ペンチって今時の人は言わんのか?プライヤーってやつですね。ちょっと気になってしらべたら、プライヤーが大きなくくりで、ペンチはプライヤーのうち主に針金とかの金属挟んで曲げ伸ばしするようなタイプを言うらしい。っていう整理もあれば、開き方が大きくかつ変えられるようなのをプライヤーと限定的に言ってる場合もあるようで、まあそのへん気にせず、若い人はプライヤーと呼び、我らジ様はペンチと呼んでおけば良いのかなと。
魚釣りにおいても、ペンチは出番が結構あって、一番多いのが釣り場に持ち込んで魚の口からハリ外したり、ルアーのハリ交換でスプリットリング外したりするためのモノで、ワシも基本的にウエストポーチかリュックに一本ぶち込んである。最近はルアーのハリ外しとしては、シーバスに飲まれた場合と、カマスに飲まれた場合に用途が限られているので、前者では奥に突っ込めるのと、後者ではキツい歯になるべく触れたくないということから、ロングノーズのステンレスペンチを愛用している。これ、九州に転勤になるときにJOS師匠から、ライギョとか釣るなら便利だよといただいたもので、長年愛用していて、ライギョ用から紀伊半島標準装備に格上げしている。
これを使う前には紆余曲折があって、今までで一番気に入っていた、細身のスプリットリングプライヤーが、そこそこロングノーズでハリ外しにも好適、スプリットリングの交換が、細身で小型のスプリットリングでも無理なくスムーズ。定番のステンレスにクロムメッキではなくて、黒い鋼系のような見た目なんだけど、なぜか塩にも強く水洗いとたまにCRCぶっかけて拭いておく程度で錆びない耐腐食性と、ある種自分の中の理想のペンチだったんだけど、香港からの帰路、間違えて預け入れ荷物ではなく手荷物に入れてしまっていて、あえなく没収されてしまい、悲しいお別れを迎えてしまった。
その後は釣り場に持ち込むペンチは、安いのや拾ったのを使っていることが多かったけど、小さなスプリットリングの付け外しがやりやすいスプリットリングプライヤーは、釣り場持ち込み用と言うより、家でのハリ交換作業に無いと困るので新たに買うんだけど、どうにも香港の空港で失われたプライヤーを越えるものには出会えなかった。シーバスミノーに付いてるような大きさのスプリットリングを付け外しするのは、ごく普通に”スプリットリングプライヤー”という名目で売ってる商品なら問題なくこなせる。っていうか手で爪使ってもどうにかなる。大型のスプリットリングは逆にそれ用の先がL字型のでないと作業がしんどくて、
サンスイオリジナルの「ペラジックスプリットリングプライヤー」が文句なしの性能である。でも小型のメッキ用の3gのスプーンだの4センチのシンペンだののハリ交換でちっちゃいスプリットリングを扱うにはなかなか適したものがない。まずまったくダメなのが扱うスプリットリングが小さいからといって、単純にペンチのサイズまで小さくしてしまっているものは、はさみのように持ち手に指を突っ込む穴があったり、バネ使ってあって開いているのが基本姿勢のものならまだしも、ペンチに合わせて人間の手が小さくなるワケではないので使いにくい。アホかと。かつ小さいペンチは他の用途には使いにくいのもあまりよろしくない。家での小型スプリットリング交換専用と割り切ってしまえばバネで開いている方式とかありかなと買ったけど、小さいと握りにくてどうしても扱いにくいのでネットオークションに流してしまった。やっぱりそこは人の手にあった大きさの方が使いやすいように思う。使うとき小さいと写真下みたいに窮屈な握り方になり塩梅悪い。

わりと良かったのが写真右端バレーヒルの「スプリットリングプライヤーM」で極端に小さいものを除いて、5センチミノーに付いてるようなスプリットリングでも付け外し可能。ハリ外しとかの用途にも普通に使える。持ち手も大きく握りやすい。で、Mでこれなら「ss」っていう小型リング用の機種ならもっと小型リングは扱いやすいだろうと購入。写真真ん中。これがなぜかMよりプライヤーの先端が太くて小型リングに突っ込めなくて扱いにくい。先が細くてリングの穴に突っ込めるようじゃないと小型スプリットリング用としては使えない。駄目だコリャ。普通サイズのリングなら問題ないし全体の大きさもやや小ぶり程度なので、釣り場で使うには充分かもなので、欲しい人はメールください。送料負担いただければ差し上げます。もいっちょ、スミスのでも同じようなことをやらかしていて、Y君が使ってたスミスのが使いやすそうだったので買ったんだけど、意外とスミスから種類出ていて一番小さいのにも適合しそうなのを買ったけど、また先が太くてダメだった。無理矢理ダイヤモンドヤスリで削ったけど使い心地イマイチなので、ステンでサビに強く丈夫そうではあるので、青物用とかのルアーのやや大きいスプリットリング交換用に釣り場に持ち込む用として運用している。写真だと左。さっきも書いたけどシーバス用ルアーについてるぐらいの大きさのスプリットリングなら爪使ってフック交換できるけど、青物ルアーぐらいになってくると爪じゃ無理。下の写真は、右からバレーヒルのM、バレーヒルのSS、スミスの先端のところを比較した写真だけど、MよりSSの方が太いというか幅が広いというのは分かるだろうか?ちなみにスミスのは削ったあとなのでそこそこ細くなっている。
という中で、これは良いんじゃないだろうかと購入したのが、やっと小型スプリットリング用として満足する品だったのでご紹介したい。ヤリエ「スプリットリングプライヤー JP 13cm」で、金属むき出しの素っ気ない感じだけど、なかなかにやりよる感じで、先が細くて小さいスプリットリングにも突っ込めるのは当然として、開くと片方にくるっと起き上がってくっついてくるので作業がとてもしやすい。やや小型で華奢なので釣り場に持ち込むとかにはあまり向かないかもだけど、家で小型ルアーのハリ交換とかするのに限定して使用するなら、使いやすくて非常に良いと思う。
これでスプリットリングプライヤーについては、GT用ルアーに付いている下手なプライヤーで交換しようとすると指の皮がむけるような固くて大きいスプリットリングから、メッキ用3gスプーンに付いてる超小型に対応するものまで、使いやすいものが揃った。香港で失った一本は超小型用からシーバスルアー用サイズぐらいまでをカバーする汎用性の高いものだったけど、まあ汎用性高いゆえにちょっと細くて華奢とかの気になる点もあったので、フックの交換は釣り場で曲がるとかを除くと家で準備段階で必要になる作業なので、専門職的な3本で分業しても道具かさばるわけでなし問題ない。小型用にやっと納得いくものが手に入ったので、長らく悩んできたスプリットリングプライヤー問題は一応の解決を見てめでたしめでたしである。
で、ついでに我が家にはなんだりかんだり、各種ペンチのたぐいが色々ござる。まあこんなんあると便利ですよっって感じに、ついでなのでご紹介しておきたい。
まあ、このへんは標準的なペンチ、プライヤーというところだろうか。
上の方は細いいわゆるラジオペンチで先曲がりのやつ。以前はウエストポーチに入れてフック外したりに使ってた現場用だったけど、お役御免になってからは普通に部屋で針金細工やらフライフックのカエシを潰したりの用途に使っている。下の方が挟むものの厚さに応じて開く幅が変えられる狭義の”プライヤー”なんだろうけど、自転車修理セットに入ってたのでそのまま道具箱に入ってるけどあまり出番はない。ペンチ2本で金属板曲げたりするときにたまに使うぐらいか。
で、ゴツいのの軍団。左からF師匠にもらったバイスプライヤー、「maun industries」社製の
サイドカッタープライヤー、ワイヤカッター、スリーブプレッサー、って感じ。バイスプライヤーは便利だよといただいたけど、確かに色々と使いどころがあって重宝している。左下の摘まみを回して開き幅を調整できて、その開き幅で挟んだ時にカチッと強めに固定できて、外すときは右のハンドルの内側に見えているレバーを握ればこれまたカチッと開く。ルアーの色塗るときにアイを挟んで固定して塗るとかの塗装作業にも、PENNの花びら型ナットのようなちょうど良いスパナが無いときの簡易スパナとしても、その他にも挟む幅を固定して使えるというのは応用幅が広く、1個あると何かと捗る。左から2番目がサイドカッタープライヤー、隣の右から2番目がワイヤーカッターで、ロウニンアジのルアーをやるときに
ギブス社のルアーとかフックのアイの根元に切り込みを入れて隙間を空けてルアーのアイにねじ込んでから隙間を戻してあるんだけど、標準装備のフックは曲がるしそんなだしで不安なので交換したいんだけど、フックのアイをバチンと切るのに最初はワイヤーカッターでやってたんだけど、この大きさのワイヤーカッターでは太いフック切断しきれずにもっと大きいサイズのを使ってた。でもデカいと遠征時持ちこむの面倒くさいので悩んでたら、先輩がMAUN社のを教えてくれて、どういう仕組みだかしらないけど、握る力を25倍にするとかでフックも何とか切断可能。そしてものを挟む機能もプライヤーの歯が平行移動する仕組みで、しっかり挟む材料を保持して力強い。ちょいお値段したけど良い仕事してくれます。最後右端はスリーブプレッサーでワイヤーカッターも付いている。スリーブプレッサーっていうのは、結ぶのが難しいぐらい太いのナイロンハリスやらワイヤーやらを金属の筒を填めてガチャンと締め込んで接続部を作るためのペンチ。なので単線ワイヤーは厳しいかもだけど、縒り糸?のワイヤーぐらいはサクサク切れるワイヤーカッターが横に付いている。サメ狙いを真面目に考えてた頃にこれで仕掛け作ってた。
昔のサイトの方の記事に使い方事例とか出てくるので興味のある人は読んでちょうだい。
で、ワイヤーとか切るならニッパーもあるよって話で、左は通常の針金とかを切るためのニッパー。1本あると針金切るときはもちろん、古い竿のグリップやらシートをバリバリと破壊しながら引っぺがしたりする荒仕事にもつかえて何かと便利。
右の爪切り用のニッパーが実に使いやすい代物で、普通のナイロンラインやPEラインを切って仕掛けを作るときなんかには、これでだいたい切ってる。刃が鋭い分すぐに切れ味が悪くなるし、針金なんて切った日にゃ欠けてしまうぐらいに弱いけど、キレはよくPEが切りやすいのはじめ切れ味の良さは、通常の仕掛け作る時に使うラインやハリス程度なら何でもこいで、切れ味鈍くなってきたら研いで使っている。ハサミで良いじゃんと思うかもだけど、使い始めると切れ味と汎用性の高さで手放せなくなる。プラモデル用ニッパーとかが性能的には似てるかも。細かい作業も得意でもちろん爪も切れる。
最後は、特殊用途の職人的な3本。一番上の通称「エイリアンペンチ」は、昔からある歯の鋭い大型魚とかを釣る時のハリ外しの定番品。南の島に遠征にいくときとか、バラクーダとかヨコシマサワラとかサメあたりに手とかをガッと歯でやられたらその場で釣りの旅が終わりかねない剣呑な魚が想定されるので持ち込んでいた。最近出番ないけど、南の海がこっちにやってきつつある状況なので、出番またあるかも。
真ん中のは、針金細工用の片方が円錐形でもう片方はそれを覆うような形状になってるもので、ステンレス硬線とかでスピニングリールのベールスプリングを自作したり、ルアーの制作時のワイヤー貫通構造をグネグネッとやっつけたりするのにあると便利。ベールスプリングは結構作るの難しくて、いくつか失敗しながらデキの良いのを使う感じになる。右端のは余らせていた拾ったラジオペンチの先を尖らせてCクリップオープナーに改造してあるもので、オリムピックとかのスピニングのローターのベアリング押さえるのに使ってあったりする穴あきのCクリップ(写真真ん中左の囲み)の穴にペンチの先を突っ込んでキュッと縮めて外すのに作ったんだけど、先が細くて細かい部品を拾いやすいので、リール分解整備の時はバネだのネジだのコレで拾って所定の場所に填めたりと当初目的とちがうところでも重宝している。
とまあ、主に釣りのためであっても結構な種類を使っている。ガラパゴス島ではフィンチという鳥の仲間が、同じ祖先から、主に餌の違いで形状が異なるくちばしを進化させて別の種となっている。挟む対象が違えばくちばしの形が違ってくるし、挟むか切るか割るかとかでも違ってくる。ペンチとまったく同じような話だなと思ったりする。フィンチでも特殊な専門職もあれば、汎用性高くいろんな餌を食べる種まで多岐に分化しているけど、ペンチも用途や趣味、経済性ともろもろあって、いろんな種類が存在する。ペンチ一つとっても種々選ぶ楽しみ使いこなす喜びがあって、道具というもの全般に共通するのかもだけど、人間にとっては必要性を越えて良いオモチャだなと思うのである。