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2025年8月30日土曜日

サーフリール投げ比べ

 「偽ドラゴンボール販売疑いで逮捕」ってネット記事の見出しを目にして、なにっ!偽があるっちゅうことは本物も売ってるのか?その場合バラ売りなのかセット販売なのか?とかアホなことを一瞬考えてしまいました。海賊版のマンガ売ってるって話やね。まあ、考えてみれば好きなだけ釣りに行って、旨いメシ食って優雅な楽隠居生活、ドラゴンボールそろえたところで何かかなえたい望みがあるかって言うと、デカい魚やらは自力で釣らなきゃ意味ないし、かといって世界平和や温暖化対策はシェンロンにも荷が重いだろう。結局、願うとしたら愛猫の健康とかリールとかルアーとかが関の山で、前者はともかく後者は自前で買いまくってるので間に合ってると言えば間に合っている。       

 という感じでリール買いまくってるわけだが、買ったからには使いたいってなるとどのリールが良いのか、部屋でクルクルしていてもリールの善し悪しは分からん。まあ本当に評価しようと思ったら、10年ぐらい使い込んで、魚も釣りまくって、やりとりの際の限界値や故障の有無や整備のしやすさ、消耗品的部品の減り具合、その他諸々を勘案して総合的に判断するしかないのですぐには分からんのだと思う。それは釣り人それぞれの釣り方や癖、整備の上手下手なんかもあって他人の評価は究極的にはアテにならない。とはいえマイニューギアってしまった場合に、とりあえずリールなら竿に付けて釣り場でぶん投げてルアーとか引っ張ってみて、どっかにラインの先をくくりつけてドラグ試験して、っていうぐらいはすぐにできるのでやっておくべきだろう。投げて巻くのが円滑にできんような道具立てでは話にならんのでまずはそのあたりの様子をみておくのが常道かなと。

 この夏は従来型PENN両軸機の沼に浸かっていたので、我が家にあらたに迎えた両軸機達がゴロゴロ転がっている。転がっているけど一度に全部の機種を使うわけにはいかないので、ある程度使い方釣りものに応じてどの機種を使うか整理して、必要がない機種は売りに出すなり人様に譲るなり、蔵に収納するなりしていかないと収拾がつかない。ということで投げ比べである。一応喫緊の課題となる根魚狙い用の小型機種は「27モノフィル」主軸で控え「180ベイマスター」で固めたけど、ぶっ込み泳がせ用と、大型ルアー遠投用の20ポンド30ポンドを巻いてぶん投げる大きさのサーフリール系の機種達が、それぞれ特徴はあるけどその個性をまだ把握し切れていないので、暇を見てセッセと試投してみたところである。ちなみにサーフリール系7つ集めてみたけどシェンロンは現れなかった(冒頭写真)。

 対象となったのは「スクイダー140」、「スクイダー145」、「ジグマスター500」「ジグマスター505HS」、「320GTi」で320GTi以外はすでに分解整備時に分かる機械的な部分はご紹介済みである。

 320GTiはmasahiroさんと物々交換して入手したもので、最近ワシが従来型PENN両軸機に熱を上げているのを見て取って、プレゼント企画で応募がなく余らしていた5500ssとの交換を提案いただき、願ってもないと喜んで確保したところである。写真見て分かるとおり平行巻機構(レベルワインダー)が付いている。従来型PENN両軸機において、レベルワインダーない方が単純で回転も良いのは確かだけど、スプール幅の小さい小型機なら問題になりにくいけど、スクイダー145とか使っててスプール幅の広い機種だと、やっぱりラインの巻かれかたが偏ってしまうのは避けにくく、このぐらいの大きさのサーフリールではあった方が良いのか悪いのか、また小型機では明らかに投げるときの”ブレーキ”として有効に働く連動式のレベルワインダーの恩恵はこのクラスのリールだとどうなるか?試しておかねばなるまいという気がする。

 既に使用可能な状態に整備されていたので、分解してもドラグを乾式から湿式にしたぐらいで、主に内部の機構を把握していくためにバラしていく。1980年代後半の登場らしく、比較的設計が新しく、レベルワインダーもNo.9ピアレスのようにラインガイドがウォームシャフト下面から伸びてきてる方式ではなく、丸アブ同様のウォームシャフトを覆う円筒ごと貫通したラインガイド関係の部品が用いられている。駆動は側板側にコグホイールが入っててスプール軸から回転を持ってきてるのは同じ。ボールベアリングが従来型PENN両軸独特のキャスコン摘まみとかと一体化したモノではなく、規格品を填める方式になってるし、フレームはカーボン樹脂一体でフットだけ頑丈なステン系のをリペットでガッチリ留めてある。面白かったのはドラグで、3階建て方式ではなく、5階建て方式になっている。ドラグは奇数階なら増築できるけど、増やせば安定したり高負荷が掛けられたりとかがあるのだろうか?とりあえず滑らかなドラグではあるけど、正直3階建てとの違いまでは分からない。逆転防止の方式やらクラッチの方式はいつもの従来型PENN両軸機って感じでそこは信頼の方式を蹈襲している。腐食に強く軽量なカーボン一体型フレームで近代化したレベルワインダー付きの従来型PENN両軸機という印象。


 ということで、それぞれの機械的な特徴などは把握した上で、いざ試投へ。

 まず最初に5つも両軸機リュックに入れて背負うと重かった。あと、後ろを通ったりする釣り人の”アホを見る目”に心を折られかけた。

 でも頑張って投げまくってみた。竿は2本用意して、当然のごとく竿も今回の従来型PENN両軸機の症状が出てから購入したもので、リールに症状が出ると当然とはいえ竿も増える。アタイ病気がにくいッ!で、迷ったのが4.5mぐらいの石鯛竿系にするか、3m前後の船竿系にするかで、結局4.5mもの長尺ものはルアー繰り返して投げるのはしんどいだろうということで、船竿系で行くことにした。ルアーロッドは今時のダブルハンドロッドは基本リールを上に付けての利き手サミング前提であり、ワシ500gからある両軸機を利き手でぶん回すのがしんどいので引き手の左手でサミングしたくて候補から外した。1本目のダイワ「クロスカーボ剣崎30号300」はまあ目的からいって妥当な線かなとクロスカーボとかの時代のダイワの竿が丈夫なのは経験済みだし3本継ぎで携行性も良好。2本目がキチガイじみた豪竿でシェイクスピア「TUNAⅡ240」って尻に十字が切ってないのが不思議なぐらいのクソぶっといマグロ竿。アグリースティックじゃないしゴツすぎるしで出品されているのは目にとまってたけど無視してたら、いつまでも売れないので在庫してるのも邪魔くさくなったのか処分価格の送料別780円になってたので仕方なくワシが買うしかないかと、ワン&ハーフで携行性も悪く送料2950円もかかったけど買いました。まあどこ製か分からんけどアメリカ市場にマグロ用としてぶっ込んだブツなら丈夫さは心配せんで良いのは確か。

 最初竿も新しくなって、慣れない引き手サミング両手投げで上手く投げられなかったりしたけど、明確に言えるのは竿とリールとラインに適合した重さっていうのがあって、それが合わんとどうにも投げづらい。けど合う重さが分かってしまえばフランジを親指で押さえるサミングも最小限で済み気持ちよく投げられる。スクイダーは16ポンド巻いた145も20ポンド巻いた140も1オンス程度のやや軽めのルアーと相性が良くて、28gのエゴンとかフィーッと独特の空力ブレーキ音を残してカッ飛んでいく。3.3:1のギア比なのでルアーのスピードを出そうと思うとかなり一所懸命巻かないとだけど、逆に深く潜るデカクランクは巻きやすい。ジグマスターは2オンスクラス60グラムとかのジグが好適で、505HSは5:1で巻き取りスピードが速いのでペンシル早引きとかジグ水面滑らせるぐらいの高速引きができてクランク引かず青物狙いならコレだろう。500の4:1はクランク巻くには重く、早引きは正直スクイダーとたいして変わらん感じで帯に短したすきに長しな感じか。320GTiは最初他のリールと同じような重さのルアー投げた感触では、一番飛距離が出ずパッとしなかったけど、竿TUNAⅡの方で80gとかの重いルアーを投げたら飛ぶしトラブル少ないしでハマってくれた。レベルワインダーを動かす分どうしても回り出しに力が必要で軽いルアーではその力が不足するけど、重いルアーで最初の回り出しを確保してしまえば、高速回転時には適度にレベルワインダーがブレーキの役割を果たしてくれる感じで、正直8fのゴン太竿でルアー投げるのなんかまともにできないだろうと思ってたけど、100g前後の重いルアー投げるならむしろ太竿の方が簡単に感じた。あたりまえか。ロウニンアジとかスピニングの次は両軸で大物狙うつもりが、そこまで行かずに歳食ってしまって時間切れした感じだったけど、メッキ達も越年する年が出てきて今後大型に育ちそうな予感もあるので、港でGTをっていうのにこいつらの出番が来るかもしれん。「GS545」もあるので充実の布陣。

 てな感じで、基本青物狙いは剣崎と20LB巻いたスクイダー140で、一発大物狙いで100g級のポッパーやらペンシル投げるならTUNAⅡに30LB巻いた320GTiって感じで良さげ。走らせて良いポイントが多いので基本ナイロンで良いと思っている。ややこしいポイントで釣るならドラグの強化と太いPE使った適切なラインシステムの構築が必要になるだろう。

 ちなみに通路の柵に引っかけてドラグのテストも各機種やったけど、PENNのドラグは特に何も言わなくても優秀。ガッチリ止めたいとかの場合だけパッドの素材を滑りにくいのに変えるとかが必要になるかもだけど、基本はいじる必要ない。

 っていう感じで、それぞれの機種の特徴やら癖やらも見えてきたけど、まだまだバックラッシュ無く投げ続けるには習熟必要だし、とにかく普段使わない筋肉を使うのか体の節々がガタついて痛くなるので、おりを見て練習はしておきたい。カマス寄ってる冬がメインだけど、近所漁港はその時期に限らず回遊魚のたぐいは入ってきては出ていくようなところなので、練習と言っても魚が食ってくる可能性のあるところで投げているので、けっこう緊張感もって楽しめる。そのうちドカンときてもワシャいっこうにかまわない。落としダモも持ち込んでいつでも準備はできている。魚釣ってみないと魚を釣る道具としての評価としては”それがどうした”って話にしかならんので、しっかり評価できるように精進して実績積んでいきたい。まあ難しいけど、時間かけていいからボチボチやっていこう。

2025年5月17日土曜日

大事なモノにはやっぱり予備が必要だ

使用中のウエダ(上)、アグリースティック(下)
  根魚クランク、実弾は良い感じに補充できたけど、弾が補充できたら、銃器そのものの方もしっかり準備しておきたいってのが、病気の時の熱暴走って感じで、去年やってたし竿もリールもあるヤンコビッチ、って話だし、昨年安く手に入れて大活躍してくれたシェイクスピア「アグリースティックGX2 USCA662MH」になんの不満もないんだけど、これが大事なモノには予備が必要だと考える性格なので、同じような竿がもういっちょ欲しい。って、もともとアグリースティックもウエダ「プロ4ピッチンスティック」の代打的に入れた竿なので、ウエダを予備にすりゃ良いといえば良いはずである。でも理屈じゃないのが病気の怖いところで、とにかくもっと予備がほしかったの。アタイ病気が憎いッ!

ソルトストライカーとFVR
 まあ、アグリースティックのGX2シリーズは現行モデルなのでもう一本買えば良いんだけど、正規輸入がないので海外通販だと今日日円も安いのでエラい割高になる。狙いの魚の大きさ的には一応40,50を想定しているんだけど、いきなりデカいのが来てもおかしくないから、軽いのが売りで薄っぺらい国産の現行モデルはまったく強度的に信用できないので買う気はない。となると、国内中古市場で手に入りそうなのは古いダイコーとかの丈夫な時代の竿とかか、やっぱり米国モノってなる。米国モノなら現行モデルでもそこまで強度に問題はないだろうから及第点か。ということで中古で良さげなのはないかと探って、とりあえずわりと最近のフェンウィックの「FVR66CMH-2J」というのが送料入れて6千円チョイだったので確保。FVRというのはフェンウィックの中では下級グレードの、今時5万とかの竿が珍しくない中で定価2万円ぐらいの竿のようで、キンキンの高弾性じゃない低弾性カーボン使ってるところもポイント高い。「イーグル」シリーズの昔からフェンウィックの安いグレードの竿は良いと思うので期待できる。パワーはミディアムヘビーで8LB~20LBライン対応と、今使ってるアグリースティックGX2が10~25LBライン対応なので似たような堅さ。実際に手にしてみると、パワーはちょうど良い感じ。ただアグリースティックがグラスソリッドという特殊な竿先であからさまにグニャッと食い込み良さそうなのに対して、全体的に張りがあってそこはややアタリ弾かないか?という懸念はある。あるけど40からある根魚はガコンと思いっきり食ってくるので気にせんで良いか?まあ及第点かなと思うんだけど、もっと良いのは無いかと探して、送料込みで6750円で出てたカベラス「ソルトストライカー ISC703-3MHA」というのも確保してみた。カベラスが”ソルト”って売ってるぐらいで、ガイドも全部ダブルフットで丈夫だろうし、7フィートの長さはタメも効きそうで良いし、3本継ぎで携行が楽なのは、もし今後他の場所でやるとかになったときに便利。これも堅さ的には先ほどのフェンウィックと似たような感じの10~20LBライン対応。まあこれも及第点はあげてよさそう。

 ただ、クソデカいのが来たときに及第点の竿でどうにかなるのか?と考えると、最悪竿真っ直ぐ魚に向けて綱引きでなんとかするって裏技はあるので良いといえば良いんだけど、結局アグリースティックの”クソ丈夫さ”を代替する竿ってなかなか無いのが実際で、そうなってくると竿2本もアホみたいに買ってしまったけど、緊急時の予備竿としては機能はするにせよ、やっぱりアグリースティックが使いたいってのがある。そこはもう理屈じゃなくて、好みの問題でどうしようもない話である。今の竿で結果も出てるから、”釣れてる道具は変えない”っていうのも鉄則だと思う。となると仕方ない、一時1ドル158円とかまで円安進んでたけど、戻して140円台前半まで来てたし”買うか迷った釣り具は買っておけ”はこれまた鉄則だし買うか。ということになった。やっぱりアタイ同じ竿の予備が欲しいノ。

 で買おうとしたらこれが意外に難航。まずは今使ってるパソコンだと、パソコン側のか向こうのせいか分からんけど、バスプロショップスのサイトとの接続に不具合が生じる。購入手続きまで行かず途中でエラー画面になってしまい戻っても初期画面まで表示されないお手上げ状態になる。こちらのパソコンのセキュリティーとかが邪魔してるのかなと、古い方のパソコン立ち上げて、そちらなら今の住所になってからも利用してるので大丈夫だろうと思ったら、今度は購入確認画面まで行くんだけど、送料が無料となって、なんか変だなと思いつつも決済しようとするとそこでエラーメッセージが出てどうしようもなくなる。海外発送できなくなったか?仕方ないのであとは代行業者とか探すか?と思ったけど、代行業者は米国内国内送料と国際送料が二重にかかった上で手数料とるからさすがに馬鹿臭いぐらい高くお手上げで、こりゃ諦めるか?と思ったけど、ふと思って輸入してるショップとかないかなと検索掛けてみたら、ヤ○ーショッピングに店出してるところが送料込み13800円で売ってるのを見つけた。バスプロショップスで買うと60ドル弱の本体価格に4千円からの送料は掛かってくるはずで1万2千円がところかかる。とすれば2千円ぐらいの手数料なら許容範囲かとポチッといきました。なければ買わずに済むモノを「「ある」のがいけない!!!「ある」のがいけない!!!!(byもちづきさん)」。4万も5万もする竿があたりまえになった今時とはいえ、アグリースティックに1万4千円!”世界一の安竿”も出世したモノである。まあ金で解決できる問題は金で済ませばいいやという感じで無事確保して症状は治まりつつある。ガイドが一個曲がってたり、グリップのビニールカバーを貫通して傷が付いてたり、相変わらず米国通販の雑さにはまいるけど、ガイドは指で戻せばなんとかなったし、グリップは見なかったことにしておく。ヤレヤレだぜ。しかし、物価高騰のおり食費が以前なら月1万円を切ることさえあったのに今じゃ2万円ぐらいにはなっていて、切り詰めて半額の菓子パン買うかどうかためらうぐらいなのに釣り具には躊躇がないワシ。米が5キロ5000円とかなのは購入時毎回苦虫を噛みつぶすような渋い顔をせざるを得ないのに、竿の取り寄せの手数料2千円ぐらいは許容範囲と思ってしまう不条理。さらに言うなら安竿とはいえ不要不急の竿を3本も買ってしまってる。まあ米の値段始め物価高に関しては米が国内で自給できなくなるとかしょうもないことになっても馬鹿臭いので米農家が儲けられる程度の価格は容認せねばならんということだろうとは思う。けど、もうちょっと安くして欲しい。米農家もJA(旧全農)もそんなに高い値段で売ってないって話も目にするし、値段つり上げてる輩どもには”打ち壊し”ぶちかましたい気分。

 でもって、確保してもしばらく出番はない予備竿たちだけど、仕舞っておくのにフッ素系コート剤のボナンザ塗ってから保管しておくかと、ボナンザスプレー出してきたら間の悪いことプスプスッと使い切ってしまった。でもって前々からスプレー方式はスプールのラインに吹くには都合が良いけど、竿とかに吹くと多くが竿にかからず下に抜けてしまってもったいないと思ってて、確かボナンザってシートに含ませたウェットティッシュみたいなタイプもあったよなと、ア○ゾンで探ったら、シートタイプもあったけどさらにお値打ち感のある原液タイプ50グラム入りがあったので、そっちを購入。スプレーは50mlとなってるけどガスと溶媒分が多そうだから値段同じぐらいなので原液タイプの方がお得だろう。そしてボロ切れに染ませて塗り塗りふきふきして良い塩梅なんだけど、なんかこのパッケージの配色見覚えがあるんだよな、と気になってなんだったけかな?と記憶をまさぐって「あれだ!」と想い出して、蔵から該当するブツをほじくり出してみた。ザウルス時代のバルサ50のパッケージがそっくり。ボナンザは古くからあるので、真似したとしたらおそらくザウルスの方だろうけど、なぜこの配色を真似する必要があったのかは謎で、そもそも真似したのか偶然の一致なのかも分からん。どなたかそのへんご存じの方がおられたらご教授願います。

 で、せっかく50グラムも手に入ったので、以前から懸案事項だった、蔵で保管してる竿のうち袋入りの竿の手入れをやっつける。当然保管する前にも手入れしてから保管してはいる。けど、リールでちょっとやらかしたんだけど、塩水で使った道具を持ち帰るときに袋に入れて持ち帰ると袋に塩水が付着してしまい、帰宅後竿やリールを真水で洗って塩抜きして乾かしてから袋に入れても、袋が塩気にまみれてるので袋の中で塩にやられる、ということが起きると判明。これを避けるためにOニーサンはゴルフクラブ用だそうだけどメッシュ状の筒に竿を入れて持ち帰って筒ごと竿を水洗いして塩抜きしてるそうである。というわけで袋を洗濯して塩抜きして、竿も真水で丁寧に洗って乾燥させてからボナンザで拭いてやって改めて保管、という工程を5本づつぐらいまとめて作業してやっつけた。我が家にゃ現時点で121本の竿があるけど、中古で買った竿で袋無しとか、そもそも元から竿袋など付いてこない安竿とかも多いし、塩水での使用がない渓流竿とかもあるのでそこまでの数はないんだけど、それでも30本からの竿を改めて手入れし直してっていうのは面倒くさかった。まあでもボナンザ原液で買ったかいはあったというモノである。皆様、釣り場から持ち帰る際に塩水付いた道具は袋に入れないように、もしくは袋も塩抜きするように気をつけてください。

 なんにせよ、竿は消耗品のたぐいだと思うので、今後も入手が面倒くさいアグリースティックやらのアメ竿を除くと、ワシ好みの丈夫な竿が日本で新たに売られることは期待できないので、今蔵にある竿達は良い状態で保管し、必要となったらすぐ使えるように準備おさおさ怠りなくしておきたいものである。

2025年4月19日土曜日

春は新しいコスメで!

  またナマジはなんかとち狂ったことを書き始めたな、春だな~、と思われたかもしれませんが、フライやる人ならピンときたと思うけど、フライロッドのガイドやらグリップ、シートなどのブランクス以外のパーツのことをなぜかフライ業界では”コスメチック”と呼んだりしております。ルアーロッドでも言わなくもないけど横文字好きのフライマンがよく使う表現かと。まあ竿の本体はブランクスで、それ以外はたいした要素じゃなくて”飾り”であり、用が足せる範囲でお好きなようにお化粧して飾ってねということだろうか。ということでフライロッドのガイド換装の顛末記でございます。

 現在主に冬場のカマス釣りで振ってるフライロッドは「ロッキーマウンテンアウトフィッターズ」っていう米国のアウトドアツアー会社の貸し出し用竿っぽいブランドの8番9フィートで中古で安く手に入れて2021年5月から使い始めてはや4年という感じで、さすがに冬の間だけとはいえ年間5~60日は出番があるので、およそ想定していない酷使具合だったようで、針金のガイドが削れて糸溝だらけになってきた。

左が一般的なスネークガイド、右がシングルフット方式
 ルアーしかやらないような人から見ると、ステンレスの針金にクロームメッキかけただけみたいなフライのスネークガイドやらは頼りなく思えるかもだけど、以前にもFuji創業者大村氏の著書から引用させてもらったりしているけど、ハードクロームメッキ仕上げのガイドは実用充分な性能を持ってるとのことで、実際古くからの伝統で今でもフライロッドの世界ではバット部のガイドを除くと硬質クロームメッキのスネークガイドやトップも同様の針金ガイドが多い。重量的にはシングルフットにしてしまえば普通にリングのハマったSiCガイドでも軽くできるけど、フライロッドはそういうものという既成概念が強いせいか、よっぽど走る魚を相手にする場合を除いてフルSiCガイドのロッドとかはお目にかかれない。むしろ針金ガイドをスネークガイドの2カ所で留める方式から、片足にまとめて1カ所で留めるシングルフット方式にしてより軽くっていうのの方が多いぐらいである。我が家でも9番のカベラス「LST」がシングルフット方式になってる。シングル化して軽いかどうかはラッピングに使うスレッドと樹脂が半分になったぐらいで違いが分かるほどの差はないように思う、というかワシャそんな細かいこと気にしてない。

 で、その実用上充分な性能のハズの針金ガイドが削れた。前述の大村氏の著書でも、本来硬質クロームメッキしたガイドは丈夫だけど、品質確保が難しくて経費けちったりするとろくでもないものになってしまう的なことも書かれていて、まあワシの愛竿はいうても安竿で、コスメチックも安くあげているのは致し方ないだろう。イヤなら高級ロッド様を買えという話。ただ、ガイドが徐々に削れてくる不具合は進行が遅く、すぐに不具合が生じ始めるようなものではない。加えて、ガイドの換装はそれほど難しい作業でもないので、削れ始めたのをこの冬の途中で気がついて、カマスシーズン終了したら換装せねばなと、既に交換するガイドは確保してあった。Fuji社製ではないものの、そこそこ名の通った「パシフィックベイ」のなら問題ないでしょう。ということで来期のシーズン間際に作業すると慌ただしくなるので、時間のあるうちに早速という感じで換装とあいなりました。ちなみに今根魚クランクで使用中のアグリースティック「GX2 USCA662MH」の、ステンフレームに直接ハードクロームメッキをかけたような「アグリータフガイド」は、1シーズンなんとか持っていて2期目に突入。意外に頑張ってくれている。まあこれも過去の経験から遅かれ早かれかなと、交換するガイドは確保済みである。

 では、作業に取りかかりましょう。ガイドの交換で唯一失敗する要素があるとしたら、トップガイドの取り外しで、接着剤の種類によっては外せなくてガイドの金属パイプをヤスリとかで切って外す必要も出てくる。ただ、通常は接着にエポキシが使われているので、そこそこの高温でエポキシ樹脂を温めてやると、ズルッと抜けてくれることが多いので、とりあえず補強に外側に巻かれているスレッドを剥がして、沸騰するお湯で煮てみた。ものの本によるとライターとかの直火であぶれって書いてあったりするけど、直火で炙ると、高温すぎるとガイドに突っ込んである穂先の繊維が焼けてぐずぐずになったりする危険性があるので、とりあえず最初は煮ることにしている。これで外れてくれれば楽。ただ、今回外れる気配がなかったので、結局慎重に直火で炙って抜いてなんとかした。

 抜けたら、とりあえずガイドの向きの基準にしたいので新しいトップガイドを早速接着してしまう。トップガイドのパイプの直径は狭くて入らないとどうしようもないので、ちょっと余裕を見たサイズのを用意しておいてスレッドを巻いて隙間を埋めてからエポキシ接着剤で固定する。

 ガイドの向きは、ブランクを巻いて焼くときに巻いた端は重なり厚くなるので、その方向は反発力が強く、いわゆる「スパイン」と呼ばれ、スパインを背中に持ってきてガイドの向きを決めるのが定石。だったんだけど、最近のブランクスは軽さ重視で薄いシートで巻くようになってるのでスパインがハッキリしないとかも聞く。その場合は無視しても良いだろうけど、換装なら元々着いていた方向にガイドを付けておけば安パイかと。昔のスパインがハッキリしたブランクで変な方向にガイド付けると、投げるときとかに竿が気色の悪い挙動をしたものだけど今時は気にしなくて良いのかもしれない。ちなみにグリグリとブランクを曲げつつ平面に押しつけて転がしてやると、明らかに反発力が強い方向があって、それがスパインの方向。

 で、トップがとりあえず付いたら、スネークガイドを全部取っ払って、新しいのを補修糸で巻き留めていく。外すのは、ガイドの上とかの金属部分をちょっと切って、巻かれているスレッドの端をつかまえて引っ張るとクルクルと剥がれてくれる。端をつかまえるのには魚の中骨抜き用のピンセットがちょうど良く便利。

 新品のガイドは足の先をヤスリで削って尖らせておくと、補修糸が滑らかに乗って段差ができにくい。ラッピングスレッドとしては「イカリ印の補修糸」を何度も書いているけどお薦めする。何が良いかというとナイロン「極細」表記にもかかわらず、昔のグデブロッドのラッピングスレッドを知ってる人ならウヘェってなるぐらいに太い。太い分丈夫なのでギューッとしっかり巻き留められるのと、太いので巻く時間が少なくて済むというのがあって、特に後者は手巻きしてるとありがたい利点。欠点は巻きが厚ぼったくなるのでその分の重量増加と見た目がスマートさに欠けることぐらいか。まあ逆に力強い見た目になるので良しと思ってる。

 ガイドを巻き留めていく「ガイドラッピング」の具体的な方法については、過去にサイトの方で紹介しているので、そこから引っ張っておきます。

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  古いガイドが外れたら、新しいガイドを瞬間接着剤かテープでロッドに仮止めして、スレッドで固定します。

 スレッドの巻きはじめはスレッドの端をテープで固定しておくとやりやすいです。

巻きはじめ

 スレッドの巻き終わりの処理は、細くて強いPE等をワッカにしておいて巻き終えるちょっと前の段階でスレッドで巻き込み、そのワッカに巻き終えたスレッドの端を通して、巻いたスレッドの下に通してほどけないようにします。

ワッカを巻き込むワッカに入れる引っ張り出す

 黒一色だと見にくいのでスレッド巻く作業だけ色変えて再度写真に納めました。

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という感じです。

 今回、コーティングに使ったのは、定番の2液反応型のエポキシ系ではなく、ウレタンコート剤。ウレタンも昔から竿補修コーナーには2液性のものが売られていたぐらいで、竿補修には使える素材だけど、今回使ったのはルアーのコーティングなどに使う1液性のウレタンコート剤の東邦産業「ウレタンフィニッシャーEX」で、こいつを長持ちさせる方法が分かったので今後はガイドラッピングにはウレタンコート剤を使う予定。エポキシは意外と消費期限が短く、やるなら竿を何本かまとめて作業したくなるけど、ウレタンコート剤は”使う分だけ小出しにして空気中の水蒸気と反応させないようにして冷凍庫保管”でほぼ消費期限気にしなくて良いぐらい長持ちさせることが可能で、ちょっと使って残りはまた今度、ってのも大丈夫と判明した。そうなると使い勝手が良く、ぶっちゃけ、コーティング剤は固まった後も適度に柔らかく割れにくい樹脂で、補修糸なりラッピングスレッドがほつれないように固めることができれば用は足りるわけで、ガイドを竿に固定しているのはあくまでも補修糸なりスレッドだということが理解できていれば、ガイドラッピングには何が何でもエポキシ樹脂ってこだわらなくても良いんだと思っている。まあ、メーカーとか今時はUV固化レジンだし、釣り場で急ぎ補修とかなら、ナイロンラインでぎっちり固定して瞬間接着剤で固めても釣りはできる。というわけで、コーティングはまあできれば見栄え良さぐらいは気にするけど、ぶっちゃけほつれなきゃそれでいいので、大事なのはガイドを糸で巻き留めるときにしっかりテンションかけて巻いてやることだと思っている。何度か書いたことの繰り返しだけど、そこのところがキモなので意識しておきましょう。

 でもって、その仕上げのコーティング。ロッド回しにセットして、樹脂が偏らないようにユックリグルグルさせながら、割り箸削ったヘラにウレタンコート剤を乗っけるようにしてペタペタと塗っていく。

 1液性ウレタンコート剤と、2液性エポキシコート剤の違いは若干あって、エポキシは実は重ね塗りが苦手で、重ね塗りする前にはサンドペーパーで塗る面をザラつかせておかないと上に乗せたエポキシを弾いてしまったりする。それもあってエポキシの場合はワシャ重ね塗りせず、基本は一発塗りで分厚く盛って仕上げていた。その点1液性ウレタンコート剤は重ね塗りは問題ないんだけど、エポキシに比べると固化時に”痩せる”割合が大きくて、エポキシは2液の科学反応で固まっていくので、盛った厚さに近い感じで固まってくれるけど、ウレタンの場合は空気中の水蒸気と反応して固まる理屈らしいけど、なんぼか有機溶剤が飛んで乾燥してもいるらしく、盛った分よりは薄い皮膜になる。ということで、今回は被膜が一回塗りでは薄い感じだったので二回塗りで仕上げた。まあ一回塗りでもほつれないだろうとは思うけど、なんとなく見栄えも気にしたりしてるのです。固まるのは半日も回しておけばOKで、そのあと吊すなりしてしっかり被膜が固化するまで触らないようにして1週間もおけば万全かと。まあ、ワシャ冬までこの状態で寝かしておくので問題ないだろう。良い感じに仕上がったと思う。

 竿は、ラインやハリに比べれば長持ちするものの、部品取っ替えればずっと使えるリールと違って消耗品の部類だと思っている。使っていれば最終的にはブランクスの繊維が切れてきて、だんだん反発力が無くなっていって最後には普通に使ってて突然折れる。カーボンのテニスラケットとかでもほぼ同じような折れ方をするので、カーボンやグラスのブランクスは基本そういうものなんだろうと思っている。ブランクスが寿命を迎えたらその竿の寿命と諦めざるを得ないけど、意外にガイドが先に折れたり削れたりというのはあって、その場合”コスメチック”を換装するお化粧直しの技術を持っていると、お気に入りの道具を長く使うことができるし、なんなら竿を使いやすいように”魔改造”することも可能なので、身につけておいて損はない技術だとお薦めしておきたい。

 春ですし、ラインシステムも通らないクソみたいな小口径ガイドのついたクソ竿も、お化粧直しでべっぴんさんにしてあげてみるのも一興ではないでしょうか?ぜひ挑戦してみてください。竿一本、ガイド位置やら決めて組み上げるのはそれなりに難しいけど、ガイドの交換ぐらいなら簡単なので、気軽に楽しみましょう。

2024年10月12日土曜日

Ugly Stikは別腹

  この夏の”デカアメミノー熱波”以来、ルアーばっかり買いあさっていて、リールと竿方面の症状は治まっていたんだけど、また悪い病気が・・・アタイ病気がにくいッ!

 なに2本も買ってるねん?しかも片方グリップにシール貼ってあるってことは新品やろ?また円安の時になに海外通販やってるんや?って話を、れいによって説明させてください。お願いします。

 ワシの蔵にはロッドは林立していて、大概の状況には対応できるだけの備蓄がある。なぜそんなに備蓄しているかといえば、今時の高級な”お竿様”がとんと気にいらないし、今後もワシの気に入るような耐久性に優れた使える竿が作られることは期待できないので、予備竿含めて使える竿で必要になりそうな竿は確保しているのである。おかげで今期”根魚クランク”という新しい試みを始めたときにも、道具はあれこれ比較して試していけるぐらいには備蓄はあった。

 で、そんな「備えよ常に」とボーイスカウト時代から心得ているワシなんだけど、安い出物があったらとりあえず押さえることにしている竿があって、それが”世界一の安竿”シェイクスピアブランドのアグリースティックなのである。なにしろ丈夫でワシ好み。感度?飛距離?軽さ?そんなもんがたいして役に立つかよ、想定もしていないような大物が掛かった時に、とにかく折れずにしのぎきれる丈夫さ、手になじむまでガイドやら取っ替えつつ徹底的に使い込める耐久性、竿先はグデグデのグラスソリッドでもバットはカーボンでパワーがあり一本でこなせる仕事の幅広さがある、釣り場に持ち出して魚を掛けて使い込んでこそ良さが分かるこの一ッ本(現在10本保有してるがな)。世界中で「竿なんぞ折れんで長持ちすりゃ上等」という労働者階級の釣り人達に愛されまくっているロングセラーシリーズ。日本では一部好き者しか評価していないのは、日本の標準的な釣り人が、お部屋で天井に竿先あてて美しいベントカーブとか堪能してるだけの腰抜けどもだからである。アグリースティックのベントカーブはすごいぞ、”しの字”に曲がる様はまさにアグリー(醜い)って感じで美しさにはほど遠いけど、それが好き者にはたまらんのですよ。とりあえず安けりゃ買っといて備蓄してりゃぁそのうち出番も回ってくるし、なんならブランクスだけ利用して切ったり継いだりで欲しい機能の竿に再構築してやるって手もあってその素材としても優良。

 でもって、なに新品臭いやつまで買ってるねんって話だけど、これ新品じゃなくて、この状態で中古釣具屋のネット販売で売られてたんです。しかも、2本とも安い!二千円台で送料入れても5千円ちょい。元値がそもそも安くて50ドル弱だとしても、今日日海外通販で買うと長物の送料なんて恐ろしいことになる。となると、ここであったが百年目でもう買うしかワシに選択肢はのこされていなかった。グリップのビニール剥がしてないぐらいで使用感も少なく程度も良いのになぜにクソ安いのか、それは黄色いお店独特の「店員さんに商品知識がなくて変な値段が付いてることがある」って典型で、アグリースティックのソリッドグラスを見せびらかすためにわざと竿先の方に塗装をしていないのを「トップから#1ガイド下部まで塗装がはがされているためB-です。」と査定していて笑いましたよワシ。そういう仕様だっちゅうの。ありがとうございますって話だけど、よく考えると黄色いお店は買うときもそのB-の査定で買い取ってるんだろうから損はしてなくて、どうも俯瞰してみると、損したのは売った人で得をしたのはワシということのようだ。どこのどなたか存じませんがあざっス。たぶん海外通販で手に入れたは良いけど、重いしダルダルな調子で馴染めんしで早々に手放したことは想像に難くない。だってワシも最初に買ったときそう思ったもん。でも使ってるうちに良さが分かってくるのである。手放してしまった人は実に惜しいことをしたと思う。

 というわけで我が家においでなすったんだけど、これ備蓄用じゃなくて使用を想定してます。当然いま絶賛試行錯誤中の根魚クランク用で、まあ40、50ぐらいまでの根魚なら、ベイトのバスロッドでグリグリとやればどうにかなるような目処が立ち、今使ってるウエダの「Pro4ピッチンスティック7F2」は良いあんばいで、この竿は東北のボート根魚用に買ったんだけど、ウエダが解散した頃にネットオークションに流れてた竿で1万円ぐらいだったので、定価考えると安い値段で確保できて、さすがウエダの竿はお高くとまってやがるけど良い竿だと感心したのでもう一本確保したという竿で、2本持ってるので予備竿には困らないはずなんだけど、東北に行くたびにロッドケース持って移動するのは面倒くさかったので、1本は”釣りの上手い人”のお兄さんの家に置き竿にしてある。ので我が家には今1本しか無い。無いと予備が欲しくなるのが病人の病人たるところで、フェンウィック「ランカーギアX LGX66CM-2」もバスプロショップス「マイクロライトIM6グラファイト ML60MC-4」もあるヤンコビッチって話だけど、もうチョイとパワーのあるのが良いなとウエダを持ち出したわけで、ウエダの予備としてはややパワー不足。ということで急がないけど予備竿は探していたところにタイミング良く(悪く)出て来たのが、黒い方の「アグリースティックGX2 USCA662MH」で、今シーバスで使ってる「アグリースティックエリート」シリーズと同一ブランクスでグリップがEVAでやや安いほうの「GX2」シリーズのミディアムヘビー、ライン指定が15~25LBの6フィート半の2ピース。ウエダよりチョイ短くてパワーがある感じで、純粋な予備竿というよりは若干パワーアップさせた感じになってるけどあんま気にしない。で、もいっちょの白い竿が「アグリースティックキャットフィッシュ」シリーズという、やる気のあるナマズのイラストからしてワシの好みをピンポイントで突いてくる竿で元々欲しかったけど、不要不急だしなと手を出さずに済ませていたのに思わず手が出た。「アグリースティックキャットフィッシュUSCACAT802MH」はライン指定は15~30LBでルアーは3オンスまでいけるとある剛竿、って現物触るとスペックから感じるほどガチムチではなくて、ジジイでも扱えそうな適度なネッチョリ具合が良い感じ。2ozクラスのマグナムディープクランクぶん投げて片膝ついて竿半分ぐらい海中に突っ込んでグリグリと岸壁ニーリングするには良いあんばいかも。こいつは目的考えず買ってしまったけど、期せずしてフェンウィック「ランカーギアプラスLP89CH-2J」の予備竿として機能してくれそう。バットエンドがジンバル対応で十字切ってあるんだけど、キャップなどというこじゃれたモノはつていおらず、十字切ったバットエンド自体が丸っこくゴムっぽい素材でできているという”こんなんでいいだろ”感が素敵。

 で、90年代のFujiのハードガイドが付いてた時代を除いて、アグリースティックの最大の欠点はガイドがショボいということで、すぐに壊れる道具を評価しない米国で売ってるのに、なぜか削れる「アグリータフガイド」がいまだに採用されている。

 モノとしてはどう見てもステンレスにクロームメッキをかけただけって代物である。ただ、ステンレスに硬質クロームメッキって今でもフライロッドのスネークガイドには普通に採用されているし、見た目ほど弱くもないし実用十分な強度は確保できるらしいのである。

 過去にも引用させてもらったけど、Fujiの創業者である大村隆一氏著「ロッドクラフト」の該当箇所を抜粋すると「ハードクロームリング ステンレス製のワイヤーリングはキズが付きやすいため、超硬質のハードククローム(原文まま)をメッキしたものが開発されました。しかし、このハードクロームは生産コストが非常に高いにもかかわらず、見た目には、普通のクロームメッキと全く区別がつかないため、過とう競争による品質の低下が行われ、その性質も普通のクロームメッキと変わらないものとなってしまいました。すなわち、ハードクロームにおいては良質の品質を維持することは不可能に近く、この種のガイドは消滅を余儀なくさせられた訳です。」とあって、大村氏の昔には硬質クロームメッキは難しかったけど、今ではそうでもなくて、実は見た目ショボいアグリータフガイドも実用性充分の品質に仕上がってるのではないか?と思って、現在シーバス用に使ってる「アグリースティックエリートUSESP702M」は購入時にそのままガイド換装なしに使ってみた。現在その竿にはFujiのOリング(酸化アルミ系)とSICリングのガイドが付いている。釣行数回で糸溝ついて削れたやんけ!やはり大村氏のご指摘どおりで、良質の品質を維持することが難しかったようである。ちゃんと品質管理しておけよって話で、技術力的には中国とかの外注先は充分できる能力あるんだろうからなんとかしてくれプリーズ。でも一応今回も現在中古状態で削れていないということに一縷の望みを託して、最初はそのまま使ってみる。SICガイドの”割れ”のように発生した時点でラインがグザグザにされるので即時使用不能になる不具合と違って、糸溝ついて削れていくのは削れ始めたのに気がついてから対処すれば間に合うので、とりあえず様子見である。

 最近、我が国も景気悪くて、お高いガイドの付いた竿は売れんようになってきてっていうか、釣り具自体売れんくなってるんだろうと思うけど、国内ブランドの竿でもSICやトルザイトのリングじゃなくてアルコナイトっていう酸化アルミ系の安いリングのガイドが付いた竿が売られ始めたようで、例によって、ガイドが削れるのを心配せにゃならんほど魚釣らんような人種が「削れる」とか騒いでるけど、Oリングより性能上がってるらしい酸化アルミ系のセラミック素材がそう易々と削れるかよって話で、酸化アルミ系のリングが削れるような過酷な使用条件ならSICも削れるって話で、削れるのがいやならローラーガイドにでもしておけって話。アホクサ。編み糸のPEラインが泥とか砂とかの粒子を拾いやすいので砂浜や濁った水域でPEラインつかうと削れることがあるといわれてて、砂浜で使ってて削れた事例は聞いたことある。けどそんなのは珍しい事例で、ワシ泥っぽいクリークでPEライン使ってライギョ釣りしてたけど、マスキーロッドに付いてた酸化アルミ系のハードリングもトップガイドの謎金属ガイドも削れんかったので気にしてない。

 まあ、ワシには関係ない話でございます。ワシにとっては自分の竿のアグリータフガイドが削れるかどうか、それこそが問題でありゆゆしき事態なので、今のところ一回出撃時点では大丈夫だけど、巻くときにラインが結構張ってるディープクランク引きまくりの釣りで継続使用するとどうなるのか、自分の目で確かめておきたい。

 たとえ、結果”ガイド総取っ替え”というめんどくせぇ作業が生じたとしても、今時の高級ロッド様では逆立ちしても手に入らない信頼性のある竿が2本も格安で手に入ったので現時点で大いに満足である。蔵に竿が林立していても、アグリースティックならペロッと”おかわり”いけてしまうワシなのであった。

2024年10月5日土曜日

パワーこそ力!

 その方向にはろくでもない結果しか待っていないことはうすうす知ってはいる。

 まだ魚の大きさの上限がしれているなら、最大火力で殲滅するかのような力押しは通用するだろう。カムルチー狙いでガチガチの竿で藻の中潜り込ませず勝負を決めるってのは戦略として取りえる。あいつらデカくてもメーターちょいだろ?

 ところが海の魚の場合、魚の上限はそれこそホホジロザメでも狙えばトン超えてくるし、カジキやマグロの大型も力勝負で勝てる相手ではないのは明白。それらは沖の何も無いところで掛けることができるから、力勝負で最初から止めようとするのではなく、ドラグ鳴らして超持久戦という戦略がおそらく正解だろうことにはあまり異論はないだろう。

 ただ、ハタだのクエだのの類いの大型の根魚の場合はどうか、根に潜られたらそこでサヨウナラ終了なので、根までの短距離で止めざるをえない。えないけど魚が10キロ超えたらもう手持ちの竿で力勝負で止めるのは難しくなってくる。そうなってきて昔の磯の底モノ師が陥ったように、より強力な道具でより強い道糸でってやり始めると、速攻で一番大事な道具である”人体”が制限要因になって手詰まりになる。手詰まりになってるのに強引にその方向に突き進んだ先には、竿を磯の岩に打ったピトン(杭)やらロープやらでガチガチに固定して、リールのドラグもトンカチでドついて締めて、魚が食ったら魚の引きは磯の岩に任せて、魚が弱ったらリールを巻く作業だけ頑張るっていう「それ本当に楽しいのか?」っていう、IGFAのルールとか堅苦しいものを持ち出すまでもなく、それで”釣ったこと”になるんかいな?っていう疑問がつきまとう有様が到達点で、真面目にやってた人には失礼な物言いでもうしわけないけど、ワシャそりゃちょっと違うようねって思ってしまう。

 じゃあどうするか?達人級は手持ちの道具で磯の上からでも、立ち位置変えて根に潜られない方向から引っ張ったり、わざと広い方に行くように緩めて誘導したり、ありとあらゆる技術・戦略を駆使して釣るようである。あるけど、魚の引きを磯の岩に任せてゴリゴリ巻いて釣るより格段に難しくてあたりまえで、当然大きな魚は釣るのが難しいだろう。でも難しくて揚がらん大きさの魚はいて当然で、それを揚げたいからといって”釣り”かどうかもよく分からんくなるような方法に頼ってどうするっていう話で、何やってもいいんなら磯にウインチ固定して、発電機持ち込んでワイヤーで引き上げるとか、そこまで行くとさすがに釣りじゃないだろって感じが強くなるけど、なんか竿とリールを使ってさえいれば”釣り”だってやってると、行き着く先がわけわからんつまらないことになる。どこに線引きするかは個人の自由だけど、ワシャ文豪ヘミングウェイが仰ったらしい「立ってようが椅子に座ってようがどうでもいいけど、釣りというのは魚の引きのすべてを自分の体で受け止めなければならない。」っていうのに賛成である。

 とはいえ、今やってる根魚クランクで、バスロッドでも16LBナイロン巻いたベイトリールでグリグリやってて40センチ級ぐらいまではなんとかなることが分かってきた。障害物に突っ込まれるのは、今のところリーダーを長く太くして多少引っかかった場合とかは立ち位置変えて外しに行ったりして対応できるようになってきた。船とかなら、底を切ってしまえばあとは根に潜られることは少ないんだろうけど、陸っぱりで魚を掛けてから引っ張ってくる途中には、当然底には蛎殻生えた石ぐらい転がってるだろうし、護岸際とか護岸の凸凹とか潜り込む隙間もあるだろう、って感じで、止めたとしても魚は向こうに行けなくなってるだけで、下にも横にもなんなら上にも行けるのである。上にはシーバスでもなければ行かんとしてもだ。となると力勝負でなるべく魚の頭をこっちに向けっぱなしにして寄り道させずに寄せきるっていうのも手としてはあるんじゃないか?っていうのと、もう一つには今まだ40~50センチ級ぐらいしか掛けてないから良いようなものの、餌では60センチ級も釣れているのを見ているので、それが今のバスロッドでどうにかなるのか、さらに大きい”想定外”の魚も低い確率ではあるけど掛かってしまうと想定しておくべきなのが海の釣りであり、そういう大魚を釣るために自分の扱える最大火力の武器を試し撃ちぐらいはしておくべきだろうと思い、よく「パワーこそ力!」と小馬鹿にはしているけど、真面目に考えて準備してみた。

 まあ、ベイトリールで利き手でグリグリ巻くのが前提としてあるので、そういう用途ならジギングタックルかライギョタックルで、ジギングタックルはルアー投げるのを想定してないことが多いうえに、我が家にはジギングタックルはスピニングしかないので、消去法でライギョタックルとなる。いうても我が家のライギョタックルは左手サミング用に魔改造を施されたのやら、2ピースのマスキーロッドとかけったいな竿ばかりではあるけど、堅さと取り回しの良さからバスプロショップス「PMX66MHT-2」という6.5fの、マスキーロッドとしてはまだおとなしめの竿を選んだ。もう一本のデカいジャークベイト用のマスキーロッドは今使ったら手首が死にそうなカッチカチの棒である。竿がある程度以上堅い、そしてドラグはきつめとなるとラインの太さがある程度太くなる。デカいの想定で力勝負の引っ張り合いを考えているからPEの方が向いているんだけど、引っ張り強度だけなら4号もあれば足りる。けど、伸びないPEラインは瞬間的な力のかかり方に弱く、ロウニンアジ釣りで練習では問題なかった5号PEがアドレナリン全開で筋力制限解除状態の釣り場でバッチンバッチン切れて泣いたことがある。国内だったので6号買って巻き直した。っていうぐらいで”アワセ切れ”対策を考えると6号は欲しいところで、ライギョ釣りの時には、PEラインは高価でおいそれと巻き替えられないので、余裕を持って8号にしていた。毛羽立ったら先の方を切ってワンシーズンぐらい使い倒す。歯ズレ対策に先っちょには両端抜けない輪っか状にしたケブラーノット15号(ザイロンノットというのが後継品「ザイロンX」という紛らわしい品は輪っか作れないので注意)ぐらいをメインラインにビミニツイストで輪っか作って4回回しのループトゥーループっていう当時のラインがそのまま巻いてあるリールが2台残ってたので、そのうちの”釣りの上手い人”が使ってた当時バレーヒル扱いだったゼブコ「クァンタム1430MG」というのが本体樹脂製で塩水で使うにはちょうど良いかなということで、今回整備して投入してみた。

 でもって基本釣りの上手い人が、丸アブは手が小さいので使いづらいというので、非丸型のでライギョ釣りに使えそうなのをテキトーに見繕って買っただけなので、あんまり興味もなく注油ぐらいで使いっ放しで今回初めて分解整備である。

 なんかハンドル回りを取っ払っても本体蓋のネジが片方は注油窓のネジで実質1個しかなく、やや途方にくれかける。ベイトはABUぐらいしかいじったことがないので勝手が分からん。

 そういえばこいつ新品で買ったから箱と取説あるはずだな、と蔵を捜索して釣りの上手い人のライギョ用必殺ルアーのゼタベイト「スワンプラット」を入れてあったのを発見。取説見てメインギア入ってない方の蓋は手で外してスプール交換とかしやすいようになってたなと思い出して外していく。

 ブレーキは遠心ブレーキで、スプールに付いてる黒い円盤ユニットから出てる白い突起を出し入れしてブレーキの効きを変えられるようだけど、初期状態で普通に投げられたので、いじったことがないし今回もいじらない。蓋側のブレーキの当たる金属の輪っかの下に平行巻(レベルワインダー)を動かす歯車が入ってて、このリールはレベルワインダー連動式。ついでにスプールに軸が固定されている方式。

 メインギアのほうの蓋を開けるネジは、シャフトを貫通しているのがレベルワインダーの上下に2本と、スプールの下に1つあって、そいつらを抜くと無事パカッと開けることができる。

 パカッと開けて、蓋の方にワンウェイクラッチが見えているように、こいつは瞬間的逆転防止機構が付いてしまっている。まあベイトだしそんなに気にならんのと、丸アブとかに入ってるのと比べるとワンウェイクラッチも、それが押さえるスリーブもゴツめで丈夫そうではある。

 ドラグは、謎の樹脂製パッド1枚のABUでもよく見られる方式。ただドラグパッドを押さえる小判穴の金属ワッシャーが分厚い。この辺はドラグの安定作動には曲がらない十分な厚さのあるワッシャーが重要って考えているようで、PENNスピンフィッシャー小型機の1枚パッドドラグとも共通する設計思想のようで、ドラグを使う釣り人の国のリールって感じがして好感が持てる。実際ドラグ性能は悪くない。

 中のグリスは悪くなってないようだったけど、拭き取って金属面はすべからくグリスで濡れているように、今回はPENN純正グリスで仕上げた。

 若干残念だったのは、せっかく工具いらずでパカッとブレーキ側の蓋を開けて注油とかスプール交換とかできるようになってるのに、汚れやすいレベルワインダーのグルグル棒を外すのには、ギア側の本体蓋を外してEクリップを外さねばならず面倒くさい。まあ、しばらく放置でいけるようにグリス多めに塗ってからオイル注しておいた。樹脂本体で軽くは作ってるんだろうけど、全体的に丈夫には作られているようで実用的なリールだなと思ったけど、正直スピニングほどベイトは数触ってないので分解整備した程度ではイマイチ評価しきれない。

 じゃあ、釣り場に持ち出してどうだったのか?というと、1回使っただけなので長期運用はまた別の話だけど、とりあえずは投げて巻いて快適に釣りができて文句はない。

 文句はないんだけどリール単体ではなく、堅い竿と太くて強い糸と組み合わせると、通常の道具立てなら問題ないような”ルアーや接続具の強度”が問題になってきてちょっと悩ましい。根元細く絞った長いリップの「ダウンディープラトリンフラットラップ7」のリップが草むら釣ったときに竿あおったらあっさり折れた。そういえばライギョ釣りの時にも接続具はクロスロックのスナップとかアワセ一発でミョーンと伸びてただの針金に帰り、ウィードレススプーンのフックがこれまたミョーンと伸びたりもした。伸びない強いPEラインで堅い竿、締めたドラグだと想像以上の力が瞬間的に掛かることになり、どこか弱いところがあるとそこから綻びが生じる。ルアーが壊れるならまだましな方で、下手すると体が壊れかねない。ドラグは強め設定にはするんだけど締めすぎるのは危険だと思う。接続具は細い針金を折り曲げて引っかけた”構造”で引っ張り強度を持たせているようなスナップではなく、針金自体が元から太くて曲がりにくいハワイアンフックやスプリットリングの変形版みたいなのを使うべき。ルアーはリップが差し込み式のラパラ系やらバグリー系は避けて、ゴン太の一体成形リップが付いてるのを選ぶ必要がある。あと、ラインが太いとどうしてもルアーの潜行深度に影響がでてきて潜りにくくなる。これはより潜る大きなクランクベイトを使うとかで対応は可能だろう。

 という感じでいちおう試し撃ちして感触は掴んでみたので、必要とあらばいつでも繰り出せるようにはしたけれど、ちょっと”強すぎる”のも扱いにくいなというのが正直なところで、当面はバスロッドメインで行こうかなと思っちょります。まあ奥の手ということで切る手札として持っておく感じ。こいつらの出番があればそれはそれで胸躍る展開ではあるので、そういう未来もうっすら期待しておこう。


<おまけ>ダメ元で確認してみた、ABU「アンバサダーブラックマックス」と同「アンバサダーMAX」のスプール互換性。ばっちりありました。どうもブラックマックスのような”スプール固定するスイッチ”がある機種が先にあって、その後に出た簡略版が無印MAXらしく、フレームにスプール固定スイッチ用の穴が開いていて、スプールをピニオンギアに固定する金具はスプール固定用の歯車と一体形のものになっているのをそのまま使い回している。ということで予備スプール体制が組めることになって、戦闘力爆上がりなのであった。ブラックマックス活躍してくれているし、つくづく良い買い物だった。

2022年3月6日日曜日

フライリールは迷わない

 フライリールを買ってしまった。

 これはそっち方面に症状が出ているのではないかと疑われるかもだけど、ちがうんです!そのあたりをご説明さていただきたい。お願いします。

 この冬は苦戦したけど、フライで狙うカマス釣りにおいて、主力のラインとして使ってたタイプⅣとタイプⅥのシンキングのシューティングヘッド(ST)というのが、もう製品としてはどこのメーカーのもシングルハンド用のは廃盤になってて、ウェートフォアード(WF)のフルラインよりは短い分割安で、接続するランニングラインの部分を細くして飛距離重視にするか、ある程度太くして絡みにくさ重視するか好みで選んだり、ランニングをヘッドほど沈み早くはなくして手前の沈み根とかへの根掛かりを回避したりと、用途に合わせて組み合わせを変えつつ使える便利さもあって、まあ最初に沈める釣りをやったときにJOSさんに組んでもらったのが、シューティングヘッド使ったシステムだったってのがぶっちゃけ大きいけど、長年フライ沈める釣りにはシューティングヘッドを使ってきた。とはいえ、今使ってるのが最後の在庫ぐらいで中古で出物もあまり期待できないし、もう手に入らないと考えた方が良い。となると”無ければ作る”というのと”代替品で済ます”というのをそろそろ考えざるを得ない。

 ということで、ちょっと今季は魚釣れてない時間も長かったので、その辺を模索して色々試していたんだけど、一応魚釣るにはタイプⅣとタイプⅥを状況に応じて使い分けたいので、いま使ってる「ラムソンLP3」のスプール2個は釣るために必要で、もう一個替えスプールがあると試し投げには便利。ついでに替えスプール持っていない主にボラ釣るのに使ってる9番用の「システム2 89」の替えスプールは前々から欲しいとは思ってたので、替えスプール狙いで安ければ本体ごとでもかまわないぐらいの心づもりで、ラムソンとシステム2の出物がないかネットオークション等を見張ってた。出物はラムソンに関してはスペアスプールだけ格安でっていう都合の良い出物はないけど、本体はそれなりにある。あるけどさすがに良いリールなので中古でもお高い。1万円近くしている。システム2のほうは元々安めの価格帯のリールで玉数は豊富。ただ、ワシんちにあるスプール側面に穴が開いてない古いタイプは滅多に出てなくて、穴の開いた時代のがほとんどで、買ってもスプール互換性があるのかどうか良く分からんので手が出ない。出ないんだけどふと、最初っからスペアスプール付きのを買ってしまえば、スペアスプール有りの体制になるじゃんと、いらんことに気がついてしまった。穴あき時代のは中古で本体だけなら5000円かそこらのもあって、替えスプールが付いても7,8千円ってところでお買い得。ボラ用の9番運用のは必要性・緊急性に乏しいのでまた別途探していけば良いとして、都合が良いことに替えスプール2個付きの「システム2」が7500円送料込みで売りに出されていて、コイツ確保で問題解決だな、というかフライリールはそれ程かさばらないので、いつものラムソンに魚釣る用にタイプⅣとタイプⅥのシューティングヘッド巻いておいて、新しいシステム2を試し投げ用にして釣り場に持ち込めば3種類一度に試し投げ可能。ということでスルッとマウスが滑って確保してしまったのが冒頭写真の、穴あき時代のSM社サイエンティフィックアングラーズブランドの「システム2 78M」であります。3台買ったわけじゃないです、2個は替えスプール。

 システム2シリーズは、比較的安価でちゃんとしたディスクドラグが付いていて堅牢という優等生で、往年、エーベルとかの高級リールを買えない釣り人にちゃんとした使えるドラグが付いてて海でも使えるリールを提供してた立派なシリーズである。ちなみにイングランド製。なんで安価なのかっていえば、高価なアルミ無垢からの削り出しとかじゃなくて、アルミ鋳造で堅実な作りをしているからで、じゃあほかのメーカーもアルミ鋳造にすれば良いじゃん、ってのは鋳造(ダイカスト)につかう金型は高額で、フライみたいなマイナーな釣りでは普通数が売れないので金型代が回収できないとのことで難しいようだ。そこがフライラインの世界ではトップブランドであるサイエンティフィックアングラーズの強みで、米国中心に数がはけるから鋳造でも儲けが出る。削り出しの方が強度が確保しやすいので軽量化とかの利点もあるけど、フライリールは片軸受けとはいえ、スピニングリールのように回転する軸を90度曲げたりという面倒くせぇ方式ではなく、スプールの真ん中に軸をブッ差してギアも介さず巻き取りする単純な”センターピン”とかよばれる構造が基本(ラージアーバーの機種で”ピン”に刺さってはいないのもある)なので鋳造でも充分実用的な軽さ強度のものが作れるとおもう。

 で、我が家に来たのであればまずは分解清掃。が必要なほどどこも具合悪くなってないし悪くなるような箇所もないんだけど、右巻き仕様になってたので、わしフライリールは左巻きなのでどのみち分解せねばならず、ついでにグリスアップしておいた。まあ単純な作りで手間ちゅうほどでもないんだけどね。スポッとスプールを抜くと、真ん中にブレーキディスク。端がギザギザしているのは、上の方の音だし(クリック)をカチカチ鳴らすため。でもってブレーキはそのディスクを上と下から挟みつけるかたちで音出しと反対側下に付いている、分解途中の右の写真のディスクの上に白い部品が見えてると思うけど、これが上下あるうちの上のブレーキパッドの柄の部分でツルツルするテフロンみたいな樹脂素材。構造的には自転車のディスクブレーキと似た感じだと思う。でもって、このブレーキディスクの根元の填め殺されている黒いドーナツ状の部品の中に逆転防止の部品が入ってて、巻くのが左か右かで、ブレーキディスクごとひっくり返して、リール巻くときにはディスクが回らず軽く巻けて、ラインが引き出されるときにはディスクが回って、ブレーキパッドがディスクを挟み込んで発生させる設定したドラグ値が掛かるという仕組み。

 システム2は、穴あき時代でもいくつかのタイプがあるようで、これは本体には穴がなく、スプールもハンドル側には穴が開いているけど、内側というかブレーキ側には右の写真の様に穴が開いていない(前の持ち主6番で運用してたようで、シール貼ってくれてあるので何のラインか分かりやすくて良かった。新品のちゃんとしたライン買うとこのシールは付いてる)。

 なぜ、ハンドル側以外穴開けてないか?軽量化には効くだろうに?というと、ブレーキに浸水してドラグの作動に悪い影響が出るのを防ぐためだと思う。穴開けまくれば軽くはなるだろうし別のモデルでは実際に開いているけど、ドラグの安定した作動環境を確保するためにこのモデルでは”開けてない”という設計意図が明確で、その辺もあって信頼にたる堅実なフライリールとなってるんだと思う。今時の軽量なリールは極端なモノだと自転車のスポークを思わせるぐらいにスカスカの穴だらけというか骨組みだけというかな状態だけど、そうなるとドラグ部には水かかり放題なので、ドラグ部自体を防水シーリングしてしまって分解清掃できなくなってきているとのこと。仕方ないといえば仕方ないと理解できるけど、フライリールって”単純な糸巻き”なところも魅力であって、そこまでやる必要あるのかなと個人的には思う。フライマンのエラいところは、頑固にフライリールの単純さにこだわるところってのもあると感じてて、ワシなど増速ギアぐらい付けりゃ良いのにと思わなくもないけど、かたくなにギアを介しての増速は認めない。増速で許されるのはスプールの直径を大きくする”ラージアーバー”までで、そういう”縛り”があるからこその工夫とかが、それはそれで楽しめる部分だと思う。道具は固定で技術を磨くっていうのがストイックなフライマンの基本姿勢だと思う。ワシゃインチキフライマンなのでこだわらんけど、さすがに最近の”飛距離”を売りにして細分化したわけの分からん投げ方用の道具とかは正直邪道だと感じてる。そんなに飛距離が欲しけりゃ投げ竿でジェット天秤に毛鉤付けて投げとけって思う。もっと言えば飛距離が足らんと思ったらキャスティング練習でもして技術で飛ばせって。

 ということで、システム2は大事な部分に水入りにくい構造ではあるんだけど、使ってりゃ普通に水被るし水入ります。そら魚がいる水中に投げ込んだ濡れたラインを巻いてくるんだからあたり前、塩水で使ってりゃ塩水対策はやってたとしても完全に腐蝕を防ぎきれるものではないけど、それでも気を使ってやればかなり防げる。とりあえず本体内側、スプール裏、ブレーキ周り含め中の部品あたりは全部マキシマの青グリスで濡れてるようにしておく。ついでに足を止めているネジも一回外してグリスまみれにして本体と足の間にもグリス塗って締め直して増し締めしておく。スプール内外、本体外側もちょっとグリス塗って拭き拭きして磨いておく。あとは使ったら水道水でジャバジャバ洗って布で拭いて乾燥、長期使わない時期はラインを抜いてグリスで拭き直しておくぐらいか?やったことないけどネジ周りとかシリコン系接着剤で覆ってやるってのも聞いたことがある。

 って感じで、リールの方は準備完了。ぶっちゃけ、カマス釣るのごときにディスクブレーキいらんがなっていう実態もこれあり、たまたま出物があったのでシステム2になったけど、同じサイエンティフィックアングラーズブランドのフライリールでもクリックブレーキのシステム1でも良かったぐらいで、クリックブレーキのリールならそんなに性能差って無いだろうから、なんでも良かった気もする。ただ、8番運用ならボラとか走る魚を釣る機会もあるだろうしディスクブレーキ付いていて困ることはない。その時にディスクブレーキの良いリールって意外に貴重で、有名メーカーでもろくでもないクソリールを市場にぶっ込んで来てたりしてたので、自分が使った事のある”間違いのない”リールならば迷わなくて良い。システム2は古いリールだけどそういう迷わなくて良いリールだと思っている。フライリールは増速無しの片軸受けセンターピン方式のまま変わらないんだろうから、とんでもない新機軸の製品が出てくるわけはなく、せいぜい軽くなるぐらいの変化しかないだろう。さすれば、古くてもちゃんとしたリールを使っておけば失敗することはないと思っている。

 リールの体制が整ったので、ラインをあれこれ釣り場で時合い待ちとかの時に試してみて、良さそうならそのまま実釣にぶち込んだりもしてみた。

 重めのシンキングのシューティングヘッドが廃盤になって、「自分で作る」か「代替品を使う」かという、対策方針なんだけど、自分で作るっていったって、PEラインとかの編み糸を芯にして、そこにタングステン粉を混ぜ込んだ樹脂を重ね塗りしていって、必要な太さ(重さ)を必要な部位に負荷しつつ、きちんとターンするようにテーパーを付ける。っていうような本格的なのは、そういう目的に使える樹脂が市販されているのかどうかってあたりからして全く知識がなく、ちょっとさすがに素人の工作の範疇を超えている。となると実際には”作る”といっても、既存の製品を切り貼りしてシューティングヘッド的ななにかをでっち上げるというのが実態だと思う。一番単純な”製法”としてはシンキングのウェートフォアード(WF)の前方14mだかの太い重さのある部分でぶった切って、好みのランニングラインに接続するという方法で、ケン一が実際にこの方法を採用している。WFのラインはタイプⅣならラインの全部がタイプⅣで沈むので、シューティングヘッドでランニングを中間浮力のインターミディエイトとかにした場合よりもライン全体が底に這うことになり、引っ張る速度によると根掛かりが怖かったりする。逆にいえば深い棚をキッチリひく能力は高い。あとランニングラインを軽くすれば当然投げるのは楽で、軽いランニングラインを引っ張って飛ぶほうが飛距離的にも有利。ということで、既存のWFのラインを切ってシューティングヘッドシステムに改造してしまうのは、ラインの番手を上げてヘッドの部分を短く仕上げるとかの応用も併用すれば、いままで使ってたシューティングヘッドシステムをほぼ代替するものを用意することはできる。ただ、問題としてはシューティングヘッドは10m無いような短いのが多かったけど、WFラインの太い部分は14mとかそこそこ長いので、同じ番手のラインを使うと同じ長さのヘッドにはならない。逆に短いヘッドににしようとすると、どの番手のラインをどの長さに切って使えばいいのか、調整は面倒くさい。そして、無職的には結構地味だけど効くのが、シューティングヘッドは短い分価格抑えられた設定だったけど、フルラインのWFは安心・定番のサイエンティフィックアングラーズの「ウェットセル」シリーズで5千円ちょいとそれなりにお高くて、切って使わない細い部分が生じたりもして割高になる。

 ということでなんか良い手はないかと考えつつ、WFのラインぶった切るにしても、最初っから良いラインでやるのは失敗したら悲しいので、まずは安物で試してみて経験積んでみようか、ということでネットオークションに怪しげな安いフライラインを出品している業者さんからいくつか買って、色々試してみた。

 まずは、9番のタイプⅤ相当のシンキングのダブルテーパー(DT)ラインという、なかなか笑えるブツが出品されていたので確保した。なぜ笑えるかというとダブルテーパーっていうのはフライラインの前と後ろを除いて一定の太さになっていて、前端後端がテーパー掛かってて、片方が使っててすり切れて滑りが悪くなったら逆転させてもう片方の端のテーパーを使う、という1本で前後ひっくり返して2度使えるお得なラインなんだけど、高番手のフライラインはそれなりに重いので、ラインがWFラインのように途中から細くなっていなくて、DTでずっと太いと投げるのがしんどい。普通のメーカーはDTは5番ぐらいまでしか用意していない。9番DTのタイプⅤ相当のフライラインを作ってるって時点で、そのメーカーがかなり怪しいことは間違いなく、多分フライフィッシングなんぞしたことがない、イヤホンのコードとか芯に樹脂をコーティングした製品を作ってる新興工業国の工場にどっか欧米とかのフライ系の釣り具メーカーが発注して、納品しなかったB級品とか、頼まれてもいない試作品とかの”バッタモン”を流して、流れ流れて日本のネットオークション出店の通販会社が買い付けて売りに出したとかそういう代物かなと思っている。写真でイヤホンコードと一緒に写してみたが違和感なく溶け込んでいると思う。触った感触とかはさらに似ている。ただぶった切る前のフルライン状態でフライラインとしては既に安い。2000円ちょいぐらい。それを2本に切って前後とも使うのである。上手くいけば2本シューティングヘッドが手に入る。1本1000円がとこっていうのは、無職に優しい経済性。早速ぶった切って、重さをいま使ってるタイプⅥのシューティングヘッドにあわせて18グラムにしたら長さは11m、ランニングラインに繋いでリーダーも繋いで実際に投げてみると、ちょっとラインが堅い感触があって、投げ続けているとランニングラインの方に変なヨレが入ったりするけど、使えなくはない。正直デキの良い製品では全くないけど1000円がとこで1本手に入るなら、値段相応って感じで及第点をあげようとおもう。でもってそれならともいっちょ調子に乗って10番DTタイプⅤ相当という同じ系統のラインを買ってみた。これはもっと短く切って3本ラインが作れないかと考えた。前後は当然テーパーが付いているけど、真ん中の太いだけの部分はどうするか。今時のややこしい投げ方をするときにラインの先を沈めて、抜くのに抵抗が掛かる状態を作って、竿をより曲げてやってキャストのパワーを稼ぐとかいうときに使うらしいけど、ポリリーダーというナイロン単繊維の上にフライラインの素材でちゃんとテーパー付けて樹脂コーティングしてある製品が有り、コレ接続すればあまった真ん中もシューティングヘッドとして使えるようになるのではないかと考えた。考えたんだけど、とりあえず端の方で作った、なんちゃってSTは7mという短めに仕上がったのは良いんだけど、太くなった分ラインの素材の堅さが強く出た感じで、明らかに使ってるとランニングラインが縒れてくる。コレはイマイチでございます。ということでお蔵入りかな。まあこういう試みに失敗はつきもの。気にせず次にいこう。

 次に「代替品を使う」って方向だけど、まあシューティングヘッド(ST)売ってないならウェートフォワード(WF)のフルラインを使うのが普通なんだろうなとはおもう。WFのタイプⅣとかならさっきも書いた定番の「ウエットセル」シリーズの買っときゃまず間違いはないだろう。ただ、WFをそのまま使うという線もあるけど、「自分で作る」に移行して、WFの太い部分を切ってランニングに繋げる方式も当然ありえて、そうなると安いラインがありがたいなと、またネットオークションで安ラインを探す。あまり安くても耐久性が悪ければ”安物買いの銭失い”になるので、フライライン表面のコーティングが剥がれたりヒビが入ったりは、芯が伸びのあるナイロン芯だと根掛かり引っ張ったときとかに起こりがちで、芯が編み糸(ブレイド)系の方が丈夫。ということで、芯が編み糸(ブレイドコア)系のをいくつか買ってみた。さっきぶった切ってST2本作ったDTラインつくってた同じメーカーのモノらしい、WF8番SタイプV相当というのを1600円ぐらいでと、カナダのメーカーに作らせたというWF8番の5ips、7ips(インチ/秒)をそれぞれ2000円強で買ってみた。

 1600円のはやっぱりちょっと堅めで、どうしても”イヤホンコード感”が抜けない代物で、ちょっと太くもありタイプⅤ相当とあったけどせいぜいタイプⅣぐらいかなという感触。ただ1600円という激安価格をかんがえるとまあこんなモンかな、と納得できる程度には使えるので、とにかく安いのをという基準で選ぶのなら”あり”ではないかと思う。前に飛ぶし、海に沈んでいく。芯はブレイドである程度丈夫そう、上等。

 2000円のカナダ製のは、ちょっとこれは”当たり”という感じで、多分米国のメーカーから発注受けてライン供給してたとかの工場の製品なんだろうけど、これはイヤホンコードじゃなくてフライラインらしいしなやかさがある。芯もブレイドだしすぐに樹脂がハゲチョロげるということもなさそうで、2000円という価格でこれはお値打ちと言わざるを得ない。使ってみて一シーズン持ってくれるぐらいの耐久性があればワシなんの文句もないんだけど。

 で、WFのままとりあえず釣り場で投げてみたんだけど、STとランニングラインは色が違うので明確に見分けが付いて、かつSTが見えてきてフライが上がってくる時にアタるパターンが多いので、どの辺まで上がってきてるのか分かりにくいWFフルラインは慣れるまで、そのへんに派手な色のスレッドで目印付けるとか工夫は必要だと思うけど、投げやすさや根掛かり回避能力的には、まあそのままでも行けそうな感触である。ワシもともとたいして遠投できんからな。ぶった切ってランニングラインに接続したほうが良さそうな状況が生じたら、その時ぶった切ることにしてとりあえずはWFはそのまま運用でいけそうな感触である。

 という感じで、色々と試すにあたって、フライラインとリーダーの接続、STとランニングラインの接続、ランニングやWFラインの後端とリールのバッキングラインとの接続を何回もやる必要があったので、色んな方法を試してみた。

 大別すると、フライラインにリーダーなりバッキングラインを直接結ぶ”直結系”と何らかの形で輪っかを作って、輪っかに輪っかをくぐらせる”ループトゥーループ系”の2系統あって、それぞれに利点があり欠点がある。

 まず直結系はフライラインの表面はある程度弾力のある樹脂でできているので、いわゆる電車結びをフライラインを芯にして締め込んでやると、ガッチリ食い込んで真ん中のフライラインが抜けないネイルノットと呼ばれる結びになる。リーダーを結ばず摩擦系ノットで道糸を抜けないように止めるのは難しいのに、フライラインの場合は素材の特性からフライライン自体を結ばない方法もわりと簡単確実。写真のようにリーダーをフライライン先端に接続するのに使う場合もあるし(段差をならすためと目印にオレンジのセキ糸巻いて瞬着で固めている)、ナイロンの編み糸のバッキングラインをフライライン後端に接続するのにも使う。ただこの場合交換するたびに結び直しが必要で、限られた数のスプールでフライラインを交換しつつ運用する場合やらにはあまり向かないし、シューティングヘッドとランニングラインのようにフライライン同士では結び目が大きくなりすぎて使えない。

 となると、ループトゥーループ方式で輪っかをつくることになるんだけど、これは色々な方法がある。フライライン後端とバッキングラインみたいな滅多に出てこない部分であれば、写真の様にフライライン側は折り返して3箇所ぐらいをナイロンラインでネイルノットでギュッと束ね留めてしまえば割りと簡単丈夫であとはビミニツイストとかでバッキングに輪っかを作ればループトゥーループで2回回して接続、交換自在となる。

 でも、それじゃあ接続部分が太すぎて投げるたびにガイドを出たり入ったりするような場所には使えない。ってなるとフライラインの芯を出して芯で輪っかを作るのと、”ブレイデットループ”と呼ばれるチューブ状の編み糸の先端に輪っかを作っておいてチューブにフライラインを突っ込んでこれまたナイロンラインでネイルノットかましてやるという方法がある。ブレイデットループの作り方は昔ケン一に教えてもらった方法をサイトで紹介してあるのでご参照下さい。あと売ってる段階ですでにループが付いてる場合は作らなくて良いけど、限界ギリギリの引っ張り合いするような釣りでは剥がれるという噂もあるので強度試験はした方が良いかも。

 でもって色々と作ってみると、ブレイデットループ方式(写真左)はやや接続部が太く長めになるので、投げるときSTとランニングの接続部とかだと、カシャンカシャンと引っかかる嫌いがある。熱収縮チューブで覆って引っかかりを少なくするとかはできるけど、手間もそれなりにかかるので、可能ならフライラインの芯を剥き出しにして”もやい結び”とかでループを作ってのほうが釣り場では使いやすい(写真右はオレンジのランニングラインが元からループ付きで黒のDTぶった切ったSTは芯を剥いてもやい結びのうえセキ糸巻いて瞬着)。ただ、フライラインの樹脂を剥いで芯だけにするのは結構難しくて、ワシャちょっとずつニッパの歯で挟みつつこそげ落とすように剥いでいくんだけど、綺麗に剥けずに時間が掛かったり、せっかく途中まで上手くいってたのに、失敗して芯ごと切ってしまってイィーッ!っとなったりする。フライラインの種類によって剥きにくいのがあるようなので、そういう場合は素直に別の方法をとった方が良い気がする。

 ということで、最終的には①バッキングとフライライン(ランニングライン含む)後端との接続は、フライラインを折り返して3箇所ナイロンラインでネイルノットで留めて輪っかにしてバッキングラインをビミニツイストでループトゥループ。②ランニングラインとSTの接続は、可能であればフライラインの芯を出してもやい結びで輪っか作って、結び目と結び目の余りをセキ糸でグルグル巻いて瞬着で固める。芯剥くのが難しい場合は、ブレイデッドループを作ってフライラインに被せて、ナイロンラインで3箇所ネイルノット。輪っか同士をくぐらせて必要なら熱収縮チューブで結び目を覆ってガイドの通りを良くしておく。③フライラインの先へのリーダーの接続は、フライラインの芯が剥けたら芯で輪っか作るのは②同様、難しければフライラインに直接ネイルノットで接続。という感じ。

 で、リーダーなんだけど、ブレイデッドのリーダーが最近流行んないみたいであんまり売ってなく、ナイロンのテーパーリーダー買うのも面倒なので、違う太さのラインを適宜結んで”ノッテッドテーパーリーダー”作って、そっちに順次移行していっている。いま使ってるのを例示すると、まず40LBナイロン1m強をバット部としてフライラインの先にネイルノットで接続して、ついでに目印にもなるようにオレンジのスレッドで巻いて瞬着で固めて引っかかりなくしている。でその先はもやい結びで結び目を瞬着で固めて輪っかにしておいて、そこから先を交換できるようにする。そこに5号フロロ40センチ、3号ナイロン約1.5m、先っちょのショックティペットはフロロの4号か掛かりが悪い時は3号を4~50センチを接続って感じになっている。市販のテーパーリーダーも中古屋で安く買ったのがまだ在庫あるんだけど、ワシほっておくとフライ交換のたびにリーダー短くなっていって気がつくとエラい太い部分にフライが付いてる事があったりしたので、結び目が無い市販のテーパーリーダーより自作のノッテッドテーパーリーダーのほうがティペット替え時が分かりやすくて向いている。もやい結びを多用しているのは、もっとも結び目が小さい結びだからで、太いフライラインの芯やリーダーの根元で他の結びだと結び目がガイドに引っかかるような場合でも比較的引っかかりが少なく仕上がる。フライマンは「もやい結びってなんや?」って思ってるかもだけど”パーフェクションループ”のことね(ちなみに”もやい結び”だと気がつく以前に「テツ西山の海のルア-&フライ講座」を読んでパーフェクションループを作ろうとしたら結べなくて難儀した。図が間違ってます)。

 という感じで、今時廃れてしまっているシューティングヘッドシステムにブレイデッドリーダー付けてっていう古い体制を刷新して、兵站おさおさ怠りなく運用できるようにしましたとさ。冬の時期、フライでカマス、ときどきタチウオルーレットは主軸の釣りなっているので、快適に釣れるように細々とした改良は今後も続けておきたい。

2022年1月15日土曜日

岸壁大型根魚泳がせ竿

 

 今年の目標に「港内の良型根魚」っちゅうのをあげたわけで、竿もそれ用に組んどりますって書いてたのが、完成いたしました。ジャジャーン!パチパチパチ!

 どうでしょうか?そもそもの発端が「PENN77シーホーク」ちゅうPENN社の歴史で最初期から作られてた機種のうちの一つであるらしいダイレクトリールを手に入れて、こういう低ギア比の”ダイレクト”っちゅうぐらいで、逆転防止もなく魚が引っ張ったらハンドルが逆転するような”直撃的”な機構のリールで、良型根魚と根に潜られないように力勝負とかしたら、さぞかし気持ち良いだろうなと妄想した、というのが事の発端で、そういう意図なら力を掛けやすい短竿で、かつ体に優しく折れにくいグラスロッドでいこうと思って、昔いただいたヘドンのソリッドグラスのマスキーロッドが良いんじゃなかろうかと付けてみたんだけど、どうにもコレではパワー勝負ができそうにない感じだった。シングルハンドのグリップでキロ単位の根魚を根から剥がせるほどワシの左手握力スゴくない。岸壁で足使って攻める事を考えると、ジンバル使って竿立ててというのも現実的ではなく、その条件で力技でいくなら、グリップエンドを左脇に挟んで、竿をファイト時は斜めに水面に向けて、バットで魚の引きをためつつリフティングパワーを稼いで、利き手の右手でグリグリ巻いてしまうというのが良いのではないかと考えた。

 まあ我が家の蔵には、竿が120本からあるわけで、適当な竿がないかといえば正直あって、ライギョ釣りに使ってたバスプロショップスブランドの2本継ぎマスキーロッドの短い方はガッチリ条件にあてはまる。カーボンロッドなのでちょっと固いけど及第点だと思う。

 でも、新しい事に挑戦するときには、新しい道具も欲しくなっちゃうっていうのに”抗えぬ~”なワシ。で、素材はこれまた我が家の蔵には条件に合致する竿がだいたい組める程度には転がってる。ブランクス本体は竿を2本継ぎに改造するときとかのジョイントのために買ってあったソリッドグラスがそのまま使えそう。バットは丈夫だけど竿先付近はそこそこ曲がるので活き餌を食い込ませるには良い柔らかさに仕上げられるだろう。ガイドは最近の小口径ガイドとか、リーダー結んだら通らないようなモノはまったく用がないので、古い折れ竿とか安くで中古屋とかでたたき売られてたのを買ってガイド外して確保してあったステンレスフレームのSICガイドがそれなりに揃ってる。穂先のほうのブランクスに密着する片足ガイドは酸化アルミ系の”Oリング”のを通販で買った。Oリング安くて助かる。ガイドが最近小口径なのは、リーダーとメインラインを接続する方法を”結び目が無い”摩擦系ノットである”FGノット”にしてラインシステム組む事を想定しているんだと思うけど、ワシャFGノットのような結び目を1回も作らないノットは肝心なところで抜ける危険性があると思ってるので使わない。1回電車結びを作る”電車FGノット(オリジナルは「監督さんの、新・組あわせノット」)”なら、長時間のやりとりとかで継続的に力が掛かった場合でも、結び目が締まっていく方向に力が働くので、絞め殺して切れることはあっても、滑っていって抜ける事はほぼ想定しなくて良い。摩擦だけで止めているノットは、短時間なら問題ないように見えても、だんだんと滑っていって最悪最後に抜ける。抜ける前に勝負が付いたら良かった良かったとなるけど、長時間のやりとりになるような大事な魚でこそ”抜け”が発生しやすく信用できない。フィジーでガイドが結んだ、綺麗にできてる”FGノット”が10キロ無いようなバラフエダイ3匹釣ったら、ショックリーダーの端ギリギリまで滑っててライターで炙った玉で何とか止まってた有様で、これもっとデカいのが来てもっと長時間やりとりしたら抜ける可能性おおいにあるなと直感的に理解した。多分その感覚は間違ってないはず。たいした引きじゃない短時間で勝負が付く魚相手に使うならともかく、一生に一度あるかどうかの大勝負にそんな危なっかしいノットはワシャ使わない。なので竿に付けるガイドは実際使うリーダーで、今回使用する道糸はナイロンなので電車FGノットじゃなくてビミニツイストでダブルラインにしてからフィッシャーマンノットにしたラインシステムだけど、それが通るか試して内径を決めた。小口径ガイドに何の利点があるのか知らんけど、多分また感度と飛距離という特に古いガイドで困ってもないワシには関係ない項目だと思うのでもう一生縁がないだろう。

 グリップが、折れたオフショアジギング用の竿のグリップとグリップに刺さるバットの根元部分のブランクスが残してあるので、このブランクスをそのまま利用してそこに用意したソリッドグラスを突っ込んで、グリップ着脱式に仕上げて持ち運びしやすい仕舞い寸法にしたい。このグリップがもともと付いていた竿は船からの対サメを想定して中古で買ったんだけど、部屋でテスト中に耐破壊強度にはまだまだ余裕がある加重であっさり折れくさった。中古ではあったけど、ガイドを止めてるスレッドとかにもヒビとか入ってなくてそんなに使われてないはずだったけど折れたモノは折れた。グラスの新素材で軽くて従来のグラス素材並みの強度を謳ってたけど、結局軽さを売りで作るとどうしても使用を想定した強度ギリギリの軽さに仕上げるだろうから、余裕を持った昔のグラス竿のような丈夫さは求めようがないのかもしれない。試験でギリギリの強度で合格した程度では釣り場じゃ”想定外の自体なんて想定済み”だから結局折れる。まあ釣り場に行く前に折ったけどな。カタログ上の軽さなんて”軽く扱える”こととは道具全体の重量バランスとかも重要なので、あんまり関係なくアテにならんのにそれを重視してる馬鹿な釣り人が多いから、丈夫な竿など作ってくれなくなるって話。売ってないから自分で作る。

 まあゆうても簡単だけどな。投げる必要があればそれなりにガイド位置とか似たような竿参考に慎重に決めるけど、今回足下に仕掛けをたらす用途だから、ブランクスの曲がり見て適当な間隔で良く曲がるところに多めに、曲がらんとこにには少なめにで、曲がったときにラインがブランクスに当たってしまったりしない程度に付けてあれば充分なので、マスキングテープで仮止めしながら位置決めて、バットからはみ出した分のソリッドグラスのブランクスは金鋸で切って、折れたバットとソリッドグラスの隙間をスレッドで傾斜分を埋めてエポキシで接着。

 で、ガイドをスレッド(セキ糸)で止めて樹脂でセキ糸を固めるんだけど、通常”ガイドラッピング”の際には2液性のエポキシ塗料が使われてきたんだけど、最近大手メーカーの作ってる竿ではほとんどの場合、紫外線で固化する樹脂、いわゆる”UVレジン”が使われるようになってきたとのこと。UVレジン、百均でも売ってて扱い方習熟しておけば、樹脂製部品の修理やら作成にも応用効きそうなので、この機会にと導入してみた。まあ、だめでも300円なので被害は少ない。何種類かあったけど、真ん中の黒いボトルのが良い感じに固まってくれた。左のチューブのはややべたつきが残った感じ。


 結論から書くと、コレ便利。最初通販で安いUVライトを買ったらイマイチ固化の速度が得られなくて、ケン一が釣具屋で夜光のワームとかに蓄光させるために売ってる「根魚権蔵君」ってのが良いと教えてくれたので、買ってみてついでに安モノも同時に使って2灯式でやってみたら、裏表”ロッド回し”で回しながらの固化作業なので時間倍かかるはずだけど、4分ほどでカチッと固くなってくれる。エポキシだと最低1日は放置せねばならず。今回のようにダブルフットのガイドにあらかじめ下巻きをして、それをエポキシで固めてからその上にガイドを乗っけてセキ糸で固定してまたエポキシっていうダブルラッピングっていう作業となると、1日おいただけでは表面ベタついてるときとかもあって、2日おいてから次の作業とか時間が掛かる。それがUVレジンだとものの数分で固化してくれるので、ガイド数にもよるけど、やろうと思えば一晩で作業を終わらせることも可能で、商業的に大量生産するなら時間の短縮はもろに経費削減に直結するはずで、現在主流となってるのも納得の素早さである。強度面とかどうかは使ってみないとまだ分からないけど、市販の竿で使われてるぐらいだし百均だからといって、それほど品質劣るとも思えないので大丈夫かなとは思っている。まあ樹脂で固めるのはセキ糸がほつれないようにという用途が主で、セキ糸はグデブロッド社がなくなってから愛用してる”錨印”の丈夫なヤツなので1回使ったら樹脂が割れてバキバキとかの不具合がなければそれで良しだろう。百均UVレジンの良いところは、なにより少量で売ってるのがありがたく、多分竿2本ぐらい組んだら使い切るんだろうけど、竿なんてそんなにしょっちゅう組むもんじゃなしで、2液性のエポキシだとだいたい全部使い切れずに冷凍庫保管でも片方が固まってまだ沢山残ってるのに使えなくなるのがお約束で、そのあたりのお手軽感も実に良い。割れたガイド一個だけ交換とかの場合なら尚更ありがたいだろうと思う。グラスソリッドのブランクスってそのままだと使ってると繊維がささくれ立ってくるような話も聞くので、念のためウレタン樹脂を塗布しておこうかと思ったら、昨年ルア-コーティング用に買って使ってこれまた冷凍庫保管してたヤツがやっぱり固化してて使えず、って感じで使い切りの小容量って地味にありがたいのよね。ちなみにグラスソリッドの表面は普段使ってる2液性エポキシ接着剤(コニシのクリア)をティッシュに含ませて薄く塗布しておいた。コニシのクリアは少量で良い値段してるけど常温でも勝手に固化しなくて優秀。

 さて竿も完成したし、リールにライン巻いておくかと、独逸のアンデのナイロン20LBが目方売りで買ってあるので20LBラインを道糸にする。PEの太糸巻いて力勝負というのも考えたけど、根がかったときに切るのが難しくなるのと、ナイロンのほうが伸びて衝撃を吸収してくれて体に優しいだろうという判断。20LBって9キロぐらいあって、ジンバル無しで脇にグリップ挟んで引っ張り合いして、この竿なら10キロの圧はかけきらないぐらいだろうから、この辺が妥当なところかなと思う。あんまりライン強度上げすぎるとドラグが無いだけに怪我しかねない。ショックリーダーは50LBで多分活き餌が沈むぐらいの軽めのオモリを天秤かクレーンサルカンでぶら下げる仕掛け作ってという感じかなと思っている。切れるとしたら根ズレでリーダーのほうだろうとは思う。まあそのへん含めやってみて詰めてくんだろうな。20LB引っ張り合いで切るような事があったら道糸50LBに上げて直結か?50LBの道糸は体に悪そうだな。

 でもって、リールに皮パッド装着。なにせドラグもなんにもないリール。唯一の制動機構であるクリックブレーキだけではどうにもならんので、左手親指によるサミングでブレーキをかけるか、右でハンドルをガシッと止めて魚の突進を止めざるを得ないんだろうけど、良型根魚突進時、右手からハンドルを離して竿のフォアグリップ握って耐えるとかが想定され、そうなると左手親指が頼みの綱なんだけど、皮グローブはめてりゃ良いけど、そうじゃないと親指の皮剥けかねない。なーんて大物が掛かってくれれば良いなと夢想しつつ。昔のトローリング用のリールにもあったような、スプールに親指で押しつけてブレーキかけるための皮パッドを装備してみた。実際使うかどうかは別にして、気分盛り上がるよねって話です。普段は竿尻方向に垂らしておいて”いざキャバクラ”ってときにスプール側にパタンと返して親指でグイグイ押すわけですよ。多分、餌がパクッといかれてちょい竿先送るときに右手親指あたりで皮パッドを返してからの、竿先持ってかれるのを確認しつつ、根から引きはがすような膝使ったストロークの長い渾身のアワセを食らわせる感じかな。窓からペットボトルでも垂らして練習しておかなならんな。

 ちゅう感じで、今年の目標に向かって着々と準備は進んでおります。こうご期待。