計は、余計なモノが付いてなくて分解してても部品数少なく楽で好ましい。
 ドラグはいつもの硬質フェルト3階建て方式のがついてるし、ラインローラーは形状的にはマイクロセブンDXのようなラインの落ち着く谷が切ってあるタイプなんだけど、真鍮製のスリーブは入っておらず、油溝が切られた軸で直受けの回転式。このへんは大きさの違う3機種で微妙に違っているんだけど、それが大きさごとにあえて変えているのか?製造時期によって違いがあったりするのか?この三台見ただけでは分からんというのが正直なところ。
 ギア比は3.5:1かもうちょいあるかなぐらいで低速機。スプール径大きめの低速機はわりと使えるっていうのが、PENNの「720z」やミッチェルの「314」とかでも感じるところ。シーバス釣るには悪くないと思う。適度にボロい個体なので海で使うにもそう神経質にならなくていい。まあこれ以上腐蝕しないように大事にするにしても、通常の使用の範囲でボロくなっていく分にはかまわないでよさげ。大きさ的にワシのシーバス狙いに一番しっくりくる大きさはコイツかもなので、どっかで出番作って、世界の釣り人に安価高性能を評価されたと聞く、マイクロセブンDX(輸出機名「シェイクスピア2200」)の時代の大森機がどの程度の実力、成熟度だったのか、自分の釣りの中で感じてみたいところ。さらにシリーズにはDS777より大きいDS800(あるいは888か?)やら同時期の他機種みてると1300ぐらいの大型機まであるのかもだけど、まあ使いそうな大きさじゃないので興味はない。と書いておかないとまた買ってしまいかねないので、興味がないったら、興味がないっ!!と念押ししておこう。

 でもって、今期自分の釣りの中で試しているリールに、シェイクスビア「2062NL-2」ゼブコ「44クラッシック」があって、好調に楽しく使ってるんだけど、いくつか調整したことがあるので、ワシの備忘録がてら皆様のご参考になればと書きとめておきたい。
 
 まずは「2062NL-2」のベール反転機構の不具合についての調整。
 右の写真一番上の不具合が一目で分かるだろうか?2062系の古い機種は、ベールアームとベール反転機構がローターの反対側にあって、上の写真はその反転機構のトンガリ部分が、一番下の写真では左で止まっているようにベールを開放するトリップレバーを右に越えさせてはならぬ!のに越えてしまっているのである。この状態ではベールが起こせない。直前に、ややベールの返りが渋かったのでベールワイヤーの形状を調整して軽やかに返るように調整しており、その後持ち出した釣り場でこの状態になって困ってしまったのである。本来なら反対側のベールアームのストッパーが真ん中写真の様に効いた時点で、一番下の写真の様にトンガリ部分を越えないで止まるのが正常だけど、軽くベールが返って勢いで越えてしまうようになった。これはベールワイヤーの形状を捻って調整して、ベールアームが止まる位置でトンガリの手前というかやや上までしかトリップレバーが来ないようにしてやって解決した。後年の2062系は、このベールアームの反対側に反転機構を配置する形式をやめて、ベールアーム側にどちらも持って来て重量バランスはローター底部の錘で調整しているけど、こういうベールアームの形状がよじれてくると生じる不具合もあっての変更なのかもしれない。心配していたベール反転部分への糸絡みは一度糸ふけ出まくったときに絡んだけど、通常の使用においては問題なかった。百均フェルト製のドラグパッドも問題なく機能していて、良い感じにアメリカンスピニングを楽しめている。
 
 もいっちょ、”アンダースピン”なクローズドフェイスリールのゼブコ「44クラッシック」。メッキ釣りに活躍中なんだけど、こいつはドラグが実際の釣り場では”滑り出したら止まらない”系のドラグで、ドラグパッドの樹脂が劣化してカチカチツルツル状態なのでイマイチ欲しい摩擦が得られていないのだろうと考えて、スプールを挟むようになってる上下2枚のうち、写真一番上のヒビ入ってワッシャーに固着しているドラグパッドをとりあえずなんかでっち上げて交換してみようということになった。
 ところが、元々のドラグパッドが薄い樹脂製で、交換するバッドも填まる厚さが薄くないとEクリップで固定できない。調整幅出すならと最初に作った百均フェルト製パッドも、もっと薄いのをとワンカップのポリエチレン蓋でつくったパッドも、厚くて収まってくれない。なにか薄くて滑りが適度に良くて、ある程度丈夫な素材は?と考えて布とかどうだろうとかも考えたけど、グラスファイバーのシートをテフロン加工したものが、昔ドラグいじったときに使ったのの余りがあるのを思い出して、適当に切り出して填めてみた。適度に表面凸凹がありつつ滑りの良い素材なのでそこそこドラグの塩梅は良くなってくれて、滑り出したら止まらない状態は改善されて、滑りながらもしっかり抵抗をかけてくれて及第点。手で引っ張り出した感触では元の状態でも悪くなさそうだったんだけど、実際に使ってみると思わぬ不具合があったので、やっぱり釣り具は魚釣って試してみんことには評価はできんもんだなと改めて思いましたとさ。ゼブコ44クラッシック、トリガーでラインの放出を微調整するのは、慣れてないのでなかなか難しく感じつつ挑戦中だけど、トリガーだけで手早く手返し良く投げられるのは確かに利点としてはあって、コイツでメッキ狙って連投連投って感じの釣りは結構最近のお気に入り。

 という感じで、実釣を経ての微調整など入れつつ導入したリールを使って魚を釣りつつ、涼しくなってきたので、渋滞しているリール整備も(紹介したいのだけでもあと3台)おいおい進めていきたいなと思うっちょりますので、お好きな人はこうご期待。

2022年9月17日土曜日

頭の中がかゆいのか?

 欲しかったんじゃー!しかたなかったんじゃー!!
 いつものことではございますので、粛々と進めさせていただきとうございます。

 豆アジ以外はまるでダメ!というこの夏、意外なことに8月は我慢してあんまり釣り具買わなかった。
 そりゃ、電気代は感覚的に2割方増えてるし、食料品やらも軒並み値上げラッシュではちょっと老後資金は大事にしておかねばという気にもなろうというもの。だいたい普通の月で(なにが普通か?という根源的な問題は脇に置いて)釣り具に使う金額は3万円と、我が家の食費のおよそ2倍となっており、いざッちゅうときには削れる、余裕の部分のような扱いではあったので8月は絞って1万5千円ぐらいで収めて、ワシもやるときはやるけんネ。と胸をなで下ろしたのだが、9月に入ってなにやら非課税世帯には5万円バラ撒かれるとか美味しい話も聞こえてきて「経済的に困窮ってほどでもないなら受け取り辞退しろ!」という脳内の正義漢の声が聞こえてきたけれど、脳内のキチガイの人はそれを完全無視「これで釣り具ガサっと買える軍資金ができた」と諸手を挙げて突撃体勢に入ってしまい、9月半ばで既に2万円を、必要性に疑問も生じる釣り具に突っ込んでしまっている。

 冒頭写真のルア-達は、前回の”ルア-図鑑うすしお味”第52弾でアタリをつけた対シーバス用のルア-の買い増しと、気になってしまってたのを結局買ってしまったモノその他である。とはいえ実はこれらルア-はこの夏の”お買い物”第1弾的なものであり、9月にはまた別の系統のルア-にもご執心でなんじゃらゴチャゴチャと買いあさっており、それらはまた別途紹介の機会を設けたいと思っている。もちろんのことルア-だけでなく、暑くて作業が捗らず分解整備待ちの渋滞が発生しているリールについてもまた買ってしまっている。この台風直撃の連休中になんぼかでも進めねばならぬ。最近”キチガイ”という言葉は言葉狩りにあって、露出が減り馴染みが薄くなりつつあるなか、代替する言葉として”アタオカ(「頭おかしい」の略)”という言葉が台頭してきているが、まさに我ながら”アタオカ”だと感じずにおられない。まあ言葉狩りなんてしたって言い換える言葉が出てくるだけっていうこのしまつジュウシマツ油圧ショベルのコマツですよ。

 一応、説明というか言い訳させてもらうなら、対シーバス用に実戦導入も視野に入れた購入であり、完全に無駄ってほどでもないのかなと。いうことにして見逃してはもらえないでしょうか。我が家には食べ盛りの可愛い猫様がいて、猫様には良い魚食べさせてあげたいじゃないですか。どうかそのへん忖度しておめこ干しを(「ATOK」はまたえらいもん干しやがる)。

 で、まずは前回アタリをつけて、”泳ぎ下手な泳ぐポッパー”としてまあ使えるかな?って感触だったハトリーズ「リトルダイナマイト」が、使ってみるとハクのような水面流れがちな小型の餌が多い春シーズンにガッチリハマってくれて、これまで盤石の一番打者だった「海爆リップレス」に変わって、その日の状況を見るのに真っ先に投げるルアーとなった。こいつの優秀なところは、浮き上がるシンキングペンシルである海爆リップレスが巻き始めてしばらくして後半に爆釣ゾーンの水面貼り付きの棚に入る(それ以前の棚でも食うけどね)のに対して、巻き始めた直後から水面に貼り付いたまま下手くそなユルヨタな泳ぎを始めるところだと思っている。同じような泳層を攻められるルア-としてはマンズ「ワンマイナス」とかのいわゆるウェイクベイトがあるけど、あんなにブリブリとは暴れず、その泳層を小型のルア-がユルヨタなおとなしめの動きで水面に航跡描きつつ泳いでくるのである。効きそうでしょ?竿を高く掲げたり、足場高かったりすると水面上を真っ直ぐ進みがちで、足場低い位置で竿を低めに構えての使用が前提条件になるけど、これは使える!という確信を春シーズン唯一のまともな獲物のヒラフッコやら、そこそこ良い獲物のウグイちゃんとか釣って得たところである。ちなみに、なぜか水面上トップウォーターのルア-の釣れ方と、水面直下の釣れ方は明確に違っていて、わがシーバス釣り場の春の陣においては水面直下が重要な要素だと感じている。トップはトップで効くときも多くて使いどころはあるけどね。というわけで、まずは今後主力級の活躍をしてもらうリトルダイナマイトは買い取り強化月間で買い集めた。まあそれほど人気は無いのでネットオークションとかで6~800円も出しときゃ買える。派手な黄色系オレンジ系が好きだけど、最終的には色塗り直せば良いので安けりゃ買ったのが写真の上の方の10個。このほかに通販している釣具屋で新品在庫抱えてるところを見つけたので、新品3個とちょっと張り込んで確保をこころみた。ルア-を根がかり等でなくすのは常々書いているように、自分の財布に厳しく、釣り場にゴミを残し、釣りのリズムを著しく損なうなど何一つ良いことはないので、ここ数年プラグをなくすのは極力避けるようにしていて、それでも回収不能になるのはあるんだけど年1,2個に押さえられている。”根掛かり覚悟で”などという覚悟は水底にゴミの山を築きラインの林を育むので迷惑なのでやめた方がイイ。今年は根魚狙いでワームの換わりに”鳥皮短冊”を使い根掛かりしにくいように落とし込みでの狙いに絞っているのでワーム(及び鳥皮短冊)の根掛かりも劇的に減っている。おそらく13個のリトルダイナマイトは早くとも使い切るのに13年掛かるだろうし、その間良い色がネットオークションに出ていたら補充するだろうしで、弾数はそこそこ揃ったと満足している。
 でもって、ハトリーズの小型の樹脂製のシリーズには独特の可愛さがあって、つい食指が動いてしまって、写真の様なていたらく。
 左下のアゴがソリ上がったペンシルは「キャスパー」これは普通に首振りペンシルでザラパピーと大きさがかぶるので、ラトル入りとかで違いが出るか、まあでなくても魚は釣れるだろう、真ん中の”タイニーボム”は小さいシングルスイッシャーで、水面チョコチョコと障害物際とかで首振らせて1ヶ所で粘って遊べそうな感じ。シーバス向きではないかも。右の下段、ポッパーの「トレッピー」ペンシルの「キューティーデビル」は、これもダイブさせたり鋭角ターンさせたりと、小場所でバス釣るには良いけど、シーバス釣るのに一定のリズムで首振り続けるあるいは飛沫あげさせ続ける、というのにはあんまり向かないというのが判明。まあまたそういう小場所用のルア-の出番もあるかもしれん。

 でもって、ダイワの”泳ぎの下手なミノー”「ロビン」1個試しに手に入れてみたら、固定重心ノンラトルのわりに、重心が安定していて飛距離がそれなりに出るうえに、泳ぎは昔のラパラだロングAだレッドフィンだっていうブリブリとしっかり泳ぐルア-に比べると、頼りないぐらいに”ヨタッた”ユルい泳ぎ下手。だがそれがイイ!今時のリップレスミノーのやる気のないユルヨタな泳ぎみたいでシーバスにはこれは効くはず。ということであんまり高いのはもとが安いルア-なので馬鹿臭いけど、600円とかならイイかと買いあさってみた。
 下の2本はマジックで黒点が書き込まれていたり、”ワーム焼け”で表面溶けてたりだった個体で、色が地味なのは当地ではあまりよろしくないので、色剥いで黄色系で塗りなおうそうとしてみて、面白いことが判明。一番下の塗装剥いだ個体見てもらうと分かるように、頭の部分は透明な樹脂で、後半が白いいわゆるボーン素材に見える。リップまで一体成形で作るとなると前は透明な樹脂で作りたかったんだろうけど、後ろを素材を変えたのはどういう意図だったのか?重量上げて飛距離確保のためとかだろうか?謎ではあるけど、なんか工夫がされた形跡がある。コイツは多分釣れそうに思うので秋のシーバスシーズン活躍させたいところ。

 でもって残りは、足下狙いの長めのリップのダイビングタイプのルア-達で、その手のを導入するなら「ロングAディープ」と「バングオーディープ」ぐらいは使って様子見ておきたいところと確保。
 ロングAは大好きだけど、ディープはなぜか1個も持ってなかった。東京湾ではラトル入りのシーバスに使うダイバーは「フライングダイバー」と「マジェンダ」が良い仕事してくれていて満足していたので他にまで手が回っていなかったってことだろうか?何にしろ、人気もそれほどじゃないのでリアヒートン時代のを3個安く手に入れることができた。この手のリップの大きなダイバーについて、1つ疑問がある。
 はたしてリップは本体の長さに含まれるのか?ということで魚がリップも含めた長いモノとして認識するかどうかという話である。真ん中写真のリップまで金ピカのはおそらくリップまで含めて視覚からもハッキリ認識できるからそういう長いモノとして認識しているのは間違いないと思う。ただ、他の透明なリップのはどうかといえば、音や水の動き的には”長物”と変わらないだろうけど、視覚的には完全に無視できるほどではなく見えるといえば見ての通りで見えるけど、視認しにくくて本体よりは地味な存在になるだろう。ということで、透明なリップだからといって魚が全く認識しないわけじゃないはずだけど、色付いてるよりはある程度目立ちにくい存在になる。ぐらいかなと思っている。こんな派手な動きのアピール度で勝負する系のルア-で”マッチザベイト”とか考えても意味ない気はするけど、餌の大きさに合わせたいというなら長さはリップまで含めて、あるいは地味な透明リップの分ちょい足し補正かけて合わせるのが正しそうかなと思ったり思わなかったり。まあ、デカいリップでブリブリと水掻き回して暴れる派手さで食わせてしまえって気はする。

 バグリー社「バンゴーディープ」は、バルサミノーで長いリップはやや珍しいかなということで確保。バグリーの古いのは接着剤が劣化してて、リップ引っ張ると抜けることがあると聞いてたので、試してみたらモノの見事に抜けた。確かにリップのアイがワイヤーでフックのアイまでつながってると、コーティングしたあとに本体から突き出ているワイヤーをリップの下から通してアイを整形して止めるっていう難しめの工程が生じるので、リップの下にワイヤーが通っているのはリップからワイヤー整形のアイが抜けにくくリップ割れても本体から抜けなければワイヤーでつながっててルアーも魚も回収可能ってのを確保しているに過ぎないのだろう。この方式はラパラ「シャッドラップ」でも同じだったはず。淡々とエポキシ接着剤で接着し直して現場復帰。バグリーの古物でリップにアイが付いているヤツは使用するなら、グリグリとリップを抜けないか力掛けて確認してみて、抜けたら接着やり直しておくと、魚とやりとり中に抜けてリップだけ帰ってくることが防げると思うので皆様お気をつけて。同じ方式のシャッドラップとかもあまり気にしてなかったけど同様の問題は孕んでると思うところ。

 でもって、ダイバー系はなんとなく気になってしまっていて、グデブロッド社ゴールデンアイ「ヴァンプNグラインド(ヴァンピングラインド)」なんて金属リップのディープダイバーは「ホットN」と丸かぶりだしいらんだろ!と理性では思うんだけど、値段下げてきて2個で1100円とかになると、開高先生が銀山湖でイワナ釣るのにも使ってたような歴史あるルアーが1個600円しないのかよ?と不憫でならなくなり、我が家にお迎えしたくなるのである。仕方ないよね。オレンジの”ゴールデンアイ”に金属リップには社名が刻印されてて、雰囲気あるのよね。買っちゃうのよね~。名前がまた「妖婦の腰使い」って感じでいかにも誘いそうなのよね。

 でもって、これまた1100円と安かったのでマウスが滑った、ストーム社「タイニータビ-」。ストームのクランクは「ファッツオー」とかちょっと手がでない値段になってることが多いけどその他は意外に安い。これは”タビーズ3兄弟”の末っ子でまん丸の本体が可愛らしい。チョリッとした尻尾もキュート。コイツに加えて往年愛用していた「リルタビー」、ディープ・ダイビング・タビーな「DDT」の3つがタビーズ3兄弟なんだけど、コイツらは他のメーカーが作ってたのを金型ごとストームが引き継いだらしく、立体の”ストーム目”じゃないのが人気のない理由とか目にしたことあるけど、充分魅力的で良いルアーだと思う。シーバスにはどうだろうか。

 てな感じで、あいもかわらずルアーも買いまくってます。物価高が進むと何もしないのに実質老後の蓄えが目減りしていくワケで、こんなに節操なくモノ買っていて良いのかと不安も覚えるけど、なんか頭の中がルア-のことで一杯になって買わないとイリイリとして落ち着かなくなる、そういう病気なんで仕方がないという感じの”ルア-図鑑うすしお味”第53弾でございました。

2022年9月10日土曜日

昆虫ヤバいぜ!ーナマジのベクターケースファイルⅡー

  日本の昆虫でヤバいのって言ったら、まあ日本で一番人殺してる生物とも言われているスズメバチ類で、2位が世界じゃ一番人殺している生物の座を揺るぎないものとしている蚊の仲間が来て、蚊は媒介する病原生物であるマラリア原虫なりがヤバいのであってなんか納得しかねるけどまあそういうことにしておく。となると3位は病気をバラ撒くという意味でハエかゴキブリがくるんだろうけど、嫌いな人は名前を呼ぶことさえおぞましいようで”G”と呼ばれているぐらいのその忌み嫌われようからいって、ゴキブリのヤバさは人間に潜在的な恐怖を刷り込むほどのようなので、タダの不快害虫ではないということを赤痢なんて昔の病気になってしまった日本人は忘れてるけど実にヤバいのは論を待たない。

 っていうのは、みんな知ってるし、スズメバチの仲間とか巣に近寄れば警告的に頭上を飛んできたりしてくるので、よほどのアホか不慮の事故的な場面でなければ、それほど危なくはないように思う。国際的な人の動きが活発になって気温の上昇とともに蚊が媒介する病気の危険性が高まっているというのは、一時東京でデング熱が発生して現実味のある事態として広く知られるようになったと思う。ハエとかGとかは逆に潔癖すぎるぐらいに排除しようとされているように思うけど、奴らタフなのでそのぐらいでちょうど良いのかもしれない。

 というなかで、今回ご紹介する写真の昆虫は、意外なぐらい身近だけど、異様なぐらいヤバいという、オオスズメバチが日本の昆虫界の番格ならばさしずめ”裏番長”的存在なので、たまたま我が家に侵入した個体を捕殺したのでご紹介したい。その名を「アオバアリガタハネカクシ」という1センチに満たない小虫にもかかわらず、以前にも紹介した世界中の毒性物に実際に刺されたりしてその”痛さ”を評価するというアホな企画番組「キングオブペイン」で、サソリ、毒蜂、タランチュラ含む並みいる強豪を押さえて、ベスト3に入ったのがインドネシア産の同種か亜種とみられるハネカクシ類で、その体液中に含まれる毒は独特で”ペデリン”というらしいけど、触ったすぐには何ともないけど数時間後に水ぶくれが生じ、番組の実験では潰して体液塗りつけてたけど、水ぶくれできてそのまま放置した結果、一週間後には患部が穴が開いたような潰瘍状の症状となり、実験台となった2人もあまりに予想外な被害の大きさに衝撃を受けていた。

 同様に体液が毒で触れただけで水ぶくれができる昆虫としては、カンタリジンという毒素を持つツチハンミョウの仲間もいて、近年近い仲間のヒラズゲンセイが見た目から”危険な赤いクワガタ”としてニュースにもなっているけど、コイツらはハナバチの仲間(後者はクマバチだそうな)の巣に寄生するというファーブル先生も解明にてこずった特殊な生活史からか、めったにお目にかかれない珍昆虫で、ツチハンミョウの毒はその昔忍者が暗殺に使用してた説もあるぐらいだけど、まずお目にかかれないぐらいのレアキャラでまあ知らんでもどうということはないと思う。

 ところがアオバアリガタハネカクシは、我が家の場所が紀伊半島の自然豊かな田舎だから出現したってわけではなくて、子供の頃に実家でもよく目にしたぐらいで、まあ実家も田園地帯を切り開いた新興住宅地で田舎なんだけど普通に地方都市なら居てもおかしくない。かつ灯りに飛んできて小さいので網戸の隙間とかもくぐり抜けて、気がつくと食卓の上を歩いてたりするのである。間違って潰してしまったりして体液が皮膚に付着したら、なまじ即効性の毒ではないのもあって、水ぶくれができても何が原因か普通分かりようがない。実際、実家ではそれなりの頻度で見かけてはいたけど、幸運なことに一度も被害にあったことはない。とはいえ潜在的には危険で、小さい虫とはいえ知らないと酷い目にあいかねないので、せっかくなのでと写真撮ってご紹介したところ。生きて動いているのを写真に撮るのは危険が危ない感じだったので、潰さないように刺激しないようにとティッシュで包んでビニール袋に入れて冷凍庫にぶち込んで殺してから触らないように気をつけながら撮影したので、ワシのつたない写真技術のせいもあるけど、生きているときの毒虫ならではの美しい色合いが再現できてないのが悔しい。名前に”アオバ”とあるように羽がクシャクシャッと”羽隠し”な感じに折りたたまれている部分が金属光沢のある青で頭とお尻が黒、その他がオレンジという派手な色合い。綺麗なバラには棘じゃないけど、綺麗な虫には毒があるという感じ。室内で見つけたら素手で触らず処理することが肝要。不幸にも体液がついて水ぶくれができたら水洗いしてできれば皮膚科にというところか。

 他にも、意外に知られていないヤバい昆虫というと、チャドクガとヌカカ、ブヨの類だろうか?ヌカカとブヨはだいぶ違うやろというツッコミはあるかもだけど、”水辺とかの小バエみたいな吸血昆虫には要注意”ってことで注意のしどころは似てるのでまとめて気をつけておいても良いように思う。

 チャドクガは、名前のとおりお茶っ葉にも発生するけど、庭木のツバキやサザンカにも幼虫である毛虫が発生するので、毒毛虫の類いでは昔のタナゴ釣り師は餌として蛹を珍重したイラガの類の幼虫も柿の木とかによくいて身近な毛虫ではあるけど、チャドクガとヒロヘリアオイラガの幼虫双方に刺された経験から言って、ダントツでチャドクガの方がヤバい。イラガの幼虫は刺されても瞬間的に”痛いっ”ってかんじでビリビリっとくるだけで、すぐに痛みは引くけど、チャドクガは酷かった。とにかく気が狂いそうになるぐらいの痒みで、皮膚科に飛び込んだら先生一目見ただけで「毛虫ですね」とステロイド軟膏出してくれたんだけど、クスリ塗ってもその日は寝られないぐらいの痒みに悶絶していた。まあ高校生の時、窓から中庭に出入りするというお行儀の悪いことをしていたせいで自業自得なんだろうけど、窓枠から飛び降りたときに、生け垣のツバキにチャドクガの毛虫が湧いてるのに気付かず、肩から背中を接触させてしまい、背中半分赤く腫れただれ、腫れが首筋までのぼってきていて痒いのなんの、っていうのは2度ごめんな経験であった。ツバキなど照葉樹に群れてる毛虫には要注意って話だけど、チャドクガは実は成虫も、そして卵さえ毒針で武装しているという”黒い呪術師”アブドラー・ザ・ブッチャー氏もかくやという”毒針殺法”の使い手なのである。毛虫時代の毒針(フサフサで派手な毛とは実は違う細かい毒針らしい)を繭の中にとっておいて、成虫になっても使うので、灯りに誘引されて部屋に飛び込んできたりすると、毒針が散らばって原因不明の痒いかぶれになったりということもあるらしい。死んだ毛虫の毒針が散らばってもかぶれの原因になるぐらいらしく、ワシ件の高校の中庭の毛虫たちは後腐れないように、花火持ち込んで焼き払った。ちなみに卵の毒針は母親が護身用にくっつけてくれるそうな。毒蛾とはいえ母の愛は偉大だね。

 ヌカカとブヨはヌカカが最近海辺で全国的に増えてるようで、昨年ケン一が噛まれまくって痒くてたまらんかったそうである。ブヨはどちらかというと綺麗な沢水の近くに多くて、目の前をしつこく飛ぶのでウザいんだけど、噛まれるとこれまた痒い。普段刺され慣れてない虫はアレルギー反応強く出るのかヤケに腫れて痒みも長びく気がする。で噛まれ慣れていないと、こいつら見た目は小バエ程度の小虫なので案外気がつかなかったり気にしなかったりして、目の前でその小バエみたいなのが腕の上にとまったなと思ってたら、パカッと大顎を開いて噛みついてくる、ってのを見るまで吸血性の昆虫だと気がつかないことも多く、気がつくと肌の露出しているところに何匹もとまってて、ブヨだと噛んだあとの出血痕も既に何カ所もあったりして、慌てて追い払ったり虫除けふったりしてもあとの祭りで、酷いと一週間二週間と熱持ってボコッと腫れたりして滅茶苦茶痒いのに苦しめられる。双方何種類もいるようで、中には動物の毛の中に潜り込んで吸血する輩もいるようで、ワシ気づかずカザフスタンにて1日帽子からはみ出ている側頭部を餌場として提供してしまっていた。コロナ禍で密を避けるレジャーということで釣りやらキャンプやらが人気のようだけど、蚊の他にも吸血性の昆虫はいるというのを知っておかないと、せっかくの楽しい行楽で長びく酷い痒みをもらうことになりかねないので、皆様お気を付けて。

 とまあ、今回ちょっと知られてないかもしれないけど、わりと身近で遭遇してもおかしくないヤバい昆虫について、皆様に注意喚起して健やけく過ごしていただく一助となればと書いてみました。スズメバチみたいな”大物”は分かりやすく誰がどう見ても危ないので注意するだろうけど、アリガタハネカクシやらブヨやらの仲間は見た目ショボい小虫のくせに攻撃力はヤバめなので、油断なきよう注意していただければなと思っちょります。

2022年9月3日土曜日

密告「魔改造の夜」

  「ここで見たことは他言無用です」とその夜会の案内人から口止めされる。しかし、私はこのような悪魔の所行を黙って見過ごすわけにはいかない。いかなる報復、あるいは禍々しい祟りがあろうとも、今ここに勇気を持って告発したい。

 その夜会は「魔改造クラブ」という秘密結社が密かに開催しており、参加者は驚くような大企業の技術者をはじめ、最高学府の学徒、技術力の高い中小企業の職人などで、私もTヨタだのRコーだのT大だのといったそうそうたる面々をみて戦慄を覚えたモノである。まるでマンガ「グラップラー刃牙」の”地下闘技場”の技術者版を見るがごとき胸の高鳴りを、私は止めることができなかった。

 夜会には生け贄が捧げられる。夜会には生け贄を納めた者も同席することもあり、「魔改造」と呼ばれる、本来の姿をとどめぬほどの異形と化してしまった”我が子”らの”晴れの姿”を時に恍惚とした表情でもって礼賛している。

 ”魔改造”とはなにか?クラブでは「家電やオモチャのリミッターを外し、えげつないモンスターに改造する行為」と定義している。太鼓を叩く可愛いクマちゃんの人形が、魔改造を施され恐ろしい膂力で瓦を何10枚も叩き割り、トースターは会場となった古びた倉庫の屋根に届かんばかりに焼き上がったパンを打ち上げ、イジェクトされたDVDは高速回転しながら射出され25m先のボーリングピンをなぎ倒す。挙げ句の果てにはペンギンちゃん人形が人間とともに縄跳びに挑む。

 こんな狂気の夜がこれまであっただろうか?私は恐ろしい。

 こんなとち狂った、”あたおか(「頭おかしい」の略)”の夜のために、集いし猛者どもは己の技術・能力の限りをもって、魔改造にいそしむ。H技研は宗一郎イズムを継承した挑戦者魂でお掃除ロボを炭酸噴射によって空を飛ばしめ、Tヨタは大人げなく足をタイヤに履き替えたワンちゃんの人形を爆走させ、町工場がボウガン方式のDVD射出装置で、車産業界裏番長Dンソーの高精度なローラー射出装置と真っ向勝負を挑む。

 この狂気の宴に私も心奪われずにいられなかった。焼けたトーストが空高く飛ぶことに何の意味が?クマちゃん人形が瓦割る腕力を得たら危ないだろう?これらの魔改造は何の意味も実用性も持たない。にもかかわらず、参加者は力一杯最高の仕事をやってのけ、我々を興奮の坩堝に叩き込む。そして難事に挑戦して失敗し涙さえする場面もまま目にした。ただ、この夜会の大切なルールとして各種のレギュレーションの他に「失敗してもかまわない」というものが設けられている。実に素晴らしいことである。参加者は、もちろん己が組織の名にかけて、己の矜持にかけて、成功を勝利を求めて夜会に参加する。にもかかわらず、失敗が、全力を突っ込んで攻めた先に待ち受けていた失敗が、時になまなかな成功よりも崇高に輝く瞬間を私は目にした。失敗を恐れず挑戦することのみが次の高みへと我々を導くという、そのことを私は改めて知らされた思いがするのである。

 

 「魔改造の夜」NHK制作のアホな企画番組でふざけてるんだけど、大の大人が、それも一流の知性と技術を誇るひとかどの大人達が、大まじめにふざけているのがとても素晴らしい。彼らは本質的に、こういう”面白い””挑戦的”な試みこそが技術開発や発展につながる、あるいはそのために必要な力を育むということが良く分かってて、真剣に手抜きなく力一杯ふざけているのが実に素晴らしい。こういう企画に社名を揚げて(一部伏せ字だけど)気合い入れて挑戦してくる企業があるというのは、科学技術予算や教育関係予算がドンドンショボくなっていく日本でも、まだ現場は根性あって、工業国としての底力はまだ残ってると実感するところである。国としては落ち目で景気悪い我が国(今は円安で輸出は好調なのか?)だけど、技術力ある企業は自前で生き残るだけの蓄積と先見性と挑戦する心意気をまだ持っているというのが知れて、頼もしく感じたところ。

 って感じで今回サイトの方でやってる「アニメ・映画など日記」の出張版でいかせてもらいました。NHKのこういうネタ番組はけっこう攻めてて好きだったりする。

2022年8月27日土曜日

ゼブコ44クラシックなどというリールに手が出てしまった

  ゼブコという釣り具メーカーは米国では4強の1角に数えられるそうで、我が家にも「クァンタム(量子)1430MG」なんていうベイトリールがあるけど、日本ではあんまり人気がないようで、むしろ米国で往時ABUのスピニングがゼブコ扱いで、あっちのモデルは「ゼブコカーディナル4」とかだったのが日本の釣り人、特に我らオッサンやジ様には印象深いかもで、今回手に入れたブツもタイトルだけみると、ゼブコ時代のインスプールのカーディナルでも入手したのかと思われるかもだけど、ワシそんな人気機種に興味ないからそんなモンに高い金ようださん。入手したブツは写真のクローズドフェイスリール(スピンキャストリール)でゼブコ社「44クラシック」。この手のスピニングロッドにぶら下げる形で使う、ラインリリースがお尻のプッシュボタンではなく脚から伸びた引き金「トリガー」を引くことで行うタイプは「トリガースピン」とか「アンダースピン」と呼ばれているようだ。ちなみに同社を代表するクローズドフェイスリール(アンダースピンじゃない竿の上に付ける方)が「33」で「44」はそのアンダースピン版の位置づけだったようだ(現行機種にはアンダースピンでも名前に「33」入ってたりする)。

 先週も書いたけど、米国の釣り人の選球眼はしっかりしてると思ってる。お子様用の「ディズニーコンボ」とかに付いてるスピンキャストはまあ初心者用なんだろうなと思うけど、どうもそういう初心者向けじゃないようにみえるスピンキャストにも米国では根強い人気があって、その選球眼しっかりしてる米国釣り人が選ぶぐらいだから良さがあるんだろうけど、いまいち使いどころが分からんな?ということをコメント欄で書いてたら「アンダースピンの手返しの早さは状況によってはハマります」って教えていただいて、ナルホドナと思いつつ、手を出すとややこしいことになりそうなので、あえて無視しようとしていたんだけど、一度でも興味を持ってしまったらもうダメなんである。病気って恐ろしい。病は潜伏し無症状のままながく忘れてたんだけど、ネットフリーマーケットにホイと送料込み2500円でこいつが出てたのを見た瞬間、症状がぶり返してしまい思わずマウスがスルリと滑ってしまった。まあ、新品買っても3000円台とかでこの手のリールはあんまり高くないけど、ちょいボロいけどメイドインUSAの時代ので、せっかくなら米国モノが気分なので悪くはない買い物かなと。なんでも最近日本でもバス釣りではこの手のアンダースピンはちょっと流行ってるようで、大森製作所、五十鈴工業の流れを汲むトライアングルブランドの「TU-01」なんていう高級機もあるけど、まあこの手のは本場米国のもっとも米国らしいブランドであるゼブコがアメリカで作ってた頃のを見ておけば、本筋というか大まかな感触は見て取れるんじゃなかろうか。あまり日本人的にコリコリに凝った仕様のとかは、なんか違う気がするわな。

 でもって、スプール前面を穴の開いたカバーが覆う形である、クローズドフェイスリール自体、ガキの頃友達のをちょっと投げさせてもらったことがある程度で、ほぼいじったことがなくどういう仕組みなのか、大まかなところは知識として知ってはいるけど、実際のところは良く分かってないので、そのへん楽しく学びつつまずは分解清掃。

 なんだけど、分解清掃するにもどうにもいつも触ってるスピニングとは勝手が違うので戸惑う。縦に蓋をパカッと開ける構造ではないようで、写真上のデッカいマイナスネジは共回り方式のハンドルを止めているネジで、グルッと一周見ても本体に縦に切れ目はなく縦には分解できない構造のようで、筒状の構造の上と下の蓋をパカッと開けて分解するようである。ということで上の蓋から開けてみる。上の蓋、上部がアルミで裾の方というかネジが切ってある方は樹脂製で1ヶ所ヒビが入っているのも値段が安かった理由。まあこの程度、上の蓋は単なる”覆い”で力は掛からない構造なので、あとでこれ以上割れが広がらないように補強しておけば問題ないだろう。

 上の蓋を外すと、スピニングリールだとベールアームやローターにあたる部分が露出する。写真上の上蓋取って露出した部分が回転してラインを巻き取る”ローター”部分、スプールはその下に隠れていて、ローターをハンドル押さえつつ回して取っ払うと真ん中写真のように見えてくる。ちなみにこの機種ではスプール上下がなくスプールは薄い形で亜鉛鋳造っぽい質感。上の写真と下の写真のそれそれ赤い矢印で示したところがスピニングリールでいうところのラインローラーで、ラインを巻き取るときにはこの棒状の出っ張りが上蓋との隙間をなくすようにローターから張り出してきてラインを引っかけて、ローターの下のスプールにラインを巻いていくという仕組み。トリガーを引くと、真ん中写真の中心の棒が押し出されて、ローターがちょっと上がって下写真の白い樹脂製の部品が上がったローターとスプールが刺さってる樹脂製の台座の隙間に入り込むことで、ローターから飛び出してた棒状の出っ張りがローター内に収まり、ラインが自由に放出可能となるというのが投げるときの仕組みのようだ。

 ついでにスプール周りで、ドラグの仕組みだけど、ドラグパッドはスプールの上下に薄い樹脂製のパッドを、スプールが刺さってる台座の溝に填まった金属のワッシャーで押さえつける方式で、とても単純なんだけど、スプールが薄くてドラグが機能してラインが出て行くときの角度が小さいからか何なのか、思ったより滑らかで調整幅も広く、こう言っちゃなんだけどショボい見た目に反してなかなかの実力。さすがはドラグの使い方を知っている米国の釣り人向けに売られていたリールである。上のドラグパッドはワッシャーと固着して外そうとしたらペキッとヒビが入ったのでそのままにしておいたぐらいで樹脂製のドラグパッドの弾性とか劣化して損なわれてそうだけど、問題なく良いドラグになってる。ドラグの調整の方法が変わってて、一番下の写真の様に下側のドラグとワッシャーは3つの脚のついた台の上に乗ってるんだけど、そのひとつの脚が真ん中写真の赤い矢印のところでドラグ調整のネジの上下する部分に刺さるようになってて、本体外側の黄色い部分にある調節つまみを回して、台座を上下させてスプールをドラグパッドで挟みつける強さを調整して、ドラグの効きを調整する仕組みになっている。細めのラインでドラグだよりのやりとりしても全く問題ないだけの性能がある。ドラグなんてのはちゃんと機能して当たり前で、今時になってドラグの性能がどうのこうの言ってるリールメーカーは恥ずかしいのでやめてくれって思うところ。ドラグパッド新しい適当なのに交換すればもっと性能上がりそうに思うけど、現状でも充分。

 でもって、上の蓋から外していってドラグ関連まで外したら、左側の写真のように、これ以上外すものがなくなってしまった。下の金属製の蓋を外したいんだけど、真ん中写真のように”か締め”てあって、強引に外していいのかどうか迷ったけど、ぐるっと見て回ると、1ヶ所”マイナスドライーバー入れるならここから”っていう感じの溝が切ってあったので、そこにマイナスドライバー突っ込んで力入れてみたら下の蓋がズレ始めて、ズレた隙間にマイナスドライバー入れてこじりつつ一周したら無事外れた。填めるときは、ある程度は止まってくれそうで、またか締めるのは難しそうなので剥がせる程度の接着剤で着けときゃ良さそう。

 パカッと開けるとこんな感じ、ギアは普通にハイポイドフェースギア、スプール上下がないっていうのはまた原始的だなと思ったけど、トリガーから来ている金具が主軸をグイッと押す構造をみると、これにスプール上下を入れるとなると確かに面倒臭いと理解した。縦割りじゃないので、ここまで割っても、いまいちこの先の進め方が分からんけど、とりあえず外せるところから外していく。

 まずは、ハンドル軸のギアはハマってる樹脂製スリーブを抜けば上に抜けそうなので試してみたら正解。

 ハンドル軸のギアがこれで抜けてくれたんだけど、そのときにハンドル軸ギアの右側にゴチャゴチャとくっついてた逆転防止関係の部品のうち、本体側面にハマってる、ギア裏のラチェットを止める”歯”がポロッと落ちてきて、方向どちらに填めるべきか組み直すときに苦労した。結局はラチェットのギザギザの向きをみてそれを止める歯の向きにすれば良かったんだけど、最初上手くいかなくて、散々悩んで、たまに上手くいくけど、空振りすることが多いので、「これバネの締め付けが弱くて回転の力でラチェットと歯を噛み合わせるのが上手くいってないな」と気がついて、バネをキュッと締めて強く挟むようにしたら正常に機能するようになった。外すときにバネが開いちゃったんだろう。

 という感じで、ハンドル軸のギア周りまでは外れたんだけど、主軸周りがトリガーから来てる金具が主軸のお尻を押さえているので引き抜くこともできず、トリガー自体はハメゴロしてあるのでどうにもならない。おそらくハンドル軸のギアの上あたりにボールベアリングが一個埋まってる感触なので外したかったけど、無理して壊しても仕方ないので、分解はここまでとする。

 スプール上下機構がない。スピニングリールにおけるベールアーム、ベールワイヤー、ラインローラーなどベール関係は、ローター付随の単純な機構に置き換わっている。特に特殊な仕事はさせていない。っていうことで、非常に単純で部品数も少ない。パーツクリーナーでシュッシュ、汚れは歯ブラシでゴシゴシで清掃作業は簡単に終わる。この単純さは好ましく思うし、トラブル生じる要素も少ないし米国人好みだろうなと納得する。

 適宜、青グリスとオイルで整備しつつ組み上げて、お尻の蓋は、信越シリコンで防水シーリングしつつ外れないようにユルく接着。

 上のカバーの裾のところの亀裂は、とりあえず瞬間接着剤流し込んで固定して、外周をフロロの3号でキッチリと巻いて補強、本来なら竿のガイドラッピングに使うような長時間固化のエポキシで仕上げたかったけど、面倒なので百均のエポキシで固めておいた。多少凸凹むらがあるけど補強的には用をなすだろう。

 整備前は巻き重めだったんだけど、グリスを入れ替えたら快調に回るようになったし、これまで、使ったことがない種類のリールなので、これは是非使ってみたいということで、雨の日に整備して、雨上がったら早速実戦投入してきた。大きさ的にはバス用なのか思ってたより大きく270gぐらいで、メッキ釣ってるグラスのグニャ竿にちょうど良い感じだったので組ませてメッキに狙いに。

 たしかに、スピニングリールのようにライン拾ったりベール起こしたりは必要なくトリガーだけで事が済むので手返しは早い。ただ、投げたときにライン放出にブレーキ掛けるのもトリガーを引くんだけど、指でやるような細かい調整はできず、ビタンと止まって水面にボチャって落ちる感じ。慣れてないからというのもあるだろうけど、指にラインが掛かっててある程度その張り具合で、どのぐらい力が乗ってるか把握できてるスピニングの場合と違って、トリガーだと竿にルア-の重さが乗ってる感じとかがつかみにくい、ちょっと細かい正確性の欲しいキャストには向かないかも。あとワシャ近距離特化型なのでそれほど気にならんけど、飛距離もスピニングにはやや劣るかも。手返し重視のバンバン追ってくる状況やらで役に立つかなとメッキ狙いに持ち出してみたところ、1回目は慣れてないし魚も渋くてイマイチだったけど、2回目には扱いも慣れてきて手返し良く攻めて良い感じに釣れた。手返しの他にしっかりラインを絞って巻き込むのでライントラブルが少ないというのも利点のようなので、暗い中、軽い錘で底をとるのでラインゆるく巻いてしまいトラブル誘発しそうな夜の鳥皮短冊の根魚釣りとか、ラインの処理を気にせずやれるし、深さ調整等、細かいラインの出し入れもトリガーで素早くできそうで、以外にいいかもと思って試してみたけど、ラインが出ていくときにスピニングだとパタパタと動きが大きくて分かりやすいけど、アンダースピンの穴から静かにラインが出ていくのは暗いと分かりにくくイマイチ使いにくかった。夜釣りで落とし込む釣りには向かないかも。

 あと、たいしたことではないけど、スプールが奥まったところに入っているので、海で釣った後に洗うときには、上のカバーとローターを外して水洗いしなくてはならず、ちょっとだけ面倒臭かった。

 なかなか仕組みも独特でいじるだけでも勉強になったし面白かったけど、メッキ釣りには好適な感じで塩梅良かったし、上手に使えば他にも使いどころありそうなので、売り物になるような綺麗な個体じゃないので、今後もたまに使ってみよう。

2022年8月20日土曜日

米国人に学ぶ多様性とかいうもの

  今回珍しくダイワです。雨降って作業できる涼しい時間にちょっとでも保留状態で貯まってるリール整備進めるかと、お楽しみリールは後回しで、ネットフリーマーケットで本命リールとまとめて千いくらのクソ安値で投げ売りされてたので、交渉して本命だけ買っても良かったけどモタクサしてる間に買われてしまうとしゃくなので、エイヤと買った時のオマケリールでございますが、いじってみるとこれがなかなかに面白かったです。

 モノとしてはダイワの「リーガルX2005-2B」という、樹脂製、ロングスプールで純テーパーの時代のわりと安いモデルなんだけど、なんといっても特徴はベールアームのところの、引き金をラインを拾った指でいっしょに引くとベールが起きる「オートキャストⅡ」とかいう機構。この機構、日本じゃそれほど流行らなかったけど、一時米国じゃ大流行で各社特許やら商標権の関係でいろんな仕組みや呼び名があったようだけど、必ずと言って良いぐらいにこの手のスピニングを作ってたぐらいで「左手でベール起こす時間ぐらいあるやろ?アメ人はせっかちやな~」と思ったモノである。

 さすがに、もうこの手のリールは売られてないだろうなと、米国釣り具通販大手の「バスプロショップス」を覗いてみたら、なんとまだ売ってやがる。シマノの「スピレックスFG」とかいう機種で、見た目も今時っぽくてシマノは米国用に今でも”素早く投げるための引き金”付きのスピニングを設計して売っているようだ。他にもあるかなと探してみたら、それ以上に衝撃のスピニングを発見。ダイワの「SSトーナメント」が売ってやがる!マジかよ!!国内では「ウィスカートーナメントSS」の名前で1980年代に登場、それまでサーフキャスティング用の大型スピニングに採用されていた純テーパーのロングスプールを樹脂本体の小型スピニングに初めて搭載、その後一大ロングスプールブームを巻き起こし、今のドデカコンパクトなスプール大きめのスピニングへの道筋を作った偉大なる革命機である。あるんだけど、流石に30年以上も昔のリールが新品で売ってるっていうのは、米国人の好みの多様性と良いものは買い支える選球眼の良さにやっぱり敬意を覚えるところである。SSトーナメントは2000年代ぐらいまでバスプロショップスでは現役で売っててその時点ですでに並外れたロングセラー機だったんだけど、よもや令和の時代にまた売られるとは思ってもいなかった。日本市場でABUのインスプールの「カーディナル3」が何度も復刻されるように、米国ではSSトーナメントはそれに匹敵する伝説的名機扱いなのかもしれない。外蹴りでまだ瞬間的逆転防止機構もラインローラーのベアリングも採用されておらず余分なモノは付いていない単純設計、本体樹脂製で大きめアルミスプールにデカドラグ、700以上にはグルグルコイル式のベールスプリング採用と軽くて壊れる要素が少なく使いやすく完成度は高く確かに名機だとワシも思う。おもわず700のほうにマウスが滑りそうになってすんでのところで踏みとどまった。円安じゃなければ摩擦抵抗少なくて滑ってただろう。くわばらくわばら。

 というぐらいに選球眼の良い米国の釣り人がお好きな、オートトキャスト(仮称)付きのスピニング、どんな塩梅なんだろうかというのは正直興味があって、出番はあんまり想定してないけど、せっかくなので分解整備しつつお勉強してみようってことにあいなりました。

 とりあえず、オートキャストの仕組みからまず紹介しておくと、そんなに複雑な仕組みではなく、上の写真で見ていただけるように、ベールアームの”外側”に出っ張りがあって、それをオートキャストの指をかけるところが伸びた根元のところでテコを使って押し上げて回してやってベールを起こすという仕組みになっている。

 適度な長さとか「Ⅱ」ってなってるぐらいだし色々工夫したんだろうけど右手人差し指で軽くベールが起こせるようになっている。ただ、回転にジャマな機構がローターに追加されているので、軽い回転とバランス的にはどうなのかな?という感じだけど、ワシゃあんまり気にしない人なので気にするほどじゃないかなとは思った。

 で、下の写真でちょっと分かりにくいけど、青で示したところが逆転防止の主軸にハマったブッシュの爪の部分なんだけど、ローター一回転につき一カ所しか掛かる場所がない。当たり前だけどハンドル逆転してオートキャストの引き金が手元に来て止まるためには止まる場所は手前側に一カ所しかありえず、何カ所も作ってしまったら用をなさないのは納得いただけるだろう。今時の”瞬間的逆転防止機構”に慣れた人から見たら、遊びが最大一周近くもあるってどうなのよ?って思うカモだけど、釣ってる間普段はストッパー外しておいて、タモ入れとかで片手を離す必要が生じたときだけストッパーを入れる”ミッチェル方式”を経験して普通に使えてしまうと、何の問題もないことがわかる。瞬間的逆転防止機構の利点って、ジギングやエギングでシャクりまくるときガチャガチャいわないっていうぐらいしかなくて、普通の釣りではハンドルを手で巻いている限りミッチェル方式で逆転する状態でも手で止めときゃ良いだけで全く問題ない。ローター一回転に一カ所だけのストッパーでもなんら問題ないことは使わなくても想像に難くない。何度も書いているように、シャクる釣りのときにガチャガチャいわない程度の利点のために、繊細で水が入らないように防水機能高めたりせにゃならんし、低温で油の粘度が上がって作動不良起こしたりもするという欠点だらけの機構を入れたリールばっかりの我が国の市場はアホやと思うんである。SSトーナメントも売ってる米国市場は賢い。

 分解自体は、本体蓋から開けていくのではなく、この時代のロングスプール機には良くある、まずスプールの台座を抜いてローターを外してから本体蓋を開けるという順番を知っていればどうということなく進めていける。

 スプール上下(オシュレーション)はハンドル軸からギアを介した減速式で今時みたいなS字じゃなくて単純な直線の溝。

 ボールベアリングはローター軸に一個、ハンドル軸に一個と最低限で、かつラインローラーには樹脂製のスリーブが入ってて、なかなか好ましい作り。

 全体的に、無駄なモノは入ってない感じだし、樹脂製本体は錆に強いしでなかなか実用性は高そうに思う。共回りのワンタッチつきウッドノブのハンドルもベールを起こす位置が理想的な位置に限定されるので投げたときの意図しないベール返りも生じにくそうだし、ドラグはカーボン繊維っぽいパッドの3階建てのが、大きなスプールを生かした大口径で入れられているし、このへんの安めのダイワは扱いやすく作ってあるんだろうなという印象。

 ひとつ困ったのが、ローター軸のギアにハマってるボールベアリング。

 ローターの下には海水入ります。っていうのを証明するかのように錆びまくり。まあ、海水入ってすぐ誤作動するような面倒くせぇ機構は入ってないので、錆びないように浸水させたら整備しておきましょうって話だけど、この手の安めのリールの常として、使いっぱなしで不具合生じるようになったら買い換え、整備は無し。っていう運用状況が目に見えるって感じで、本体からベアリングごとローター軸のギアは外れてくれたけど、ギアとベアリングが錆び付いて固着。ボールベアリングがシャーシャー鳴ってたので交換したかったけど諦めてパーツクリーナーで錆落とせるだけ落としてグリスモリモリでお茶を濁しておいた。ニッパーやら金鋸使ってベアリングむしり取るようにして外して新しいのに変えても良かったけど、そこまで手を掛ける気にもならず、全体グリス盛ってグリスシーリングで整備終了。

 シャーって音はしているけど回転は軽くなって、使う分には問題無さそうで快調。実際に握ってみて、ハンドル逆転で所定位置までローターを回してオートキャストとラインを指で引いてベール起こす、投げてからハンドル回してベールを返す。って想定しながらやってみると、たしかに左手でベール起こさなくて良い分、左手はずっとハンドルの世話だけしてれば良いし、右手でパチンとベール起こすのも素早くて手返しは良くなりそうで、次々投げる忙しい釣りなら便利な機能かもとはおもう。なかなか食ってこないボイルねらいで数打ちゃ当たるを狙うときとかが想定されるか?まあ、いつも欲しいってほどの機能ではない。

 ひとつ、感心したというか面白かったのがハンドル回してベール返した時の軽さで、国産のスピニングは、左手でベールを起こすワシのような釣り人が多く、重いウッドノブ付きのハンドルともあいまって、軽くベールが返ってしまうと意図しないベール返りが多くなるのでか、ベールの返りが重くしてあることが昔は多かった。このリールは写真真ん中を通っているL字の部品一本の単純な仕組みながら、ごく軽くベールが返るので気持ちが良い。せっかくオートキャストで素早くベールを起こして投げたのに、さあ巻き取ろうっていう段階でハンドル回してベール返すのに重くて一苦労してたら意味がない。意図しないベール返りはベールを起こす位置が理想的な一カ所に固まるので起こり得ないっていうのもあって、ちゃんとダイワさん軽く仕上げてきてて良く分かってる感じがする。これって要するに昔の国産スピニングにおいてハンドル回してベールが返るのが重かったのは、国内メーカーの技術力が劣っていた、リールの適切な使い方を把握していなかった、っていうことではなくて、作れるけど軽くしたらウチの国の下手くそな釣り人から「ベールの返りが軽すぎて勝手に返る」とかいう間抜けないちゃもんが来るので、できるけどあえてそうしてた。って話で、つくづく声のデカい馬鹿なヘッタクソに合わせて道具作って売ろうとすると、ろくなモノが出てこないなって話。下手クソ用に作った道具はワシ程度のたいして技術的に上手くはない釣り人でもすでに使いにくい。アメリカ市場のように当然流行の最新鋭の機種も売ってるけど、特殊な用途のやら、単純な機構の古い設計のリールも売ってるっていうのは、日本の市場規模では無理なのだろうか?カーディナル3の復刻が商売になるぐらいだから、やりゃできる気はするんだけど新しい金型を起こしてってなると採算取れないんだろうか?以前も書いたけどメーカーは何だって作れる高い技術を持っている。でも結局はそれを欲しがる釣り人が居るかどうかが鍵なので、くっだらないボールベアリング数とか、ワケの分からん昔からある技術の焼き直し程度の”新技術”に皆さん騙されてくれるなと、そんなもんに高いお布施を払うなとお願いしたい。

 ついでに、米国釣り市場の”多様性”って話になったので、かの多民族国家で多様性溢れる米国で”ポリコレ(政治的妥当性?)”という名の下の表現の自由に対する侮辱行為についてひとくさり”いかがなものか”と苦言を呈しておきたい。今日日、日本もグローバルスタンダード陣営に巻き込まれてしまってるので、昔から日本も単一民族国家ではなかったにせよ、近年特に都会じゃ店員さんが片言の外国人なのも珍しくないし、紀伊半島の港町でも水産加工場の工員として技術研修生?とかいう名の出稼ぎ外国人労働者が沢山来てて、直売場の特価品確保を巡って女工さんがワシとしのぎを削ってたりする。ってぐらいでいろんな文化のいろんな国から来た人達が暮らしていくには、お互いをよく知って尊重しあっていきましょう。多様性を認めることが大事、差別なんてもってのほか、っていうのはまあお題目として正しい。正しいんだけど、映画だのアニメだので”白人ばかりなのはオカシイ”とか言い出して、ついでに男と女しか出てこないのは性差別だとか言い出して、登場人物にいちいち白人、アフリカ系(黒人って書くと最近は怒られるそうな)、ヒスパニック、アジア系、先住民族、男、女、同性愛者、その他の特殊性癖など、を揃えないと批判されるそうで、新作映画のキャスティングがエラいことになってたりするとそれはそれで笑えるけど、そういう多様性に忖度した作品ばっかになってきて多様性を確保するためのはずが多様性を損なうという馬鹿臭い矛盾が生じてるのを見ると引きつった笑いしか出てこない。彼の国の表現の自由に対するいちゃもんのつけかたはなかなかにどうに入っていて、特にロリコンには厳しいようで、あっちのアニメでは日本の魔法少女モノみたいな作品は「少女が性的に搾取されている」とかいって非難されてるらしい。二次元の絵になに言ってんだ?って思うけど、最近でも「スパイファミリー」のアーニャちゃんがけしからんとあっちではネットで炎上してたと目にして、幼女のアーニャちゃんをみて”性的”っていうのがすぐに思い浮かぶ方がよっぽど変態的で頭おかしいと思ったんだけどどうなんだろう?米国ではそういうわけでジャパニメーションみたいな美少女モノはなかなか作れなくて、仕方ないのであっちのナード(≓日本でいうオタク)は子馬とか出てくる作品で性癖を歪ませているらしい。レインボーダッシュちゃんに欲情できるとかは多様性というもののある意味本質か?日本のマンガで、ロリコンに警告無しの発砲許可がでていて、みつかるとギターに偽装したマシンガン携えたアグネス・ザ・スタンビートが粛正にやってくるという”修正アグネス法”が成立したディストピア(≓パライソ)を描いた作品を読んで腹抱えて笑ったけど、日本でも一時どっかの都道府県が条令でマンガでもなんでも未成年の性的な表現を規制しようとしてて、とある知事が馬鹿でファシストなだけに成立して具現化しそうで怖かった。まあジャパニメーションみたいに画一的に美少女がでてくるのも”様式美”っちゃそうなんだけど、なんだかなと思わんでもないにしても、かといって規制されて女性の登場人物がみな大人でアメコミみたいな頬骨出た顔になったら観る気が失せるのも事実。

 ジャパニメーションで一番ポリコレ的優等生な作品はワシャ「タイガー&バニー」だと思ってたけど、ネットの識者が「ブラックラグーン」をあげていて、人種も様々な犯罪者達勢揃いで確かにそうかもと膝を打った。どちらも面白いので”ポリコレに忖度してアニメを作れ”っていうお題でやれといわれれば、制作者はそれに合わせて作るだけかもしれんっていう気はする。とはいえ表現の自由は、それが脅かされる状況の末路が”言論統制”という言葉から感じる気色の悪さからして想像にたやすいので、レジスタンスとして抵抗しておきたい。なんというか、多様性を尊重して少数者の意見を踏みにじることがないようにっていうのは正しいけど、そうはいってもくっだらねえこと言ってる輩には「馬鹿は黙ってろ!!」って発言権を与えないってわけにはいかんのか?と常々思う。などと、表現の自由の大事さを書いた直後にこんな矛盾したこと書いてまう馬鹿なワシも黙ったほうがええんやろか?

 ”多様性が大事”って昨今よく言われてるけど、わりと匙加減は難しいやね。多様性溢れる珊瑚礁の海よりも、オキアミとか単一種が優占する北の海の方が生産性高かったりする事実も頭の隅に入れておいてバチはあたらんだろう。”正しそうなこと”がいつも正しいとは限らんと天邪鬼としては警戒しておきたい。