2022年9月24日土曜日

茶色い三連星

 大きさが違って見えるのは、遠近法や錯視でも、ましてや画像処理でもございません。実際に大きさが違います。 

 左から大森製作所「デラックススーパー777(以下「DS777」と略)」、「デラックススーパー730(以下「DS730」と略)」、「マイクロセブンDX」で、重さ比較すると実測で、約300g、250g強、200g弱という感じです。

 DS777の記事書いたときに「間も埋めたくなってきてスーパーデラックス730もちょっと欲しくなってくるのが”スピニング熱”の怖いとこ。アタイ病気が憎いッ!」といつもの台詞を書いておりましたが、欲しいと思ってしまったら負け!仕方ないね!!買っちゃうよね!?ということでDS730我が家にやってきました。

 意外に弾数は少なめの機種で、綺麗な箱入りとか買っても仕方ないので、絶妙にボロ目の個体が出てこないか探してはいた。実はボロいのがネットフリマに出てるのは知ってたけど、六千円弱と、それなりに程度の良いマイクロセブンDXの値段をみて値段設定したみたいで、同じ出品者の他の出品物見ると釣り具は少数で明らかに相場観をおもちでない様子。とはいえ「人気があるのはもう一つ小さい機種で、相場はこの機種では程度も悪いので3000円いくかどうかだとおもうので3000円でどうでしょう?」という交渉は、ワシが交渉受ける側ならいきなりの半額大幅値下げ交渉は頭にくるし、胡散臭くて信じられないしで、あまり出てこない機種で売れた値段調べるのも一苦労なので、相手側の不信感を買うだけだと思って踏み切れないでいた。その状態で気にはなってたけど半年ほど「お気に入り」に登録しつつ放置していただろうか?値段が下がった。さすがにもとの値段では売れないと感じたのだろう。4千円までさげてた。正直キレイめの個体ではないので3千円なら悩まないんだけどな、と思いつつもワシが買って使えるようにしてやるのがお役目かと、勝手に思って値切り無しで4千円送料込みで確保。8月の暑い時期に買ったので、とりあえずネジやらナットやらにCRC666をぶっかけてビニール袋に詰めてしばらく放置。台風が来てやっと時間の取れる涼しい状況が生じて分解清掃とあいなった。

 まあ、分解清掃自体はマイクロセブンDX、DS777と特に変わったことはなく難しくないんだけど、だいぶ海で愛用してきたのか、最初緑青が浮いてるのかと思ってた、蓋と本体の緑の部分はパテで腐蝕を埋めたあとだった。ってぐらい塩かぶっても手を入れながら使われて来た個体のようで、内部に砂やら塩の結晶っぽい粉末やらがこびり付いていて、整備のしがいがあるというもの。

 一ヶ所、どうにも錆びて固着して外せなかったのがローター軸にハマっている本機唯一のボールベアリング。記憶力の良い皆さんなら憶えておられるかもだけど、我が家にはマイクロセブンDXの蓋を買ったときに”オマケ”として付いてきた、730サイズ用の足のついた本体が保管してある。ベアリングも規格品で、他の大森ダイヤモンドリールのNo.1、No.2に共通の規格品(具体的にはNKS687-H-ZZ)で間に合いそう。ということで交換でも良かったんだけど、パテ塗ってある風合いとか全体の統一感がそこだけ新品だと損なわれるので、とりあえずベアリングはシャーッとか鳴ってるけど重くなるほどではないのでとりあえずパーツクリーナーで古い汚れを飛ばしてからグリスシーリングだけして戻す形とした。ベアリングは真ん中の芯に接する輪っかと玉意外はステンの薄板曲げて作ってる構造のハズなので、ドリルやら金ヤスリやら使って、錆びてるヤツを壊しながら取っ払う方法はありそうな気はするけど今回はそこまでしなかった。

 でもって、シンプルなインスプール、割り切った左ハンドル専用、ハンドル一回転一往復方式のスプール上下、ハンドル軸のギア裏に設けたストッパーという単純な設計は、余計なモノが付いてなくて分解してても部品数少なく楽で好ましい。
 ドラグはいつもの硬質フェルト3階建て方式のがついてるし、ラインローラーは形状的にはマイクロセブンDXのようなラインの落ち着く谷が切ってあるタイプなんだけど、真鍮製のスリーブは入っておらず、油溝が切られた軸で直受けの回転式。このへんは大きさの違う3機種で微妙に違っているんだけど、それが大きさごとにあえて変えているのか?製造時期によって違いがあったりするのか?この三台見ただけでは分からんというのが正直なところ。
 ギア比は3.5:1かもうちょいあるかなぐらいで低速機。スプール径大きめの低速機はわりと使えるっていうのが、PENNの「720z」やミッチェルの「314」とかでも感じるところ。シーバス釣るには悪くないと思う。適度にボロい個体なので海で使うにもそう神経質にならなくていい。まあこれ以上腐蝕しないように大事にするにしても、通常の使用の範囲でボロくなっていく分にはかまわないでよさげ。大きさ的にワシのシーバス狙いに一番しっくりくる大きさはコイツかもなので、どっかで出番作って、世界の釣り人に安価高性能を評価されたと聞く、マイクロセブンDX(輸出機名「シェイクスピア2200」)の時代の大森機がどの程度の実力、成熟度だったのか、自分の釣りの中で感じてみたいところ。さらにシリーズにはDS777より大きいDS800(あるいは888か?)やら同時期の他機種みてると1300ぐらいの大型機まであるのかもだけど、まあ使いそうな大きさじゃないので興味はない。と書いておかないとまた買ってしまいかねないので、興味がないったら、興味がないっ!!と念押ししておこう。

 でもって、今期自分の釣りの中で試しているリールに、シェイクスビア「2062NL-2」ゼブコ「44クラッシック」があって、好調に楽しく使ってるんだけど、いくつか調整したことがあるので、ワシの備忘録がてら皆様のご参考になればと書きとめておきたい。
 
 まずは「2062NL-2」のベール反転機構の不具合についての調整。
 右の写真一番上の不具合が一目で分かるだろうか?2062系の古い機種は、ベールアームとベール反転機構がローターの反対側にあって、上の写真はその反転機構のトンガリ部分が、一番下の写真では左で止まっているようにベールを開放するトリップレバーを右に越えさせてはならぬ!のに越えてしまっているのである。この状態ではベールが起こせない。直前に、ややベールの返りが渋かったのでベールワイヤーの形状を調整して軽やかに返るように調整しており、その後持ち出した釣り場でこの状態になって困ってしまったのである。本来なら反対側のベールアームのストッパーが真ん中写真の様に効いた時点で、一番下の写真の様にトンガリ部分を越えないで止まるのが正常だけど、軽くベールが返って勢いで越えてしまうようになった。これはベールワイヤーの形状を捻って調整して、ベールアームが止まる位置でトンガリの手前というかやや上までしかトリップレバーが来ないようにしてやって解決した。後年の2062系は、このベールアームの反対側に反転機構を配置する形式をやめて、ベールアーム側にどちらも持って来て重量バランスはローター底部の錘で調整しているけど、こういうベールアームの形状がよじれてくると生じる不具合もあっての変更なのかもしれない。心配していたベール反転部分への糸絡みは一度糸ふけ出まくったときに絡んだけど、通常の使用においては問題なかった。百均フェルト製のドラグパッドも問題なく機能していて、良い感じにアメリカンスピニングを楽しめている。
 
 もいっちょ、”アンダースピン”なクローズドフェイスリールのゼブコ「44クラッシック」。メッキ釣りに活躍中なんだけど、こいつはドラグが実際の釣り場では”滑り出したら止まらない”系のドラグで、ドラグパッドの樹脂が劣化してカチカチツルツル状態なのでイマイチ欲しい摩擦が得られていないのだろうと考えて、スプールを挟むようになってる上下2枚のうち、写真一番上のヒビ入ってワッシャーに固着しているドラグパッドをとりあえずなんかでっち上げて交換してみようということになった。
 ところが、元々のドラグパッドが薄い樹脂製で、交換するバッドも填まる厚さが薄くないとEクリップで固定できない。調整幅出すならと最初に作った百均フェルト製パッドも、もっと薄いのをとワンカップのポリエチレン蓋でつくったパッドも、厚くて収まってくれない。なにか薄くて滑りが適度に良くて、ある程度丈夫な素材は?と考えて布とかどうだろうとかも考えたけど、グラスファイバーのシートをテフロン加工したものが、昔ドラグいじったときに使ったのの余りがあるのを思い出して、適当に切り出して填めてみた。適度に表面凸凹がありつつ滑りの良い素材なのでそこそこドラグの塩梅は良くなってくれて、滑り出したら止まらない状態は改善されて、滑りながらもしっかり抵抗をかけてくれて及第点。手で引っ張り出した感触では元の状態でも悪くなさそうだったんだけど、実際に使ってみると思わぬ不具合があったので、やっぱり釣り具は魚釣って試してみんことには評価はできんもんだなと改めて思いましたとさ。ゼブコ44クラッシック、トリガーでラインの放出を微調整するのは、慣れてないのでなかなか難しく感じつつ挑戦中だけど、トリガーだけで手早く手返し良く投げられるのは確かに利点としてはあって、コイツでメッキ狙って連投連投って感じの釣りは結構最近のお気に入り。

 という感じで、実釣を経ての微調整など入れつつ導入したリールを使って魚を釣りつつ、涼しくなってきたので、渋滞しているリール整備も(紹介したいのだけでもあと3台)おいおい進めていきたいなと思うっちょりますので、お好きな人はこうご期待。

2 件のコメント:

  1.  ナマジさん、こんばんは。
    デラックスシリーズのコンプリート&レビュー楽しみにしております。
    ついでに1300からニードルベアリングのコンパック・キャデラック4へと足を延ばし、キャデラック3・2・初代と遡上の旅も期待しております。

     ゼブコ44は店頭で見つけて気になったものの、スプール径が小さすぎるかもと見送ってました。ちょうどそのタイミングでレビューいただいて手を出そうか悩んでます。

     ずっと心地いいアンダースピンがないか探してます。入手した輸出版オリム・ワンタッチは実重量は普通な割に持った感じの重さが酷く、アブ500シリーズは少々いい値段で二の足踏んだり、国産のパチモンも同様の価格帯で手が滑ってくれません。

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    1. いやいやいや、デラックスシリーズはここで打ち止めにしないと、ほんと困ってしまいます。

      ゼブコの44クラッシック、良い意味で安っぽい感じとかがアメリカンで気に入ってます。ABUの500シリーズは右巻のが閉店する釣具屋が捨て値で放出されてたのを確保したことがありますが、左利きの先輩にプレゼントして、分解もしなかったことをちょっともったいなく思います。今手に入れようとすると確かに良い値段しますね。

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