「カムイ伝」などで知られるマンガ家白土三平先生の訃報が。
89歳は大往生の部類かと思わなくもないが、これでカムイ伝シリーズも未完となった。まあ、わしゃアニメ化もされた「カムイ外伝」とかしか読んだことないけどな。
とはいえ、鮎の毛鉤釣りの時に、手元に近い方の毛鉤に魚が掛かったときに、取り込み時竿尻ではなくやや上に持ち替えて抜き上げてタモに収める技に、抜け忍カムイの必殺技の一つ「変移抜刀霞切り」から着想をもらって(=パクって)「変化抜竿霞捕り」と名付けたぐらいにはマンガもアニメも好きな作品である。忍者の必殺技って使ったら敵を”必ず殺す”から対策がとられない、っていう設定なんだけど、実は変移抜刀霞切りは原作マンガでは1回破られている、変移抜刀霞切り自体は短い直刀の忍者刀を背中側の帯に差しておいて、斬り合う際の相手の反応に合わせて、左右どちらか切れる方から切るという”後出しジャンケン”な抜刀法なんだけど、破ったのも抜け忍でその方法はまさしく「その手があったか!!」ていう感じで、気になった人は是非読んでみて欲しい。あと鶴にカムイが餌をやる話が子供心に泣けてきたのを妙に憶えている。
カムイの必殺技としてはもう一つ有名なのがあって、対戦格闘ゲームの愛好家ならそれと知らずに使っていたかも。イタチの仲間の小型種イイズナが自分より大きいヤマドリを襲い自らと共に空中から落として仕留める技に着想を得たとなっている技「飯綱落とし」は「ストリートファイターⅡ」でバルログの「イズナドロップ」の元ネタになってるほか忍者系のキャラクターの必殺技としてはもはや定番かと。簡単に説明すると空中や高所から決めるバックドロップで、そら死ぬわなという技。
まあ、貸本時代からマンガ描いてたようなマンガの神様の一人だから、色んなところに影響を与えてて当然なのかもしれないけど、もう一人の神であり比較の対象とされたりもする手塚治虫先生が「COM」っていう雑誌を創刊したのに対して、「原稿料は出ない」で有名なマニアックなマンガ家を多数輩出した「ガロ」の創刊に関わっていたというのもマンガ史に残すべき功績かなと。
あと、個人的には後年房総半島の漁師町に移住して、その地で自分で採ってきたりなんだりした食べ物を題材にした写真付きのエッセイなのかなんなのかなシリーズがあって「カムイの食卓」とかっていうんだけど、これが狸を解体するシーンとか、当時まだ”ジビエ”とか注目されてない頃でそういう知識ってほぼ書店で手に入る書物では書かれてなかったので、見付けたときには小躍りしたのを憶えている。秋のゴンズイが旨いというのもその本で知った知識。
色々とりとめもなく思い出されてくる、そういえばなんの作品だったか忘れたけど、漁師が弓角つくる材料に、エラそうなお侍さんの愛馬の足をぶった切って、その蹄で作るってのがあって、日頃虐げられている腹いせ感と”特別なモノ”を釣り具に求めたがる、釣り人の心理が良く出てて印象深かった。
これまたとりとめない記憶の断片だけど、昔のアニメのエンディングテーマって哀愁を帯びた名曲が多いんだけど「カムイ外伝」のそれも典型で、高橋葉介先生の「学校怪談」で九段先生がカラオケで熱唱していたし、庵野モヨコ先生の「監督不行届」ではモヨコ先生が「カムイ~♪」って鼻歌歌ってたら、どこからともなく夫である庵野秀明監督の「カムイー♪」っていうコーラスが聞こえてくるっていうほほ笑ましいネタがあった。
白土先生とのお別れの気分とも良く似合う旋律。先生永らく画業お疲れ様でした。ご冥福をお祈りします。合掌。
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