<症例6>大森製作所ダイヤモンド「マイクロ7ーC2」
症例5で一旦報告終わりの予定だったけど、ポロリと出物があって、前回チラッとふれたけど入札ワシだけでマイクロ7ーC2を入手。これだけならめでたしめでたしで名古屋の味噌ならあかだしあかだしで終了だったんだけど、なんとこれが部品欠損個体。
やられたゼと思ったけど、確認すると出品時の写真にも堂々と欠けてる写真が使ってあり、ワシも気付かず買ったけど、売る方も気付かず売ったんだろうなという感じ。もちろん掲載写真のとおりじゃ文句も言えず、980円+送料で写真右の既に持ってた海外版の方のシェイクスピア「シグマプレジデント2440-040」のスペアスプールが手に入ったと考えて、それだけでも安いと考えてまあいいやとなった。
欠損していた部品はラインローラーのベールアーム側に填める覆いの付いたワッシャーのような金具。
スペアスプール確保でまあいいやって一旦なったんだけど、こんなもんラインがラインローラーとベールアームの隙間に落ちないようにすれば良いんだから隙間に覆い無しのワッシャーでも填めときゃいいんと違うか?とテフロンワッシャーでちょうど良い厚さのを填めてみるも、余裕で8ポンドラインが隙間に落ちる。当たり前だけど釣り糸って細い。
まあ、マイクロ7ーC2を使おうと思えばシグマプレジデントから部品取ってくればいいし、多分マイコン302TBとかとも共通の部品だろうなとは思う。思うんだけど、部品外した方のリールが使えなくなるのはなぜか気に入らない性分。同時に2台使うわけじゃなし別にいいやんケと思うんだけど、2台使える状態にしたいと思ってしまうのがイジリだしたら止められなくなった。
とはいえ金属削ってパーツ作るのは難易度高いし、樹脂製素材ならドリルで削って整形すれば作れるかな?とかも考えたけど面倒くせぇ。
都合良く、部品取りに使えるNo.2の大きさの修復不能なダイヤモンドリールの出物があるまで待つか?とも思ったけど、そういえば我が家の蔵には樹脂製のベールアームが割れてたりして現在の私の技量では修復不能な”大森っぽい”リールが転がってるなとフルーガー「メダリスト1626Z」を引っ張り出してきて該当する部品を外して組んでみると、これがなんとラインローラーの径的にはピッタリ合う。よっしゃ捨てずに取っておけば役に立つ日も巡ってくる、と喜んで装着するもラインローラー回転せず。
なんでじゃ?といじり回しながら考えると、どうもネジを締めていく途中まで滑らかに回ってるけどキュッと締め込むと回らなくなる。構造から考えて部品の厚さは関係なさそうで、ネジを通す穴の径が若干大きいので締めるとズレて斜めってしまってラインローラーを固定してしまうようだ。
じゃあ穴とネジの隙間を埋めれば良いなと方針が立つ。
簡単そうなのは”リコイル”に使うバネ状のパーツを適切な長さに切って隙間にはめ込むという方法だけど我が家にあるリコイル用のバネはサイズが合わなかった。買っても良いけど何か筒状のものを間に突っ込んで切れば良いだけだから、その辺に何か転がってるだろうと探してみるとあったあった。ちょうど填まりそうなカーボンの延べ竿の折れた部分発見。
竿の折れたヤツって太さが徐々に変わるある程度強度のある筒という、こういう隙間埋めるのにももってこいの素材。主に竿の補修用として捨てずに保管してあったんだけど役に立った。物を捨てられない性格は将来的にゴミ屋敷を出現させる可能性大でどうにかせねばと思うところだけど、こういう”取っておいたら役に立った”という実例があるとますます物を捨てられない性格が補強されてしまう。困ったものだ。
でもってちょうど良い太さの所を突っ込んで、意外に薄いとグシャッと潰れがちで一回失敗したけど2度目で必要なだけ切り取り成功。
瞬着で固定して填めてネジ締めてみたら、思ったとおりにズレずに固定できたようでラインローラー問題なく滑らかに回っている。合格。
手間暇掛けて修繕すると愛着が湧くもので、当初はシグマプレジデントの方がハンドルノブが軽くてルアー投げるのには向いてそうだし、竿もシェイクスピアのアグリースティックエリートだからシェイクスピアで揃うしでそっちを実戦投入の予定だったのを予定変更、マイクロ7ーC2を実戦投入しその実力を体感してみることとして、分解清掃グリスアップとあいなった。
まあ、ダイヤモンドリールの分解はもう慣れたものでチョチョイのチョイと分解していく。
C1の時にも書いたように、大森製作所としては伝統あるマイクロセブンの名を継ぐにふさわしい”樹脂製スピニングの最高傑作”をという意気込みで気合い入れて作ったのが見て取れるけど、だからといって不必要な機構やら部品やらがゴテゴテと追加されているわけではなく、部品数自体は少なく単純な設計である。
だって、他に追加すべきものなんて正直ないんだもん。でもこのリールが天下獲るようなことはなかったし、現代の中古市場でもC2なんて980円である。
樹脂製にすることによって軽さを追求したけど、その際に耐久性とかを犠牲にしたくなかったんだろうってのもみてとれる。既に書いた蓋を止める金属製雌ネジのほかにも、逆転防止の爪を受ける部分にアルミで補強が入れてあったりなんてのも地味なんだけど芸が細かくて感心する。写真の上2枚がそのへんなんだけど分かるだろうか?下が外したローター軸のギアの位置に爪が倒れ込んでいる状態。
写真3枚目はこれまた樹脂製のキャリアーで、こっちは樹脂の出っ張りで受けていて、キャリアーはより簡素化して軽さを追求した形になっているけど、マイクロ7Cシリーズはベアリングも2つの交差する軸にそれぞれ1個づつ入っててより長く使うことを想定しているようにみえる。
小型のリールでは単純で軽量なキャリアーの方が実用的なのかも知れないけど、マイクロ7Cの単純だけど丁寧な造り込みはさすが大森製作所と評価するべきだと思う。
唯一当時の流行の高級感溢れる?ウッドハンドルノブがC2の大きさになるとちょっとでかくて邪魔に感じるけど、使ってみて握りにくいとかなら他のリールともハンドル共有可能なので持ってくりゃ良いし、投げるときにハンドル回ってベールが勝手に返ってしまう不具合あれば、”ローターブレーキ”自作改造でも良いだろうし、あるいは内蹴りのベール返しのバネを外して”マニュアルベールリターン”にしてしまっても、今や左手でライン放出調整してベールを起こすのも、お作法通り右手人差し指でライン放出調整してハンドル回してベール返すのもインスプール修行の成果で問題なくできて、自在にどちらも選べるワシには死角はないのであった。
自分の中でシーバスに使うようなサイズのスピニングリールの最終完成形はどれかといえば、答えはPENNの4桁第3世代スピンフィッシャーで既に決着している。部品の入手しやすさとかも考えればこの答えは今後も変わることはないと思っている。もし変わるとしたら、どこかの大手メーカーが原点回帰で瞬間的な逆転防止機構を取っ払ってベアリングも1個から多くて3個にして単純な設計にしたスピニングを最新の技術で作って、今後の部品供給を10年単位で保証した場合ぐらいである。多分そんなことはあり得ないので私にとっては4桁スピンフィッシャーがスピニングリールの最終形だと思っている。
ただ、マイクロ7Cシリーズは、機能性能的には4桁スピンフィッシャーに勝るとも劣らない実力の持ち主だと現時点で評価せざるを得ない。人気薄で確保が難しい(送料掛かるけど海外のネットオークションで”SIGUMA”を狙う手はある)のと、そもそも大森製作所がなくなってしまったので部品確保とかは予備機を現物で手に入れるしかないのがつくづく惜しいと思う。
多分今時の回転性能とかが良いリールに慣れた世代の釣り人が評価すれば、4桁スピンフィッシャーよりマイクロ7Cシリーズに高得点付けるんじゃなかろうか?”日本のリール屋が日本の釣り人向けに作った実用機”って感じだと思う。
まあ実際に使って魚釣ってみないと釣り具の評価なんて本当の意味じゃできっこないので、せっかく入手できたこのリール、たまにPENNから浮気して使って実力のほどを確かめてみたい。
いまのところ魚掛けてないのでそのあたりなんとも言えないけど、投げて巻くのは問題なくハンドルノブも思ったほど邪魔じゃなくてこのままでいけそう。早く魚釣ってみたいけど、そろそろ気づくと梅雨も明けてテナガも終盤でハゼの時期だ。いま台風来てるけど風台風のような感じで濁りも期待薄で、次に使うのは移住先で秋以降かな。急ぐ話じゃなしボチボチ行きます。
輸出用のシグマ、メインシャフトの歪みで購入諦めて余計に症状が悪化、また別のを物色しはじめてウエダの竿と組み合わせて埼玉黄金セットで釣ってみたいって幻覚に捕らわれてます。
返信削除スピンフィッシャー700系でタックルの色の効果を書いてらっしゃいましたが、リールの場合はサウンドも影響が大きいと思っていて良い時代の大森はその辺最高でした。
初期のマイコンとタックルオートなんかトリップカムの前に銅板を使った簡易ローターブレーキありますが、C-7にもそれが付いていたら多少ハンドル重くても影響はないと思います。
ぬこさん こんばんは
削除メインシャフトはどうにもなりませんね。手に入らないと症状悪化しますよね。お大事に。
埼玉黄金セット言われるまで気付きませんでしたが、若い頃シーバス釣ってたのはウエダのトラウトプラッギングスピンにマイコン302TBでした。たしかに相性良かったと思います。
大森の音はサイレント切り替えがあっても”音だし”にしたくなる感じですよね。
あの銅板がローターブレーキの役割をしてるってのは知りませんでした。たしかにバネでソフトに押さえてるのである程度ブレーキになりますね。と思ってC1の取説読んだら部品名「ベール返しブレーキ」で投餌の際に返るのを防ぐ的な説明もありました。知らんかったの私だけか?単純だけど芸は細かい大森製作所のリール。
大森と組み合わせるウエダの竿、トラウトプラッギングスピンみたいな良い竿じゃなくて安くて古いスーパーパルサーなんですけどね。
削除大森同様これが良いって思わせるものがあります。
ちょうどマイコンが出たくらいの古いモデルで30数年前は「知ってる釣り人」の組み合わせのひとつでした。
大森のサウンド効果、ドラグサウンドだけじゃなくストッパーの音がスピンフィッシャーやアンバサダーのガチン!とやや鈍い音質ではなくマイコンなんかカチン!とクリアでたまらなく気持ちいいんです。
画像よくみると樹脂ボディでも雌螺に真鍮かましてあったり手抜きが見られないですね。
簡易ローターブレーキ装備している機種、同世代だとダイワの一部、ミッチェルの8枚ギア系、スピンフィッシャー700系の大型くらいしかないですよ
トラウトプラッギングスピンは確かに私らしくない良い竿ですね。なんで買ったんだったっけな?
削除音の話はなんとなく分かる気がします。よく4桁スピンフィッシャーがジギングの時やかましいって言う人が居たけど、私は逆にリズムよくしゃくれてるとカンッ、カンッと調子良いときの音がするのを気持ちよく感じてました。これは樹脂製の5500SSじゃいまいちで7500SSが最高だったと思います。
300gのジグ、水深150mでしゃくれとか言われてももうそんな体力無いので記憶の中にしかない音かもしれません。
こんばんは。
返信削除マイクロ7-C2、どうだったのかな~?と気にしてたところでした(笑)
色々な方向からの評価、面白いです。
金属製とカーボン製の大森リールの好み、評価は色々と分かれるところですか、私はカーボン製のリールの好きな所は、「ローターの軽さ」かな。
ルアーを投げて、着水、そして巻き出す時の軽さ、スムーズさが好きですね~
ハンドルノブに関しては、そのウッドノブですが、最初は嫌いでした(笑)
でも、実際フィールドで使い続けてみると、これまた手に馴染んでしっくり来るんてすよね~
不思議なリールです!(笑)
おはようございます
削除いろんな評価軸があって、かつ同じ評価軸でも人によって評価結果は変わりうる。そこに個性が生じる余地がアリ、多種多様な選択肢が生まれるということでしょうか。
究極の一台があり、それを釣り人みんなが使っているなんてクソみたいな状況になったら道具選ぶ楽しさがないですからね。
C2のウッドノブは見た目ちょっとダメ臭かったですが、使ってみると今のところ悪くないです。
アウトスプールのマイクロ7って外蹴り金属製のも樹脂製Cシリーズもデキの良さの割に全然評価されてないようで悲しくなっちゃう(しつこく書きますが980円)ので私が書くのが務めかなと今回書いてみました。