2021年12月31日金曜日

2021年のベスト3(エンタメ編)

©斉木久美子 白泉社
 今年も釣りに忙しくて、放送中のアニメ追っかけるのも必死という感じで、寝る前に新刊でたマンガぐらいは読むけど、活字本はホントに読んでない。アニメから流れて”ストパン”関連本とか「虚構推理」の原作とかは読んだけど、あとは久々新刊出たらラノベ「涼宮ハルヒの直感」は懐かしくも面白かったとか、角幡先生の「極夜行前」やら高野先生の「幻のアフリカ納豆を追え」やらはやっぱり面白かったとか、今読みかけてる「華氏451度」がなかなかに鋭いとかあるけど、活字はベスト3上げるほどじゃなかった。ということで近年定例化してるけど活字部門なしで行ってみましょう。

○マンガ:1位「天国大魔境」、2位「働かない二人」、3位「あやねとあまね」

 1位の「天国大魔境」はマンガの未来を切り開く才能の一人、石黒正数先生。その石黒作品の醍醐味、終盤の怒濤の伏線回収に突入しつつあり、キルコとマルが旅する世界と、トキオやミミヒメといった超能力を有する子供達が育てられている施設の物語との関係性と時系列が明らかになってきたところで「そういうことだったのか」と唸らされまくっている。続きも早く読みたい。

 2位の「働かない二人」はニートな兄妹の日常を、友人やらお隣さんやらとの関係も孕みつつ、基本ホノボノとしたギャグで和ませつつ、時に人間真理や生きるということの難しさや喜び、人の心の気高さなんかを描いていて、ウンコウンコ言ってるのとの落差で胸に突き刺さる。整形して夜の店で働く妹に姉が、私は親の引いたレールをただ歩くだけなのに、この子は自分の容姿さえ自分で決める、と憧れに近い感情を抱く、とか、仕事を辞めて小説を書いていく覚悟を決めたOLさんが、覚悟っていうのはポジティブなモノだと思ってたけど半分は諦めることだ、って腹を決めるとか、確かにそういう考え方もあるよなって、その着眼点発想の鋭さに感心する。

 3位の「あやねとあまね」は、エロ漫画誌の後ろの方で面白いマンガを描いてるマンガ家という古賀亮一先生と似た生態的地位にある道満清明先生のギャグマンガなんだけど、この人の作品はギャグが妙にツボにはいって笑わされる。メジャー誌では描けないようなエロかったり黒かったりするネタでブンブンとフルスイングかましてくれるので遠慮なく笑って、読み終わったら忘れてしまってもなんら問題ない安心の面白可笑しさ。ジャンルとしては百合モノで、成績優秀、造り酒屋の令嬢である上条あやめの、髪の毛モジャモジャ、胸絶壁な普通の女の子、天音千穂に対するクレイジーサイコレズな愛が金に糸目を付けず、時に時空間をゆがめて暴走する。クッソ笑える。3位は古賀先生の「ゲノム」とどっちにするか迷ったけど、古賀先生はアニメ化作品も描いてるし、どちらかというと評価されにくい道満先生を推しておきたかった。道満先生「ヴォイニッチホテル」についで二度目のランクイン。

 あと、今年は後半、以前読んだ面白い作品を再読したいという機運が高まって、「ギャラリーフェイク」「ホーリーランド」「寄生獣」「ばらかもん」「シドニアの騎士」「ヒナまつり」「レイリ」「アヴァルト」とか再読したけど何度読んでも面白いうえに、耄碌して内容忘れてるところもあったりして、実に楽しめた。  

○アニメ:1位「かげきしょうじょ!!」、2位「小林さんちのメイドラゴンS」、3位「メガロボクス2」

 世間的には、「鬼滅の刃」が今年のアニメの一等賞で間違いないんだろう。ワシも楽しみにテレビシリーズ視聴しているし、ジャンプマンガというか少年マンガの王道を行く友情努力勝利な内容といい、ジョジョシリーズに代表される超能力バトルものという日本の少年マンガが積み上げてきた歴史の上に産まれてきた作品で、ちょっと宣伝がキツめで(キメツだけに)鼻につかなくもないけど、こういう良い作品が評価されるのは悪くないと思っている。

 でもって、1位の「かげきしょうじょ」は鬼滅が少年マンガの積み上げてきた歴史の厚さから産まれたとしたら、こちらは少女マンガの積み上げてきた歴史の厚さが、それを育ててきた少女達の熱が、作品を生み出したといって良いだろうと思っている。宝塚歌劇団をモデルとして、トップスターを目指す少女達の友情努力勝利(嫉妬)な感じの文化系スポ根モノなんだけど、原作も良いんだろうけどアニメ表現としての出来映えも素晴らしく、物語に説得力が生じていた。サイトの方で書きまくってるので興味がある人はそちらを、というか原作マンガ読むか当アニメを視聴するべし。他にも少女マンガ原作では「ホリミヤ」も良かった。少女マンガもレベル高いの沢山描かれているようだ。

 2位の「小林さんちのメイドラゴンS」は、本来の放映予定年に1位を取るはずだったので「空位」として席を空けてたぐらいで、1位で決まりだろうと思ってた。実際、京都アニメーションが力強く再起動したことを印象付ける納得の出来だった。全く文句なしで満点あげて良いんだけど、時に表現において、特に個人の感情においては満点以上というのがあり得て、1位は持ってかれたんだけど、とはいえ文句の付けようのない”京アニ”品質の作品であり、いろいろと感慨深いモノがあった。

 3位の「メガロボクス2」は、「あしたのジョー」を元ネタに、人体の動きを補助する機械を装着して闘う架空の格闘技「メガロボクス」を題材に、近未来の設定のハズなのに”昭和臭”漂うオッサン臭い作品で、萌えキャラもでてこないし、基本泥臭いスポ根モノだしで1期楽しく視聴したけど、こんなもんオッサンしかみんぞ?と思ってたけど、意外に評価されたのか、それともアニメ観てるのはオッサンばっかなのか2期目が作られた。2期がまた輪を掛けてオッサン臭いというか辛気くさくて、ジョーを裏切り者として許さない雰囲気のサチオ(原作のサチ的ポジション)とか、移民のオッチャンが自分たちの居場所を求めて闘うとか、”脳”で操るメガロボクス用の”ギア”の開発の闇とか、基本暗くて苦しくて辛い場面が多いのである。でも、観てるとオッサン引き込まれてしまう。たまにはこういう渋いアニメもあって良いんじゃなかろうか?ワシはとっても楽しめた。

○ドキュメンタリー:1位NHK「シロナガスクジラvsシャチ」、2位「キングオブペイン」、3位「シリーズ被曝の森」、次点「植物に学ぶ生存戦略」

 1位は、もうここ10年来に目にした野生生物の映像の中でもぶっちぎりにスゴいものでダントツ1位といっていいかと。「ダーウィンが来た!」と「NHKスペシャル」と「ワイルドライフ」で映像使い回してたけど、3回観てもまだ面白く、さらに来客あるたびに一緒に観てしまった。圧巻の一言で、捕鯨船の乗組員の言い伝えでは、①シャチがシロナガスを狩るときは群で上から押さえつけて呼吸できなくさせて仕留める。→ホントだった!、②シャチは柔らかい口の中から攻撃し舌を食いちぎる。→どうもホントっぽい。③辺り一面がシロナガスの血で文字通りの血の海となる。→血の海とまではいかなかったけど、血の川が流れていた!って感じで、概ね陸じゃホラ扱いされてもおかしくないような漁師のオッチャン達が言ってたことはほぼ真実に近いモノだったようである。広くて深い海のどこかで人知れず行われてきた生命の営みや謎が、ドローンだの海中探査艇だのの最新技術で映し出される時代になってきた。眼福としかいいようがない。NHKオンデマンドに金払ってるパトロンとして非常に満足であり、来年も契約更新させてもらうこととする。

 2位は、一転して「良い子は絶対真似しちゃダメ」なアホな番組で、アマゾンプライムで視聴したんだけど、バカバカしくも面白かった。ワシも話題に上げたことがある、自ら毒虫に刺されて”評価”したジャスティン・スティミット博士に敬意を表しつつ、毒虫に限らず、世界の毒蟲、爬虫類、有毒海洋生物に噛まれたり刺されたりしてみよう、というユーチューバーがやってそうな企画である。ただ、気合いの入り方がただ事ではなく、流石に秒殺系の毒蛇とか即死系のサメやらワニでは実験してなかったけど、タランチュラやら各種蜂はあたりまえ、サソリなんかは毒が強いのはハサミが小さくて尾が太いヤツでデカくてハサミが大きいのはハサミ使えば良いので毒はそれ程でもないっていうけど、まさにハサミ小さい尾が太い”オブトサソリ”系にも刺されてて、アホとちゃうか?と戦慄を覚えた。ただそういったそうそうたる毒虫よりも、毒で被害が酷かったのは日本にも居るアオバアリガタハネカクシの類いだってのがやられてもおかしくないのでおっかなかったのと、ミノカサゴやオニオコゼの類、オニヒトデなんかの海産生物の毒は、サソリやらタランチュラやらの毒よりよっぽど強烈らしく高評価をたたき出していたっていうのも、釣り人としては気をつけねばならんと再認識するところであった。

 3位は、もうなんと言って良いのか、まあいつも書いてるように「原発反対!」って思うって話なんだけど、避難先で病気を抱えた住民が、一時帰宅の際に自宅で割腹自殺した、っていうのを知って、みんながジャブジャブ電気使って便利に暮らしてたせいで、その際に電気を得る手段として”原子力発電”なんていう、いまだかつて上手に運用できてない代物を選んでそれを容認してたせいで、父祖から引き継いだ山野を田畑を住居を、100年から使えなくしてしまった、されてしまった、そのことに対する怒り、憤り、不合理感、不条理感、空しさ、悲しさ、喪失感、悔しさ、情けなさ、それ程のものだったのかと、腹にこたえた。原発反対!と何度でも書いておこう。

 次点の、「植物に学ぶ生存戦略」はNHKのセルフパロディーでくそまじめな専門家による解説番組「視点論点」とかいうタイトルだっけ?の様式で植物の生存戦略を紹介するんだけど、これが本気でふざけてて面白いのである。ドキュメンタリーってわけじゃないけど衝撃的に面白かったので次点としてご紹介しておいた。硬派な番組から、最先端の情報、バカバカしいネタ番組までと、NHKなかなか頑張ってくれてる。パトロンとしてやっぱり満足である。

 という感じで、最近では”サブスク(定期購読的な意味の「サブスクリプション」が語源とか)”と呼ばれるらしい定額制の動画配信サービスは、なかなか充実していて観るモノあるので、金払ってる元取らねばとセッセと観ており、映像方面はいろんな作品観ることができて楽しめている。反面、マンガや小説を読む量が減ってるので、来年は小説もっと読みたいなとか思うけど、まあこういうのは読みたくなれば放っておいても読みまくる状態になるので、そうなったときに読めば良いのかなとも思う。いずれにせよ今年もいろんな作品を楽しめたので満足である。全ての表現者に感謝を捧げたい。そして来年も自らが最高だと思う作品を目指して思いっきり表現してみて欲しい。ワシも微力ながら金払わせてもらって面白い作品があったなら”面白い”ってネットの片隅でコチョコチョ書いて応援したい。

2021年のベスト3(釣り編)

○釣り:1位「自粛要請明け豆アジ釣り」、2位「ヒラスズキ」、3位「寒ボラ」

 1位は、本当に心底たまらないぐらいに嬉しかった。まあ、渓流やらアユやらで”解禁”っていうのは何度も経験しているけど、それらとはまた別格の”お祭りワッショイ”感があって気分上がりまくった。なにしろいつ解禁になるか分からんっていうのがどうにもイラついたし、コロナ禍自体が「マスク警察」とか「ジェンナー以来伝統のワクチンデマ」とかとか、もうホモサピのその社会の過去からきて未来へと続く愚かしさを象徴しているようなウンザリする有様で、さすがに鬱屈するモノがあった。だいたい自粛要請の看板立ってても平気で釣り人港で釣りしてたしな。そんなんだからなんかあったら追い出そうという話になるんじゃ。ワシャ意地でもそいつらと同じ低みに落ちないように努力したつもり。

 2位は、そういう努力のご褒美的な釣果だったのかも。港で釣っちゃダメっていうと浜やら地磯やら川やらで釣るしかなく、キス釣りが虫餌確保がしんどいのでフライロッド新調(中古だけどな)したのもあって、フライロッド振ってのシーバス釣り。まあ80超えのランカーヒラスズキはできすぎだとは思うけど、まったくのまぐれかっていえば、そうでもないとは思ってる。だって、紀伊半島だと釣れるシーバスの何割かは普通にヒラセイゴだったりヒラフッコだったりするから、そのうちヒラスズキも釣れるんだろうなってのは思ってた。思ったより早くて型も良かったけど想定の範囲内。他人の釣果をまぐれだと思う人は自分がまぐれでしか釣れない程度かもしれないので反省しておくように。セイゴしか釣れてなくてもハリス落として掛かる率上げようとしたりはせず、デカいたも網も常にちゃんと背負ってて、デカいのは想定済みだからデカいのきても問題なく捕れる。とエラそうに書いておく。釣りは釣ったら発言権が生じると思ってるのでエラそうついでにもういっちょ書いておくと、ヒラスズキって生息数自体がふつうのスズキほどは多くないので、なんかあがめ奉られすぎてる気がするけど、まあ普通のスズキと極めて良く似てて、見た目ほどには違いがないと感じている。普通に川にも入ってくるし、平均すれば良く跳ねるしパワーもあるかもだけど、まあ普通のフッコでも元気なヤツはそのぐらい暴れるよな、ってぐらいで個体差の範疇に入ってしまう気がする。人様に自慢するには良い実績で、写真も豆アジじゃなくてこっちを使ったぐらいだけど、自分のなかでは数年に一度釣れるランカーシーバスの一匹っていう認識。もちろん超嬉しい一匹だけど、仲間内のややドン引きぎみの評価ほどには自己評価は高くない。普通のスズキの80がいかに難しいかは知ってるつもりだけど、それがヒラになったからといって特別は違わないと思ってる。生息地で釣ってればそのうち釣れる魚だと思ってます。

 3位のボラは、昨年末に釣り損なってて今年の新年に当面の課題としてて、早々に片を付けたいようなことを書いてたのを有言実行。気持ちよかったっス。ボラはドロ食ってるとなかなか釣りの対象となる場面が少ないけど、流下物食ってるとか特定の”食わせられる”状況を見つけたら是非狙っておきたい魚で、沿岸魚では普通あり得ない突っ走り方してくれます。瞬間的なダッシュならメジナやらフエダイ、ハタ系なんかの磯魚も良い走りするけど、ボラは回遊魚系の最高速に加速しながら吹っ飛んでくような走りで魅せてくれます。まあ、産卵で沖に回遊するらしいので沿岸棲みの回遊魚っていう特殊な魚なのかも。食味もすごぶる良し。

○残念だった釣り:1位「マジェンダ根掛かり」、2位「鮎遡上無し」、3位「特に無し」

 1位のマジェンダ根掛かりは、これさえなければこの一年シーバス釣りでルアー根掛かり紛失無しという素晴らしい結果だったのに残念至極。濁ってて何の何処に掛かったのか分からず、翌日回収しようと考えて明るい時間に確認に行くも、根掛かりするような構造があまり見当たらず、護岸下のえぐれに潜り込んだのか、はたまたゴミが流れてきてて根がかったルア-ごとまたどこかに流れていったとかか?いずれにせよ回収もできず、ゴミを釣り場に残してしまい反省である。100%失敗しないというのは難しいけど、それでもそれを目標にはしていきたい。

 2位は、上がる年もあれば上がらない年もあり、捕食者に的を絞らせないっていうのがアユの生存戦略なんだろうなと、まったくアユが居ない川を見ながら感心した。定期的にジャブジャブ放流したらカワウが居着くってのの逆を自然のアユは意図してないんだろうけど自然とそうなる生態をもって生き残ってきたんだろう。鮎毛鉤できなくて残念ではあったけど、また上がった年に楽しめば良い。来た魚を釣る来ない魚は釣れん。それだけのこと。

 3位、こまかく見ていけば反省点とか色々ほかにもあったけど、まあ釣りに行けてれば残念って程でもないなと、ぶっちゃけ思ってます。


○ルア-・フライ:1位「お手元フライ」、2位「海爆リップレス」、3位「マジェンダ」

 1位、お手元フライは、大昔に東京湾バチ抜け対応で作ったパターンだけど、これが水面航跡系でぶら下げフックでハリ掛かりもまずまず、ハリはチヌ針とかサイズのわりに太軸で強くて、セイゴ好釣で、一発デカいヒラスズキも仕留めてくれた。昔のワシ、良いパターン作ってたな。フライでシーバス、小型シンペンが強いので水中引っ張ってくれば釣れるだろうと思ってたけど全く食わずどうしたものかと頭抱えて、とりあえずアピール力のある水面系だなとポッパーとコイツを試したらどちらもあっさり食ってきて、釣りは部屋で理屈捏ねてるよりも実際に試してみるのが大事だなと再認識。理由は分からんけど結果が出てるならそれが正しい。

 2位の「海爆リップレス」は5センチ程度の小さいシンペンなんだけど、普通にフッコも食ってくるのでセイゴ釣りつつ小マシな型を狙うという我が戦略上極めて優秀なルア-。嫌われにくい小ささも良いんだろうけど尻尾が沈むバランスで浮き上がる動きが良いのかも。デカいフックが乗らないので障害物多いところとかでは使えないけど、1軍一番バッター起用。

 3位のマジェンダは濁りキツめの状況下で今年二匹目のスズキ様を引っ張り出してくれた。初期型の固定重心、ラトル有り、振動系の細かい動き、っていうのは他にあんまり無いタイプで、東京湾でも結構好感触だったけど、この地でも効いてくれた。弾補充するのに重心移動版との違いが分からんので、中古で入手して重心移動版だと穴空けて後ろの玉を瞬着で固定する必要ある。もう3つも固定重心化したった。


○釣り具:1位「ロッキーマウンテンアウトフィッターズ8#9f」、2位「タナゴ竿1.2m」、3位「ウェーディングシューズ」

 1位のフライロッドは、春に新調してシーバスにカマスにと早速活躍している。中古4千円の安竿でコルクの等級が低くて、手元に届いてまずパテで穴埋めせにゃならんかったけど、性能的にはインチキフライマンが使うには充分でとても気に入っている。良い買い物だった。

 2位のタナゴ竿は、今年はアジが夏の豆アジから成長がイマイチで、結構秋深くまで表層にワラワラと数が湧いてくれたので大活躍。今期、何度50匹とかの水揚げ目標を達成したかわからんけど、安定した操業に多大な貢献。穂先グラスの短竿は釣り味も独特で楽しい。

 3位のウェーディングシューズは、通販でサイズ交換有りの業者さんを教えていただいて(感謝です!)購入したパズデザインズのキャンパス地のウェーディングシューズ。中敷きを薄いのに替えると外反母趾のワシの足にピッタリで痛くもならず、満足の履き心地。ただ、昔のアングラーズハウスのキャンパス地のシューズもそうだったけど1シーズンですり切れる。アングラーズハウスにはケブラー補強版があってそっちは2シーズン持つのでそっちを愛用してたのを思い出す。でもこの履き心地なら一年で履きつぶしても値段もお手頃だし割に合う。来年に向けてまた同じのを買っておきたい。


○PENN:1位「714z」、2位「430ssg」、3位「6500ss」

 1位、714zはここ2年ほど外回り注油だけで本体蓋開けてないけど快調そのもの。ライントラブルとかも特にないし、ドラグは安定しているし、インスプールのリールでシーバスとかで使うのを想定したら多分最高の1台かも。面倒臭いこと一切無し。楽。さすがに来年使う前に一回全バラしフルメンテやっておくか。

 2位、430ssgは使い慣れてるからかもだけど、ウォームギアの適度な巻きオモリ感と滑らかさがどうにも好み。4300ssやら430ss、714zあたりと共通してて、そのあたりが自分の好みなのかも。巻きが軽すぎるリールで小さいルアー投げるとカスカスで手元に感触が来ない気がするのは単に慣れの問題だろうか?

 3位の6500ssはここに来てやっと出番を作ってやれている。まだ魚上げてないけど、コイツで良い青物、できればブリって呼べる大きさのを釣ってみたいものである。


○スピニング熱:1位「シェイクスピア2052EC」、2位「ミッチェル314」、3位「ダムクイック220」

 今年は後半”スピニング熱”に苦しんだので、特に印象深いのを3台選んでみた。

 1位の、シェイクスピアはスプールが乗る台座の樹脂性ブッシュが割れてるジャンク扱いのを安く手に入れたんだけど、樹脂性ブッシュに上手くまち針で補強入れて復活。使ってみるとこれが全くもって快調で、同時代のPENN714zの代打が打てそうな使い心地。さすが米国製という感じの単純明快な質の高い実用機。しっかり釣果も出してくれて安い買い物だった。小豆色も渋くて個性的な見た目で使ってて気持ち良い。米国の釣り人は釣り具のなんたるかが分かってたんだなと改めて思わされる。

 2位の丸いミッチェルは、蓋空けたら腐蝕して剥がれ落ちたような金属粉がグリスで固まってるという悪夢のような状態で、よく使えそうなところまで復活させたものだと自分でも感心する。ラインローラー固定式、ボールベアリング無し、ベベルギア方式とかなり古い設計でちょっとジャジャ馬っていう話だけど、ドラグもちゃんとしたのが付いてるし、回転もそんなに気にするほど悪くない。来年は是非ともコイツで魚を釣ってみたいと思う。見た目丸くて可愛いのがおフランス製って感じでイイのよねぇ。

 3位のダムクイック220は、110系を2台いじって「ダムクイックのインスプールスピニングで魚釣ってみたい!」という思いが止まず。セ○イモンでお買いもんするマウスの滑りを止められんかったんじゃ。仕方なかったんじゃ。ややデカくて人差し指がスプールエッジに届きにくく、固定式ラインローラーはラインをユルく巻いてしまうとトラブルに繋がりやすい感触だけど、普段は軟式テニス持ちのグリップを基本のサムオントップにして、キッチリサミング、ラインを常に張って巻く、っていう基本のお作法を習い直すのもまあ悪くないかなと思う。ちょいジャジャ馬を上手に乗りこなしてやるってのも楽しい。魚もちゃんと釣れて、こういう個性的なリールで釣るのもまた一興かなと思う。


 という感じで、今年も実釣は好調だったといって良いのかなと思う。特にマアジ釣りがなにげに自分でも上達したと思う。アジも釣れるときは簡単だけど、毎回のように水揚げ目標釣り切るのはなかなかの難易度で、対フグ戦略とか最初はどうにかなるとさえ思ってなかったけど、どうしようもない個体数でなければ案外何とかなるようになってきた。シーバスも数は少ないけど戦略どおり”雨が降ったらシーバス”を徹底して最終的に帳尻合うぐらいには良い魚釣ってるし、フライでカマスも釣れてる。

 スピニング熱がエラいことになってるけど、まあ中古のリールは実用可能なら買った値段ぐらいでは売れるので、自然に熱が冷めるまで沼でもがいておこう。リールネタ楽しみにしてくれて情報くれたりしてくれるスピニング熱仲間もいるし、楽しく沼で遊んでおこう。

 今年も楽しい釣りの日々でした。また来年もいい年になるよう祈っておこう。

 皆様も良いお年をお迎えください。

2021年12月25日土曜日

港乞食

 

 右や左の旦那様、みなさまのお恵みで今日も暮らしておりますナマジでございます。ありがたやありがたや。

 ちゅうわけで、地域最強の釣り師の座は港に集う猛者どもに譲るとしても、地域最強のスカベンジャー(掃除屋)の座はワシのもんじゃ。時にボラを釣ったチヌ師のそばににじり寄り「今の時期ボラ美味いっすよね~」とか、エソ系釣ったジギンガーに忍び寄り「良いエソですね~すり身汁とか最高ですよね」とか、アイゴ釣った家族連れに善人を装い接近「刺されると危ないからオッチャンがハリ外したろ」とか言いつつ言葉巧みに言外の圧をかけていって「食べるんならあげますよ」の一言を引き出す話術。

 そして、時化で頭どっかぶつけたのか波打ち際にヨタッているボラとかみつけたら、釣りそっちのけで駆けつけて陸に蹴り上げて確保する。時には最強のスカベンジャーの座を争う同業者であるカラス達の獲物を強奪さえする。それが”スカベンジャーナマジ”。

 そんなナマジの今回の獲物は、刺し網の漁師さんが売り物にならんからと網掃除しながら海に帰したハモ。まあ売れる魚を市場に卸してからの網掃除だろうから、水から上げられて時間の経ったハモはそれでも生きてるのは流石の生命力だけど、虫の息でプカプカ流れてきたので落としダモに竿先で誘導して確保。

 ハモ拾うのは2度目でもあり、「やったぜ、今日はハモちりだ!」と喜んでたら、嬉しいことに漁師のオッチャンからなんともう1匹プレゼント。深夜の通販番組のような大盤振る舞いで感謝感激。

 こんな良い獲物もらって良いの?2匹も?と戸惑うほどだが、もらったもんはワシのもんじゃ、後で返せって言われても鵜飼いの鵜とちがうんやから獲物は吐き出さんぞ!

 ということで、ウキウキと調理に入るんだけど「これひょっとしてハモのそっくりさんのスズハモで市場価値が低いから捨ててたとかあるかもな」という気も若干して、漁師のオッチャンの好意を疑う自分のゲスな勘ぐりにややいやになりつつも、検索図鑑だしてきて同定のポイントを調べると、肛門より前の測線数が39以下ならスズハモ、40以上ならハモ。と数えるの面倒だけど確実な同定方法があるようなので測線大きくて数えやすいし数えてみたら。42と44でどちらも”THEハモ”でした。漁師のオッチャン優しい。ワシはゲスい。まあ、ハモなんて骨だらけの魚は、長物独特の生命力の強さで京都まで活魚輸送車がなかった時代にも桶かなんかで活けで届けられるから、京都人がありがたがって”骨切り”なんて面倒な技術確立してまで食うようになって美味しく食べる文化も発達したって話で、産地じゃ数まとまらず売り物にならんかったら捨てるような魚だわな。こんな面倒くせぇ魚食わんでも他に食う魚あるわな。ッテ思ってると当地ではハモ以上に骨だらけで食うのに技術がいるウツボはわりと珍重するようで、干物とか蒲焼きとか、あの分厚い皮が美味いんだとか。確かに皮分厚くて九州で食べたけど旨かった記憶がある。ただ、小骨をペッペと吐きながら食った記憶もある。

 さてさて、それでは調理して行くとしよう。なにせデカいの2匹なので、三枚下ろしにした次点で1.5キロぐらいの身が取れたのでちり鍋以外にも色々試してみよう。

 三枚おろしの方法だけど、以前にも書いたように「まな板からはみ出すようなら適宜ぶった切って回数わけて」「樹脂性のまな板では”目打ち”の代わりに持ち手に結びつけた釣り針に引っかけて固定」っていうのさえ知ってれば、三枚おろしまでは普通の魚と大差は無い。今回は1m弱ぐらいはあるデカブツなのでまず頭落としてハラワタ取ってから前半後半に分けて三枚に下ろした。

 捌いてて改めておもうけど、尋常じゃなく歯がヤバくて今回初めて気がついたけど上顎の歯は真ん中に1列で、餌食うのに全然便利そうに見えないけど、切り裂くことに特化したようなヤバさがどうにも凶暴な代物である。持ち帰るときに、死にかけで虫の息だったので噛まれることはないと思ってたけど、魚ばさみで挟んでもヌルつくので口に魚ばさみ突っ込んで持ち上げようとしたら、ガキンッっと音を立てて口が締まって、噛まれたらエラいことになるなと肝を冷やしたが。この歯を見ると尚更剣呑さに肝が冷える思いがする。あと普通死んだ魚って一旦沈むんだけど、ハモは浮いてくるのは浮き袋が大きいことも関係しているのかも。当然プルクニャの珍味なので胃袋、肝臓と共にちり鍋に入れる。

 そして、問題の”骨切り”なんだけど1ミリ間隔とかの包丁の冴えは必要ないんだけど、皮までキッチリ包丁を入れて、その時にちょっと間を空けるように身を分けてみて、骨が切れてないとその時に白い筋のような感じで残ってるのが見えるので、そうなってたらさらに包丁を入れて引いてやってザリッと骨を断ってやる必要がある。1回目急いで切ったのを白焼きにしたら、骨まで切れてなくて下の写真の様に骨吐き出しながらの食事となった。なぜか骨が3本ぐらい皮膚に近いところの筋肉中に背骨と並行に近い方向に入ってる。3ミリ間隔ぐらいでもちゃんと”骨切り”できていれば食べてて全然気にならないんだけど、残ってると邪魔くさい。切るの慣れてくると最後に皮付近でザリッと包丁が骨を断つ感触が分かるようになってくるので、そうなるとそれ程時間の掛かる工程ではなくなる。刃を入れる回数を競うような精密さよりも、多少間隔広めでも骨を切り残さない丁寧な仕事ってのが肝だと思う。皮の近くに骨があるのなら皮と骨一緒に切り取って捨てたら?っていうのは長物の皮を食わないという選択肢はあり得ないので却下。

 でもって、骨切りまで済ましてしまえば、あとはどうとでも料理できる。とりあえずの”白焼き”から始まって、ハモの身に白菜、ネギ、厚揚げを具にプルクニャの浮き袋やコリコリした胃袋も楽しめる”ちり鍋”に行って、次の日、鍋の汁がハモの骨を焼いたので濃く出汁取ってあったら煮凝ってるのをみて、これは汁ごと完食せねばと、メンツユと砂糖少々で薄めのすき焼き風の味付けにして、大根、タマネギ、ネギとハモをぶち込んだ”じふ煮”にしたら、これは大正解で煮返して汁を冷や飯に掛けて食うのも最高だった。そして白焼きにしておいた骨切り済みの身を、骨の焼いたので出汁を取ってメンツユと砂糖で濃いめに味を付けた”タレ”でザッと煮て、ご飯の上にタレとともに乗っける「ハモ丼」。ウナギも絶滅危惧種だなんだで高いし食う気にならず何年も食べてなかったけど、鰻丼とはちょっと方向性違うけどこれはこれで丼飯余裕のご馳走になるのであった。あと骨を焼いたモノは出汁が良く出ることが判明したので味噌汁の出汁にも使って使い切りました。

 そして、ワシがハモ三昧を堪能している間、当然のごとくワシと寝食を共にする愛猫コバンもハモ食ってました。ヤツはさすが元ノラというか肉食のケモノって感じで、骨切りなどという軟弱な技術は必要とせず、ヒレ周りとか尻尾とか顔周りの肉を素焼きにしたのを小骨ごとバリバリと平らげておりました。いつも食ってるアジの頭より先にがっついてたので、珍しいから嬉しいのか味の分かる食通なのかなんなのか。とにかく味の違いは分かってるようで、漁師のオッチャンの優しさのおかげで、1人と1匹が美味しい餌にありつけましたとさ。

 改めて、人語をしゃべれない愛猫の分も含めて感謝を込めて、ごちそうさまでした。

2021年12月18日土曜日

逆張りは得意なんです

  なんだかんだ言って、ワシ”大森熱”が一番症状が酷い。

 ここのところの大森スピニングの値段の低下傾向は既にご報告のとおりだが、そろそろ「値段が高いから良いモノだ」という頓珍漢な思考で買いあさってた間抜けが、値段の下落に気が付き始めたのか、超人気だった「コメット」が中古市場に妙に出てくるようになった。株取引でいうところの「損切り」のようなつもりなんだろうか?真に釣り具の価値が分かる皆様、お待たせしました。今が買い時です。大森アナリスト4年とちょっとのナマジが太鼓判を押させていただきます。他の機種も軒並み安くなっててネットフリマには往時の高値のまま棚晒しになってる機種とかけっこうあるので、今なら値引き交渉も強気で行ってみる価値あります。

 まあ、ワシも最近病状悪化してブチ切れて「欲しけりゃ高かろうが安かろうが買えば良いんじゃ、売れんくなったら死ぬまで抱えておいて、死んだら欲しいヤツらで形見分けでもしてくれ、自慢じゃないが友達の数よりリールの数のが多いぞ」と思ってしまってて、マイクロセブンCシリーズなんていつの間にか8台も蔵に転がってる(かつ1台発送待ち)。PENNに関しては、蒐集というよりは使うつもりで備蓄してるけど、ぶっちゃけそれ以外のスピニングは使う状態にしておくのにはこだわるけど、程度が良いと使うのためらうぐらいで蒐集が目的になってると認めざるを得ない。

 でもって、今回のブツ。なにワレ2台も買うてるねん?ッテ話だけど、慣例により説明させて下さい。ひとつよろしくお願いします。

 冒頭写真見た瞬間これが何か分かる人が1人はいるはずで、これ「コンパック89アトラスⅢ」ことマイクロセブンDX欧州仕様ネタの時に情報書き込みいただいてた機種で、大森製作所作成のコンパック「アトラスⅡ」なんである。マイクロセブンDX以前の大森小型インスプールでウォームギア機とか。ちなみに初代の”無印”「アトラス」はオリムピック製らしい。

 とはいえ、国内販売なかったような気配でイーベイで探せばそれなりに出てくるけど、送料かけてまで人様のお気に入りを買うのも、なんかちょっと違うよな、と当初買う気はなかった。ホントなんです刑事さん信じてください。じゃあなんで2台も買ってるんだって話なんだけど、大森製なら何でもかんでも買うつもりはさすがになくて、今狙ってるのはマイクロセブンDXが使うの惜しいような個体しか持ってないのでボロいマイクロセブンDX(同型機含む)と同時代でおそらく同様の機構で欠点とかも同じだろうから、使い心地を見るには良さげなこれもボロいのが欲しいダイヤモンドスーパー730(同型機含む)、あと実用機としてスペアスプールが欲しいので本体ごと買うつもりのマイコン301TB、あたりで、あと安い値段で出ていたら可哀想なのでマイクロセブンCシリーズは救ってあげたい。と思ってる。なのでマイクロセブンDX同型機をおさえるために「コンパック」と「シェイクスピア」で検索かけてたところ、今回のコンパック「アトラスⅡ」が引っかかってきたのである。で、さすがに値段下がってきたとはいえ深い”大森沼”に沈んでる人々は一定数いるので、開始価格の4500円と5000円では落札できないだろうなと最初思ってスルーしかけたんだけど、ウォッチリスト登録者数を見て違和感が走る。10数人しかウォッチしていない。ネットオークションで出品したことがあれば分かると思うけど、ウオッチリスト登録者数10人台はギリギリ1人か2人入札あるかどうかぐらいの数字であり、意外に注目されていない。大森製作所の歴史的にも重要だろう最も古い部類のインスプールの小型機であり、骨董的なリールを愛好する釣り人も多いマス釣り用として好適で値段付きそうなものである。でも流れから言って高額落札にはなりそうにない。なんでだろうと考えると、まずは「大森製作所」という検索ワードが含まれていないので、大森熱患者でもよほどこじらせてないと大森狙いで「コンパック」は検索してないだろうから意外に盲点になってるようだ。中古釣具屋とか釣り人からの出品なら大森製は”売り”なので明記するだろうけど、出品者は機械中心の一般的な中古道具屋さんのようで銘などから分かる情報しか書いていない。そしてたぶん要素として大きいのは、この機種はあんまり知られてないということで、国内では評価が定まっていないので他人の評価で自分の欲しいものを決めるような輩は買おうとしないし、歴史的な背景とかも踏まえて価値が分かって欲しがるような人間は、既に海外オークションでも探して入手してるはずで、今さら買う必要もないだろう。ワシとしては想定外の獲物だけどフロントドラグのシンプルなウォームギア機ってもろに好みだし、大森のウォームギア機はプロラインとスーパーセブンが有名だけど、前者は値段がまだそれなりに高いし、後者は弾数が少なくあまり中古市場に出てこないのでいまだ手にしたことがなく大森のウォームギア機ってのにも興味がある。ということで、開始価格にチョイ足して2つとも入札しておけば、どっちかぐらい落札できるだろうと思ったら、入札ワシだけで2台とも開始価格で落札してしもた。

 まあいいや、いらんくなったら流石に大森スピニングの値が下がってきたとはいえ、見た目もキレイめだし「大森製作所の小型インスプールではもっとも古い機種」っていうのを売りにネットオークションにでも流せば、買った値段よりは高く売れるとおもうんだけどどうだろうか?個人的にはイーベイで入手するとそれなりに高くなるので、国内のネットオークションなら1万円超えるぐらいの強気の値段設定でも1人ぐらい欲しがる病人いるんじゃなかろうか?と思う。とりあえず、売るにせよ使うにせよ蔵に取っておくにせよ、まずは分解清掃して整備せねばだな。

 2個落札して見比べてみると、ハンドルノブが赤と黒で色が違うのに加えて足の裏の刻印も微妙に違ってて金型が違ってるのかなんなのかそんなに長期間売られた機種でもなさそうなのに何があったのか不思議な感じ。ちなみに黒ハンドルは「JAPAN」の刻印のみで赤い方には「OMORI S.S.(Oに上線)」と謎の国名「gapan」の刻印が有りさらには両端に盛り上がった線がある。どちらかが先だとすれば「gapan」の間違いに気がついて後に訂正したとかだろうか?逆に製品の方が凹んでる方は金型の出っ張ってるはずの刻印削って溝を掘れば良いはずで金型作り直す必要まではなさそうで、むしろそっちだと考えるのが自然か?

 でもって、黒ハンドルの個体は快調に軽快にクルックル回ってベールもストッパーオンオフも正常なので、ハンドルは堅くて回しにくいし、ストッパーオンオフは死んでるしっていう赤ハンドルの方からバラして清掃、整備していくことにする。バラしてみると案の定グリスは干からびて固くなっててコリャダメだ状態。オヤッ?と思うのがギアの材質でこれまで見てきたウォームギア機はほぼ全てステンレスか鉄系のローター軸のギアにハンドル軸のギアは真鍮製という組み合わせだったけど、コイツのは真鍮のローター軸ギアにどうみても亜鉛鋳造のハンドル軸のギアである。念のため黒ハンドルの方も蓋開けて確認すると同じ組み合わせ。ウォームギア方式って工作精度が必要で面倒くせえような話も聞くけど、亜鉛鋳造で大丈夫なんだろうか?強度的にもステンレスと真鍮より弱そうだけど、それは巻き上げ効率悪いけど丈夫さが売りのウォームギアなら気にしなくて良いものなのか?素人には分からんね。気にしても仕方ないか?

 ハンドル軸ギア抜いてみると芯は当然のごとく鉄系で、そこはこの時代から大森伝統の堅実さって感じ。でもってハンドル軸ギアの下に入ってる逆転防止は残念なことにバネが折れている。とりあえず逆転防止の爪を押しつけるだけのバネなので、いつものようにタチウオ用の単線ワイヤーで成形する。

 2個ほど失敗したけど、所要時間15分ぐらいのやっつけ仕事で無事正常にオンオフ可能に復活。

 でもってズンズンと分解していくんだけど、ローターを外すのにナットを外すだけではダメでローターにもネジが切ってあってローター軸のギアを固定しておいてローターを回してやらねばならん方式。ダム「クイック110」でも経験済みなのでナット外してローターが抜けない時点ですぐに気がついて良かったけど、ハンドルの軸ギアを抜いた後にローター軸のギアだけ固定するのは難しく、外すためにハンドル軸のギア入れ直すのか?と悩んでたらグリスで隠れぎみで見逃しそうだったけど、ローター軸のギアに穴が開いてるのに気がついて、そこに棒突っ込んで固定してローター回すんだなと気がついて事なきを得た。

 ローター外してベール返しの輪っかを外してみると、なんとこの「アトラスⅡ」ボールベアリングレス機のようで、鉄系っぽいスリーブが填まってる。っていうか固着して抜けねぇんでやがる。見えてるのが単なる蓋でその下にボールベアリングが挟まってるってことはないと思う(違ってたらゴメン)。ていうかこの位置に填まってるスリーブが固着して回らないのになんで固いとはいえローターが回ったのか?ローター軸のギア上部のネジ山はスリーブの上に乗ってる1枚のステンレスワッシャーの填まる位置まで切られていて、ローターを回して止めてしまうとステンレスワッシャーを挟んでローターとスリーブが固定されるはずで回るような構造に思えないんだけど、なぜか現実にはステンレスワッシャーが回る隙間ができてて回ってる。やっぱりスリーブの下にはベアリング入っててローター軸のギアが下から押し当てられる形で回るとかか?それでもローター、ステンレスワッシャー、スリーブ上面が固定されてることを”無し”にはできないはずだけど、サッパリ分からん。なんか重要な見落としがあるんだろと散々考えつついじり回して、ローター軸ギアの上部のネジ山が終わる根元はそこから微妙に太くなってて、引っ張ると太い部分がほんのちょっと出てくる。なので実はその上にワッシャーが乗っかった状態でローターと固定される形になってて、ほんのちょっと上下する隙間でワッシャーとスリーブの隙間ができてそこが接しつつ回転してる、のかなぁと思うけど自信がない。スリーブの上には擦れた跡があるのも傍証だと思うけどはたして正解なのか。まあ、理屈が分からなくて回ってくれないのなら困るけど、事実として回ってるので困りゃせず、その昔、航空力学的にクマバチは”飛べる理屈がない”とされてたけど、実際には自由自在に飛び回っててクマバチ困ってなかったのと似たような話か?ちなみにクマバチの件は後生、虫のような小さい物には空気の粘性が相対的に強く働くことを織り込むとちゃんと飛べる理屈が成立すると分かったそうだ。

 ちゅうことで時間食ってしまったけど、続きの作業に進む。

 ドラグはまだフェルトワッシャーが採用されておらず、皮?1枚に赤いファイバーワッシャー2枚の構成だけど、すでに3階建て方式、ラインローラーも真鍮スリーブ入りと、後の大森方式に繋がっていく丁寧な作りでそのへんは機能的に困りそうな気がしない。

 固着部分は仕方ないとして、バラせるだけバラして、パーツクリーナーかけて歯ブラシシュッシュと磨いて乾燥させて、売ること想定でABU純正グリスでグリグリとグリスシーリングしてやって整備完了。

 しかしながら、これが軽やかに快調に回ってくれない。ゴリゴリって感じで明らかに引っかかる感触はしばらく回してたら無くなったんだけど、それでも重く軽快とはほど遠い。もし1台しか買ってなかったら「ウォームギア機でボールベアリング無しなら多少重くてあたりまえか」と納得してたかもしれない。回らなくはないんだけど普段ウォームギア機愛用しているワシからしても重い気がするし、もう一台が軽やかに回ってるので、明らかにこの個体は巻きが重い。回してローターが一定方向に来ると重くなってるように思うので、主軸が曲がってるのかと主軸抜いて様子見たり、理屈が分からんかったローター関連があやしいかとローター外して軸突っ込んだ状態で回してみたりして、どうも原因はローター軸のギアかそれがハマってるスリーブが傾いてるか偏心してるように思える。そんなもんワシどうにもできひんがな。個体差があるのか、以前の持ち主が壊したのか分からんけど、この時代は流石の大森製作所もまだそこまでギア作る精度とか高くなかったのか?それもワシのような素人では判断できかねるところ。

 まあ、使えないってほどじゃないと思うけど、こりゃ売るとき「巻き重めです」って書いたら買いたたかれる要素になるやや残念な子。まあ売らずに1台は持っておくか。小さくまとまってて見た目可愛くて良いリールなのは確か。もう1台は絶好調なので下手に触らずラインローラーとかの外回りへの注油のみにしておいた。

 釣り具全般、売る方は一向に進めておらずリール増えるばかりなんだけど、売らないのは今古いスピニング全体に値段が付いてないからってのもあって、”長寿命ベールスプリング”販売後に値上がると読んで購入したABU「カーディナルC4」は全然値段上がらないので、結局長寿命スプリングを組み込んだ上で”釣りのうまい人”が正月休みに実家方面で根魚釣りする用に進呈した。三陸の冬は寒くて瞬間的逆転防止機構はグリス固まって効かなくなったりするダ。ラチェット式が結局信頼できるダ。ちなみに写真下はローターブレーキ装着例。左下に写ってるベールリターンの蹴飛ばしの爪を、マジックテープがやわっと押さえることで、こねて投げたときとかにハンドルが回って、ローターが回ってベールが返ってしまうのを防止するという仕組み。なきゃないでちゃんと捏ねずに真っ直ぐ投げてれば良いだけだし、ワシのような左手でサミングしてベールをハンドルじゃなくて手で返す投げ方もできる場合、蹴飛ばしの部品を取っ払って”マニュアルベールリターン”機に改造してやれば根本的な問題解決になるので、あっても困らないぐらいの機能かなと個人的には思う。

 そういう冷え込んだ中古リール市場において、妙に値が上がってるリールがあって、一つはPENNの小型機で、716z、420ssあたりは以前から1万円以上してたけど、最近、714z、430ss、4300ss、4200ss、430ssg、420ssgあたりもそのぐらいはしている。箱入り美品だと2万円超えとかのもチラホラ見受けられ714zボロめので良いのでもう一台ぐらい欲しいんだけど手が出ない。世の釣り人もやっとPENNスピンフィッシャーの素晴らしさに気が付き始めたのだろうか?何万円もするようになったら使ってない716zとか売ってこれまでの赤字を補填したいけど、基本的に小型機は使う分しか確保してないので、売れる弾って限られててあんまり儲けにゃつながりそうにないなとは思う。

 もう一つへんな値の上がり方してるのは稲村製作所製のインスプールスピニングで、稲村製作所がダイワに吸収合併された後に出てた「7250HRLA」の元ネタらしいロディーブランドの稲村製インスプールスピニングが開始価格は安く出てたので、出来心で2200円ぐらいで入札しておいたら、そんなヌルい代物じゃなくなってるようで、1万5千円近くまで競り上がってた。なんじゃこりゃと思って”稲村製作所”や”ロディー”で検索して値段の相場見てみると、モノによって全然違うようで一部の機種だけ値段が高騰しているんだけど、それがどういう機種なのか法則性が全く見えない。だれぞ有名人が雑誌で紹介したとかか?一時期狙ってたけど回転バランスがブルンブルンだと聞いて諦めたロディージャイロとかも2万近くしてたりする落札結果もあるのにネットフリマで安売りされてたりもして、何が何だか分からない状況。この混沌を味方につけたならば、積もりに積もっている累積赤字を解消する起死回生の一打が打てるのではないか?とか山っ気を出すと、またぞろ使いもせんリールが蔵に積み上がっていくだけなんだろうなというのは薄々分かってはいる。分かっちゃいるけどそれはそれで稲村製作所のリールも一回ぐらい触ってみたいなってのもあって、良い出物があったらマウスが滑ってしまうのを止める自信がない。

 皆様、古リールを売り買いして儲けを出そうなんていうのは、知識も経験も充分にある本職のアンティークタックル屋さんの仕事であり、素人が浅はかな知識で手を出しても、小豆相場に手を出す材木問屋の若旦那のごとく、痛い目に遭うのはほぼ確定事項なので、中古リール買うのは良いけど、それは「欲しいから」っていう心の叫びに従ったものだけにしたほうが健全で懸命だとおもっちょりマス。欲しいリールを買ってる分には少なくとも手に入れた喜びやら整備して使う楽しみは得られるけど、儲けようとかいやらしいことを考えた途端に、”スピニング熱”程度で済まずに酷い火傷を負いかねないので、くれぐれもお気を付け下さい。

 と自戒を込めて書き付けておこう。

2021年12月11日土曜日

ナマジ義体化進行中

 一番大事な釣り道具は己の体、とは良く言われることで、竿が折れようがリールが壊れようが金だしゃ代わりは買えるんだけど(たまに代えがきかないぐらいに釣り人と深く繋がってしまう釣り具もあるようだが) 、自分の体は、さすがにまだ買い換えできるような医療技術を21世紀初頭現在のホモサピエンスは持ち得るに至っていない。IPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った膝関節の軟骨組織移植による治療の治験が始まったとか聞くので、そのうち我々は古くなった膝関節をそっくり新品に入れ替えるような医療技術の恩恵に与ることができるようになるのかもしれない。

 とはいえ、それを待ってはいられないのが”腕で釣らずに足で釣る”を自認する釣り人であるワシの事情。老後足が不自由になることも想定して、それでも釣りができるようにと小物釣りだヘラ釣りだを習得してきてはいて、この紀伊半島でもそれはアジ釣りにハゼ釣り、鮎の毛鉤釣りだので生かせているんだけど、基本ワシはルアーマンで一番情熱を注いできた釣りモノがシーバスともなると、1箇所で魚回ってくるのを粘って待つような戦略とは真逆の、障害物、人工構造物、護岸、岸際、流れの変化、魚が付く場所を絞り込んで近距離戦で短時間一発勝負を繰り返しつつ場所移動して足でチャンスを稼いでいく”近距離特化型”のシーバス野郎なので、足が使えないと商売あがったりである。

 にもかかわらず寄る年波もあるんだろうけど、昔バイクでこけて裏十字靱帯損傷して、いまでも突っ張るとたまにカクンとなるような左足を長年かばって無意識に右足を酷使してしまっていたのか、寒くなってくると右膝がジクジクと痛み出して、作戦を練るときなど、膝の具合を考えてガッチリ川に立ち込みするのは1日だけにして、他の日は護岸の上から釣ったりとか、自分の今ある膝でやれるようにやるというのを考えるしかないとは覚悟している。

 覚悟してるんだけど、条件の良い日が続いたり、読みが外れて「しまった今夜じゃなくて明日の晩だったか!」ってなることなんかもあって、無理を承知で膝を酷使することも正直ある。あるけど良いわきゃないくて、そのあと膝が明らかに消耗した感じになってグジグジと痛みが出たりする。

 これまで膝サポーターはママさんバレーの選手が良くしてるような膝を優しく加圧して締めるような「バンテリン膝サポーター」というのを、川崎にいてジョギングしてた頃から愛用しているんだけど、これは膝暖めつつ締めて膝の痛みとかを緩和する感じで良い製品なんだけど、不安定な石ゴロゴロの河原を歩いてて足がズルッと滑って膝にグニッと変な方向の力がかかるとかは防げるようなものではない。まああんまりガッチリ固めてしまうと骨折時のギプスのように松葉杖が必要になってくるはずで、通常の膝の曲げ伸ばしを確保しつつということならそんなもんだろうなと思ってた。

 ところが、ちょっと気になる膝サポーターがあって、一年納めの大相撲九州場所、全勝優勝を決めた横綱照ノ富士関はワシ勝手に膝痛仲間認定してるんだけど、両膝ガッチリサポーターで固めてあって痛々しいんだけど、その膝でまさに横綱相撲というような力強い取り口で相手の相撲を受け止めて打ち負かしていた。どうも膝の外側と内側から挟むように、金属か樹脂かプレートが入ってて膝をぐらつかないようにガチッと固めつつ、プレートにはジョイントがあって膝の曲げ伸ばしに対応して曲げられるように見える。それこそ昔左膝を怪我したときに利用した医療用のコルセット?は関節が曲げられるようになってたけど、それのスポーツ版みたいなのがあるらしいなと思って、アマ○ン様で探してみると、やっぱり膝痛仲間は世界的にも多いようで、怪しげな安物から、その分野ではトップブランドらしい有名スポーツ選手が使ってるようなヤツまで各種存在する。これはいっちょ試してみるかと高すぎず安すぎずで3千円ぐらいのを購入してみた。

 構造としては、ネオプレン製のサポーターの左右に”関節”付きの板が入ってて、右の写真だとオレンジでお絵かきした位置ぐらいに入ってるんだけど、この板をガッチリ固定する感じで、まずはネオプレンの本体をマジックテープで膝の上下で止めてから、さらにマジックテープの付いたベルトで縛り上げるという構造で、だいたい想像していたとおりの代物で結構しっかりと固定される。

 もちろんしっかり固定されると、膝の自由度はある程度阻害されて、深くは膝を曲げることができなくなるけど、まあそういう目的のものなので自由度を上げれば膝を守れず、膝の守りを固めるならば膝関節はある程度固まってしまうというのは仕方がないことだろう。

 でもって、実際にサポーター装着して先日の雨のシーバス3連戦のうち立ち込んだ2日は装着した上でウェーダー履いて立ち込んできたんだけど、まずは自転車が意外に漕ぎにくくて難儀した。自転車ってそんなに膝曲げてない印象があって、サドル高めにしたら大丈夫だろうと思ってたけど、思った以上に膝の曲げ伸ばしはあるのね。曲がりきらずに膝裏にサポーターのベルトがグイグイ押しつけられてちょっと痛かった。仕方なく2日目はややベルトの締めをゆるめにしたら大分改善した。

 肝心の2日川を歩き回っての塩梅はどうかというと、良かったように思うんだけど、完全に膝の痛さから開放されたとか、そんなことはそもそも期待していないけど、明らかに効果ありと断言できるほど明確には違いが分からんかったというのが正直なところ。ただ、不安定な石ゴロゴロしてる川底で足の裏がズルッと滑って膝がグネッとなることはなさそうな安心感のある固められ具合で、それだけでも悪くはない。そして2日川を歩くとだいたいその後にジクジクと痛むんだけど、今回はそれ程は痛くなかったので多分効果あったんだろうな、という感触。今年は川歩くのはおしまいかもだけど、来年も引き続き使ってみて効果を評価していきたい。けどまあ、悪くはないんじゃなかろうかと今のところ思っている。結局、完全に膝の痛みから解放されるような魔法の道具なんてのはあるわきゃない、って話でそう考えると照ノ富士関も膝痛くないわけがなく、横綱土俵入りでせり上がるときに膝しっかり曲がってないぐらいにガッチリ固めてある中で、にもかかわらず取れる相撲を取って勝ってるってことである。立派。ワシも横綱相撲まではとらんでもいいので、騙し騙し川歩いて行くぐらいはやれなきゃ嘘だろと思う。

 IPS細胞で膝関節入れ替える未来もSF的だなと思うけど、膝関節をある種の”機械”で補助するってのも、人体の機械による強化って考えると、攻殻の草薙少佐とかEDENのソフィアみたいな脳以外”全身義体化”のサイボーグまでいかないにしても、かなりSF的だなと思わなくもない。今現在ワシの体は膝サポーター装着時には、膝機能を一部代替し補助する膝サポ約366g、目の機能を補助する眼鏡約21g、歯の機能を補助する詰め物はさすがに測るのは無理だけど多分数g、服も体毛を補助するって考えればそうだし、靴も足を補助してるけど、さすがにそれは人類ともう何世紀もともにあり”義体”っぽくないので勘定に入れないとすると400g弱の”義体”を体に組み込んでおり、約60キロの体重に対して大雑把に0.67%程度の義体化率である。ワシの体はまだ99%以上自前のものであり死ぬまでにどれだけ義体化率が上がっていくのか分からんけど、脳以外を義体化するような未来には21世紀とはいえまだまだ遠いんだなと実感する。

 というわけで、自分の体はいまだ代えの効かない釣り道具であり、大事に使っていかねばなと思うのであった。でもまあ、道具なら使えるウチに使って使い切らなきゃならんとも、これまた思ってしまうのである。

 明日膝が壊れてしまうとしても、今日魚が釣れると己の”ゴーストが囁く”のなら、釣りに行かずにおらりょうか?

2021年12月4日土曜日

ICBMは大陸間弾道弾、CCBCOは小川の小魚餌屋

  リールをモリモリと購入していた間、ルア-熱のほうは落ち着いていたかというと・・・

 そんなことはなかったんじゃ~っ!しっかりそっちはそっちで泥沼じゃったんじゃ~!!

 ということで、合併症でエラいことに。あぁエラいことに。

 事の発端は、秋のシーバスあんまり調子よくない状況が続いてた時、ルア-同じもの投げてるだけだと退屈なので、なんかいつもと違うルアーでも投げてみるかっていう”いらんこと”を思ってしまって、まあ主戦場のA川では「コモモスリム95」と「ワンダースリム70・90」が堅いんだけど、要素としては動きすぎずに静かすぎずという感じのユルヨタなやる気なさそうな泳ぎ下手くそな感じが共通で、泳ぎ下手クソ系?のルア-をと考えたんだけど、当然ながらコモモの真似したような各種リップレスミノーは該当するはずだけど、それならコモモで良いじゃんという気がして、コモモの後発系は除外。シンペン系は海爆リップレスやらフラッタースティックもあるし、これまた今あるので良いじゃんという感じで却下。となると、泳ぎ下手なルア-って何がある?って考えると昔のダイワ「ロビン」とかの古い日本のルア-とかも考えたけど入手が難しくて断念。

 そして、まああれだよリップレスミノーってスリムな水面直下系は”コモモ以降”に雨後の竹の子みたいにニョキニョキ現れてきたとしても、リップがなくて頭斜めに切ったプラグって古くからあって、以前試したフラットフィッシュのようなトローリングプラグは投げて使うのには使いにくくて今一だけど、ダーターに分類されるようなルア-は、泳ぎ下手な感じで、ワシ、バス釣り少年時代もバスオレノとかこんな動きのモタクサと悪いルア-でどう釣れっていうねん?って正直苦手だったけど、今回は目的に合致するんじゃないかと、そう思ってダーター色々試してみた。いうても我が家にも蔵には各種ルア-転がってて、「バスオレノ」の小っちゃいのとか早速投げてみたけど、バス狙いで水面でチョンチョン動かしてると気がつかなかったけど、あれ引っ張ると結構潜るのよ。立ち込んで狙うA川は浅いところが多くて根がかりそうで却下。同じような理由でブーン社の超ロングセラー「スピナーナ」も却下。まあバスオレノがあるぐらいなのでラッキー13もあるわけで、ワシ唯一得意にしてたダーターがタイニラッキー13なんだけど、バス釣りではダーターっちゅうより小型ポッパーとして使っててポコポコさせてたんだけど、引っ張ってみると割りと良い塩梅に下手くそな泳ぎでかつあんまり潜らないのでとりあえず合格。タイニーとベビーラッキー13は蔵にもまだ在庫がある。ああ良かった、これで安心めでたしめでたしって終わっておけば良いモノを、この機会にダーターをお勉強しておくかとか要らんことを考えてしまい、最初に小さくて使いやすそうなバグリーの「リトルジョン」を買ってみてこれはそこそこ使いやすそうで、これはダーターわりといけるんじゃなかろうか?って思ってしまい、まあダーターちゅうたらその名も「ダーター」なクリークチャブのはおさえといた方が良いんだろうな、と中古探してみたら、これがクリークチャブってバスにパイクにストライパーにと世界記録を樹立しまくったことで有名で米国では深い沼に沈んでる人間も多いコレクターズアイテムらしいけど、日本じゃ、それこそ琵琶湖でタイ記録が出たけどいまだ破られてないラージマウスバスの記録魚が釣られたとされている「ウイグルフィッシュ」(違うルア-説も有り)がちょっと良い値段付くぐらいで、あとは古い木製も最近の樹脂性も単なる中古価格しかついてなくて可哀想なぐらいで、ボロいのまとめ売りしてるのとかガサッと買ってしまった。ダーターが欲しかったんだけど、まとめ売りでボロい「パイキー」も手に入って、見た目がきちゃなすぎるので再塗装してやろうかと思うんだけど、どういう動きするのか試しに投げてみたら、これがすんごく良いのヨ。今時のおとなしめの動きのシーバスミノーやラパラやらロングAやらのキビキビしたミノーの動きとは全く違って、デカい金属リップが水をしっかり搔いてグワングワンと大きく動く。ヘドン社「タイガー」とかに近いけどタイガーが水面系であまり潜ってかないのに対して、そこそこ潜っていく感じ。これはこのルア-が効く場面って、具体的には思いつかないけど絶対あるよなって根拠もなく思ってしまって、パイキーにまで飛び火して落ち着くまでしばらくかかった。パイキーはGTロッドで投げる馬鹿デカい大きさのは持ってたけど、そこまで大きいとグワングワンとまではさすがに動いてくれないのでイメージと違った。

 まったく、余計な買い物をしてしまったわい。ちなみに目的のダーターは投げてみたけど可もなく不可もなくという感じで、まあたまに投げてみても良いかなぐらいだった。ので、ダーターもっと他にないかなと地球丸の「バスルア-・カタログ」を眺めてみると、意外なメーカーがダーター作ってて、ラッキークラフトの「マラス」っていうのがポッパーとクランクとダーターの混ざったようなダーターで中古の値段調べたらこれも安かったので買ってみた。これはまあまあ合格かも。若干泳ぎ上手すぎるけど水面直下引けるのは高得点。

 ということで、ダーター合格はリトルジョン、タイニー&ベイビーラッキー13、マラスということでよろしくって感じに一応落ち着いた。ボロパイキーの再塗装はグラスアイの復元からやってみようかと思ってて上手いことできたらまた報告したい。

 でもって、”ダーター熱”こじらせて”クリークチャブ症候群”に罹患してしまってたんだけど、同時進行で”マジェンダ固定重心不安症”も発症してて、まあN川の護岸の上から1匹スズキ様釣って、在庫まだあったよなと蔵をゴソゴソしてみたら、あったんだけど半分ぐらいは重心移動になった後期版で、これは固定重心版を補充しておかねばと思うんだけど、「写真で判断して下さい」って書かれてても見た目では区別がつかんので、質問欄で「固定重心版が欲しいんですがこれはどっちでしょう?重心移動だと前後に振るとガコンとオモリが移動します。固定重心ならラトルがカラカラ鳴るだけです」と確認をお願いして、固定重心なら買うンだけどネットフリマはそれでいけるんだけど、ネットオークションは質問とかして下手に興味もたれてしまい落札価格が上がるのが不安で、今時わざわざ固定重心の古いダイビングミノー欲しがってる人間なんてそうそう居ないって薄々わかってはいるんだけど、とにかく手に入れることが優先という感じのおかしな症状がでてしまっているので、とりあえず買ってみて届くと振ってみてガコンとオモリの玉が前後する音にガックリしたりしたのであった。まあ、その場合ドリルで穴開けて移動する方のオモリの玉を接着剤で固定してしまえば良いんだけど、面倒くせぇよねって話。ついでに固定重心のダイビングミノーでラトル入りというのが共通で使えそうな感触の「スティッキーJr2」も買い増し。マジェンダは下段のが重心移動版で、最後の方の製品はカラーも違うし目も立体になったので区別できるけど、上段と下段の火虎(ファイヤータイガー)色のを見てもらえば分かると思うけど、それ以前のは見た目的には一緒で写真じゃ分からんのよ。

 足下の流れ込みの護岸際狙いで、投げる(というより下手から振り込んでる)距離なんて5mで引いてくる距離4mとかの超々接近戦では重心移動が戻って立ち上がって動き始めるのに40センチ使ってしまえばチャンスが1割減ってしまう。近づくのは真上に陣取っても良いぐらいだけどルアー通すのは護岸舐めるように際を攻めないとダメで50センチ離れたら食ってこんかもしれんっていう状況でなるべく近くに寄って正確に投げることが重要、そんなときには重心移動は邪魔でしかなく固定重心であることに意味があるのよ。って信じて投げられる(振り込める?)のが大事。

 てな感じで、チャブって欧州や北米大陸のコイ科小型魚らしく北米に”クリークチャブ”って呼ばれる仲間がいて、日本語だと「ハヤ」とか「ハエジャコ」的な位置づけの魚のよう。クリークチャブベイトカンパニーはそういう小魚的な疑似餌を作ってまっせな会社で、そのあたりのルア-を中心にアレコレ脱線しつつ行かせていただきました、”ルア-図鑑うすしお味”第50弾でございました。

2021年11月27日土曜日

古き良き亜米利加

  ヘイ!ガイズ!!コロナもジャパンじゃ小休止だし、元気よく釣りしてるかい?ワクチン打ったからって油断はできないけど、海に川に飛び出そうぜ、カマーン!ジョイナス!!間違っても海に川に飛び込むんじゃないゼ、もうジャパンは冬間近だからな、ワッハハハッー!イッツ、アッメリケンジョーク!!

 なんだって?ワクチンには5G通信に接続するナノマシンが混入されてるって?ハッハッハー、じゃあ今のうちに接続後はどこのプロバイダに加入するのがお得なのか考えておかないといけないな。イエース、イッツ、アッメリケンジョーク!! U.S.A.! U.S.A.! U.S.A.! オーイエェー!!

 ・・・・・・。

 あれですね、陰気な日本人が陽気な米国人っぽい文体を真似するのは難しいですね。冒頭だけでドッと疲れてしまいました。日本人は陰気にネチネチと粘着質に島国根性丸出しでいくのが性にあってますね。って日本人というかワシ個人の資質なんだろうけどな。

 というわけで、シェイクスピア社「2052EC」はメリケンリールです。とりあえずいつもの儀式でご説明おば。シェイクスピアブランドのリールっつってもこれまで取り上げてきたのは、大森製だったり、どっか分からん国製のだったりして、ワシ、メイドインUSAのクラッシックなシェイクスピアは始めて手にしたわい。どう見てもPENNの「714z」とかダイワの「8100」あたりに見た目似てて、ウォームギアでフロントドラグの単純明快なインスプールスピニングということで、影響をうけたというか後発のが真似したんだろうなという感じで(スピニング自体はPENN700シリーズは1961年からで先行してるッポイけど小型機は2052とかが先か、互いに影響しあってるのか?8100はPENNの技術協力あったとか)、前々から気にはなってたシェイクスピア2052シリーズは、赤紫というか小豆色というかな色合いも独特の雰囲気で、シリーズは部品の材質とかハンドルとかスプールの色とか微妙に変えながら「EE」「EC」「DA」「DC」と60年代中頃から70年代終盤まで作られた結構なご長寿シリーズのよう。シェイクスピアって70年代に大森製作所とかにリール作らせるようになってからは本国生産はしてなかったと思ってたけど、本国製の高級機種?も並行して残ってた時代もあったようである。もいっちょ大きめの2062シリーズやシェイクスピアが吸収した「フルーガー」ブランドで出てる銀色の同型機なんかもあって、古い米国製スピニングをというときにPENNを除くと、多分これが代表的な機種なんだろうなと思って、まあPENN710系と似てるんだろうなとは思いつつ、ジャンクな出物があったら手に入れようとは思ってた。

 正規輸入はなかったのかもだけど、一つ大きい2062シリーズの「2062NL」ってののデッドストックがまとまった数日本の中古市場に流れ込んでいて、新品箱入りで買えたりしてたけど、それなりにお高いので新品だと使うのためらわれるしでパスしてると、日本じゃ人気機種でもないので中古の程度悪いのというとそもそも売れないだろうから、なかなか出てこない。しかし今回、見た目良さげなしかも値段付く小型の方である2052系の個体がネットフリーマーケットに4500円という綺麗なヤツの相場の半額程度で出ていて、オヤッと思って見てみると、写真で分かると思うけどスプールを乗せてる台座の上の樹脂性ブッシュが縦にも横にもに割れていて「ドラグ締めてもスプール回ります」っていうジャンク状態なのでこの値段らしい。スプールを乗せている台座のブッシュ、ドラグが出てスプールが回るときに捻るような形でけっこうな力が掛かるらしく、ワシ初めてのスピンフィッシャーである5500ssは、ギアは交換したことがないけど、やっぱり台座のブッシュが割れてドラグ締めても回っちゃうようになって、主軸交換したことはある。後年、「ミスティックリールパーツ」さんで、予備を買っておこうとしたら、5500ssの主軸は欠品で、5500ssは日本だとドラグ効かせまくって釣るシイラ・カツオなんかが対象魚になるけど、多分本国でも同じようにドラグを使いまくって台座のブッシュが金属疲労起こす大きさの対象魚釣ってるンだろうなと納得した。そう、5500ssの台座は真鍮製で丈夫な金属でできてるんだけど、それでも割れるのである。そういう部位に樹脂性パーツはあんまりよろしくないという気はするけど、小型機なら大丈夫ではあるのかもだし、樹脂っていっても種々あるからその素材特性にもよるんだろうし(まさしく樹脂である”漆”は保管状態良ければ千年余裕)、経年劣化が原因の一つにはありそうなので、通常の使用年数なら問題ないのかもしれない。まあなにせ古いリールである。

 「力のあまりかからない部位の樹脂製の部品なら素人工作でもどうにかなる」とこれまでも書いてきたけど、今回は力のかかりそうな部品である。ちょっと迷った。迷ったけど、まああかんかったら部品がイーベイで出てくるまで蔵に寝かせておくっていうのができるかなと安易に購入。

 購入してから、教えていただいた「ORCA(オールドリールコレクターズアソシエーション:古リール蒐集家の集い)」という英語サイトで情報収集してみると、やっぱり2052系の樹脂性のブッシュは割れるらしく、その再建方法の投稿が面白く参考になった。さっき書いた2052系の歴史もここから引っ張ってます。初代の初期の方は金属製ブッシュだったそうだけど、その後は樹脂性ブッシュになって割れてることが多いんだそうな。イーベイとか見てても思うんだけど、あっちの人はリールの修理ぐらい自分でする派が多いせいか、どっかが致命的に壊れたリールがあると、分解して部品にして売りさばくっていうのが多いようで、投稿者さんはなかなかに良いリールなのに1カ所壊れただけで部品売りにされるのは忍びないとか書いていて”アンタはオレか?”っていうぐらいに共感を覚えるところである。また、直すのに使ったのがマクドのストローって言うところが、ワシがコンビニ弁当の割り箸でルア-フライ作ったり、リールのハンドルノブ作ったりしたのと根っこが似てるように感じて、洋の東西は変われども、ものぐさな人間が身近な素材で工夫して工作するのはこれまた一緒なんだなと面白かった。

 とはいえ、ストローを型にしてエポキシになんか添加物混ぜてブッシュを完全に新しく作り直してるのは、素人工作というには少々難易度が高く、台にするちょうど良いペン(筆記具の方)の軸があったとかサラッと書いてるけど、中心にズレなくブッシュがハマってないとスプールが回転する際に当然偏心して滑らかに回ってくれず、ドラグがまともに働かなくなってしまう、っていうか程度によってはそもそも回らなくなるだろう。浮子作るときもトップと足が中心軸からズレないようには気をつけて作るけど、浮子は回転するわけじゃないので多少のズレは許容できる。けど、スピニングリールの主軸のブッシュはズレてちゃ困る。

 さてどうしたものか?ブッシュとしてちょうど良い外径のパイプを探してきて、軸の上にスレッドを巻いていってキュッとパイプを填めてエポキシで接着というのが、スレッドを丁寧に巻いておけば中心から同じ厚さで巻いていけるのでまずキッチリ真ん中にパイプを持ってこられる方法だろう。パイプはのべ竿とかの廃品利用でいけばちょうど良い外径に近いのが手に入るだろうし、傾斜が気になるとかで必要ならサンドペーパーで調整してやれば良い。と思ったけどちょうど良い太さのジャンクな竿が我が家の蔵に見当たらなかったので他の手はないかとまた考えた。

 今の割れたブッシュを単純に接着剤で補修したところで経年劣化が進んでるんだろうから、すぐにまた割れるのは目に見えている。であれば今のブッシュに補強を入れてやったらどうだろう?と考えた、樹脂なので熱した針金でもあててやれば穴やら溝やらは掘れる。ただ厚さもそれ程ないので骨格とするための細くて堅い棒が必要で、針金じゃ曲がってダメだろうし、浮子用の細いグラスの棒は強度的にたいしたことないし、焼きの入った堅い鉄系の細いワイヤーでも使うかと考えてたら、焼きの入った堅くて良い鉄の製品が身近にあることに気がついた。裁縫に使う針である。まち針なら別の用途で買い置きがあるし細さも強度も申し分がない。横から熱で溝を掘ってから、そこに適度な長さに切ったまち針を埋め込んで、別途グルッと外周に溝を掘って回転するときにスプールの内側が当たらないようにしておいて、丈夫なセキ糸でまち針を固定するついでに割れたブッシュを巻き止める感じに補強してやる。これなら今ある割れたブッシュの再利用なので寸法の調整は必要ないし芯からズレることもない。経年劣化している樹脂なので今後50年持つような修繕にはならないかもだけど、壊れたら次はパイプ探してきて再建するとして当面の延命措置には充分だろう。

 ということで、まずは現状把握して分解清掃もしておこうとリールをいじりはじめたらいきなり問題発生。問題ありっちゅうドラグは、いったいどうなってるんだろうとドラグノブ外してみると、なんという偶然か、ドラグが外れてこないようにする留め具が直近にいじったD.A.M社「クイック220」と同じ”工場マークの金具”のハメ殺し。こんな形式この2機種でしか見たことないけど、どっちゃかが真似したのか技術協力があったとかなのか?いずれにせよドラグいじりたいならこれ壊さなきゃだな、とクイック220のときは主なドラグパッドは座面に乗ってる直径の大きいヤツだろうからハメゴロしたまま放置したけど、今回の2052ECのは座面に乗ってるのは単なるワッシャーのようなので、場合によっては金具破壊も辞さずと思いつつ、ドラグの効き具合を見てみると、確かにギッチリ締めてもスプールが回る。上の方の写真の様に縦横に割れてて、ドラグのコバン型穴ワッシャーがハマるブッシュ上部が分離して回ってるのは間違いなさそう。ただ、小型リールではこのぐらい締まれば実用上問題ないだろうってぐらいスプール回転に抵抗は生じてて、最大ドラグ力はフルロックできなきゃダメって思わなきゃそれで済みそうな話ではある。そうはいっても本来のドラグ自体がフルロックした状態でブッシュが上下に分離した面だけで滑ってるとなると、直径の小さい1面だけで滑るわけで安定性とかクソもないような状況ではあり、直せるモンなら直してちゃんと3階建てのドラグが機能するようにした方が良いのはいわずもがな。

 ということで予定通りまち針の骨を入れてセキ糸で縛って補強してやろうとしたらば、ここでなぜか一旦填めたスプールが外れなくなってにっちもさっちもいかなくなる。ブッシュが割れた関係でその分太ってキツく填まってしまったのかと力技で抜こうとしても、これ以上やると壊れるっ!という感じでビクともせず、「アッこれ、中でブッシュの上部だけ回ってコバン型穴ワッシャーに引っかかってるな」と気がついたので、ワッシャーとドラグパッドを外してやれば抜けるはずなので、ある程度覚悟してたことだしと、工場マークの金具をこじってブチ壊してでも外そうと、眼鏡用マイナスドライバーを突っ込んだらあっさりと外れた。このへん、填め込んだらキッチリ填まって外れなかった西ドイツ品質と、意外にてきとうに填まっててあっさり外れてくれる大雑把なメリケン品質の違いだろうかと笑える。まあおかげで無事ドラグのワッシャーとパッド外していって、90度ズレてコバン型穴ワッシャーに引っかかってたブッシュ上部を先細ペンチの先で摘まんで90度戻してやって、無事スプールが抜けてくれた。怪我の功名的にドラグ上面の工場マーク型金具のハメ外しは可能なことが判明して、ブチ壊して新たにワイヤーとかでCクリップ的な金具を作る手間が省けて良かった良かった。ちなみにドラグパッドは皮かな?っていう感じの素材。

 とりあえずドラグが乗っかるブッシュを修繕するにしても、汚れや油分を除いてやらねば接着剤等の付きが悪いので、樹脂部品に使えるパーツクリーナで洗ってやる必要がある。ついでにリール全体の分解清掃、グリスアップをと分解していく。
 パカッと本体蓋を開けると、赤いグリスが塗りたくられていて「なんじゃこりゃー(©松田優作)」状態だけど、これバイクとかに使うグリスらしい。2スト乗りは青いグリスで、4スト乗りは赤いグリスなのか?バイクは自分では整備ほぼしなかったので良く分からんが、以前の持ち主にバイク乗りがいたんだろう。でもってちゃんとグリスアップして大事に使っていたと。
 設計自体は、見慣れたウォームギアにスプール上下(オシュレーション)はクランク式、逆転防止はハンドル軸のギア裏に掛ける方式、といたって普通なんだけど、これがなかなかに細かい所を丁寧に仕上げてる良いリールだというのが分かってくる。
 ラインローラーには大森みたいに樹脂性のスリーブが入ってるし、ストッパーの切り替えの根元には防水のためだと思うけど、樹脂性のフチ付きのブッシュが填められているなど、単純ながらも手が抜かれていない感じがする仕上がり。特筆するような特徴的な機構とか一つもないけど、手抜きされた安っぽいところは見当たらず、なかなかにやりおる。

 スピニングなんて、この程度の単純な設計で充分じゃん。っていう感じではあるけど、ギアもステンレスか鉄系?で丈夫に作ってあるし、もちろんハンドル軸も鉄系なのでハンドルはねじ込み式、ベアリングがどうも交換されているようでゴムのシールのタイプだったので、後ほどシール一旦剥がして青グリスぶち込んでやった。ベアリング交換すればいつまでも使い続けられる系のリールだったはずだけど、樹脂性ブッシュの耐用年数が半世紀ぐらいで限界を迎えているようで、そこだけが惜しいところ。だからこそそこだけ直してやれば、まだまだ現役復帰できそうに思う。まあスプールも樹脂性なので、そちらが割れたらさすがに手に負えないけど、まだスプールはしばらく持ちそうな気配。スプール樹脂性だけど芯にはアルミっぽい金属が填め込まれている。整備性は良好で難しいところは何もなくサクサクとバラしてパーツクリーナーとブラシで磨いて、修繕予定の主軸を除いて、青グリス大盛りでグリスアップしておいた。

 そして、一晩乾燥させた主軸、まずは瞬着で仮止めしてから作業を進めていく。
 フライを巻くときに使ってるニードル(ボドキン)は学生時代にまち針の針とこれまた割り箸で作った手作りのものだけど、針を交換しつつ30年来使い続けている。まち針の買い置きがあるのはこの変え刃?用。このニードルがまち針を埋める溝を掘るの熱しても持ち手が熱くならずにちょうど良いので、ガス火で赤く熱してやって樹脂性ブッシュに必要な溝を掘っていく。
 上下の割れ目を継ぐ形で、上から溝を掘ってまち針の先がさらに下にスパイクのように突き刺さるようにちょっとずつ溝と穴を掘っていく。
 これがなかなか正確性と早さが要求される作業で、もたついていると熱した針が冷めてしまって溝が掘れず、慌てていい加減にあてると、溝の位置をとらえられず溝が広くなってしまいカチッと固定できなくなってしまう。”素早く精確に”というのはジジイのプルプル震えがちな手先では難易度が高く”スタープラチナ”のスタンド能力が欲しくなるけど、どうせスタンド能力を矢に刺されて得るのなら、なんでも直せる(ただし失った命は戻せない)”クレイジーダイヤモンド”なら話が早いか?とはいえエンヤ婆にもコネはないので、失敗しないようにちょっとずつ慎重にコトを進めて行く。
 なんとか上手く溝も掘れて、まち針も裏表2本埋めることができるし、上下2カ所をセキ糸で縛るのもできるようになったので、熱で溶かしてできたバリをナイフで削って、まち針必要な長さに切って埋めて、ケブラーのセキ糸で縛って隙間を瞬間接着剤で埋めて固化促進剤で固めて、コバン型穴ワッシャーが填まる切り欠きはダイヤモンドヤスリで平面を出して、ブッシュの外周はサンドペーパーでならして綺麗に仕上げて作業終了。

 スプール填めてみてハマらなかったり回転が重かったりしたらさらに調整必要だと思ってたけど、もともとの部品を生かした修繕なので、1発で填まって、ちゃんとドラグも正常に効いているようでホッとした。
 とはいえ劣化し始めてる樹脂のブッシュなので、ドラグ思いっきり使うような魚には使うの怖いというのは正直なところで、まあシーバスは何とかなるか?と思うけど”ドラグ試験”にボラ釣ってみようっていうのは、せっかく直したのにちょっと心理的に無理。
 ドラグパッド自体も見立てどおり革製だとするとだいぶ劣化してるだろうから、適当な素材で良い塩梅になるようなパッドもそのうち用意してやらねばならん。テフロンで微調整で済みそうな大きさの規格品があったら、小型機だしテフロン湿式が締めてもフルロックしにくいっていうのも安全弁になるし適切か。

 なかなかに良いリールである。っていうか想像以上だった。樹脂製部品の経年劣化はまあ50年後にどうなってるか?新素材で分からんかったんだろうっていうのはあって、樹脂製部品なら最悪再建するのも可能で、今後3Dプリンターが(っていうか使う樹脂のほうか?)性能上がってきてスプールも自作できたりするようになればいいな~って思ってるぐらいで、まあ大目に見ておいて、その他の作りはしっかりしてて、100年使える系のリールである。シェイクスピアのスピニングは大森製の印象が強かったけど、本国生産の自社製品もなかなかどうしてやりおるわい。
 とはいえ、まあややこしくないウォームギア機という点では、PENNスピンフィッシャー714zとかとまるかぶりで、かつPENNの方が耐塩水特化で丈夫な点では点数高くて、正直我が家では出番はわざわざつくってやらねばなさそうで、売るにしても”割れた樹脂製ブッシュ補修有り”だと買いたたかれるのは目に見えてる。まあ出番作って愛でてやるか。
 大きさ的には写真の様にまさに714zと同等で、スプールの直径は714zよりちょっと小さく、716zよりは大きい感じ。使うなら2号ナイロン巻いてアグリースティックエリートと組ませてシーバスだろうな。そうするとなんと竿とリールがシェイクスピアブランドで揃う。我が家のタックルでは珍しいことで、他にはPENNのごっついグラスロッドに9500ssの組み合わせぐらいしかない。

 という感じでしたおしまい。ってなればいいんだけど、そうはならないのが病気の怖いところ。アタイ、病気が憎いッ!
 「2062DA」新品箱入り娘、買っちゃいました。
 ネットオークションに開始価格8000円で出てて、「NL」の新品箱入りたくさん出回ってたころには1万5千円ぐらいしてたので、だいぶ値段下がったじゃんと、8千円で試しに出来心でつい入札しておいたら、入札ワシだけで落札。送料含めて8770円は高くはなかったと思うけど、ワレ、ジャンクでそのまま放置しておいたら燃えないゴミ行きのリールを直して使えるようにして、また中古市場に放して、まだ使える良いリールを次の持ち主の手に届けたいってのが”タテマエ”じゃなかったのかヨ?新品箱入りってどうよ、自分で使うにしても傷つけるの怖くて使えねえジャンよ?と思うけど欲しいと思ったらマウスが滑るのを止められないのである。それが”スピニング熱”の症状の怖いところ。
 なんかしらんけどメッチャ欲しかったんじゃ!仕方なかったんじゃ!!
 2062DAは問題のスプール座面のブッシュは金属製。スプールも金属製。箱入り新品は現状維持で触らないほうが価値があるらしいので、グリス乾いて固化してちゃんと回らんぐらいなので綺麗にして青グリスぶち込みたくなるのをグッと我慢して分解整備は当面しないけど、まあ見た限り100年使える系のリールである。某社が自社のリールを100年快適に使えると吹聴してるけどあんな特殊な素材使ってて100年それが供給されるわけねぇだろと常々思ってる。自社で面倒見るつもりなら志は立派だけど、失礼ながらこの流転の時代に御社が100年後も存在するか?ワシャ極めてあやしいもんだと思っちょります。
 まあ、箱入りで買うと説明書とか色んな情報が手に入るのでそれは良いところで、箱書きには商品名ワンダーリール「2062NL」となってて、オークションにもその名ででてたけど、本体にはしっかり”DA”の刻印あって箱流用かよ?ってあたりから既に面白い。多分この個体だけじゃなくて他の「NL」で売られてたのも「DA」だったんだと思う。
 説明書(裏に展開図)はこの時代らしい丁寧な作りで、往時のABUの小冊子ほどではないにせよ、投げ方とか巻き方、ドラグ、ストッパーの使い方から写真で丁寧に教えてくれていて、この1枚でこのリールで魚釣るのになにも困らんようになってる。ワシ的に評価高いのはメンテナンスの方法が4ステップにわけて詳しく説明されている点で、さらには加えて塩水で使ったらお湯と優しい洗剤?で洗ってしかり乾燥させてCRCかけておくと良いよ、ってあたりも実に親切。自分の道具ぐらい自分で手入れするっていう彼の国の人達の道具に対する姿勢も表れているようで趣深い。リール分解させないように”意地悪なネジ”使ってる我が国大手メーカーとそれを良しとして甘んじて受け入れてありがたがっている我が国釣り人とは好対照。でも世界でも日本製リール売れてるようだし今どきの釣り人はっていうか釣り人に限らず「オマエらは与えられたモノを中身も知らずにありがたがっとけば良いんじゃ」っていう感じで”飼い慣らされ”ててなにも疑問を感じなくなってきてるのかもしれんね。デキの悪いディスとピアもののSFじみてきたなと思う今日この頃。だからこそ、部品数60もないような古き良き米国のリールにたまらなく惹かれるモノがあるのかもしれない。大きさ的にはABUカーディナルC4級なんだけど、単純な分ちょっと本体が小さめにまとまっててシーバスに使ったらPENNの714z的なスプール大きめ本体小っちゃめ丈夫な感じで、かなり使えそうな気がする。やっぱりこいつも714zと似てる。じゃあ714z使っとけよだけど、他のリールも使ってみたいのよね~病気だから仕方ないのよね~。とはいえ新品箱入り娘に手を出す時にゃ親の承諾得にゃならぬってぐらいで、こいつは使い難いのでまたジャンクが出てくるのを気長に待ってみたい。まだ買うンかワシ。あと、説明書の他に1枚修理とか対応してくれる営業所の一覧と宣伝の紙が入ってて、全米各所に営業所があった販売網の規模に改めて米国市場の大きさを思い知らされると共に、シェイクスピアブランドでゴルフクラブやアーチェリーの道具も作ってたと知って、手広くやってたんだなと今はピュアフィッシング傘下でブランドを残すのみとなった現状も知ってるから盛者必衰の理を感じてしまう。今あるメーカーも10年後どうなってるのか、そもそも”釣り”がどうなってるのかワシには読めん。良いもの作ってた会社が残ったわけでもなんでもないという歴史を鑑みて、ましてや売らんがためにクソしょうもないものを売りつけて市場縮小にいそしみ自らの首を絞めてるようにしか見えないとこがどうなるかなんて知ったこっちゃないけど、案外そういうところがしぶとく生き残るのも、これまたあってもおかしくはないのかも。

 これまで、日本、スウェーデン、フランス、西ドイツ、イタリア、イングランド、アメリカ、中国、韓国、マレーシアと各国製のリールをいじったり使ったりしたけど、今回のメイドインUSAのシェイクスピアもいじってみて、結局自分は米国のリールが好きなんだなというのがおぼろげながら認識できたところである。アメリカンリールの丈夫さと、なんというか奇をてらわない”これで充分感”がとどのつまりは好きなんだろうなあと思う。あるいは「釣り場でPENNで困ったことがない」っていう単純な経験則から来てる話なのかもしれん。いろんなブランドのリールいじるのは楽しいけど、最終的にはワシャ”PENNで充分”だというのは実は心の底から分かってはいるのであった。分かっちゃいるけどそれでも色んなリールに手が出てしまうのであった。オーマイガッ!

2021年11月20日土曜日

ナマジ式マアジ螺旋仕掛け用コマセVer.4

 ナマジ秘伝のコマセには歴史がございます。今日は特別に皆様に、そのマル秘の製法を公開しちゃいます。っていうネタに一体どれほどの需要があるのか、疑わしいところではありますが、ま、世の中には変わった人もいるから、そういう人が「これぞ私が求めていた情報だ!」と喜んでくれるかもしれないので書いてみたい。少なくとも物忘れが激しくなってきた自分の備忘録にはなるさね。

 ワシのアジの釣り方は独特で、以前にも紹介しているけど、コマセ効かせながらののべ竿での餌釣りという、いわゆる”延べアジ”っていわれる釣り方の範疇なんだけど、コマセの量をけちりつつ必要な棚で効かせるために、”コマセ螺旋”というアユの餌釣りの「浜松式」と呼ばれる釣法でつかう簡易な”コマセカゴ”的なものをつかうのと、水中での魚の挙動とかが読みやすい自作ヘラ浮子と状況に対応するための頻繁なハリスとハリの交換で釣る、ヘラ釣りの応用のような釣りに加えて、魚を表層に湧かせて見釣りで数を稼ぐタナゴ釣りの応用的釣りで釣っている。いずれの釣り方も、コマセが適度にまとまって指で千切ったり螺旋に付けたりというのがやりやすく、水中では適度にバラけるけど、棚まではある程度持つ必要があるので、試行錯誤を繰り返しつつ徐々に改良を加え、今のところ自作のコマセは申し分ない使いやすいものになったと自負している。以下その試行錯誤の経緯など。

○Ver.0:アミコマセ単品 最初はアミコマセを単品で使っていた。魚を寄せて活性を上げる能力的には申し分なく強力なんだけど、いかんせんまとまりが悪いのでコマセ螺旋に付けにくい。かつ単価が安くはなくて、レンガ大のブロック1つで最近ちょっと値上がりして500円もしている。コマセカゴでバンバン撒くと2、3時間で1ブロック使うそうだけど、ケチ臭くコマセ螺旋に絡ませて使っても、5回の釣行ぐらいで使い切るのでどうにかならんのかとは思っていたけど、とりあえずコマセとしての能力は高いのでしばらくは我慢して使っていた。 

○Ver.1.0:アミコマセ+グルテン しかしながら、どうにも塩梅が悪い状況が生じてしまう。内側船だまりで5.4m竿で提灯にして深棚を狙ったとき、浮子が折れまくったり仕掛けが切れたりという長竿ならではの不具合も生じていたけど、コマセの方も浅い棚でバラけてしまい深い棚まで届いていない、という不具合が生じてしまっていた。なので、ヘラ釣りやってた人間の発想で、グルテンを混ぜて粘らせて棚まで持たせた。効果としてはあったんだけど、アミコマセに加えて市販のグルテンを使うとなると、またその分経費が掛かってきて、”オカズ釣り”という「遊びでやってるんじゃネェ」って言いつつ遊びでやってる釣りだとしても、あんまり金かかるなら、スーパーのお魚コーナーに行くたびに敗北感を感じてしまうことになりかねないので、経費削減策が求められることになった。この地ではアジなど1パック2百円かそこらで買える。

○Ver.2.0:アミコマセ+アジのアラ+糠 アミコマセが単価が高いので、とにかくなにか増量剤を混ぜ込んでしまえとなって、この地ではチヌのダンゴ釣法”紀州釣り”が盛んなので、米糠は釣具屋で手に入れやすい上にクソ安い。コレを主体に、アミコマセを配合しつつ、さらにアジの刺身とかを作ったときに余る頭とワタと皮などのアラを猫様用から流用して増量剤として使ったところ、格段に安上がりでコマセとしての効果もそこそこ高いものができあがり、このVer.2.0は割と長い間活躍してくれた。バラけやすいのが良いときもあり悪い時もありで、バラけて煙幕状に散って広範囲の魚を反応させる点は良かったけど、深棚を狙うときは、またれいによってグルテンを混ぜてまとまるようにしてVer.3.1にバージョンアップしてやらねばならず、ちょっと面倒くさかった。 

○Ver.3.0:アミコマセ+アジのアラ+パン粉 紀州釣りほどは米糠の量を使わないので、糠漬けも売ってる八百屋さんで少量売りの米糠を買うようになってたんだけど、たまたま米糠が売り切れてたときに、「放課後ていぼう日記」ってアニメでアミコマセの増量剤としてパン粉を使ってたのを思い出して、早速スーパーでパン粉買ってきて糠の代わりに使ってみたら、これがとても良い。なんといってもハンバーグのつなぎに使われるぐらいで、アジの頭のミンチとかアミコマセとかがまとまって、まさにハンバーグ種のようになって扱うのが楽になった。摘まんで千切って螺旋に付けるのも、そのまま足下に落とすのも非常に簡単。そして水中では適度に持つけど、ある程度魚が突いたりするとバラける。コマセ螺旋仕掛けだと、棚まで螺旋が届いて浮子が立ったら、縦誘い気味に仕掛けをヒョイヒョイとしゃくってやると、棚でバラける感じになる。バラけ方は水分量でも変わってくるので、堅めに作っておいてバラケさせたければ海水足してやるとかの調整も可能。これは実に塩梅が良い。ただ、これはコマセを使った釣りの宿命かもだけど、コマセに狂った魚が、コマセの粒子ばかり吸って固形物の刺し餌を口にしてくれなくなるときがあって、とりあえずVer.3.1でアジのアラを大きくしてみたら、ちょうど良い大きさに揃えて粗挽きとはいかず、大きな骨がそのまま残ってるとか塩梅が悪かった。のでVer3.2で冷凍塩鯖の細切れを入れるのは悪くなかったけど、冷凍塩鯖なんていう高級品はコマセに混ぜるより焼いて食えって話で納得いかず、Ver3.3ではボラを刺身にした後の皮とかどうだろうと細切れにして混ぜてみるも、皮が固くて包丁で切りにくいのを苦労して混ぜたのにたいして効果が認められず不採用。

○Ver4.0:アミコマセ+アジのアラ+パン粉+鶏皮 上記のような経緯があって、最終的には鶏皮添加。クソ安くて、ハリ持ちの良さを買って高活性時の刺し餌にも使ってる鶏皮を、刺し餌用と同じぐらいの細切れにして混ぜてやるという、思いつけばまあ妥当というか自然なところに落ち着いた。鶏皮細切れをコマセに入れるようになってから、刺し餌鶏皮への食いの良さがあがったように思う。コマセの粒子ばかり食って刺し餌に食ってこないっていう状況は、このVer.4.0で採用したコマセの工夫もある程度効いたかもだけど、ハリス細くハリ小さく(=軽く)で自然な感じに漂わせて食い込み良くすると劇的に改善することがあるということが判明したりもした。とはいえ現状では、ある程度まとまってくれて扱いやすく、コマセとして魚を寄せて活性を上げる能力が高く、固形物も混ざってるので粒子だけを吸うのを回避する効果が期待できる、という良い感じのコマセに仕上がったと思っている。

 でもって、作り方。

 まずは、なんとなく鶏皮はピンクに染めた方が良いような気がするので、食紅をカップ半分のお湯で付属の匙で5杯ほど溶いて濃いめの食紅液を作り、最終的に材料全てをぶち込んで混ぜ混ぜするバケツに入れておく。刺し餌としては視認性重視で黄色に染めても使いやすいかも。

 そして、冷凍して保存していた鶏皮100g程度を5×10ミリの細切れぐらいを目指して包丁で切る。切るときに完全に解凍してしまうと鶏皮は脂で滑って切りにくく、かといってガチガチに凍っているとこれまた包丁が入って行かず切りにくいので、電子レンジで自動解凍を選んで、表示が出た時間の3分の1ぐらいで取り出して切りやすい程度に凍結をゆるめてから切ると切りやすい。細切れの大きさは多少ばらつくのは気にしない。大きい切れ端は刺し餌用に回して使う時にハサミで切りながら使えば良い。

 そして、バケツの食紅液の中に、完全に解凍しておいたアミコマセ3分の1ブロックとともにぶち込んで混ぜ混ぜする。

 この時点で、大きな切れ端を中心にいくらか鶏皮を刺し餌用に、別に小分けして薄く伸ばした状態で冷凍しておく。使う際には適宜割って使う分を餌箱に入れて釣り場に持っていく。鶏皮は、小さくチョン掛けが食いが良いときもあれば、大きく付けて目立たせた方が効く場合もあり、大きめの切れ端はハリに掛けて引っ張りながら、適当な大きさになるようにハサミでチョンと切ってやるというのができるので、よく使う大きさのほかに大きめのもあった方が良い。

 そして、ここからがちょっと手間なんだけど、アジの頭と内臓をミンチにしていく。

 これはカチカチに冷凍してひとかたまりになっていた方が最初切りやすいので、冷凍状態で切っていく。ただし、欲張ってあまり沢山まな板に乗せると捌ききれないので気持ち少なめぐらいで何回かに分けて作業する。今回は写真一番上のように中ジップロックに5、6割ぐらい入れたものを3袋用意した。

 やることは、凍った魚のアラを包丁で薄く切り出して、縦横に切ってある程度細かくして、あとは二刀流でひたすらチタタプを繰り返して、たまにひっくり返したり端の方を真ん中に折り返したりしてしつこく叩いていく。「ドロヘドロ」のニカイドウちゃんになったつもりで、アニメ主題歌口ずさみながら♪

 多少皮とか、軟骨とか固形物が残っているのはそれはそれで固形物のまま沈降して食いを誘うので完全にミンチにすることを目指さなくて良いと思う。

 猫餌から一部拝借している形だけど、もともとアジを酢漬けにしたときとかに出る生ゴミだったわけで、コレを主体とするぐらいの勢いで沢山入れたいので、そうなるとかなり時間と労力が必要な作業になる。包丁2本でやるのは正直しんどいので、”エソ釣ってすり身作戦”が、エソ系も狙うと釣れないということで頓挫したので、購入にいたらなかった挽肉作れるような”フードプロセッサー”か”肉挽き器”を入手しても良いかも知れぬ。あれば捗るとはおもうけど、そんなに頻繁にコマセも作るものじゃないのでなかなか踏ん切りがつかない。

 アジアラミンチもできたら、バケツにぶち込む。

 今回、パン粉は市販の270g一袋のほかに、秋の長雨の時期に1時モノが腐りまくった時があって、夕飯に食べた味噌汁を次の日の昼前に温め直そうとしたら既に表面に白い膜が張って酸っぱい臭いを発してて「腐ってやがる」って驚いたのもあったけど、食パンがカビたのもあんまり無かった経験で、食い物無駄にするのは貧乏云々以前にお天道様からお百姓さんから、もちろん食べ物になってくれた原料の生物ほか関係各位に申し訳ない気持ちでいたたまれなかった。味噌汁は捨てるしかなかったけど、食パン2枚は冷凍庫で乾燥させておろし金ですり下ろせばパン粉にはできるなということで、今回使わせてもらった。

 パン粉が最後のピースなので、ぶち込んだら混ぜる。水はアジのアラから存外出るもので、最初に食紅を溶いた半カップでちょうど良いぐらいで追加する必要はなかった。混ぜてみて水気が足りなかったら足せば良いので水は最初少ないぐらいで混ぜてみた方が良い。水っぽかった場合はパン粉を追加すれば良いけど、パン粉使い切りで一袋ぶちまけた後だと難しいので最初は少なめが吉。

 不思議なモノで、パン粉入れて捏ねれば、なんだかハンバーグ種のような見た目にまとまる感じに仕上がる。仕上がったら、片手でギュッと握って団子を作って、団子2つを一つのビニール袋に入れてクルクルッと捻っておく。だいたいこの団子2つ入った一袋が3時間ぐらいの釣りで使う量で、コマセ多めに効かさないと食いが悪いとかだと2袋使う時もあるし、食いが良くてコマセあまり効かさなくても食って来て短時間で仕事が終わったりすると1袋使わないときもある。

 だいたい、15袋ちょいぐらい作れるので、蓋ができるパン粉の袋になるべく平べったくなるように詰めてから2段に重ねて冷凍庫で保存している。

 かかった費用は、食紅は数える必要が無いぐらいで数円、鶏皮は100gなら50円ほど、アミコマセは1ブロック500円の3分の1だから約167円、アジアラは無料と考えて、パン粉が250円ぐらい、で合計約470円。これを15回で使い切るとして、1回当たり約31.3円、刺し餌が鶏皮の他に400円のオキアミを4~6回で使い切るので4回として100円。アジ釣り一回当たりの餌代は約130円ってところ。さすがに魚が安いこの地でも、130円では半額札貼られるまではアジ1パック買えないぐらい。小アジで水揚げ目標60匹とか釣ってくると、1パック10匹200円ぐらいのが6パック分で1200円分の水揚げで、竿やバケツの減価償却費、ハリとイトの消耗品分を考えても、ちゃんと採算に合ってる気がする。素晴らしい。なかなか遊びの釣りで元はとれんものであり「魚が欲しいだけならスーパー行って買ってこい!」って常々思ってるけど、魚釣って楽しんだうえに、家計も助かっているとか最高である。一所懸命アジのアラを叩く甲斐があるというものだろう。

 ってなことを、書いてみたのは、コマセ一つ例に取ったって、色々工夫の仕方があるんですのヨってのをお伝えしたかったのと、さらにつけ加えるなら、それだけ工夫してもそれが決定打ってわけじゃなくて、釣り全体の工夫の一つの要素でしかなく、アジ釣りで一番”効く”工夫は”釣りで大事なのはハリとイト”ってぐらいでハリとハリスの状況に合わせたこまめな交換だと思うけど、それ以外にも場所やら時間やらは超重要だし、重箱の隅的な細かいところなら夏場は蚊取り線香焚くのが大事とか、バケツの上にハリ外し用のラインを1本張っておくと手返しが良いとか、家で準備してる段階から、帰って来て美味しく料理して食べてアラをコマセに回すところまで、全ての場面において、ちょっとずつ工夫を重ねるべきところがあったりして、そういう総合力、何でもありで全部つっこんで魚を釣りに行くっていうのが”魚釣り”の全体像なんだよってのを、ジジイの説教臭いけど書いてみたかったのよ。

 水辺で魚と引っ張り合いしてることだけが魚釣りじゃなくて、家に居て準備しているときから釣りは始まっていて、釣り終わって魚捌くのやら含めた後片付けもまた釣りであり、しからば、釣り人は常に”魚釣り”の渦中にいるといって過言ではなく、常に油断なく備えなえなければらなんのではないかと、思ったり思わなかったりするのである。

2021年11月14日日曜日

仏の顔はまだ一度、二度ある独逸は三度ある

  グーテンモルゲン!皆様お元気ですか?私は釣りもそれなりに調子良いのに、スピニング熱やらルア-系の発作やら悪化しまくりで、毎日のように郵便やら宅急便で釣り具が届いております。どうすんのよこれ?定形外の封筒が沢山手に入って愛猫のトイレの処理に便利です。

 ちょっと試しに見てみたいとちょっかいかけたD.A.M社のインスプールスピニングもこれで三台目。最初に買った「クイック110N」が最近ヤ○オクに出てたけど5千円台にしかなっておらず「ワシ8千円で買ったのに!」と落ち込んだりしたけど私は元気です。こりゃ今は売っても仕方ないな、当分蔵に寝かせておこうって感じで、安易に買うけど、なかなか売る踏ん切りがつかないという、ゴミ屋敷を作りがちな人間の典型的な思考傾向に基づき、現在”我が家のリールは90台まで”という数値目標を大きく超過してしまい107台のリールを抱えてしまっている。ちなみに台帳付け始めた2019年からのリール売買の収支を見ると、6万9千524円の赤字となっている。90台に収めるのに17台売ったとして、1台4千円になってくれれば、6万8千円がとこでなんとか収支トントン近くなるけど、ボロリールやら不人気機種が多くて、たかだか4千円がおぼつかないようなリールばっかりなのよね。もうちょっと景気が良くなって、コロナ禍で来ているらしい”釣り人気”がもうちょっと成熟したものになって、初心者用の道具で始めたウブな釣り人が、次にちょっと個性的な道具を買って、他の釣り人と差を付けたい(技術では差が付けられない)、とかなったときに、うまく言葉巧みに”釣り書き”書いてオノレの沈んでいる沼に引っ張り込んで、何も知らないウブな素人衆から金銭巻き上げることはできんもんだろうか?などとやくたいもないことを考えて現実逃避しております。まあいいさ、死ぬまで抱えてたとして、ワシが死んだら釣り仲間で山分けしてくれ。

 ということで、もうあんまり説明もいらんかと思いますが、しきたりでございますので欲しくて買っちゃったリールについて、僭越ではございますがワタクシのほうから簡単にご説明させていただきます。今回買ったのは「ダムクイック220」で、海外でも小型機は人気なのか値段がするけど、中型機は意外に安いもので、見た目が塗装ハゲとか目立つ個体ということもあって、本体は手数料入れても4980円、送料が他の細々した部品とあわせて2500円とまあ送料込みで7千円ぐらいかかったのかなという感覚。これまでの2台はそれなりに見た目綺麗な個体で塩水で使ってサビさせるのは忍びないっていうのにくわえ、クイック110Nはやや複雑な機構が組み込まれていて整備性がイマイチで使うの面倒臭いっていうのと「クイック110」はスプールの径がちょっと小さいような気がして、シーバスで試そうと思ってるんだけど、2号ナイロンまくと巻き癖付きそうな小型スプールなので、ならば一つ上の220を、と要りもせぬのに欲しくなって買ってしまったのである。

 船に揺られて(か空飛んでか知らんけど)大平洋渡って届いてワクワクしつつ箱から出してみると、ムムムッ思ってたより大きい、っていうか重い。いつも使ってるアグリースティックエリート7fに付けると、ちょっとぐらい重い分には軽すぎるよりは振りやすいけど、やや気になる程度には重い。

 ちなみに右の写真は大きさ比較で、一番上の写真左から今回のクイック220、ABU社「カーディナルC4」、いつも使ってるPENN「スピンフィッシャー714Z」、「クイック110」となってて、クイック220はカーディナルC4と大きさ的には似たようなモノで、中型機という整理になるんだと思う。ただ、真ん中の写真のように一つ小さい機種のクイック110と比べるとちょっと差がある。クイック110は大きさ的にはPENNの714Zと同程度の小型機なんだけど、一番下の写真のようにスプール径は小さくて、むしろPENNだと716Zと似た感じの大きさといえると思う。PENNの714Zは”ウルトラライト”な716Zをスプールだけ大きくして小さいけどある程度太目の糸もまけて、軽量な道具立てでそれなりに大きな魚を釣ってしまおうという”ウルトラスポーツ”なモデルで、非常に時代を先取りしているというか、今時のスピニングのスプール大きく本体小さくという”ドデカコンパクト”な設計思想をすでに体現してるように思う。PENNは小さい機種でも丈夫に作ってあるのもあって、渓流でも使えそうな小型機でスズキ狙ってもなんら問題なく楽しめている。多分ダム社ももうちょっとスプール大きく、あるいは本体小さくしたらもっと良いかも、ってのは気がついたのか、後発のはずの110Nはスプール径ちょっと大きくなってるし、110Nとスプール互換性あるらしい超小型機「クイックマイクロライト」というのも作ってる。

 でも、カーディナルC4と同程度の大きさならシーバス狙うには好適だろ?って思うかもしれない。確かにカーディナルc4だと同じ竿に付けてもそんなに違和感ない。なので重さどのぐらい違うんだろうかと測りくらべてみた。

 カーディナルC4は下巻きありで308.5gと約300gで標準的な中型機の重さといえるかも。比較してクイック220は350gと、なかなかに重量感がある。その分丈夫な感じはするのでワシ的には重いからといってダメだとは全然思わないんだけど、いつも714Zで運用してる竿にはしっくりこない。ちなみに714Zはライン入った状態で266gでクイック110は255gなので竿とのバランスだけで言えば110の方がしっくりくるはず。ただ、2号ナイロン巻くには、何度も書くようにスプール径が小さい。

 しかし、なんら心配ないはずである。なにせ我が家には竿が沢山ござる(現時点で121本)。どれかクイック220にちょうど良い塩梅の竿ぐらい蔵に転がってるはずである。

 すぐに思いついたのが、我が家に最初にやってきたアグリースティックで「アグリースティック7f」はそもそも竿自体が重くてかつソリッドグラスの穂先で先重りのする竿で、竿尻に板オモリ巻いて調整して、PENNのスピンフィッシャー「4400ss」とか「4500ss」で運用してた竿で、ある程度リールが重いと竿の先重りが緩和されてちょうど良いぐらいの竿である。竿の性格自体は今使ってるアグリースティックエリートと似たような感じで、エリートの方が今時っぽく軽くなって先重りもだいぶ解消されているけど、基本ダルダルな丈夫さ重視の竿である。久しぶりに引っ張り出して、整備後ラインも巻いたクイック220を付けてみたら、これは良い感じに振れそうな感触。コレで行こう。で、ついでに4400ssを重さ量ってみたら驚愕の400g超え。このリールも大きさ的にはC4ぐらいの中型機なのでC4の300gと比べて100gも重かったとは驚きの事実である。使っててそんなに重いとは感じてなかった。4400ssは樹脂ボディーなのに金属ボディーのC4など眼中にないぐらい重い。
 ただ、スピンフィッシャーの名誉のために書いておくと、4400ssは重い分丈夫に作られていて決して劣ったリールじゃなくて、丈夫さが欲しい、簡単な手入れで済むのが良い、使いまくりで酷使したい、っていう釣り人には最高の一台になりえると思っている。写真の個体はハワイ遠征(2000年の夏)でジギングの合間の桟橋小物釣りで使ってた大森製作所「マイコン302TB」のベールスプリングが折れて、急遽”代打”をということで大きなスポーツ用品店で買った個体で、あちこちスレ傷でハゲちょろげてるけど、これまで修理としては消耗品的なベールスプリングとドラグパッドの交換の他には錆びたベアリングの交換と、ストッパーのラチェットを挟む爪が折れた”サイレントドック”の交換のみで、ギアとか本体とかに致命的な不具合は一切生じていない。最近出番減ってるとはいえ20年以上酷使したと言って良いと思うけど、とんでもないタフさで、それはステンレスとか真鍮とか腐蝕に強い重い材料を多く使って、樹脂性だけど蓋のネジにもタップネジじゃなくて金属の雌ネジをはめ込んであるとか、海で使っても長持ちする丈夫さを追求した結果”必要だった”重さなんだと、C4より100gも重いということに逆に安心感を覚える困ったPENN偏愛者なのであった。

 横道にそれてPENNへの愛をほとばしらせてしまったが、閑話休題で本題のクイック220に戻って、整備の状況の報告など。

 今回、自分で使う個体をということで、見た目ハゲチョロゲ目のを落札したんだけど、手元に来てみると機関は好調で回転も軽いし、ベールも”ポピンッ”っとかいう感じの独特の軽やかな音を立てて滑らかに返るし、特段手を入れなくても良いのかなと思わなくもなかったけど、まあ我が家に来たからには青いグリスを大盛りで鱈腹ご馳走してやらねばならんだろうと、最近は売るのを想定して”高級?”なABU純正グリスを使う機会が増えていたけど、自分で使うなら錆びないように青いマキシマグリス一択である。

 まず、塗装が剥げチョロゲてるところをチョイとお化粧直し。自分で使うなら気にしなくても良いところだけど、黒なので車用のタッチペンが我が家にもあるしせっかくなので。あんまりべったり塗ると格好悪いので、塗料を綿棒でポンポンと叩くようにしてぼやかしてなんとなく継ぎ目なく黒くしていく。まあ地金がピカピカしてるようなところが消せればそれで良し程度。写真の右がお化粧直し後。

 お化粧直ししたらスプール関係からバラしていく。これまでの2機種とも全然違ってて面食らう。普通に三階建て方式ッポイドラグがスプールに入ってるんだけど、これが樹脂性のスプールに爪を立てて押さえ込むようになってる工場マークのような金具でハメ殺されていて外せない。眼鏡用のマイナスドライバーでこじってどうにかならんか?と試してみたけどどうにもならず、まあ回ってるようなので問題ないだろうというのと、むしろドラグパッドとしては座面に乗っかってる2枚のほうが直径も大きいのでドラグの効きを左右する要素たりえるだろうということで、あとでそっちの方をいじることにして、ハメ殺されてる方は放置の方針とした。

 クイック110の時にはハンドルの付いている左側が蓋になってて、ローターを回して取るのにハンドルを一旦戻す必要が生じたけど、今回はハンドルと反対側が蓋になってて、ローター回すときの手間が減るなと思ったら、クイック220はローターは回して取る方式ではなく、普通にナットを外したら真っ直ぐ抜けてきて拍子抜け。ただ、蓋には大盛りにされたグリスがベットリ付いていて「独逸人もなかなかグリスの盛り方を知ってるな」と頼もしく感じた。ってぐらいで特に書き記しておくべき新しい事項もなく全体バラせていつものようにパーツクリーナーとブラシで古い油脂類や汚れを落として乾燥させる。しかし、分解清掃の道具にハンドルピン抜くのに使うトンカチがあるのはなんとなく不穏な空気を醸し出してるな。

 でもって、久しぶりにこれでもかというグリス大盛りでグリスシーリングして本体関係は問題なく整備終了で快調なんだけど、ドラグと関連してラインが後ろ巻き気味なのの調整がやや手間取った。

 ドラグは前述のようにスプール内に入ってる他に、座面の上にカーボンシートを樹脂で固めたのと、金属のワッシャーが重ねられていて、てっきり金属のワッシャーはスプールの高さ調整で入れられているンだと思ってたので、ライン巻いてみたらやや後ろ巻きになったので、金属のワッシャーを抜いてスプール下げてやれば良いだろうと試してみると、これがドラグの挙動にかなり影響を与えてるようで、理屈は分からないけど金属ワッシャーを抜くと、入った状態では調整幅もそこそこあるし滑り出しも悪くないし使えるドラグだなと思ってたのが、調整幅がほとんどなくなってしまってキュッと締まるか、ズルズル滑るかの二択になってしまう。全く理屈が分からない謎現象。仕方ないので、1枚残す堅い樹脂で固めたカーボンのパッドが弾力性がないので調整幅が出ないのかもと、ちょうど5500ssとかのドラグパッドが使えそうな大きさなので、PENN純正のカーボンのドラグパッドや、中古で買ったスプールに入ってたフェルトのドラグパッドなら調整幅出るんじゃないかと思ったけど、パッとせず。座面の上に2枚入ってるのが関係あるのかな?とテフロン仕上げのグラスファイバーシートを切り抜いてパッドにして重ねたりしたけど、元々入ってた2枚ほど塩梅良くない。これはドラグパッドはそのままで、他で調整するしかないな、ということで若干下がり気味になってるベールワイヤーをベールアームの形状をいじってラインローラーを水平にしつつ上げてやると若干ラインが前巻きになるはずなので、ペンチとモンキーレンチでベールアームを慎重にちょっと曲げてみたらだいぶマシになった。あとは、下巻きを巻くときに座面上のドラグパッドらしい2枚をどちらも抜いて巻いて、前巻き形状の下巻きにしておいてから、ドラグパッド入れて使う道糸を巻いてやったら平行巻から若干の前巻きぐらいになってくれたので、おそらく巻き形状はこれでトラブル少なく良い感じになっただろう。

 という感じで、すぐにでも使える状態に整備も済んだし、合わせる竿もちょうど良いのがあったし、いっちょどんなもんか次回のシーバス狙いから実戦導入してみたい。なんか同じウォームギア機なのに、110、110Nより巻きが軽いのでなんでだろう?って思ったけど、ハンドル回しておおよそのギア比を調べてみると、110系は1:5弱ぐらいなのに対して220は1:4程度で低ギア比なので軽く巻けるようだ。低速機はシーバス狙いでは悪くない。ポピンッっとベールが返って、巻くと逆転防振の切り替えレバーがカタカタと振動しながらラインを巻いてくる。なかなかに独特で、釣れないとルア-を汽水で洗う単調な作業になりがちなので、使うのが楽しめそうってだけでもありがたい。

 魚が釣れるかどうかは魚のご機嫌しだいでなんとも言えないけど、割と使えそうな感触なんだけど実際はどうだろうか?次の雨が待ち遠しい。