2018年6月18日月曜日

鮎釣り小ネタ


 毛鉤巻いたり仕掛け作ったり、アユ関係のお勉強したりで昨日の顛末記もまだ書けてない状態だけど、鮎釣り始めて半月ほどで色々と気付いた点など小ネタを書き記しておきたい。

 まずはお詫びと訂正から、どっかで「アユが攻撃するのは水平姿勢で縄張りに侵入してくるもの全部、色も形も関係ない」と書いたけど、水平姿勢が一番重要なのは正解っぽいけど「色と形も関係ありそう」だそうです。正方形のモデルはほとんど攻撃されず、黒より白が攻撃されて、横長の斑紋は攻撃を抑制していそう、ついでに小さいモデルの方が良く攻撃されるという報告(井口1991)。多分同じ報告に基づく解説を読んだのを記憶していたはずなのに、結果の数値の読み方が解説者によって違ったのか、単なる私の記憶違いか?いずれにせよゴメンナサイ。科学とは新しい知見によって日々更新されていくべき性格のモノであり、過ちを正していく姿勢こそ科学的なモノの考え方である、などと自己正当化を図ってみる。
 これでルアーでアユ釣るなら白くて模様の無い小さめのミノーが良いと割り切れる。
 昨晩、片野他編「アユの科学と釣り」という「アユ釣り愛好家の学者・研究者による「アユ学」エッセイ」と帯に踊る本を読みかえしていて判明したんだけど、この本、鮎釣り始める前に読んでも生物ネタ的に面白かったけど、鮎釣り始めてから読むと狂おしいほど面白いので鮎釣りファンでまだ読んでない人は読むように。
 まあ、アユ釣り愛好家と言っても友釣りばっかりで、私が闘いを挑むべき体制側の啓蒙本であり本来焚書にすべき書なのかも知れないが、敵の武器を鹵獲して闘うなんてのはゲリラ戦の常道なので使える知識は使わせてもらうゼ。君らが開発した武器が君ら自身を苦しめることになるのだよ。

 ここ一月ぐらいは、鮎釣りのことばかり考えているので、その中で書き留めておきたいことなどいくつかご紹介。


 まずは、タモ網。普通タモ網とかランディングネットってごぼう抜きにできないような魚を取り込むための道具なんだけど、鮎釣りではちょっと意味合いが違うように思う。鮎釣りにおいては、近年の友釣りでは引き抜きで飛んできたアユをタモでキャッチするのが当たり前になっているのに見られるように、アユは大きな魚じゃないので普通にごぼう抜きできる。じゃあタモいらねえジャン?と思うとそうでもなくて、どちらかというと引っこ抜いた後にバタバタ暴れてポロリというのを防ぐためにこそタモが必要。鮎釣りの鉤は友釣りでも毛鉤でもかかり重視のスレ針でかつアユは取り込み後もこれでもかというぐらい暴れるのでポロリが多い。釣った後これだけ暴れる魚は他にはツムブリぐらいしか思いつかないぐらいジタバタする。ので引っこ抜いてその後ハリ外したり、友釣りならオトリ交換したりするためにタモがいるのである。
 なので、長い柄の付いたのは必要ない、必要なのは中で暴れられても絡みにくい、ハリが刺さりにくいような目の細かい網が張ってあるやつで、そうじゃないと面倒くさい。かつ引っこ抜いた魚をキャッチするためにそれなりの枠の広さが欲しい。
 アユ用のタモを買えば当然そういうタモになってるけど、でもお高い。網目の細かい高級品なんて正直買えるかよ、という値段である。
 なので、なんか良いのないかなと考えて、暫定的に金魚掬うような観賞魚用のネットの25センチ枠のを試してみたら結構塩梅良いんでやがんの。こんなもん千円しないし、我が家にボロいの転がってたので実際にはお金掛かってない。だいぶ穴があいてきて繕って使っているけど使用不能に破れても次もコレで行きたい。
 ついでにオイカワの数釣りで魚籠の入り口にやるようにラインを一本張っている。これに釣れた時ハリスを引っかけて横に引っ張ってハリのフトコロにラインがくる状態にもっていくと、アユが暴れてタモに落ちてくれる。割とこれも塩梅良い。


 次に毛鉤交換の迅速化。まあインチキとはいえ出自がフライマンなので、魚の反応やら流下する餌の変化やらにあわせて毛鉤を交換しながら釣りたいわけで、鮎毛鉤釣りの場合複数の毛鉤を並べる仕掛けを使うので、最初からいくつもの毛鉤を使えているのでフライフィッシングほど頻繁に交換したくはならないけど、でもやっぱり換えたくなる。

 枝スの方を交換すると、交換の手間自体は大したことないんだけど交換した毛鉤はハリス結んだアイをガッチリ瞬間接着剤で金玉と接着してあるので再利用ができない。
 ということで、唯一枝スではない幹糸の先に結ばれている最後の1本を交換するんだけど、これも何回もやっていると幹糸も毛鉤のハリスも短くなっていく。
 ので、幹糸側の最後にコブを作って、幹糸に8の字作ったハリス側を接続する方式にした。穂先の取り付けと基本一緒で使う時はシモリ浮きを止めている毛糸で押さえ込んで緩んで抜けないようにしている。幹糸側のコブの先にちょっとあまりを出しておくと外すときにズラシやすい。ズラして毛鉤のハリ先で8の字を引っかけて外しているけど「そんな細かい作業できねえヨ」という場合はハリスの8の字の先に短くつまめるようにハリスの切れっ端でも結んでおけば良いと思う。



 次に浮子。鮎毛鉤流し仕掛けについている浮子は横長の棒状で、多分この形なのはアタった時に立ち上がるとか適度に揺れて毛鉤を動かすのかなと思っていたけど、アタリは以外に直接的で、流しているときはバシッと食ったのが目で見えることが多いし、流しきって下流で待ってるときのアタリは浮きに出る云々より手元にくる。
 でも、やっぱり浮子は流しきって待ってるときや逆引き中はちょっとジッターバグみたいに揺れていて足下で毛鉤動いているか見るぶんにはそれ程動いていないように見えるけど、糸電話を思い出せば分かるように、張った糸って振動を良く伝えるので間違いなく浮子が振動していることには意味があるように思う。
 ということで、高活性時に派手に魚の気を引くために振動を増幅するにはどうすればよいか考えて、それまで中通し式にしていたのを、グラスの心棒入れて心棒を長めにして揺れ幅を大きくしてみようという浮子を作ってみた。
 結果、仕掛けの重さで浮子の動きが制限されてか、あまり大きく浮子が揺れなくなってしまった。というオチ。ただ、揺れは小さいけど直接的にラインに振動が伝わっているので見た目の揺れが小さいからといってダメとは限らないのでしばらく試してみたい。良くないような感触なら心棒短く切ってしまえば多分揺れは大きくなるはず。単純に揺れが大きければ良いのならジッターバグでも浮子として使えばいいけど、そうなると騒がしくて警戒されることにもなるだろうから良い塩梅を探りたい。探った結果が市販のに付いている浮子だとしても、アタイ自分でも気になったら試しておきたいのヨ。


 小ネタ最後は友釣り仕掛け。友釣りの仕掛けというと、天井糸が仕掛けの長さ調整可能なように編み込み利用してあって、水中糸は極細金属糸で接続にはやっぱり編み込んで瞬間接着剤で固めてと、とにかく面倒くさい印象だった。
 でも、この面倒くささは全部「極細金属糸が悪い」のであって、極細金属糸を使わないナイロン糸仕掛けなら割と単純であると今のところ理解した。
 仕掛けの長さ調整もナイロン仕掛けなら結ぶのが難しい金属糸と違って現場で切って繋げば良いだけで面倒くせえ仕掛け必要ない。ナイロンどうしなら水中糸と鼻管周りの仕掛けの接続も普通に結べば良い。そもそも普通に結べてそれなりの耐摩耗性とかがあるナイロン糸を水中糸に使えば天井糸なんか必要なくて水中糸を穂先に接続したら良いはず。
 逆に言うと、それだけしち面倒くさいことをヤルだけの価値が極細金属糸にはあるということである。荒瀬の中でオトリを泳がそうと思ったら、ラインが受ける水の抵抗は相当なハズで「ライン細いは七難隠す」で、水の抵抗を受ける水中糸以外は全部ナイロンとかにしなければならないぐらい釣りの仕掛けには向かないはずなのに使いたくなる利点なんだろう。
 でも、いうほど荒瀬で大鮎狙うような場面って多いのか?まあ人様の釣りはさておき、自分の釣り場は膝下水深とかのチャラ瀬と深くて1mもないような淵ぐらいで流れもきつくないので、当面ナイロン仕掛けで問題ない。なんなら鼻管周りの仕掛けに使うナイロン0.8号通しでも良いかなと思ったぐらいである。まあそんな手間でもないので0.5号を水中糸というか道糸にした。
 そうすると意外なほど単純な仕掛けで、ライン以外のパーツといったら写真の鼻管、逆さ針、逆さ針のおしりに付いた自動ハリス止めに繋ぐ掛け針ぐらいで、あとは目印3カ所も付けときゃいいかってぐらいで、鼻管がそれ用のプルージック結びのための細いPEがクソ高いのでナイロンハリスで古式ゆかしく編み付け利用した接続にしたのがちょっと面倒くさかったぐらいで、全体的にはたいして手間でもなかった。
 うちの近所の鮎たちが縄張り作ってくれて友釣りの対象となるのかまだ未知数だけど、とりあえず出番があればコレで行きたい。
 ちょっと、作ってて気になったのがガマカツのハリの「ナノスムースコート」とかいうやつで、多分ダイワのサクサスとかと同じフッ素コート系の表面処理なんだと思うけど、ワカサギ釣りの時に虫餌の付けやすさは確実に利点だと思ったけど、鮎釣りの掛け針やらフライフックやらにも採用されてるのを見ると、そんなモンの滑り良くしてどうするの?という気がしまくっている。フライフックとか売ってるの見た時点で「フライ巻くとき滑って巻きにくいンとちゃうか?」と思って帰って検索掛けたらやっぱり巻きにくいらしい。鮎釣りの掛け針も根糸で巻いて瞬間接着剤で固めてハリスに固定するんだけど、始めてやったこともあってだとはしても固定できず抜けまくりで、最終的には8の字でコブ作って止めた。
 それだけの欠点が有りながらかつ値段が高くても、利点が補ってあまりあるなら使う価値はあるんだろうけど、スレ針で滑りが良いって、スレ針の利点である刺さりやすさが行き過ぎて逆に「抜けやすい」欠点のほうが出過ぎるんじゃないかと現時点では思う。刺さりやすいのは利点だろうけど刺さりやすけりゃ抜けやすいってのは当たり前で、刺さりやすくて抜けにくくするためにカエシが付いてたはずで、そこを刺さりやすさ重視でカエシを取っ払って、その状態で良い塩梅の保持力を持たせるように表面の加工やら形状やらを設計してあったはずで、同じような形でより刺さりやすくしてしまったら抜けまっせそりゃ。逆に欠点が出てこないぐらいなら対して利点もない表面加工であるという証明で金返せという話である。良くわからんので最初は良いやつ買っとこうと、あまり考えずにガマカツさん信頼して高めの買ったけど失敗だったかも。

 とまあ、鮎釣りに没頭している。近所のアユは釣りになる場所も今のところ限られていて、他の釣り人や鳥に目を付けられたらその時点で終わりで、今年は沢山遡上してきているけどいつまで釣り場にとどまるか、釣りが成立するぐらいの個体数が保たれるかも未知数である。ということで、他の釣りはしばし放置で今はアユに全力投球で、釣れるときに釣れるだけ釣っておきたいと思っている。楽しい。

2018年6月11日月曜日

YOUはシャック!


 愛で空は墜ちてこないけど、梅雨で雨粒が落ちてくる。

 さすがに川はかなり増水するぐらい激しく降ってるので、昨日今日と釣りには行けずに大人しくせざるを得ない。
 ただアユを求める熱い心を鎖で繋ぐのは今は無駄であり、この機会に毛鉤のストックを増やしたり、新しい毛鉤の試作をしたりと意外に忙しく、没頭していたら昨夜はブログ書いてる暇もなかった。

 先日、小雨の中の鮎毛鉤釣り。雨降ったら水生昆虫の羽化はないだろうしライズもないかなと思っていたけど、意外にライズしていて、釣れた鮎をナニ食ってるんだろうと腑分けして胃内容物確認してみたら、これが5ミリ以上ある大きめのユスリカの蛹の抜け殻で「シャックかよ!」と驚いたともに、おそらく晴れてた朝の時間に静かな魚の少ない上流の水域で羽化したユスリカの抜け殻が長時間にわたって流れてくるので、その日に限らず羽化が収まるマズメ時以外でもずっとライズしているんだなと合点がいった。
 フライフィッシングの世界では、抜け殻食いのマスの存在は話題になることがあって、どっかでマスが浮上して水面の餌を咥えるのに要するエネルギーと、抜け殻から得られるエネルギーを比較して、抜け殻のタンパク質とかから得られるエネルギーの方が大きいので、個々の重量は微々たるもので腹ふくれなさそうだけど、沢山食べると充分食料として価値があるとか報告されてたと思う。
 抜け殻をフライマンは「シャック」と呼び習わし、その透明感やカシャカシャッとしているだろう食感などを再現すべく、種々フライパターンが開発されている。

 シャックは羽化した成虫のように飛んで逃げないし、蛹や幼虫のように泳いで逃げたりもしないので、大量にシャックが流れてきて偏食していると、あんまり毛鉤を活発には追ってくれないように思うので、そこそこデキの良い毛鉤が必要とされる。
 ということで、いくつか作って実戦投入しているところだけど、とりあえず簡単なのはカシャカシャッとしてて透明な繊維「ズィーロン」を束ねて捻って縒って体節っぽくして尻尾の部分である「角」とした「借苦角ズィーロン」。カモの毛の縞々を生かして角にした「借苦角鴨」、スーパーでもらえるビニール袋を加工した角を付けた「借苦角ビニール袋」は一番カシャカシャして抜け殻っぽいかなという感じ。
 今のところ、角ズィーロン版はそれなりに良い感じで釣れている。
 
 角鴨はまだ釣れていないけど、角ビニール袋はいきなりコイに持ってかれて、そういう時に限って1つしか作ってなくて、昨日増産かけていた。多分コイもよく水面で餌拾ってるのは目にしてるので食ったんだと思う。だとすれば魚の目から見て捕食行動起こす程度の毛鉤になっていて、ならばアユにも効くんじゃないかと期待している。
 スーパーにロールで置いてあって無料でもらえるビニール袋の間に腰をもたせるためズィーロン挟んで、熱した鉗子で摘まんで溶着させて角の部分を作る。縞々の凸凹ができるのでマジックで適度に汚して拭くと、体節っぽい縞々模様ができる。
 人間の目から見ると、透明感といい一番抜け殻っぽいんだけどはたしてどうだろうか。意外に見た目「リアル」なこの毛鉤より単純なズィーロン角版が優秀だったりというオチはありがちだとは思っている。

 他にも、高活性時に市販の鮎毛鉤に負けないような派手な毛鉤が欲しいなと、いくつか巻いてみた。
 いろんな色や素材を組み合わせて技巧を凝らした職人さんの作る鮎毛鉤と同じ方向性では勝負になるわけがないと痛感しているけど、ワシゃルアーマンじゃけん、派手で魚の反応が良くて単純な配色とかなんぼか脳裏に染み着いてるのがあるけんネ。
 というわけで左から2番目のシルバーヒルトンを元ネタにしたもの以外は、ルアーのカラーを参考に巻いてみた。どれがどんなカラーから鮎毛鉤に落とし込んでいるか分かるだろうか?
 左から「白黄」は目立つカラーといえば蛍光黄色ということで、蛍光は無理だったけど、角と蓑毛を白に、胴を白と黄色に染めたガチョウの羽の筋で巻いてみた。雨後の濁りとかにどうだろうか?
 2番目の元ネタであるシルバーヒルトンは、多分私が初めて巻いたフライだと思う。安いフライセット買って、さあフライも巻くぞとなってバイスもホームセンターで買ってきた小型万力という状態で、ハックルだの鳥の毛もなかなか買えない貧乏学生は、大学で飼育されていた白黒鹿の子斑の鶏に目を付けて、担当の先生にお願いして首の毛抜かしてもらって巻いたと思う。尻尾もウイングもハックルも鹿の子斑の鶏の毛でボディーが黒に銀を巻いてあるというシックな1本である。銀を黒の上から巻くんじゃなくて、今回は銀を底に巻いておいて烏の毛の筋を荒巻して底の銀がチラチラ見える感じにした。金玉は樹脂製の真珠色。黒銀はルアーでは地味な配色だけど、黒はくっきりして結構目立つし銀の反射もあって毛鉤全体として目立つ配色だと思う。すでに活躍している「幻影底烏荒巻」が割と使える感じなので、烏の濃い焦げ茶っぽい黒の鉤を他にも試してみたかったのもあって巻いてみた。
 3番目はルアーの世界では夕まずめや夜に大人気の「赤金」。角赤、胴は底に金のフラッシャブーを巻いておいて、オレンジに染めたガチョウの羽の筋を荒巻して、蓑毛はオレンジに染めたウズラ。コレはなんか理屈抜きにルアーマンの本能が釣れそうだと直感する。「底」に光り物の素材を巻いておいて上に羽毛の筋をユルく巻いて底の光り物がチラチラ見えるという「荒巻」はいかにも鮎毛鉤っぽく仕上がって釣れそうで、巻くのも難しくなく良い塩梅だ。
 最後の「火虎」が、オレンジに黄色と緑に黒ということでファィヤータイガーカラーを鮎毛鉤の色に落とし込んだつもりである。
ただ、胴はオレンジのスレッドを底に巻いた上に黄色と緑のガチョウの羽の筋を交互に綾巻きしたという、この程度の色使いですら、今回鉤18番と大きめにもかかわらず難しく、最初のオレンジのスレッドが次の黄色を巻いていると抜けてしまうということが2回あって、またイィーッ!とさせられた。
 何しろ、バイスも学生時代に買った安物で、小さい鉤にはやや使いにくい。
 最後に糸をとめる用のウィップフィニッシャーとして使っているボールペンの芯や割り箸に縫い針を挟んで固定して自作したニードルとかも学生時代から使っていて、四半世紀来の愛用品である。

 今回、ニンフフライの脚の本数とか数えて巻いていそうな几帳面なフライマンがみたら卒倒しそうな私の毛鉤巻き作業場の写真を公開したのは、高価なバイスとかがなければ「釣れる毛鉤」が巻けないってわけじゃないんだよ、高度なテクニックで美麗な毛鉤を巻かなければ魚が釣れないってわけじゃないんだよ、というのを伝えたくって、あえて恥ずかしい実状をさらしてみた。もうちょっと整理整頓しろよと自分でも思う。
 ネット上でも自作のフライとか公開している人のフライはどれも綺麗に作られている。バイスも高級品である。それをみて私のような不器用な人間はフライや毛鉤を巻くのに不安を感じる。「完璧」な毛鉤じゃないと魚が釣れないのではないか?と。
 ご安心ください。安物バイスで巻いた、この程度のいい加減な毛鉤でも魚充分釣れてます。
 フライの世界ではマッチザハッチは魚を効果的に誘う手段であると同時にそれ自体が大きな楽しみであり、水生昆虫を観察して、その見た目から質感から動きまでを再現していくというのは、それ自体が目的化していることもあり、その面白さを否定するものではないけれど、虫に近づけば近づくほど釣れるかというと、実際にはそうでもなくて、魚が虫を選ぶときの肝になっているであろう要素を押さえたり強調したりして、余分な部分を排除した単純明快な毛鉤の方が、見た目スゴいことになっている「リアルパターン」より釣れるのが世の常であると思っている。その辺りのさじ加減をどうするかあたりもフライマンは楽しんでいて、絶対の正解もないけど案外いい加減なフライや毛鉤で良く釣れるものなんである。綺麗に巻かれているのに釣れない毛鉤もあれば不細工でもなんでか釣れるフライもあるのである。
 魚が脚の本数そろってない毛鉤を食わないとかがあるのなら、それはおそらく左右非対称になったことによるバランスの崩れとかの問題で、昔のエサ釣り師は川虫の脚はもげていると魚が食わないと真剣に主張していたものだけど、そういうことだったのかもしれない。脚欠けたぐらいで魚が食わなくなるのなら昆虫は喜んで脚ぐらい自切するだろう。
 水生昆虫に直接似せていない、時に派手な目立つ色に巻かれている鮎毛鉤の世界でも、あんなに複雑な手法で巻かれた毛鉤が欠くべからざるモノかというとそうは思っていない。
 良く派手なカラーのルアーをみて素人が「あんな派手な魚は自然にはいないので不自然だ、釣れそうにない」とか言っちゃいがちだけど、不自然だからこそ目立つからこそ喰われるのは、アルビノや金魚が自然界では生き残りにくいことを考えれば当然である。
 そういう不自然で派手に目立ちかつ嫌われにくいような配色を膨大な時間の試行錯誤の中から導き出してきているであろう、それでいて時に縞々の配色に妙な本物の虫っぽさを感じたり、水生昆虫が羽化時とかにまとう気泡の煌めきなんかを再現する反射系の素材使いなんかにフライとの収斂を感じたりもする鮎毛鉤について、本当に良くできていて綺麗だと感心すると共に、様々な思いを込めて巻かれてきて親しまれてきたその歴史に敬意を感じざるを得ない。得ないんだけど、ぶっちゃけ「魚釣るだけならもっと単純でいいやね」と思ってしまう不敬な私もいるのである。
 
 本物らしさや派手さを演出する精緻な技巧も、あって邪魔になるモノではないだろうけど、自分が持ってないなら仕方ない。あるもので作れるものでも充分楽しみながら魚が釣れる。
 そういういい加減さも含めて、やっぱり釣りは自由だと思うのである。

2018年6月1日金曜日

備えあれど憂いあり


 遠征前の準備なんてのは、あれこれ想定してやり始めるときりがなく、その上実際に現地に行ってみると、想定外のことばかり起こったりして、結局現地で何とかかんとかするしかなくなったりもするんだけど、それでも準備には時間と労力をかける。

 先週末、一応準備をおえて先に現地に送るべき荷物は段ボールに詰めて封して、その他の持って行く釣り具とかも一度リュックに入れてみて、今回はデカい防水パックに突っ込んでコロコロ付き背負子を使うんじゃなくて普段使っている30リットルのリュックで間に合うな、とか確認済みである。

 もう、ほかに準備しなくてもいいようなものである。
 でも、前回ブログで書いた「ハリとイト」の違いとか気になって仕方ない。仕方ないので「ホンテロン」も0.5号を入手した。
 「ホンテロン」想像よりもかなり堅い。今時のパリッとしたナイロンリスや逆にしなやかに進化してきたフロロカーボン系やらより明らかに堅くてハリがある。ナイロン0.4号で作った枝スで鮎毛鉤をぶら下げると悪くはなさそうだけど幹糸に絡むことはありそうな振れ方をする。ホンテロンで作ると枝スの先の毛鉤は針金で吊されているかのようで、たしかにこれは絡まなそうである。ただ、こんなに堅いと毛鉤の動きを制限してしまうんじゃないかと、お風呂で引っ張り試験してみると、やはり動きが制限されてハリスの曲がり具合によっては斜めって泳いでいる。ナイロン0.4号ハリスの先の毛鉤が生き物のようにユラユラと揺らぎながらハリスに引っ張られて「泳ぐ」のに比べるとぎこちない。
 はたして動きを制限した絡みにくさや感度の良さのエステルハリスのホンテロンがいいのか、柔らかく自然な動きと食い込みの良さが期待できるナイロンハリスがいいのか、自作の鮎流し毛鉤仕掛け2組目の後ろ3つをホンテロンハリスにしてみたでので確かめてみたい。

 ハリも結局、今のところメインの予定のがまかつB11-Bのほかに、ストレートアイのティムコ101も買ってみたし、マルトのd04も買ってみた。
 切れる札は全部切るというか、思いついたことは出し惜しみせず、やれることは全部やっておく。
 ティムコ101は今時の細い軸じゃなくて昔ながらの真鍮色のフックでバーブつぶすのも簡単だし、特に問題はないように思う。ボラ狙うときは迷わずこのフックか。
 もう一方のマルトの方だけど、伸びるという噂通り、折れるまでに結構曲がる。この手の曲がるフックは多分海外での需要なんだろうと思う。華奢ですぐ折れるフックより曲がってでも粘るフックが海外では一般的なんだろう。パッケージの仕様がもろに海外向けだ。
 日本人の「尖った」性能をありがたがる傾向のせいか曲がらず限界で折れるハリが日本製フライフックでは主流だけど、適度に曲がってタフなハリというのが役に立つ場面ってのはあるだろうし割と好みでもある。
 もちろん折れも曲がりもしないハリが理想だろうけど、どちらにせよ結局は強度が欲しければ太くするのが根本的な解決策のはずで、そういう太さの、強度の必要な場面であまり細くて堅いハリを求めても意味ないのかなと思う。
 ということで、100本も入ってるので早速使ってみる。ただ、曲がるといっても限界はあって、バイスで挟んで2回ぐらいに分けて伸ばしていっても、がまかつのB11-Bぐらいのアイの角度までしか安定して伸ばせない。それ以上伸ばすと多くは折れるし、1回でギュッと伸ばそうとしても折れる。
 1,2割折ったとしても、送料入れて100本900円と安いハリなので、いろんな鮎毛鉤を巻いて試したいときとかは、このハリを中心に使おうと思う。鮎釣る分には強度的にもなにも心配していない。

 でもって、鮎毛鉤釣り前哨戦の解禁アユフライフィッシングの方は、見えている鮎が5~7センチぐらいと小さいので、苦労しながらもティムコ101の22番、がまかつB11-Bの24番という小さいハリにそれっぽくソフトハックルで巻いてみた。

 今朝、待ちに待った解禁で喜び勇んで部屋から5分の釣り場で釣ってみたら、案ずるより産むが易し、ってぐらいでサクサクと釣って、実にさい先良く鮎シーズンの開幕を迎えることができた。これから禁漁まで鮎を追い続けることができるのか、初めての経験なので未知なことばかりだけど、それ故に沢山の楽しみが待っていると期待している。

 明日からの小遠征、準備はできるだけのことをしたつもり。後は結果を出すだけだ。そんなに難しいことをするつもりじゃないし、それでも難しいんだろうとも思っているけど、経験、知識、想像力、体力、技術、道具、人様からの助言も含め自分の力を総動員して楽しんできたい。

2018年5月26日土曜日

鮎のことしか考えられない


 なんぼ鮎が釣りたいといったところで、6月1日の解禁を待たねばならず、1回も釣ってない改良の方向性もクソもない段階であれこれ悩んだところで仕方ないので、一旦鮎のことは置いておいて、テナガなりヘラなりに注力しようと思うのだけど、ジョギングで出かけるたびに近所のコイ釣りする淵の流れ込みが稚鮎のライズで豪雨のようになっているのを見ると辛抱たまらんくなって、ついつい釣れるかどうかもまだ分からん鮎毛鉤などセッセと巻いてしまう。
 昨年こんなになってなくて、あからさまに今年は異常な当たり年だと思う。かつこのライズが鮎だと分かってる人間なんてほとんど居ないはずで、釣ったろうと狙っている人間も居ないはず。

 鮎毛鉤はやっぱりフライマンにはそこそこビビッとくるネタだったようで、ケン一からもいくつかアドバイスもらったりして、そのへん反映してチマチマと20番のちっさいフックに苦しみながらもいろいろと巻いている。胴の上から螺旋に巻き止めるのをフライではリビングというんだけどそのリビング材なんていうのは色目を加える要素としてはお手軽で、「うさ耳」の原型であるヘアーズイヤーニンフだと、有名なパターンとしては金色の針金でリビングしたゴールドリブドヘアーズイヤーニンフってのがあって、その亜流としてよくルアーのフックについてたりもするキラキラ光るフラッシャブーでリビングしたニンフをヤマメ釣るのには使っていた。渓流では浮かせるドライフライばかり使ってて、たまに雨が降ってきて増水して濁って、明らかに水中の流れてくる餌を魚が狙ってる時ぐらいしかニンフフライの出番はなかったので、ほぼニンフはそのパターンしか知らないというのが実情。濁り水の中でもフラッシャブーのキラキラ感は頼りにしていた。というわけでフラッシャブーを巻き付けた写真の「閃光うさ耳」などでっちあげてみる。

 フラッシャブー関係ではケン一情報では最近は「ミラージュ」ってやつが派手で、嫌われるときは嫌われるカモだけどお薦めとのことで、フックも切れたし他にも欲しい素材とかあるので街に出たついでにSスイによって仕入れてきた。
 ミラージュは最初今までのフラッシャブーとあんまり変わらないんじゃないかと1200円とお高いこともあって購入を見送るところだったんだけど、手に取ってみたら買わざるを得なくなった。写真でも結構光ってるけど、角度によって鏡面のようにギラッと光る。逆に角度が変わると無色っぽくなる。このへんの明滅の落差は魚の目を引く度合いは強いはずである。魚の反応の実験でスプーンのような金属の明滅は極めて反応強いというのは目にしたことがある。反応強いと、ケン一の指摘にもあったように「嫌われる」刺激にもなり得るし、スレるのも早かったりするけど爆発力は期待して良いと思う。
 でもって、ほかの鳥の毛系の材料が白ばっかなのはなんでやねン、と突っ込みが入るかも知れないけど、別に白一色の毛鉤を巻くつもりで買ったわけではない。
 色を変えていこうと思って、いちいち色違いの毛を買ってたら金が掛かって仕方ない。そういうビンボくせえフライマンの間で古くから使われている技法が「マッキー染色」なんである。そのまんまなので説明不要かもだけど油性ペンのマッキーで色塗ってしまうんである。今回鮎毛鉤のためにマッキーの緑とオレンジも買った。まあ、ブルーダンとかクリームとかマッキーに無い色で絶妙な色が欲しくなると買わなきゃなんだけど、マッキーでも結構闘える。

 てな感じで、色もちょっと考慮に入れて試せる材料は揃ったので、2組目の打線を組んでみた。
 色とか光る素材とかの効果を見たいので、色以外の要素や形はなるべく同じにしたい。
 ここしばらく、暇さえあれば鮎毛鉤メーカーのホームページとか見ていたので、だいたい鮎毛鉤の一番単純な型というのが自分の中では固まってきたように思う。それがとりあえずこんな形です。
 金玉があって、蓑毛がパラリで胴が鳥の毛の軸で細身、鮎毛鉤では角と呼ぶ尻尾が赤が多い。この「赤角雉」を基礎にして色を足したりフラッシャブー足したりというのを、第2弾としては試してみたい。
 ということで、左の3本は蓑毛をオレンジ、黄色、緑にしてみた。色って実はメチャクチャ面倒な要素であえてこれまで「派手なんと地味なん2種類あれば良い」とごまかしてきたところだけど、鮎毛鉤の世界に足を突っ込むとなると色ももうちょっと突っ込みたくなるというところ。
 ただ、派手と地味という分け方だけでも実は難しい。陸上で見るとクソ派手な蛍光黄色も濁った茶色い水の中で見ると以外と魚の鱗がボヤンと光ってるような色に見えて、結構自然に見えたりする。っていうような光量やら背景となる色との関係とかで同じ色が全く違う意味を持つこともあるだろうし、フラッシャブーやら金属やらの反射はどうだとかはまた別の要素だとしても、たとえば色そのものが魚に与える影響の違いまで考慮し始めると収拾がつかない。赤は一般的に魚に対して興奮を喚起し、青は逆に落ち着かせるといわれている。活魚運搬水槽の内側が青く塗られているのも、私のカッパが青いのも理由があってそうしているのである。魚によってはクロダイが黄色が好きとかの好みもある。淡水ではそれ程なんだけど海では絶大な人気のピンクなんてのもあったりする。カツオ漁師が使うバケでもタチウオ引き縄のワームでもピンク率高くて、なんか良く分からんけど効くっていうような経験則の部分がどうしても色にはつきまとう。正直膨大な種類の鮎毛鉤のその色使いの一つ一つの意味が分かるようになるとは考えられない。でもまあ薄ぼんやりとした傾向と自分の釣り場の鮎がどういう色を好むのかぐらいは分かるようになりたいと思う。
 ぶっちゃけ、色的には派手な毛鉤ほど当たり外れ大きくて、地味でパッとしない毛鉤ほどバカ当たりはしないけど嫌われもせず地味に釣れ続けるというのは、ルアーの釣りを永くしてきた人間なので想像できる。赤角雉の赤だけ入れた茶色系は地味な色のワームのように手堅いんじゃないかと現時点で思っている。

 じゃあ爆発させるにゃどうするべさ?と考えると前述のフラッシャブーとか反射系の素材を使ってキラッキラに飾ってやるんだろうなと思うけど、果たしてド派手にいって良いのかしらと不安になる。けど、富士印鮎毛鉤の「キラキラ毛鉤」とかネットで見てると背中の蓑毛の下にピラッと一枚光る素材を入れているようなので反射系素材もありなんだなと安心して、右の一番上のよな感じで巻いてみた。光る素材はミラージュを入れたので「幻影赤角雉」という感じかな。
 これで5本で、あと2本打線に入れるとすると、一本は蓑毛なしのストンと沈むヤツをということで一番下の。ちなみにコイツだけ金玉を金属製の重いのにして沈みを含めた上下の速い動きを意識している。鮎用のサビキではパールの玉だけ鉤についているような単純なのが効きますよと和幸さんからタレコミいただいてたので、そのへんのサビキ的使い方も意識してみた。
 でもって、真ん中の鉤。フライマンから、なんで沈めて使う鮎毛鉤にエルクヘアカディス巻いてるねン、と突っ込みが入ってるかも知れないけど、まあ聞いとくんなはれ。実は過去に鮎を毛鉤で釣ったこと自体は2回ある。西洋式のフライでなんだけど、その2回とも夕方暗くなってエルクヘアカディスを水面直下でウェットフライのよう引いてたときであった。1度目はヤマメ釣ってて暗くなって見えなくなってきて、フライマンなら経験あると思うけど、結び直すのも面倒でどうせ見えないので浮かせて使ってたエルクヘアカディスをそのまま沈めて引っ張ってアタリを取るというウェットフライ的に使ってたときに釣れた。2度目は意図的に沈めたんじゃなくて夕方いい加減浮力がなくなってきたエルクヘアカディスが流し終わって引っ張られて「ドラグ」が掛かって水没したときに食ってきた。夕方活性が上がるってのは要素としてはあるんだろうことは確かだけど、フライの種類については偶然だろうと思うし、単にエルクヘアカディス投げてることが多いだけという原因かもだけど、そうだとしても2回起きた事象を単なる偶然で済ますような釣り人は、極めて確率の低い事象を狙って起こそうとする素養に欠けると言わざるを得ない。
 ということで試しゃいいジャンということで巻いてみた。1組目でもエルクヘアカディスとマドラーミノーは入れてあげたかったけど、鮎毛鉤の型に落とし込むのが難しくて断念していた。マドラーミノーを20番の鉤には巻けん。でもエルクヘアカディスはとりあえずそのまんまだけど、蓑毛を名前の由来のエルクの毛にして雉の胴にグルグルと雄鳥の首毛をフライでいうところのボディハックルとして巻き付けてでっちあげた。
 エルクというのは北米大陸では、これまたフライマンにはお馴染みのムース(ヘラジカ)の次に大きな鹿の仲間でワピチとも呼ばれるらしい。鹿の仲間の毛はマドラーミノーに使われる鹿の毛そのものがそうであるように中空の構造をしていて、ギュッと縛るとチアリーダーが持ってるポンポンみたいに毛が広がるのを利用していろんな形を作るのに重宝されてて、中空故に浮力も強く浮かせるフライには好適な素材で、エルクヘアカディスは多くのフライマンが「とりあえず生」的に渓流ではとりあえず投げてみるド定番パターンである。このエルクの毛の色が良い塩梅だとは故テツ西山氏の指摘するところで、とりあえず鮎釣ってみて良く釣れるようならエルクヘアの色なり浮力なりが効いてるのか、グルグル巻いたボディーハックルが効いてるのか、次の段階では「赤爪雉」の蓑毛だけエルクヘアにしたものと、ボディーハックルだけ巻いたのに分けてどちらの要素が効いてるのか試せば良いことになる。
 というように順番に、要素を整理して何が効いてるのか見ていかないと、メチャクチャな種類の鮎毛鉤を用意して片っ端から試して、経験則でどんな状況でどんな毛鉤が効くのか永い年月掛けて身につけるしかない。そういうものだと割り切って一生掛けて楽しむのも一つの手だと思うけど、何でも手を出す釣り人としては鮎毛鉤ばかりやってるわけじゃないので、道を究めていつでも爆釣、なんてしなくても良いから、そこそこ良い条件の季節にスカ食わずにそこそこ釣れて楽しめるようになりたい。それが難しいンだろうけどね。分かっちゃいるけどそう思う。

 でもって、それなりに毛鉤巻きたい欲求も治まって、正治さんところに先に送っておくウェダーとかの荷物を用意し始めてたんだけど、ケン一から救援物資が届いて、コレがまた痒いところに手が届く感じで、めんどくせえし金もかかるし雄鳥の首毛(コックハックル)でイイやと思ってるのを見越したかのように雌鳥の首毛(ヘンハックル) が入ってたりして、どうにもまた毛鉤を巻きたくなってまた巻いてしまった。フラッシャブー系のキラキラ素材も色々入れてくれてあったので、いっちょ下品なぐらい派手なのも巻いてみるかと、上から「銀飛螻蛄(シルバーセッジ)」の胴巻きをデジタル迷彩みたいな銀色で巻いてアンダーウィングにミラージュを2枚入れてみたの。2番目は胴を赤のフラッシャブーで下巻きして、白の鳥の毛で下巻きが見えるように「荒巻」して胸はクジャク、蓑毛は黄色とケバくしてみた。2つとも名前はない試し巻きだけど、荒巻は結構簡単な技法の割に鮎毛鉤っぽくなって良い。
 ということで、調子に乗って下2本は伝統的な鮎毛鉤の「赤熊」と「八つ橋荒巻赤底」に挑戦してはみたけど、でっかいパソコンの画面上のをみると簡単そうな赤熊の「二の字」というらしいけど胸の赤が2回入るところが、ちっちゃい鉤だとどうにも難しくて職人の技の冴えを改めて思い知らされる。黒も赤も切らずに交互に巻く間は下を通しておくだけという方法は分かるんだけど、できないんだよな~。ということで「赤熊」は二の字にならず一の字状態、練習用にと18番に鉤のサイズを上げたけどこの始末。無念。

 まあ、そういう細かいところまで作り込んだ毛鉤を楽しみたければ買うのが正解なんだろうし、そこまで作り込まなくても魚が釣れる程度の毛鉤にはなると思っている。
 ハッキリ釣る前から断言するけど、色とか素材とか「毛」の部分に関しては「赤角雉」程度である程度魚は釣れる。だって、ヤマメやオイカワが釣れるような毛鉤でアユだけ釣れないなんて理由は全くない。
 ただ、今作った鮎毛鉤で全く箸にも棒にもかからない結果に終わることはあり得ると想定している。もちろん状況が悪くて市販の鮎毛鉤仕掛けでも釣れないような場合もあるだろうけど、自作の鮎毛鉤仕掛けだけ釣れない場合もあるんじゃないかと心配している。
 ナニを心配してるのかというと、市販の仕掛けとは釣りで一番大事なハリとイトが違うから、まあ魚いっぱいいるところに行けばそれなりには釣れるだろうと思いつつも、不安といえば不安なんである。

 まずはハリが違う。刺さりとか色とかは気にしてない。でも形が違うのは非常に気になる。どこの形かというとチモトの部分、フライフックでいうならアイの部分で、今時のドライフライ用のフライフックは多くはダウンアイというやや下げたアイになっている。昔はフライフックでもバイビジブルを巻く用にストレートアイのフックがあったけど、いま日本製のフライフックでストレートアイは店頭では見かけなくてバーブレスだとカタログでも見当たらない。海外のマスタッドとかなら探せば作ってるかもだけど日本じゃ入手が難しい。
 真っ直ぐなチモトじゃないと、金玉がアイの直前に付く関係からその重さで流れの中でひっくり返るのならまだマシだけど、バランス崩して回転しちゃうんじゃないかと危惧している。
 なるべく真っ直ぐに近いのをということでガマカツのB11-Bを使ったものはお風呂テストでは真っ直ぐ泳ぐけど、ティムコのややショートシャンクのをつかったものは風呂場段階でややあやしいふらつき方で、流れの中では回転するかも知れない。回転するとハリスがよれて仕掛けが絡むので用をなさないだろう。金玉の重さは重要視しててガラスのビーズで大丈夫かと心配したけどお風呂で見る限りは良い塩梅だと思う。金属のビーズだと明らかに沈降速度速い。
 アイくらい真っ直ぐにできないかとバイスで挟んで力を掛けたらあっさり折れた。ドライフライ用の細いフライフックは粘らず折れる傾向が強いと感じるけど、もうちょっと粘らせる方が多少開いてでも魚はある程度あがるので良いようにも思うけどどうだろう?売れるのは明らかに曲がらないフックで曲がると評判落ちるんだろうとは思う。マルトのフックが安くて曲がるけど費用対効果は良いと聞いていて、案外良いんじゃなかろうかと思うんだけど、店では売ってるの見なくて、通販では売ってる単位が100本からなので二の足を踏んでいる。アイいちいち曲げるんならストレートのバーブ有りのを買ってバーブ潰しても手間変わんねえか?
 鮎がフライフック曲げることは想定してないけど、小さい餌食ってるそれ程小さくない獲物が近所にもいて、まあボラなんだけど、鮎毛鉤の延長線上で狙えると考えてるので良い塩梅のフックはどれかと考えるときに、ドライフライ用の華奢なフックはないなと思うのである。ボラのことは後で考えるとして鮎用としてはマルトのフック買ってアイ真っ直ぐに伸びるか試してみるか?100本700円は確かに魅力的。

 イトは鮎用毛鉤にはホンテロンの0.6号というのが標準装備のようである。ホンテロンって枝ス用の堅いナイロンだと思ってたら、今時ルアーでも流行のエステルラインの元祖みたいなイトのようだ。エステルラインは低伸度で張りがあって感度良好、仕掛けも絡みにくいというのが特徴で、フロロカーボン系とナニが違うの?というと似てるんだけどフロロが重くて沈むのに対して、エステルはナイロンぐらいの比重でそこまで沈まないのでこだわりの釣り人は使い分けるそうだけど、正直フロロがあれば良いやと思ってる。
 伸びの少ないフロロやエステルが感度良いのは伸びないからと思われがちだけど、道糸に使うならともかくハリスに使う時は伸びが多少有ろうが無かろうが感度には関係ないと最近思っている。ヘラ釣りでもハリスをフロロに変えたからといってあんまり違いは分からなかった。正直今時のハリス用のナイロンはフロロと大差ないぐらい伸びないし張りもある。でもヘラ釣りでも道糸についてはしなやかなナイロンとハリス用のパリッとしたフロロでは劇的に感度が違った。どうも短いイトにおいて感度に大きく影響するのは張りじゃないかと思う。吸い込みが良いようにとハリスに腰の無いナイロンスレッドを試したことがあるんだけど、変えたとたんにヘラのアタリがピタッと止まって、当時は赤いスレッドだったので見た目でダメだったのかと思ってたけど、今思うと張りがないので食ってもアタリとして現れなくなってた可能性のほうが高いように思う。
 で、今回鮎毛鉤を作るのにハリスを0.6号のパリッとしたフロロかナイロンで行けばそれほどホンテロン使った仕掛けと変わらないハズだけど、スケベ根性であえて変えた。
 より細くして張りがなくしなやかなハリスの方が「流し毛鉤」の場合は掛かりが良いんじゃないかという読みである。
 じゃあ何で市販の鮎毛鉤にはホンテロンが使われてるんだ?それが一番良いからじゃないのかという疑問はごもっとも。私も半分ぐらいそうじゃないかと思っている。
 でも、流し毛鉤を頭の中で想像すると、微妙な感度でアタリをとって積極的に掛けていくというよりダラッと流していく中で向こうアワセ的に掛かってくれるように思える。
 じゃあなんで市販品はホンテロンなのよ?と聞かれれば枝ス7本出すので仕掛けが絡みにくいというのはあるんだろうけど、もともと鮎毛鉤が浮子つけて流す「流し毛鉤」じゃなくてオモリつけてミャク釣り的に誘ってアタリを取っていく「ドブ釣り」用に作られているからじゃないだろうかと思っている。ミャク釣りなら感度は死活問題でアタリとれなきゃ話にならない。
 でも、ダラッと流して浮子が流れの抵抗受けて重さが掛かってる状態でその下流で流れている毛鉤に食ったのを浮子にでる微妙なアタリでとるって難易度高そうで、じゃあ食ったら勝手に掛かって魚が暴れたら浮子に出るぐらいにと、違和感なくす方向でハリスちょい細め0.4号ナイロンでちょい長めで仕掛けを作った。
 そういうバクチはまずはホンテロン0.6号で手堅くやってから打っとけば、カスリもしないような大失敗の確率は減らせるんだろうけど、なんか良さそうに思うと試さずにはおられないのよね。

 という感じで、もう釣る前から鼻息も荒く解禁が待ちきれなくなってるんだけど、解禁日は金曜で病院に行く日で、正治さんところに行って鮎毛鉤釣り初挑戦は2日の予定となっている。
 正直待ちきれない。近所のライズはいついなくなるかわからん中、今の状態ならさすがによっぽど外してなければ釣れるだろうと思っている。1日の朝病院行く前にチョロッと釣るのは時間的には全く問題なくできる。でも、なんというか鮎毛鉤初体験を本場の川に捧げると誓ったのに浮気して良いのかと変なこだわりがある。
 なんとかならんものかと考えていたら、何とかなる方法が閃いた。
 解禁日1日は「鮎毛鉤」じゃなくてフライフィッシングでアユ釣れば良いんである。フライでアユならアタイ生娘ってわけじゃないのヨという感じで今更なんぼか釣ったところでどうってことない。金玉付いてない鮎毛鉤じゃないソフトハックルウェットなフライを巻かなきゃだけど問題解決である。

 という感じで、自分でもなんとかならんのかと思うぐらいに鮎のことばかり考えている週末でございます。解禁をこんなに待ちわびるのなんて東北時代以来20年ぶりぐらいじゃないだろうか。さて結果はどうなることやら。

 来週末は釣り場に居ます。

2018年5月20日日曜日

電灯はナショナルです


 「伝統とは、革新の連続である」とは老舗羊羹屋「虎屋」の社長のお言葉だそうだけど、「ラパラ解体新書」の冒頭で紹介されていて初めて知ったときなるほどナと思った。
 虎屋の羊羹は結構お高い、にもかかわらず小さい、でもそれ故に持ってける荷物が限られてるときの手土産とかには重宝する。小さいサイズの詰め合わせでもそこそこのお値段であることが、双方ともに分かるという安心の知名度と高級感。お味は値段が値段なので当たり前に良いんだけど、当たり前に美味しくて高い知名度を誇るためには革新に革新を重ねてきたということが社長のお言葉からうかがえる。
 単に伝統の名の下にあぐらをかいて同じことを繰り返しているだけでは時代に取り残されてしまいかねない。大事なことを変えないということが重要な場合もあるだろうし、なかなかその辺は一概には言い切れないのかもしれないだろうけど、思い切った革新が生き残り伝統を紡いで行くために必要となることは多いと思う。時代とともに取り巻く環境が変わっていくのに変わらず残り続けるのは難易度が高い。
 私の大好きなルアー製造会社であるラパラ社もラウリおじさんが松の皮削ってた時代から、工場もアイルランド、エストニアと安価で売り続けるために戦略的に移してきたことだけみても革新の歴史を見て取れる。場所変えて工場で働く人を新たに育てて、均質な商品を送り出せるように管理体制や製造工程を更新しつついまだにバルサという天然素材を使いながら実売で千円台前半という価格を維持している。
 フィンランド時代の古物の人気は高いけど、もしラパラがずっとフィンランド工場で作られていたら果たして今の値段と品質を維持できていただろうか?としたり顔で書こうとして「いやでも、ニールズマスターって今でもフィンランドでインビンシブル作ってるから、できやんこともないんとちゃうか?」と思っちゃったりもするけど、それはそれとしてラパラ社がでっかい国際企業になって、新しい商品も開発して世界の釣り人に届けてくれるのはまったくもって悪くないじゃんと思う。そういう革新的な体制の中からフラットラップのような傑作も生まれたんだから。
 ゆうてもフラットラップ世界的には売れなかったようだし、昔っから変わってないインビンシブルが今でも優秀だったりするけれどもだ。

 革新無き伝統は「因習」に堕ちる。と、魚釣りしててよく思う。
 特に昨年から「日本の伝統的な釣り」といわれているヘラ釣りを始めて、いろんなところで様々な因習を感じる。
 最大の因習は何度も書いてきたが、とにかく道具が何でも高いこと。安い道具がないわけじゃないのに、そういう道具がバカにされるような雰囲気がまさに因習と断定するに相応しい。この因習に縛られる限り、ヘラ釣りに明るい未来はない。今やってる主力の爺さん連中が退場した時点で、放流に頼ってた釣り場は消えてなくなり、競技の世界も消えて、細々と自然繁殖している魚を狙うような限られた釣り人の釣りになるだろう。それはそれで地域色豊かな釣りになって自然なことかもしれないけど、凝り性の日本人が100年だか掛けてネチネチと築き上げてきた技術体系や文化が霧散してしまうのはもったいなく思う。ヘラ釣りの技術自体はまさに革新の連続といっていい研鑽工夫の中で培われてきたややこしくも面白いものだと思うからなおさらだ。
 だから私の役目としては、なるべく金を掛けずに楽しむ方法を提案していきたいと常々思ってるところ。私のような「ひよっこ」になにができるか?と玄人衆からは思われるだろうけど、その世界にどっぷり浸かった玄人じゃない人間だからこそ因習を因習だと感じられると思っており、「余所者」だからこそできる革新的なヘラ釣りをお見せしたい。革新的に釣れる釣りなんてのは他の誰かにお任せして、革新的に安上がりで楽しくてゆるふわなヘラ釣りを期待して欲しい。

 でもって、内水面の釣りでこれまで手を出したことがない釣りで一見さんお断り系で手の出せてなかった釣りに鮎釣りがある。これまた、ヘラ釣り以上に道具が高いという「因習」の臭いのする釣りで、友釣りなんて竿がそもそも何十万とかアホかと思いつつも、いつかはやらねばと思っていたところであった。

 それが、ここにきて正治さんから、鮎の毛鉤釣り楽しいから是非一緒に釣ろうというお誘いを受けて「でもお高いんでしょう?」と、前回小遠征の際に、おそるおそる本場の釣具屋で道具を見せてもらったら、仕掛け作ってある7本鉤の流し釣りセットで千円ぐらい。竿は特別なものいらなくて3.6mとか4.5mの清流竿で十分で、あとは日釣り券が千円台とまったくお高くない。オランダ仕掛けみたいな全部の毛鉤を浮かせる流し釣りセットと片側を沈めて使うチンチ釣りセットと予備の毛鉤を購入。6月解禁したらさっそく初陣という流れとなった。
 なんだ鮎釣りたいして金掛かんねえじゃんという感じである。
 確かに友釣りはおとりを使うという独特の釣りで面白そうだけど、毛鉤釣りだって、釣具店で見本見せてもらったけど伝統的な毛鉤の数々見てるだけでなかなかに眼福で面白そうじゃん。とすっかりやる気になっている。
 釣り具業界とかが儲かるから躍起になって友釣りばっかり取り上げられがちだけど、それだけが鮎釣りじゃねえだろと思うし、実はそんなにお金掛けない友釣りの方法ってのもあるらしいことは知っているというか思いつくんだけど、そうなるとまた例によって釣り方から開発することになるので、近くに釣り場があるでもなし、高い鮎釣り券買ってまで挑戦する気力はなかった。
 でも鮎毛鉤釣りに挑戦するということが決まったら、なぜか私の目に鮎が見え始めた。近所の三面護岸の川に稚鮎がたくさんあがってきていてユスリカの蛹でも食ってるのか稚鮎のいる場所だけ雨降ってるように波紋が広がっている。頭の中に鮎が泳ぎ始めたから見えるようになったのかとも思っていたけど、どうも例年のことを思い出しても、2カ所ぐらいライズする場所は知ってたけど、今年はあちこちでライズが見られて明らかに多い。実は今年は鮎当たり年のようで相模川とか例年の4倍の遡上量だとか報道されてる。
 これはちょっと遠征先で本場の鮎毛鉤釣りを学んだら、持ち帰って近所の川の鮎もやっつけねばという気持ちが俄然盛り上がってきた。
 鮎のいる瀬とか自転車で行けるオイカワポイントにもあったので、若い鮎が水面で川虫を盛んに食べる早期以外にも、淵を狙えるドブ釣りやら餌釣り、場合によっては友釣りもやれるんじゃないかという気がしている。鮎の餌釣りが狙い目なのは「川釣りの極意」でも紹介されている。
 近所の川は漁業権も設定されていないので「神奈川県内水面漁業調整規則」に従って6月1日から10月14日までと12月でであれば自由な釣り方で釣って良いし、入漁料も必要ない。
 最近は都市河川にも鮎が戻ってきて、鮎釣りもできるようになってきているらしいけど、近所の川は全く注目されてない手つかずの鮎釣り場のはずである。遡上量の多い今期に攻略法見つけてしまえば、しばらく独占的においしい釣りを楽しめるに違いない。まあ、いつものとおりそんな簡単にはいかなくて泣かされるんだろうけど、この挑戦の機会を逃す理由はない。ダメもとで行かんでどうするよ。

 というわけで、毛鉤釣りの準備などしているんだけど、遠征で一回使うだけなら市販の職人さんが作った鮎毛鉤で良いんだけど、近所でもしばらく使うとなると、ぼろぼろになったり切れたりで補充せねばならず、都内の大型釣具店でも扱ってるのを確認できたので、播州の職人さんが作ってる綺麗な高級品でも2本で千円しないぐらいで買ってきてもそれほど高くはないしいいんだけど、毛鉤釣りするなら毛鉤巻きたくなるというのが、私のようなインチキフライマンでも人情というもので、すごい数の微妙に違った毛鉤があるのを見るにつけ、いろんな試行錯誤や革新の繰り返しの中で培われたまさに「伝統」を感じずにはおられず、それに勝つ毛鉤を巻こうなどというのはおこがましいというのは知りつつも、やはり自分で巻いた毛鉤で勝負したい、伝統を打ち破り革新していきたいと思うので、巻いてみることにした。

 「鮎毛鉤」というのは、西洋式のフライに慣れていると不思議なぐらい型が決まっている。大きさに多少違いはあるけれど、ほぼ形状は同じで、フライフィッシングでいうところのソフトハックルウェットな感じに鳥の毛とかの軸で胴を作って、ぱらりと虫の脚とか羽風に鶏の首の毛とかが簑毛(ハックル)として巻いてある。そして昆虫の頭部を模しているといわれているけど、漆とかで作った玉に金箔が張ってある頭がある。
 形はほぼこの形で、素材や色に様々な違いがあって、同じパターンは作成者が違っても同じ名前で呼ばれ「青ライオン」とか「八つ橋」とかが定番とか。状況によって毛鉤の違いが釣果に明確な差として現れるそうで、その辺の毛鉤選びの妙が難しさと面白さになっているようだ。播州毛鉤で500種類ぐらいあるとのこと。

 鉤のサイズはフライフックで言うと18番、20番というところで、ハリス付きの状態で、職人さんは万年筆みたいなバイス(万力)に鉤のチモトをはさんで持ち替えたりしながら巻いていて、とてもじゃないけどそんな精巧で複雑な毛鉤は巻けそうにない。

 ということで、手抜きであんまりいろんな材料使わず簡単に巻けるのをと考えて、我が国の鮎毛鉤が伝統の中で同じ形で複雑に種類を増やしてきたのに対して、西洋式フライの世界でも同じように複雑に美しく発達してきたサーモンフライなんてのもあって、著名なフライ制作者が大英自然史博物館に忍び込んで貴重な鳥の羽を盗んだなんて事件もあったぐらいだけど、一方で歴史の中で無駄を省いて単純化して洗練されていったスタンダードフライと呼ばれるようなフライパターンもあって、例えばクジャクの羽と赤い糸で胴を巻き、簑毛が茶色の雄鳥の首の毛、羽は白というのが超ド定番のロイヤルコーチマン(王室の御者)というパターン。簑毛を厚く巻いて写真のロイヤルコーチマンウルフ、立てた羽に蓑毛を巻いてロイヤルコーチマンパラシュート、水中用に仕立ててロイヤルコーチマンウエットとか、同じ色素材を使って用途に合わせていろんな仕立てで使われている。
 そういうスタンダードフライの名作から配色素材をパクってきて、鮎毛鉤仕立てに落とし込もうというのが、とりあえずは簡単かつ釣れそうに思うので、そういう観点で7本鉤の流し毛鉤仕掛けを想定して巻いてみた。
 最初、「改良鮎エサ釣り」という鉤にハリス結んでから、チモトをバイスで挟んで巻いてみたけど、どうにもフライ巻くときと逆向きでは巻きにくくて、途中で材料がばらけたり、できたと思って最後巻き止めるための糸を切ったらハリスも切ってしまったりしてイーッとなってどうにもこうにも効率が上がらない。
 仕方ないので、普通にフライフックに巻いてハリス結んでからビーズをかぶせるように瞬間接着剤で止めて頭にして作成したらそれなりに作業効率あがったので、こういう作り方でいいのか分からないけどとりあえずこれでいく。
 形も自由に作っても良いんだけど、そこはなにを持って鮎毛鉤とするかというと、やっぱり金色の頭が付いているソフトハックル風の基本の形は踏襲しておきたい。自由に形を作るならフライタックルでフライとして投げておけという感じだ。
 川によってはフライフィッシング禁止となっていて、たぶんフライフィッシングか日本伝統の毛鉤釣りかを分けるのはリールを使うかどうかあたりにあるんだと思うけど、ちょっと調べても定義されていないので、自分の中の定義としては、伝統的な形の毛鉤を使って延べ竿で釣るのが「鮎毛鉤釣り」としておきたい。
 この辺どこかで定義して自分なりに決めておかないと混乱する。例えばフライフィッシングでも、短くて重いシューティングヘッドというラインを使って、一気にラインを飛ばす方法があるんだけど、そのときにラインをあらかじめ引き出しておくのは面倒なのでということで、スピニングリール方式のフライリールを作ったメーカーがあったけど、まったくフライマンには受け入れられなかったようである。多くのフライマンにおけるフライフィッシングの定義では、スピニングリールを使うような釣りはフライフィッシングじゃないんだろう。そんなことするぐらいなら遠投浮子に毛鉤つけて投げ竿で投げるワ、というところかと。まあ線引きの問題でどこに線を引くかは、規則とかならはっきりさせといて欲しいけど、基本的には個人でどっかに引かなきゃならんという話である。

 ということで七人の侍的に7種類選んで巻いてみた。
 7本単純に釣れそうなパターンで巻くというだけでは多分不正解で、野球で9人ホームランバッター並べてもダメなように、目立たせて寄せる毛鉤と食わせる地味な毛鉤とか、うまく打順を考える必要があるように思う。そのへん初手から分かるわきゃないので、とりあえず派手3本、地味4本で行く。

 トップバッターは、やっぱりロイヤルコーチマンに任せたい、長打も単打もお手のもの、爆発力を秘めつつも信頼の置ける好打者という感じか。緑に煌めく輝きの魅力は特定の虫を模しているわけじゃないけど多分ルアー的に効いて、世界中の魚を誘惑している。そのクジャクの羽の力を借りたい。ということだけど、例に出したロイヤルコーチマンの胴の段巻きが面倒なので尻尾の方を赤で巻いて尾もその糸でという感じで簡略化、蓑毛は雄鳥の首毛茶色をパラリで簡素にまとめた。名前は和風にキメたいので「赤尻の御者」としたい。

 2番は、ジョン・ギーラック氏も「特定の水生昆虫を模したものより、なんとなく虫っぽいぐらいのフライが効くんだよね。例えばアダムスとか」と書いてたアダムスを本来浮かせて使うドライフライだけど水中で使う鮎毛鉤風に巻く。地味なグレーの胴に尾と蓑毛は茶色と白黒鹿の子の雄鳥首毛の混合がなんか虫っぽさを醸し出している。名前はアダム氏考案のフライというのがもとの名の由来のハズで「アダム氏」の当て字で「仇虫」。



 3番は、水生昆虫の幼虫とかを食ってるんならニンフパターンでしょ。でしょでしょで代表的ニンフパターン、ヘアーズイヤーニンフをベースに鮎毛鉤化。胴はパターン名の元になっているヘアー(野ウサギ、ちなみにラビットは穴ウサギで英語圏ではネズミとリスみたいに別物あつかい)の耳毛に縒りを入れたときにまとめやすくするために毛足の長い猫の毛と、きらめきを追加するためにキラキラの繊維を混ぜたナマジ特性ヘヤーズイヤーニンフ用ボディー材で巻く。野ウサギの耳毛は適度に短く、縒り混ぜて胴にするとそこかしこから細かい毛がピンピンとはみ出して、良い感じに水生昆虫の触角だの外鰓だのが揺れてる感じに仕上がるンだと思っている。蓑毛と尾はソフトハックルの定番のウズラ(パートリッジ)の毛で柔らかく漂わせてみたい。名前は萌えっぽく「うさ耳」で。見た目は地味でモシャッとしてるけど、ニンフフライとしての大正義ッぷりから主軸を打たせるに足りる実力はあるとみた。

 そして4番打者は、コツコツ当てなくて良いから全部本塁打狙ってけな感じで、一番派手なのを持ってきた。オレンジの胴に、マガモので代用したけど元々はオシドリの縞々胸毛を羽と尾につかうらしい名前も美しいクイーンオブウォータース。本来は胴全体に蓑毛を巻くウエットフライだけど、蓑毛は羽に使う方のマガモの胸毛を採用。「水の女王」はその目を引く艶な容姿で鮎たちを虜にすることができるのか?こういう派手な色のはバカ当たりか三振かバクチ的な鉤なので1本は入れておきたい。

 5番は裏本命、伝統的鮎毛鉤を見ると鳥の毛の軸を使った胴でシュッと細身に作ってあるのが多い。フライでも同じように鳥の毛の軸で胴を巻く「クイルボディー」というタイプのフライがあり、水生昆虫の幼虫を模したニンフではキジの剣羽を使ったフェザントテールニンフが定番でやっぱりシュッと細く巻く。ということで胴と尾をキジ剣羽、蓑毛をウズラでシュッと巻いてみた。名前は単刀直入に「雉」で。


 6番は一応マッチザハッチも意識するなら、ライズしている若鮎たちが水面直下とかで食べてるのはユスリカのサナギとかが多いだろうから、いわゆるミッジピューパパターンをということで、茶色のスレッドの上に透明なゴムを巻いた胴に蓑毛はウズラの白っぽいところを使った。ライズしているオイカワ狙いではコレを羽を浮く素材にして水面に貼り付かせたのが最終手段だったので、多分効くんじゃなかろうか。名前はそのまんま「蛹」といこう。透明なゴムは脱皮時の粘液を模してるとか諸説あるけど何か知らんけど釣れる。実はゴムの食感が良かったりしてるのかも。

 7番は、最後の一本であるとともに、他の6本が先頭の棒状の浮子と7番の前のシモリ浮子の間の道糸から枝スを出して結ばれているのに対し、道糸の後ろに直接繋がっている形で後ろにあることから、流したときに一番動きが大きいハズ。ということで素早く動いたときに反射的に口を使わせるのを意識して、胴を銀色で巻いたシルバーセッジを持ってきた。胴に巻くハックルは省略で羽と尾は七面鳥の羽。シルバーセッジは銀色のトビケラ的な意味なので「銀飛螻蛄」といきたい。銀色は反射食いを狙うルアー的な効果の他に、脱皮のために浮き上がるトビケラの蛹が体表にまとう空気の幕を模しているとかも聞いたことある。

 こんな感じでどうでっしゃろ?多分コレ読んで鮎毛鉤師ならそんな簡単な毛鉤で釣れたら苦労しないよと鼻で笑うかも知れないけど、フライマンなら「なかなかの線行くんじゃないの、でもオレなら打線はこう組むね」とかちょっと楽しくなってくるんじゃないかと思っている。
 職人さんが作った鮎毛鉤セットで良く釣れてる時に、この打線でも半分ぐらいの感じで釣れてくれれば大成功で、あとは釣れた結果を基に改良を繰り返して良く釣れる方向性を探っていけば良いんである。
 全く箸にも棒にもかからなければ、例えば頭をガラス製のビーズで作ったことによる沈降具合の差が致命傷になってないかとか、既製品との違いを洗い出して再挑戦か、あきらめて職人さんの作った鮎毛鉤で楽しむかである。職人さんの作った鮎毛鉤は手間暇考えたら全く安くて、自分で作った毛鉤で楽しみたいというのがなければ正しい選択だと思う。凄く収集欲をそそられるような細かい細工の施されたブツで「毛鉤箱」に並べてニヤニヤ眺めるのも楽しそうだ。でもワシは自分で作って釣ってみたい。

 毛鉤以外にも、タモをどうしようかというのと、棒状の浮子が売ってないというのがあったので、浮子は作った。振り込むためにある程度の重さが必要で、多分魚が引っ張って沈むとき片方が浮く形で立ち上がるんだろうなというのを考えて、例によってバルサでチャチャッとでっち上げた。棒のドテッ腹側の真ん中から気持ちずらして穴を開けてパイプを突っ込んで道糸を通す。水上では適度に流れの抵抗を受けて揺れて毛鉤を踊らせるのかも知れない。重さの具合とか今一勘所が分からないので重さ2種類用意して、上から追加で巻いて重さ調整できるようにスズハンダも用意しておく。

 タモは目の細かい網じゃないと毛鉤多いし絡んで大変だと思うけど、鮎用のタモはお高い。とりあえずこれでそれなりに行けるんじゃないかと観賞魚用の目の細かい網を用意した。ハリ外しやすいように引っかけるラインを張ってみたけど絡むだけかも。そんときゃ外す。

 てな具合で、6月鮎解禁に向け大いに盛り上がりつつあって、こういう準備してる時ってなんて楽しいんだろうと思っているところ。


 鮎の毛鉤釣りっていうと、どうしても私は夢枕漠先生の「鮎師」を思い出さずにはいられない。
 作中で40オーバーの鮎を釣るために、気の狂ったような釣り師が嫁さんのあそこのオケケで巻いた、「黒水仙」という架空の毛鉤が記憶に強くこびりついていて、今回鮎毛鉤を巻くにあたって、何かそれっぽいのを巻きたいなと思ってしまい。思わず股間に手を伸ばしてしまった。
 名前は「黒韮」とした。オッサンの体毛は水仙というほど艶っぽくもなんともない。むしろ匂いそうである。ということでニラと間違えて水仙食って食中毒というのを散見するぐらい似て非なるものということでこの命名である。
 ちなみに胴と尾が人毛、蓑毛は黒に染めた雄鳥首毛。色調が黒に金色の仏壇色でPENNみたいで格好いい。
 最初は打線に組み込んでたんだけど、なんぼ何でも人様の口に入る魚を釣るのにテメエの縮れた毛で巻いた毛鉤はネエだろ!と打線から泣く泣く外した。

 釣った鮎を自分だけで食う時に是非使ってみたい。

2018年5月13日日曜日

釣り人よエルドラドをめざせ!!

 それが消えてしまわないうちにたどり着かなければならない。

 ナニを書き始めたのか読んでる人ポカーンかも知れないけど、今日は釣り人にとっての楽園とはどこにあるのか?どうすればそこにたどり着けるのか?あたりについてひとくさり書いてみたい。ご用とお急ぎでない方はお付き合いいただけると幸い。

 一般的に楽園っていって思い浮かべるモノには大雑把に分けて3種類あると思う。それぞれが混じり合ったり、宗教的哲学的概念だったりは解釈の違いもあったりするだろうけど、あんまり気にしないでナマジ的解釈で分けさせてもらうと、「主に死後の世界にあるとされる条件付きで行ける場所」「概念上の理想郷」「ここではないどこかにある良い所」に分かれるのかなと。

 1つめの「主に死後の世界にあるとされる条件付きで行ける場所」である「楽園」は、いろんな文化や宗教にあるんだろうけど、最も端的な例は「天国」で、ほかにも北欧神話の「ヴァルハラ」、イスラム教系のニザリ教団だかの「秘密の園」とかもそうだと勝手に分けて例としたい。良き行いをしたものは死後天国に召される。パワーアップキノコを食べて無敵化(ベニテングダケ食ってラリって戦うヴァイキング達の「狂戦士」ぶりがいわゆるバーサーカーの元祖らしい)したりして勇敢に戦ったモノは戦乙女に導かれヴァルハラにたどりつける、とかぶっちゃけ宗教側、体制側がいうことを聞かせるためにでっち上げたエサであり、良き行いをすることは、生きてる間に良き見返りがあるだろうから悪かないんだろうけど、それにしても死後の世界なんていう有りもしないだろう餌で釣られるのはゴメンだと思うので、天国もヴァルハラも釣り人の目指すべき楽園たり得ないと思う。良き行いをして良く闘うべきだとは思うけどね。
 ましてや、大麻(ハシシ)とオネーチャンで釣って、「秘密の園」に戻りたかったら敵を殺してこいという、「アサシン(暗殺者)」の語源にもなったような薬漬け洗脳などまっぴらゴメン勘弁してくれな話だ。
 バーサーカーとアサシンで思い出したけど、アーサー王伝説の「アヴァロン」は死後行く楽園としては説教臭くもなく抹香臭くもなく詩的でマシな気がする。アーサー王じゃないから行けないんだけど。

 2つめの「概念上の理想郷」は、悟りを開き心身共に苦しみから解放された境地「極楽」とか、現実のちっとも楽園じゃない世界に対比させるためにトーマスさんだかが考えた「ユートピア」とかで、直接的ではないにしろ釣り人も、ちっとも楽園じゃない、環境は悪くなるし魚は減るしゴミは目も当てられないという現実と対比させて、じゃあどういう釣り場が楽園なのかというのは考えてみるべきだと思うし、悟った釣り人とかいうと「魚が釣れなくても一日自然の中で楽しめれば幸せなんだよ」とかヌルいことを言い出しそうではあるけど、そういう野狐禅じゃない、本当に悟った釣り人、魚も含めたこの世のすべてのうつろいを感じ取り、釣るも自在、釣らぬも自在という境地は目指しても良いのかも知れない。

 でもまあ、釣り人が目指すべき楽園は、南米のどこかにあるという、幻のように消えては現れる黄金の都エルドラド型の「ここではないどこかにある良い所」ではないだろうか。釣り人に限らず古今東西ホモサピエンスが生まれてから滅びるまで、そこを目指して旅してきたからこその、今の人類の繁栄というか、どこにでもいやがってどこででも奪い尽くしたような末期的なていたらくがあるんだと思う。
 どんな民族、文化にも「ここではないどこかにある良い所」としての楽園の伝説やら民話やらはあって、すぐに思いつくだけでもエルドラド、ニライカナイ、須弥山、桃源郷、ティル・ナ・ノーグ、エチオピア、ジパング、シャンゼリゼ、カゲロウの山とかごまんとある。
 これらの楽園は通常の手段ではたどり着けないとか、とても困難を伴う道のりの果てにあるとかされていて、実際に尾ひれがついて「楽園」とされた遠い異国が実在したりすると、コンキスタドールに悲惨な目に遭わされたアステカとかインカとかの、エルドラドの元ネタだっただろう人々に降りかかった悲劇が繰り返されてきたんだろうと想像に難くない。コンキスタドーレス側から見たら「ついに楽園にたどりついた、さあお宝は我らのモノだ!」という喜びでしかなかったのだろうことも想像に難くない。ジパングのネタ元である我が国が適度に海で大陸から離れていて、元寇の時に吹いたという神風の事例にみられるように歴史的に酷い略奪やらからは逃れられてきたのは幸運であったように思う。
 ただ、「ここではないどこかにある楽園」のは多くは実在せず、迷い込んだり、何十年に一度だけ開く門とか特別な条件を満たすと行けるような、現実離れしたいかにもなおとぎ話的要素を持った場所とされているように思う。

 このタイプの「楽園」こそが釣り人の求める楽園だろう、と書けば察しの良い釣り人なら既にピンときているのではないだろうか。
 沖縄のガッチリ潮が良く引くときにだけ上に乗って釣りとか貝拾いとかが出来る「チービシ」という瀬で釣りをしてきた先輩が「沖縄の、海の向こうにあるニライカナイって、潮が引いたときだけ現れて魚やら貝やらの恵みをもたらしてくれる干瀬が発想の元にあるって感じたヨ」といってたけど、たしかに特別な条件の時に海の底から現れる楽園というのはいかにもな感じだ。
 水の中の獲物である魚を釣るには、潮の満ち引きを始めいろんな条件が重なって、はじめてその釣り場での釣りが成立する。ただその場所に行けば良いということはほとんどないことは釣り人の皆さんならよくご存じだろう。
 逆に、魚ッケも反応もなんにもなかったような場所が、ちょっとした条件が整った瞬間から、どこにいたんだ?というような魚が湧いてきてバコバコと釣れ始めるなんてことも珍しくはない。
 東北では、とあるダム下流がダム放水時だけ現れる楽園だった。崖を降りるためのロープを張ったルートが既に工作済みで、釣り人入っていることは間違いないんだろうけど、全然魚ッケなくてというか、流れる水量もチョロチョロで、わざわざロープ伝って降りてくるような価値ないなと思いかけたんだけど、サイレン鳴って放水始まって「これはやばい上がらなきゃ」と思うまに足下も水に浸りだし増水し始めると、なにかそこら中で水面でバシャッとかやっている。ロープまですぐたどり着けるところまでヒヤヒヤモノで撤退完了すると、今度はスケベ根性がわいてきてルアー投げてみたら、尺クラスのイワナがバンバン食ってくる。よく見ると水面死にかけたワカサギが流されていく。ダム放水に巻き込まれた瀕死のワカサギをイワナが襲いまくっているようだ。焦りまくってバラしまくったけど何発かは獲った。夢よもう一度と同じ場所に何度も行ってはみたものの、今と違って河川水量だののネット配信とかなんてない時代だったから、いつ放水してるのか分からず二度とその楽園にたどり着くことはできなかった。
 九州では、とあるゴロタの浜、ゴロタの岬が潮が引いて現れる時間帯と夕まずめ朝まずめが重なり、さらに向かい風で波がそのゴロタの岬にあたると、60、70中心の良い型のシーバスが超浅場で背ビレ出してルアーを襲ってくる楽園がそこに出現した。秋の良い時期に時化がくると水産関係の仕事は開店休業のことも多く、休みとって「楽園」が現れるのを待つのももどかしく、引けば現れる「楽園」への道なのに、まだ潮が高いうちから立ち込んでいまかいまかとルアー投げてたのも懐かしい。
 最近の事例なら、テナガノッコミポイントなど、テナガの産卵期以外にはエビなんて居ないような場所で全く釣り人もいないけど、テナガが遡上し始めると、数少ない浅場に転がるショボい障害物からはみ出すぐらいの数のテナガ達がひしめきあうテナガの「楽園」となる。東京湾に注ぐ河川の小物釣りとか、高度経済成長期に一旦ダメになった河川なので釣り場としての歴史が一旦途絶えていて、そこが復活しつつあるのであまり気付かれていなくて、正直言って早い者勝ち獲ったモノ勝ちの状況じゃないかと感じている。

 という感じで、釣り人のめざす「楽園」はある日突然、多くは理由も分からないまま現れては消えていくのである。
 キリバス共和国のクリスマス島は「釣り人天国」といって良い素晴らしい「楽園」だけど、密かに楽園を楽園たらしめている理由の一つに、週に1便しか飛行機飛ばないから「滞在期間が長くなる」というのが大きく効いているように思っている。
 クリスマス島でさえ、魚が釣れる日とそうじゃない日は明確にあって、外すと意外なぐらいショボい釣果に終わる。でも5日も釣りの日程があれば、一日ぐらいは魚のご機嫌が良い日が巡ってきてロウニンアジがバッコンバッコンとルアーに出まくる日が巡ってくるのである。「ここは多分ほとんど天国なんだなろうな」と、そういう日には腹の底から実感できる。
 
 そういう「楽園」にはどうしたら釣り人は行くことができるのか?
 ロッドケース片手に世界を放浪すべきだろうか、腕の良い案内人を高額な料金積んででも頼むべきだろうか。
 もちろんそれも一つの方法だと思う。
 ただ、遠くに行くにはそれなりに手間暇もかかれば、情熱も高い技術も必要で、ただ遠くに行けば良いって単純なものではない。
 その点、良い案内人を頼むのは誰にでもお薦めできる。お金があれば良い選択だと思う。ロッドやリールのグレードを落としてでも良いガイドや良い船頭に払うお金を用意しておいた方が良い。でも、釣り人としては自分で「楽園」の現れる条件を解き明かして、その地にたどり着きたいと思うだろうから、そのあたりはやや物足りなく感じるかも知れない。ボコスカの爆釣を楽しみつつも「ゆうてもコレ船頭さんの手柄よネ」と冷めた自分がいるときもある。とはいえ、遠征先の釣りとかでは案内人なしでは普通の腕の釣り人は釣りにならないので必須だろうし、良い案内人を見つけるのも腕のうちであるとも考えられる。

 じゃあ自分で「楽園」の現れる条件を解き明かすにはどうすれば良いのか?
 私は現時点では、「足を使って情報を集めまくる」「早い者勝ち」「難しい条件を読む」が大事な要素だと思っていて、特に最後の「難しい条件を読む」が最近よく思うことなので書いてみたい。

 「足を使って情報を集めまくる」は、もうどうしようもない基本の基本で、この情報化社会でネット上でもありとあらゆる爆釣情報とかが検索可能なんだけど、だからこそますます「足」で現場に行くことが大事になってきているとつくづく感じる。今自分が持ってる「楽園」とまではいかないにしても美味しい釣り場は、自分達の足で見つけてきた場所ばかりになっている。
 ネット情報はハッキリ言ってガセネタも多くて、実際に現場に通ってそれがガセかどうか、どのくらい信じられるかが分かってないと、沢山の情報が溢れているが故に逆に全く使い物にならない。
 そして次の「早い者勝ち」に関連していくんだけど、「楽園」にも定員があったり先着何名様とかの制限があることが多い。
 近所ポイントのバチ抜けシーズンとか、だんだん釣り人増えてきて去年までは一番下流側に入っておけば広々と釣りできたけど、今年など盛期は満員御礼に近く定員は一杯になりつつある。今から参入しても、いろんな意味でいい席は空いてないよという状態。
 とある釣り仲間が「「何とかイング」とかいって釣道具屋が専用の道具売り始める頃には、その釣りはほぼ終わってますよね」といってたけど、確かにそんな感じだ。
 「楽園」の旬は意外に短いことが多い、カザフスタンまでヨーロッパオオナマズを釣りに行ったけど、今冷静に考えるとあのタイミングでも少し出遅れてたんだと思う。旧ソ連の体制が崩れてカザフスタンが独立してしばらくして、ヨーロッパからの釣り客を受け入れ始めて、ものすごい大型が釣れまくって、日本人でも「先着○名」に間に合った釣り人は良い思いをしたけど、ゴールドラッシュと同じで、そういうのは「儲かるらしいぜ」とか聞いてから腰を上げても既にみんなさらった後で遅いぐらいなのである。
 まだどこにも出てない情報をくれる情報提供者やら、自分で探すのが結局頼りになって、ネットで拾えるような情報は既にイキが悪くて「楽園」にはたどり着けないと思っておいた方が良い気がする。

 最後の「難しい条件を読む」が、自分の中では今重要な要素になっている。シーバスで言えばバチパターンも、条件が合えば「楽園」が出現するんだけど、割と法則性がキッチリしてて比較的読みやすくて、今時バチ抜けのポイントには軒並み人山が立つようになってきている。
 それでも、安定してバチが抜けるポイントより抜けたり抜けなかったりが読みにくいポイントの方が、ハメると競合する釣り人もいない中一人勝ちできるので攻略しがいがあると思っている。ダイキリさんと行くC川の上流側のポイントはそういうポイントで、前回私がセイゴ1匹という渋い結果に終わった数日後にダイキリさんはリベンジマッチに臨んで数釣って、ポイント見つけてきた本人だけあってさすがという感じだった。次回は私も読み勝ちたいところ。
 でもって、最近Kさんと探ってる近所ポイント含めたシーバスの稚魚系のパターンが、ボイル見つけてもなかなか食わせられなかったりして、難しいンだけど、難しくてあまり釣れていないので、それ程釣り場に人山状態で釣り人が並んだりせず、良い感じに攻略が進められている。
 昨秋にも1,2匹づつちょぼちょぼ釣りながら思ってたんだけど、大きな群れが居着いてバコバコ釣れてしまったりすると、悪くはないんだけど、結局人山たっちゃって釣りにくくなって自分の取り分が減るので、短期間で来て居なくなるのを通い続けて捉えるか、むしろ数少なくて難しめの状況を読んで、他人が釣れないのに自分はギリギリ釣れる魚を釣っていくっていうのが、結局安定して良い釣りできるんじゃないかと感じているところである。
 さいわい近所であれば誰よりも通って、いろんな細かい情報を把握しながら、たまにしか来ない釣り人を出し抜くようなことは可能だと信じている。
 ただ、上には上がいるモノで、さすがにここは誰も狙ってないだろうと思っていた、葦ッパラにけもの道作って干上がったゴロタの上に降りる釣り場に、対岸上流から川渡ってやってきてる強者が居たのには驚かされた。
 「楽園」への扉を開こうと思ったら、そのぐらい大胆に人がやらないようなことも時にやってみることも必要だと思う。加えてその場所に居残りのシーバスが居るはずと信じるに足る根拠を地道に集められてなければ、そんな釣りはできないはずで、そのあたりもなかなかにヤル釣り人であった。信じてなければカゲロウ山には登れない。
 それだけ生き馬の目を抜くような厳しい首都圏の釣り場事情の下でも、内房の運河の釣りのように、場所の他にもややこしい条件とかがあって、かつ普通じゃ思いつかないような意外な釣り方だったり微妙なコツがあったりすると、ほとんど他の釣り人を見かけずに独占できるようなことも経験しているので、とにかく釣り場で魚はもちろん、餌になる生物から鳥や地形や、街なら無視できない人的要素やらすべてのことを、釣りにどう影響があるのかないのかとか考えに考えて、時に釣り仲間とあーでもないこーでもないと議論を深めながら、そして釣ってみてその結果を踏まえてまた考えて、というのが自分だけの「楽園」の扉を開く鍵になるんだと思っている。

 誰でも簡単にたどり着けるところに「楽園」があったとしたら、すでにお宝は持ち去られているに違いなく、どんなに苦労してたどり着いた「楽園」でも、自分がたどり着けるなら他人も遅かれ早かれたどり着くし、一定の条件しか現れない「楽園」ならそもそも次にまた同じようにたどり着けるかはあやしいモノである。
 逆にいくら距離的に近くにあったとしても、多くの人が見落としていたり、技術的に絶妙を求められるような難しさがあったりすると、意外なほどの足下に「楽園」が気付けばぽっかりと入り口を開けていたりするのである。
 だから釣り人はまだ見ぬ「楽園」を追い求め続けなければならないし、「楽園」にたどり着けたならば、取れるときに取れるだけのお宝をぶんどっておかなければならない。次の機会などあると思うなというところだ。いつでも準備は怠るな!

 という感じなんだけど、本当は我々釣り人が「楽園」を作っていくのが理想なんだろうなと思う。
 クリスマス島は遠くて飛行機の便が少ない(=釣り人が少ない)という条件にも守られているけど、外国人には珊瑚礁内で釣った魚の持ち帰りが禁止されているなど、魚を守るためのルールもあって何十年と「楽園」であり続けている。
 我々釣り人が自分たちの釣り場を「楽園」たらしめんと、高く志を掲げて、あんまり欲をかきすぎず、魚たちを守って、環境に悪いこととかには蹴りを入れて、いろんなことを学び実践して「楽園」を育てることができたなら、魚の大きさとか数とかどうでも良くなるぐらいに、気持ちの良い面白い釣りができると夢想するのである。

2018年5月6日日曜日

波に乗り遅れてる男が自ら波を作る

 トップウォータープラグで勝負が付いたら話は早いんだけど、ちょっとトップには出きらなくてルアーの後ろで出てるなんてことはありがちで、そんなときは水面直下というか水面に貼り付くぐらいのルアーにすると、微妙な「棚」の差が効いたり効かなかったりする。

 最近水面直下の釣りでは軽めに作ったフッコスペシャルが良い調子だし、ラパラF9のリップ折ってスローシンキングに調整したF9改も良い塩梅のルアーだと思っている。
 ただ、雨の後の強めの濁りとかの中では、ブリブリ動いてくれるルアーの方がアピール力が強くて良いのか反応良いことがけっこうある。かつ、ご近所の「過ちポイント」は良い潮位で水面に出てる杭と沈んでる杭があったりして、普通のミノーやらバイブレーションやらだと潜って根掛かりしそうで使えない。根掛かりでルアーなくすほど馬鹿臭いことはない。釣り場汚すし、ラインシステム組み直したりで時間は食うし、なによりお気に入りのルアーをなくすのはもったいないしで口惜しい。
 ということで、潜りたいけど潜れない感じで水面直下をブリブリ引いてくるという、いわゆる「ウエイキング」で引き波立てながら泳いでくれるルアーを選んでみたい。今回ルアー図鑑うすしお味第39弾はそういう呼び方があるのかどうか知らんけど「ウエイキングルアー」で行ってみます。

 まあ、そういう釣り方が注目浴びて引き波たてるという意味の「ウエイキング」という呼び名で紹介されるようになったのはマンズのワンマイナスからで、その時に実は昔からそういう水面引きできるクランクはあったんですよ、と紹介されてたのがダイワのバスハンターSR、このあたりは我が家の蔵にも在庫がある。
 上からワンマイナス、名前忘れたけどマンズのでっかいウエイクミノーはついでに何でこんなキワモノ買ったのかも忘れた。下段はバスハンターSRとバスハンターⅡSR。
 しかしながら、バスハンターSRはまだしもワンマイナスのオリジナルサイズはちょっとフッコにはデカい気がする。シーバスはラージマウスバスほど口でかくなくて、40のラージなら良型でありワンマイナスぐらいわけなく口に入ると思うけど、50ないぐらいのシーバスだと、この前スピナベに出たけときなんか明らかに口のなかに吸い込めてなかったように見えた。
 口に入らなくてもトリプルフックで掛けてしまえという方針はありといえばありなんだろうけど、あんまりトリプルフック好きじゃないのよね。トリプルで口の外とか掛かったらバレやすいじゃん。

 ということで、できたらもっと小さいか細長いかでシーバスが頬ばりやすいのが良いんじゃなかろうかと思うのである。そんな口の小さい小物釣っとらんと口に拳入るようなデカいの狙っとけかも知れないけど、ワシの腕じゃそんなの現実的じゃない。

 現時点で釣り場に持っていっているルアーの中でもロングAと3Dインショアサーフェスミノーはウエイキングできるルアーで期待大である。特にロングA15Aのボーンカラーは「ウエイキングロングA」といって良いぐらいに軽く水面引きやすいように作られていて同じボーン素材の金黒と比べてもウエイキングに特化していると感じている。こいつらは動きもブリブリでラトルも入っていてアピール力重視ならこの2つだと思っている。

 ただ、最近私は地味と派手、明と暗、善と悪とかの相反する事柄の間には無限の段階があって「地味なんと派手なんのとりあえず2種類ありゃいいや」というこれまでの方針は悪くないと思うし、多くの場合それで間に合うと思っているけど、いつも行くような釣り場では、その間の細かいところも突き詰めていくことは可能で面白いんじゃないかと思い始めている。


 ならば動かなくて小さめで地味なフッコスペシャルからブリブリ動いて長さもあってラトルまで入ってるロングAの間に位置するようなルアーも用意しておくと楽しいんじゃないかなと、いくつか選んで釣れない時間とかに投げて選抜しているところである。
 写真左上からラパラJ9、ヘドンのタイガー、中段ダイワのピーナッツⅡSRサイレント、マリアのザ・ファーストF7、下段ABUガルシアのハイロー、コーモランのフォルテシモという感じ。
 タイガーとザ・ファーストは濁った運河で実績ありで当確。とくにザ・ファーストの水面引きは当時ウエイキングなんて言葉は知らなかったけどずいぶん良い思いをさせてもらった。
 ピーナッツⅡSRサイレントは今時の一口サイズ小さめのウエイキング用クランクを買おうと思ったら意外なほどお高かったので、こんなもん手持ちの小さめのクランクゆっくり引いときゃ良いだろと投げやりになってナマジ的最強クランクであるピーナッツⅡシリーズのラトル無し版を選んでみた。サイズ小さめなこともあってパクッといってくれるんじゃなかろうかと期待。ピーナッツⅡシリーズは今でもお安くてダイワの良心を感じさせてくれる。ダイワにゃ文句もあるけど初心者向けの安い価格帯のもちゃんと用意しているところは立派だと思う。
 ハイローはご存じのようにリップの角度が変えられて、一番潜らないようにすると今一動かないけどもう一つカチッとすると良い塩梅におとなしめの動きであまり潜らず、他のルアーとは違う感じでなかなか良いんじゃないだろうかと思っている。
 フォルテシモは実は良く釣れますよというタレコミをいただいてて、とっくの昔に廃盤のルアーだけど中古で安く手に入ったのでまだ投げてないけど使うの楽しみである。

 でもって、今回最大の発見がJ9である。たしかラパラフローティングジョイントはオリジナルフローティングほどは軽くなくてあんまり潜らずグネグネしたんじゃないかなと思い出して、いっちょ試してみるかと蔵から出して投げてみたら、これがもう今時のおとなしめのシーバスミノーの動きを見慣れた釣り人には衝撃的なぐらいグネグネと良く動く。やっぱり太めなこともあって投げやすくてあんまり潜らなくて、でも動きの立ち上がりとか最高で上流側に投げてライン張りながらドリフトさせるぐらいでもしっかりグネグネ動いてくれて、情け無用のJ9という感じなんである。
 これ多分ウエイキングルアーとしても超優秀でっせ。さすがラパラの定番商品の実力、と今更ながら恐れ入る。

 J11で良いバス釣ったのとか、ライギョの口から穴だらけにされたJ7回収して塗装直して友達に売りさばいたのとか、色々思い出してしまった。
 明日から雨のようだけど、濁りが良い感じに出たらJ9持って釣りに行こう。