2021年7月17日土曜日

お帰りなさい、京都アニメーション!

 京都アニメーションが好きだ!もう一度言うオレは京都アニメーションが好きだ!!

 あの惨劇から久しぶりで京都アニメーションが深夜枠のアニメシリーズを製作した。原作ファンとしても、放映予定が吹っ飛んでしまっていたのを首を長くして待っていた”メイドラ”の第2期である「小林さんちのメイドラゴンS」が7月から放映開始、すでに第1話は放映済みで楽しく視聴したところである。

 生き残ってたデータとかを復旧させて劇場版作品とかは何本か発表していたけど、本来の主戦場である深夜アニメに”京アニ”が帰ってくるとあっては、オタクなら女房を質に入れてでも視聴せねばなるまい。

 久しぶりのTVアニメシリーズ、原作の巻末でも作者さんが「アニメ2期もよろしく」と紹介していて、それだけで胸が熱くなる想いだったけど、実際始まってみるともう、導入の部分から、オープニングに入って、アニソン歌ってるのも同じ人だし明らかに前作の味わいを丁寧に踏襲・再現してみせていて、「京アニ品質は健在ですよ、ご安心下さい」って言ってくれてる制作者側の意図が見て取れるし、じっさいもうそれは”京アニ健在”をオノレの目で感じずにいられない出来映えで、目頭がうるうるしかかっていたところに「アニメ製作:京都アニメーション」とテロップが流れたときには、今年50になるオッサン、恥ずかしながら声出して泣いてしまいました。ワシの大好きな京アニが帰って来てくれた。もう、それだけで色んな感情があふれ出してしまうのを止めることができない。仲間を職場を焼かれたとしても、京アニの表現者達は表現を止めることはなかった。死んだ人はどうやったって帰ってこない、その傷は深くずっと残り続けるだろう。でもそれでもそのことに負けてしまうような我らがオタク達の”京アニ”じゃないってことよ。心の底から敬意を表したい。あなたたちは最高だ!!

 「小林さんちのメイドラゴン」は簡単に説明すれば、「ドラえもん」型の別の世界から、ドラえもんだと未来の世界だけど、「ウメ星デンカ」なら宇宙から、「おばけのQ太郎」なら霊界から、「ジャングル黒べぇ」なら未開のジャングルからっていいうように、異界からやってきた居候が周囲に巻き起こす笑いあり涙ありのドタバタ騒動っていう、正しく日本のマンガ、アニメの伝統的なお約束的書式に従って描かれた原作マンガがあって、まあ今時のマンガなので、やってきたのは未来の世界の猫型ロボットではなく、剣と魔法のファンタジー世界、いわゆる”異世界”からやってきたドラゴンで、情報産業底辺のシステム関連技術者であるOLの小林さんのところに、メイドとして、女の子型に変身して居候して巻き起こる悲喜こもごもという感じになってる。今時の”萌え”もキッチリ押さえつつ、ホノボノとした笑いから、永遠にも近い命をもつ種族が短命な人間に対して感じる愛情とそれ故の寂しさとか、なかなかに深掘りした題材にも切り込みつつ、もろに現代社会で課題となっている、異文化、異なる多様な価値観との衝突、共存というところを一つの大きな題材として、アハハと笑って楽しんでるだけでも良いけど、割と重いテーマも考えさせられたりもする、原作からして良い作品なんである。

双葉社「小林さんちのメイドラゴン」5巻より
 そのままアニメ化して原作準拠ですすめていけば、面白くなるのは間違いないんだけど、京都アニメーションの丁寧な仕事がその面白さに拍車を掛ける。何しろ京都アニメーションの作画陣は腕っこきである。それぞれの登場人物が動きを伴って非常に魅力的に描かれる。それだけで原作ファンは丼飯何杯もおかわりできるくらいだけど、京アニはまた細かい所の表現も上手くて、原作にはない動きのある中でのアニメ的表現の上手さにいちいち感心して楽しめてしまう。たとえば、近所にメイド喫茶が開店して、自分を差し置いて”最高のメイド”とか誇大広告も良いところで許せないと、”メイドラゴン(メイドのドラゴン)”のトールはクレーマーと化して突撃するんだけど、なぜかその場で”採用”されてコック長として働くことになる。その時の、トールの働きっぷりの手際の良さを表すシーンが、原作では引用させてもらったシーンになるんだけど、このシーンがアニメになると、オムレツをフライパンの柄をトントンと叩いて振動させることで回転させて柔らかいオムレツの表裏に火を通すって技は見たことあると思うけど、アレを大きなフライパンの上で三つのオムライスで同時に、なんというかマツダのロータリーエンジンを彷彿とさせるような感じでトントングルグルと回転させて仕上げて、フライパンから飛ばして皿に盛り付ける、という派手な演出になっていて。トールのフィクションならではの超絶料理技が、それだけで見ていて楽しいシーンになっている。ああっ眼福眼福!

 そういう細かい表現が冴えている他に、”萌え”的表現は京アニ伝統芸ですらあるけど、意外に魔方陣とかバトルシーンとかの動きのあるダイナミックなシーンも当たり前に上手い。まあ”萌えアニメ”のイメージが強いけど、フルメタ2期みたいなロボアニメもスピードみたいなスポーツアニメも製作してたぐらいで、なにやらせても全体的にとにかくアニメ作るのが上手だとやっぱり感心するのである。

 ジブリやら、あるいはディズニーやらの作るようなアニメみたいな家族向け全年齢向けって感じではないけど、オッサン向け、あるいは腐女子向けといった隙間産業的にオタク向けのアニメを作らせたら、ちょっと抜きんでたアニメ製作会社だと再確認した。こういう我らオタク向けのアニメは欧米では作れないだろうし、今、原画制作とかの下請けで力をつけてきている、台湾、韓国、中国あたりのアニメ制作者は、すでにジャパニメーションの手法、文法でアニメを作り始めててなかなかにできも良いんだけど、まだそれらの国には、手塚治虫も宮崎駿も京都アニメーションも生まれていないようで、追いついてくるにはいますこし時間が掛かるだろう。

 とにもかくにも、今期「小林さんちのメイドラゴンS」は超楽しめること請け合いだし、今後も再始動した京都アニメーションは、オタクどもが喜ぶような良い作品を作ってくれるに違いない。そう確信を持って期待している。

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