2023年3月11日土曜日

コンパック「カプリⅡ」修繕激闘編 金切りバサミとハンドドリルとダイヤモンドヤスリ

  お待たせしました。前回「カプリⅡ」を分解整備してはみたものの、

 ①ハンドル左右交換に必要なスプール上下のクランク”左巻き用”が無い。

 ②ラインローラーが腐蝕して破損、固定用ナットも正しいものが付いてない。

 という、にっちもさっちもなジャンク状態なので、ちょっと頑張って修繕してみることにして、アレコレ道具やら素材やら買ってお気楽に始めてみたら、えらい苦労してしまいました。

 とりあえず、クランク作成の方は単純で簡単だろうということで、まずはそちらから手を付けてみた。まあ薄い金属板を金切りバサミで切って曲げて穴開けりゃ良いだけの簡単なお仕事です。

 こちらはわりと想定どおりに事が運んで上手くいった。右巻用のクランクは厚さ2ミリあったけど、モノタロウオリジナルの金切りバサミの限界が銅板1.5mmまでとなっていたので、薄い分はテフロンワッシャーでも噛ましておけば事足りるので大丈夫だろうと銅板1.5mmを購入、したんだけど1.5mmもある銅板ってステンレスに比べりゃ堅くないにしてもペンチやら簡易な万力で挟んで曲げる程度で思うように曲げられるのか?っていう不安があってさらに曲げやすそうなアルミの1.5mmとついでに厚さ調整が上手く行かなかった場合の保険としてアルミ2mmの板も購入。使わなかった分はスプーンでも作ればいいやと採算度外視でこの時点で落札900円のゴミスピにサンドペペーパーやらテフロンワッシャーやらの小モノもゴチャッと買ったけど6,175円の追加出資。

 ブツが配達されてみると、1.5mmの銅板はこりゃ無理だっていう感じの堅さで早々に諦めて、1.5mmのアルミでとりあえず行ってみる。

 右用のクランクから型をとって、金切りバサミで切る。この金切りバサミ、テコで倍力するタイプなのもあってか1.5mmのアルミであれば問題無く切ることができた。大まかに切り出して、角を取るように形を整えてやって、端が尖ってないようにサンドペーパーで面取りしてやる。

 でもって、右用クランクと曲がりが対称になるようにペンチ2本で挟んでグイグイ曲げてやって、位置決めして釘でアタリをつけてからハンドドリルで穴開けてダイヤモンドヤスリでバリ取り。

 左巻きにするにはまずオシュレーションカムにクランクをネジで固定しておいてから、ハンドル軸ギア関連一式をズポッと刺す、そのときにギアの上の突起にテフロンワッシャー挟みつつクランクの穴を突っ込んでEクリップで固定する。実際填めてみたら、スプールはちゃんと上下して良い線いってるんだけど、ちょっとスプールが下がりすぎるようで、スプールが乗ってる主軸の横棒がローターナットにあたって音がしている。クランクの曲げを大きくして穴と穴の距離を詰めてスプールが上下する位置を上にズラしてやったらちょうど良い感じになった。一番下の写真のようにハンドル回して窓からクランクの仕事ぶりを観察すると、曲げた形でちょうどハンドル軸のギアにアタらないようになってきちんと機能していて気持ち良い。左巻き用クランクの作成については合格点。

 さてややこしいのがラインローラーのほうで、腐蝕してボロボロと崩れ落ちたラインローラーは、都合良くピタッと填まる部品を別のリールから持ってくるか、それができなきゃ”自作”というやや気が重くなるような作業に突っ込まざるをえない。まあ大森製のリールで似たような形式のラインローラーとかで共通のを探してみるかと、「アトラスⅡ」「マイクロセブンDX」「スーパーデラックス730」と調べてみたけどいずれも互換性なさそう。どのみち2台でパーツ共有というのも気持ち悪いので自作するしかないか、と覚悟を決める。

 通常、ラインローラー自体を自作するなら、真鍮を削り出してクロームメッキをかけるのが妥当だろうけど、真鍮削り出し自体はバス用のブラスシンカーで適当な大きさのを利用して、ドリルで穴を必要な大きさに拡張して、外径をベールやらの所定の位置に填まる直径に削るとともに、形状を昔やった”なんちゃってツイストバスター”みたいにドリルで回転かけつつ調整してやればできるけど、メッキは頼むとエラい金がかかるし個人でホイホイとできる技術じゃない。ので削れるのは織り込み済みで削れたら再度形状調整してやるか作り直す方向で、真鍮剥き出しというのは1つの手だろう。ただハゼ釣りチョイ投げ程度の使用なら削れて糸溝できてくるのに何年もかかるだろうから良いんだけど、ルアーでシーバス想定だともうちょっと投げる頻度も掛かる負荷も大きくて、真鍮剥き出しはやや頼りない。

 でもって試してみたいアイデアが1つあった。ジュラコンスリーブの加工である。ジュラコンというのは商品名でポリアセタール樹脂とかいうのの一種らしく樹脂なのに堅い。過去、ラインローラーのボールベアリング代わりに突っ込んだりするのに穴の大きさ調整でハンドドリルのヤスリで削ったけど、異様に堅くて動画とか見ながら何十分もかけて数ミリ穴を拡張したのを憶えている。ベアリングの代わりにラインローラーの軸受け仕事をやらせて全く問題無い耐久性ってそこそこいけるんじゃないの?っていう感触があってポリアセタール樹脂を成形して作ったラインローラーっていう、樹脂は摩擦に弱く削れるという常識の盲点を突く作戦。まあダメで削れたとしても、削れるまでの期間が長ければ”削れたら作れば良い”って話で1シーズンも持ってくれれば次の出番までに新しいのを拵えて換装すれば良いことになる。

 でもって、ジュラコン製でチクワ状の”スペーサー”と銘打って売ってる部品は、それなりに大きさもいろいろあるので適当なのが見つかるだろうと思いつつ、蔵に転がってる”いつか使うだろう”と買ってあったものの大きさを試しに確認してみると、あつらえたように外径はピッタリ。内径は大きいけどなんか詰め物を考えれば良さそうで、これは”ジュラコンで行け”という流れだろうと作業に入る。

 とりあえず、回転式にするので元々填まってたスリーブの長さを参考にジュラコンを金ノコで切って、ハンドドリルのヤスリの棒にティッシュの詰め物をしてガッチリ填めて回転させながら、ダイヤモンドヤスリを押し当ててなんちゃってツイストバスター的な片側にラインが落ちる谷を作る。つもりだったんだけど、これが過去真鍮相手に問題無くできた工程がまったく進んでいかない。かなりの時間回しても、ちょっと溝が掘れかかったかな?ぐらいの進捗状況で全然削れねえんでやんの。逆に言えばラインで削られにくいわけで好ましいわけだけど、成形できないのではどうにもならん。これだけ堅いと刃物もとおらんよなと、思いつつダメ元でためしてみると、ナイフの刃はそれなりに堅いけど入っていくし削って成形できる。摩擦には強いけど切り削りには弱い的な不思議な物性。なのでちまちまとだいたいの形を作ってしまって仕上げだけハンドドリルで回してダイヤモンドヤスリ。

 お次は穴の径が大きいので、ベール側の軸を太らせなければならない。ブラスシンカー削ってスリーブ作るかと思ったけど正直面倒くせぇ。削れない程度の堅さの金属で太らせれば良いだけなら針金巻いておけば良いんじゃないの?と安直に細いステンレス線何種類か試したら割と良い太さのがあったのでグルグルと巻き付けてローラーよりちょいはみ出させて、かつ微妙に太りすぎたようだったのでジュラコンの穴の方にダイヤモンドヤスリ突っ込んでゴシゴシ穴拡張でローラーのスムーズな回転を確保。ドリルで回転させつつ押しつける程度の圧力では削れていかないけど、手で思いっきり押しつけながらだとそこそこヤスリが効くことも判明。

 しかし止めるナットが無いのはいかんともしがたく、規格品では合わないようなので、ついでにこれも針金で行くかと、ベールアームから突き出したネジ山部分に細いステンレス線を巻き付けて最後ペンチでグリグリとねじりあげたら、とりあえず抜けることはなく止まるようにはなったので、ラインが引っかからないように落ちてたケミホタルの廃品利用でキャップを作って填めてエポキシで固定。これでエポキシが固化すればいっちょ上がり。

 って簡単にいったら”激闘編”にはならんのよねこれがって話で、翌朝固化してラインローラーも回ってるのを確認できて「上手いこといったな」とぬか喜びしつつベールを起こしてハンドル回してリターンをカショーンカショーンと何度かやったら、キャップを止めてるエポキシが割れ始めた。エポキシ割れるのぐらいはエポキシをシリコンに変えるとかで対応できるけど、なんで割れるかっていったらラインローラーが抜けずに止まるようになってはいるけどグラグラで軸がベール返る度とかに動くからで、写真一番上みたいにグラグラして斜めってる状態だとラインローラーの隙間が片側で開いてしまいラインが落ちそうな状態になってる。これはよろしくない。

 キッチリとナットで締め上げて、グラつかないようにしないとだけど、ピッタリのナットの確保が難しいから針金で縛ったわけだし、元の持ち主もスカスカのナットを接着剤で固めてたわけで手に入らん。万事窮すか?と思いつつ頭抱えて唸っていると、針金をネジ山にグルグルして太らせて大きめのナットで填まるヤツを探すってどうだ?と思いついたんだけど、それってそういうネジ穴が舐めきったときの修繕用で”リコイル”っていう手法で、かつそれ用のコイルが以前使ったのが余ってるのではと出してきて、填めてみたら綺麗に填まるんでやがんの。そしてナットはM2.6の規格品がドンピシャで、余ったバネ部分の針金がナットの下からチョロリ出てくるけどそれをニッパで切り取れば、ベールがグラつかないようにしっかり締めることができた。

 ふーっ、これで一件落着ってなれば良かったんだけど、これがそうはいかねんだわ。しっかり締めたら今度はグルグル巻きにした、軸の太さ調整のステンレス線の部分が太ってしまいラインローラー固定されてしまう。あちらを立てればこちらが立たず、帯に短したすきに長し、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、ってなもんで悶絶。

 まーたラインローラーの穴を削るか?って思ったけど、そろそろ谷を作った溝が穴に近づいてちょっとヤバめ。しょうがないステンの針金のもうちょいだけ細いのを買うかと思ったけど、どうせ買うなら厚みの(ということはスペーサーとしての長さも)安定しないグルグル方式の針金を買うのではなくてパイプ買おうそうしよう。ってことでアマゾンでちょうど短めの真鍮パイプの太さ何種類かのセットがあったのでスルリとマウスを滑らせてクリッククリック。1,738円の追加出資。最近読んだマンガに「博打打ちは過去の負け分まで回収しなければいけないとムキになって自滅する」的なことが書かれていたけど、ここまでオゼゼと時間を費やしておいて負けてなるものかとは確かに思う、という相変わらず”損切り”のできないワシであった。

 届いて、太さ確認してみるとちょうど良さげなのが一本あって「負けもここまでよ!」と何が”負け”なのかよく分からんけど安堵する。削れたら作り直しっていうのを想定すると、穴削ってしまってる一個目のに合わせたパイプでは毎回穴削る無駄な作業が出るのでローラーはまたジュラコン切って削って新規に作成。

 真鍮パイプと軸の隙間は固定してしまえば削れるモノでも無いのでナイロンラインでグルグル巻いて埋めてエポキシで固定。チョイと真鍮パイプを長くしてかつ隙間にラインが落ちないようにパイプの長さをヤスリで削って微調整して、リコイル噛ませてナットで締めて固定。ちゃんとローラー滑らかに回ってる。ナットにラインが絡まないようにエポキシ盛ってやる。

 って感じで一晩おいたのがこちらでございます。良い感じじゃん。ベール反転カショーンカショーンってやっても今度はヒビは入ったりせず大丈夫、グリスとオイルで回転もそこそこ滑らか。まあたまに回ってくれれば糸溝掘れにくい程度でラインが一箇所に落ち着いて転がりにくいのがラインローラーのキモだとは思ってる。

 って感じで落札価格900円のゴミスピに多大な労力とそれなりの金額をつっこんで一応仕上がりはしたんだけど、結局釣り具の評価は魚釣らんと分からんってのがあるので、実戦導入してみます。苦労しただけに釣れたら嬉しいと思う。ちょい大きめの360グラム強でサイズ感としてはちょうどダム「クイック220」に似た感じなので、重いリール担当の初代アグリースティック7fと組ませてこの春シーズン超接近戦のN川担当で試してみたい。前回書いたように今期主力はマニュアルピックアップ化した丸ミッチェル「304」で行くことにしているけど、N川専属でこの「カプリⅡ」を試して、あんまり塩梅良くなければ、大森ダイヤモンド「デラックススーパー730」に継投という体制でいざ尋常に勝負勝負!

 最近すっかりPENNの出番がないけど、秋には714z主軸に戻そうかなとか考えてます。って書いておいて、秋になったら針金ベールのリール使ってたりして。まあ、なんにせよ楽しんでみます。

2023年3月4日土曜日

ややレア?大森製コンパック「カプリⅡ」サンレイ商会ってなんぞ?

 ネットオークションで、ジャンクリールとしてコンパックブランドのこの見慣れない「カブリⅡ」というスピニングが出てきた。独特の色あいといい、ローター下部の角度といい、コンパック「アトラスⅡ」を彷彿とさせる特徴がありどうにも大森っぽい。サイズがやや大きめ中型機で、あと見た目ボロいことから入札者ワシぐらいしかおらんだろうという予想どおり、競らずに開始価格の900円+送料1100円と送料の方が高い立派なゴミスピ価格。

 届いて足の裏を確認すると「OMORI S.S.(最初のOに上線)」とあり、大森製作所製のスピニングで間違いなさそう。

 ちょっとネットで調べてみると、箱ありで売られた事例が目について、”箱書き”ある程度読めたんだけど、コンパック「No.86 カプリⅡ」と表記があり、製造は大森製作所、販売は「サンレイ商会」となっていて、コンパックブランドの国内販売元として、「サンレイ商会」というのがあったのかもしれない。コンパックで検索してて箱入りのモノが出てくるとたまに見る商会名(※タレコミによるとコンパックのというより大森製作所の販売店っぽい)

 ちなみに「カプリⅣ」ってのもネット検索してると出てくるけど、どう見ても茶色い「マイクロセブンDX」で、つまりコンパック89「アトラスⅢ」と同型機、なんで同じブランドで別の名前ででてるんじゃ?という混沌とした状況(※ゴメン間違い。カプリⅣは同じデラックススーパー系でもっと大きいサイズ)

 まあ、そのへんの販売上のあれこれやら歴史やらはとりあえず脇に避けておいて、このブツにはぱっと見て、非常に怪しい部分が見えているので、私気になります!

 右の写真をみたら、「ああこれアレっぽいな」と予想が付く方も多いのではないでしょうか。

 そう、これD・A・M「クイック110」とかで見られた、ハンドルとハンドル軸ギア、ついでに逆転防止関係をまとめてズボッと抜いて、ハンドルが左右逆に付け替え可能なリールなんではなかろうか?とハンドル軸のギアが3つのネジを外せばヌポッと抜けそうなのと、反対側にその抜いたハンドル軸側の一式を突っ込んで収まりそうな穴の蓋がやっぱり3つのネジで止められているのを見たらある程度予想できる。

 まあ予想どおりかどうか、分解整備していけばわかるだろうから、いつものようにスプール周りからボチボチとバラしていく。

 ワンタッチスプールなんだけど、なぜかエポキシで上部を固められていたりして、そいつを引っぺがして、やや堅く抜けが悪かったのは、刺さってる主軸の頭の金属板のバネを調整して正常に作動するようにしておいた。

 以前の持ち主が、塩梅悪いと接着剤で固めるという悪癖があったようで、実はラインローラーを留めるナットがサイズ合ってないんだけど、接着剤で固めて落ちないようにだけされていて、グラグラで全く機能していないというジャンクぶりも早々に判明している。

 ドラグは3階建てなんだけど、ちょっと意図が不明な設計になっていて、下の二枚のドラグパッドに比べて一番上の革製っぽいドラグパッドが直径大きい。

 当然、スプール側の穴にも段差があって、かつ2枚パットがはいるにはやや浅めで、革も赤い繊維のパッドも劣化して怪しくなってたので、パッドは交換したんだけど、下の2枚は薄くて滑りが良いテフロン仕上げ硝子繊維シートにして、一番上を2mmの硬質フェルトにして、実質フェルト1枚が仕事をするドラグに仕上げたら割と良い感じに仕上がった。ドラグパッドの直径に違いがあると、大きい直径のドラグパッドの性質が強く反映されるように感じたところ。ちなみに最初、上のパッドを百均フェルト製にしてみたら厚さが足りず、ドラグノブがスプール上面にアタって干渉してしまい塩梅悪かった。

 ラインローラー周りが、ちょっと壊滅的で前述のように止めるナットがサイズ合ってないのを接着剤で固めてあるだけという、やっつけな前の持ち主の処理もあれだけど、ラインローラーについては大森製作所自体もやらかしてて、常々ワシャ水が入るこの位置に錆びる部品(であるボールベアリング)を入れてはいけないと書いてきたけど、このラインローラー、ローラーもスリーブも鉄系で固着より何より、ハズしたらボロッと崩れるぐらいに錆びてボロボロになっていた。本体内部である程度防水されているギアの芯とかが鋼製なのは、グリスシーリングで錆びるのは概ね防げる。でもラインローラーは何度も書くけど浸水しまくる位置であり、こんなところに錆びる部品を持ってくるのは愚かである。大森製作所もまだそのへん分かってなかったということか。初期の大森スピニングは前回取りあげたシエラⅣとかでもそうだったけど、なんというかいろんなスピニングの設計を手当たり次第に試してた気配があって、このあたりは模索の時期にあったのかなという気がする。

 ローター周りは、この頃から既にベールアームと反対側にベールリリースの機構を組み込んで重量を分散させていて、このへんは後の大森スピニングにも脈々と受け継がれていく美点かと。

 蹴飛ばしが、リングを折り曲げたのではなく、本体に刺さってる別部品なのも丁寧な作り。

 ちなみにローター軸のギアにもボールベアリングは使われておらず、アルミかもしくは亜鉛のでっかいブッシュがローター軸ギアにはまってて、BBB団の皆様お待たせしました、このコンパック「カプリⅡ」はボールベアリングレス機です。ボールベアリングレスだとなると、がぜん使ってみたくなるややこしい性分。でもラインローラーが無いのはどうにも処置が難しいけど、なんとかならんもんだろうか?

 今シーバス用にメインで使ってるのがマニュアルピックアップ化した丸ミッチェル304なんだけど、マニュアルピックアップだいぶ手が馴染んできたけどそれでもラインを指で拾い損ねることがあるので、モタクサしてると食ってくる場所から外れてしまう超近距離戦が予想されるN川攻略の日には別のリール使った方がイイかもと思ってて、まあボールベアリングレス機にこだわるのであればPENN720zが手に馴染んでもいるし適任ではあるけど、コイツを実戦導入できたらなお楽しめるかもしれん。なんか修繕の手を考えてみたいところ。

 でもって蓋を開けていくと、ドーンと鎮座しますのはアトラスⅡに良く似た感じの亜鉛鋳造っぽいウォームギア。そりゃそうだダムクイック110とかと同様のハンドル左右切り換え方式なら当然ひっくり返してもギアの歯切の方向が同じになるウォームギア方式じゃないとおかしい。

 でもって、予想どおり”ダムクイック方式”でハンドル、ハンドル軸のギア、その裏の逆転防止機構はセットでズボッと抜けて左右入れ換え可能なようだ。

 ただ、ダムクイック110では、逆転防止のレバーは、逆転防止、フリー、正転防止と逆付けした際をあらかじめ想定して、正転防止という普段は使わないレバー位置も用意されていたけど、このリールにおいては爪とバネを一旦ハズして逆位置に付け替える必要があるようだ。

 でもって、ちょっと笑ったのがハンドルの固定方法で、そこまでダムのまねせんでも良いだろ?って思うんだけど、ピンがネジじゃなくて押しこむ方式。で抜くのも千枚通しとかあてておいて、木槌でトントンというD・A・M式のお作法どおりで抜けてくれる。

 まず間違いなくダム社製スピニングを参考に設計したんだろうけど、黎明期のオリムピックみたいにフルコピーしたわけじゃなくて、基本的な設計思想を拝借しつつ大森独自の味ツケにしてるんだけど、にもかかわらずハンドルピンはネジじゃないんかい?ってところがツボに入った。大森製作所の技術者もダムクイックを分解するのに「ハンドルピンどうやって抜くんだ?」って苦闘したのが印象に残り、ダムクイックを手本に作るならハンドルピンはネジじゃダメ!って思ったとかだろうか?

 いずれにせよ、面白いリールでラインローラーをどうするかは考えなきゃならんけど、稼動品までもちこんでなんとか実戦導入してみたくなってきた。ということで、とりあえず左巻きにして、グリスグッチャリシーリングして一旦作業終了しようとしたら、これがもいっちょ問題発生。

 上の写真のように、爪を右から左に移動するのは問題無くできた。これで左巻きの時に正常に逆転防止が機能するはずである。

 そして、ハンドル軸のギアを突っ込んでハンドルもピンブッ刺して取り付けて、左側からそれらを突っ込もうとして、オシュレー(スプール上下)のクランクがどうにも塩梅が悪いことに気がついた。クイック110の時は、クランクは平面的で左右どちらにするときにも、ギアの上から真っ直ぐ出て、オシュレーションスライダーの両面どちらからでも固定可能になっているのでクランクは左右兼用できた。しかし本機ではクランクは写真下の様にグイッと曲がって下がってオシュレーションスライダーの真ん中へんに刺さって上からネジで留める構造になっている。対称形になってないので、ひっくり返そうがどうしようがこのクランクは右巻専用で、左巻きにするには反対側に曲がったクランクが別途必要である。強引に曲げてなんとかならんかとちょっと試すも2mmぐらいの分厚いステンレスっぽい板製なので曲がらん。箱に左用クランクとか同封されて売られてたのかもだけど現状無いモンは無い。

 ちょっと困った。困ったけど、クランクはそれほど強度必要ではないだろうから、2mm厚のステンは加工できなくても、銅板ならあるいはアルミ板なら加工できるのではないだろうか?という気もするので、もがけばもがくほどどんどん沼に足が沈んでいくような感触は覚えるんだけど、とりあえずクランクは薄板加工に挑戦、ラインローラーも試したいアイデアがあったので、ちょっと頑張ってみることにしました。

 なにしろ、がーんとデカいブッシュがはいってるだけでボールベアリングなしってのと、ダムっぽい凝った左右切り換え方式、そしてなによりウォームギア機というのもあって、売れるような弾では全然ないし、いじれるだけイジリ倒してなんとか稼動機に持っていって魚釣ってみたいと思って悪戦苦闘してみました。悪戦苦闘の様子は長くなりそうなので次回回しということで、珍しく”引き”終わりです。こうご期待。

2023年2月25日土曜日

ベール周りが針金一本のリールってどんなもんなのよ?

  なんじゃら買うてしもてます。アタイ病気が憎いッ。

 これはあれです。以前人様にお借りしたリールをいじくったときに、「バンタムⅢ」という異形の大森スピニングを目のあたりにして、ベール周りが針金を曲げてたわめたパーツでやっつけてあるリールに興味が湧いてしまい、「ナイト600」ってのを狙ってたけど意外に左巻き機が出てこなくて、同じく大森製らしいこのコンパック「シエラⅣ」に手が出てしまったのである。ちなみに送料込み4200円とわりとはりこみました。欠損とか派手な疵とかのないまともな個体なのでまあこんなモンかなと。

 人様のリールをお借りして、分解してお勉強して楽しんでみるというのは、自分の持っていないリールを楽しめて非常に良かったんだけど、買わなくてイイから送料だけであんまりお金掛からんだろう、という目論見はその後の”大森熱”の悪化状況を鑑みるに、まったくアテが外れて、欲望のたがが外れて、財布の紐の縛りもほどけてしまって、という体たらく。病気になりたくてなる人間はいないけど、なるときはなってしまうものである。しかたないね。病気は憎いよね。

 まっそんなこんなで我が家にお迎えしたからにはこのリール、いつものように分解整備して稼動状態にもっていき、実戦導入して針金ベールのリールの実力のほどをみてみようって目論見のもとサクサクと分解清掃。

 入ってた古いラインを引っぺがして、スプール周りから見ていくとなかなか面白いドラグが入ってる。「バンタムⅢ」ではバネの役割をする曲げワッシャーの上にドラグパッドが乗ってて、ドラグ締めていくと曲げワッシャーに接する面積が増えていきそうな見るからに不安定そうな、そのわりにわりとまともに機能するドラグだったけど、バンタムⅢが1954年発売でその翌年1955年発売らしいシエラⅣはちょっと改良されていて、曲げワッシャーの代わりにクラゲのエフィラ幼生みたいな放射状に脚の出た金属部品の脚がバネの役目をしていて、その真ん中に乗ってるフェルト製のドラグパッドはいつも円状の部分と接する形になってる。エフィラ幼生状部品はスプールと同期して回転、上部の欠け金属ワッシャーは当然主軸と同期して回らない、その間のドラグパッドが適度に摩擦力を生じさる構造。これ結構まともなドラグになってて、そこはやっぱりさすが大森製作所という感じなのである。単純だけどちゃんと仕事ができるドラグになっている。ドラグにボールベアリング入れてるようなアホメーカーはこのへんのリールから勉強し直せと言いたい。

 でもって、本体パカッと開けていくと”強化ナイロン”製だとかいうハンドル軸のギアがドーンと鎮座している。蓋側にだけどな。

 純正状態なのか以前の持ち主がぶち込んだのか、グリスグッチャリで好ましい。けど、なんか真鍮製のローター軸のギアの根元あたりにヒゲのようなモノがチョロリと見えてるので、なんだろう?と引っ張ってみたら、これスプール下に噛んでしまったラインを巻き込んで、そのままギアのあたりまで絡んでしまっている。慎重に逆回転とかさせながらほぐしていって綺麗に除去できたけど、このリールもバンタムⅢもそうだったけど、スプール上下のためにハンドル軸ギアの上面?に刺さる棒が、金属製スリーブ噛ませてあって丁寧な仕事ぶりなのはいいんだけど、ハメゴロされていて主軸が抜けない状態になっっているのでローター及びローター軸のギアが外せない。なので、絡んだままほどけなかったら致命傷モノである。この点、整備性という面はイマイチ。

 でもって、強化ナイロン製のハンドル軸ギアなんだけど、ギアとしては意外と大丈夫なのか上の写真見てのとおりのベベルギアなんだけど欠けたり摩耗したりはみられず、整備後は巻きも軽くそこそこ滑らか。なんだけど、ストッパーはさすがに樹脂製ではいかんともしがたいようで一部つぶれていたりする。ミッチェル式で普段はストッパー外しておく運用なら使えるかもだけど、取り込みでタモ使うときにストッパー掛けて魚が最後の抵抗で暴れたときに、はたして大丈夫なのかやや不安な強度。どうせ金属の軸を入れるのならストッパーは金属製にすれば良かったのにとは思うけど、軽量化優先の尖った仕様だったんだろうな。バンタムⅢでも樹脂製ストッパーは欠けてたのでまあ無茶な仕様かと。

 というわけで、PENNやら往年の大森スピニングやらのように丈夫なギアでもなさそうなので、グリスは耐塩性より耐摩耗性やらを重視してちゃんとしたリール用のグリスであるABU純正グリスでグッチャリグリスシーリング。

 主軸が抜けないのはいかんともしがたかったけど、パーツクリーナーのスプレー圧で古いグリスは吹っ飛ばして、ややストッパーに怪しいところはあるものの、稼動品で見た目もそれなりに綺麗な状態で残ってる良い状態に整備できたとは思う。

 ただ、逆に状態が良いだけに海水での使用にはもったいなく、あとやっぱり樹脂製ストッパーの強度は実用上信用しかねるので、コイツはお蔵入りか売りに出すことにして、ナイト600の左巻き個体を手に入れて針金ベールのリールは一回実釣導入して使ってみたいところ。大森製にこだわらなければ、この手の針金ベールの安っぽいスピニングは「ノーマン」とか初期ダイワがお得意で中古の弾数も多めだけど、どのみち左巻き版は少ないのが悩みのタネ。ひょっとしたら大森製かも?なオリム系も同様右巻主流。やっぱり左投げ右巻きの練習するか?

 ボロい個体が出てきたらもいっちょシエラⅣでぶっ壊れるまで使ってみるっていう手もなきにしもあらず。大きさ的にはバンタムⅢほど異様な小ささではなくて、比較対象に左に置いてみた「マイクロセブンDX」のような小型軽量機と同程度のサイズ感でそのあたり大きさ的にも実釣には向いてそう。スプール径はむしろマイクロセブンDXより大きめで使いやすそうにも思う。あと特徴的なのはその薄っぺらさで、ハンドル軸のギアに直接スプール上下のための溝が掘ってあるのもあってギアの厚さ分ぐらいしかボディーの厚さがなくて、主軸が収まる部分はミッチェルみたいに筒状に張り出しているだけという個性的な見た目でなかなかのもの。軽さはさすがにギアまで樹脂製にしただけあって、マイクロセブンDXも200gをチョイ切る軽量小型機だけど、シエラⅣは170gを切る軽さ。なかなかのトンガリ具合。

 てな感じで、針金ベールのスピニングなんていう方向にも症状が出てしまっていて、我ながら困ったモノです。再度いつもの台詞で締めておきましょうか。

 アタイ、病気が憎いッ!

2023年2月18日土曜日

釣り人のマナーが良くなることは、今後もまったくぜんぜん期待できない

 ワシゃそう思ってる。

 論拠はいくつかあげられるが、一つには「釣り人」という大雑把なくくりでは、なにもとらえることできないという根本的な限界がある。このブログを読んでくれてるような奇特なレベルの釣り人も「釣り人」なら、なんか最近コロナ禍で”釣りブーム”とかいうからいっちょやってみるかと、百均あたりで道具揃えて釣り場にやってくるのも「釣り人」で、ボランティアで釣り場の清掃活動を企画運営するような聖人から、そいつが一定時間そこにいた結果、生じた廃棄物、具体的には食事飲み物のゴミ、絡んだ釣り糸、一回しか使ってない仕掛け、仕掛けの入ってた包装、余った餌、”外道”として持ち帰らない魚、など全てをその場に捨てていく、そいつの品性の下劣さがもろに形になっている”脱皮殻”のようなものを形成し釣り場に残していく輩まで含めて「釣り人」であり、「釣り人のマナー」っていうと自分は品行方正な釣り師なので関係ないと思われる方も多いと思うけど、世間一般からは同じ「釣り人」と認識しくくられてしまうのである。他人がどう見てこようと本来関係ないんだけど、後述するようにまとめて「釣り人」で考えられると、エラい不利益を被りかねないので、この視点は重要だと思う。どんな業界?でも、おおくくりにして十把一絡げにした中に程度の低い”マナーの悪いやつ”が一定数含まれてくるのは避けようがない。

 そういう人達には、みんなで注意してやってマナーを守ってくれるようにしましょう。っていうのは正論ではあるけど、実際には難しい。長く「釣り人」でいてくれるなら”教育(親がしておくべき躾のレベルだけどな)”も効をそうするかもしれない。でも実際にはマナーの悪い層なんてのは入れ替わり立ち替わりで参入してくる実態のはずで、釣り場にわざわざ看板が出てるし、釣具屋の紙袋にもいちいち「釣り場をきれいに、ゴミは持ち帰りましょう」と書かれていても、読みもしないのか気にしないのか、ひょっとして”読めない”ンじゃなかろうかというバカどもだから、結局魚がたいして釣れない。「ゴミを捨てるな」ぐらいの日本語が読めない、あるいはその必要性が理解できない頭の悪さで、意外に難しいこと考える必要がある”魚釣り”を楽しめるわけがない。なので始めてもすぐに飽きてやめる、やめるけど、テメエには釣りを楽しむだけのおつむがネェっていうのが自認できないそういう輩の新規参入は止まらないので、常にそういう低俗な「釣り人」は量産されている(それでも”啓蒙”活動は聞く耳を持つ人には効くだろうから大事だとは思うけど。)

 そういう人達が、ゴミを捨てている場面って意外と見ないモノで不思議に思うんだけど、おそらくワシが朝の”時合い”が終わって撤収した後に来てるか、逆に夕の”時合い”が始まる前に居なくなってるんではないかという気がする。まあ、釣れんわなそんなんじゃ。にもかかわらず釣り場に行くたびにあからさまに釣り人が残したと思われる、絡んだ釣り糸、一回しか使ってない仕掛け、仕掛けの入ってた包装、余った餌、”外道”として持ち帰らない魚、などなどが前回回収なりしたはずなのにまた落ちている。

 特に気にしてて、昔からなるべく拾うようにしていたのはラインゴミで、目についたら自動的に拾うことにしている。ペットボトルのホルダーにクシャッと丸め込んでペットボトルで押しこんで持ち帰り、帰ったら釣り具を洗って干すと同時に、写真の様に棚に設置してあるラインゴミ袋にまとめていき溜まったら使えそうなオモリやらハリをやらを回収してゴミに出す。冒頭写真は同じゴミ袋の中身の接写。この冬12月終盤ぐらいにゴミ袋を新しい封筒に換えて2ヶ月半くらいで満タンになってきた。

 ラインゴミは本当に勘弁して欲しい。鳥の脚に絡んでるのとか見ると申し訳なくて切ない。なるべく根掛かりもしないようにしてラインが自然界で生き物に悪さをしないようにしておきたいと強く思っている。ラインゴミは見つけたら拾う。

 で、最近は釣り人の出したと思われるその他の包装やらビニール袋やらも可能な範囲で回収しようと心がけている。ワシがなんで食ってもおらんコンビニ牛丼の食べ残しとか処理してゴミの日にださんといかんのじゃ?(スカベンジャーナマジもさすがにそれは食わん)と腹立たしいけど、どうも釣り場がゴミで汚れていて、最終的に困るのはワシのような地元でしか釣らないような、釣りを止めたら呼吸が止まってしまうような種類の「釣り人」であり、ゴミ捨ててる側の「釣り人」はいっさい全くビタイチ困らないということが、身に染みて理解できるようになってきたので、嫌だけど自衛策としてそうせざるを得ないと考えるに至っている。

 ゴミ捨ててくような輩は、それでその釣り場が”釣り禁止”になっても、痛くも痒くもなさそうなんである。別の釣り場に行けば良いだろうし、なんなら釣りなんてやめてしまってもいっこうにかまわんのだろう。そういう輩のマナーが改善されるのを待つには永遠の時をしてまだ足りない。で、対照的に釣り禁止になると自分は本当に干上がってしまうぐらいに困る。年間200日から釣りに行く人間から釣りを取りあげることの残酷さをご理解いただけるだろうか?当ブログの読者さんなら共感いただけると思うんだけど。みんな一緒だよね?

 だから、”自分の釣り場”のゴミはなるべく拾って釣り場を綺麗に使わせてもらうよう心がけるのは大事で、「漁港」なんていう漁師さんの職場で「邪魔にならんのなら」と遊ぶことを黙認してもらっているような状況では特に、いつ”釣り禁止”にされてもおかしくないので、ちゃんとした釣り人の皆さん。クソ腹立つ話だとは思いますが、諦めて「釣り場のゴミは自分のじゃなくても拾って帰りましょう!」ってお願いさせてもらいます。もうやってますよ!ってさすが我がブログの読者様。素晴らしい釣り人ですね。などと揉み手でおだて上げてでも、釣り場を綺麗にしておかんとマズいって思っています。

 深く考えるとゴミ問題は、プラゴミに代表される人間が作りだした化合物やら分解がなかなか進まないものをこのまま使い続けていいのか?とか悩ましいんだけど、海洋等水域へのマイクロプラスチックの主な流出の原因の一つが、ご家庭の「洗濯排水」だと聞き及ぶに至って、極論すると化繊の服着たらあかんのか?という話にまでなってしまいそうで、いい塩梅の匙加減を考えるのが難しく、とりあえず生物ってしたたかで海洋プラゴミとかを栄養源や住み家に新たな生態系が作られつつあるような報告もチラホラ目にするので、「風の谷のナウシカ」で猛毒のヒソクサリとかの腐海の植物がじつは汚染された大地を浄化していたように、ある程度新たな生態系が何とかしてくれるのを期待しつつも、どうにもならんようなら化繊の服を捨てることも覚悟しつつ、「とりあえず目に見える形で鳥が死ぬようなラインゴミや小さな鉛のオモリは極力自然界に放置しない」、「同じ(と外からは見える)「釣り人」が出したゴミで楽しい釣り場から締め出し食らわないようになるべく拾う。」っていうのは自治体のゴミ出しルールに追加してワシが自分に定めたゴミルールに、好むと好まざるに関わらずなってしまっております。なんでクソどものためにワシがこんなコトせにゃならんのやと気分悪いけどしかたあんめぇ。

 でも、釣り場のゴミがなくなってちょっと綺麗になると、わりと気分の良いものだなとは感じてます。

2023年2月11日土曜日

スーパー7とはこういうのだと思ってました

 

 まあ普通の人なら”スーパーセブン”っていったらルパン三世が乗ってたようなクラッシックカーを思い出すんだろうけど、大森熱患者なら以前紹介したゴッツいコンパックブランドのではなく、こっちの方を思い出すんじゃなかろうか(当社比)?

 こっちの大森製作所「ダイヤモンドスーパー7」は、大森の歴史ではプロラインの後に作られた最後のウォームギア機だと思うんだけど、ちょっとカタログ掲載年とかわからない。つくりが”オートベール”的なので70年代終わりか80年代始めぐらいだと思ってるけど、ご存じの方おられたら情報提供ヨロシクです(※1979年発売と判明)。

 ウォームギア機って使い慣れると独特の味があるように思うところ。「パワーがなくてゴリ巻きできないからダメ」とかの不平不満を、スピニングリールのなんたるかを知らん釣り人が書いてたりするけど、これまでも何度も書いてきたけど「ポンピングしろ」とだけ書いておくにとどめるとして、愛好者がわりと多いのは、カーディナル3とかが何度も復刻されることからも分かるし、PENNがパワーの必要とされそうな海のリールとして「706z」「704z」という大型ウォームギア機を復刻させたりしてることやら、ドイツD・A・M社も近代的な設計のウォームギア機「クイックレトロFD」シリーズなんていうのを今世紀に入っても新規に設計して作ってたりしたのとかからも分かると思う。好きな人は好きなんです。大森製作所にも好きな人がいたんでしょう。ハイポイドフェースギア作るようになってからもウォームギア機もしぶとく作ってました。

 ウォームギア機の何が良いって、巻きが滑らかで感度が良いってよく言われてて、確かにPENNの430ssgとか使ってた時に、今時の国産機使ったら巻きが軽すぎてカスカスな感じで、まったくルア-引いてる抵抗とかが手元に来ず「こりゃ気持ち悪い」と感じたもので納得するところである。あとメッチャ丈夫らしいのも良い点だけど、色々考えていくとパワーがなくてゴリ巻きできないところがスピニングらしくてなんか気に入ってるのかもなとも思う。ぶっちゃけ巻き心地だ感度だはワシあんまり気にしてないからな。別にギアゴロ上等の丸ミッチェルとかでも使ってて嫌じゃない。むしろ好ましく感じてる。

 っていうことで、ウォームギア機大好きなナマジとしては「見せてもらおうか、大森のウォームギアの性能とやらを!」と思ってたんだけど、意外と縁がなかった。人気の「プロライン」はお高くて手が出ず。「アトラスⅡ」は2台入手したけど個体差ばらつきがあって、まだ大森っぽいリールに育ちきってない気がした。そこで今回の「スーパー7No.3」ですよ。そこそこマイナーだけど、小型のSSとかは手が出ない値段に大森沼の住人が競り上げてしまうので買えないけど、今回不人気の中型機でNo.3の大きさ。ちょうど外蹴りアウトスプール版「マイクロセブンNo.3」が蔵にあるので、おそらく色々と部品共通でスペアスプール体制も組めるだろうと入札。説明振りだと「逆転防止が壊れてて効かないジャンク」となっていて、入札ワシだけで900円(税込み1001円)で落札、送料入れて2121円は送料の方が高い。

 まあ、逆転防止が効かなくなってるのはグリスが固まって爪が動かなくなってる程度だろうから余裕で直せるはずで安い買い物である。またもや中型機で売れない代物だけどいまさら気にすんな。って思ってたらモノが到着してみたら温度変化で固まったグリスが溶けたとかか、なんかわからんけど逆転防止も普通に機能していて、表面が潮かぶったみたいに腐蝕してるところもあるけど、稼動品に持ってくのはわけなさそうでホッとした。

 下の写真なにやってるのかわからんかもだけど、中型機にタップリ巻かれた投げ釣り用の途中で色が変わるナイロンラインをそれ用の道具を使って引っぺがしてます。「ラインクリッパー」っていってバークレーから出てた商品なんだけど、電動のモーターでゴムのローラー2個を回してその間に挟んだラインを素早く引っぱがしてくれるので、デカいリールの長尺ラインの巻き替えとかには”アルトベンリ”な代物。写真では足下に引っぺがしたラインが裸でごちゃついてるけど、ビニール袋の中に出口を向けてやれば後始末が楽。

 ラインを引っぺがしたら、スプールからバラし始める。

 やっぱりあれだ、これは”オートベールのウォームギア版”だな、この時期の大森スピニングではすっかり皆様お馴染みの作りで、オートベールと同じくワンタッチ交換できるスプールにドラグは硬質フェルト湿式3階建て、ベールアームは樹脂製でポチッと左上のボタンを押してベールを畳むことができる。ラインローラーは樹脂製スリーブ入り、同じ大きさのオートベール所有してないので比較できないけど、ローター自体がタックルオートも含め3機種で共通の可能性もありそう。っていうか多分そうだろうと思う。ギアが違うスーパー7はひょっとしたら違うかもだけど、オートベールとタックルオートとは変える必然性がないように思う。ちなみに外蹴り時代のアウトスプール機のマイクロセブンとタックル5(と同型機タックル)のローターは同規格。ハンドルは左右両用に使えるネジを切った方式のネジ込みハンドルだし、銅製の板の”簡易ローターブレーキ”も大森沼住民にはお馴染みのが付いてる。ストッパーは本体内ローター軸のギアに掛かる方式。

 でもって、今回の本題であるギアはドーン!とこんなん出ました。

 オーッ!確かにグルグル棒のローター軸ギアに500円玉みたいに側面に歯を切ったハンドル軸のギアが重ならず並んでいて、まごうことなきウォ-ムギアスピニング。

 スプール上下させるオシュレーション機構は本体裏の蓋にハンドル軸のギアから回転持ってくるためのギア2枚並べてハンドル2回転で一往復ぐらいの減速オシュレーションにしている。デカい機種だけかも?と思ったけど、写真見る限りNo.1サイズでも蓋の方がそれなりに膨らんでて、単純クランク方式のウォームギア機独特の、本体が薄っぺらくてなんか格好いい感じはなくて少しウォームギアフェチとしては残念に感じるところではある。

 まあでも見た目より機能よ、引っこ抜くと真ん中写真のような感じになるんだけど、ウォームギア機の場合、ローター軸側がステン、ハンドル軸側が真鍮というのが一般的な組み合わせだと思うけど、大森ウォームギアはローター軸側が綱系(上の写真でちょい錆が見える)、ハンドル軸側は軽量化のためにアルミに芯が綱系かと思ってたけど、写真見てるとアルミじゃなくて綱系に見えてきて、グリスグッチャリにする前に磁石でもくっつけて確認すれば良かったと思ったけどあとの祭りで、バラして確認も面倒くせぇのでネット検索で情報無いかと探ったら、スーパー7では出てこなかったけど「プロラインNo.101」が”鋼のウォームギア”だという記事が出てきて(まあTAKE先生のところです)、たぶんその後を継ぐようなスーパー7も鋼のウォームギアの可能性が高い気がする(追加註:TAKE先生著の「リール哲学」でプロライン系について原氏はアルミ合金だと書いてる)。大森沼に沈んでる方でお手元のスーパー7のギアの材質確認してる方がおられましたら情報提供いただけると嬉しいです。まあ、鋼の円盤から切削でギアの歯作ってるなら「EXCELLENT GEAR」と誇らしげに表記したくなるのも分かりますね。ボールベアリング3個も入れてるけどそんなモンはもう表記するほどの価値はないってのも時代の趨勢か。

 ちなみに、ウォームギア機のハンドル軸のギアが真鍮製で重いということの対応策としては、イタリア製アルチェード「2CS」では穴開けて軽量化されていて、スウェーデンのABU「カーディナル4」とかになると小さめのハンドル軸ギアになってて(瑞穂製の「C4」にも引き継がれる)、「デカくて重いけど、それがなにか?」という態度だったPENNのスピンフィッシャー710系、アウトスプール3桁の「430ss」、「420ss」も、後継機の4桁「4300ss」、第4世代「430ssg」ではカーディナルっぽく小さめなハンドル軸ギアになっている。PENNにも、軽量化の小うるさく求められるようになってた時代に、そうまでしてでもウォームギア機を残したいっていうウォームギア好きの同志がいたのだと思うと胸が熱い。

 でもって、全バラしてパーツクリーナーでシュッシュのゴシゴシと汚れを落として青グリスグッチャリで組み上げてくんだけど、ここで問題発生。右巻になってたのを左巻きにしようとしたら入らんがな。この時代の大森のハンドルは同じ軸に左右のネジの山をクロスさせるような感じで切った左右共用で(この方式シェイクスピアが特許持ってたとかどっかで目にしたけど出典が分からんくなった。ゴメン未確認情報扱いです)、左にも付け替え可能なハズなんだけど、空転して入って行かない。たまに初めて左巻きにするときにちょっと抵抗があることはあって、でも力入れてゴリゴリとねじ込んでいくとキッチリ填まって、その後は問題なくなるってのがパターンだったので、今回もそう思ってゴリゴリっとねじ込もうとしたらネジ山なめったような嫌な感触を残して空転し始めて「やっちまったダ!」と暗澹とした気分に落ち込む。ただ、入り口のところで多少ネジ山舐めてても、奥の方はまだ生きてるハズでなんとか奥まで突っ込む方法はないかと、頭捻ってたら、パーツ互換性を試すために用意していた外蹴り「マイクロセブンNo.3」の左巻きのハンドルのネジでほじくって、ネジが入る道筋をつくってやってからねじ込めばどうか?と考えて真ん中写真のようにやってみたけど一発目は不発。やっぱりダメだったかと思いつつもダメ元で、ハンドルネジの方もマイクロセブンの方のギアに突っ込んでネジ山を整えてみたらどうだろう?と試して再度突っ込んでグリグリしてみたら、無事ねじ込めました。ふぅ一安心。

 ただ、この方式は諸刃の剣のようで、あまりお薦めできるモノではない事がその後判明する。続くときは続くモノで記事にもするつもりもない通常業務として、我が家にお迎えした4台目の「マイクロセブンC2」を整備してたら、上記と同じように左ハンドルにしようとしても空転する状態に突入。でも、左巻きの状態になってるハンドルでギア側のネジ山整えてやれば行けると学習済み!とC2の普段使ってる個体のハンドルでグリグリやって、整備する側のハンドルも使ってるC2のギアにグリグリ入れてってやってから、と思ったらそもそも入らんし。仕方ないコイツは諦めて右巻のみで運用するかとおもって、使ってた方のC2を元に戻そうとしたら、なんと逆に使用中の個体のハンドルが元通り左に付けられなくなってしまった。グハッまたやってしもた!同型機含めたら5台もあるので2台右巻個体でも大丈夫な気はするけど、これまで左右どちらでも使えてたのを片方潰したというのは精神的にダメージが大きい。ここで”損切り”して諦めるのが賢いのは目に見えてるような気がするけど、悪あがきいたしました。左右共用のネジ山が切ってあるハンドルを突っ込んだから左用に整いにくかったのではないだろうか?という薄い可能性だけど藁にもすがるような気持ちで信じたい仮説のもと、左右でネジが別の外蹴りの「マイクロセブンNo.2」で同じようにグリグリやってみた。わが家の蔵からはなんでも出てくるので助かるね。結果、マイクロセブンNo.2まで左巻きダメ個体になる予感もあったけど、なんとか元々左巻きで運用してたC2は左巻きOKに復活させることができた。新たな個体はボロいのでスプール要因にしてしまうつもりでこれ以上無駄に触って被害を広げないようにしたのは我ながら賢いのではなかろうか。ちょっと嫌な汗かいたけど原状復帰まではできて一安心。ということで、左右両用のハンドルがどちらかにしか入らないという場合に、裏技として「右用左用が別だった時代の大きさ同じ大森スピニングを用意して、グリグリッとしてネジ山を整えてやる。」というのは、上手くいくこともあるけど下手すると片側しか使えないリールが1台から2台になる可能性があると憶えておいて欲しい。

 ということで、無事使用できる目処も立ったし、スペアスプール体制は組めるかな?と外蹴りマイクロセブンNo.3と部品共用具合を確認してみると、無事スプールは共通。スプールの前にはからずも確かめることになってしまったけどハンドルも共用可能。スプール交換するとちょい見た目あってないけどスペアスプールはいつも出番が有るわけじゃなしで、それが鞄にあるという安心感が大事。

 でもって回した感触なんだけど、なんというか大森ハイポイドフェースギアも充分滑らかなので、部屋でクルクル回した程度では取り立てて言うほどには違いが分からない。ウォームギア独特の重さも、減速オシュレーションのおかげもあってかそんなに感じない。まあこういうのは実釣で試してこそ真価が分かるというものだと思うのでそのうち出番を作ってやろうと思う。

 という感じで、大森熱は昨年から引き続き終息宣言など出せるわけもないような状況で、毎日ネットオークションとか出物が無いか見回ってるんだけど、最近なんだか値段が上がってるような気がして、特に「タックル5No.1」が1万5千円で売れてたのには、こんな強気の値段でも運が良いと買い手つくんだ!と、とぼけたことを思ってたら、そうじゃなくてどうも「ギジー」っていう釣り雑誌の新春号でオールドタックルの特集があって、その中で何故か「タックル5No.1」と「オートベールNo.1」が紹介されたようで、その一瞬の商機を逃さず売りに出した商売上手が1万5千円の高値で、普段なら3千円になれば上々のタックル5を売り切ったようである。タックル5はワシも好きなリールで3台持ってて1台はまさにNo.1サイズだけど、商機はもう過ぎたようで現時点では6千円ぐらいでも入札されてない。まあ根魚遠征用に使ってるから売らんけどな。だれか、雑誌とかで”不人気実力派マイクロセブンCシリーズ”を紹介してくれやンもんかいな?全部で13台もござる。使うとしても3サイズ2台づつあれば上等で、7台高値で売れたら、また別のリールが買えるのに・・・。赤字を解消しようとかいうのは道のりが遠すぎて諦めかかっている。現在の赤字額は236,479円。

 あと、最近思うのがワシそろそろ左投げ右巻もできるように練習した方が良いのかもってことで、まあ昔右手首腱鞘炎になったときにちょっと練習したことあって真っ直ぐ投げるだけならできるんだけど、歳食って万が一右手が振れんようになってもフライキャスティングのメル・クリーガー氏の逸話みたいに逆の手で同じように振れれば問題無いじゃんって話もあるし、なにより右巻専用機が使えるようになれば、ネットオークションとかで「ああこれ右巻か」と見送らずに済む。

 絶対練習してはいけない気が、書いててしてきた。両手使って全力で沼に潜ってどうするよ?

2023年2月4日土曜日

ガシャーン!!って昭和ロボ感がそこはかとなく

  気にはなってたけど、手を出さずにきていたものに、大森のアウトスプールでも”外蹴りアウトスプールマイクロセブン”以前のアウトスプール中大型機があって、独特の外付け方式のベールスプリングの収まったシリンダー的部品とかが特徴的で、気にはなっていたけど、大森1300サイズは4桁PENNだと5500SSぐらいの中型機で使いみちも想定されず、かといって人気があるわけじゃなしで、買ったところで売るのに困る不良在庫化必至のしろものなので、まあ手を出すまでもないかと思ってたんだけど、ここのところ”デカ大森”を立て続けにいじってきて、勢いがついてしまい、売れはせんけど買うときもたいして金かからん、という割り切りもあって、またついマウスが滑ってクリッククリック。開始価格の1200円落札でプラス送料870円は立派なゴミスピ価格。その名は「ダイヤモンドスーパー1300V」。

 さて、我が家に来てみるとわりとボロ目の個体でいきなりハンドルのノブをクルッと反転させて収納するのが固着している。これはいきなり分解清掃ではなくて、スプール、ハンドル外した上でネジだの隙間だのにCRC666を吹き付けた後ビニール袋につめてしばし漬け置き、が必要だなとなって、その後の作業とあいなった。
 CRC漬けにして数日放置の後、分解清掃に入ると、残念ながらハンドルノブをクルッと本体側に回すためのネジは緩まずで残念な結果だったけど、その他は問題なくネジも外せて一安心。

 スプールから古いラインを引っぺがすと、下から真ん中が盛り上がった形状の樹脂製の”エコノマイザー”的な部品が出てきて面白かった。外せそうで微妙に外せず、壊しても馬鹿臭いのでそのまま放置。深溝を浅溝化するのはこの方式でそんなに支障ないと思っている。一つのリールにいろんな仕事させようとすると、細糸だと下巻きが面倒だったりするけどエコノマイザー方式なら楽で良い。でも今時のメーカーは浅溝スプールが交換用にあるどころか、浅溝専用機種を買わせてくる方針のようで胸くそ悪い。騙されてそんなクソリール買わんで欲しいと思う。互換性のある浅溝スプールがあれば良しだし、エコノマイザーなら貧乏人にはなおありがたい。まあエコノマイザーは自分でコルク削ったりして作れるけどな。

 でもって、分解していくともうこの時代だと、ザ大森方式っていう感じで、ドラグはフェルト製3階建て。一枚耳付きワッシャーが多いのは、スプールのドラグ穴の底が平面じゃなく軽量化のために柱が入ってるような構造なのでドラグ穴の底の代わりにスプールに固定の座面として入れられている。
 真ん中の脚付きの本体フレームはれいによって左右両用で、ネジ2個でしっかり止める方式のオシュレーションスライダーが、左巻き仕様本体左側のハンドル軸ギアの上のカラーの填まった突起でハンドル一回転で1回上下する単純方式。オシュレーションスライダーを填めるのに、本体フレームにオシュレーションスライダーを主軸に刺して先に固定してから、ハンドル軸のギアを入れた本体左側をギア上の突起がオシュレーションスライダーの溝に入るように填めてソッ閉じ、というのが順序だと思ってたけど、この機種だけか、インスプールマイクロセブンとかでも実はそうなのか、先にハンドル軸のギアを填めた本体左側と、本体フレームを合体させてから、縦にしたオシュレーションスライダーをギア上の突起に合わせて隙間からギア上に置いて、クリッと90度回転して収まるべき位置に収めてから上から主軸をブッ刺して固定というのが問題なくできた。この方が何かとやりやすい。
 ラインローラーは真鍮製のブッシュ入りで回転式。特に固着もなく普通に回ってた。
 ギアは大森得意のハイポイドフェースギア。別に気になるほどのギアゴロ感もなく充分スムーズ。逆転防止はハンドル軸のギア裏にかける方式。ローター軸のギアにベアリングが一つ入ってるのもあってか巻きは充分軽い。

 でもって、この機種の最大のみどころである、ローター外側ベールアーム下部に鎮座いたしますグルグルバネの入ったシリンダー。隙間から見せてる部分は一部で実際にはシリンダーの長さいっぱい使ってバネを収めてあるので、ベールを起こしたり返したりするベールスプリングの耐久性的には。今時の真ん中に心棒があってグルグルバネ方式、もしくは溝にはまったグルグルバネ方式と比べても遜色ないものだろうと思う。
 グルグルバネ方式は長らく特許の関係でスピニングリールに採用できなかったと聞くが、このシリンダー方式は特許的には大丈夫だったのだろうか?微妙な線のような気がするけどあまり気にしないでおこう。

 小型機に乗せるようなあんまり小さいシリンダーは難しそうだし、ローター外側に可動部が露出してしまってるのは、ラインが噛んだら一発裁断されてしまいそうな不安もあるけど、耐久性については後年大森製作所も採用していた2巻きか3巻きしかないトーションバネ方式(安全ピン開いたような形のバネ)より間違いなく長寿命で、通常5巻き前後と巻きが多かったインスプールスピニングのベールスプリングよりも長持ちするだろうことは明白。

 仕組み自体は難しくはなくて、ばねが押し縮められて入っているシリンダーが、シリンダーの根元からみて中央から右にベールアーム側の接続部があれば、右に押しあげてベールアームは戻った状態に固定される。手で中央を越えてベールアームを開いてやると、中央から左に接続部が行った時点で今度は左に押あげるので、ベールが返った状態で固定される。やってることは一般的な手でベールを返すことができるアウトスプールスピニングのベールスプリングと一緒。外蹴りでそれなりに作動時重い感じはあるけど、ガシャーンってシリンダーが縮んで伸びるのは、なんとなくメカメカしくて良いのです。

 ハンドル収納時のノブの反転だけ固着してるけど、他は分解清掃できて実釣可能な感じに仕上がりつつあるんだけど、塩水使用で塗装が剥げて腐蝕しているスプールエッジが、さすがに投げるときにラインを痛めかねないし飛距離もおちるだろうということで、スプール主軸に刺してドリルで回しつつサンドペーパーで腐蝕の凸凹をならして、そうすると剥き出しになったアルミは腐蝕に弱そうなので、気休めかもだけど上にエポキシを塗ってコーティングしておいた。

 いつものように青グリス盛り盛りで整備終了。左右兼用の本体フレームにハンドル側にギア、反対側に蓋という大森好きにはお馴染みの構造からいって、マイクロセブンDXと同時代1960年代真ん中へんの設計なのだろうと思う。投げ釣り用でよく売れたのか、同様の設計で「デラックス1300」「スーパー1300」「スーパー1300QS」「1300SSS」とかの1300系のほかにもファミリアというシリーズもネットオークションとかで散見される。この時代になるとだいぶ洗練されてきてる印象で、部品数も少なめで単純な整備性の良い設計だし、真鍮スリーブ入りラインローラー、滑らかで丈夫な綱系軸入り大森製ハイポイドフェースギア、ネジ込み式ハンドル、耐久性の高いベールスプリングのシリンダー方式にドラグはフェルトパッドの3階建て方式と実釣に持ち出してもある程度使えることは想像に難くない。兄弟機の多さから言っても、大森製作所を代表するようなリールの一つだろうなと感じたところ。
 ただ、いかんせん投げ釣り用のリールということで、冒頭でもボヤいたけど中古リール市場ではあまり需要が無く、そのくせ玉は少なくないのでいきおい値段は安い。買うには嬉しいけど売れんがなこんなモン。
 ラインローラーがブッシュも入った回転式ならPEラインでも行けそうに思うので、ドラグがフェルトパッドのままでいけるかどうかは試験してみないと分からんけど、青物狙いとかに持ち出しても案外使えてしまいそうな気がする。ギア比も4:1ぐらいとそれほど遅くはない(4桁PENNの5500ssで4.6:1)。

 売れぬなら使ってしまおうホトトギス。という気がちょっとしてます。

2023年1月28日土曜日

仮説どおりの都合の良い結果が出た場合は要注意

撮影:Gary Alpert氏 ウィキペディアから
  最近話題になってる、カブトムシは実はオオスズメバチに樹液場から蹴散らされるので仕方なく夜行性になっているが、オオスズメバチが居ないと昼でも樹液を吸う。っていう研究報告。夏休みの自由研究を端緒にした少年の研究報告があって、それを補強するような山口大学の昆虫生態学者の報告が最近ネットニュースでも流れていた。双方とも報告自体は限られたサンプル抽出なので他の条件下でも同様の行動が見られるか等についてさらなる検証が必要的な説明ぶりで、その旨、紹介記事でも書かれてはいるが、記事の見だしとしては「「カブトムシは夜行性」の常識覆す新説…昼間は強敵恐れコソコソしているだけ(読売新聞1/18配信)」となっていて、あたかもそれが一般的にあてはまる新知見のように誤認させそうに思う。

 こんなもん、カブトムシをそこそこの回数飼育した経験がある人間で、今時の生物学的な知識があれば、追加の検証研究とか待たずとも、ある程度の”正解”は分かるはずである。ワシが思う正解をここに書くなら”カブトムシの多くの個体はやっぱりそれでも夜行性である。でも昨今の生物の知識では常識となりつつあるけど、個体ごとの差が生じる程度にカブトムシという種の中にも遺伝的な多様性があり、昼行性の個体か、あるいは状況に応じて昼行性に移行していく個体なのかもだし、それら双方や中間的な者の存在もありえるけど、そういう昼行性を示しうる個体が一定数存在する。っていうところだと思う。

 根拠は、まず、本来昼行性なのにオオスズメバチのせいで夜行性を強いられていることの否定材料としては、オオスズメバチなんていう剣呑な生き物は当然同居していない飼育箱の中でも、全ての個体が昼夜関係なくスイカの皮にしゃぶりつくなんてことにはならずに(昔はカブトの餌といえばスイカの皮だった)多くの個体が夜行性で、昼間は飼育箱の底のオガクズとかに潜っている。基本的には夜行性の日周行動をとる性質を持っているとみていいと感覚的に分かる。

 ただ、中には昼間っからスイカの皮に夢中な個体も居て、さすがにその個体が夜どう動いているのかまで観察し切れてなかったので「弱っちいから夜餌にありつけなかったのかな?」ぐらいに思っていたけど、一定数、すくなくとも敵が少なければ昼行性に移行できるような行動を取りうる個体が居るということである。

 そうなると自然界では、オオスズメバチに限らず鳥とか意外なところで”国蝶”オオムラサキとか、もちろん同族含め他の昼行性の外敵が少ない環境では昼行性のカブトムシ個体は餌場を独占できるので生存・繁殖に有利であり、カブトムシという種全体の中には一定数そういった個体が生じる遺伝的要素が含まれている。で、環境によっては昼行性の個体が多い地域とか逆に夜行性ばかりの地域とかあるのではないだろうか?確か自由研究の方の観察フィールドは庭の木に来るカブトムシを対象にしていたと記憶している。昼間の外敵は少ない環境だろうというのが想像に難くない。

 っていうのも仮説でしかなく、いつも矛盾を抱えて反面教師なワシなんだけど、こういう一見理屈が通って分かりやすく思える説のとおりに、観察結果や実験結果が出たときには、逆に慎重になった方が良いと経験則的に思っている。生物に限らないかもだけど、生物の場合特に理屈がサッパリ分からないし、何故そうなるか頭に疑問符が並びまくるような、それでも動かしがたい結果という”事実”が目の前に突きつけられることがままある。

 生物の場合、複雑な”生態系”を構成し、それは生物群集はもとより気象海象地形人為的要素まで複雑に絡み合って成立している上に、そういった3次元的な複雑さに加えて、時間経過による影響、そうなるに至った経緯、つまり歴史のようなものも絡んで4次元的にグッチャグチャになっていて始末におえない。なので一見納得もののスッキリした結果に隠れて実は面倒くせぇ複雑でわかりにくい”正解”が隠れているということは多い。なのでスッキリする分かりやすい仮説どおりの都合の良い結果ほど、気を引き締めてそれが全てではけっしてないハズだ、ぐらいの疑いを持って然るべきだと思っている。ごく最近も釣りの場面で「それはないだろ?」って呆然とさせられる事態に心を折られたところである。人間は自分が信じたいことを信じる生き物なので都合良く分かりやすい解釈を求めがちだけど世の中そんなに単純じゃないゼって話。

 自分のことを棚あげしておいて書くのも恐縮だけど、釣りの世界では良く分かってない半可通が珍妙な説を信じてたりしがちで「アホとちゃうか?」といつも思ってるので典型例を書いておく。「メインのベイトフィッシュがマイワシなのでマッチザベイトでマイワシカラーのミノーが効果的」とか、心底アホだと思う。いちいちカタカナが多いところからしてアホ確定。だいたい対象魚が特定の餌に学習してて本当にマッチザベイトが必要な状況ではルア-は分が悪くて”ルアーマンがマッチザベイトとか言いだしたら9割方負け戦”って思うぐらいで、ルアーの釣りって基本的に通常対象魚が食ってる餌ではあり得ない派手なアピール力とかで食わせるモンだと思ってる。その中でマッチザベイト的に餌生物にあわせるとしても、模様やらの細かい所まで見てくるような魚には、見た目の”リアルさ”ではルア-では全く似せられていないのでどうしようもなくて、サイズ感だとか動きだとか質感だとか全体的特徴で合わせた方がまだ勝算があるけど、どっちかと言えば水面でごまかしたり光りもので反射食いさせたりというルア-らしい戦略の方がマシなことが多い。どんなに良くできた”リアルミノー”でも冷静に見て本物っぽくはない。ただのオモチャである。魚屋さんに超リアルカラーのミノーが本物と並べてあって、間違ってリアルミノーを今夜のオカズに買ってくヤツがいるか?って考えたら明白で、人間が間違えないぐらいの差があるなら、魚だってシビアなときはその差を見切ってくるってのは当たり前。ちなみに本物の魚を樹脂で固めたようなルア-が過去にはあったし、いまでもあるかもだけど、そいつらが釣れるかといったらルア-の歴史から消えてなくなったし、今存在していてもたいして注目もされていないことからも、いわゆる”リアルタイプ”なルア-はアホな釣り師が食いつくほどには魚は食いつかないんである。

 こう書くと「オレはいつもマイワシカラーで釣っている、オマエの言うことはデタラメだ!」って思う釣り人は居るだろう。改めて書くけど、マイワシに狂ってるような魚にマッチザベイト的にマイワシカラーのミノーが効くわきゃないとは思ってるけど、マイワシカラー自体が釣れないって思ってはいない。生物にありがちな黒点が並ぶという模様は対象魚に何らかの視覚的興味を抱かせていてもおかしくなく、釣れるカラーではあるんだろう。そういう”なんか生き物っぽい”という要素を強調、あるいは抽出して魚を誘うのがルア-の本質的な部分の一要素だと思うので、マイワシカラーは定番色なだけあって良く釣れるカラーなんだと思う。ただ、黒点が並ぶカラーならマイワシカラーでもニジマスカラーでもそんなに差がないんじゃないかと思ってる。ニジマスカラーの方が黒点多いゾ。

 マイワシ食ってるからマイワシカラーで、なんていう安直で都合の良い考え方をしてると思われると恥ずかしいので、若い頃は好きなカラーの一つだったけど近年海ではマイワシカラーは極力避けている。逆に、適度に派手なオイカワカラーとか前述のニジマスカラーあたりは天邪鬼な釣り人としては海で投げたくなるので”リアルカラー”自体あまり使わない方だけどちょくちょく使ってる。普通に釣れます。

 実際の釣りの現場では、なんでそうなるの?って全然分からんことが多々生じるので、とりあえず理屈やら説明やらは横にどけておいて、事実だけ知ってれば当座はどうにかなる。変に短絡的にこじつけた理屈を考えてしまうと”正答”にたどりつけないのでそこは気をつける。気をつけつつも横にどけたけど頭の隅には常にその疑問は持ち続けておくと、膨大な情報の積み上げの結果やら、思わぬ方向からのふとした気付きやらで、ある日突然正答にたどりつけることもあるので、焦って”答”を求めずに、また新しい知見でそれまでの正答が覆ったらそれも受け入れる姿勢を持って、答のないような問いを頭の中に響かせておくというのが必要かなと思ったり思わなかったりしてます。