2015年11月30日月曜日

アタマの中でカラーンコローン

 水木しげる先生のご冥福をお祈りします。

 93歳ということで大往生ではあるんだと思うが、やはりちょっと寂しい気分。

 今の日本のストーリーマンガの手法って手塚治虫が確立したというのが定説で、手塚治虫が「漫画の神」と呼ばれているわけだが、それ以前にも紙芝居やら貸本やらで今の形式のマンガ以前のマンガの原型の時代から活躍されていた、それこそ生ける神の一人が水木先生だったという私の認識である。
 手塚治虫、石ノ森章太郎、水木しげる、永井豪の4先生あたり(白土三平先生も入れたいがややマイナーか?)が「神」といっていい、マンガを作ってきた作家だと私は思うのだけど、よく水木先生がマンガのネタにしてネットでも紹介されているように、水木先生が忙しくとも10時間は寝て長寿を全うされたのに対し、手塚、石ノ森両先生は寝る間を惜しんで描きまくって早くに亡くなられている。私が神とあがめるマンガ家は、あとは豪先生を残すのみとなった。病院の帰りに本屋に寄ったら豪先生、デビルマンのスピンオフでシレーヌメインのマンガ描いていてご健在のようで何よりである。

 水木先生、エピソードには困らない人で、「ゲゲゲの鬼太郎」のあまりの人気ぶりに手塚先生が嫉妬して妖怪モノの「どろろ」を描いたとかいう話も有名だが、たぶん豪先生の「ドロロンえん魔君」も水木先生に対抗して描いたんじゃないかと私は思っている。

 ゲゲゲの鬼太郎は、5回もアニメ化しているお化けコンテンツで、1回目の白黒版は年代からいって見ていないけど、2回目のカラー版と夢子ちゃんが出てきてネコ娘がヒロインの座を奪われる屈辱にまみれる3回目とをリアルタイムで見ている。実写版の映画も結構よかった。アニメ4回目、5回目、それに墓場鬼太郎はたまに見た程度だが、山陰に出張のおりには、鬼太郎グッズの店で鬼太郎ノートやらキジムナー手拭いやら買うぐらいには鬼太郎ファンであり、今日はアタマの中で鬼太郎のOP・ED、それから「悪魔くん」のOPの「エロイームエッサイム、エロイームエッサイム」という歌詞がグルグルしている。

 「悪魔くん」は見た記憶がほとんど無いし、内容も憶えていないのだが、なぜか主題歌はフルで歌えそうなぐらいに憶えているのでおそらく視聴していたのだろう。
 後に澁澤龍彦先生の「黒魔術の手帖」を読んだら、ホントに西洋の黒魔術では「エロヒムよエサイムよ我が呼び声を聞け」と唱えると知って、水木先生の創作じゃなかったんだなと意外に感じた。いわゆる「日本の妖怪」って水木先生の創作のモノも多いと聞く。水木先生監修・イラストの妖怪図鑑とか小さいころに夢中で読んだ記憶がある。

 脱線するが、なぜか主題歌はフルで歌えるものに「魔女っ子メグちゃん」のOPがあるんだが、たぶん姉さんが見ていたのを幼少のみぎり一緒に見ていたのだろうと思う。「ハルシオン・ランチ」のあとがきで沙村広明先生が「ああ・・・ノン(註:主人公と魔法の国の王女の座を争うライバル)が好きだ」「トランプをモチーフにした服のデザインも「魔女っ子メグちゃん」の影響かと。」と書いていて、困った人だなァと思ったものである。

 水木先生のマンガとしては、片手を失ったラバウルでの戦争の時の話とか読んだけど、まだ読んでない作品でキンドル版が出ているのも結構あったはずなので、この機会に読んでみようかと思う。まずは「河童の三平」あたりからか。
 作家は亡くなっても、作品が愛され続ける限り作品の中に生き続けると良く言われるが、水木先生ぐらいになると、そういう意味では遠い未来までも生き続けることだと思う。
 水木先生、面白いマンガ、素敵な妖怪達の紹介、ありがとうございました。 
 

2015年11月28日土曜日

ルアー図鑑図鑑


 このシリーズを立ち上げる時にも書いたけど、昔からルアーの紹介記事が載っている本が好きだった。それはもうメーカーカタログでさえ何回も読んじゃうぐらいで、「釣りトップ」の昔から雑誌のルアーレビューコーナーも大好きだし、ルアー紹介がメインの「ルアー図鑑」的な本ももちろん大好物である。中でも、沢山のルアーがポッパーならポッパーというくくりごとに沢山写真と名前だけで紹介されているような形のものより、ひとつひとつのルアーについて、筆者の独断と偏見と愛と執着をもって解説が書かれているものが特に好きである。優れた筆者による解説は、その言葉がいわゆる「言霊」となり、読んだ人間が使う時にも、そのルアーに魂を吹き込むぐらいに霊験あらたかなものだと思っている。なんというか、グッと来る紹介文章が与えられたルアーはメチャクチャ釣れそうな気がしてくるモノだというのは、皆さんおわかりになるだろう。ルアーなんて本当はどれでも大差ないのかもしれない、でも「このルアーは絶対!」と思えるぐらいに絶賛されているのを読んだなら、その言葉を信じられたなら、投げるルアーに自ずと魂がこもろうというモノである。
 
 ということで、ネタがそろそろ無くなったところでもあり、また面白いブツを入手したら、その都度復活することとして、ルアー図鑑うすしお味、一応の最終回第26弾は、本シリーズの正式名称「うすしお味のルアーの楽しみ方図鑑列伝攻略法カタログ」の由来となった、4冊の「ルアー図鑑」について書いてみたい。いろんな人が「ルアー図鑑」を書いていてそれぞれ面白いけど、それらのなかでも特に気に入って何度も読みまくったのがこの4冊である。最近本をだいぶ自炊してデータ化したので4冊とも蔵から発掘できて本棚に収めたところ。流石にこれらの本は単なるデータが印刷された紙として以上の愛着があって裁断して自炊してしまうことはできなかった。


 「今思うとだまされていたのかも。でも後悔はしていないワ」
 不誠実な男への哀切をこめた女性の心情の吐露ではなく、若き日に、釣り飲み会の席で則さん山田さんの「ブラックバス釣りの楽しみ方」が話題になった時のナマジの台詞である。
 割とウケました。
 80年代にブラックバス釣りを始めたような人間にとっては、開高先生の「オーパ!」と共に良くも悪くも影響を受けざるをえなかったぐらいの、バス釣りの、特にこの本ではサーフェイスプラッガーと定義されているトップウォーターマニアにとっては教典といって良いぐらいの1冊。もしこの本がなかりせば、現在に連綿と繋がる「バスは水面で釣るのが最高に楽しいんです」という、一種の思想といっていいような嗜好、「ブラックバス釣りの楽しみ方」は生じえなかったのではないかとさえ思う。
 本書では「バストーナメントに象徴される、効率を重視した釣れればいいという釣りはちょっと違うんじゃないか」、「釣ることのプロセスと衝撃的な出会いを大事に楽しむべき」とかいうことが書かれていて、必ずしもトップ以外の釣りを全否定してもいないっぽいんだけど、読んだ人間の多くは「トップの釣りこそ最高、絶対!」という、水面至上原理主義に傾倒しがちであった。
 でもまあ、田舎のガキが5/8サイズのトップウォータープラグをオカッパリで投げたところで、釣れる魚など滅多にいるわけでなく、おりからのトーナメント指向の釣りからもたらされる、ワームやらクランクやらをつかった新たなテクニックを自分の釣り場に当てはめて釣果をのばしていくのが、心の底から楽しくて、まあ「別に水面にこだわる必要ないんじゃないの?」と思うに至るあたりで、冒頭の「だまされていたのかも」という心境につながっていくのである。
 ただ、釣りのプロセスと魚との出会いを楽しむべきというのは、今でも全くそうだと思っているし、思い入れを込めてこの本で紹介されているような、ラッキー13、タイガーなんかのヘドン勢やバルサ50なんかの「サーフェイスプラグ」をコレクションして、投げてみたりたまに釣れてみたりというのは純粋に楽しかったし良い想い出である。よしんばだまされてたんだとしても、後悔なんてする理由が無いんである。
 この本で紹介されているルアーはルアー図鑑としてはそれほど多くない。でも、それぞれのルアーについて1ページの上半分ぐらいが写真で、その下半ページぐらいが丸々思い入れたっぷりの解説やら、小ネタやら、則さん達のルアーに対する考え方なんかで埋まっていて、それらの綺羅星のようなルアー達を「崇拝」せずにはいられなくなるし、釣り人が道具に対してどのくらい愛着や思い入れを持って楽しんでいるのか、またそうするべきだということを私を含め多くのバスマンは学んだんだと思う。
 この本は装丁やら写真、文章やらもなんというか、それまでの釣りの本とは一線を画す格好良さがあって、「サーフェイスプラッガーのためのテクニカルスタディ」と副題をみると水面のバス釣りの技術指南書という位置づけだが、水面至上主義のバスマンに限らず、バス釣りをやる多くの人間達を虜にし、道具への愛着や思い入れから始まる釣りのプロセスの楽しみ方という、単なる技術を越えた部分までをまさに布教した教典であったと断言できる名著である。若い頃に出会えて良かったと心底思う。

 この本と同時代に書かれた「井上博司のブラックバス攻略法」と平成10年代に入って書かれた地球丸の「バスルアーカタログ」は実は構成が似ている。さらに言うならまとう空気感というか味わいがとても似ている。「バスルアーカタログ」はロッド&リール誌の名物企画だった「三匹が行く」の鉄平君がメインのライターとして企画したようだが、意識したのかしていないのかは別にして、「井上博司のブラックバス攻略法」の影響が色濃くうかがえる。
 どちらの本も、バス釣りに使われるルアーをスイッシャー、ポッパー、クランクベイト、バイブレーションなどの種類毎に分けて、その使い方やらを解説すると共に、代表的なルアーを数多く紹介している。
 どちらもコラム欄やルアーの楽しみ方的なメッセージも楽しめる読み物になっているが、なんといってもルアーの紹介部分が好き者にはたまらない。なるべく沢山のルアーを紹介するために、一つのルアーについてそれほど多くの紙面を裂くことができなかったという制約が、むしろ独特のリズムのある短く切り込んだ紹介文をかたち作っており、なんとも味わい深いのである。
 「攻略法」の方は当時新しい釣りだったブラックバスのルアーフィッシングというモノの格好良さや先進の気風を伝えようとしている入れ込み具合が感じ取れるんだけど、カタカナ用語が多用されていて、今読むとそういう時代感が逆にノスタルジックで懐かしい。
 「カタログ」の方は、きっと哲平君とかのライター陣は「攻略法」とかを読んで育った世代で、バス釣りの、ルアーの楽しさを伝えるための技術とか短文にルアーの魅力を詰め込む味わいとかにおいて影響を受けているんだろうと思うんだけど、30年だかの歴史を経て育まれた感性と経験の分が生かされたぶん確実に進化していてデキが良いように感じる。枕元において何度も読んだけど、何度読んでも楽しい「図鑑」になっている。
 「攻略法」の「インビンシブル(無敵)、まさにそんな感じだ。」とか「カタログ」の「T.D.バイブレーションにはワームさえも及ばない釣れる何かが備わっているようだ。」とか、もうそのルアーを投げずにいられなくなるような煽りップリ。
 ルアー図鑑としては奇をてらわず基本的なところを押さえた作りだが、いずれも「これぞルアー図鑑!」というお手本のような2冊だと思う。

 でもって、「B級ルアー列伝」。Dab氏が「こんなヤツらだけど興味ある方がいるのかな?と、軽い気持ちでホームページをたちあげた」のが、面白くって評判を呼び書籍化、第2弾も発売される人気作となった。
 なんというか、日本のルアー釣りを取り巻く文化も、こんなにも隙間産業的でマニアックなものが受け入れられるだけの歴史的な積み重ねと健全な楽しみの深化がはかられてきたんだなと思うと感慨深い。
 内容的には、イロモノ的だったり社運をかけた超絶技巧が時代の先を行きすぎていたりして、スポットライトが当たることなくタックルボックスの肥やしと化しているような「B級ルアー」に愛情あふれる解説を加えているのだけど、Dab氏の独特の軽妙で明るく楽しい書きップリに、クスクス笑ったりニヤリとさせられたりせざるをえないんである。
 ルアーの釣りの楽しさって、「こんなモノで釣れるんだ」という驚きって確実に要素としてあって、単に効率的に釣れればいいというモノではないと思う。
 ヘンテコなルアーたちを通じて、そういうルアーのおつゆたっぷりのおいしい部分の楽しみ方がこれでもかという感じで伝わってくる。Dab氏のルアーへの愛があふれている。
 バスルアーって特にいろんなヘンテコな工夫が生まれやすい分野だけど、他の魚を狙うルアーだってそういう遊び心的な部分は無ければウソだと私は思っている。
 シーバスルアーとか見てると高性能をうたい文句にした最新のルアーに流行の中心があるように思うけど、そんなのあんまり気にしなくてよくて、単に釣れればいいのなら、例えば自分のスタイルなら堅くフラットラップとかFマグとか投げてれば良いんだろうけど、トップでも釣りたいし(もちろん効果的でもある)、ロングAとかインビンシブルとかも使ってみたいし、この秋は残念ながら釣りに行けてない状況だけどウインドチーターミノーとかも試してみるつもりで用意していたりしていた。そういう、ルアーをあれこれ選んで楽しむ楽しさってやっぱりルアー釣りの楽しみ方の本流だと「列伝」を読むと改めて分かるところである。タックルボックスにゴチャゴチャとあるルアーを選ぶ楽しさって最高だと思うよネッ!てところである。

 
 ルアー図鑑うすしお味でも、これまでいろんなルアーを力一杯紹介してきたところだけど、もし皆さんにも楽しんでいただけたのなら幸い。
 きっとどこかのマニアックな釣り人がクスッと笑ってくれたものと確信して一旦筆を置きたいと思います。どうも皆さんお付き合いありがとうございました。書いててとても楽しかったです。

2015年11月21日土曜日

ラパラマグナム屋繁盛記

 しばらく前にカヤックシーバス用に「Fマグ屋でも開店するんか?」という勢いでFマグ11センチと14センチを仕入れていたが、健康面の問題を抱え今年は出番が無く断腸の思いである。


  Fマグ屋状態を写真で公開して以降も中古屋とかで見つけるたびに買っていたので、今では小さめの段ボール二箱にギッチリ、計ったら3キロチョイあった。
 個数的には100以上、11センチ、14センチについては仕入れ具合は充分である。
 特に好きなカラーは青サバと青銀かな。青サバが大量に入手できているので心強い。
 さらには、最近Fマグはステンレスチールマグナムというメッキのようなカラーリングのが新品でも手に入るようで生産中止状態は抜けたらしくホッとしたところである。

 ラパラマグナム系については他にも仕入れており、結構在庫も豊富なので、今回そのあたりをルアー図鑑うすしお味25弾で取り上げてみたい。

 とりあえずは、Fマグ兄弟には9センチ7センチというような弟分もいたようですが、あんまり見かけないし使い道も思いつかないので仕入れていないけど、18センチの兄貴はデカ物狙いにはそのうち役立つだろうとなんぼか仕入れてきたところである。実戦を想定してフックに鉛線巻いたり、ナツメオモリ埋め込んだりという飛距離アップチューンも施したりして準備は怠りない。
 Fマグはワイヤー貫通式でぶっ壊されても魚は獲れるタイプのミノーなので、そのうちミノーをその重量やファイトで破壊するような獲物を狙ってみたいモノである。

 でもって、同じFマグ18センチの旧型で、リップが頭の先から突き出たオフセットリップじゃなくて下顎から突き出ているタイプ。
 緑サバカラーは都心の中古屋でエグリました。赤金は房総の釣り具屋で若い頃にエグリました。箱が壊れたようでガマカツとかのシールが貼ってある袋入りですがプレゼント券が付いていて、82年モデルということが分かります。90年代には今のオフセットリップになっていったようです。また、このころの赤金はマグナムでもホイルフィニッシュです。現在でもCDシリーズとかは赤金ホイルフィニッシュですが、マグナムの赤金は塗りです。


 CDマグナムも結構あります。14センチとちょっとスリムな13センチはコスタリカターポン様用に買ってましたがフロリダに行ったので出番無く、またどこかで出番が回ってくるのを待っている状態。






 CDマグナムはトローリング用として使われていて結構でかいサイズがあります。
 我が家にあるのは手に持っている22センチが最大で、後ろのは18センチ達ですが、最大26センチまでラインナップされているようです。
 




 でかいラパラというと、スーパーシャッドラップ14センチも外すことができません。怪魚ハンター御用達のルアーで、CDとFがありCDのほうが飛距離が出て人気ありますが、あんまり売ってるのみかけません。
 フローティングの方もオモリ埋め込んだりして飛距離アップチューンを施してあります。いつでも怪魚ハンティングに出かけられる状態です。

 最近、12センチでリップが金属でシンキングのマグナムシャドラップというのもアルのを発見して仕入れましたが、14センチほど迫力はなく、CD14を売ってくれた方が助かるのになと思ったところ。




 ラパラでマグナムというともう一つ、Xラップのマグナムダイブベイトというのがあって、これも試しに買っています。
 まだ実戦投入する機会が無く蔵に眠っています。
 でもまあ、Xラップあたりはラパラの系統のルアーというより、ストームやらルーハージェンセンやら吸収したアメリカンなメーカーの流れを汲むようなアメリカンな感じのルアーでラパラマグナムとは同列で語るべきではないのかもしれません。

 金融機関や自動車会社なんかの統廃合が進んで、年末控除に生命保険の会社名を書こうとすると枠からはみ出るぐらいに統合した社名を並べなければならなくてウザかったりするが、同じような統廃合は米国中心に釣り具メーカーにも見られたところである。

 先ほども書いたようにラパラがストーム、ルーハージェンセン、ブルーフォックス、ウィリアムソン、ラインのサフィックス、フックのVMCなんかを合併吸収していますし、アメリカンルアーを代表するようなヘドン、ボーマー、アーボガスト、レーベル、コットンコーデル、クリークチャブ、スミスウィックなんてメーカーはレーベルを中心にエビスコというアウトドア系の総合会社の釣り部門「プラドコ」ブランドに統合されてしまってます。
 PENNはかなり最近まで、フィラデルフィアに本社を置くPENN社として独立してありましたが、数年前に、ABUやバークレー、はてはシェクスピア、ハーディーまで傘下に入れたピュアフィッシングに統合されました。
 時代の流れを感じずにはいられません。

 なんとなく寂しくもあるのですが、ラパラは今でもラパラな部分を受け継いでいるし(Fマグも廃盤にはならなかったし)、ストームのウイグルワートの「不規則揺れ」をラパラで再現させるために幅広い帽子のつばみたいなリップを搭載した「スキャッター」シリーズとか開発してみたり、プラドコに多くのルアーメーカーが合流して、レーベルお得意のGフィニッシュカラーがヘドン、ボーマーなんかのルアーにも施されたり、ソルトウォーターグレードボーマーなんてのはボーマーベースにレーベルやヘドンからの移籍組的なルアーもあってなかなかに面白いことになっていると評価できるし、デカイ会社になって企業の体力が上がって製品が良くなる分には悪くないことだと考えておきたい。

 まあ、世界的な経済の大きな流れからはルアー生産の現場も逃れようがないというのが現実なのかもしれません。気に入らないからといって嘆いたところで仕方のないことなので、「気に入る」ルアーなどが売られていたら、いつものように一票入れるつもりで買っていくというのが一消費者にできる唯一にしてそれなりに影響力を持った手段なのかなと思います。

2015年11月14日土曜日

釣るためだけが目的でつくったワケじゃないルアー達


 写真を見て、なんか見たこと無いようなルアーが多いなと思われるかも知れないですが、それもそのはず。
 こいつらは不肖ナマジが作ったルアー達です。
 というわけでルアー図鑑うすしお味第24弾は、自作ルアーの紹介。

 ハンドメイドのルアーって、売っているのはおおむね高級品なので、最初は自分で作れれば安上がりかなと思うものですが、これが手間暇かかるし塗料だのなんだのをそろえるとお金もかかるしで、全く費用対効果的には割に合わないことが多いです。
 サイトの方で紹介した、割り箸使った「お手元ルアー」とか秘密の「フッコスペシャル」とかは、いい加減にササッと作っているので、実弾として実戦投入しても問題無いぐらいに費用対効果も良いハンドメイドルアーになっていますが、普通にバルサなりほかの木材なりを削って成形して、針金のリグを挟み込んだり、ヒートンねじ込んだり、塗装して色塗ってウレタンクリアーでコーティングしてという、いわゆるハンドメイドルアーと聞いて思い描くような物を作るととてもじゃないけど、根掛かりしそうなポイントでは投げる気にもならないぐらいにコストのかかったモノになってしまいます。
 それでも、中学生こころから今でも、たまに思い出したようにハンドメイド熱がぶり返して作りたくなったりするのは、世界中のどこにもない新しいルアーを作り出すそのこと自体に楽しさがあるからだと私は思っています。

 でもって、久しぶりに熱がぶり返して、完成させたのが左の2つ。といっても最初の木を削るところからのスタートじゃなくて、下地のコーティングまでして熱が冷めて放置していたのを完成させたところ。
 永年にわたり、たまにルアー作ってきて、カラーリングはあまり凝ったものにすると塗料を何色もそろえなければならないし、工程が増えるとその分失敗するしで、ろくな事にならないのを学習したところ。ついでにそろえたカラーも次の発熱時には乾涸らびていて無駄になるのがオチ。手作りっぽく木目調をそのまま残して背中とお腹にスプレーでカラーを振って、あとはコーチドック模様でもカエル模様でも筆で手書きしてしまうと、それなりに格好が付く。というのが気にいっている。

 一応、過去にはホイルフィニッシュなんてのにも挑戦して、それなりのモノができているように自負してます。
 ホイルフィニッシュはそれほど難しくなく、いかにもハンドメイドルアーという感じになるので割とお奨めである。
 ホイルを普通のアルミホイルじゃなくて接着テープになっている台所の隙間貼り用のものを使うのが簡単ホイルフィニッシュのキモかな。
 昔使っていたウレタンコーティング剤が何年も経つと茶色く変色するタイプなので、大学生のころ作ったこいつらは結構茶色くなっているが、その辺の古き良き時代感も悪くないと思う。

 左のペラモノも大学生ころ作って、結構バス釣ったルアーである。
 上二つの銀ラメを散らすと結構それっぽい感じに仕上がるというのも、手間がそれほどかからず好きなカラーリングである。
 下2つのお尻にペラのついたペンシルは、「ブラックバス釣りの楽しみ方」に紹介されていたフルーガージャークが全く売ってたりするのも持っている人も見たこと無いので似たような味のを作ってみようとしたモノである。似ているのかどうかは本物知らないので分からないが、結構釣れて一番下のは高い木の上に引っかけてしまったので、もう一度同じようなスタイルで作ったヤツである。
 ハンドメイドルアーはなくすと困るのでボートで使うトップがほとんどだったけど、それでも結構無くしてしまったのはある。
 これらのルアーを見ても分かるように、塗装はテキトーなのが自分の作ったモノには多い。早く使いたくて塗装が早くおわる方向に技術を進めてきたような気がする。


 次の3つは、それぞれラッキー13、バスオレノ、ボーマージャークベイトをイメージして、オリジナルサイズよりも小さめで使いやすい大きさで作っているのだが、今考えると、ラッキー13もバスオレノもJrサイズがあって、わざわざ作らなくても良かったような気がするが、作った時は作りたかったのだろう。
 ルアー作りたい熱はいつ何時、どういうきっかけで、どう発病するか不明の熱病である。治療法はとにかく木を削ることだと思うところ。



 次のコーチドック模様の2つ。
 上のミノーはバルサ50スリンキーに触発されてお腹の膨れたミノーを作ってみたところで、たぶん高校生か中学のころのもの。
 カラーもバルサ50ちっくに型紙切ってスプレーしている。目玉に黒目が入っていないのは、実はこのルアー、目を入れてコーティングする前にスイムテストの段階で50UP釣ってしまって、そのままお蔵入りさせたので制作途中で止まっているのであった。
 下のサクラが背中に咲いているポッパーは、大学受験のころ作っていたルアーで、合格記念にサクラサクバージョンにしたモノである。
 受験勉強の息抜きにしては、力の入ったデキである。当時、勉強机の一番上の引き出しをあけると、作りかけのルアーと道具が入っていた。アホである。

 右のルアーは、小型のいわゆるチマチマサイズのルアー達で、大学生のころダム湖にゴムボート浮かべて良く釣ったルアー達である。特に上二つ。
 当時、小さいサイズのトップが良く釣れるということでズィールのチマチマシリーズが流行っており、高校時代からケン一が愛用していたのだが、同じルアーを使うのも芸がないと思ったのと、ズイールのルアーもわりと高級品だったので貧乏学生は作った方が安いんじゃないかといじましく考えて自作したところである。安上がりには全くなっていなかったと思うが、魚は釣れておおいに楽しかったので、結果オーライであった。

 そして、残っている範囲で一番古いのが、この2個。どちらも中学生のころ作ったモノで、これ以前にもいくつか作っているはずだけど出来が悪かったので捨ててしまっている。逆に言うとこいつらは出来が良くて良く釣れたうえに根掛かりもさせずに生き残った強者である。
 上の頭でっかちのスイッシャーは、ジッタースティックやダルトンツイストをイメージしてバルサで作った。バルサなのでお尻のヒートンがそのままでは抜けてしまうので、ヒートンを固定するためプラスチックの板をバルサボディーに内蔵している。アクションも意図したとおり首振りながらペラが回ってくれて完成時、魚釣った時、メチャクチャ感動したように思う。こいつのコーチドック模様は、たぶんガンプラマニアでルアー作るのも得意だったF師匠に塗ってもらったはずである。懐かしい。
 下のミノーも良く釣れた。7センチぐらいのサイズだけど、小さいミノーって当時は田舎には売って無くて、ラパラの5センチ7センチとかももっと後年の管理釣り場とかの流行までは目にしなかった。でも、小さめのバス釣るのにロングAの12センチとかではデカイのは感覚的に分かっていたので、売って無ければ作るしかないということで作って、実際良く釣れた。野池のインレットとかに群れている30センチ無いぐらいの小バス釣るのによく使ってた。

 引っかけて無くしてしまったりしたのも結構あるけど、残っている自作ルアー達を眺めていると、いろんなことが思い出されて楽しい。
 最初にも書いたように、単にルアーを安上がりに手に入れるという費用対効果を考えるなら、全くハンドメイドというのは割に合わないと思う。
 でも、自分で工夫して苦労して楽しんで作ったルアーで釣って楽しんで、その思い出をまた楽しむということまで含めるなら、ルアーのハンドメイドというのは、苦労するだけの価値のある楽しい遊びだと心の底から思う。
 ルアー作りたい熱に冒されたなら、あきらめてルアーを作ることを皆さんにもお勧めしておきたい。

2015年11月7日土曜日

小っちゃいって事は便利かな?



 アメリカにはパンフィッシュと呼ばれる魚がいる。ちょうどフライ「パン」に乗るぐらいの魚の意味だと聞いているけど、具体的にはお馴染みのブルーギルやクラッピー、パンプキンシードなんかのサンフィッシュ科の平べったい魚をそう呼ぶようで、アメリカのルアーメーカーはバスルアーをサイズダウンしたようなパンフィッシュサイズのプラグをラインナップしていたりして、逆にストライパー用のビックサイズのもあったりするのと併せて、大小眺めてみるのはなかなかに乙である。
 パンフィッシュサイズのプラグはそれほど大きくない鱒類を釣るのにもちょうど良い大きさなので、日本ではトラウトルアーとして認識されているようだし、日本でもこのてのサイズはおもに管理釣り場のマス釣り用に作られていて、メバル釣りへ流用されたり、やっぱり日本でもギル釣りに使われたりと、結構小っちゃいルアーも楽しまれているところである。
 ということで、ルアー図鑑うすしお味第23弾は小っちゃいルアーを取り上げてみたい。
 小型魚用のルアーとして3グラムとかのマイクロスプーン、マイクロスピナーはむしろ小さいのが当たり前なので、今回それらは除いたプラグを中心に紹介する。いずれも2~5センチの可愛いヤツらである。

 小っちゃいプラグといえば、老舗中の老舗がレーベルでしょう。
 なぜバッタ型のクランクである必要性があるのか分からないが、通称「レーベルのバッタ」は管理釣り場はもちろん、天然モノのイワナにも卓効有り。ある釣り人がバッタで尺イワナ2連発して「バッタポイント」と名付けられた淵が東北のとある里川にある。谷の田んぼの中を流れる小支流でイナゴとか多いことと関係あるのかどうだか不明だが、イワナにバッタが効くことは間違いなさそう。
 写真右下のミノーは1インチ2.5センチぐらいなのだが、それでも立体に鱗模様が切ってあって、まったくもってレーベルミノーなのである。

 次は、ちょっと渋めのアメリカンルアーっぽいところを3つほど。上からヘドン社タドポリー。グデブロッド社バンピングラインド、クリークチャブ社ダーターでございます。

 タドポリー、バンプあたりはオリジナルサイズを開高先生も愛用していた名品ですが、小っちゃいのもちゃんと作られています。
 小っちゃすぎるとイマイチバランスが取りにくいのかやや渓流ではひっくり返っちゃったりしてあんまり使っておりません。
 

  大きさの比較物がないと、ザラパピー、レッドペッパーベビー、ワンダー7、ファントム14グラムとかの「普通」のサイズと違いが分かりずらいですが、全部5センチ内外のサイズで、ザラポーチ、レッドペッパーマイクロ、ワンダー5、ファントムⅡ小なのです。
 管理釣り場ではトップもよく使いますが、普通の渓流でもイワナは魚食性強いというか、食い意地張ってるのでペンシルとか使えますマイクロペッパーでは釣ってます。
 小さいメタルジグは渓流では意外につかいでがあります。大場所で遠投したり、流のある淵でスプーンが流の抵抗で浮いてしまうような時にも底まで探れます。ジグミノーでも良いですが、渓流行くには1個入れておくと出番があると思います。

 ミノーは各社から各種出ていますが、一番上がいつもカヤックシーバスで10センチを使っていたマリアのフライングダイバーの5.5センチ、ラパラのCD3、シュガーミノー3センチと、さらに小さいバスディのソリッドミノー。
 縦になってるジョイントミノーはオリンピックのインチビック。これは後期型でリップがプラスチック。たしか古いのはリップが金属でした。80年代ころ重めのシンキングで小さいミノーってこれぐらいしか手に入らない時代であったと記憶しています。
 90年代くらいからラパラCD5やらシュガーミノーが出てきてセイゴ釣りがはかどるようになった想い出があります。

 日本のメーカーも、管理釣り場のマス釣りが流行るのにあわせて、今では膨大な種類のそれ用プラグが出ていますが、上のスミスのエルフィンシリーズあたりが元祖的存在なのかなと思います。ちなみにセミのクランクです。
 もういっちょ、リアフックが無くて透明なシッポがジョイントされているのはデュエルのキリーフィシュ。キリーフィシュってメダカのはずだけどパーマークついてます。まあ、あんまり気にしてないのでしょう。気にせず買いました。




 管理釣り場のマス用が多い日本製の小型プラグですが、ザウルスは真面目にギルを釣るために得意のトップのプラグを作ってました。その名も「ギルラ」。
 2センチぐらいの超小型ルアーですが、それでもこのルアーをバッコシ咥えることができるギルは20センチオーバーとかの良型で、10センチ前後の群れてるギルはチュパチュパ吸いまくるわりにフッキングしないので、下のようにダブルフックを外してフライをぶら下げるという鬼畜にせせこましい釣り方をしておりました。


 最後、小っちゃいルアー界で最強のポテンシャルとルックスを兼ね備えていると私が思う、レーベル社タドフライ。
 オタマジャクシというか人魂のようなラブリーな見た目にとどまらぬ、小さいがゆえに魚に嫌われないという、釣る方の実力にも定評のある逸品。
 すれた管理釣り場で浮かべておくと、ペレットと間違えてマスが食うという使い方をしておりました。
 ギル釣りではまたも、後ろにフライをぶら下げてセコく釣っていた形跡が残っています。
 「そこまでして釣りたいのかオノレは?」と聞かれれば、そこまでしてでも釣りたいとしか答えようがないです。
 レーベルは小っちゃいシリーズとして他にもヤゴだのカエルだのも作っていて、この分野のリーディングカンパニーだと思います。

 30センチを越えるようなGT用のペンシルから、2センチぐらいのギル用ルアーまで、ルアーってありとあらゆる種類がありますが、その辺の多様性もまた、ルアーの楽しさの一要因なんだろうなと、小っちゃいルアーいじりながら思ったところです。