2017年5月27日土曜日

こんな安竿を買った

 ちょっとまえ4月23日に、当ブログで安竿への愛を語ったら、久しぶりに物欲が湧いてしまって、安竿ポチポチと買ってしまった。
 まあ、安いので送料含めて1本2000円しないわけで、たいした買い物ではないのだが。でもちょっとウキウキしちゃったりして。



 まあなんだ、正しい安竿というのは、釣り具量販店の入り口のワゴンのあたりか、入り口入ってすぐ右あたりの壁に掛かっているものだと思うが、今回買った2本とも壁掛け対応のパッケージになっている。右の竿などわざわざ塩ビのケースの蓋に吊すためのナイロンラインの吊り手を付けている。



  1本は、タカミヤの「白滝」シリーズ第五世代の「白滝V小継渓流210」で、PENNスピンフィッシャーは「V」を買っていない私だが、白滝は「V」買ってしまった。1480円だしな。
 写真下の「Ⅳ」とは今一違いが分からないが、まあ気にしなくて良いだろう。素材は安心の100%グラス。7尺のヘラ竿として使用する予定。「V210」は「Ⅳ240」ほど太竿感がないので小物釣りにも使えるかも。
  
 「V」で特記すべきところは、「リリアンが接着剤でガッチリ固めてある」という所だろうか?「Ⅳ」の端っこだけ付けた接着剤では私と同様にリリアン抜けるトラブルが結構あったのだろう。
 そのあたり、羮に懲りて膾を吹くなぐらいの勢いでリリアンガチに固めてあります。コレは抜けないと思うけどここまでせんでも大丈夫だろうとは思う。
そして、2本目が「NEW WAVE minipack 20号210」だ!
 そう、長年愛用していた300円で買った安物パックロッドの、売ってた時代が違うのか色違いがネットオークションに出てたので落札。
 私しか入札しないだろうとタカをくくっていたら3人で競ったけど、最終的に千円ちょいでハンマープライス。

 そして、長年謎だったこの竿のメーカーが「スズミ釣具」と判明。そうか、J屋傘下のスズミか。釣り具量販店最大手のJ屋の入り口近くに吊されていたのなら、由緒正しい安竿のエリートといって良いだろう。
 スズミの竿は3.3mのハゼ釣り用の長い方の竿がスズミで、特に可もなく不可もない安竿として愛用中だが、超お気に入りの「NEW WAVE minipack」がスズミと知ってスズミの評価が私の中でグッと上がった。

 しかしながら、ケンクラフトとかでもそうだったけど、J屋関係の道具のデザインというか色のセンスの致命的な、何でこんな色になってるねン感はちょっと使うのをためらわせるものがある。
 「B級ルアー列伝2」でケンクラフトマニアの人が出てくるんだけど、そこでもカラーセンスのなさについてはネタにされていて、Dab氏にケンクラフトのウェアーを普段着ているのかと聞かれたマニア氏は「釣りに行くときはもちろん着ていきますよ、釣り場で脱ぎますが」とか言っててウケた。ケンクラフト製品を愛するマニア氏でも擁護しきれないようだ。

 写真見てもらえば分かるけど、上の今まで使っていた古い方の地味な爺臭さもたいがいだけど、新しい方の、水色?のブランクスにグリップがなんか凝った感じにグレーと濃いピンクのツートンって、「どういう方向性で頑張っちゃったんだろうね~?」と頭を抱えざるを得ない配色だ。
 まあ、でも買っちまったし使うしかないんだろうなと思って、竿を伸ばしてみるとなんか妙にパワフルで、愛用している竿と感じが違う。リールシートやらガイドやらも同じで、穂先がグラスソリッドで他のブランクスがグラスコンポジットで一緒だし色違いのハズなのだが何でだろうと、しげしげと見ていたら、どうもオモリ負荷が違うようだ、古い方は「10号210」で新しい方は「20号210」となっている。あちゃーやってもうた。現物見ないで買うネットショッピングではありがちだが、まあ仕方ない。シーバス釣るには穂先のパワーとか強すぎだけど、根魚とか釣るには良い感じだろう。しばし、蔵で眠ってもらい出番を待ってもらうこととなる。

 ということで、引き続きタカミヤ製白滝の第3世代「白滝Ⅲ」とスズミ製「NEW WAVE minipack 10号210」がどっかに売ってたり、持ってて譲っても良いよという情報あったりすればタレコミよろしくお願いします。

2017年5月20日土曜日

苦杯

 炎天下10時間釣ってヘラ2匹という大苦戦のあと、ゴールデンボーイの村田諒太選手がスカッと世界チャンピオンになってくれることを期待してテレビ観戦。

 ミドル級って180ぐらいの大男がボコスカ打ち合う激戦区で、もう村田選手で獲れやんかったらオレの生きてるうちに日本にはベルトは来ないってぐらいの価値あるベルトで今夜はそれが拝めるかと不安と期待の入り交じった気持ちで観戦していた。
 出だし、手数が少ないので不安になったけど、作戦だったようで2ラウンド目以降得意の右がボコボコ当たりだしてダウンも奪って、相手はやたら打たれ強いようで最後まで手は出してきてたけど、明らかにヨレヨレでクリンチ多かったし最後は村田も安全運転で仕留めには行かなかったように見えた。

 まあ、「ホームタウンディシジョン」って言葉があるぐらいで、開催地国側に有利な判定にはなっても逆はあんまりないので、これは日本で2人目のミドル級王者誕生をリアルタイムで観戦できたなと思ったら、判定1-2で負けとは正直何が起こったのかと呆然とした。ダウン獲ったし効かせたパンチの数も明らかだったろう。今日日出してただけのガードの上からのパンチなんてとらないでしょ。

 こういうことを書いてしまうと良識を疑われるかと思うが正直「ちゃんとジャッジ買収しとけよ!」ぐらい思ってしまった。
 まあ、買収しとけはやったらいかんことなんだろうけど「買収対策」を陣営がキッチリやっとかなければいけなかったんじゃなかろうかってぐらい酷い判定。
 日本人は買収とかの不正はやらない国民性というかなんというかだけど、相手側は常にやってくるぐらいの意識をもって打てる手うっておかないといかんのではないかと思ったぐらい。

 まず日本人が敵地に乗り込んでいって微妙な判定で勝ったのを見たことがない。逆の日本で負けたっぽいのに勝ったのは極たまにある程度(まあボクシング好きなら誰のことか分かるよね)。
 腹が立つことに日本でやって、コレは客観的に見ても勝ったやろ、ダウン獲ったしというので負けたのは今回が初めてじゃなくて、過去にもあってテレビの前で悔しい思いをした記憶がある。誰の時だったか思い出せん記憶力の減退も悔しい。

 スポーツの世界も、ドーピングやらなにやら見ても分かるようにきれい事だけでは済まない世界で、今日の村田選手をチャンピオンにできないのなら、そういう部分が足りてなかったということぐらいしか思いつかないんだけどどうなんだろう。

 まあ、今度はベガスでもNYでも敵地に乗り込んでいってブッ飛ばして文句の付けようのないKO勝利でベルト獲ってきてくれ。チャンピオンベルト巻いたヤツより今夜明らかに強かったんだからきっと難しくてもできるだろう。そうなったら日本のボクシングファンみんな超スッキリする。

 きれい事じゃない手も使ってKOでという意味では、村田選手の前にやった比嘉選手はお見事だった。倒れた相手への追い打ち(当たり前ですが反則です)とか、13度タイトル防衛の元名チャンプ、指導者の具志堅氏を彷彿とさせる闘争心溢れる闘い方。我が家に具志堅用高世界戦15試合というDVDがあるけど、倒れる相手へのとどめ打ちはお約束。そのぐらいエグいことやらんと王座には君臨できんということか。カンムリワシ2世の戴冠おめでとう。

 でもまあ、今日は苦杯で苦汁を舐めさせられたような腹立たしい気持ちが強い。

 オオッ、今外で「特許許可局」って鳴いてる鳥がいる。ホトトギスやんけ!ウグイスいるのは知ってたけどホトトギスまでやってくるようになったか。
 今日の良いニュースはカンムリワシとホトトギスか。

2017年5月13日土曜日

ほの暗い水の底では

 あからさまに食ってきたようなスコッという感じのアタリが浮子にでて、よっしゃ来た!とばかりにアワセをくらわせると、あにはからんやハリがかりせず空振り、というのをヘラ釣りでは「カラツン」と呼んで、いかにカラツンをちゃんとかかる「食いアタリ」にするか、そのためにハリスの長さ調整やら餌の硬軟からありとあらゆる手を工夫しているのが今の管理釣り場や釣り堀におけるヘラ釣りの「技術」のかなりの重要部分であるように見受ける。

 ヘラ釣り初心者の私もカラツンには悩まされる。正直、ハリがかりしたときのアタリとの違いが全くもってわからない。ほんとにヘラブナが餌くわえてるのか?と疑問になってくるぐらいで、モツゴとかのジャミアタリなんじゃないのかとも疑ったりもするし、実際にモツゴの多い自転車で行く管理釣り場ではモツゴが釣れてくるけど、ヘラの多い「箱」の方ではアワセが決まるとヘラが釣れてくるのでジャミもたまにはあるかもだけど、どうも「箱」ではカラツンの正体はヘラブナで間違いないように思う。管理釣り場のほうでも「ジャミばっかやン」と思って油断している時に隣の釣り人がヘラ釣ったりして、ヘラのアタリも混ざっていたくさい。
 連発でことごとくカラツンになると、頭に来きてイーッとなると同時に水中に頭つっこんで実際に餌の周りでなにが起こっているのか見てきたくなる。スレがかりするのもあるから単にハリスに魚体が触れてるだけの「糸ズレ」とかだったっりしないのだろうかとか、疑い始めるときりがなくなる。

 昔、関西には「ヘラブナ喫茶」なるものがあって、喫茶室から釣り堀になっている大型水槽を横から眺められるというものだったと記憶している。「イレブンフィッシング」だったかで、その水槽で水中のヘラの動きと浮子の動きを同時に見せるというのをやっていた。ヘラなど興味がない少年時代に見たのを今でも記憶していたのは、当時、ヘラが餌を吸ったり吐いたりするのが浮子の小さな上下になって現れるので、吸ったときにあわせないとかからないとかまことしやかに語られていたのが、実際見てみると、ヘラがその場で餌を吸っても吐いても浮子には何の動きもなく、ヘラが餌をくわえて移動して初めて浮子にアタリが出たというのが意外で、水中のことを見てきたように語る釣り人の、いかにいいかげんであてにならないことかと印象深かったので憶えていたのだろう。

 最近でも、高級リールの軽い回転だと魚が食う前の寄ってきた水流変化による「前アタリ」を感じることができる、とか水中のことを見てきたように語る釣り人を、正直「またなんかしょうもないことを言ってるワ」ぐらいにみている。バスでもシーバスでもイワナでも追ってくるのが見える食ったのが見える状態で釣ったことがある人間から見れば、ルアーと同じスピードで追ってきて食った場合には、竿先にも手元にもラインテンションにも何の変化も現れない。見えてるからアワせるけど、見えてない状況で同じような食い方をされたら全くアワせることができない。
 竿先やらに変化がでるのは、食ったうえにハリがちょっとかかって、魚が首を振って初めて「アタる」とうすうす思っていたら、「ザ・シーバス」というシーバスの水中でのルアーに対する反応を納めたDVD付きの書籍が2006年に出て、そのことを裏付ける映像に大いに納得したものである。
 「前アタリ」があった時点で、賭けてもいいけどルアーは口に入っていると思う。口に入って魚が止まってラインがちょっと引っ張られて、高感度な高級リール様を通じて釣り人が「前アタリ」を感じると同時に魚も違和感を感じてペッと吐いているんだと思う。それでもしつこくルアーに食いついているうちにハリがどこかにかかって首振ったのが「本アタリ」として出る。というのが「前アタリ」の正体だと思っている。誰か水中撮影してみてほしい。

 ちなみにルアーが口に入っただけの、竿先とかにはアタリが出ないはずのアタリを出す裏技はあるようで、クランクベイトなりバイブレーションなりのブルブルとルアーの動きが明確なルアーを使って、ルアーの動きが消えた瞬間にアワセを食らわすというのを聞いたことがある。まあ、私は見釣りを除けば、感度の悪い道具立てで釣り人も魚もハリがかかるまで気づかないようにするという方針なので実践したことはないのだけどね。

 話をヘラ釣りに戻すと、カラツンの水中映像である。今時小型の水中カメラとかもそれなりの値段で入手可能で、一般の釣り人がそういったカメラを使ってヘラブナの補食シーンをとらえた映像もYOUTUBEとかに投稿されていて結構ある。でも、なんちゅうか撮影がへたくそなのか、釣りがへたくそで写すべきものが何なのか分かっていないのか、いまいちカラツンが生じる状況が見えてこない。
 良い映像ないもんかなと探っていると、ちょくちょくとDVDの予告映像がヒットしてきて、どうも私がほしいカラツンが起こっているときの餌付近の映像をヘラ釣りの上手い人の釣っている水面の浮き映像と同時に見せているDVDがあるらしい。「ヘラ管理池REALカラツン大解明」というタイトル。

 3980円と、浮子よりもお高く、安竿2本買える値段だけど、これは買っておくべきかなとアマゾンでポチッた。
 届いたのを早速視聴して、安い買い物だったことが判明。もろにカラツンが起こっている状況の水中。頭を池に突っ込んで見てきたかったその映像が納められていた。
 詳しい内容は買って見てあげてほしいが、高活性時のヘラが集まった状況下で、とにかく想像していた以上に餌がヘラの口に入りまくっている。その上で吐きまくっている。
 浮子にアタリが出ないその場でハリの付いた餌を吸って吐いてとか、溶けた餌やハリから落ちた餌は警戒せず吸っているのは、ある程度想像してた状況だったけど、釣ってる熟練のヘラ師の方が「糸ズレでしょう」「糸ズレかな」と言っているような浮子にモヤモヤとした動きが出たときにも、ものすごい高い確率で餌を口にしているのには驚いた。今時の浮子は吸った角度にもよるけどちょっと吸って吐いた程度でも結構動く。でも絶対それでアワせてもかからんだろうという感じの早いタイミングで吐き出している。そしてカラツンの時もハリスの抵抗を感じているのか何なのか速攻で吐いてるのもあったし、下から上向いて口を開けて食っててアワせても口から餌が抜けていたのとか、正直おそれいった。何十年ってヘラを釣ってきたであろう熟練の釣り人も水中の真実のあまりの予想外の様に衝撃を受けているようだった。

 人の反応速度は、普通に目で見て大脳で判断してという場合、自動車免許の講習で習うと思うけど1秒近くかかる。素人のアワセの早さはこのレベルだと思う。見ていて「遅いって!」ともどかしくなるのもむべなるかな。
 これが、反復して修練を積むと、大脳の判断を経由せず小脳経由で短絡した反射的な反応経路ができて、0コンマ1秒以下ぐらいまで早く反応することができるようになるとされている。そういう事実が知られるまでは、陸上のスタートで0.1秒より早くスタート切った人間は「理論的にあり得ない反応速度」とされてフライング扱いになっていたとか※。「アワセ早いな~」と感心するレベルの熟練の釣り師とかも、0.1秒切るぐらいの反応速度なら普通に出ているんじゃないかと思っている。
 それでも人間がそのぐらいの早さで反応できるなら、養殖されている種だとはいえ、半野生種ぐらいのヘラブナがそれ以上の早さで反応するのは想像に難くない。しかも、実際にはラインがたるんでいる分が真っ直ぐになったっりする時間なんかも経て浮子に動きが出るわけで、反応速度の早さを競う方向ではヘラブナに勝てる理屈がない。

 だからこそDVDの中でも、ハリスを長くしてくわえたときに感じる違和感を減らす方向で調整して、再度連発に持ち込んでいたように、ハリスから餌から、仕掛けからテンポからなにやらかんやらを調整して、ヘラが吐き出すまでの時間を稼いで、浮子が動いてアワセが決まるまで口に餌を入れておけということにつきるのだろう。
 0.1秒も稼げばアワセは決まり始めるんじゃないだろうか。たぶん、ハリスの数センチの違いとか、餌の食いやすい堅さの微調整とか、上手くいっても100分の1秒単位でしか時間を稼げないかもしれない。それでも、そういう微妙な違いを他の要素も加えて重ねていって、なるべく長い時間ヘラの口に餌をとどめて、なるべくたくさんのアタリを出していって、結果ハリがかりする「食いアタリ」を増やしていくという、ヘラ釣りの教科書に書いてある通りのことをやるのみだと再認識できた。

 水の中のことを見てきたように語るには、水の中を見てこなければいけないと肝に銘じておきたい。普段見えない水の中では結構驚くべきことが起こっている。
 今回みたDVDの映像のような現象が、すべての釣り場、すべての状況で起こっているとは限らず、いろんな状況はあり得るんだろうけど、一つの典型的な例として水中の状況を想像するには極めて有用な映像だったと思う。
 面白かったッス。新しい釣りを始めて知らないことだらけで、日々学ぶことがあって嬉しい。


※って書いたら、翌朝短距離の桐生選手が0.1秒切りのスタートで失格とのニュースがあり、いまだにそのルールが生きていることにあきれた。

2017年5月9日火曜日

すべての高い山に登れ!

 ネパールの85歳の登山家ミン・バハドゥール・シェルチャン氏が、最高齢でのエベレスト登頂挑戦中のベースキャンプで6日心臓発作で亡くなったことを受け、「エベレスト登頂に年齢制限を設けるべきではないか」との議論がでているそうな。

 なんでもかんでも危険!危険!と禁止したがるのは日本だけでないのかと暗澹たる気持ちになる。
 同じことをくどくどと何度も言うようになってきたら自分も年老いた証拠だなと自覚しながらも、また繰り返し口を酸っぱくして書いちゃう。
 冒険を制限するようなアホなことをするんじゃない。他人が危険を冒す自由をお節介にも邪魔するなと。

 人類の歴史を紐解いてみろと、アフリカの森の木の上でぬくぬくと暮らしていたら、俺たち人類は生まれてないんだぞと、肉食獣ひしめくサバンナに新天地を求めて、木から降りるという「大冒険」をしたからこそ、我ら人類は木につかまる必要のなくなった前足で道具をつかんで成功をその手にしたんだろ?
 その後にしたって、冒険冒険また冒険で暖かいアフリカで生まれたくせに極寒の凍ったベーリング海すら渡って、南米の先っちょまで行って凍りそうな海で素潜りでカニとって暮らすまでになったんだろって。そういう人類の旅を「グレートジャーニー(偉大な旅)」って賞賛するのが我ら人類の正しい認識でしょって思うわけよ。

 およそ、文明化だ科学技術の発展だっていうのも、冒険か危険か失敗かから生まれたものばかりで、安全に効率的に能率的にとかいって人類が得たものなんて、アメリカ人の横幅ぐらいじゃないかと思うんだけどどうなのよ。

 この世の中にはクソなものと素晴らしいものが玉石混交で存在していて、他人の冒険の足を引っ張るような輩どもはクソで唾でも吐きかけておくべきで、85にしてなお、世界の最高峰に挑んでいたネパールの爺様には最大限の敬意と賞賛を贈るべきだと思うのである。
 その魂は根性は実に素晴らしいものだと感銘を受け、爺様にとって「強敵」と書いて「とも」と読むべき存在だったであろうユーイチロウ・ミウラの国から、謹んでお悔やみ申し上げます。

2017年5月5日金曜日

ポンちゃん登場中庭劇場

 朝、ベランダに出て洗濯物干したりルアーを塗装したりしていたら、「ピュイーッ、ピュイーッ」というあまり聞いたことがない鳥の鳴き声が聞こえた。結構大きな鳴き声。

 なんか珍しい鳥でも来てるのかなとベランダから中庭の方を見ていると、それらしい鳥が飛んできて中庭の木の幹にキツツキのように貼り付いて止まった。
 我が家の近所の川向こう、崖の林にはコゲラが棲んでいて、たまに川を越えてこちらの桜並木までやってきているのを見かけるし、ギーギーと鳴いているのも耳にするが、明らかにサイズがちがってキジバトより一回り小さいぐらい、ヒヨドリより大きいだろうか。
 そんな大きなキツツキがこんな所にいるのか?と目を疑ったけど、どう見てもキツツキ。背中が緑色でアオゲラのようである。
 とりのなんこ先生の鳥見マンガ「とりぱん」でも「ポンちゃん」の愛称でおなじみの鳥だが、まさか我が家のベランダからご尊顔を拝見できるとは恐悦至極。
 ベランダから見える中庭、5階建ての宿舎と宿舎の間に芝生に木が生えていて、家庭菜園と生け垣もあるけど、どうってことないどこにでもある都会の中庭。だと思うけど、近くに河原や林があるのでそこからやってくるのか鳥は結構いて楽しい。

 アオゲラ20m位の近距離で木の幹を登りながら木をつついたりしているので、驚かせないように部屋に戻って双眼鏡とデジカメを取ってくる。
 双眼鏡で覗くと頭の赤いのも確認できる。後頭部だけ赤いのでメスなのかな。どうももう一匹いるようで鳴き声が少し離れたところでも聞こえる。つがいでやってきたのだろうか。中庭気に入ってくれると良いのだが。
 って、書いてる今、ドララララララッというコゲラとは迫力の違う重低音のドラミングの音が聞こえてきた。双眼鏡持って見に行ってみると若葉の茂みの中にいるのか木を叩いている姿は見えなかったけど飛び立ったところは見えた。縄張り主張し始めたということはお気に召していただけたのかな。

 時間戻して、写真撮影時、ちょっと飛んで地面に降りたので、地べたの虫とか食べてるのかなと見ていたけど、調べてみるとアオゲラけっこう蟻が好きだそうで、蟻食べてたのかもしれない。
 最後、キツツキっぽいシルエットを撮影して、次に飛んでいった公園の方にカメラを向けると、幼女達が遊んでいて「ベランダからカメラと双眼鏡で幼女を追っかけていた変質者」と認定されかねないので撮影終了。うーん、出かけもしないでこの楽しいひととき。とってもお得な気がするけど、ご近所さん達はこの幸運に気付いているだろうか?

 中庭のレギュラーメンバーとしては、いつもやかましく、たまにベランダの睡蓮鉢で水浴びしてたりもする愛嬌者のヒヨドリ、今も梢でチュピーチュピーチュピーと縄張り主張しているシジュウカラ、おなじみのスズメ、家庭菜園にまいた種をほじくらんでくれなキジバト、ドバトあたりに、腰のあたりが白いムクドリ、冬には「とりぱん」でもツグミンの愛称で人気のツグミもやってくる。メジロも可愛い。
 ギャーギャーやかましいのでヒヨドリの群れでも来たかと思うとオナガの群れだったり、駐輪場に自転車止めていると真横の生け垣のなかでウグイスが枝を渡っていたりもする。
 巣離れの時期に気が荒くなったり、ゴミネットをかけ忘れるとすかさず荒らしたりと嫌われがちなハシブトガラスも、いろんなところでその頭の良さが紹介されているのを読んだりすると、この都会にしたたかに生きる知恵ものに敬意に近い感情を抱かずにおれない。こちらが観察していると、あちらもこちらをじっと観察していたりして。

 ベランダからでも結構楽しめているけど、散歩に行ったり、駅までの道すがら川辺を歩いていると、ピーッピーッっと鳴いているカワセミに遭遇できたり、今年も猫が降りられない3面護岸の中州ではカルガモが雛を連れていたり、コサギがドジョウすくいのような足取りで漁をしていたり。そういえばしばらく棲み着いていたアオサギを見なくなったが、どこか良い漁場を見つけて越していったのだろうか。
 最寄り駅のいつもの場所で今年もツバメが巣をかけている。
 割とよく見る地味な鳥の名前が知りたくて、写真に撮れるほど接近できないので、記憶を頼りに図鑑をみて、たぶんカワラヒワかなと同定した。
 名前を知ると、また愛着が湧く。

  なかなか、もの覚えが悪くなって生き物の名前とかも1回聞いただけでは記憶できなくなってきてるけど、まあこれからも楽しみながらなじみの鳥を増やしていきたい。

 いい季節だ。