2021年10月9日土曜日

ドイツのせいでワシはこんな目にあっちょるんじゃ?!(主にワシのせい)

 ダンケシェーン!イッヒ リーベ リール!!全世界のスピニング熱患者の皆さんお元気ですか~?私は”熱”があがっちゃってて大変で~す。

 今日は、以前結局買っちゃったと告白済みのドイツの変態リール「ダムクイック110」を紹介しちゃいます。買っちゃった理由はもう説明は要らないよね。前回ちょっと説明したけどもあれだ、結局「欲しかったから買っちゃった」って以上でも以下でもタコでもないのよね。うん、あんまりグチャグチャ悩まずに単純明快に行きましょう!

 とにかくコイツは、ガションとギアごとハンドルをブッコ抜いて、ハンドルの左右切り替えができるとかいうスピニングらしく「何その独特の仕組み!」って感じなので、そのあたりを今日は中心的に紹介してみますので、どうせこんなマニアックなブログ読みに来てくれてるってコトは、みなさんそのあたりイケるくちなんでしょ?まあ楽しんでってくださいよ旦那。

 とかなんとか言いながら、まずは分解なんだけど、いきなり問題のハンドルとギアがハマってる一塊を止めているネジをブチ抜かないと本体蓋が開かないという構造になってて、早速ブチ抜く。

 ハンドルの根元にある3本のネジが、反対側の本体蓋にくっついている銘板の乗った部分まで貫通して届いていて、銘板部分をガチッと引きつけて蓋を固定することになっている。3本のネジを外して蓋を外してオシュレーション(スプール上下)のクランクとかをハンドル軸のギア(ドライブギア)から外してやると、ハンドルにギアがくっついたままズボッと抜ける。

 後は、このハンドルごと抜けてきたギアを含めた一連の部品達を本体蓋の銘板の部分と左右入れ替えて、オシュレーションスライダーは表裏どちらにもオシュレーションのクランクが留められるようになってるので、裏にクランクを付けてハンドル左右切り替え終了という感じになる。

 ここで皆さんは、なんの疑問も持たないだろうか?

 ワシすっごく疑問に思った点が2つあった。一つはギアをひっくり返したらギアの歯の切ってある方向が逆になって、ローター軸のギア(ピニオンギア)と噛み合わなくならないの?っていう点と、もう一つは、ハンドルとギアの一連のかたまりに逆転防止の切り替え棒らしきモノが付いてきてるので、逆転防止はここに付いてるんだろうけど、左右切り替えして回転が逆になって正転時に止まってしまわないのか?そうならないならどうなってるんだ?っていう点の2点である。

 一つめのギアを左右ひっくり返したら、ギアの歯の切れてる方向が逆になってしまうんじゃないかという疑問は、ワシと同様に頭の中でイメージ図とかを回転させたりすることができない人間は同じように思うかもだけど、頭の中で三次元の立体イメージを自由に回転できる人は「ナマジ何アホなこと書いてるんだ?」と疑問の意味が分からないだろう。ワシ恥ずかしながら、三次元の立体イメージはおろか、二次元の平面図の地図でさえ頭の中では回すことができなくて、実際の紙の地図なりを回さないと道が選べないという方向音痴にありがちな頭の仕組みの人間である。結果的には左右ひっくり返してもギアの歯の切れ方は同じ方向でちゃんとギア同士噛み合うんだけど、イマイチ理解しにくかったので手元にあるペットボトルのキャップに黒くマジックで線を書いて仮想のギアの歯を斜めに切ってみて、左右ひっくり返して確認してみると、写真の様に同じ方向に斜めの線が傾いてて、不本意ながらも実物がそうなってるのでやっと納得できた。

 もう一つの疑問の方は、分解する前から「こりゃ左右ひっくり返すと正転と逆転が逆になるんだな」と推測できた。

 写真はハンドル右に付け替えてみた後だけど、ハンドルの根元に付いてる、逆転防止の切り替えレバーは、普通はオンオフの2種類の切り替えだけど、このリールの場合は「逆転防止」「オフ」「正転防止」の3種類の切り替えがある。写真は「逆転防止」と「正転防止」の位置になってるけど、その中間にちょっと高くなった状態でレバーを留められる位置があって、この「オフ」の位置だと正転も逆転もする。ということは、ハンドルの左右付け替えをすると、正転逆転が反対になるので付け替え前には使う場面が想定されない「正転防止」の位置にレバーを入れて使うんだろうなとすぐに理解できて、じっさいそれで正解だった。

 ただ仕組み的にはどうなってるんだか?予想がつかず、分解してみて初めてナルホドナと理解した。

 例によって、ハンドルを外すにはハンドルピンを細いドライバーを突っ込んで押し出してという力技で抜いて、ハンドル軸のギアを軸受けから抜いてやる。 

 するとハンドル軸のギアの裏面にボコボコと穴が掘ってあって、その穴に逆転防止?の切り替えレバーから伸びている先端を斜めに切った丸棒がバネで押さえつけられて填まるようになっていて、その斜めの方向によってストップが掛かる方向が決まる。「オフ」の位置にするとレバーが高い位置で留まるので丸棒の先が引っ込んでストップはかからず、正転も逆転もするようになる。という仕組み。なので逆転防止機構をオンにしてハンドルを回すと、カチカチという音とともに逆転防止のレバーが微妙に上下動して振動している。なんとも独特の方式で、ドイツ人変わったこと考えるな~と感心する。

 感心するんだけど、素朴な疑問として「なんでこんなにややこしい方式にしたんだろう?」というのが頭に引っかかる。現在のリールのハンドル左右交換方式が、ハンドルねじ込み方式だろうと、真ん中に四角とか六角形のピンを入れる方式だろうと、ほぼハンドルだけを左右入れ替えする仕組みになってて、ギアと逆転防止機構までまとめて左右入れ替えなんていう面倒臭いことにはなってないので、いまいちこの方式にした必然性が分からない。ベベルギア系のギアならローター軸のギアから伸びる主軸がハンドル軸のギアのど真ん中と直交する形で通るので、ハンドル軸のギアの真ん中を貫通してハンドル左右切替えの仕組みを持ってくる設計は不可能だというのは分かる。でもこのリールはローター軸のギアとハンドル軸のギアがリール本体内で横に並ぶウォームギア方式である。ウォームギア機ならABUのカージナルC4とかPENNの4300ssなんかでも、普通にハンドルとハンドルキャップを左右入れ替えする方式であり、そういう設計は可能だったはず。

 なんでじゃろ?ってなことを考えて思いついたのは、スピニングリールの歴史を紐解けばなにか分かるんじゃないだろうか?ということで、國吉昌秀氏著「ベールアームは世界を回る」(以下「ベルせか」と略)を読み返してみて、自身の見てきたスピニングリールのあれこれも照らし合わせて、なんとなくこうだったんじゃないかな?という推論を立ててみた。ワシが思うに、スピニングリールの歴史において、長くベベルギアが一般的であり、かつ、現代的スピニングの方向性を示したと紹介されている第2次世界大戦チョイ前1932年に登場したハーディー社の「アルテックス」でウォームギアが採用されてから後も、戦前に始まり戦後の量産スピニングとしてベストセラーで世界的な標準機だったであろうミッチェル社のスピニングがスパイラルベベルギアも含めてローター軸のギアとハンドル軸のギアの中心線が延長線上で直交するベベルギア系だったことの影響とかも大きかったように思うけど、スピニングリールの設計において、ベベルギアだとハンドル軸のギアの中心線上の、ハンドルと逆側には主軸が通っていて、スプールを上下させるための部品であるオシュレーションカムを主軸に固定して乗せるには好位置だけど、現在のリールでは、多くがハイポイドフェースギアという主軸とハンドル軸が直交しないギア方式を採用しているから当たり前の設計である、ハンドル軸をハンドル軸のギアの両側に伸長して、本体側と本体蓋側の2箇所のベアリングなりスリーブなりで支持するという”両軸”の設計ができず、ハンドルの付いている方だけの”片軸”だけで受けるのが、いわばスピニングの設計における”癖”のような常識であった、というのが背景にあったのではないかと考えた。D.A.M社がこのハンドル左右交換方式を開発したのと同時代かチョイ後ぐらい60年代後半登場の大森「マイクロセブンDX」なんかでも、主軸とハンドル軸の延長線が直交しないハイポイドフェースギアにもかかわらず、右左どちらか専用で同じように片軸受けで設計されている。

 でもって、両軸で受けられる場合と、片軸で受けなければならない場合の差は、なんといっても安定性の違いで、片軸では安定させづらいのは以前にスピニングリールの主軸自体が片軸受けであることから、安定して力をかけにくいという説明をしたことがあるけど、ベベルギア系はもちろん、他のギア方式でも左右のハンドルが交換できないタイプのスピニングリールでは、主軸もハンドル軸も片軸受けでそれが90度方向を変えて力の伝達を行うという、なんとも力の掛けにくい危なっかしい構造なんである。でもって、片軸受けだとなんでD.A.M方式のギアごとハンドル左右入れ替えになるの?って話にだんだん近づいていくんだけど、片軸受けで安定しないハンドル軸を安定させるために、軸受けを長く取る設計にどうしてもなって、例えばABUカーディナルの左専用でインスプールの4と左右両用のアウトスプールのC4、PENNスピンフィッシャーの左専用の430ssと左右両用の4300ssでは同じウォームギア方式でもハンドルの軸受けの”長さ”が全然違う。上の写真はPENN4300ssと430ssのハンドル軸を比較するために引っ張り出したものだけど、写真左の左右両用4300ssの軸受けは本体内に収まっているベアリングの厚さ掛ける2で1センチあるかどうかだけど、お隣左専用機430ssの軸受けは中身は真鍮製スリーブで長く本体から張り出す形になっている。という違いを現代の知識でもってあらかじめ知ってたなら、左右両用にする場合には軸受けは本体内に収まるぐらいの”厚さ”のベアリングなりスリーブなりで両軸受けにしてしまえば良いと、当たり前のように思ってしまうんだけど、その方式がなかった時代の常識で考えると、スピニングリールのハンドル軸の軸受けは安定させるために長さが必要で、ハンドルだけを左右入れ替えにする設計では、リール本体のハンドルが付いていない側にも、長い出っ張りが生じてしまいよろしくない。と当時のD.A.M社の設計者が考えたとしても自然で、ならば軸受けごと交換すればいいじゃないか!と閃いて、今見るとわけのわからん変態的な設計にしたんだろうと愚考した。まあその場合でもなんで逆転防止まで一緒にしたのかは説明付かんけどね。D.A.M社は戦時下で一旦生産が止まってたけど1950年代に再始動したらしく、60年代の「ダムクイックスーパー」にはD.A.M式ハンドル左右交換方式が採用されているので、その頃開発されたと推測した。もう一つの可能性としてひょっとして今の一般的な両軸受けにしてハンドルだけを付け替える方式が特許で押さえられていて使えなかったからかもと考えたけど、「ベルせか」で見ていくと、両軸受けハンドル左右変換方式の原型は、1944年にパテントが取られたウォームギア方式のJ.W.ヤング&サンズ社の「アンビデックス」に既に見て取れて、20年の特許期間が切れるのが60年代後半と考えると辻褄が合うようにも思うけどやや薄い線のような気がしていて、どちらかというと60年代誕生で70年代に人気を博したインスプールのカーディナルや1948年誕生のミッチェル(後のミッチェル300)とその後60年代に出てくる人気小型機の308や408でもハンドル左右交換のできない方式だったように、それが両軸受けハンドル左右変換方式のスピニングリールが一般的になる以前の60年代ぐらいまでのスピニングリール設計上の”癖”だったと考える方が自然かなと今のところ考えている。日本でもオリンピックの大ヒット投げ釣り用リールである1956年発売開始の「93シリーズ」がベベルギア系でハンドル左右交換ができない設計だった。”スピニングリールのハンドルは左右交換できない”っていうのが常識だった時代が結構長かったのではないかと。

 となると、気になるのは現在採用されている両軸受けでハンドルだけ交換する左右交換方式が、何時どのメーカーが開発したのかってところだけど、これが両軸受けにすることによって構造上強度が取りやすくなったという副次的効果が、地味にみえて今時の丈夫なスピニングの基礎を支えてるとても重要な発明だったと思うんだけど、ハッキリしないのよねどうも。「ベルせか」では、最初のアウトスプールスピニングを世に出したのはD.A.M社説とか紹介されていて、筆者はそれより先にセンタウレ社があったんじゃないか?と書いていたりもするけど、インスプールからアウトスプールへの変化も重要だったかもだけど、ひょっとするとそれに相当するぐらいに重要だったと思う”両軸受けハンドル左右交換方式”がどこのメーカーが最初にやったのかは記述が見当たらなかった。TAKE先生のサイトや著書でも目にした記憶が無いので、ネット検索かけてみたけど、余計なクソみたいな情報が多すぎて絞り込めず到達できなかった。英語のサイトとかも調べれば誰かが自説を書いているかもだけど英語不得意で上手に検索かけて、欲しい情報にたどり着くまでの能力がないのよね。何時どこでどのメーカーによって開発され、どの時代にこの方式が採用され始めたのか、「ベルせか」だとさっき書いたように1944年の「アンビテックス」が一番古い時代のものだけど、それ以前にもあったのかは古い話で正直追うのが難しく、ベベルギアだとあり得ない設計なのでハーディー「アルテックス」の1932年以前には開発されてなかったはずっていうのは言えるけど”どこのどいつが発明した”っていうのは結局ワシには確定し得なかった。どなたかご存じのかたがおられたら是非教えて欲しいので、タレコミ情報よろしくお願いします。

 でも、”両軸受けハンドル左右変換方式”が一般的になっていった時代は、各社の古いスピニングリールの機種を見ていけばある程度分かって、割と早かったのは1970年と紹介されているダイワへの吸収合併以前の稲村製作所で「ロディー」のアウトスプールのモデルは共回り方式っぽいネジの頭が、ハンドルが付いてる反対側に見えているので60年代後半には採用していたっぽい。ワシの好きなPENNと大森でみると、PENNのスピンフィッシャーがアウトスプール化して左右ハンドル交換ができるタイプが出てきたのは70年代後半登場の3桁スピンフィッシャーの時代かと思われるだろうけど、実はもうチョイ早くに、おそらく「750ss」とかの前身となった「747」「757」ていう機種があるので多分70年代初めか真ん中ぐらいには採用してたようだ。大森だとマイクロセブンのアウトスプール版が最初かなという感じで1974年のカタログで新製品となっていて、あと70年代当初の製造だと思われるダイワが米国向けに輸出してた古いインスプールのリールに「725RLA」なんてのもあって、もろに右(Right)と左(Left)で使えますよっていうのを売りにしているのが名前に見て取れる。おそらくスピニングがアウトスプール化して日本のメーカーが力をつけていった時代でもある70年代に一般化していったのかなと。その時代でもインスプールのカーディナルとかPENNでもインスプールの710系、720系、3桁アウトスプールの小型機430ss、420ssとかは頑固に片軸受け方式でそれはそれで味のあるリールだし、性能的にも左利きの人には申し訳ない左ハンドルのみ展開の機種もあるにせよ悪くないどころか優れたリールだっていうのは、まあ今さら書くまでもなく、新しければなんでも最上かというと、そうとも限らんという話だとは思う。

 っていうような、スピニングリールの歴史のお勉強と考察をD.A.M式ハンドル左右交換方式に触発されてしてみたところだけど、それはそれとして我が家に来た「ダムクイック110」はグリス固まって巻きが重くなってたし分解清掃して使える状態に整備してやらねばならず、粛々と作業を進めるつもりが、これが予想外に大苦戦。夕方釣りに行くつもりで3時間もあれば終わるだろうと考えてお昼頃に作業開始したんだけど、なんとか片をつけて終わる頃にはすっかり日も暮れ始めてて夕マズメになってて、精根尽きてホトホト疲れ切って釣りの予定をを延期せざるを得なくなってしまった。

 何が起こったのか、D.A.Mのリールの整備に関しては前回「ダムクイック110N」の時はハンドルピンはある種の力技で棒状のモノを突っ込んで押し出して外す、というのを憶えて帰ってもらったところだけど「ダムクイック110」でも皆さんに1つ憶えて帰って欲しいことがあるので、ことの顛末を報告がてら解説していきたい。

 起こった問題を端的に書くと、ローター軸のギアからローターが抜けてくれなくて、にっちもさっちもいかなくなった。その他は問題なくバラせて、ドラグのパッドが耐熱タッパーの蓋みたいな柔らかくてテフロンほどは滑りそうじゃない透明な素材でできた大きなドーナツ状のだったのが新鮮で面白かったけど、まあ理解できる範疇。問題の箇所、ロータを留めるナットを外したら、1方向欠いたワッシャーが填まってて、ローター軸のギアの頭もそのれに対応して1方向が欠けたものにネジ山が切ってあって、でもなぜかローターの穴は丸くて、あんまり見たことない設計だなとは思ったけど深く考えず、ワッシャー外してローター抜こうとしたらば抜けてこない。錆びて固着してるのかもとグリグリと力をかけてみたりしたけど一向に抜けてこないので、固着してるならCRCでも吹いてから力技ぐらいしか手がないなと、ローターをむんずと掴んだ状態で飛びだしているローター軸のギアの頭に樹脂性の棒を当てておいてから、木槌でコンコンと叩いてみた。最初は軽く叩いてたけど全然抜けないのでちょっとムキになって、ガンガンと乱暴に叩いてしまい、これは力ずくだと固着が外れないまま壊れる路線だなと気づいて、諦めてそのまま外さずにパーツクリーナーで丸ごと洗浄して、隙間とかからベアリングにオイルを注して全体をグリスアップして組み直したら、これがローターがガタついて上手く巻けなくなっている。緩んだってコトで、ちょっとは抜けかけてたんだなと、再度バラしてみたらやっぱりちょっとローター軸のギアの頭の出方が小さくなっていた。なのでもう一息だろうと、再度トンカチを振るうも、まただんだんと壊れる路線に収束していきそうになって抜けてくれず、やっぱり抜くのは無理だと判断して、仕方ないので逆にしっかり填めてしまおうとローターを持ってリールの本体のお尻にゴムを当ててから木槌で叩いたけど、これが全くローター軸のギアが出てこなくて、抜けもせず填まりもしなくなった。なんじゃこりゃ?わけが分からないけど、一回この状態でどのぐらいグラつくのか見てみようとして、回さにゃならんからと例のギアごと抜けてるハンドル様ご一行を填めて、ネジで蓋をしっかり留めて回してみたら、なぜかローター軸のギアがちょっと出てきてて、あれだけ叩いても動かなかったのが動いたとしか考えられない状況。

 あぁ、これローター自身にネジ山切ってあって、ローター軸のギアに填めて上からナットで締め付けて固定するだけじゃなくて、ローター自身も回してギアにセットしてから、逆回転して緩まないように、1方を欠いたワッシャーを填めてナットで止めるっていう設計なのか、と気がついて。ハンドルを付けたまま締まる方向に回したときにストッパーがかかる様にしておいて、ローターを手で回して締めてやったらしっかり填まってくれた。ので逆に回したときにストッパーが掛かるようにストッパーレバーを逆に入れて逆回転させてローター無事に外して、ベアリングをグリスシーリングして再度ローターを締めて、ワッシャーを填めてナットで固定して(ナットのネジ山が舐めかけてるのかユルかったので外せるタイプのネジ緩み止めを垂らしておいた)、オシュレーション関係とかの部品を組み付けるために、面倒臭いことに一旦またハンドル軸関連ご一行様を抜いて、グリス塗りまくりながら組み上げて、何とか整備終了。ローターもガタ無く填まってるし、回転も軽くなって機関どこも問題なく快調に仕上がって、クッタクタに疲れたけど、なんとか片が付いて心底ホッとした。

 ハイ、今回皆さんに憶えて帰って欲しいのは”「ダムクイック110」系統はローターがローター軸のギアにネジ山切って回してはめ込むようになっている”ということです。ドイツ本国とか、意外に人気のある米国で、マニアのサイトとか探せば整備の仕方とかは普通に出てくる情報かもだけど、日本じゃいかんせんD.A.Mってせいぜいベイトリールがバスマンには知られてる程度でスピニングはマイナー過ぎてネット検索してもあんまり情報出てこない。今回資料として参照しまくっている「ベルせか」なんかが典型だけど、現物に基づいた”ちゃんとした”情報って、必要な人間が利用できる形でまとめてあるっていうのは、ものすごく価値のあることで、D.A.Mのスピニングの情報なんて日本じゃ多分数人しか必要としないだろうし、読んで楽しめる人間も特定少数と言って良いと思うけど、そういう隙間産業的な”ワシが書かんかったら誰も書かん”っていうような情報が検索可能な状態で存在することこそが、我がお気楽ブログの売りというか存在意義だろうと勝手に思い込んでいるので、ここまで読んでもらって楽しんでくれてる貴兄のために、そして書くのが楽しい自分のために、今回も力一杯書かせてもらいました。ただ、前半は特に”ナマジの妄想”的な推測に基づく記述も多いので、事実関係の誤りとかがあったら全てそれはワシのいたらぬところに起因するものであり、ご容赦いただくとともに正しい情報やら、正しくなくても面白い持論とかお持ちでしたら是非ともご教授いただき、今後ともご指導ご鞭撻の程、なにとぞよろしくお願いいたします。という感じです。 

 これで、2台D.A.M社のインスプールスピニングを分解整備したわけだけど、独自性がスゴいっていうかなんか独特で、”変態”っていうのは既に英語圏では”HENTAI”で通じるぐらい日本人の細かい所にネチョネチョと突っ込んでく性癖を表してるんだと思うけど、ドイツ人も共通する変態性を持ってる人達だなと、ドイツ人が聞いたら激怒するかニヤリと笑ってくれるかわからんけど、そんな風に感じましたとさ。ベールアームがたためるところとかも細かい所だけど凝ってるなという感じで面白いんだけど、道具としてどうかっていうのは使ってみないと分からんという話で、もうちょっとボロくて多少サビさせても良いような個体が手に入ったら使ってみたいとは思うんだけど、ぶっちゃけ変態が過ぎて複雑になってて、自分の好みとしては単純明快なPENNのほうがやっぱり好みかなとは思う。思うんだけど、米国で人気っていうのがちょっと気になってて、米国人は使えん道具は高くは評価しないので、実際に釣り場に持ち出してみたら「やるやんけ!」ってなりそうな気もしてて、やっぱりもう一台、自分で使う用のボロ個体が欲しい、ってなってきてて病状はさらなる悪化の兆候を示し始めているのであった。いつものことながらアタイ、病気が憎いっ!

6 件のコメント:

  1. ナマジさんこんばんは。ダムとの格闘お疲れ様です。

    アンビデックスタイプがしばらく普及しなかったのはやはり、両受でギア・オシレーションスライダー貫通というのが特殊すぎたんですかね。今から見ればスタンダードですけど、当時のスピンキャストもギアユニットをストッパーともに入れ替えなのありますから、左右共用と言えばこの方式だったのでしょう。

    ロディ―・コンバーティブルの原型は多分ロディ―本部の設計と見ています。
    単なる貿易商ではなくメーカーでしたし、リールを知らない国の工場がいきなり中級機をあのバランス感覚で一から生み出すのは無理でしょう。
    しかし同じ形でへドンや少し変えてバークレイにも供給してるんです。ロディ―本部を介してへドンなどに稲村製が行ったのか…
    一方スプリンター系統日本臭い稲村設計かと思われる物は他ブランドで見当たらないです。多分。稲村も謎が多いです。

    検索方法ですが、私は最近グーグル翻訳をオンにして海外のフォーラムや記事を探索することを覚えました。
    読み疲れますが日本語のページだけでは知りえなかった桁違いの情報に出会えるので使っています、特にフォーラムは多数のコレクターがそれぞれの知っている事を出し合って議論しているので、より正解に近いだろう情報に意外と早くたどり着けます。サイト内検索が便利です。
    会員が研究を発表する季刊誌もありますがそっちは取っ付きづらそうです。

    逆に言葉の壁とはすごいもので、向こうの人は稲村をしらずダイワとまとめています。

    日本人には「ベルせか」が最大の情報源になる事が多いですが、アンティークリール入門書みたいな感じで全体の歴史を一人のコレクターの知識で一冊に収まるようまとめたものなので最初の足掛かりには良いのですが、この本で知ることは多いけれども、やはり本一冊分の情報というものですね。

    最近ペン716を手に入れて気に入ってしまい、他の海外製ウォームギア機も気になりその中でダム、110か110Nか…両方行ってしまうかどうしようか考えています。

    返信削除
  2. やっぱりロディ―のコンバーティブル系統ハイポイドフェースギアなので日本での設計のような気がしてきました。

    返信削除
    返信
    1. レクエル堂さん こんばんは

       情報提供ありがとうございます。
       ギアごとハンドル左右交換はスピンキャストでもあったんですね。知りませんでした。

       やはり英語のサイトにあたったほうが沢山情報入手できるんですね。分かっちゃいるけど腰が引けてしまってます。ちなみにフォーラムだとどんなサイトをご覧になってますでしょうか?差し支えなければURLご教授願えると助かります。ちょっと頑張って読んでみたい気がしてきました。

       向こうの人が稲村もダイワも一緒にしてるのは分かる気がします。自分も使ってるPENN430ssgが中国製ですが、コレが中国のなんていうメーカーが作ってるのか、なかなか知る方法がなくてとりあえず放置してます。むしろ向こうの人が「日本製」で済まさず、吸収合併された稲村をダイワと整理してるのならかなり良い線いってる気がします。

       ダム、今のところ触った2台とも作りはしっかりしてるし、設計は独特だしで楽しめてるので、どちらもお薦めです。ちなみに私は使ってみてどうなのか知りたくて、シーバスに使うにはもう一つ上のサイズが良いかなと、「220」を確保してしまいました。沼にズブズブ沈んで行ってます。

      削除
  3. 返信ありがとうございます。

    220!やってしまいましたか、実釣たのしみですね。

     自分は全く語学ダメなんですが、
    本当にいい時代で読めなくても読めるんです。
    リールのフォーラムはまだこれしか知らないのですが、URL以下になります。

    https://www.orcaonline.org/

    https://italianfishingcomunity.forumfree.it/

    ルアーの場合 https://nflcc.org/

    私の場合クロームで閲覧して右クリックすると「日本語に翻訳」が出るので、その機能を使っています。以前の翻訳機能と違い読めて意味も分かるので「読める、読めるぞ!」と叫びたくなりました。

    言葉の壁で知りえないながら稲村とダイワを結び付けた向こうのコレクター確かにさすがという感じですね。一方、稲村吸収前のダイワってなかなか面白いんです。

     ORCAを当たっていると「ブランズウィックコーポレーションスピニングリールビジネスプラン1976/77」というゼブコの内部資料について記述があり、
    当時日本には30社のリールメーカーがあったとなっています、
    しかし日本国内の私たちですらそのほとんどを知ることなく名前と製品が一致するのは僅かで本当にメジャーな所だけである事に驚かされます。
    思えば、似てるけど違う、見当もつかないなど製造を特定できないリールは数多く、そういえばそうとか、もう知る術は無いかもとか、沼の底はあの世かとか色々考えさせられました。

    今、中国がスモールハンドレッドの時代ですか。リール輸出の主戦場がアメリカメインだった時代から昔生産国だったところも、リールを使わなかった新興国も輸入して今世界中が相手ですから規模がすごいですよね。
    ピュアフィッシングもコンパックみたいにいろんな所に発注してるんですね。

     ダムどちらもお薦めですか、一つ上のサイズに220ですか…
    岸から眺めて、入っても片足で考えてたんですが私も沼に入水決定ですか。

    返信削除
  4. フォーラムサイトのURL思い出しましたので追加です。
    https://www.stripersonline.com/

    返信削除
    返信
    1. レクエル堂さん おはようございます

       URL等早速教えてくださり感謝です。暇見て覗いてみます。グーグル翻訳確かに読めなくもないレベルまで来てますよね。それでも検索をかけて欲しい情報までたどり着くのは難儀で、情報が得られるサイトを教えていただけたのは大きいと思います。

       片足だけとか、浅い所だけと思っていても、沼はふかくてズブズブとハマっていくのがこの道の常です。220は船便なのでシーバス秋シーズンのうちに間に合うかどうか。いずれにせよ楽しみです。
       まあ、楽しめていれば”良し”ですよね。

      削除