2022年8月27日土曜日

ゼブコ44クラシックなどというリールに手が出てしまった

  ゼブコという釣り具メーカーは米国では4強の1角に数えられるそうで、我が家にも「クァンタム(量子)1430MG」なんていうベイトリールがあるけど、日本ではあんまり人気がないようで、むしろ米国で往時ABUのスピニングがゼブコ扱いで、あっちのモデルは「ゼブコカーディナル4」とかだったのが日本の釣り人、特に我らオッサンやジ様には印象深いかもで、今回手に入れたブツもタイトルだけみると、ゼブコ時代のインスプールのカーディナルでも入手したのかと思われるかもだけど、ワシそんな人気機種に興味ないからそんなモンに高い金ようださん。入手したブツは写真のクローズドフェイスリール(スピンキャストリール)でゼブコ社「44クラシック」。この手のスピニングロッドにぶら下げる形で使う、ラインリリースがお尻のプッシュボタンではなく脚から伸びた引き金「トリガー」を引くことで行うタイプは「トリガースピン」とか「アンダースピン」と呼ばれているようだ。ちなみに同社を代表するクローズドフェイスリール(アンダースピンじゃない竿の上に付ける方)が「33」で「44」はそのアンダースピン版の位置づけだったようだ(現行機種にはアンダースピンでも名前に「33」入ってたりする)。

 先週も書いたけど、米国の釣り人の選球眼はしっかりしてると思ってる。お子様用の「ディズニーコンボ」とかに付いてるスピンキャストはまあ初心者用なんだろうなと思うけど、どうもそういう初心者向けじゃないようにみえるスピンキャストにも米国では根強い人気があって、その選球眼しっかりしてる米国釣り人が選ぶぐらいだから良さがあるんだろうけど、いまいち使いどころが分からんな?ということをコメント欄で書いてたら「アンダースピンの手返しの早さは状況によってはハマります」って教えていただいて、ナルホドナと思いつつ、手を出すとややこしいことになりそうなので、あえて無視しようとしていたんだけど、一度でも興味を持ってしまったらもうダメなんである。病気って恐ろしい。病は潜伏し無症状のままながく忘れてたんだけど、ネットフリーマーケットにホイと送料込み2500円でこいつが出てたのを見た瞬間、症状がぶり返してしまい思わずマウスがスルリと滑ってしまった。まあ、新品買っても3000円台とかでこの手のリールはあんまり高くないけど、ちょいボロいけどメイドインUSAの時代ので、せっかくなら米国モノが気分なので悪くはない買い物かなと。なんでも最近日本でもバス釣りではこの手のアンダースピンはちょっと流行ってるようで、大森製作所、五十鈴工業の流れを汲むトライアングルブランドの「TU-01」なんていう高級機もあるけど、まあこの手のは本場米国のもっとも米国らしいブランドであるゼブコがアメリカで作ってた頃のを見ておけば、本筋というか大まかな感触は見て取れるんじゃなかろうか。あまり日本人的にコリコリに凝った仕様のとかは、なんか違う気がするわな。

 でもって、スプール前面を穴の開いたカバーが覆う形である、クローズドフェイスリール自体、ガキの頃友達のをちょっと投げさせてもらったことがある程度で、ほぼいじったことがなくどういう仕組みなのか、大まかなところは知識として知ってはいるけど、実際のところは良く分かってないので、そのへん楽しく学びつつまずは分解清掃。

 なんだけど、分解清掃するにもどうにもいつも触ってるスピニングとは勝手が違うので戸惑う。縦に蓋をパカッと開ける構造ではないようで、写真上のデッカいマイナスネジは共回り方式のハンドルを止めているネジで、グルッと一周見ても本体に縦に切れ目はなく縦には分解できない構造のようで、筒状の構造の上と下の蓋をパカッと開けて分解するようである。ということで上の蓋から開けてみる。上の蓋、上部がアルミで裾の方というかネジが切ってある方は樹脂製で1ヶ所ヒビが入っているのも値段が安かった理由。まあこの程度、上の蓋は単なる”覆い”で力は掛からない構造なので、あとでこれ以上割れが広がらないように補強しておけば問題ないだろう。

 上の蓋を外すと、スピニングリールだとベールアームやローターにあたる部分が露出する。写真上の上蓋取って露出した部分が回転してラインを巻き取る”ローター”部分、スプールはその下に隠れていて、ローターをハンドル押さえつつ回して取っ払うと真ん中写真のように見えてくる。ちなみにこの機種ではスプール上下がなくスプールは薄い形で亜鉛鋳造っぽい質感。上の写真と下の写真のそれそれ赤い矢印で示したところがスピニングリールでいうところのラインローラーで、ラインを巻き取るときにはこの棒状の出っ張りが上蓋との隙間をなくすようにローターから張り出してきてラインを引っかけて、ローターの下のスプールにラインを巻いていくという仕組み。トリガーを引くと、真ん中写真の中心の棒が押し出されて、ローターがちょっと上がって下写真の白い樹脂製の部品が上がったローターとスプールが刺さってる樹脂製の台座の隙間に入り込むことで、ローターから飛び出してた棒状の出っ張りがローター内に収まり、ラインが自由に放出可能となるというのが投げるときの仕組みのようだ。

 ついでにスプール周りで、ドラグの仕組みだけど、ドラグパッドはスプールの上下に薄い樹脂製のパッドを、スプールが刺さってる台座の溝に填まった金属のワッシャーで押さえつける方式で、とても単純なんだけど、スプールが薄くてドラグが機能してラインが出て行くときの角度が小さいからか何なのか、思ったより滑らかで調整幅も広く、こう言っちゃなんだけどショボい見た目に反してなかなかの実力。さすがはドラグの使い方を知っている米国の釣り人向けに売られていたリールである。上のドラグパッドはワッシャーと固着して外そうとしたらペキッとヒビが入ったのでそのままにしておいたぐらいで樹脂製のドラグパッドの弾性とか劣化して損なわれてそうだけど、問題なく良いドラグになってる。ドラグの調整の方法が変わってて、一番下の写真の様に下側のドラグとワッシャーは3つの脚のついた台の上に乗ってるんだけど、そのひとつの脚が真ん中写真の赤い矢印のところでドラグ調整のネジの上下する部分に刺さるようになってて、本体外側の黄色い部分にある調節つまみを回して、台座を上下させてスプールをドラグパッドで挟みつける強さを調整して、ドラグの効きを調整する仕組みになっている。細めのラインでドラグだよりのやりとりしても全く問題ないだけの性能がある。ドラグなんてのはちゃんと機能して当たり前で、今時になってドラグの性能がどうのこうの言ってるリールメーカーは恥ずかしいのでやめてくれって思うところ。ドラグパッド新しい適当なのに交換すればもっと性能上がりそうに思うけど、現状でも充分。

 でもって、上の蓋から外していってドラグ関連まで外したら、左側の写真のように、これ以上外すものがなくなってしまった。下の金属製の蓋を外したいんだけど、真ん中写真のように”か締め”てあって、強引に外していいのかどうか迷ったけど、ぐるっと見て回ると、1ヶ所”マイナスドライーバー入れるならここから”っていう感じの溝が切ってあったので、そこにマイナスドライバー突っ込んで力入れてみたら下の蓋がズレ始めて、ズレた隙間にマイナスドライバー入れてこじりつつ一周したら無事外れた。填めるときは、ある程度は止まってくれそうで、またか締めるのは難しそうなので剥がせる程度の接着剤で着けときゃ良さそう。

 パカッと開けるとこんな感じ、ギアは普通にハイポイドフェースギア、スプール上下がないっていうのはまた原始的だなと思ったけど、トリガーから来ている金具が主軸をグイッと押す構造をみると、これにスプール上下を入れるとなると確かに面倒臭いと理解した。縦割りじゃないので、ここまで割っても、いまいちこの先の進め方が分からんけど、とりあえず外せるところから外していく。

 まずは、ハンドル軸のギアはハマってる樹脂製スリーブを抜けば上に抜けそうなので試してみたら正解。

 ハンドル軸のギアがこれで抜けてくれたんだけど、そのときにハンドル軸ギアの右側にゴチャゴチャとくっついてた逆転防止関係の部品のうち、本体側面にハマってる、ギア裏のラチェットを止める”歯”がポロッと落ちてきて、方向どちらに填めるべきか組み直すときに苦労した。結局はラチェットのギザギザの向きをみてそれを止める歯の向きにすれば良かったんだけど、最初上手くいかなくて、散々悩んで、たまに上手くいくけど、空振りすることが多いので、「これバネの締め付けが弱くて回転の力でラチェットと歯を噛み合わせるのが上手くいってないな」と気がついて、バネをキュッと締めて強く挟むようにしたら正常に機能するようになった。外すときにバネが開いちゃったんだろう。

 という感じで、ハンドル軸のギア周りまでは外れたんだけど、主軸周りがトリガーから来てる金具が主軸のお尻を押さえているので引き抜くこともできず、トリガー自体はハメゴロしてあるのでどうにもならない。おそらくハンドル軸のギアの上あたりにボールベアリングが一個埋まってる感触なので外したかったけど、無理して壊しても仕方ないので、分解はここまでとする。

 スプール上下機構がない。スピニングリールにおけるベールアーム、ベールワイヤー、ラインローラーなどベール関係は、ローター付随の単純な機構に置き換わっている。特に特殊な仕事はさせていない。っていうことで、非常に単純で部品数も少ない。パーツクリーナーでシュッシュ、汚れは歯ブラシでゴシゴシで清掃作業は簡単に終わる。この単純さは好ましく思うし、トラブル生じる要素も少ないし米国人好みだろうなと納得する。

 適宜、青グリスとオイルで整備しつつ組み上げて、お尻の蓋は、信越シリコンで防水シーリングしつつ外れないようにユルく接着。

 上のカバーの裾のところの亀裂は、とりあえず瞬間接着剤流し込んで固定して、外周をフロロの3号でキッチリと巻いて補強、本来なら竿のガイドラッピングに使うような長時間固化のエポキシで仕上げたかったけど、面倒なので百均のエポキシで固めておいた。多少凸凹むらがあるけど補強的には用をなすだろう。

 整備前は巻き重めだったんだけど、グリスを入れ替えたら快調に回るようになったし、これまで、使ったことがない種類のリールなので、これは是非使ってみたいということで、雨の日に整備して、雨上がったら早速実戦投入してきた。大きさ的にはバス用なのか思ってたより大きく270gぐらいで、メッキ釣ってるグラスのグニャ竿にちょうど良い感じだったので組ませてメッキに狙いに。

 たしかに、スピニングリールのようにライン拾ったりベール起こしたりは必要なくトリガーだけで事が済むので手返しは早い。ただ、投げたときにライン放出にブレーキ掛けるのもトリガーを引くんだけど、指でやるような細かい調整はできず、ビタンと止まって水面にボチャって落ちる感じ。慣れてないからというのもあるだろうけど、指にラインが掛かっててある程度その張り具合で、どのぐらい力が乗ってるか把握できてるスピニングの場合と違って、トリガーだと竿にルア-の重さが乗ってる感じとかがつかみにくい、ちょっと細かい正確性の欲しいキャストには向かないかも。あとワシャ近距離特化型なのでそれほど気にならんけど、飛距離もスピニングにはやや劣るかも。手返し重視のバンバン追ってくる状況やらで役に立つかなとメッキ狙いに持ち出してみたところ、1回目は慣れてないし魚も渋くてイマイチだったけど、2回目には扱いも慣れてきて手返し良く攻めて良い感じに釣れた。手返しの他にしっかりラインを絞って巻き込むのでライントラブルが少ないというのも利点のようなので、暗い中、軽い錘で底をとるのでラインゆるく巻いてしまいトラブル誘発しそうな夜の鳥皮短冊の根魚釣りとか、ラインの処理を気にせずやれるし、深さ調整等、細かいラインの出し入れもトリガーで素早くできそうで、以外にいいかもと思って試してみたけど、ラインが出ていくときにスピニングだとパタパタと動きが大きくて分かりやすいけど、アンダースピンの穴から静かにラインが出ていくのは暗いと分かりにくくイマイチ使いにくかった。夜釣りで落とし込む釣りには向かないかも。

 あと、たいしたことではないけど、スプールが奥まったところに入っているので、海で釣った後に洗うときには、上のカバーとローターを外して水洗いしなくてはならず、ちょっとだけ面倒臭かった。

 なかなか仕組みも独特でいじるだけでも勉強になったし面白かったけど、メッキ釣りには好適な感じで塩梅良かったし、上手に使えば他にも使いどころありそうなので、売り物になるような綺麗な個体じゃないので、今後もたまに使ってみよう。

2 件のコメント:

  1. またもや深い沼に足突っ込みましたねw同じ機体、44クラシック持ってますが慣れるとレバーで微妙なフェザリングまで出来るようになりますよ。
    30数年前バス釣りのフリッピングの類いの技こなす為に入れましたがスピニングタックル以上に思い通りのポイントに静かに撃てます。
    メッキもですが、チヌのヘチ釣りみたいな状況でかなり威力発揮します
    ただし巻き上げ力が非常に弱くてウォームギアのスピニングリールより苦労するから初心者向けというより
    縛りプレイマニア向けって感じです

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    1. ぬこさん おはようございます
       先日、バーチャルリアリティー(≓拡張現実)に関する番組を観たのですが、人間は道具を使い続けると、脳にその道具を体の一部と同じように認識する領域が形成されるとかで、プロのドライバーの車両感覚は身体感覚に近いんじゃないかって話が出てました。
       アンダースピンのレバーも使い慣れると指の延長になるんでしょうね。そこまで使い込めるかはわかりませんが、なかなか使ってて楽しいので出番は結構あるかもです。沼の深みに気をつけつつ精進してみます。

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