2020年8月22日土曜日

夏の魂大安売り!


 ワシわりと天邪鬼で他人様の逆張りが好きで、他人様がお褒めになるご大層な事物には雑菌まみれのクソを塗りたくってやりたくなるし、誰の目も引かない路地裏に咲く花でも自分の審美眼がそれを美しいと認識したのなら積極的に愛でていこうという方針である。
 まあぶっちゃけABUカーディナルとか、全盛期から愛用しているとか憧れてたとか好きな人が使うなら良いけど、他人の評判だけでありがたがって使ってるような輩は中古釣具屋や転売屋の良いカモだなぐらいの認識である。
 インスプールの時代のとか師匠であるJOSさんが渓流で使ってたけど、そういう年季の入った手練れが使うから格好良いんであって、ヘッタクソが使ってたらケッて感じになる。まあ、一番新しい復刻版はスプール後ろ巻きとかの問題も改善されてて使いやすいらしいので、インスプール入門機として手にしてそれが似合うようになるまで使い込むっていうのはありかもしれん。
 アウトスプール時代のC4については釣友の愛機をいじらせてもらって、丈夫な作りと濡れちゃ困るモノはドラグも含めて本体内にシュッと収めた設計とかナルホドこりゃ名機だわと感心したので欲しくはあったけど、自分が使うべきリールが他に山ほどあるのにまあ不要だなと思ってた。

 ところが、最近TAKE先生がC3、C4にご執心のようで、この名機の泣き所であるベールスプリングの長寿命版をご自身で設計してバネ屋さんに発注して売りに出している。現在C3用が絶賛発売中で、C4用は強度試験中とのこと。
 ちょっとアレッ?と不思議に思う。C3のベールスプリングがすぐ折れるってのは良く目にする話だけど、C4は釣友が往年は結構な頻度で使ってたはずなのに一度も交換していないって言ってて、C4は大きい分余裕のあるベールスプリングになってるんだと思ってたけど、ネットで調べてもやっぱりC4もベールスプリングは予備必携で割とすぐ折れるってのが散見されて不思議な気がする。
 緑の線が入ってるのが最初の方のモデルらしいけど、ひょっとするとその後の黒いヤツはどっかの時点でベールスプリング強化されてるのかもしれん。まあ、世界中で長年にわたって売りまくった名機なので、すぐに折れるとか顧客がお怒りになるであろう欠点に対して、後半のモデルで改良を加えていたなんてのはあり得る話である。
 よく、古い時代の方が作りが丁寧でモノが良いって盲信している人が居るようだけど、マイナーチェンジ繰り返しながら売り続けていたモデルとかでは、一番最後のほうが完成度高くなってるとかあり得るので、一概には言えないのである。最新式が一番良いわけじゃないのと同じぐらい一概には言えないんだと思う。そのあたりは結局自分で使って自分なりの回答を得るしかないんだろうと思う。
 ってなことを考えていると「私気になります」っていう症状が出始めて、アウトスプール版ならカーディナルもそんな値段しないし、ちょっとボロ個体でも買ってみるかとオークションサイトを覗いてみて驚いた。「C3」値段高騰中!
 以前からインスプール版ほど評価は高くないけど、好きな人はそれなりにいるようで小さいC3の方が人気で箱無しだと1万円行くか行かないぐらい、C4は5千円前後って感じだったと思うけど、C3綺麗な個体だと2万円近い落札価格で、ネットフリーマーケットとかではそもそも売り切れてて弾がほとんどない。
 明らかにTAKE先生が長寿命ベールスプリング販売したのが効いている。インスプール版は使いこなす自信ないけど、古い名機には興味があってっていう層が、唯一の欠点であるベールスプリング折れを回避できる部品が売られたことによって「私気になります」ってワシと同じ”流行性カーディナルC症”に感染したんだろう。
 まあ、2万はさすがに馬鹿臭い値段だなと思わなくもないけど、買った人、ちゃんと使い込めばそんなに後悔はしないんじゃなかろうか?
 単純明快な設計で無駄がなくて軽くて丈夫、整備性も良いけどラインローラーとか”外回り”の注油ぐらいでほったらかしでも基本大丈夫で、瞬間的な逆転防止なんて釣ってる間はハンドル手で持ってるんだからほとんどの場面で別に要らんと気がつくだろうし、ウォームギアの滑らかでかつそこそこ重い回転は手元に来る感度も良いはずで(感度なんかなくても竿先見とけば分かるだろ?といつも感度を売りにした製品を見る度に思うけど)、調整しやすい斜め下に突き出たリアドラグ使いこなして釣るのとかもとっても楽しめるだろう。なによりすぐに型落ちになって価値が下がるってことがないのは長くつきあう後押しになり得る。
 「なんだ、スピニングリールってこんなに単純でいいんだ!」って思ってくれる人が増えればアホみたいに高級化してしまった釣り具をありがたがり、流行を安直に追う風潮に対する抵抗力になってくれんだろうか?

 などと思うと同時に、これひょっとしてC4も長寿命ベールスプリング発売開始と共に中古価格高騰するんじゃないか?って気がついてしまい、いっちょ”転売屋”で儲けたろうか、っていう山っ気がでてきてしまった。
 しかしながら「オマエは大事な釣り道具を右から左に流してあぶく銭を得てそれで良いのか?魂を売るつもりか?」っていう内なる自分の声がする。
 魂なんてモノは働いて銭稼いで生きていくには売れるモンなら売らざるを得ないってのは働いてる皆さんなら身に染みてご存じだと思う。ワシも働いてる時に魂なんぞ売れるだけ売った気がする。もう在庫なんてほとんど残ってない。
 それでも売らずにとっておいた最後の在庫品の一つである”釣り具への愛”なんてものを売ってしまって良いものか?
 コレまでも中古リールを買ってネットオークションで売ったことはある。でもそれはボロい個体を買って使えるように修理なり整備なりして、次に手にした人が楽しく釣りをしたり、蒐集したブツをクリクリ回して楽しんだりできるように、まだ使えるであろうリールに大げさに言えば”魂”を吹き込んできたつもりで、単純に右から左への転売とは違うと自負している。見た目的にはボロいのはそのままにして売りに出してたので値段付かず手間暇考えれば馬鹿臭い程度の儲けにしかならなかったし、全体的には大赤字だというのは以前も書いたとおり。
 ガサガサとC4を買いあさって、値段が釣り上がった頃に適当なご託を並べて売りに出す。なんとも気分の良くない商売である。そんなこと言い出したら中古屋さんの仕事否定するのかって話で、黄色いお店にはさんざんお世話になったし、必要なモノを欲しい人に渡す仲介役ってのも立派な仕事のはずである。ただ、仕事だと割り切れるかって話。
 でも、現在無職でいつでも釣りに行ける生活に耽溺している中で、もう定時に出勤するような仕事はする気がほぼ無い状況下、何とか金を稼ぐ手段を見つけて稼げるときは稼ぐべきではないか、魂なんてものは売れるときに売り払って金に換えてしまえっていうのが正しいような気もして、閉店前の大安売りとばかりに覚悟を決めた。

 決めたんだけど、いざ売ろうとすると魂もなかなかコレが売れないモノで、C4も地味に値段が上がり始めていて、ネットオークションでも競り負けまくる。ネットフリーマーケットで一台手にしたけどこの程度のそこそこ使用感のある個体で7300円と良い値段している。コイツは替えスプール付きだったので、本体だけなら6000円ぐらいでお値打ちな買い物だったと思うけど、ボロ個体でも7000円からの値段がつけられるようになっている。 
 これが、最終的にC3みたいに2万円とかまで値上がりするなら7000円で買っても儲けは出る。しかしながら、C3より大きいC4は古物が好きなマス釣り系の釣り人よりはバスマンやらが使う大きさなので、バスマンで古物好きなら古いベイトリール買うだろうって話で値段そんなに上がらないって可能性もあるので、あんまりボロさと値段が釣り合ってないようなのは手が出せない。とくに中古で値段が付くのに見た目の綺麗さは重要なので儲けるつもりならボロくて高いのは在庫抱えて途方に暮れかねない。かといって既に1万円超えている高い美品箱入りは、整備もクソもいじらない方が価値があるはずで買ってもいじれないならつまらない。
 っていうことで、安売りしてもあんまりワシの魂は売れんかったわい。ってちょっと正直ホッとしている。
 人気出て値段上がったリールはワシが買って仲介せずとも欲しい人の手に届くだろうから、放っておけばいいなという結論。金がなくなりゃ短期のバイトでも探すさね。

 だがしかし、値段つかないけど良いリールはワシが買わずしてどうするって、別にどうもせんのに思ってしまって、マイクロセブンC2の銘板剥がれを1700円で買ってしまってたりする。「銘板なんて飾りです、マニアの人にはそれが分からんのです」って感じで同型のシェイクスピア版も含めて3台目を買ってしまったのであった。
 ABUのC3、C4も名機だけど、大森のCS、C1、C2も負けてないとワシゃ思うのさ。
 ”大森熱”は不治の病かもしれぬ。皆様くれぐれもお気をつけて。このブログから感染した人がおられたら沼の底から伏してお詫び申し上げます。

4 件のコメント:

  1. Penn4400ssに交代するまでC-4を5台使い回していて一ヶ月に一本スプリング消費してました。
    折れる事前提の設計になっててここだけはスピンフィッシャーより簡単に交換出来ます。

    ベイルスプリングの解決見込みで1台バス釣りで復活予定ですが
    ベイルスプリング解決しても正直インスプールの44と比べて遜色ありなモデルですね。
    大森と同じスプールに欠点持ってますし塗装が弱過ぎます。
    このモデルのグリーンラインの初期型はベイルアームに問題抱えててあまり細い糸に対応出来ません。

    ラインローラーを支えてるワッシャーにラインが食い込みやすくてそれが続くと糸溝が出来ましたが
    マイナーチェンジでカラーリング変わってからベイルアームの問題解決していますが更に次のマイナーチェンジでまた同じ問題起きるようになってます。

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    1. ぬこさんこんばんは

       やっぱり友人の一台は例外的な個体だったんですね。
       しかし5台というのがなんともお仲間感が漂います。

       ラインローラーの交換されたものがネットオークションでも散見されますが、そういう不具合があるからなんですね。

       愛用者からの情報とても興味深かったです。

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  2. C-4はラインローラーが悪いわけじゃなく初期モデルのラインローラーを受けてるベイルアーム側に付いてるワッシャーが問題なのです。
    それでも0.230mmくらいの糸ならそういう現象発生しませんしマイナーチェンジ後のモデルは0.185mmくらいまで細くしても問題ありません。

    コイツの面白さは(インスプールモデル含む)50㎝程度のシーバスでもエイヤ!って巻取りが出来ない巻き上げ力の弱さにあって魚の感触を堪能出来るところにあります。

    もう手にしてしまったら使ってみるのが一番です。
    シーバスにもちょうど良いですし80年代大森気持ちよく使えるなら全く問題ないです。

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    1. ぬこさんこんにちは

       ワッシャーの形状とか寸法の問題でしょうか?いずれにせよ要注意ですね。とりあえずナイロン2号で太さ的に良さそうなので2号巻くんだろうな。

       私、スピニングはそもそも”ゴリ巻きできないリール”だという認識で使うので、巻上力の弱いリールで竿でじっくりポンピングして寄せながら感触楽しむっていうのは合うかもしれません。

       シーバス、ちょっと不調が続いているので秋は一旦PENNの714Zに戻して調子を回復して、その後試してみようかなと思います。せっかく入手したので銭の花は咲きませんでしたけど楽しんでみたいと思います。

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