2022年6月25日土曜日

令和の時代の無敵艦隊

 インビンシブル!無敵!!

 先週書いたように、ここしばらくルア-をアレコレと試していて、いやがおうにも分かったことは、ラパラとインビンシブルは優秀だということである。ラパラのデキが良いのはいまさら言うまでもないけど、インビンがこんなにできる子だとは東京湾で使い始めるまで知らなかったし、頭が平たいナマズ顔が安定した潜行を助けてるようで、DRはリップそれ程大きくないのにキッチリ足下まで引ける。独特の鱗模様とか吹いてある厚めの塗装は、見た目にも美しいんだけど、重量を適度に与えて飛距離がそこそこ確保できるのと、ラパラに比べて同じバルサ製でも強度が増していることに寄与していると思う。動きはキビキビ切れが良く、飛距離もそこそこ、耐久性もそれなりにあって、結果釣れるルア-なんだけど、ホイルフィニッシュとか立体的に鱗切った仕上げとかの、今時風の外観じゃないので日本人好みじゃないのは分かる。けど、地元北欧とオージーの好みにはしっかり合致するようで、同社のサイトで色んなルア-の宣伝文読んでると、対象魚に”サーモンとバラマンディー”とかなってるのがあって、地元で愛されてるのはある程度当然として、豪州人気はなかなかオージーたち見る目があるなと感心する。まあ優秀さは、毎回書くけど、フィンランド本国でラパラを向こうに回して生き残ってきたという事実だけ見ても間違いないだろう。

 今時デキの良いルア-はごまんとある。しかし、バルサというバラつきのある天然素材を使いつつ、品質は安定させてあり、固定重心と軽さを生かして、立ち上がり素早くキビキビとした”良い動き”っていうのは、いまだなおプラスチック(ABS)製の現代的な良くできたルア-を状況によっては凌駕する働きをやってのけるし、その品質のルア-達をプラ素材のルア-と同等の高くもない値段で何十年と売り続けているのは賞賛に値する。インビンシブルはいま正規輸入元がないので国内流通量は少ないけど、ラパラに至ってはルア-を扱ってる釣具屋にならだいたい売っているという安定供給ぶり。

 そんなわけで、今回ルア-方面に症状が出たときに、使ったことないような新機軸のルア-を買いあさると共に、供給不安定なインビンシブルも買い増ししてしまった。一番よく使うオレンジ黄色の8DR3本、同色12センチ1本とまずまずの戦力補強となった。

 オレンジ黄色はカラーコード”070”でパール白基調にオレンジの背中に蛍光黄色の横縞という派手系で、東京湾の運河でも紀伊半島の川でも実績の色。ちなみに一番下の列右は頭を下にして浮く「スタルワート」、左は「ハーカー」。揃うんなら「ビッジー」とか「スピアヘッド」「ダートマスター」、まだ保有していない「ビックマウス」「ニルハ」なんてのもこの色で揃えたいモノだ。

 現在、ニールズマスターは正規輸入元はなくなって全国の釣具屋に流通しているような状況じゃないけど、マスに使うような8センチ5センチは「プロショップマリン」さんで、怪魚用の20センチとかのデカいのは「サンスイ」さんの一部店舗で扱っているようで、箱入りのはマリンさんで買ったのが多いし、派手な豪州向け色の15センチのはサンスイさんで買ったように記憶している。

 確か、欧州系の釣り具通販サイトで売ってたよなと探してみたら、ブックマークしてたつもりが見当たらず、検索掛けても上手く見つからなかったんだけど、代わりに”ニールズマスター社”そのもののサイトが見つかった。これがなかなか面白い。製品情報も趣があって良しなんだけど、”インビンシブルのカラーチャート”が眼福眼福という感じで、メリケンモノのバグリーやらストームやらのカラーチャートも見ててうっとりするぐらい独自色満載で楽しいけど、どっこいインビンシブルも負けてない。現在196色あるのかな?本文にリンク貼ってるので是非別窓で立ち上げて眺めながら続きを読んでいただきたい。

 我が家にあるカラーで現在のカラーチャートに残ってるのは、左の12色。

 上からバラムンディー系の派手な色”027”、金鱗に緑背中の奇をてらわない基本色という感じの”030”、腹が黄色に尻尾赤背中が緑の独特の”052”はプロショップマリン一推しカラー。単純な白腹青背の”053”が残ってるあたりはこの色なにげに実績ありと見て取れる。写真の5センチの個体は腹のフックのところに赤い菱形マークとフックに赤いシェニール。同じ青白でも時代によって微妙に違うのかも。次も基本的な黒背銀鱗で”055”、その下はマニア筋にはパパイヤとか呼ばれている黄色緑に黒背頭白の”057”、青に銀鱗はある意味ニールズマスターらしい配色の”058”、次の2つ”066”、”067”もニールズマスターらしい鱗模様で背中と横線が青が前者、茶色系が後者、喉の赤や腹のオレンジも凝った感じで、最もニールズマスター伝統のカラーリングを感じられるのはこの手のものか。そしてナマジのお気に入り”070”はパールホワイト基調にオレンジの背中に蛍光黄色の横縞。こう並べても派手で目立つゼ!その下は定番の青鯖”071”、そして最後は近頃のニールズマスターでは流行?のラメ系”094”銀ラメボディーに紫の背中、黒点が体側に散らばる”なんかこんな小魚いそう”感のあるカラー。

 逆に今ウチにあるのでカラーチャートから外れたのは、コータック放出品では、上二個の黒点系と下2本の淡い単色系。黒点系は実績あまりなくて、まあなくてもイイかなだけど、単色系はそこそこ釣ってる色だったのでちょっと残念。

 ただ、新しい色なのかカラーチャートには見たことがなかった色がいっぱい載ってて、良い色もあって欲しくなる。北欧系の通販サイトでも探して買うか?黄色オレンジ系の派手なのが好きなので、シンプルに蛍光黄色に赤頭の”013”とかも良いし、黄色オレンジ系でいえば他にもオレンジ黄色背中黒縞の”017”、コンスタンギーゴっぽいオレンジシマの”112”、蛍光黄色鱗模様に黒縞”117”、パールに蛍光オレンジ水玉模様の”139”、蛍光黄色ベースの鱗模様にラメの”140”、パールホワイトベース黄色背中、アゴと尻尾下部オレンジ”148”、ライムチャートに蛍光黄色、蛍光オレンジ黒水玉”182”、ラメラメオレンジ金”229”あたりの派手さは破壊力ありそう。単純だけど、銀ラメボディーに蛍光黄色背中の”048”、金ラメボディーに蛍光オレンジ背中の”093”もラパラの蛍光黄色や赤金みたいで良い。どれも釣具屋で売ってるの見つけたら買ってしまう自信がある。 

 こういう”北欧デザイン”なポップで釣れそうなカラーをひっさげて、再度日本に正規輸入してくれる輸入元サンとかいないのだろうか?欧州方面の海外通販探せば買えそうではあるけど、さすがに今の円安だと腰が引ける。カラーリングの優れた見た目で勝負をかけて釣り人を釣ることさえできれば、使えば釣れるのは間違いないので、日本でも売れないこともないと思うけどどうだろう。コータックが輸入代理店してた頃のカラーラインナップは、いかにもな古くさい吹いた銀鱗模様の(それはそれでもちろん良い味です)が主だったけど、今度正規輸入するなら豪州向けとかそっから発展していった独自性の強い見てて楽しいカラーで攻めれば、日本で一勝負できるのではないかと思ったりするのです。

 逆にわが家の蔵にあるので、渋くて古そうな色のもあって、中古屋で見つけたときなどは心が躍るのを止められなかったものである。
 一番上のは深緑に黒でテントウムシのような模様が描いてあるんだけど、おわかりいただけるだろうか?
 2番めは、わりと中古の出物ではありがちの単色に銀の鱗模様という激渋のカラー。所持しているのは写真の緑のモノだけど、一度黄色ベースのがネットオークションに出品されて、とってもステキだったので欲しかったんだけど、やはりどこにでも良いものを見る目のある人はいるもので、根性出して競ったけど競り負けた。他に青系も見かけたことがある。こういう単色系も味わい深い。いまのカラーチャートでは”051”が単色の赤にラメという感じで、なかなかこれはこれで攻撃的なカッコイイ色になっている。
 最後のジョイントのは青白に緑の横縞を入れたもので、現在も各色組み合わせつつ横縞という3色構成のは多いけど、過去に作られてきた横縞あり3色の組み合わせも、たくさんあっただろなと想像にたやすい。これもそんな1例だけど、そういえばお気に入りの”070”もパールホワイトオレンジに蛍光黄色の横縞であり、横縞一族の一員。
 なんにせよ古くて一時的にしか作らなかった色とかまで蒐集しはじめたら収拾つかなくなることうけあい。あまり深入りせずにインビンはあくまで実用品として見ておきたい。

 最後にちょっと、良く分からんしろものがわが家の蔵にあるのでご紹介と、なんか情報持ってる方が居たらご教授いただけると助かります。
 左が皆様ご存じのニールズマスター社「ビッジー」、右がヘイモ社「フィンマグ」(HEIMO FINMAG)で、上の写真が上からの見た目、下の写真は横からの写真で、見て分かるようにややキャラがかぶってて、どちらも平べったいボディーのコチみたいなルア-なんだけど、何がよくわからんかというと、ヘイモ社もうないようなんだけど、一時ニールズマスター社でフィンマグを売ってた時期があったんじゃなかったっけ?っていうおぼろげな記憶があったんだけど、ネット検索してみても出てこない。海外通販かなんか見ててフィンマグがニールズマスターのルア-として売られてて、ニールズマスターにこんなルア-あったんだ、って思って調べたらどうも別のメーカーが作ってたルアーのようで、ニールズマスター社が吸収したか版権買ったかなんだろうなと思った記憶があるんだけど、ジイさんボケ始めてて記憶がたよりにならんうえに、今回検索しても”ニールズマスター社のフィンマグ”の形跡は全く出てこなかったので、モヤモヤッとしてます。正確な情報をお持ちのお方ぜひワシのモヤモヤをスッキリさせてください。おねがいしやす。

 脱線したけど、まあインビンシブルはその名の通り”無敵”ってほどではないにしろ、日本での評価と知名度の低さに反して、実力は素晴らしいものがあるので、また正規輸入されて手に入りやすくなって、色んなカラーも楽しめるようになると良いなと思い、応援の意味も込めて、”ルア-図鑑うすしお味”第53弾はなんだかんだで取りあげるの3度目?のインビンシブルでいってみましたとさ。


2022年6月18日土曜日

足下に潜り込むダイバーと泳げなくもないポッパー

 病気なんじゃ~!仕方ないんじゃ~!!

 今期のシーバスの不釣ぶりを見ていただければ、シーバス用に使うルア-方面での病気の悪化もしかたないと御納得いただけるだろうか?あぁしかたない。

 ご近所でシーバス釣るのには、護岸の上から釣るN川用に、足下までキッチリ引けて立ち上がりの早い固定重心のディープダイバーが、立ち込んで釣るA川では、ユルヨタなおとなしめの泳ぎのミノーとシンキングペンシル、ついでに高活性の魚に食わせる水面系ぐらいがあれば間に合う。
 
 前者のN川用ルア-としては「インビンシブルDR」「ホットN」のラトル無し勢に「マジェンダ」「スティッキーJr2」のラトル勢がここのところの1軍で、内房運河とかの実績考えると「フライングダイバー」やら「シャッドラップ」「サイレントピーナッツⅡ」あたりも使えるはず。A川用の現状一軍登録は、何はなくとも「海爆リップレス」が先発で「ワンダースリム70・90」「コモモスリム95」系あたりに加えて、水面系が「ザラパピー」「チャグバク小」「ダルトンSP」ぐらいがこのところの定番。

 魚を釣る能力的には、これらのルア-で不足を感じているわけじゃない。多分釣れてないのはルア-のせいなんてことは全くないはずで、魚が射程距離内になかなか入ってこない、つまり自分の行く釣り場に回ってこないってのが主な原因で、ひょっとしたら回って来ているタイミングをキッチリとらえ損なっている自分の腕の問題もあるかもしれない。にもかかわらず、菓子箱いっぱいに一部蔵にあったルアーもあるけど、新たに導入するルア-候補として、アホのようにネットオークションやらで買いあさってしまっているのは、ひとえに「同じルアーばっかり投げてると飽きてくるんだもん」ということに尽きる。

 ルアーマンなら分かりますよね。って話だけど、ルア-って似たようなタイプでも各社個性があって、微妙な違いは釣果の差を生むことも”変えれば来る”でたまにあるけど、むしろ、その個性や表情の違いを愛でるのが楽しいってのが、タックルボックスにルア-をあれこれゴチャゴチャ揃えたくなる理由の大きな部分である、ってのが本当のところだと思う。最近の日本製のルア-は良くできてるのかもしれないけど、逆にそういう個性やら表情の違いの部分が絶望的に”薄い”と感じていて、ワシが詳しくないのもそう思ってしまう原因かもだけど、例えば愛用しているコモモスリム95系のようなリップレスのユルヨタ水面直下系ミノーをと探せば、各社どこでもこの手のタイプぐらい出していて、いくらでも出てくるんだろうけど、どれもコモモの亜流の域を出ず、わざわざ違うメーカーのを買う意欲が湧かず、このタイプのルア-ならコモモ出してるアムスデザインのアイマブランドの他のルア-でも買っとけば良いように感じてしまう。

 となると、手に入りにくい小工房の高級品とか確保も難しく実用性も興味も無いので、れいによってアメルアとか日本製でも古い名作バスルア-とか、中古で確保も容易なもので、個性的で釣れない時間を楽しくしてくれるようなモノを、とアレコレ買いあさって試してみているところなんである。

 で、足場高め超接近戦で足下までキッチリ引いてくるための固定重心のディープダイバーってのは、いくらでもあるといえばある。古くから使われているアメルア(米国製ルア-)なら固定重心だし、バルサなどの木製ならラトル無しも珍しくない程度にはある。

 ちゅうことで、ドーン!と買っちゃいましたのが左の写真。ラパラとバスジャッカーは蔵から見つけたものだけどね。
 ラトル入りに関しては今自分の中ではマジェンダ推しで、抑えにスティッキーJr2とソーサラーもあるので、とりあえず放置で、ラトル無しをアレコレ入手して投げてみている。アメルアでプラスチック製でラトル無しは比較的少なく、入手が容易・安価でイケそうなのはレーベルの「スプーンビルミノー」ぐらいしか見当たらなかったけど、バルサ含めて木製のはラトル無しが普通。”みんな大好きバーグリー(©Dab氏)”(左上あたり)と日本で”パックマン目”のルア-といったら「アイマ」ブランドだけど、アメルアだと今回買いあさった杉の木でできてるPOE'Sのルア-(右上あたり)で、そのあたりはどちらも日本でも売れてたので中古の弾数も豊富でお安く入手可能。バグリーのルア-とかは塗装とか割れてたりすると(そういう仕様です)600円700円で買えてしまう。POE'Sも値段は大差ない。
 ただ、どちらもディープクランクのたぐいには、ごっついグラス系のクランキングロッドを穂先水中に突っ込んで深く潜らせるような男らしいモデルも多く、バグリーの「ダイビングキラーB2」やらPOE'Sの「スーパーセダー300」ぐらいは比較的おとなしそうな大きさと見た目なので大丈夫かなと思って買ってみたけど、5センチのシンペンも投げにゃならんシーバスロッドでは巻き抵抗が大きくてしんどい。ということでバグリーならB1の大きさやシャッド系、POE'Sは1100(200?)の大きさとシャッドっぽいRC系を狙ってみた。
 結果、バグリーの「キラーB1」とPOE'SのRC系はあんまり潜らんので足下までキッチリ引けなくて今回の目的には不合格。その他の「ダイビングキラーB1」や「バッシングシャッド」「スーパーセダー1100」あたりは良さそう。ただしバッシングシャッドは思ったよりシャッドラップラパラに似てて、多少動きが大きいけど”変えると来る”を期待できるほど違うのか微妙。あと、スーパーセダー1100は中古で買ったら同じ形でラトル入ってるのもあった。っていうのはまあご愛敬として、作りが荒いとは聞いてたけど、バランスが破綻しやすく早引きするとひっくり返ったりする。のはまだ可愛い方で一個は普通にブリブリとは泳いでくれず、ゆっくりとシンペンみたいに揺れるという謎の動き。そのへんは吉と出るか凶と出るか?そういうテキトーな品質がアメリカンな感じで悪くないような気もする。日本人には作れないタイプのルア-だと思う。バグリーでも多少の品質のばらつきはあるけどPOE'Sはちょっと強烈だった。同じように均一性が出しにくい自然素材を使ってても往年はタンクテストまでしててハズレ個体が滅多にないラパラはその点エラい。
 蔵に転がってたファットラップは流石の安定した動きでイケそう。発泡素材製のバスジャッカーはちょっとリップが折れそうな怖さがあって意外に中古も良い値段なので却下。
 あと、レーベルのスプーンビルが使えそうな感じなのをみると、ダイビングバングオーとかロングAディープとかも欲しくなってくるので良いのがないか物色中。
 というのがN川用ルア-の買いあさり状況。こちらはこのへんで終息してくれそう。

 ややこしいのがA川用で、国産のは没個性的で好かんし、かといってシンペンもリップレスミノーもアメルアにはあまり見られないカテゴリーで、ダーターはいけるんじゃなかろうか?と思って突っ込んでみたときには、意外にダーター潜ってくので水面直下系じゃないと判明。バグリーの「リトルジョン」とラッキークラフトの「マラス」が及第点かなってぐらいでパッとしなかった。
 ところが、別件で拾ったりしたボロいルア-の再塗装をしていて閃いたことがある。再塗装していたのはヘドン「ラッキー13」、エフテック「エスフォー」でどちらもポッパーみたいな顔してるけどちょっと潜って泳ぐ。エスフォーはもともとシーバス用の国産ルア-で泳ぐんだけど、ラッキー13もあっちの教科書じゃポッパーじゃなくてシャローランナーに分類されることもある意外な泳ぎ上手。
 今回さがしているのは、あんまり泳ぎが上手じゃないユルヨタ系の泳ぎ下手なルア-で、一時泳ぎ下手で定評のあったダイワのロビンなんていうミノーの購入を真面目に考えたぐらいだけど、高値と弾数の少なさに諦めたってぐらいで、ラッキー13もエスフォーも悪くないけどちょっと泳ぎ上手すぎる。

 でも重要なヒントはもらった。下アゴがあるポッパーなら適度に泳ぐヤツが居るはずで、良い塩梅に泳ぎの下手なポッパーは存在するんじゃなかろうか?
 って考えて、思いつくまま買いあさろうとするんだけど、これが難航する。
 引っ張るとユラユラと下手クソに泳ぐポッパーとしてヘドンの「チャガースプーク」が頭に浮かんだんだけどお高い。プラドコ版でも良いンだけどなぜか高い。中古に千五百円も出せるかよ。で下アゴあるポッパーということで、ワシのような古いルア-好きなら、ボーマーの「ボーマーポパー」やらホッパーストッパーの「スローバー」やらが思いつくんだけど、これまたお高いうえに弾数少ない。ダメだコリャ。

 ということで、ルア-図鑑をアレコレ見たり「ポッパー」を検索して安いのチェックしてみたりして、下アゴつきのポッパーを買いあさったのが写真のありさま。
 ラッキー13シリーズは蔵にあったものだけど、「ベビーラッキー13」は泳ぎ上手すぎ系、「タイニーラッキー13」はダーターの時にリトルジョンと共に動き的には及第点を与えている。ただちょっと軽すぎて投げにくい。マリアの「ポップクイーン」って泳がんかったっけ?と若き日の夏の海の光景を想い出して投げてみたけど、早く引けば泡引き系で泳ぐけどゆっくりではイマイチ泳がん。ならばハトリーズはどうよ?と「パッフィートップ」はラトルの入ってないミスティーみたいで泳ぎ上手で面白いけど今回の趣旨とは外れている。「ケントロス」は写真では分からんかったけど、下アゴが単純にしゃくれてるんじゃなくて尖ってて引っ張っても潜らない水面専門系。「リトルダイナマイト」は微妙に下あごの角度が開いていて潜りが浅く竿先を下げてやる必要があるけど水面直下で良い感じに泳ぐのでイケる感触でまずは合格。やや弾数少ないのが難か。「バブルダンサー」は金額的に無理。
 バルサ50シリーズは「アンクルスミス」は動画でチェックできたけど泳ぎ上手すぎ。ならばと「ポップスインガーセラフ」を試してみるもほぼ泳がず。
 でもって、結局合格点はさっきのリトルダイナマイトと、”みんな大好きバーグリー”から「ポップンB-3」(写真左下2番目3番目)。これは思い描いていた”ちょっと潜ってユルヨタッと泳いでくれるポッパー”に完全に一致。短い方の「ポップンB-2」もそこそこいける。中古の値段も千円しないぐらいで許容範囲で弾数も多くはないけど珍しくはない。
 ついでに、パックマン目のPOE'Sの、全体的にパックマンみたいなポッパー「ブルービー」も入手。コイツもいけそうには思うけどマイナー過ぎて弾数少ないのがイマイチ。ただ、杉材を鋸で直線的に切っただけのパックマン顔は、小学生の工作感があってとても可愛い。国産の良くできた製品とかと比べるべくもないチャッチいデキだけど、ルア-として劣ってるとは思えない。日本人の感性じゃこの味はだせん気がする。
 泳ぐポッパーはもうちょっと探せば何か良いのが出てくるかもなので、引き続き探ってみたい。
 半分は投げてみて「へーっ、こいつこんなルア-やったんか~」って楽しむのが目的なので、実釣用の戦力として現時点で採用できなくてもまあ良いかなと思っちょります。

 というわけで、”ルア-図鑑うすしお味”第52弾は高い足場の足下まで引けるディープダイバーと下手クソながら泳げるポッパーということで、バグリーとかPOE'Sとかハトリーズとか、そのへんのルア-でいってみましたとさ。

2022年6月11日土曜日

寿司業界激震!ビンボ飯酢飯疑獄!!

 無職無収入だけど、美味しいもん鱈腹食べてます。食についてはそれ程こだわりのない人間だけど、我ながら良いもん食ってるなと思うときがございます。お天道様はじめ関係各位に深く感謝するところではある。

 ではあるんだけど、ここいらの魚が旨いってのは、海の手柄でワシ釣ってきてすぐに食えるところに住んでるっていうだけで、特に工夫もせず食ってるようにも思う。けど、それでもどうせ食うなら美味しく食べたいぐらいは思うし、ぶっちゃけ同じ料理ばかりだと飽きも来る。とはいえ今日もまたアジか・・・とか今日もまたカマスの干物か・・・とかウンザリしかかっても、いざ食い始めるとアジもカマスも旨いわけで、比喩表現一切無し直接表現として丼飯余裕なのである。

 という現実はあるにしても、料理のレパートリーは増やしておくにこしたことはないし、飯が旨い、ぐっすり眠れる、出すモノもドカドカ出て切れも良い、っていうのは健康の根幹をなすところだと思う。多少、料理に手間暇かけて美味しく食べてもバチは当たるまいて。というのに加えて、酢締めの後の漬け汁の”酢液”がもったいないので有効活用したいというのは、従前からの課題となっており、そのへんもあって豆アジ酢締めからの派生料理をあれこれと工夫してみたのでご報告してみたい。

 豆アジの時期の食事は、以前は衣薄めの天ぷらを大量に作って、1食は付け合わせキャベツでソースで下品に鯵フライ風に食う、残った天ぷらは、タマネギなど野菜とともに酢とめんつゆベースにした漬け汁につけ込んで南蛮漬けというのが必勝パターンだったんだけど、揚げ物食いまくってたら太ってしまい健康診断でコレステロール値ひっかかって、”揚げ物禁止令”が公布されてしまい、以後、1食”せごし”とかで生食、残りは酢で締める。という新必勝パターンに移行してきている。

 でもって、この時期は毎日毎日ってかんじで豆アジの酢締め食ってるわけだけど、付け合わせの味噌汁の方で中身を変えたりしてると、意外に飽きずに美味しくいただける。大根好きなので大根とおあげさんの味噌汁を基本にしつつ、季節の野菜などをぶち込んで具だくさん系にしたりすると、味噌汁が結構オカズとしてヤる感じになってくる。そろそろ夏野菜が各種出てきているので、直売所で安く売ってるキヌサヤやら茄子なんかはいい仕事してくれるし、トマトが意外に味噌汁に入れてもイケる。ズッキーニはちょっとパンチが足りんか?というかんじだったけど、春から出てるジャガイモとかタマネギとかも地物のは安くて旨くて根菜は腹にたまるし言うことなし。ていう感じで冒頭写真の様なご馳走をいただいております。

 とはいえ、さっきも書いたようにレパートリー増やしておくのは良いことだし、余った酢液の利用方法も考えたい。魚を漬けた後の酢液の利用については、以前もちょっと書いたけど、ネットでちょろっと調べたら「魚の出汁が出てるので油とか柑橘果汁加えてドレッシングにしてしまうといい」というのと「薄くなった分を酢を足して継げば何度でも酢締めに使える」というのが出てきた。流石に何度でもっていうのは怪しそうだけど、少なくとも1回使った後の酢液は見た感じまだ大丈夫な感じがする。

 ということで、まずは「酢液の使い回し」を試してみた。漬かってた豆アジ食べきって残った酢液をちょっと次の仕入れまで日が開いたので一旦冷凍保存しておいて、仕入れ前日に冷蔵庫に移して解凍してつかったところ、ちょっと薄くなってるので酢を追加したけど問題なく美味い酢締めができあがって、使い回しある程度できそうではあった。しかしながら、酢液に対してケチ臭くみっちり豆アジを漬け込んでることもあって、2回目時点でかなり酢液が魚から出たエキス分で薄まってしまって、3回目はちょっと難しそうな気配がしてて、酢が薄くて悪くなって食中毒とか馬鹿臭いので、我が家では2回までとする。これだけでもだいぶ酢の消費量が抑えられる。

 まあ、酢なんてたいした値段のするモノではないので食費的にはジャブジャブ使ってもたいしたことにはならないんだけど、なんかまだ使えそうな酢液をそれなりの量捨てて流してしまうのは気持ち的に”もったいない”感が抜けないのである。お天道様とお百姓さんはじめ関係各位が育ててくれた穀物を原料に、これまた加工関係者各位のご努力、流通・販売業者の働きがあって我が家にやってきた大事な食糧、おろそかにして良い理由なんてないはずである。

 ということで、魚を2度漬けた後の酢液の利用方法を考えよう。ということでとりあえずドレッシングをということだけど、サラダつくって綺麗なお皿に盛り付けてってあんまやんないのよねワシ。せいぜい単品のキャベツ千切り、ダイコン千切り、タメネギ薄切り水サラシ、にドレッシングかけて食うのが関の山で、あんまり凝ったドレッシング作るの面倒臭い。ということで、酢液をそのまま掛けて食うという方向でもある程度いけるんじゃなかろうかという感触もあり、そうなると大根が好適で、サラダと言うより”なます”だけど、全く問題ないわな。

 ということで試してみる。大根の千切りは普通にやっても良いンだけど、刺身のつまを、生前祖母が包丁でクルクルとトイレットペーパー剥き取るように、輪切りにした大根から薄い大根のシートを作っていき、細くて長く食感の良い大根の”刺身のつま”にする、いわゆる”かつらむき”をやってたのを想い出して挑戦してみた。

 ウーム難しい。婆ちゃん、いとも簡単にリンゴの皮でも剥いてるがごとき手早さで、足下に着くかというぐらいの長さまであっさり剥きまくってたけど、そんなに長くつながってくれず、すぐに切れる。まあそれでも包丁修行と割り切って、切れても切れても薄い長方形の大根のシートを作って最後千切り。普通に千切りにしたのと大差ないけど、まあやってればそのうち上達するだろう。

 そして、豆アジ漬けていた2度目汁をオタマでしゃくってダバダバと掛け回して完成。豆アジ120匹漬けるのに、いつも使ってたタッパーでは容量が足りなくなって、最近はヒレの棘で穴が開いても大丈夫なようにボウルに受けつつ、ジッパー付き袋の大サイズで漬けている。タッパーから豆アジを食べる分取り出すのにもオタマ好適。

 でもって味はといいますと。なかなか良い。酢にだいぶ鯵エキスが染み出ているので、酢液というよりアジで取った出し汁に酢をきかせた感じに近いかも。

 大根の他にタマネギ入れたり、ニンジン入れて紅白なますっぽくしたり、いかようにも発展可能だろうし、味付けもゴマ油足してみたり、マヨとか市販のドレッシングとかで”味変”してみたり付け合わせの1品としてなかなか良い感じ。


 とはいえ、そこそこの量がある酢液を”なます系”だけで消費しきれるかというとちょっと心もとない。酢液を消費する方法他にないモノだろうか?と考えてて、ピコーンと閃いた。魚の出汁が効いた酢液なんだから、ご飯にかけたら寿司的な何かが爆誕するのではないだろうか?

 やることは簡単。ご飯に酢液をかける。というそのまんまのひねりのない工程。

 ついでに酢締めの豆アジも乗っけてみた。

 旨いんでやがんの。ただ、もっと酢飯的な味になるかと思ったら、砂糖とか入ってないのでそっちに味は傾かず、むしろ近いのは、イワシの梅煮の煮汁をご飯にかけたような、酸っぱさと魚の出汁のハーモニーという感じで、酢飯っぽく仕上げるより、ジャブジャブと汁掛け飯のようにしてしまって、酢にむせながらかっ込むのが正解のような気がする。薬味何にするかとか細かい工夫はあるかもだけど、この時点で丼飯余裕。つまり丼飯にジャブジャブとかけて酢液を消費できる。

 スシってなにって考えると、大きく分けると2つあって、魚と米を漬け込んで乳酸発酵やら麹による発酵やらを使って保存食として作られる鮒鮨のような熟れ寿司(なれずし)と、保存性というより、酢飯とあわせた新鮮な魚介の味を楽しむ今の江戸前鮨のようないわゆる”寿司”があり、中間的に酢の殺菌性で保存性を高めたバッテラや柿の葉鮨などの押し寿司系や紀伊半島には”めはり寿司”なんてのもある。とかんがえると、今回の”酢液ぶっかけ飯”は、それらとはちょっとちがうけど、酢飯?と合わせた魚介の味を楽しんではいるし、酢の殺菌性で豆アジの保存性を高めているけど、既存の寿司の形にはない”汁掛け飯”的な形態でありつつもだけど、どう考えても”寿司”に分類されそうな新たな変な料理が誕生してしまったのである。

 味は良い。見た目とかは提供のしかたで何とでもできる。味の工夫もいかようにもできるだろう。もちろん豆アジに限らず締め鯖でもなんでも酢締め全般の”酢液”でやれるはず。これはワシ、寿司業界に革命を起こすような料理を思いついてしまったのではないかと、思ったり思わなかったりしている。

 商品化やらお店で出したいという場合、特許取るとかいうようなネタでもないので、ご自由にだけど、できれば”ナマジ式汁掛け寿司”であるとご説明いただけると光栄です。ってこんなもん店で出せんか?是非ご家庭でお試しください。お薦めです。でも、どっかの郷土料理とかですでにありそうな気もせんでもないな。

 ウチの実家の方では昔っからやってます、とか他の酢液の利用方法とかとか、タレコミ情報もお待ちしております。

2022年6月4日土曜日

歳をくうと怪我も病気も治りが遅い

 春だけじゃなかったんじゃ~!まだ続いとるんじゃ~!!

 春の大森祭りが終わって”大森熱”が治まったかというと、そんなことはなくて、つい先日も大森以外も含めていくつかリール買ってしまっている。ああそうさルアーももろもろ買っているさ。

 毎日暇な無職の年寄りなので、朝飯食いつつ1時間近くかけてネットオークションやらを良さげなブツがないかネットリと確認するのが日課となっている。

 基本的にリールはもう釣りをする上で必要で買わなければならないものはない。なので買わんでも良いようなものだけど、買ってしまうのが”スピニング熱”という病気の怖いところ。とはいえ何でもかんでも買ってるかといえばそうではなくて、ボロくてワシが買って整備してやらんと人気もなくてゴミの日に出されてしまうようなのを探してたりはする。加えてインスプールの「マイクロセブンDX」については2台わが家にあるけど、2台とも比較的綺麗な個体で塩水で使うのがためらわれるので、ボロい個体が欲しい。とかの、なくても一切困らないけどちょっとだけ欲しい、ぐらいの機種はまだなんぼかある。

 って思ってたら、茶色のマイクロセブンDX(=コンパック89アトラスⅢ)と同世代とおもわれる、「デラックススーパー777(以下「DS777」と略)」のボロ個体がオークションに出てきた。えらい名前だけど、この前身がフェースギア機の「スーパー777」でその後継機で大森得意のハイポイドフェースギア搭載なので”デラックス”を冠したようだ。大きさ的にはマイクロセブンDXが大森SSサイズで「デラックススーパー730」がNo.1サイズ、今回落札の「DS777」はNo.2サイズっていうのが大まかな感触だと思う。重量は300グラムぐらいとやや大きめで、ちょうどカーディナルC4の大きさの印象。

 インスプールのこの大きさのリールって需要少ないのか、れいによって競りもせず落札価格1500円+送料700円で確保。ボロいとはいえ安すぎる。まあ、ありがたくはある。マイクロセブンDXについては識者の見解として、機械的には素晴らしいけど、実際使うとベール周りにラインが絡みやすかったりして今一つ、との評価も目にする。けど、こういうのって使う状況やら釣り人との相性やらあるハズなので、ぜひ自分で使ってみたかったというのがマイクロセブンDXのボロ個体を狙ってた理由だけど、同世代だけあってこのDS777もローターのカップが平べったくて、ベールアームやらベール反転周りやらがローターの開口部に近いという特徴は一緒で、実釣での検証作業ならシーバスに使えるこの大きさの方がワシ的には好適かもしれん。

 というわけで、だいぶ腐蝕が出てるし固着も怖いのでネジだのツマミだのにCRC”666”をぶっかけて、ビニール袋に突っ込んで数日放置の後、全バラしグリスシーリングのフルメンテ敢行。

 見た目はボロいけど、ベールスプリングも生きてるし、ベアリングも錆びてないようで滑らかに回ってるし、意外に機関は好調。

 とりあえず、スプール周りから始める。これがこの大きさなので当然と言えば当然だろうけど「海で使ってました」っていうのが明白な感じに塩にやられている。ナイロンラインを抜いていくと腐蝕して白く粉吹いているし、ドラグノブがこの機種は金属製なんだけど、ごらんのようにメッキがハゲハゲでボロボロになっている。ベールアームの反対側のベールワイヤー固定のネジとスプール裏の”音だし”固定のネジが固着しているし、ベールスプリングも赤さびまみれになっている。固着は無理に外そうとするとねじ切りそうなので放置の方針で行く。清掃グリスアップは何とかなりそうな箇所だし無理はしない。

 ただ、それらのある意味”外回り”な部分以外はなんら問題ないようで、サクサク分解していくと、フェルトパッド3階建て方式のドラグ、左サイドカバー内に収まった大森製ハイポイドフェースギア、ハンドル軸のギア裏の逆転防止機構と、ある種お馴染みの機構達が、欠けたり摩耗したりという感じもなく然るべき場所に収まっていて安心する。ローター軸のギアが太くて頼もしい感じだけど、それもそのはず、後でハンドル回して数えたら1:3.5ぐらいの低速ギアで、コリャ力強く巻けそう。丸ミッチェル使ってみて、スプール径大きめの低速ギア機はシーバス釣るには悪くない気がしてるので良いかもしれん。

 という感じでサクサクバラしてパーツクリーナーかけてブラシで汚れ落として、グリス大盛りにして組み上げるんだけど、いくつか調整した箇所があって、一つ目はラインローラーで、最初固着してたので固定式かと思ったけど、ちゃんと回転式ででもマイクロセブンDXのような真鍮のスリーブも後年のような樹脂製スリーブも入ってなくて直受けだなと思ってたんだけど、腐蝕で膨らんだ部分が引っかかって回転妨げてる感じなので、両側をヤスリで削って調整したところ、スリーブにはなってないけど芯の方に真鍮らしき金属が鋳込んであるようで(固着してるのかも?)2層になってて、ベール側のステンレスとラインローラーの真鍮で回転時摩擦部が構成されていて、この組み合わせは回転部分に良くあるパターンで丸ABUの”ブロンズベアリング”がまさにそうだと思うけど、さすが大森製作所、丁寧な作りだなと感心した。ちなみに上の層はアルミ?みたいな柔らかそうな金属で削れないのかちょっと心配だけど、ナイロンだと大丈夫だったようだ。回ってれば削れることは少ないのかも。腐蝕削ってやったらクルクルと良く回るようになったので一安心。

 次に、ドラグパッドがどうもペッタンコになってしまってるようで、3階建てのフェルト湿式にしては調整幅が狭い感じがしたし、ドラグノブが押さえるワッシャーがだいぶ沈んでもいる。硬質フェルトの2ミリ厚のを買ってあって、そんな分厚いの使いどころがないなと思ってたけど、ここに来て出番が発生。グリスで濡れた純正のドラグパッドで型取りしてハサミとポンチでチョキチョキスポンとでっち上げて、ドラググリス塗って1枚純正と交換でちょうど良い高さになって、調整幅も充分で良い塩梅のドラグになった。

 ドラグノブのボロボロ具合は流石にそのままグリス塗って使うには状態悪すぎのザラザラ具合なので、表面のメッキをサンドペーパーだので剥がして黒く塗るかと思って、サンドペーパーかけ始めたんだけど、なかなかメッキまで剥がせない。なら電動ドリル使ってサンダーフラッパーとかルータードリルとかで削るかと試すも、これが平面じゃないし、ってのもあって綺麗に剥がせない。こりゃメッキ剥がして表面滑らかになるまで削るのは無理だなと諦めて、適当にメッキがめくれてる部分とか落とせた段階で、腐蝕で削れた穴ぼこをエポキシで埋めて平らにして黒く塗るかと、エポキシ接着剤で表面塗装してみたら、なんとなく黒く塗らなくてもこれでいいやという感じになった。表面滑らかになって耐腐食性もそれなりに確保できただろうし、ドラグノブだけピカピカの黒塗りより、ある程度古びた雰囲気を残した方が味が出るかなという判断。古い車をレストアするときにわざとボロい風合いを残す手法があるようだけどそんな感じでいってみた。ついでに”音出し”の1枚板を曲げたのがややへたってキッチリとスプール座面のギザギザに当たりにくくなってたので、スプールエッジ内側と”音だし”の間に適当な太さのナイロンラインを詰めて固定をしっかりさせて調整して、チチチチッっと可愛い音が出るようにしておいた。

 機能的には全く問題なしに復活。見た目はまああれだけど、このくらいのボロさは歴戦の強者っぽくて良いんじゃないかと個人的には思う。古い時代の道具だもん。それ相応の歴史を感じさせる見た目ってのは悪くないんじゃないの。少なくとも”腐蝕が怖くて塩水で使えない”っていうような美品じゃないので、実戦投入をためらわなくて良い。どんな塩梅かぜひ試してみたい。
 ちなみに下の写真の左がマイクロセブンDXで右が今回のSD777。
 こうやって並べると、間も埋めたくなってきてスーパーデラックス730もちょっと欲しくなってくるのが”スピニング熱”の怖いところ。
 アタイ病気が憎いッ!

 とまあ、2200円でこの実戦投入可能な個体が手に入ったのは大成功と言って良いと思うんだけど、その裏で大失敗もやらかしているので、皆様の他山の石となるべく恥を忍んで書き記しておこう。恥ずかしいけどみて欲しいッ!

 シェイクスピアの「2052EC」買っちまって、その後「2062」系に飛び火したのは以前ネタにしたところだけど、シェイクスピアはアグリースティックも安く出てたら確保したいし(売るほど持ってるけど)、マイクロセブンDXのシェイクスピア版「2200」もボロ個体でてれば欲しいしで、引き続き検索掛けてどんなの売りに出てるかチェックはしておりました。おりましたら、余計なモノを見つけてしまいました「2052EC」の初期版とおぼしき、スプールの刺さってるブッシュが金属製でハンドルがクルッと回して収納する方式のやつ。「機関好調なれど小傷あります」ってことでお値段控えめの送料込み6500円と相場よりだいぶ安い。反射食い。
 まったく買う必要性はなかったけど、マウスが滑ってしもたから仕方なかったんじゃ。かんにんだぁ、かんにんしてくんろぉ~・・・

 でも、いざブツが届いてみると、小傷も大したことないし、そのままでも使えるぐらいに快調だしで心ウキウキ。
 今後、数十年のために、いっちょ気合い入れて全バラフルメンテグリスシーリングと行きますかと、2回目だし(サイズ違いの2062含めると5回目)サクサクと分解していく。
 と、ここに思わぬ落とし穴が。なんとストッパーの切り換えレバーを止めているネジが固着してたようなんだけど、ネジの軸が細いこともあってか、ちょっと力を入れたらあっさり回ったような感触を残してねじ切れた。
 やってしもた! 
 ”調子良い道具は下手にいじらない”が正解で、いらんことをしてしまったがためにリールを使えなくしてしまったのかもしれない。当然もう一台の2052ECとも部品互換性あるし、なんなら2062系ともここのパーツは共通なので、使い回せば使用不可ということはないんだけど、1台使えない状態にしてしまったというのは、ジャンクで使えなくなってたのを上手に整備したときと正反対の、残念な気持ちになる。ワシが手にしなければそのまま快調に回り続けていたかもしれないのに、余計なことをしてしまった。ナマジ意気消沈。トホホのガックシ。

 何とか実用可能な程度に、でいいので復活させられないか、ここから悪戦苦闘が始まる。パーツが手に入らないかセカ○モンで調べてみると、金具の方は売りに出てるけどネジがなく、かつ円安のおり、送料かけて取り寄せると5千円からかかってしまい、ネジもセットで出物があれば、金で解決するならそれで良しの割り切りもあり得たけど、ネジ探さねばならんのなら、ちょっと二の足踏まざるを得ず踏ん切りがつかなかった。
 最初に試したのは、ドリルで折れて詰まってるネジごと穴をほじって切り直して、それ用の器具でバネをグリグリと捻って細くしておいてからその穴にねじ込んで開放、バネが中でギュッと開いて固定されネジ山の代わりになるという「リコイル」という手法を430ssgの潰れたタップネジの穴の時に使ってたので、そのリコイル方式をまずは試してみる。これが、ネジの刺さっていた台座にあたるアルミか亜鉛の部品が、潮気で腐蝕し始めてて、穴が崩れてうまくネジを止めてくれない。不必要に穴を広げる結果に終わる。
 これはあんまり力をかけると部品が持たないなということで、方向転換で穴を塞ぐ形でエポキシで固めて、エポキシに穴を開けてタップネジで固定。は一瞬上手く行きかけるけど、ネジを締めていくとネジ穴からエポキシが剥げてしまい固定できず。ただ、惜しい感じはあって金属の強度がなくても、樹脂でもエポキシより剥げにくくて堅ければ樹脂で埋める手でもある程度いけそう。
 こういうときは、樹脂に補強を入れる方向でいくかなと考えて、樹脂は瞬着、補強の繊維はティッシュ(=木のセルロース繊維)でいくことにした。ルア-の穴補修とかに使われる方法である。
 これはわりと上手くいって、なんとかネジが締まってレバーをしっかり押さえて固定してくれた。耐久性は不安が残るけどあまり頻繁に切り換えるレバーでもないし同じ機体が2個体居るので使うのには別個体使って、コイツはスペアスプール要因になりそうなのもあって、とりあえず及第点かなと。円安が解消するなりしてパーツが揃うようになったら純正品に交換したいけど、とりあえずはこんなもんで良いでしょう。ってぐらいには収拾つけて、正直いらんことした大失敗だけど、なんとか落としどころを見つけることはできたように思う。

 あとは、ドラグパッドをれいによって、純正皮パッドからテフロンの0.5ミリ×2、1ミリの3枚に換装、台座のファイバーワッシャーもテフロンに換装でドラグもバッチリ。グリスグッチャリで仕上げておいた。

 今回いじった2台とも共通だけど、塩水で使ったときに、内部はグリスもあって大丈夫でも外回りの腐蝕はけっこう気をつけないと、逆転切り換えレバーの本体穴とかでも塩気は入ってきがちなようで、しっかり普段からグリス塗って気をつけてやらねばという気がした。このへんPENN使いは放置でも大丈夫な気がしているので油断しがちで気を引き締めたいところ。  
 
 っていう感じで、1勝1敗な感じになっちょります。”スピニング熱”はもう治んないのかもな、というあきらめが漂い始めてるので、これからもボロいスピニング買って、ネタになりそうならゴチャゴチャ書いてみたいので、皆様またお楽しみに。