2019年7月18日木曜日

私は京都アニメーションが大好きです!!

 嫌な気分がぬぐえない、この憤り悲しみをどうすれば良いのか?

 ”西のジブリ”とも例えられることもある老舗アニメーション製作会社の京都アニメーションが放火され多数の死傷者が出ているとのニュースの見出しが目に飛び込んできて、ニュースのたぐいは見出ししか見ない私が久しぶりにニュースサイトあちこち情報探ってしまった。

 ”西のジブリ”といってもジブリが劇場公開アニメを主に作っているのに対して”京アニ”は深夜アニメ中心に劇場版も作ってるという感じの会社で、芸風は違うんだけど多くのアニメーション作成会社が”アニメーター”と呼ばれるアニメの絵を描く技術者を外注していて、昨今では人件費の安い隣国へと発注することも多く、日本のアニメーターはそういった安い労働力と薄利多売で闘わなければならない黒い職業だと聞いているが、京都アニメーションではアニメーターを自社で育成・雇用してアニメ業界の見本となるような優良企業としても知られている。
 芸風として特徴的なのは、いわゆるオタク文化の”萌え”を00年代の代表作「らき☆すた」「けいおん!」「涼宮ハルヒの憂鬱」あたりで盛り上げた功労者で、特にテーマもなんにもなくても可愛い女子がキャッキャウフフしてる様を描写するだけでもアニメは面白かったりするっていうことと、逆に可愛い女の子をキャッキャウフフさせながらも、深いテーマやらハードSFに突っ込んでっても面白いアニメは成立するってあたりの相反する要素をもってたり持ってなかったりする作品を世に問うてきた。
 最近では腐女子人気もガッチリ取り込んで可愛い男子がキャッキャウフフしている「Free!」なんていうヒット作もあるけど、基本アニオタ向けの良作を作ってきた会社で一般の人は代表作聞いても今一ピンときてないだろう。
 ただアニオタにとっては重要欠くべからざる会社で、例えば私のここ5年ぐらいの年末恒例ベスト3エンタメ編のアニメ部門において、2017年「小林さんちのメイドラゴン」1位、2016年「響けユーフォニアム2」1位、2015年「響けユーフォニアム」2位と年間何十本って観るアニメの上位に高確率で入ってくるぐらいで、オタク御用達のアニメ製作会社なのである。「響けユーフォニアム」は原作書ける表現者を育てるためっていうのもあって自社で立ち上げたライトノベルレーベルから原作者でてきていて、”クールジャパン”とか軽薄な言葉と対局にあるような、本当にオタク文化の根っこの方から貢献してきた会社なんである。
 「響けユーフォニアム」もそうだけど、京アニの描く学園物アニメからたちのぼる青春の香りがどうにも好きだ。「涼宮ハルヒの憂鬱」「氷菓」「中二病でも恋がしたい!」忘れちゃならない「フルメタルパニックふもっふ」。

 こういうときにファンとして何かしてあげることがないのかと思うけど、何ができるって訳でもなく無力感にさいなまれる。
 でも、以前も紹介したけどジジイなので何度でも同じことを繰り返すと、スピルバーグ監督が取材に答えて「オレはディズニーに神聖な負債がある。だから映画を撮り続けなきゃならんのだ」という格好いい表現し続ける動機を語っておられて、それに倣うなら、微力なれどお気楽ブロガーも表現者の端くれとして何か書くべきだと思ったのである。それぐらいしか今はできることがない。
 面白くねぇことも多いこの世の中で、京都アニメーションのくれた楽しいひとときは何物にも代えがたく、オレも京アニには神聖な負債があると思うので京アニへの思いを書き記しておきたい。

 私は京都アニメーションが大好きだ。
 オレの魂の恩人達に降りかかった大きな不幸にお見舞い申し上げます。
 亡くなられた方のご冥福と、怪我をされた方の回復を心からお祈りします。

 最大の侮蔑は無視だと思うので犯人については何も書いてやる気はない。

2019年7月13日土曜日

症例3および4についての報告ー大森製作所タックルオートSS、同マイコンSSの場合ー

 先週に引き続き”スピニング熱”のなかでもやっかいで重篤化することで知られている劇症型大森症の症例についてつまびらかに紹介していきたい。 

<症例3>大森製作所ダイヤモンド「タックルオートSS」

 一番マシだったマイクロセブンNo.1は問題なくかるーく復活させることができたので、次は一番ボロかったタックルオートSSに手を入れることとした。
 そもそもタックルオートSSの本体になぜかマイクロセブンCSのスプールが付いている”ニコイチ”個体で、かつハンドル軸のハンドルの反対側のキャップをなくしたまま海水浴びて放置されていたようで、表面塗装が腐食で全体的にボロいのは我慢するにしても、ハンドル軸のギアも内部で相当さび付いているようで、最初はハンドルは回らないしベールも固着という有様で、さすがにどうにもならんだろうという代物だった。何か使える部品生きて残ってるのだろうか?


 ところが、他の2台と共にビニール袋に詰めこんでCRCぶっかけて一晩寝かせておいたら、割と各部普通に動くようになって、ひょっとしたら使えるようになるんじゃなかろうか?と希望が見えてきて全バラし。
 ハンドル軸のギアは心棒の部分は鉄にメッキがかけてあるようなんだけど、メッキは剥がれてたけど心棒自身に酷い腐食はなく、ハンドルねじ込みも問題なく右左どちらも可能で、パーツクリーナーで洗浄してブラシ掛けたら普通に使える程度に復活した。さすがにベアリングは新品と交換だったけど内部の機械的には何の問題もない状態に回復。
 これまで古い中古リールをいじってきて感じるのは、グリスで覆われている内部部品は腐食しないっていう”グリスシーリング”の絶大な効果で、グリスで覆ってしまうわけにはいかない本体表面とかがボロボロになってるような場合でも、内部に浸水の形跡がある場合でさえグリスが塗ったくってある部品自体は腐食していなかった。

 ということでこれでもかとグッチャリ大盛りでグリスシーリング。グリスの役目として最近のリールグリスにはギアの高負荷での摩耗防止とかが求められているようだけど、ぶっちゃけスピニングリールでギアに高負荷かけてのゴリ巻き自体が使い方間違ってると思ってて、普通にポンピングで竿で稼いだ分だけ巻き取ってればギアの摩耗なんて起こりようがなくグリスはそんなに上等なモノでなくても、ちゃんと油膜で水気やゴミから部品を守ってくれりゃ良いと割り切ってる。まあいうても気を使って対塩水的に定評のあるMAXIMAウォータープルーフグリス使ってるけどな。
 内部の機械的な動きは問題なくなったんだけど、古めのリールを快適に使うのに大事なのは、ライントラブルを防止するために、①ラインローラーの角度を水平にする、②スプールへのラインの巻き上がりを真っ直ぐかやや逆テーパーになるように調整する、の2点で、これを知ってて実行しているのと知らないのでは全く違ってくると思っている。
 ベールアームってベールが返るたびにガシャンガシャンとぶつかって力が掛かっているので、使っているうちに角度が変わってきてベールが深く返るようになってラインローラーの角度も変わってくることがある。
 金属の板を曲げて作ったベールアームなら曲げ直して角度を修正してやれば良いので簡単だけど、樹脂製や金属でも鋳造の、ちょっとやそっとでは曲げられないようなものはこれまで手が出ずに放置していた。
 ただ今回のタックルオートSSはけっこうラインローラーが斜めってしまってたし、壊しても惜しくないようなボロ個体なので以前から暖めていた方法を試してみることとした。


 ベールが返ったときにベールアームを受け止める樹脂製のキノコ型のストッパーが填めてあるタイプのリールでストッパーを太いナイロンハリスを炙ってキノコ型に成型して自作し高さ調整したのの応用編で、ベールアームかそれを受けるローターの面に穴を開けてそこに太いナイロンハリスで作ったキノコ型のストッパーを押し込んで高さを調整して角度を変えるという方法である。
 今回、ベールアームが樹脂製だったのでベールアームに熱したステンレス棒で穴を開けてキノコ型ストッパーを押し込んでから熱したステンレス棒で頭を押して高さ調整した。
 アルミ鋳造とかのベールアームでもアルミなら柔らかいのでハンドドリルがあれば穴が開けられるはずで、ローターかベールアームどちらかに穴が開けられれば同様の方法が使えると思う。
 ベールアームが傾いてくるとラインローラの角度が変わるとともにスプールに対しての位置が下がってくるので、ライントラブルに繋がる”順テーパー”にもなってくるので傾いてきたら対策取った方が良さそう。

 で、ベールアームの角度は上手くいったんだけど、スプールへのラインの巻き上がり調整が苦労した。なにしろ本来のスプールじゃなくて別のリールのスプールが付いているので全然高さがあってない。
 大森No.1サイズだとこの組み合わせではドラグノブの雌ネジが主軸の上部まで届かなくなって締められないんだけど、SSの大きさだと締めることはできるようだ。ただ、普通に巻いたら、きっつい順テーパーで、”プリン巻き”と表現している人がいたけど、まさにそんな感じに巻き上がってしまう。
 順テーパーを補正するには、スプールを下げるかラインローラー(が乗ってるローター)を上げるかで、まずはスプールを下げる一番手軽な方法、スプール座面のワッシャーを薄いのに交換を試すも全く焼け石に水で2~3ミリぐらいはまだ足りない。
 次に追加でローターを上げてみる。ローターとローター軸のギアの間に、ベアリングや枠に接触しないようにジュラコン樹脂のワッシャーの穴を削って調整して填めてみる。大分改善したけどまだけっこう順テーパー。だけど、ローターをこれ以上上げるとローターの下面の隙間が大きくなって塩梅悪そう。
 あとは主軸の穴の位置を開け直して主軸を下げると主軸に乗ってるスプールも下がるはずだけど鉄系の主軸には堅くて穴はよう開けん。
 悩んでたら一つ方法を思いついた。インスプールのABUカーディナルの巻き調整の方法で、その手があったか!と感心させられたのがスプール上下のクランクのシャフトを曲げて主軸が上下する高さを調整してやるという、主軸削ったりする方法に比べると簡単な方法で、幸いタックルオートもクランク方式だ。だいぶ形状は違うけど。
 ということで主軸に突っ込むピンの部分をなるべく下に曲げて主軸のお尻が本体の底を叩かない範囲で下げてやろうとしたけど、ピンを曲げるとクランクのギアの上に乗ってる部分が浮いてしまいよろしくない。理屈ではカクッカクッと2回曲げて主軸に突っ込む部分を真っ直ぐにしてやれば良いんだろうけど、ステンレスっぽいピンはそんな思うようには曲げらんねぇ。
 ということで若干斜めにできたかなという気持ち程度の修正にしかならなかった。

 最後の手段で、ダイワのアンチバックラッシュシステム(ABS)でスプールの形状が元から逆テーパーになってるのを下巻きで再現するというダイワABSスプール以前の結構昔からやられていたらしい”手動下巻きABS”で最終的な巻き上がりが真っ直ぐになるように下巻きを結構な角度で逆テーパーに巻いてなんとか帳尻を合わせた。
 小さくベールアームを折り畳める収納性の良さを生かして旅のお供に持ち出しての実釣でも、ライントラブルもなくドラグの効き具合も優秀で良い感じに使えて、さすがにここまでボロくて元々ニコイチの個体は売るにも売れないので手元において使うことにする。
 ハンドルがハマってない方のキャップがないのは、パイプ椅子の先に填めるようなエストラマー樹脂性の伸び縮みするキャップでちょうど良いサイズのがあったので高さを切って調整し水抜きの穴をウレタン接着剤で封してから填めておいた。
 防水性能も復活。これであと10年は余裕で闘えるだろう。ニコイチで見た目もボロボロで格好良くはない。それでも自分で修繕して復活させたリールなら愛着湧いて気分よく使える。ボロは着てても心は錦。今後”旅の友”はコイツにまかせよう。

<症例4>大森製作所ダイヤモンド「マイコンSS」

 大森製作所の名を世に知らしめた大ヒット作、初代”マイコン”の一番小さいSSサイズで押しも押されぬ人気機種である。箱入り美品なら1万円以上している。
 表面腐食が多くボロ目で回転も重め、音なし切り替えツマミが固着、ドラグは締めてもスカスカで機能していないという状態では3台3千円のジャンク扱いもやむなしだけど、大森のリールがギアまで逝ってたのはこれまで遭遇していない。症例3のように内部に塩水入っていてもなお錆を落とせば復活する程度に丈夫な部品を選んで組まれているので、見た目はともかく内部は無事なのは予想できる。
 音なし切り替えは、最悪できなくても釣りはできる機能だけど固着外せれば外せば良い程度の認識。
 ドラグにおいてはマイコンのリアドラグを前の持ち主が分解後適切に組み直せなくて、っていうのはお約束だと思うので何の問題もないだろう。
 再起不能と思われた症例3のタックルオートSSに比べれば構成部品数は多いにしても、マイコンシリーズ自体初期型もNo.6で経験済みだし301TBと302TBは昔の愛機で馴染みがあり、楽勝気分でこれは勝ったも同然と余裕綽々で分解清掃整備を始めたんだけど、これが予想だにしなかった難敵で思わぬ大苦戦で薄氷を踏むような辛勝。運が良かったとしか思えない有様で今思い返して胸をなでおろしている有様。もう二度とマイコンSSには手を出すまいと誓うほどのトラウマ的に厳しい闘病だった。


 まずは鼻歌仕事だと思ってたドラグでも落とし穴にハマった。
 リアドラグの部分は本体内部と分けて整備してしまった方が作業用のお盆の上が散らからずにすむので、最近使って現役リール棚に置いてあった301TBのリアドラグと比較しながら最初に手を付けて、案の定ドラグパッドとかの順番が写真のようにデタラメだったのを苦笑しながら直してグリスも塗り直して填め直して、苦闘の末の本体復活の後ドラグの効きを確認してみたら、最初ちゃんと作動するのに、すぐに何というか中でずり落ちてしまう感じでスカスカに空振りして作動しなくなる。
 No.6分解したときのドラグの順番の写真や301TBの現物と何度も比較してみるんだけどどう考えてもドラグパッド、ワッシャーの順番は間違っていないので、何がおかしいのかずいぶん悩んで、ドラグパッドの填まっている金属製のスリーブの、ワッシャーが止まる出っ張りの前後に分けて填めてやる必要があるという正解に何とかたどりつくことができた。全部まとめて出っ張りで止めてると思ってたけど、ドラグラチェットを鳴らすギザギザの歯車とパッド1枚だけを出っ張りより本体側に重ねて他をドラグノブ側に重ねるのが最終回答。
 でも本当にしんどかったのは本体内部。基本的にはNo.6と同様の設計である。にもかかわらずSSサイズはメチャクチャ難易度が上がる。SSはその小型軽量がルアーの釣りに好適として人気なんだと思うけど、小型軽量に仕上げるため、リアドラグ化で増えて複雑化した部品を狭い本体内部に配置するためのギリギリの立体パズル的な設計になっていて分解そのものが難しい。

 具体的にはスプールを上下させるためのオシュレーション機構の部品であるオシュレーションカムを主軸に止めているCクリップの上の方の1個。ハンドル軸のギアに隠れるギリギリの位置で外しにくいことこのうえない。これが外れないと主軸が抜けないのでハンドル軸のギアもローターも外せない。全く分解整備できないやんけ!?
 下の方はマイナスドライバーと千枚通しで何とか外したけど、どうにも上のが外せなくて、なんでいつもの単純なクランク方式で主軸に穴開けて刺す方式じゃないのかと”恨みます”って気分になるけど、考えたらリアドラグ方式ではスプールと固定した主軸の回転をお尻のドラグに伝えなきゃならんので、クランク方式にするにしても主軸に穴開けてピンで固定して回転しないようにしてはリアドラグは意味を成さない。リアドラグでクランク方式自体はABUカーディナル(インスプール時代とクラッシックラインのC3とか)という前例があるけど、どうしてもハンドル軸のギアの後方に大きく場所を取るので、カーディナルのように後方というより斜め後方にドラグを持ってくる設計じゃないと下半身が長くなりすぎる。オシュレーションをハンドル軸のギアから歯車で持ってくる方式なら、ハンドル軸のギアとある程度重ねる設計が可能で小さくまとめることができる。マイコンSSはオシュレーションカム方式をとりつつもほぼハンドル1回転で1往復で減速密巻きにも倍速綾巻にも振ってないそうなので、大型機種との並びもあったんだろうけど純粋に小型にまとめる設計のためにこのオシュレーション方式をとっているようだ。なので、マイコンシリーズは単純なクランク方式採用のフロントドラグ方式の小型ダイヤモンドリール達とはハンドル軸のギアに互換性がない。
 てな蘊蓄はCクリップを外すためには何のお役にも立たず、最終的にはCクリップが跳んでどっかに行ってしまう不安におびえつつ、普段は座椅子に座っての作業で力をかけるときは膝上にリールを固定して作業しているのを、リールをお盆に押しつけるように固定して腹ばいで両手にマイナスドライバーと眼鏡用プラスドライバーを持って艱難辛苦を乗り越えてやっとCクリップがリール本体内に落ちたのを確認しようやく峠を越したことに安堵したのであった。所要時間およそ1時間の激闘であった。
 他にローター軸のベアリングが固着してたのも衝撃加えて外すにもドライバーとかあてる場所が小さくて危なかったけど何とかギアごと外して難を逃れた。固着系はどうにもならんときはどうにもならないので運が良かった。ベアリングの回転の軽さとかおもクソ無視して最終的にはグリス盛りまくっておいた。音消しのツマミも問題なく回復。消音部品の爪をぴったりの位置に填めるのに何度かやり直しが必要だったけどNo.6の経験を生かして無事組み付けできた。

 分解してパーツクリーナとブラシで洗浄してみたらばギアとかはあんのじょうピッカピカでベアリングも特に錆びてはいなかったので軽い回転に復活。まあグリスで重くなったけどナ。
 ちなみに金属パーツ小皿にまとめてパーツクリーナーに浸してブラシがけしてるけど、手間食って非効率でもバラした順番に並べておいて一つずつ作業していった方が良い、っていうか基本。そうしないと組む順番が分からなくなる恐れあり。慣れればデジカメで分解するときに写真押さえていけば問題なく組めるようになるので手抜きしてます。
 ついでに、どうでも良いことだけど、マイコンがなぜ「MI-CON」で私のコンピューター的に「mycom」やマイクロコンピューターの略の「micom」じゃないかって話は、多分「マイクロセブン(MICRO7)」のマイクロとコントロールあるいはコントローラー(Controller)をくっつけた、リアドラグで”精密に調整できるよ”的な意味で名付けた一種の造語ではなかろうかと思っちょります。

 という感じで、リールの方は快調に復活したけど長時間根を詰めてストレスフルな状況下でお行儀悪く作業していたのでこちらの腰にきた。洗浄後乾燥させてから組み上げるのが嫌になるぐらいに腰が痛かった。こうやってキーボード入力で文字打ち込むのも座椅子に座ってこたつ机で打ってるけど、パソコン用兼釣り具いじり用に良い椅子と机を買うべき時期に来ているのかもしれない。
 見た目腐食有りでボロっちいのは致し方ないにしても、性能的には何ら問題なく好調な個体に復活。これでジャンク3台は三者三様に復活させられたことになり、とっても気分が良い。
 以前にも書いたようにマイコンシリーズでは愛用していた301TB、302TBが好きなのでコイツとマイクロセブンNo.1は売りに出す予定。

 何しろこの時点(書いてるのはチョイ前で7月4日)で台数は規定の90台を3台オーバーである。
 2月にリール管理台帳を付け始めてからこちら、この患者は21台を購入し18台を売却または譲渡した。前者の金額は計56,296円、後者が37,003円で差し引き利益はマイナス19,273円と大赤字である。健康保険は適用されないので全額自己負担である。
 なんでこんなに赤字経営なのかというと、値段が付かないマイナー機種は売る手間が面倒くせぇので人様にあげてしまっているというのが大きいといえば大きいけど、そもそも値段が付くような割と人気の機種であっても、買って一生懸命分解清掃整備してそのことを説明して売りに出しても買った値段ぐらいにしかならないからっていうのも大きい。儲けて商売にするなんて遠い彼方の話である。
 有り体に言って全バラフルメンテは業者さんに頼んだらどれだけ安くとも2~3千円はして普通5千円~1万円ぐらいはする。手間暇考えればそのぐらいは当然するはずと納得できる。
 順テーパーが当たり前の時代のリールを逆テーパー気味に調整したり、ラインローラーの角度を調整したりという簡単な整備だけでも、使いやすさに直結するので金払う価値はあるだろう。
 っていうのを中古リール買う方は分かってなくてピカピカした見た目にしかこだわってないし、”機関好調”は書くのはどうとでも書けるけど、客観的には評価する指標が難しく、表面拭いて可動部にグリス付けた程度の「整備済み」個体とワシが自分で使うつもりで半日からかかってグリス大盛りで仕上げて向こう10年はラインローラー、ハンドルノブ、スプール外して主軸への注油と折れたらベールスプリング交換のみで闘えるようにしたリールでも「整備済み」ということにおいては同じである。
 古いリールは見た目状態良くてもそのままじゃ使いにくいなんてことは普通にあると思うんだけど。
 そのへん海外のオークション覗いているとユーチューブからリンク張ってあるのがあったりして、滑らかにクルクル回転してベールも軽く返ってるのとか説明しながら撮影してあって、なるほどこれなら写真よりは回転具合とかの機関良好っぷりを判断するには参考になり得る上手い宣伝方法だとおもう。
 でもそんな面倒くせぇことやってられっかよってのが正直なところ。2、3千円で買ったリールが買値よりちょっと値が付いて5千円で売れるようになるぐらいの違いのために、カメラ買って興味もない広告映像のお勉強もせにゃならんくなるとかまっぴらゴメンである。
 同様の面倒くせぇという理由で見た目が良くなり売却値段向上に直結するだろう再塗装技術の習得にも今のところ興味はない。ボロいリールの場合そのボロさも味のうちだと思っている。自分で使う場合ボロくならないように丁寧に扱うとしてもだ。

 でも、これからもボロリールを買って苦労して修繕・整備して売るというのは多分続けていくだろう。リールいじるのが楽しいという単純な話だけでもおおいに買う理由になりえる。特に動かないような状態のジャンクリールを使えるように直せたときの気持ちよさは一度味わうと病みつきになる。使えるリールを壊したオノレの罪や汚れさえ浄化される気もして、もはや止められず完治は不可能なところまできている。
 直して気に入ったら自分で使っても良いし、友人にあげても良い。既に持ってるリールと役割かぶって売りに出したとして、値段がたいして付かないとしても、使えなかったリールを使えるように修繕整備して中古市場に還元して、手にした誰かが気に入って愛用してくれるならそれだけで充分嬉しい。
 新品売らなきゃな釣具屋には恨まれるかも知れないけど、いりもせん機能でごちゃついた道具ばっかり買わそうとしてくる勢力に対抗して、単純で必要充分な道具の良さを知る釣り人が一人でも増えることを目指してのナマジなりの体制・権威への抵抗活動である。
 ということで治療方針としては、当初のそれに改めて立ち戻って、ジャンクとされてるような動かない系ボロリールを買って直して楽しむということになるのだと思う。
 完治はもう望めないぐらい病膏肓に入ってる状態だと思うけど、ジャンク3台復活はだいぶ病状を軽くしてくれて、今現在なんでも良いから大森が欲しい的な劇症型大森症は治まってくれてスピニング熱は末期的症状というほど酷くはなく、今後も上手に病気と付き合っていくしかないのかなと思うのであった。

 ということで次回は割と得意分野になりつつある”安ダイヤ”関連の症例報告いってみます。お楽しみに。

2019年7月6日土曜日

大森がいっぱい

 走りだしたら止まらない。ブレーキの壊れたバカがスピニング熱を発症するとどうなるか、克明に記録しておきたい。
 猛毒のヘビに噛まれて死ぬまでの様子を自ら克明に記録したカール・P・シュミット博士の前例に倣って、この病気の治療法の確立のための献体となる所存である。このような治療不能な理不尽な病で苦しむのは私を最後にして欲しいと切に願うナマジであった。

 一旦小康状態となり寛解するかに見えたスピニング熱が、大森製作所「ポスカ1」216円(税込み)をきっかけにまた急性大森症という形で再発してしまい、慢性的PENN症候群も悪化したことは既に皆様にご報告したとおりである。
 ここまで再発から「ポスカ1」「マイクロセブンC1」、シェイクスピア「アルファ2260-030」、PENN「720」を購入したことを報告しているところだが、その後報告中にも症状は悪化するばかりで現在までにシェイクスピア「シグマプレジデント2440-040」、大森製作所(以下同)「マイクロセブンNo.1」「タックルオートSS」「マイコンSS」「プロフィットSS」と5台も買ってしまっている。
 賢明な読者諸氏におかれては既におわかりだと思うが、シグマプレジデントも大森製であり、これは急性大森症が劇症化しているとみて良いだろう。
 苦しい、辛い、病気が憎い!なんでアタイがこんな苦しい目にあわなきゃならないの?

<症例1>シェイクスピア「シグマプレジデント2440-040」

 「ポスカ1」を買ったら、その前身である「マイクロセブンC1」が欲しくなり買ってしまったことは既にご報告のとおりだけど、「マイクロセブンC1」が大森ダイヤモンドの一つの到達点と思えるぐらいに良くできた設計で実際に使いたくなった。けど、大森の「No.1」の大きさは普段使ってる7フィートの竿にはやや小さい気がする。No.2サイズの出物があれば安けりゃ買うのにな。と思ってた矢先に検索条件保存で見張ってた「シェイクスピア」に「シグマプレジデント2440-040」がポンッと出品された。
 どう見ても「マイクロセブンC2」の輸出仕様である。開始価格も2800円と安い。
 実は大森製作所のNo.2の大きさって人気がない。SSサイズが人気で、何にでも使えるNo.1サイズぐらいまでは弾数多くて、逆にNo.4以上になるとぶっ込み系の釣りにはリアドラグのマイコンとか需要があるのかまた弾数増える。っていうか、古いスピニングに共通だけどマス釣りに使うような小型機種は人気で値段も付くのでネットオークションにかかることも多く弾数多く、金さえ出せば手に入ることが多いけど、2号200m巻くぐらいのシーバスとかに使う大きさは値段付かないので出品多くなく出たら買いで損はない。


 今回も開始価格のまま入札ワシだけで無事確保。届いたら大森製じゃなかったという過ちはさすがに2度も繰り返すことなく、間違いなく大森製作所謹製なのは、交互に左右のネジ山を切ったねじ込み式ハンドルと、ラインローラーの樹脂製スリーブだけで充分証明できるだろう。面白いのはハンドルノブで国内版が木製のT字型なのに対してシグマプレジデントは大森小型機種ではお馴染みの3角形のパドル型になっている。米国ブランドのスピニングでもPENNとか握り込みやすさ重視なのかT字型(トーピード型含む)が多いけどシェイクスピア社としては、樹脂製ならともかく重い木製は邪魔でしかないと判断して軽さを重視したということか。
 ダイワの超長寿スピニング米国ダイワ版「トーナメントSS」も兄弟機の「ウィスカーSSトーナメント」が木製ハンドルノブなのに対して単純な樹脂製I字型だった。彼の国の釣り人の好みと我が国の釣り人の好みの違いの差でもあるんだろう。
 ワシャ違いがわからン男なので、性能的にはどっちでもかまわんけど米国仕様の方が余計な贅沢さが省かれてる気がして好みかな。シーバス釣るぐらいの大きさのリールだとあんまりハンドルノブ握り込まないしな。つまんどきゃ充分。
 というわけで、いっちょ使ってみるかと思うんだけど、使うならワシ替えスプールが欲しい。でも大森ダイヤモンドのNo.2サイズはさっき書いたとおり弾数少なく、とくにスプールが共用できる樹脂製でワンタッチスプールじゃないのとなると、国内名でいうところのマイクロセブンC2とキャリアーNo.2(キャリアーⅡもひょっとしていけるか?)しかなく、おいそれとは手に入らない。
 でもワシ解決方法知ってるもんね。金属製の例えばタックルオートのスプールを樹脂製のキャリアーに填めると高さが低くてドラグ締めてもスカスカになる、っていうことはスプールの乗っかってる座面にワッシャーでも噛まして高さを加えてやれば使えるんである。多分。
 しかもなぜか大森No.2の大きさの金属製のとスプールの互換性があるフルーガー「メダリスト1626Z」が我が家の蔵には部品破損やら抱えて使えない状態で転がっている。これのスプールを有効活用する方向でいってみよう。
 ついでにいい加減な処理で済ませていた穴が浅くて3階建てにならないドラグを、CDのポリカーボネイト樹脂板で、1枚軸に固定して回らないワッシャーを作ったうえで、ドラグパッドを1枚は純正のもののまま、他をテフロン仕上げガラス繊維製の薄いシートで作成1枚は純正のと交替、一枚追加で3階建てに仕立てあげて無事浅い穴に収納。ドラグの効きも問題なさそう。

 座面に金属とテフロンのワッシャーで2ミリ弱ほど嵩上げしたところちょうど良い具合になってドラグも問題なく作動している。スプール裏の音出しが座面のギザギザから遠ざかってしまったのでドラグ作動中のクリック音が出なくなってるけど、これはまた暇ができたらCDのポリカーボネイト樹脂板を加工して作ることにしよう。
 よっしゃできた。とラインを巻き始めて問題が発覚。メダリストのスプールのスカート部分が短くてスプールが一番上に来たときにロータとの隙間が空いてしまうというミニスカパンチラ状態。”スピーチとスカートは短い方が良い”って今のご時世”社会正義の戦士”様にセクハラだの女性蔑視だの怒られそうなことが昔はよく言われてたものだけど、女性のスカートが短い方が良いということについては言論の自由を尊重する立場からあえてここに賛同の意を表しておきたい。が、スピニングリールのスカートが短いのは砂浜遠投用のリールじゃ珍しくないっちゃそのとおりなんだけど、投げる回数多いルアー用のスピニングだとライン巻き込みそうだし水とか砂とか入ってきそうであんまり塩梅良くない。
 ではとタックル5No.2のスプールを見てみるとスカートわりと長めの真面目な女学生という感じなのでこれで試してみると、こっちはドラグノブがキッチリ填まらずスプール上面を押さえてしまいドラグが効き始めるとドラグがどんどん締まっていく。ドラグノブごと交換すると上手くいくが正直イマイチ。メダリストのスプールはどうせ余ってるからワッシャーとかスプールに接着していちいちスプール交換時に現場でチマチマ填めなくて良くしようと思ってたけど、タックル5はまだ直す気があるので、接着しちゃうのはどうもな、となるとドラグノブとワッシャー類持ち歩かなければならず面倒くせぇということで、まあ予備のスプールがなければ釣りにならんわけじゃなし、しばらくは予備スプールなしで妙案が浮かぶかマイクロセブンC2かキャリアーNo.2の出物があるかを気長に待つとしよう。なに、急ぐ旅じゃないサ。
 こういうときに中古リールを蒐集目的じゃなくて実釣機として購入するなら、やっぱりPENNのような今でもスペアスプール含め部品が売ってる機種か、弾数多くて中古で予備が手に入りやすい人気機種を選ぶべきで”隠れた名品”は実用的じゃないなと思わされるところである。マイクロセブンCシリーズは人気はそんなにないけど実力は間違いないと思う、思うんだけど実釣で使うとなると、弾数比較的多い一番小さいCSを狙うのがまだ実用的なのかなと思ったところである。

 なんでマス釣りでは古いリールはそれなりに人気あるのに、シーバス釣りでは古リール愛用者は少ないのか?遠投とか巻き感度とかまったく重視してない人間からすれば不思議な気がする。マス釣るンでもシーバス釣るんでも魚釣りなんて基本一緒で最新鋭の道具の利点もあれば古い道具の勝る点もあって、好みとかも言い始めたらどっちゃ使おうがお好きなようにっていう世界のハズである。
 今時の釣り人からすれば、私のような型遅れの道具を愛用している人間は「最新式の道具を使えばもっと釣れるのに」と思われているのかも知れない。でも賭けても良いけど、明確な意図があってなら別だろうけど”新製品が出たから”程度の理由で道具変えたぐらいでは釣果は伸びない。使っていれば慣れて使いこなせるようになるとしても短期的には道具を替えると感覚が違ってしまうので釣果はむしろ落ちる。嘘だと思ったら私の釣行の過去記録を見て欲しい。近所のシーバス釣りで6.5フィートのフェンウィック社ランカーギアXからもうチョイ長め7フィートで無茶がきくアグリースティックライトに竿を換えたときも、長さでためる分魚に突っ込まれて根に持ってかれて何匹かリーダー切られている。そういう竿だと慣れて対処できるようになるのにしばらくかかった。
 40年前の道具からたいして進化していない程度の”最新”の道具に換えるぐらいなら、今の道具のままで良い。釣り場にゃ一番手に馴染んだものを持ってきたいんでね。
 って思いながらも最近はいろんなリール試してたりして、そういう道具を楽しむ喜びが最新の機種を使いこなす行為にも当然あるんだろうなとは理解できるけど”シーバス釣りでは最新鋭の道具を使いこなすモノ”っていう釣具屋サイドが仕掛けてくる洗脳的宣伝にあんまり簡単に騙されてんなよ、と思うので天邪鬼の務めとして、そうじゃなくても好きにやって良いんだよということをしつこく書くのである。 

<症例2>大森製作所ダイヤモンド「マイクロセブンNo.1」

 劇症型の大森症を発症すると禁断症状が激しく出る。既に手元に売るほどの大森スピニングがあったとしても「もっと、もっと~大森なら何だっていいからもっと欲しい~!」と全く止められなくなる。痛ましいかぎりである。
 さらに症状が進むと「コメットとかキャリアーSSとか大森の人気機種が欲しぃ~、最低でもインスプールのプロラインかマイクロセブンの程度の良いのが欲しい~」などとうなされるようになり高額な治療費が必要になるのだが、私の場合まだそこまで病状が進行しているわけではないので対処療法的に安ダイヤでも動作不良のジャンク機でもかまわないのでとにかく買うことを治療方針とした。
 おあつらえむきにネットオークションに即決3台3千円のジャンク大森が出ていたのでためらわず流れる水のごとく即決。その3台が「マイクロセブンNo.1」「タックルオートSS」「マイコンSS」の3台で、いずれもジャンクというに相応しい未整備の状態だったけど、まずはその中では一番マシな「マイクロセブンNo.1」から分解清掃、整備に取りかかった。リールの分解清掃、整備は大森症に限らずスピニングリール熱には実釣に次いで効果的な治療法である。
 マイクロセブンと名の付くリールは大森製作所からいくつも出ているけど、コイツはアウトスプールで金属製の初期の頃のモノ。
 ワシがアウトスプールのリールに慣れていて手でベールを起こす釣り人に超お薦めする「タックル5」はコイツの普及版という位置づけなんだと思う。
 とはいえマイクロセブン(金属アウトスプール版)が豪奢なリールかというと、そんなことはなくてあくまでも大森のリールは実用機である。タックル5との違いといえばワンタッチスプールの採用と、ハンドル軸にも1個ボールベアリング追加で2ボールベアリング。ハンドルの後ろにハンドルノブの重みと釣り合いを取る錘としても機能してそうなハンドルネジ収納部ぐらいで、他はタックル5と部品共有できるはずってぐらいでたぶん一緒。

 このハンドルネジ収納部はまだ大森製作所方式の同じ軸上に左右にネジ山を交互に切った左右両用ハンドル開発以前のもので、左右用が別々のハンドルネジを、使ってない余っている方をなくさず収納できるようになっているんだけど、底にはちゃんと劣化しにくい素材のスポンジが敷いてあって中で遊んでしまいラトルのように音がしないようになっている。神は細部に宿るそうだけどこういう細かい気遣いが実に大森らしい丁寧な仕事っぷりである。
 分解清掃自体は、今回もCRC666ぶっかけ浸透一晩の後に始めたけど、ベールアーム基部の固着、ハンドル軸のギアに填まったボールベアリングの軸への固着が外せなかった。けど注油グリスアップには問題ないところまでバラせたので固着部分は放置のままガッチリオイルシーリングと、適宜注油で回転が悪かったベアリングも問題なく復活したので、次の10年はやや錆がキツかったベールスプリングが折れたら須山スプリングさんに作ってもらって交換するってだけで分解清掃はせずにとも済むはず。固着は無理に外そうとしない。これ大事な学び。

 スプールの裏のドラグの音だしのバネは欠損していたので、タチウオ用に使ってた単線ワイヤーの細めのでバネ作って再建しておいた。良い音でちゃんと鳴ってる。力のかかるベールスプリングとかじゃなくて単に爪を押さえておけば良い程度のバネならステンレスワイヤーで自作できるというのもこれまでの経験から学んだところ。
 もちろん、ラインローラーの水平出しとスプールの高さの調整でラインは緩めの逆テーパーに巻き上がるように仕上げて、実釣に耐えうる状態に復活させた自信がある。
 使える個体をぶっ壊した時の嫌な気分と真逆の”ジャンク”を上手く復活させられたときのえもいわれぬ満足感よ!

 てな感じで、ジャンク3台のうち最初の一台は軽い挨拶、準備運動ていどのジャンク具合だった。次の2台がちょっと手間掛かりそうなボロさで本格的な困難を伴う荒治療に突入していくのである。
 ということで、続きはまたのお楽しみ、って感じに今しばらく”症例報告”を続けさせていただくことになる。
 劇症型大森症の恐ろしさと、その治療の現実について次回も克明に報告していきたい。
 症状が軽いからと適切な処置を怠っていると、思わぬ症状の悪化に見舞われることもあり、こんな感染源にもなり得るブログを読んでいるあなたにとっても決して他人事じゃありませんよ。ご自愛くださいね。

2019年6月29日土曜日

仏の顔もサンドバックに浮かんで消える


 はい買っちまいました。
 PENN720

 一度でも欲しいと思ったら逃れられない運命だよね~。
 ああ、この可愛らしい魚模様にキレイめのライトプルー、一体どんな竿にあわせてやろう。黒やグレーのブランクスなら無難ではあるにしても、このアメリカンポップな意匠造形の素敵なリールにはもっとスマートなそれでいて質実剛健な竿をあわせてやりたい。青であわせるならパームスのコーラルスターとかに青系があったか、でもメタリックな青いリールにあわせるならむしろミスタードンのような透明感のあるブルーの方が涼しげで良いのではないだろうか?心はウキウキと舞い上がるが、実際には今使ってるのは茶色の個体なのでしばらくは”コレだ!”という竿と出会うまでお蔵入りだろう。

 てなこと考えてましたが、壊しちまいました。修復不能に最悪な感じの壊れ方。オレの所に来たばかりにと思うと面目なくももうしわけなくも恥ずかしい。消えてなくなりたくなるほど意気消沈。
 まあ、あえて克明に恥をさらすことにより、我と己の汲み取り屋さんに来てもらった後のボットン便所の闇よりも深い罪深さを深く反省し、皆様が同じような過ちを犯さないよう他山の石となることをあえて選ぼう。まあワシそういう芸風やし。
 他人の失敗は自分に跳ねが飛んでこなけりゃ最高の娯楽!!っちゅうことで笑ってやっておくんなまし。

 茶色の720Zがボールベアリングが使われていないにもかかわらず、4:1という低速に力の伝達効率の良いスパイラルベベルギアがあわさって、使用上何ら問題がないというか快適に使えているという状況で、コレなら今の茶色のは結構ボロいしもう一台あっても良いなと慢性的PENN症候群を悪化させてしまい、かつ、まとめて放出されてたなかで茶色買った後、720、722系の落札相場が下がってる気がする。欲しい人間にある程度行き渡った感触で、見ているとそこそこ程度の良い個体でも7、8千円ぐらいで落札されることが多く、コレはいま買い時かも知れんと、かねてから欲しいと思ってしまっていた720の初期の青で本体蓋のプレートがお魚のがオークションにかかったので、ソレッとばかりに入札したら、例によって「自分が参加すると落札金額は一段上がる」の法則どおりで、7,8千円で決着せず大一枚ちょっと越えたところでハンマープライス。
 最後の方はワシともう一人で競っていて、わしが参加しなければ間違いなく7,8千円での落札になってたはず。
 でもまあ、そのぐらいの値段はしておかしくないブツだと思うので悪くない取引であった。
 多少表面の傷や腐食とかもあるけど、回転もベール反転や逆転も問題なく”機関良好”な個体で、しばらく本棚の目に付く場所に飾っておいたけど、腐食がこれ以上進まないようにするためにも、一回全部バラして注油してグリスを盛りまくってグリスシーリングしておくことにした。

 基本単純で部品も少ないのでサクサクッと済むはずだった。スプール外してドラグにグリス塗り塗りして、ハンドル外してと思ったらこれが固い。
 CRC666を吹き付けて、ペンチでコンコン叩いてから外そうとするんだけど回ってくれない。回す方向はリール巻くときの逆だから間違いようがないんだけどな?と力掛けていたらちょっと動いた気がしたので、これを外さないことにはハンドル軸のギアも外れず分解できないので思いっきり捻った。
 グリグリッと金属が変形しながら回るような嫌な感触があったので、慌ててやめてハンドル正回転させると、回るんだけど1回転に1箇所カツッと引っかかる所がある。

 コリャなんか壊したなと慌てて本体蓋外して確認してみると、ハンドル軸のギアが割れている。最悪だ。
 回った感触は何だったんだろうと、蓋外したままもう一度ハンドル逆に回してみるとアルミのギアに鋳込んである芯の硬いステンレスがアルミから剥がれてギアが回ってないのに芯だけが嫌な抵抗感を残して回ってしまう。
 完動品だったのに、我が家に来たせいで使えない状態になってしまった。
 マイコンNo.6の時もそうだったけど、使えるモノをわざわざダメにしてしまってもうし訳ない気持ちでいっぱいで、心はどんよりドヨドヨと沈んでしまう。

 一応この状態でも巻けることは巻けて、ただ、一定以上の負荷がかかるとハンドル軸の芯が回ってドラグみたいになっているし、ギアの割れたところが引っかかって一周毎にカツカツと音がしている。正常なラチェット音とか全然気にならないし、むしろ拍子がとれて良いぐらいだけど、さすがに自分が原因で壊した証拠の音を聞かされ続けるのは、責め続けられているようで精神的に辛すぎる。無理。
 アルミを溶接でもして引っかかる割れた部分は削って平面にして”あたり”取るとか、金属加工の技術があればひょっとしたら復活するかもとは思うんだけど、いかんせんそんな技術は持ってない。そもそも回ってるなら芯からギアの歯車部分抜いてハンドル抜けるだろうと思うんだけど、ギアの歯車の下に逆転防止のラチェットが填まってて、それが芯を固定しているのか芯は抜けず、にっちもさっちもな状態。

 終わった、大1枚もかけて入手したけどゴミにしてしまった。と暗澹たる気持ちに沈んでいたけど、ひょっとして720Zとギアもハンドルも同じだから部品まだ「MYSTIC REEL PARTS」さんで在庫してたりして。と、まさかとは思ったけどダメ元で確認してみると、なんと在庫してございます。ギアも銀色のハンドルもあるぅッ!!
 パヤーッと雲の隙間からレンブラント光線が差し込んで頭の上から天使が舞い踊りながら降りてくるような心持ち、あるいは、お釈迦様が天上から垂らしてくれる蜘蛛の糸にすがるカンダタのような気持ち。とにかく救われた。助かった。命拾いした。

 在庫切れになると困るので、条件反射的にポチッと発注。とりあえず1週間もせず国際郵便でブツは届く。
 ただ、填まっているギアを抜かないことにはどうにもならないので、歯車だけ抜いてハンドルの方に抜くのは難しそうなので、現時点ではまだ生きているハンドルを使用不能にしてしまうけど、ハンドルぶった切ってギアを本体から抜くしかないなと判断。
 ということで金鋸も買っちゃいました。

 また余計な失敗をしてさらにドツボにはまるのが怖くて、しばらく放置していたけどいつまでもそのままでは仕方ないので、覚悟を決めてやっつける。
 やることはハンドルぶった切って、切り残し部分を引っぺがしてギアを抜くってだけで簡単で、気をつけることといえば切ったアルミの粉が本体に入ったりしないように覆いをかけるのと、切り残し部分はなるべく薄くしつつ本体側の被せてある金具に傷をあまりつけないように鋸を入れるってぐらいか。
 アルミは柔らかい金属なので金鋸であれば簡単に切れる。津波の後のボランティアで建物の土台の鉄のボルトとか切ったけど鉄は固かった。ちょっと本体側の金具の表面削っちまったけどこのぐらいは許容範囲。見た目はそんなに気にしないんじゃワシ。
 切ったら切り残しの部分をマイナスドライバーでこじって剥がして折り取る。
 無事終了で抜けてくれてホッとしたのは良いんだけど、どうも固着してたのハンドルのネジ部とギアの芯とじゃなくてハンドルのネジの所と本体側の金具が斜めにかじってたかなにかだったようで、金具外したらハンドルのネジはスルスルッと芯から外れてきた。
 うーんこんなしょうもない固着でギアとハンドルが一組死んだのかと思うとなんか悔しくムカつく。

 ともあれ、これで全バラし完了することができて、入手したハンドルノブは黒いので元の白いのと付け替えて、ギアはついでにローター軸のも新品に交換しようと思ったら、微妙に高さが合わずにローターが締まって止まってしまう。ワッシャーの厚さか枚数の調整必要な感じだったけどめんどくさいので予備に保管することにしてローター軸のギアは元のをそのまま使うことにした。
 グリスグッチャリ内部はもちろん、本体表面にも腐食が見られる箇所を中心に塗り込んでおいた。これで当面腐食は止められるだろう。

 これにて無事復活。たまたま中古の銀色のスプールもネットで見つけて確保。
 結局、本体10200円、スプール3000円、部品はハンドル軸のギア10.30ドルとハンドル18ドルで3000円がとこ、加えて金鋸2000円で計約18000円なり。他にも予備部品買ってるので実際にはそれ以上で、未使用に近い箱入り個体が買えそうな値段になってるけど、いいんです。本人納得してれば金額なんてどうでもよしこさん。苦労した分愛着がわくってなもんなんです。
 とりあえず、これまでにネットオークションで手に入れたリールの中で、コイツがナマジ的に一番価値ある1台だと思う。ようやくたどり着いた最終兵器的な1台。とりあえずは所有しているだけで満足だけど、そのうち使ってみよう。PENNは実用機だからナ。


 というのと同時並行で、実はもう一台ぶっ壊している。720のギア割った時点で、買って分解清掃せずに放置してあった大森製作所ダイヤモンド「タックル5No.2」も、グリスシーリングしておかないと固着やら腐食やらが進んでしまうだろうから、一回手を入れておこうと意を決して分解清掃したら壊した。短期間に2機壊したのはだいぶペコッと心が凹んだ。マイコンNo.6も数えると買ったリール使う前に壊したのは3台目である。
 もともと、タックル5No.2とタックルNo.2は左ハンドル用のネジが付いてないのを買ってしまい、箱入りで左ハンドル用ネジ付きのを探して買い直してあった個体。

 なので内部構造は把握済みで、すぐ使うでもなしで放置してあった。
 回転が悪くてあきらかにベアリングが錆びてる。他は特に悪くないようなんだけど、固着しているとまたねじ切ってしまいかねないので、CRC666をぶっかけて一番寝かせて浸透させてから分解清掃した。
 にもかかわらず、ベールアームにラインローラを固定する円錐形のナットを外そうとして、ちょっと回った感触があったのでCRC吹きつつちょっとずつ回して戻してしながら力をかけたらメキョッと折れた。
 これ、これだけ慎重にやって折れるんならどうやっても折れるはずで、どうしたらよかったのか正直わからない。大森はネジのゆるみ止めの接着剤が強かった時期があったというのを目にした気がするけど、その時代のだったのだろうか?
 安く手に入るリールでかつタックルとマイクロセブン(アウトスプール)ともベール周りは共通なので、安い出物を待って確保すれば復活させることはできるんだけど、その場合、結局また1台使えないリールを作ってしまうわけで、ベール回り以外死んでますっていう都合のいい壊れ方のジャンクが出てこない限り自分的にはスッキリしない。
 折れた部分のラインローラーの軸に穴掘って雌ネジに加工してっていうのをどっかネジ加工してくれる業者でやってくれないだろうか?1本からの対応ってやってくれるにしても手間考えたら多分5千円から1万円ぐらいはするんだろうけど、これも金額の話じゃなくて3400円で買ったリール5千円かけて直しても、それで自分の気持ちがスッキリすればいいじゃないかという気がする。
 気がするんだけど、そこまでする必要性ってあんのかよ?って気もやっぱりするから、1台もらってもらったダイキリさんにもう一台、スペアスプールと部品の確保用に進呈するのがスッキリするし、リールも生きるのかなと思わなくもない。そもそもタックル5はも一つ下の大きさのNo.1が調整済み使用可能な状態でぶっちゃけNo.2はなくても良いッちゃ良い。
 でも、往生際悪くもうちょっと悩んでみたい。タックル5、評価は高くないけど単純な中に初期大森のしっかりとした作りが味わえる隠れた名作だけに簡単には割り切れない。

 2台続けてぶっ壊して、改めてPENNの部品供給体制のありがたさを感じたところである。40年から昔のリールの部品が、その後モデルチェンジ何度かした最後の黒金のZとも共通だったからというのはあるにしても、それも含めていまだに部品が手に入るという、永く使う釣り人の味方でありつづける姿勢。他には丸ABUが近いかもしれないけど、いずれにせよ大量消費文明の現代において希有な存在ではないだろうか。
 オレは一生PENNに愛を捧げることをここに誓う。でも大森ダイヤモンドに浮気はする。
 寛一お宮の昔から、浮気の原因は”ダイヤモンドに目がくらむ”と相場が決まってまさぁね。

2019年6月23日日曜日

ドラグについて大げさなことを謳ってるリールは信用しなくて良い(当社比)


 常々書いてきているように、ドラグなんてのは40年前のリールに既にいまと遜色ないような性能のものが搭載されていたぐらいで、ハッキリ言って画期的な性能を喧伝しているようなリールがあったら疑ってかかった方が良い。
 基本的にドラグという機構は、回ろうとするスプールと一緒に回るワッシャー(一番底ならスプールそのものでも良い)と回らない主軸に固定されたワッシャーの間にドラグパッドを挟んで適度に摩擦抵抗を発生させながら滑らせるという仕組みである。
 日本の釣り人は”日本製リールドラグ暗黒時代”が長かったので知らなかったから、急に進歩した技術が出てきたように感じるのか妙にありがたがってる節があるけど、あんなもんはドラグパッドの材質を適度に滑りが良くて調整幅に繋がる弾性があるものを選んでやることと、主流の3階建て方式にするか、パッド1枚で済ますかの選択とかで、表面積と直径を適切に稼いで安定した能力を発揮するようにどう設計してやるってだけの話である。
 ほかにも主軸が太いとスプールの傾きが押さえられるとか接する面積が増えるとかで安定性に寄与するのかもとかはあるけど、ドラグにボールベアリングはあきらかにベアリングの使いどころを間違っている。摩擦を安定的に発生させて作用するのがドラグであり、その時に発生している摩擦力に比較して極めて小さい摩擦力で回ってしまうベアリング入れてどうする。安定は必要だけど低摩擦性は全く必要ない機構のハズである。この辺もっと物理詳しい人とかにガッチリ理論整然と「アホ認定」していただきたいものだ。オレが分かってないアホなのか?
 ただ、そういう基本があった中で、リールの性格や使う状況に応じてどういうドラグを選ぶべきか、適切な選択ってのはあるように感じてきていて、ワシもドラグがやっと分かってきて面白くなってきたので、色々いじって楽しんでるので、そのあたりのドラグネタで、ドラグネタ自体は以前も書いたんだけど、それでもしつこくいってみよう。

 ドラグをパッド1枚にするか3階建てにするかは、現在主流が3階建て方式なのでそっちの方が優れていると思われているのかもしれないけど、前回ドラグネタ書いたときにPENN9500SSのスプール裏面の土星の輪っか型ドラグやらティボーのコルク1枚ドラグの優秀さを紹介したように、1枚でも直径大きくして表面積稼いであると良いドラグになってたりする。直径が大きいとその分回転したときに長い距離で摩擦を発生させるので摩擦を発生させて機能するドラグとして利点が生じているんだと思う。


 PENNスピンフィッシャーの小型の機種もドラグパッド1枚方式のが多くて、シーバスで愛用の4400ssや430ssg最近お気に入りの714Zも1枚方式である。
 ただ、これが714Zはデッカいテフロンのドラグパッドで、テフロンのドラグパッド自体は大森ダイヤモンドでもお馴染みなのだけど、1枚方式は初めてだった。
 これが、色々調べると普通はグリス無しで”乾式”で使うんだけど、乾式で使ってると摩擦で削れてしまうことがあるという情報もあり、そりゃまずいなとごく薄くドラググリス塗って使ってみたら割と良い塩梅で、これなら大丈夫だろうと調子に乗ってネッチョリと多めにドラググリス塗ったところ、思いっきり安定性がなくなって、止まるときは思いっきり止まるけど、ユルくしていくと全然止まらなくなり欲しいドラグ値に調整できなくなってしまった。
 ドラググリスの粘性って思いのほかドラグの効きというか調整幅に影響してきて、これまで使ってた緩めのモリブデングリスより、今使ってる比較的粘っこいCAL'sのドラググリスはあきらかにあまり締まってない早くからドラグが効き始めて、普通の3階建て方式のドラグについては調整幅が広くなった。グリスの粘性がドラグパッドが回るのにブレーキに働いてドラグ表面とワッシャーの摩擦以外のブレーキ力として補助的に効いている感じである。
 その粘性が、そもそもテフロン素材の1枚パットの場合、表面が滑りやすいことを利用して良い塩梅にブレーキ掛けてたのに、表面積が大きい1枚型ゆえにテフロン本来より滑らずネッチョリと粘るようになって、このクラスのリールで出したいドラグ値が出にくくなってしまったのではないかと考えた。
 グリス拭き取って”乾式”で使えば良いんだろうけど、ご近所はシーバスはともかくコイをかけるとドラグにかなり頼るやりとりになるので、そういうのを想定していない小型リールのドラグパッドのままでは”削れる”のが不安になってきた。
 ということで、幸い手に入らなくなってる714Z用のテフロンドラグパッドの代わりに4400ss用のカーボンシートのドラグパッドが使えるとのことなので、交換して様子を見てみた。
 当たり前だけど、これまで使ってた4400ssと同様に良い塩梅のドラグになって、カーボンのパッドとCAL'sのドラググリスは相性良く、調整幅も申し分ない。
 3階建てのパッドの場合、テフロンにCAL'sのドラググリスでも違和感なかったんだけどなかなか微妙なモノである。

 お次に、最近いじったドラグで驚いたのが前回もちょっと触れたけど、ポスカ1のドラグ。2枚が写真のような薄緑と白の混じったパッドなんだけど、メチャクチャドラグ値が上げられる。ラインが全く出ていかないいわゆる”フルドラグ”が余裕でできてしまう。石綿代替品とかいうやつだと思うけど手触りザラザラでいかにも摩擦力強そうな素材。スプールの座面に乗っている赤い繊維質のワッシャーもざらついてるけどそれ以上。
 ただ、逆にユルいドラグ値を安定してかけられない感じだったので、間に薄いテフロンパッドを噛ませて実質殺して小型リールに必要な適度なドラグ設定が可能な調整幅を確保しておいた。

 で、もいっちょちょっと面白かったのが、ハズレ引いたアルファ030のドラグ。フェルトか何かの柔らかい素材に樹脂がかけてある表面のドラグパッドなんだけど、2枚が完全に耳付きワッシャーに固着してしまっている。
 実はこの状態でも問題なくドラグ作動していて、固着していない面がワッシャーと滑ってるので機能するのである。無理矢理剥がすとボロボロになりそうだったので、グリスアップだけしてそのまままたぶち込んでおいた。
 この方式で、耳付きワッシャーの両面に滑る素材の薄いシートを貼り付ければドラグの高さが低くできて良いんじゃなかろうか?とか考えてたら、最近出たTAKE先生のリール本読んでたら、本職の技術者はさらに突っ込んでいて、耳付きのワッシャー自体を耐久性もたせたドラグパッドの素材で作って、ドラグパッド、耳付きワッシャー、ドラグパッドの3枚を耳付きドラグパッド1枚で代替、という設計のリールが紹介されていた。大型リールではちょっと強度面が心配だけど、小型リールなら問題ないだろうし軽量化と小型化に貢献しそうでナルホドという感じ。
 基本単純な機構で、もう新しい工夫とか出てこないように思うけど、こういう意表を突く改良点とか出てくるのをみると、まだまだ革新的技術が出る余地はあるのかもしれない。けど今のところ40年前のドラグからそれほどは変わってない。

 てな感じで、ドラグについて最近学習したことをまとめると、
一.ドラググリスの粘性はドラグの効きと調整幅に影響する。粘度が高いグリスにすると締めがユルい段階から効き始め調整幅は広がる。ただ、テフロンの表面積広い1枚もののドラグパッドとはテフロンの表面の滑らかさを消してしまうので相性悪い。
二.ドラグパッドの素材の性質がドラグの性能に大きく影響する(当たり前)。表面がざらついて摩擦が大きいモノほど高いドラグ値がかけられる。多分順番は石綿代替品、赤い繊維性、カーボンシート、テフロンの順でフェルトはカーボンと同じくらいで柔らかい分調整幅が大きくて耐久性とかが必要とされない小型リールに好適。

 という感じだと思う、で以前から気になってたのがスピンフィッシャーの3階建てドラグの場合、パッドが上からカーボン、カーボン、テフロンなんだけど、ひょっとしてこれ、同じ枚数でもその構成を調整することで効かせるドラグ値変えられるんじゃないか?ということ。
 そのへんをついでなので750SSで試してみた。予想では全部カーボンにするといつもよりドラグ値上げられるンじゃないか?というのが主な関心事項。
 いつもはドラグノブ締めていってギュッと止まるあたりで7キロ前後という認識で、そこからさらに締めることもできるけどあまり安定しなくて、ギュッと止まるあたりが調整しやすい得意なドラグ値だと思っている。なのでギュッと止まるあたりまで締めて秤でその時のドラグ値を3回計ってみた。
 結果は驚くほどに綺麗に予想通りで嬉しくなる。やっぱりドラグって単純で理屈どおりの機構である。わけの分からん不思議なフォースとかを発生させたりはしない。
 全部カーボンだと3回計って10.4、8.9、10.3キロと10キロぐらいのドラグ値。実際にはそこまで締めるとワシャ竿支えきれんのでこのドラグパッド構成にはしないけど、スピンフィッシャーのドラグをもうちょっと締めたいと思ってるマッチョな貴兄には全部カーボンをお薦めする。10キロぐらいなら余裕でリールはもちます。スプール握りしめて立木と引っ張り合いして確認済み。
 以下、通常の1枚テフロンが7.8、7.5、7.8で8キロ弱、実際には竿の曲がりとか見てもうちょっと緩めて6~7キロで使ってた。
 テフロン2枚だと6.4,6.7,6.6、全部テフロンだと5.0、5.2,5.4と順次ユルくなっていきましたとさ。
 ということでもっとドラグ値上げたいならばドラグパッドに石綿代替品か赤い繊維質のを混ぜるとかで、もちろんリールの耐破壊強度を超えないようには考えなきゃだけど、ドラグ値なんて上げられそうなんである。
 カタログ数値でドラグ最大30キロとかのスピニングリールがあっても、30キロのドラグ値をスピニングタックルでかける場面って想像できなくて、そんな数値はカタログ上のこけおどしでしかないということである。
 実際に使うドラグ値を想定してその付近の調整幅や作動の安定性があるかどうかってのが重要で、そこはカタログ見ててもわからんから魚掛けてみるか、車とかにラインの先結んで走ってもらうとかして確かめていくしかないんだと思う。
 ちなみにこの実験ではグリスは以前使ってたモリブデングリス、ドラグノブは純正のはドラグワッシャーを押さえる部分が樹脂製で、長距離走られると熱で溶けるという噂があるので、念のため押さえるところが真鍮製の第4世代750ssmのドラグノブにしてあるのが細かい気遣い。グリスは次回出番がめぐってきたらCAL’sに塗り直しの予定。


 スピニングリールにおいて10キロ程度までドラグが締められたら充分で、耐熱性含めた耐久性を考えると、大型リールではカーボンのパッドが今のところ最良で、小型リールでは広い調整幅とか扱いやすさでフェルトが選ばれてるんだろう。テフロンは滑りが良いので台座とかのワッシャーに使うのにもドラグに与える影響が少なくて良いだろうし、ドラグパッドとしても経年変化とかが少ないし良い素材。
 石綿代替品は”フルドラグ”が必要な特殊な釣りにおいては使うのかも知れないけど、正直リールか体を壊しそうで怖いぐらい止まる。
 赤い繊維質のワッシャーの素材はそこまで極端じゃなく、リールにはよく使われてきた素材なので耐久性やらにも問題無さそうだしドラグ値上げるならむしろこっちを試す方が危なくないかもしれん。
 写真は左から、ポスカ1の石綿代替品2枚と赤い繊維質の1枚、750SSのカーボン2枚とテフロン1枚、マイクロセブンC1のテフロン3枚、714Zのテフロン1枚、タックル5No.1のドラググリスでグッチャリ濡れたフェルト3枚でございます。

 というようなことをお勉強して、ドラグは単純な機構であり、説明できないような不思議な力を発揮するようなモノはないと改めて確信しているので、皆様釣具屋にはいつも言ってるように適度に騙されておいて騙されすぎないようにしましょう。というお話でした。

2019年6月15日土曜日

薬石効なく

 病気っていうのはこの21世紀の進歩した医学をもってしても根本的にどうにも制御できない時もあって、そういった制御不能な病とは上手いこと付き合っていくのが得策で、ゆめゆめ完治させてしまおうとか思わんぐらいの方が良く、ましてや精神力でどうにかしようなんて思ったところで、どうにかなるなら医者もクスリもいらんわけで、例えば糖尿病患者は気合いでインシュリン分泌量を増やすとかできやんから注射打つんである。
 そういった現代でも治療の難しい病にいわゆる「スピニング熱」というものがあり、これに罹患すると「大森が欲しい!」「この年代のギア方式は」「回転の滑らかさが」「スプールエッジの形状の違いが」などと意味不明なことを口走るようになり、ネットオークションサイトや中古釣具屋での散財が家計を圧迫し、山のように積み上がるスピニングリールを前に途方に暮れるという症例が報告されている。
 現代医学を持ってしても治療法が確立されていない不治の病である(「不治の病」って打とうとしたら「Fujiの病」と予想変換される我がATOK)。まったくもって痛ましいことである。

 かくいう私も昨年秋ぐらいから潜在的保菌者だったのが発症し、インスプール熱や急性大森症、慢性的PENN症候群などに日和見感染するという苦しい闘病生活が続いたモノの、リール管理台帳作成による「リールは一家に90台まで!」という治療方針が効をそうしたのか、四月以降はその症状は顕在化しておらず、当ブログにおいても”スピネタ”は4月20日以降ご無沙汰であった。
 ただこの間も症状が表に出ていなかっただけで、確実に病は深く静かに進行していたということを告白せざるを得ない。最後の記事から4台買ってしまっている。

 オレは悪くないんや!!大森にいつも変な値段付けてるTベリー○×店が悪いンや!!
 と、とりあえず人のせいにしておこう。中古釣具屋に街に出かけるたびに足を運んで掘り出し物がないか確認するという行動は釣り人なら多かれ少なかれやると思うけど、この店だけ異様にマニアックなリールがワゴンに転がってる率が高い。手が出たのだけでも「マイコンNo.6」、「キャリアーNo.1」、そして今回の「ポスカ1」と3台もあって、他にも逆回転している時代のカーディナルやら松尾工業の赤いボタンをポチッと押すとベールが戻るヤツやら、台数制限なければ手が出てただろう良い出汁のきいたスピニングが転がってたりした。
 写真のポスカ1なんて216円ですよ、おつり4円もらって小銭入れふくれるのいやなので1円出しておつり5円にしてますよコイツ、ワシ意外に細かい性格。
 大森熱もややおさまっていて、もうスプールやらギアやらのパーツの予備にもなるような機種以外買わないでおこうと思ってても、216円には思わず手が出たですよ。
 ポスカは大森晩年の生産拠点韓国に移した時代の製品で、フットにもKOREAの刻印があり、多分アクションMとかタックルAとかみたいな樹脂ボディーの安リールなんだろうなと思ってたけど、手にしてみると意外に作りもしっかりしていて悪くない。アクションMのような”チープ大森”的なリールではない。
 どうも、大森製作所の伝統あるリール名「マイクロセブン」の名が付く最後の機種であるマイクロセブン「V」シリーズと「C」シリーズのうちカーボン樹脂ボディーの「C」シリーズの方の後継機的なリールだったようで、多分本体の金型は一緒。
 これが、大森ファンには不評で「大森が大森らしさを捨てた時代のリール」と一刀両断されているけど、分解清掃しながら見ていくと、なぜそうしたのか、せざるを得なかったのか、大森製作所の苦渋の判断が浮き彫りになってきて、なかなかに味わい深いモノがあった。
 ワンタッチ折りたたみのウッドノブが付いたハンドルなんていう当時の流行も真似してる。だってそうすればハンドルネジ込みやめて亜鉛一体成形のギアに多角形の心棒入れる方式で良いから経費削減できるし、日本の釣り人はそっちの方が買うんだもん。
 スプールをワンタッチボタンで着脱可能にしたのも、スプールのハマる軸を太くしてドラグの効きを安定させるためというのもあったかも知れないけど、なんか見た目に分かる機能を付けて差別化しないと日本の釣り人買わないんだもん。
 一番驚いたのはドラグ。まあ大森なので基本の三階建てドラグなんだけど、これがエラい締まる。ギュッとドラグノブ締めると完全にラインが出なくなる。ドラグパッド見てみたら写真じゃ灰色っぽく写ってるけど実際には白と薄緑の斑模様の硬めのザラついたパッドで、どっかでこの素材見たことあるなと思いだしてみると、これライギョ用のアンバサダーの改造パーツとして売ってる”ドラグをフルロックするためのドラグパッド”と同じ素材だと思う。たぶんこれは石綿代替品系の素材かと。
 たかだかナイロンの2号とかで釣りするリールでこんなにドラグ締まるようにしてどうするんだと思う。正直アホのような設計だと思うけど、そうしないとドラグをしらない日本の釣り人には売れなかったんだろう。「ダイヤモンドリールはツマミ締めてもラインがズルズル出ていく」とか言われてたんだろうことは想像に難くない。
 「流行や釣り人の好みに迎合せずに良いモノを創り続けるべきだった」っていうのは評論家が後から言える台詞であって、当時自社製品が思うように売れなくなっていくなかで、生産拠点を人件費安かった海外に移したりもしながら生き残りを暗中模索していた当事者の苦悩をポスカに見てしまうと、そこまで言うたらんでもエエやんか、と思うのである。
 良いもの出しときゃ売れるんならマイクロセブンCシリーズが売れてなきゃおかしい。ポスカなんて作らんでも良かった。

 などということが書けるのは「マイクロセブンC1」買っちまったからである。
 ポスカ買ったジャン。悪くないリールだったジャン、じゃあその前身のマイクロセブンCも欲しくなるジャン。我慢できないジャン。仕方ないジャン。←急性大森症再発!!
 スプールが同じ樹脂製のキャリアーと互換性あるだろうから欲しいなと某ネットフリーマーケットで眺めてた個体、キャリアーそのものがもう一台手に入ったしいらんなと一旦心から追い出せてたんだけど、一回でも欲しいと思ってしまうと何かのきっかけで再発するネ。ジリジリと値を下げてきていたのもあって3900円でワシが購入させていただきました。箱入り取説付きでこんな値段でいいんかい?
 大森ダイヤモンドで樹脂製のリールといえばキャリアーが人気でワシも大好きだけど、マイクロセブンCもなかなかどうして悪くない、っていうかすんごく良い。
 キャリアーがボールベアリング1個で単純軽量設計のタックルオートの樹脂版で、マイクロセブンCはボールベアリング2個のアウトスプールの系統であるマイクロ7(アウトスプール)→オートベールの樹脂版的なリールかなと思ったけど、分解してみるとどうも、割と新機軸の気合いの入った機種だったようだ。
 ハンドルノブこそ日本風のウッドノブ付きだけどねじ込み式のハンドルで、当然ギアには堅い素材を芯に鋳込んだ大森得意のハイポイドフェースギア。
 ラインローラーも大森らしい樹脂製スリーブの入ったもので長く使える仕様。同じ樹脂製リールでもキャリアーとポスカは樹脂製スリーブなしのセラミックラインローラーを直受け方式だけどセラミックは滑らかで摩擦が小さいのかハードに愛用していたキャリアーNo.1でも摩耗した感じはまだない。とはいえスリーブ入りの方が安心ではある。
 音出しとサイレント、逆転の3段階切り替えはまああって困るもんじゃない程度だけど、蓋を開けてギアを見るとちょっと驚く。
 多分、ギアがマイクロセブンC用に新しく金型起こしたモノっぽい(マイコンとかと共通の可能性はある←追加註:マイコンと共通はないことに後から気付いた。理由はまた書く予定)。

 大森製作所はギアとかは変更が必要なければだいたい同じのを使ってるので、部品の共有使い回しが効くのが蒐集して使うにはもってこいの特徴だと思ってるけど、キャリアーとパーツ交換どこまで可能か調べようとしたら直径からして違ってた。左がC1でちょっと小さい。
 ちなみに予想どおりにキャリアーとスプールが交換可能、ついでにハンドルも交換可能ってことはギアに鋳込んでいる心棒は共通っぽい。
 細かい点だけど、蓋のネジが樹脂に直接ねじ込むタップネジじゃなくて、金属の雌ネジを埋め込む方式なのは他にはPENNの4桁スピンフィッシャーぐらいでしか見たことない丁寧な作り。ポスカではタップネジになってて経費削減したんだなと思う箇所。
 という感じで、大森製作所の最高傑作は何か?という問いにはいろんな回答があり得るんだろうけど、”大森アウトスプールの最終進化形”としては樹脂製でありつつねじ込み式ハンドル、堅い材を芯に鋳込んだハイポイドフェースギア、テフロンパッドの三階建てドラグ、樹脂スリーブ入りのラインローラー、ベール折りたたみ機構といった大森らしさを備えた「マイクロセブンCシリーズ」であると言っても良いんじゃないだろうか。
 その後のタックルシルバーとかはちょっと路線が違うので、対抗馬としては個人的にはマイコンTBシリーズかなと。大森アウトスプールの大きな流れであるマイコンシリーズの中でも終盤の機種で良い塩梅にマイナーチェンジが効いてて使いやすく良いリールだと思っている。でも他にもアウトスプールならキャリアーとタックルオートの単純軽量も一つの方向性だし、ってまあそのへんまた迷うヤね。でも現時点ではマイクロセブンCをワシゃ推す。
 マイクロセブンC1は実釣がまだなので、本当の意味での道具としての評価は現時点ではできないんだけど、まあ間違いないリールだと確信している。

 とかやってたら、ネットオークションで安いアグリースティックが手に入るようなら欲しいと「釣り具」「シェイクスピア」を検索条件として登録して定期的に見てるんだけど、ガツンと写真のリールが目に飛び込んできた。ハイ買っちゃってます。
 シェイクスピア「アルファ2260-030」である。
 ご存じのようにシェイクスピアは大森製作所にスピニング作らせてた時代が長くて、タックルオートとかはシグマシリーズの名前で売られていてたまにネットオークションにもかかってたりする。
 でも、このアルファのシリーズは金属製のがフルーガーメダリストと同じ機種だったりというのは目にしてたけど、樹脂製のは初めて見たうえに「030」は大森なら人気の「SS」サイズである。ちなみに「035」が「No.1」、「040」が「No.2」サイズと対応。
 ▲型の可愛いハンドルノブといい、マイクロセブンC系の造形といい、これは大森製作所の製造で間違いなさそう。あとは中身がマイクロセブンCかポスカかというところで入札に使える金額が違ってくる。コイツの正体がマイクロセブンCSなら即決価格の3980でも安いぐらい。大森人気最近落ち着いてきてるけどこのぐらいなら買いだろう。ポスカSなら開始価格の2980円の価値も正直ないかも。216円は安すぎるにしても、そこそこのデキの割に不人気だし中古本体のみなら千円台が妥当なところかと。
 写真見るとアメリカ仕様であちらでは需要のないウッドノブやベール折りたたみ機構は省略されているようだけど、ドラグノブはワンタッチボタンじゃなくて、ハンドルもワンタッチじゃなさそうということで、外れてポスカSでもまあ悪くないかと3200円で入札するも開始価格2980円でそのまま落札。

 手元に届いて”とにかくハンドル”と外してみると、ねじ込み式で「当たり引いた!」と喜んだんだけど、外してハンドルのねじの部分をみるとなんか違和感が。大森式で交差してネジ山が切ってあるんじゃなくて、PENN方式の根元と先とで太さを変えてあるネジ。
 ねじ込み方式ならマイクロセブンCS確定だと思って、入札中も質問したくて仕方なかったけどバレると即決で持ってかれそうなので我慢したけど、ねじ込み式でマイクロセブンCSじゃないっていうのは予想外だった。っていうかどこ製なんだこれ?
 でも、ねじ込み式なら丈夫な軸を鋳込んだハンドル軸のギアが入ってる実用的なリールなはずで、それならどこ製でもまあいいやと分解清掃に入ったんだけど、蓋を開けたらどう見てもハンドル軸のギアが亜鉛一体成形の鋳造もので、真鍮のブッシュで軸を受けてるのも亜鉛の軸が削れそうで怖いけど、それよりなにより、亜鉛の軸にハンドルのネジねじ込んだらダメでしょ?亜鉛そんなに堅くないんだからねじ込んで力かかり続けると軸太っちゃうでしょ?ねじ込みで太る軸を真鍮のブッシュで削るので一定の太さに、ってわきゃないよね?
 他にもローター軸のギアが強度が欲しいストッパーの歯車まで含めて亜鉛一体成形だったり、逆転のスイッチを切っても行き過ぎてちょうど良いところで止まらず逆転上手くできないとか、ラインローラーのメッキが甘くてライン巻いてたらハゲちょろげてきたとか、全体的に安っぽい作り。
 マイクロセブンCでもなきゃポスカでもなく、大森っぽい見た目にしてくれとシェイクスピア側が発注したのか、それとも大森が潰れた後に金型引き継いだ工場が作ったとかか、とにかく大森製作所じゃないところが作った安リールのようである。
 ドラグの安定性がイマイチなのを調整したり、メッキ剥げ剥げのラインローラーの表面がざらついているのをサンドペーパーでならして瞬着で表面コーティングして、逆転スイッチちょうど良いところで止まるようにカーボンの芯で止めを作って、と使えるようにするのに手間暇かけたけど、使ったら数年でどっか壊れるかも。ポスカの方がカチッとしていて数段モノが良いように感じた。
 シェイクスピアのブランドは好きだし、見た目も可愛くて良いんだけど、中身だけなら正直500円のワゴン行きだな。ハズレ引きました。でもまあこういうのも楽しいとは思うので2980円(と送料)は授業料込みということで文句はあまり言わないでおこう。

 とまあ、3台も買ってしまったわけだけど、マイクロセブンC1はキャリアーNo.1とスプール共用体制組めるしシビれる良いリールだしで手元に置くんだけど、ポスカ1とアルファ2260-303は正直単品で持ってても出番がない。かといって売るにしても値段が付くようなリールじゃないと思ってたら、ケン一が「余らしてて子供らハゼ釣るのとかに使えそうならもらうよ」とのことだったのでケン一へ業務連絡です、そのうち送るので待っててね。ラインもナイロン2号巻きました。

 リール文字通り売るほどあって、必要性が薄いのは売れるモノは売って、もらってくれそうな人には押しつけて、なんとか90台以下を保っております。
 スピニングネタもうちょっと仕入れてあるので、連投か休み休みか分からんけどあと2、3回書きます。お好きな人達はお楽しみに。


○オマケ「ギア交換」
 以前から、たぶん我が家の蔵にある、キャリアーNo.1、タックルオートNo.1、タックル5No.1はギア一緒じゃね?と思ってたんだけど、マイクロセブンC1とキャリアーNO.1のギア比較したついでに入れ替えできるか試してみた。
 キャリアーNo.1とタックルオートNo.1は交換可能。まあタックルオートの樹脂版がキャリアーなので当たり前かな。
 で、あたりまえにタックルオートNo.1のギアもタックル5No.1に入りそうに思ったんだけど、入りそうで入らない。逆は入った。
 昔のアンバサダーとか、組み立て段階で職人さんがピッタリ合う部品同士で組むので隙間とかがなかったと聞いたことあるけど、たぶん同じようにしてたり削って微調整したりもしてるんだと思う。
 大森製作所のサイズ同じリールはギア共通の場合が多いけど微妙にハマらないこともあるよ!ってことだと思う。
 ご参考まで。

2019年6月8日土曜日

過去の経験に学び、未来を想定し、今をなんとかかんとかする


 宿舎の灯りにコクワガタが飛んできてた。夏がやってくるなという気がする。まあその前に梅雨が来たな。
 でも今年は昨年豪雨のようにライズしていたアユが、ほんのちょっぴりしか近所には上がってきておらず、同じように季節は巡ってくるといっても実際には毎年毎年違っていて今年の夏はっていうか春も梅雨も一期一会で、今巡ってきたその瞬間はその時だけで後戻りも先取りもしようがなく、今の状況を、その状況に合わせて臨機応変に対応しながらなんとかせにゃならんのだろうなと思う。
 アユがあがってこないというのを嘆いていても仕方ない。それならそれで昨年同期はアユにかまけて放置していたヘラ釣りをしっかりやっておきたい。

 とはいえ、梅雨に入って雨が降ればテナガも釣りたいし増水濁りならば近所でシーバスも釣っておきたい。
 梅雨がやってきてアユがやってこないけど、そんななか竿がやってきた。
 まあ、竿が勝手にやってくるわきゃないので買ったんだけど、最近の物流速度には驚かされるばかりで、PENNのパーツとかアメリカから1週間かそこらのうちに届いたりするけど、さすがに竿は船便なので2月くらいはかかるかなと思ってたら、1月で届いた。船の速度がそんなに速くなってるわきゃないので、発注してからの在庫管理システムとかによる迅速な発送やら、陸送網の充実やらの分で1月がとこ早くなってるンだと思うけど、なにげに凄いことが起こってる時代だなと思う。

 買ったのは、今使っているアグリースティックライト7Fの後継として秋から導入念頭に買ったけど今から使えるな、なアグリースティックエリート7Fミディアムとバスプロのプライベートブランドのマイクロライトグラスの7.6Fのウルトラライトという安竿2本。どちらも2ピース。
 アメリカの安竿の何が良いって、グリップが今時の日本製のみたいに途中でブランクス剥き出しになってないのが個人的に好み。昔から長竿だと軽量化とコルクやらEVAの節約のためにそうなってたし、そういうデザインの竿があっても別に良いけど、今の猫も杓子も短竿でも同じようにそうなってるのを見ると使いたくなくなる。
 今回欲しかったのはアグリースティックの方で49.99米ドルの安竿なんだけど、送料が船便でも3千円ぐらいはするので、関税の対象とならない「商品価格合計の60%が1万円以下」の範囲でもう一本ぐらい安竿買って送料割安にしておくかと、また用もないのに竿を買ってしまう悪癖を発揮。竿だいぶ売ったから多少余裕あるしな。
 一番手堅い買い物するならもう一本アグリースティックで、Liteの後継らしいElite(綴り「E」足しただけや!)をもういっちょでもいいけど、気分を変えてグリップとかEVA使用で今時ッぽい仕様のGX2の同じくミディアムアクション7フィート2ピースのモデルでってのが値段も39.99ドルとチョイ安いので良い選択かなと思う。
 思うんだけど、こういうときには冒険でしょでしょということで、ルアーで狙うメバルとかカマスとか小物用のロッドって今後あると良いかもなと、ウルトラライトの短めのは渓流用のを流用すればいくらでもあるので、チョイ長めのウルトラライトロッドをと探してみた。
 米国ではブルーギルやらパンプキンシードやらの”パンフィッシュ”用の竿が各種売っててそれっぽい7.5Fの黄色いグラス竿があったのでこれにした。
 何しろバスプロブランドで出てるのもあってクソ安い。19.99ドルという持ってけ泥棒価格。ガイドはセラミックだしいかにもな安物だけど昔のイーグルクローの黄色いグラスロッドとか思い出されて見た目は悪くなさそう(ネットで見た時点では)、ガイドなんざいざとなったら取っ替えりゃよいし、失敗しても失うモノは19.99ドルとたかがしれてる。
 でもって、実物来てみると、やっぱり失敗したかな?という今年のクソザオオブザイヤーを受賞しそうな代物であった。久しぶりにドキドキするようなクソ竿感。
 7.5フィートってたいしたことはないけどそれでもこのクラスとしては長竿で、グラス100%のブランクスは厚ぼったいセラミックリングのガイドも相まってぶっちゃけ重い。使えなくはないけど尻にオモリ突っ込んで重心調整したくなる。
 グリップをはじめ全体的に予想外にゴツい。ULアクションで適合ラインは4~8LBとなっているので、バットまでグニャグニャのお遊びロッドだと期待してたんだけど、妙に本気度のうかがえる腰の入ったぶっといバットに、使うラインが細くなっても使い手の手が小さくなるわけじゃないっていえばその通りなんだけど、グリップも米国人仕様で太い。写真見てもらえれば分かるけどアグリースティックよりむしろ太い。
 このゴツい竿に細糸を巻いた小さいリールを付けてバランスが取れる気が全くしない。でも、グラスの長めの竿で遊んだら面白いかな?ぐらいの軽い気持ちで買ったけど、この米国人的には本気の小物竿は、グニャリとアタリを弾かなさそうな竿先で掛けまくり、予想外の大物の引きも粘りのあるバットでタメてしのぐというのをやってくれそうで、案外使ってみるとハマるかもしれん。いざとなったら日本人仕様の細いグリップとかに換装して使えば良いしとりあえず秋頃実戦投入してその実力を見きわめさせてもらおうか。
 ためしに、2本にそれぞれリール付けてみたら、マイクロライトグラスにアクションMはそれ程違和感ない。安物どうしで似合ってる気がする。ちょっと恥ずかしいけどこの恥ずかしさはワシャ大丈夫。身分不相応な道具とか使う恥ずかしさは耐えられんけどクソ竿ゴミスピ使ってて向けられる軽蔑の視線はむしろご褒美です。
 アグリースティックエリートに714Zの方は”近未来アグリースティック”って感じでこれは結構悪くない見た目。リールシートの部分ブランクスが剥き出しになっててリールのフットの真ん中へん浮いている。なんでこんな構造になってるんだろうと考えたけど、ひょっとしてベイトの引き金部分を取っ払っただけのデザインで、元々のベイトのグリップでは直接ブランクスに指が触れて感度が良いとかいう屁理屈が付いてたんじゃなかろうか?でもベイトでもブランクス触れるようにするならリールシートの逆側だよな?結局わけ分からんこけおどしなのかも知れんけど気にしないでおこう。


 元々アグリースティックも買った最初はあちゃー失敗してしもた!と感じたクソ竿で、使っていくうちに、そのソリッドティップの柔らかく弾かない竿先とゴツいカーボンのバットの丈夫さに惚れ込んで、今回ナマジ的には3代目にあたるエリートを買ったんだけど、1代目から伝統的にブランクスは良いのにガイドだのグリップだのがショボい。
 1代目も2代目もガイドは使っているとフットが折れたりリングが抜けたり削れたりとろくなガイドは付いてなかった。国内でアグリースティック使ってる人をネットで探してみると、やはり皆さん”ガイドはFujiのSIC”に換装されてたりする。
 今回買ったエリートに付いているガイドも「アグリータフガイド」たらいうやつらしいけど、見てのとおりステンレスのガイドフレームにラインの当たる内側だけリングっぽい丸みをもたせてその上に直接ハードクロームメッキを施したようないかにも安上がりなデキのモノが付いていらっしゃる。
 バスプロショップスの購入者レビュー欄は割れてて「安くて丈夫」「最強の費用対効果竿」という高評価の中に「すぐにガイドが削れて使い物にならん」という低評価が混じっている。
 おそらく、日本の釣り人の多くはそんなメッキなんて方式でまともなガイドが作れるわけがないと思うだろうし、高評価を付けている購入者も使っていくうちにガイドが削れて評価を改めるハメになるだろうと想像すると思う。
 それは違うんじゃないかと私は思っている。削れたと不評を書き込んでいる釣り人のガイドは釣行1回とかですぐに削れ始めたようだし、たぶん全部が同じような品質ならそういう評価ばかりになるはずで、どうも1発で削れるような不良品と、そこそこ実用的な強度の確保できてる良品とが混ざっているんじゃなかろうか?
 硬質クロームメッキが実用上充分な強度を有しているっていう事例は、ルアーマンとかにはにわかに信じにくいかもしれないけど、フライマンならスネークガイドが単なる針金にメッキしただけに見える製品だけど、ラインが太いとはいえルアー以上にラインの出入りがあるロッドに付いているガイドがメッキでも実用上問題なく、かつ構造が単純で軽いということは経験的に知っておられるだろう。
 じゃあなんで、ルアーロッドとかのガイドは昔のメッキした”針金ガイド”じゃなくて今のような硬質なリングをはめたガイドになっているのか、その辺りの事情は「Fuji」の社長であった大村隆一著「ロッドクラフト」にみてとれる。
 該当箇所を抜粋すると「ハードクロームリング ステンレス製のワイヤーリングはキズが付きやすいため、超硬質のハードククローム(原文まま)をメッキしたものが開発されました。しかし、このハードクロームは生産コストが非常に高いにもかかわらず、見た目には、普通のクロームメッキと全く区別がつかないため、過とう競争による品質の低下が行われ、その性質も普通のクロームメッキと変わらないものとなってしまいました。すなわち、ハードクロームにおいては良質の品質を維持することは不可能に近く、この種のガイドは消滅を余儀なくさせられた訳です。」となっている。性能がダメってわけじゃなかったみたいで、品質維持が難しいし、安っぽく見られて嫌われただけのようだ。
 ちなみに紹介されている物性で比較すると、「SIC」がビーッカース硬度2400、熱伝導率0.17、「アルミナ(酸化アルミニウム、ハードガイド)」が硬度1500、熱伝導率0.04、「ハードクローム」が硬度700~1300、熱伝導率0.06となっていて、流石のSICの高数値に比べると見劣りしてしまうけど、実際にはナイロンラインはもちろんPEの使用でも問題ないぐらいの性能を誇るアルミナに近いぐらいの性能が、良質なハードクロームメッキのガイドなら得られるのである。
 この本が書かれた80年代当時と「生産コストが高くて良質の品質を維持することが難しい」っていうのが今でも同じなら、品質が維持できてなくて、実用性に欠ける道具には厳しい米国の釣り人がダメ出しする品質のものから、日本人のようにSIC以上が付いていないと不安な釣り人じゃないので実用上問題なく「安くて最高」と評価できる品質のモノまで混ざって出回ってしまってるのではないかと想像する。
 試作品段階では充分な強度が得られていたけど、実際に製品として生産し始めたら、納期の関係やら経費削減の関係やら色々と絡んで、品質管理が徹底できていないんじゃなかろうか?どうした世界の工場中国よ?最近の製品にはメイドインチャイナと目立つところにプリントされていて、すでに高品質な製品の証として他の新興工業国製と差別化する”ブランド”になってるんだなと思うけど、どないなっとるねンと鬼の首を取ったように迫りたいところではあるけど、そのあたりは批判の対象であるにしても、正直49.99ドルの安竿にそこまでの品質管理を求めるのも酷だろうなという気はする。
 アグリータフガイド方式が実用上問題ない製品を安く提供する手段になり得たら、ガイドの軽量化にも貢献するだろうし、なんか新型のガイド数多いガイドシステムを売ろうという気が満々見え見えのFuji社の牙城を突き崩す勢力にもなりえるだろうし、選択肢が増えて良いんじゃなかろうかとも思うので、とりあえず1票は投じたところだし、このガイドが当たりかハズレかしばらくそのままで使ってみて耐久性とかを見てみたい。
 あかんかっても、SICの”割れ”のように発生した段階でガイドが刃物化して即使用不能になるような不具合と違って削れていくのは徐々に溝が深くなっていきダメになっていくので、気付いた時点でガイド交換で充分間に合う。
 今まで使ってたアグリースティックライト用に、Fuji社の国内向け販売製品では一番低価格のアルミナ系の「Oリング」というのが入ったの中心にステンレスフレームのガイドを確保してあるので、いつでも交換可能である。安いアルミナ系ガイドって国内じゃ売ってるところが少なくて、そもそもトップと穂先近くの小さいのはあったけど、シングルフットのバットの方に使うサイズはFuji社のカタログにもなくて、大きいのは在庫してあるSICのをそれ以外はネット店舗でOリング入ったのを探してお取り寄せで何とか確保したところ。ステンレスフレームのSICガイドだと1個400円ぐらいしてたけど「Oリング」ガイドだと一個100円200円で全取っ替えしても千円がとこで済むので、アルミナ系で実用性は問題ないと経験上知っているので多少性能落ちてもお値打ち感でワシャこちらを選ばせてもらいまっさ。自分の釣りに過剰な性能はワシャいらん。Fuji様におかれましてはアルミナ系の安ガイド国内向けももっと充実させてください。お願いしやす。
 
 てな感じで梅雨って雨は降るけど風は吹かないハズなので、雨なら気温もそう上がらないしカッパさえ着込んじまえば釣りやすい状況は多いので、梅雨までにカッパの防水かけ直しておかねばと思ってたけど、間に合わんかった。まあ梅雨の晴れ間に泥縄でやっつけよう。
 梅雨には梅雨の釣りをする。