2014年12月27日土曜日

今年のベスト3(釣り編)


 好釣だった今年の釣り。でもまあほぼ1匹で勝負あった気がします。

○魚:1位「ロウニンアジ30キロUP」、2位「ホンコンオイカワ他」、3位「近所オイカワ」
 1位は、年頭当ブログで「ともかくクリスマス島で決着をつけろ!」と書き、昨年ベスト3ネタの最後に「来年も、苦戦して、そしていい釣りをしたい」と書いた、まさにその通りの結果。まあ、グチャグチャ説明しなくてもわかりますよね?
 今死ぬとしても「我が生涯に一片の悔い無し」と拳突き上げることができる気がする。気がするだけで来年は来年でまた釣りたい魚がいっぱいあるし出てくるというのは、これまた説明しなくても分かっちゃいるんです。
 ホンコンオイカワはニジカワムツもナナツボシもツルギメダカも含めて、江戸前小物釣師としての海外遠征という、まあ実にらしい釣りで、関係者巻き込んでずいぶん楽しんだのでこれも文句なし。
 3位は何にしようか、普段のホームグラウンドの釣りでも良い釣り色々あったので悩んだけど、GWのホンコンオイカワからフライでオイカワ釣りたいという思いが頭にあって、自転車で行ける範囲でも釣れる場所がとりあえず確保できて、さらに湧水のポイント開拓にも手を染めちまったりしており、いま自分の中でオイカワが熱い釣りモノになっている。敗戦転戦の中で渋く拾った釣果ということもあり近所ポイントで釣ったオイカワを3位とした。来年2月ワカサギ終了した感じになったら、シーバス早期のバチパターンと並行して湧水ポイントのオイカワをちょっと攻略してみようなんてことを考えている。

○残念だった釣り:1位アカエイ「ビックリアワセ」、2位無し、3位無し
 伝家の宝刀「ビックリアワセ」は今年も切れ味抜群。アカエイせっかく見つけたのにあわせが早いって。まあ早いあわせはワカサギ釣りでは効果的だったので、デメリットばかりではない。
 あとは春のバチパターンが苦戦したとか、秋の近所ポイントシーバスがあんまり手を出してる暇がなかったとかは、残念というほどのこともなく通常営業のうちなので、今年は全体的に満足のいく釣果がえられたと思う。ありがたいことである。

○釣り具:1位「GTANT86T」、2位「3番フライタックル」、3位「フラットラップ」
 1位はGT20キロオーバーをPEライン使用で狙って獲るというコンセプトで設計された名竿GIANTの実力をやっと発揮させることができました。2位はオイカワ関係で活躍、今は無きウエダのスーパーパルサーとフルーガー・メダリストのフライタックル。こいつらとのつきあいも大学生の頃からだから既に20年以上になる。フライロッド振って20年以上のキャリアがあるのに相変わらずキャスティングのレベルとかがインチキフライマンレベルなのはまあご愛敬というところか。3位のフラットラップはもう私のシーバス陸っぱりにはこのルアー無しでは始まらないぐらいの信頼感。ラパラの歴史の中で「ラパラショック」というのが2回起こっているといわれていて、1回目がアメリカに進出したオリジナルフローティングが起こし、2回目はシャドラップが起こしたとされている。今の時代、ルアーも多種多様な選択肢があり3回目のラパラショックは起こっていないが、世が世ならそうなってもおかしくなかったぐらいの突き抜けた釣れっぷり。見た目はたいしたことなさそうだし特別な機能が付加されているわけでもない。でも使えばわかるラパラの血統。

○スピンフィッシャー:1位「7500SS」、2位「430SSG」、3位「4400SS」
 1位はここでもクリスマス島で活躍してくれた一台。実用性十分のドラグと堅牢性、メンテのしやすさ、こいつが相棒で良かったと心から思う。2位はいつもお世話になってます、陸っぱりシーバスのメインリール。メイドインチャイナの第4世代スピンフィッシャーはたまに油差すだけの簡単メンテで快調にもうすぐ7年目突入。4400SSは香港でなにげにサクッとアフリカンクララゲット、6LB巻いてのシーバス後半戦導入の結果は来年出す予定。

 ここ数年、良い釣りしている実感があるが、来年も引き続き良い釣りできるような気がしている。実際には今年だって、春のシーバス不調時には「釣り方を誰か教えてくれ」と血を吐くような台詞を吐いていたぐらいで、釣りだもん、良いときもあれば悪いときもあるというのはよく分かっているつもりである。
 それでも次の釣りに向かうにあたってウハウハの妄想しか湧いてこない「めでたいオツム」が我ながら頼もしく感じる。来年も妄想全開で釣りに向かいたい。

 皆様、よいお年をお迎えください。

今年のベスト3(エンタメ編)



 仕事は一応来年にまわせる仕事は来年まわしの、いつもの、未来の自分に苦労をかけるパターンでなんとか正月休みに突入しました。明日から気仙沼です。さすがにもう釣り船も年末年始予約いっぱいでとれず、今年はオカッパリのみとなりそうですが、まあ、港でのんびり根魚やらチカやらとたわむれるのもまた楽しからん。

 その年のベスト3を選びつつ、こうやってブログで1年を振り返るのも3回目となりました。いろんなことを思い出しながらの作業は、わりと楽しいです。皆さんも今年1年、いろんなモノのベスト3など思い出してみると楽しいと思うので暇ならやってみてください。

○本:1位「フライ・フィッシング」、2位「シャンタラム」、3位「渚から来るもの」
 昨年はマンガばっかり集中して読んでたけど、今年は活字本も普通に読みました。やっぱり活字も面白い、やめられん。グレイ卿との時空を超えた釣り人としての連帯感、シャンタラムの長編小説読む醍醐味、久しぶりに味わう開高節に覚える「そうだ、開高先生の小説ってこんなに面白かったんだよ!」という再認識の喜び。その他にもオレ的出たら買う作家トリオの池澤、梨木、高野3先生が精力的に書いてくれているのも心強いし、若い桜庭、西尾両先生あたりの才能も要チェックだし、元祖全作品は読み切れない系作家の獏先生、椎名先生あたりも若い作家に負けない「生産力」でゴリゴリ書いてくれているのも頼もしい限りである。紙でもデータでも「積ん読」状態の本がまだ何冊もあり嬉しい悲鳴をあげつつ端から読んでいる状態である。

○映画:1位「電人ザボーガー」、2位エヴァンゲリオン新劇場版「Q」、3位「フルメタルジャケット」
 「アナ雪」なんぞはベストに数えてやんないよ、って具合のサブカル親父チョイスになっている。「電人ザボーガー」は、たぶん40代、50代のオッサンって、今会社とかで一番権力があって発言力がある世代だと思うけど、そういう世代のオッサンが好きなように企画して作って楽しんだというのがありありとわかるオッサンホイホイな特撮モノ。B級な感じは出しつつも割とまじめに手を抜かず作っている感じが良い。「エヴァQ」はネットのオタクどもの評判は今一だったが、地上波でみたら面白いジャンよ。来年は新作公開されるみたいだし映画館で観ようかな。「フルメタルジャケット」は各種パロディーに親しんできた身としては、ネタ元を確認する楽しさも堪能したが、ベトナム戦争ものとして映画としても純粋に面白かった。映画はまだみたい作品あるんだけど、2時間なり3時間集中する時間がなかなか作れない状況。まあ急ぐ必要もないさというところ。

○マンガ:1位「それでも町は廻っている」、2位「極黒のブリュンヒルデ」、3位「ましろのおと」
 正月休みの帰りの新幹線の中で「それ町」夢中で読んで「年の初めからこんな面白いマンガにあたるってことは今年はマンガは豊作かも」と思った。豊作だったのは間違いないが、結局一番本作が面白かった。どうってことのない日常系+ミステリ+その他なんだけど抜群の面白さを醸し出すセンス。最近知ったマンガ家ではこの石黒正数と「空が灰色だから」の阿部共実が異質の才能をみせつけている新しい世代のマンガ家だと感じているが、阿部共実は「このマンガがすごいオンナ版」で1位とって、世のマンガ読みどもも私と同じように驚きを持って読んでいるのだなと思ったところである。
 「極黒」は、エロ有りグロ有り萌え有り何でもありの力一杯のてらいのないエンタメ作品だけど、これがなかなかどうして、超能力バトルものとしての面白さも超一級品、ジョジョシリーズと比較しても遜色ないと太鼓判を押す。いよいよラストかと思ったら、第2部突入らしく、人気作なのでスッキリ終わらせてもらえないのはジャンプ系のさだめか?グダグダになるもよし、さらにヒートアップすればなお良しである。
 3位を何にするか、面白いのいっぱい読み過ぎたので迷った。最後自分の心に「お前が今次巻を一番楽しみにしているのはどれだ?」と問うて「ましろのおと」という答えが脳内スクリーンに浮かんだのでその答えを採用した。表現者の苦しみや情熱を描いた作品などこれまでもいくらでも書かれてきたはずだが、それでもなおやっぱり面白いものは面白いと思わされる「津軽三味線」マンガ。他人様にすすめるなら本作か。
 マンガは面白いのが書かれ続けて活況のジャンルとなっておりこれからも期待しまくり祭りである。惜しむらくは昨年からイチ押ししている「ヒナまつり」がいっこうにブレイクのきざしがないところだが、はよみんな気づいてやってくれと願うばかりである。

○アニメ:1位、「シドニアの騎士」、2位「スペース☆ダンディ」、3位「のうりん」
 上位2作品は宇宙モノだがまったく味わいや趣は異なる。でも、どちらも極個人的に好みのツボにはまりまくって1位、2位は迷う必要がなかった。3位に何を持ってくるか、今年はアニメも面白い作品が多かったので悩んだ。「ジョジョ3部」や「寄生獣」も今時の映像技術で素晴らしいアニメになっているが、こんなもん普通にまじめに作れば面白いのはわかりきったような傑作マンガが原作であり、今さら褒める必要もないのかなと思い、常々「深夜アニメには深夜アニメならではの馬鹿臭い作品も必要である」と思っているので、そういう馬鹿アニメ枠から1作品選んでみた。同時期農業高校ものとしてはこれまた傑作マンガのアニメ化である「銀の匙」が放送されていてこれも文句なしに面白かったが、オレ的には「のうりん」の馬鹿馬鹿しさのほうをより高く評価したい。他にも面白いのはいっぱいあったけど、あんまりアニメ観ないような非オタなこのコーナーの読者に1本お勧めするなら迷わず良作「ばらかもん」。30分が15分に感じられる時間をねじ曲げる面白さ。

 「ナニが自分にとって面白いか」ということを、今年はよく考えていた、結局はどこかに書いたことの繰り返しだけど「オレが面白いと思うことだけがオレが面白いと思う作品の共通点」という、答になっていない答が正しいような気がしている。好きな作家の作品でも今一つまらないときもあれば、全く興味の無かったジャンルの作品がビックリするぐらい楽しめたりもする。他人の感性と自分の感性が違うのはもとより、今日の自分と明日の自分の感性すら違っていたりする。
 だから、面白い作品を探すのは片っ端からあたってみるしかなく、手間は食うんだけど、それでももう、絶対に一生かかってもすべてを楽しむことはできないくらいの沢山の作品が作られ続けていて、私は一生楽しい作品に困らないだろうことは間違いなさそうで、面白い作品作ってくれる表現者達に最大限の敬意と感謝を感じているところである。
 
 来年はまたどんな作品に出会えるか、楽しみである。

2014年12月20日土曜日

約1ポンドの福音


 医者に禁酒を宣言されるなどして、酒が飲めなくなると口寂しくて甘い物に目覚めるという話は聞くが、私はドクターストップがかかる前の酒が飲めた昔から甘い物もいける口だった。

 甘い物にあわせる飲み物としてはちょっと渋いか苦くて口中をさっぱりさせるものが好まれ、和の甘みには渋めの緑茶、ケーキなんかには紅茶、ドーナツにコーヒーなんかが定番だと思うけど、私は「じゃあほろ苦いビールでも良いだろう」ということで、ビールをグビグビいきながら、ケーキ食ったり大福食ったりしていた。
 習慣とは恐ろしいもので、今でも甘い物食うのにビール的な味のものが無いと寂しく感じてノンアルコールのビールテイスト飲料を飲みつつ甘い物を食べたりしている。
 我ながら味覚がおかしかったのかもしれないと思うし、今もおかしいような気もするが、結構いけた記憶があるし、今も炭酸入り麦茶のようなビールテイスト飲料を結構飲んでいる。私の食い物の話はその程度の舌の持ち主の戯れ言と思って読んでいただけると幸い。

 というわけで、昔から甘い物は好物であり、プリンなんていうものも結構食してきたわけだが、プリンって冷やして食べるので、あるいは形からもゼリーの仲間というイメージがあるかもしれず、実際プリンといいながら、製法的には「焼かない」プリン味のババロアというべき製品も多かったりするが、基本的には卵のタンパク質を熱して固めた焼き菓子の一種であり、製法的に一番近い料理は「茶碗蒸し」である。と理解している。

 なので、「戦え!軍人君」だったかで、戦場で飯ごうでプリンを焼く話とか出てきたときに、プリンが焼き菓子だと承知しているあたり吉田戦車はさすがだなと妙なところで感心した記憶がある。わりとプリン好きは「デカイ容器で作ったプリンを食いたい」と考えがちなようで、他のマンガでもバケツプリンとかのネタはみた記憶がある。
 飯ごうプリンが吉田戦車であっているかググって確認したところ、どこかの牧場でリアルに「飯ごうDoプリン」という製品が売られていてちょっと笑った。吉田戦車のパクリだと書いている人もいて、飯ごうプリンは吉田戦車ネタで正解のようだ。

 というようなプリン好きな私だが、同居人もプリン好きなので、デカイプリンが食いたいという話はいつかしたらしく、「売ってた」ということで写真のブツを買って来た。
 「俺のプリン」455グラムとまあ1ポンドクラスのブツである。

 食ってみた。味はババロア系の安っぽい味で、嫌いじゃないというか割といける味。しかし、プッチンプリンだのがこれの1/5くらい、100gとかのサイズである理由がよくわかった。
 半分ぐらいでいい加減飽きて食うのが苦痛になった。

 2日に分けて食ったが、過ぎたるは及ばざるがごとしという言葉の意味を味わったところである。

2014年12月14日日曜日

忘年会

 土曜に名古屋で、末席汚させていただいているチーム「coolbeans」の忘年会に参加させてもらってきた。
 我がチームいくつか日本記録も出している結構気合いの入ったチームなのだが、まあ、飲み会ではどうしようもなく良い感じにバカな話でグダグダに盛り上がる素敵なオッサン達+紅一点であった。今回家族サービスで不参加のケン一除き、Oニーサンとマコちゃん以外は初対面のメンバーだったけど、まあ、釣り人同士であり、もう挨拶すんだら即アミーゴな感じで私も酒も飲まんのにテンションMAXで馬鹿話に突入して堪能した。

 ゲストに名古屋在住の、われわれ世代の釣り人にとって大先輩と言っていいNさんが参加されていて、親しくお話しさせていただいてうれしかった。しかも、私の「ナマジ」というハンドルネームもご存じで、釣行記も読んでいただいていたようでこれまた嬉しい限りである。

 私のこのブログ、週末顛末記の名に恥じない程度には週末毎に律儀に更新していると自負している。だいたい日曜の夜には新しい記事がUPされるので、アクセス数解析とかたまにチェックすると日曜の夜から月曜の昼休みにかけて一定数の人が定期的に読んでくれているようである。

 今読んでいただいているあなたもそうですよね。

 その人数が、まあマニアックで偏った内容にふさわしいといえばそれまでなのだが、世界中に公開しているにもかかわらず50人ぐらいのようなのである。われながら不人気さにはどうにかならんのかと思わなくもないのだが、「そこが良いんだよ!」と熱烈に支持してくれる極一部のマニアックなアナタのために、これからも変な感性で真面目にどうでも良くてたまに役に立ったりするネタをお届けしていきたいと思っている。

 その50人の何割かと昨夜は直で話ができて、凄く歓迎していただき、GTゲットのお祝いの言葉も皆さんからいただいてありがたいとしかいいようがない。
 私が結構楽しかったので、皆さんにも生ナマジを楽しく味わっていただけたようにも思うのだが、そうであればまた嬉しい限りである。
 特に寄生虫ネタが炸裂して、展開して、ホーキング博士の最近の「人工知能」に関する発言ネタから我々は1000年生きるとしたら、飽きずに釣りを続けられるかとかあたりまで、なかなかに一人でパソコンの前で考えているときとは違うブースターの効き方で良い感じに遠いところまで想像の羽を羽ばたかせることができたように思う。

 料理も旨かった。釣り人御用達の店だけあって、魚が旨い。タケノコメバル久しぶりに食ったけどやっぱり旨い。カゴカキダイなんていう渋いところが出てくるのが憎いねこのという感じ。
 カゴカキダイってナニに近い魚って聞かれて、見た目は黄色に黒縞のチョウチョウウオみたいだけど、チョウチョウウオじゃなくて別の仲間なんだよな、というのは憶えてたけど、何の仲間だったか忘れてて「フエダイじゃないよな?イサキに近い仲間だったと思うたぶん・・・」と答えてしまっていたが、ここに間違いを訂正してお詫びしておく。図鑑とウェブで調べたら一番近いといわれているのはメジナでした、でも「カゴカキダイ科」という日本にはカゴカキダイ1種しかいない割とナニの仲間と聞かれて答にくい個性派でした。
 
 所用で、日帰りしなければならず中座するのが後ろ髪引かれる思いだったけど、続きはどこかの水辺でということで、皆さんまたお会いしましょう。ありがとうね。

2014年12月7日日曜日

教えて!TAKE先生!!

 「本のページ」出張版です。
 気づけば師走で、今年もあっという間に終わりそうですが、今年読んだ釣りの本は「当たり」連発。エドワード・グレイ卿「フライ・フィッシング」に始まり、獏先生の「大江戸釣客伝」も良かったし、久しぶりに読んだ開高先生の「フィッシュオン」とかもう至福の読書時間であった。

 でもって、竹中由浩著「タックルスタディー」「マイナーリールの紳士録1、2」。
 著者のサイト「TAKE’S REEL ROOM」のファンなので、ルアー雑誌に書いた記事を集めた書籍がKindle版で出ているのを見つけて早速買ってみた。
 元シマノのリール開発担当の知識は半端でなく、主にトラウトねらいのルアータックル中心に分かりやすく道具の知識が解説されている。スペック至上主義の弊害を説き、実用性というのを釣りの現場視点から重視しつつも、好みや味わい「らしさ」や挑戦性といった視点もふまえた独特の感性で時に辛辣にこき下ろし、ときに愛あるコメントや時代の綾で消えたものへの哀切をも語る。
 インスプールのミッチェルがものすごく好きだというのがありありと伝わってくるのだが、どこかの偏狭なペン使いのように今時のリールを否定するようなことなく、今の高性能なリールをもたらした先人たちの苦労、釣り人たちの洗練をリールの機能に読みとり讃える度量の大きさ、好みは主張しつつも公平な視野。

 リールについて学びたければまずはTAKE先生の書いたものから始めればいいと思う。アンティークタックルから最新鋭の高級機種まで様々な道具がある中で、こういった識者の解説というのは迷える子羊たちを導く福音である。
 インスプールのリールについてベールを手で返す当方のような釣り人には向かないしラインをかむトラブルも欠点だが、プリミティブ(原始的)な機械でシンプルでコンパクトで釣り具として好ましいという考え方はなるほどなと思わされる。
 中古のインスプールのリールにベールを無理に起こして故障しているものが多いという指摘はケン一のミッチェル壊した前科持ちとしては耳が痛い。

 スピニングリールの90度回転方向を変えるギアの各方式の解説も大変勉強になった。なにげに使っているPENNスピンフィッシャーが採用している「ハイポイドギア」方式は、スプール軸のピニオンギアもハンドル軸のドライブギアもギアの山を斜めに切削して作られているという独特の凝ったもののようだ。今時主流のハイポイドフェースギアに比べ製造コストのかかるギアらしい。
 そう聞くと何となく手間暇かけた逸品という気がしてきてスピンフィッシャーがさらに好きになる。コストが高いイコール高性能ではないとしてもである。TAKEさんはハイポイドギアの写真を撮るためだけに750SSを買う羽目になり採算とれないとサイトで嘆いていた。サイトの方ではスピンフィッシャーを研究室で耐久性テストにかけるといつも弱くて、実際のユーザー評価では海水使用での耐久性に大きな支持を集めていることとテスト結果があってくれないと、面白いぼやき方をしていた。テスト結果より現実が正しい、あるいはテストではうまく実際の使用を再現する条件が与えにくいということなんだろう。

 海の釣りをあまりされないようなので、スピンフィッシャーについて詳しく解説してはいないけど(サイトでは第2世代の渓流用インスプールとハイポイドギア撮影用に買った750SSについて解説している)アメリカで海用の道具として愛されているという位置づけに敬意を払ってくれている書き方になっており、スピンフィッシャー好きとしても誇らしい気がする。
 
 ほかにも当方も大好きなスプーンのバイトやフライリールのメダリストが高評価なのもうれしい。渓流トラウトルアー中心の筆者と塩水系の多い私との違いで、道具に求めるものが違ったりもすることはあるが、違いをふまえればそれは当然であり、やはり良い道具というのは絶対がある世界ではなく、人と道具との関係性からしか生じ得ないのだと再認識した。よい先生は人生を豊かなものに導いてくれる。
 TAKE先生これからも面白い記事書き続けてください。