2024年10月12日土曜日

Ugly Stikは別腹

  この夏の”デカアメミノー熱波”以来、ルアーばっかり買いあさっていて、リールと竿方面の症状は治まっていたんだけど、また悪い病気が・・・アタイ病気がにくいッ!

 なに2本も買ってるねん?しかも片方グリップにシール貼ってあるってことは新品やろ?また円安の時になに海外通販やってるんや?って話を、れいによって説明させてください。お願いします。

 ワシの蔵にはロッドは林立していて、大概の状況には対応できるだけの備蓄がある。なぜそんなに備蓄しているかといえば、今時の高級な”お竿様”がとんと気にいらないし、今後もワシの気に入るような耐久性に優れた使える竿が作られることは期待できないので、予備竿含めて使える竿で必要になりそうな竿は確保しているのである。おかげで今期”根魚クランク”という新しい試みを始めたときにも、道具はあれこれ比較して試していけるぐらいには備蓄はあった。

 で、そんな「備えよ常に」とボーイスカウト時代から心得ているワシなんだけど、安い出物があったらとりあえず押さえることにしている竿があって、それが”世界一の安竿”シェイクスピアブランドのアグリースティックなのである。なにしろ丈夫でワシ好み。感度?飛距離?軽さ?そんなもんがたいして役に立つかよ、想定もしていないような大物が掛かった時に、とにかく折れずにしのぎきれる丈夫さ、手になじむまでガイドやら取っ替えつつ徹底的に使い込める耐久性、竿先はグデグデのグラスソリッドでもバットはカーボンでパワーがあり一本でこなせる仕事の幅広さがある、釣り場に持ち出して魚を掛けて使い込んでこそ良さが分かるこの一ッ本(現在10本保有してるがな)。世界中で「竿なんぞ折れんで長持ちすりゃ上等」という労働者階級の釣り人達に愛されまくっているロングセラーシリーズ。日本では一部好き者しか評価していないのは、日本の標準的な釣り人が、お部屋で天井に竿先あてて美しいベントカーブとか堪能してるだけの腰抜けどもだからである。アグリースティックのベントカーブはすごいぞ、”しの字”に曲がる様はまさにアグリー(醜い)って感じで美しさにはほど遠いけど、それが好き者にはたまらんのですよ。とりあえず安けりゃ買っといて備蓄してりゃぁそのうち出番も回ってくるし、なんならブランクスだけ利用して切ったり継いだりで欲しい機能の竿に再構築してやるって手もあってその素材としても優良。

 でもって、なに新品臭いやつまで買ってるねんって話だけど、これ新品じゃなくて、この状態で中古釣具屋のネット販売で売られてたんです。しかも、2本とも安い!二千円台で送料入れても5千円ちょい。元値がそもそも安くて50ドル弱だとしても、今日日海外通販で買うと長物の送料なんて恐ろしいことになる。となると、ここであったが百年目でもう買うしかワシに選択肢はのこされていなかった。グリップのビニール剥がしてないぐらいで使用感も少なく程度も良いのになぜにクソ安いのか、それは黄色いお店独特の「店員さんに商品知識がなくて変な値段が付いてることがある」って典型で、アグリースティックのソリッドグラスを見せびらかすためにわざと竿先の方に塗装をしていないのを「トップから#1ガイド下部まで塗装がはがされているためB-です。」と査定していて笑いましたよワシ。そういう仕様だっちゅうの。ありがとうございますって話だけど、よく考えると黄色いお店は買うときもそのB-の査定で買い取ってるんだろうから損はしてなくて、どうも俯瞰してみると、損したのは売った人で得をしたのはワシということのようだ。どこのどなたか存じませんがあざっス。たぶん海外通販で手に入れたは良いけど、重いしダルダルな調子で馴染めんしで早々に手放したことは想像に難くない。だってワシも最初に買ったときそう思ったもん。でも使ってるうちに良さが分かってくるのである。手放してしまった人は実に惜しいことをしたと思う。

 というわけで我が家においでなすったんだけど、これ備蓄用じゃなくて使用を想定してます。当然いま絶賛試行錯誤中の根魚クランク用で、まあ40、50ぐらいまでの根魚なら、ベイトのバスロッドでグリグリとやればどうにかなるような目処が立ち、今使ってるウエダの「Pro4ピッチンスティック7F2」は良いあんばいで、この竿は東北のボート根魚用に買ったんだけど、ウエダが解散した頃にネットオークションに流れてた竿で1万円ぐらいだったので、定価考えると安い値段で確保できて、さすがウエダの竿はお高くとまってやがるけど良い竿だと感心したのでもう一本確保したという竿で、2本持ってるので予備竿には困らないはずなんだけど、東北に行くたびにロッドケース持って移動するのは面倒くさかったので、1本は”釣りの上手い人”のお兄さんの家に置き竿にしてある。ので我が家には今1本しか無い。無いと予備が欲しくなるのが病人の病人たるところで、フェンウィック「ランカーギアX LGX66CM-2」もバスプロショップス「マイクロライトIM6グラファイト ML60MC-4」もあるヤンコビッチって話だけど、もうチョイとパワーのあるのが良いなとウエダを持ち出したわけで、ウエダの予備としてはややパワー不足。ということで急がないけど予備竿は探していたところにタイミング良く(悪く)出て来たのが、黒い方の「アグリースティックGX2 USCA662MH」で、今シーバスで使ってる「アグリースティックエリート」シリーズと同一ブランクスでグリップがEVAでやや安いほうの「GX2」シリーズのミディアムヘビー、ライン指定が15~25LBの6フィート半の2ピース。ウエダよりチョイ短くてパワーがある感じで、純粋な予備竿というよりは若干パワーアップさせた感じになってるけどあんま気にしない。で、もいっちょの白い竿が「アグリースティックキャットフィッシュ」シリーズという、やる気のあるナマズのイラストからしてワシの好みをピンポイントで突いてくる竿で元々欲しかったけど、不要不急だしなと手を出さずに済ませていたのに思わず手が出た。「アグリースティックキャットフィッシュUSCACAT802MH」はライン指定は15~30LBでルアーは3オンスまでいけるとある剛竿、って現物触るとスペックから感じるほどガチムチではなくて、ジジイでも扱えそうな適度なネッチョリ具合が良い感じ。2ozクラスのマグナムディープクランクぶん投げて片膝ついて竿半分ぐらい海中に突っ込んでグリグリと岸壁ニーリングするには良いあんばいかも。こいつは目的考えず買ってしまったけど、期せずしてフェンウィック「ランカーギアプラスLP89CH-2J」の予備竿として機能してくれそう。バットエンドがジンバル対応で十字切ってあるんだけど、キャップなどというこじゃれたモノはつていおらず、十字切ったバットエンド自体が丸っこくゴムっぽい素材でできているという”こんなんでいいだろ”感が素敵。

 で、90年代のFujiのハードガイドが付いてた時代を除いて、アグリースティックの最大の欠点はガイドがショボいということで、すぐに壊れる道具を評価しない米国で売ってるのに、なぜか削れる「アグリータフガイド」がいまだに採用されている。

 モノとしてはどう見てもステンレスにクロームメッキをかけただけって代物である。ただ、ステンレスに硬質クロームメッキって今でもフライロッドのスネークガイドには普通に採用されているし、見た目ほど弱くもないし実用十分な強度は確保できるらしいのである。

 過去にも引用させてもらったけど、Fujiの創業者である大村隆一氏著「ロッドクラフト」の該当箇所を抜粋すると「ハードクロームリング ステンレス製のワイヤーリングはキズが付きやすいため、超硬質のハードククローム(原文まま)をメッキしたものが開発されました。しかし、このハードクロームは生産コストが非常に高いにもかかわらず、見た目には、普通のクロームメッキと全く区別がつかないため、過とう競争による品質の低下が行われ、その性質も普通のクロームメッキと変わらないものとなってしまいました。すなわち、ハードクロームにおいては良質の品質を維持することは不可能に近く、この種のガイドは消滅を余儀なくさせられた訳です。」とあって、大村氏の昔には硬質クロームメッキは難しかったけど、今ではそうでもなくて、実は見た目ショボいアグリータフガイドも実用性充分の品質に仕上がってるのではないか?と思って、現在シーバス用に使ってる「アグリースティックエリートUSESP702M」は購入時にそのままガイド換装なしに使ってみた。現在その竿にはFujiのOリング(酸化アルミ系)とSICリングのガイドが付いている。釣行数回で糸溝ついて削れたやんけ!やはり大村氏のご指摘どおりで、良質の品質を維持することが難しかったようである。ちゃんと品質管理しておけよって話で、技術力的には中国とかの外注先は充分できる能力あるんだろうからなんとかしてくれプリーズ。でも一応今回も現在中古状態で削れていないということに一縷の望みを託して、最初はそのまま使ってみる。SICガイドの”割れ”のように発生した時点でラインがグザグザにされるので即時使用不能になる不具合と違って、糸溝ついて削れていくのは削れ始めたのに気がついてから対処すれば間に合うので、とりあえず様子見である。

 最近、我が国も景気悪くて、お高いガイドの付いた竿は売れんようになってきてっていうか、釣り具自体売れんくなってるんだろうと思うけど、国内ブランドの竿でもSICやトルザイトのリングじゃなくてアルコナイトっていう酸化アルミ系の安いリングのガイドが付いた竿が売られ始めたようで、例によって、ガイドが削れるのを心配せにゃならんほど魚釣らんような人種が「削れる」とか騒いでるけど、Oリングより性能上がってるらしい酸化アルミ系のセラミック素材がそう易々と削れるかよって話で、酸化アルミ系のリングが削れるような過酷な使用条件ならSICも削れるって話で、削れるのがいやならローラーガイドにでもしておけって話。アホクサ。編み糸のPEラインが泥とか砂とかの粒子を拾いやすいので砂浜や濁った水域でPEラインつかうと削れることがあるといわれてて、砂浜で使ってて削れた事例は聞いたことある。けどそんなのは珍しい事例で、ワシ泥っぽいクリークでPEライン使ってライギョ釣りしてたけど、マスキーロッドに付いてた酸化アルミ系のハードリングもトップガイドの謎金属ガイドも削れんかったので気にしてない。

 まあ、ワシには関係ない話でございます。ワシにとっては自分の竿のアグリータフガイドが削れるかどうか、それこそが問題でありゆゆしき事態なので、今のところ一回出撃時点では大丈夫だけど、巻くときにラインが結構張ってるディープクランク引きまくりの釣りで継続使用するとどうなるのか、自分の目で確かめておきたい。

 たとえ、結果”ガイド総取っ替え”というめんどくせぇ作業が生じたとしても、今時の高級ロッド様では逆立ちしても手に入らない信頼性のある竿が2本も格安で手に入ったので現時点で大いに満足である。蔵に竿が林立していても、アグリースティックならペロッと”おかわり”いけてしまうワシなのであった。

2024年10月5日土曜日

パワーこそ力!

 その方向にはろくでもない結果しか待っていないことはうすうす知ってはいる。

 まだ魚の大きさの上限がしれているなら、最大火力で殲滅するかのような力押しは通用するだろう。カムルチー狙いでガチガチの竿で藻の中潜り込ませず勝負を決めるってのは戦略として取りえる。あいつらデカくてもメーターちょいだろ?

 ところが海の魚の場合、魚の上限はそれこそホホジロザメでも狙えばトン超えてくるし、カジキやマグロの大型も力勝負で勝てる相手ではないのは明白。それらは沖の何も無いところで掛けることができるから、力勝負で最初から止めようとするのではなく、ドラグ鳴らして超持久戦という戦略がおそらく正解だろうことにはあまり異論はないだろう。

 ただ、ハタだのクエだのの類いの大型の根魚の場合はどうか、根に潜られたらそこでサヨウナラ終了なので、根までの短距離で止めざるをえない。えないけど魚が10キロ超えたらもう手持ちの竿で力勝負で止めるのは難しくなってくる。そうなってきて昔の磯の底モノ師が陥ったように、より強力な道具でより強い道糸でってやり始めると、速攻で一番大事な道具である”人体”が制限要因になって手詰まりになる。手詰まりになってるのに強引にその方向に突き進んだ先には、竿を磯の岩に打ったピトン(杭)やらロープやらでガチガチに固定して、リールのドラグもトンカチでドついて締めて、魚が食ったら魚の引きは磯の岩に任せて、魚が弱ったらリールを巻く作業だけ頑張るっていう「それ本当に楽しいのか?」っていう、IGFAのルールとか堅苦しいものを持ち出すまでもなく、それで”釣ったこと”になるんかいな?っていう疑問がつきまとう有様が到達点で、真面目にやってた人には失礼な物言いでもうしわけないけど、ワシャそりゃちょっと違うようねって思ってしまう。

 じゃあどうするか?達人級は手持ちの道具で磯の上からでも、立ち位置変えて根に潜られない方向から引っ張ったり、わざと広い方に行くように緩めて誘導したり、ありとあらゆる技術・戦略を駆使して釣るようである。あるけど、魚の引きを磯の岩に任せてゴリゴリ巻いて釣るより格段に難しくてあたりまえで、当然大きな魚は釣るのが難しいだろう。でも難しくて揚がらん大きさの魚はいて当然で、それを揚げたいからといって”釣り”かどうかもよく分からんくなるような方法に頼ってどうするっていう話で、何やってもいいんなら磯にウインチ固定して、発電機持ち込んでワイヤーで引き上げるとか、そこまで行くとさすがに釣りじゃないだろって感じが強くなるけど、なんか竿とリールを使ってさえいれば”釣り”だってやってると、行き着く先がわけわからんつまらないことになる。どこに線引きするかは個人の自由だけど、ワシャ文豪ヘミングウェイが仰ったらしい「立ってようが椅子に座ってようがどうでもいいけど、釣りというのは魚の引きのすべてを自分の体で受け止めなければならない。」っていうのに賛成である。

 とはいえ、今やってる根魚クランクで、バスロッドでも16LBナイロン巻いたベイトリールでグリグリやってて40センチ級ぐらいまではなんとかなることが分かってきた。障害物に突っ込まれるのは、今のところリーダーを長く太くして多少引っかかった場合とかは立ち位置変えて外しに行ったりして対応できるようになってきた。船とかなら、底を切ってしまえばあとは根に潜られることは少ないんだろうけど、陸っぱりで魚を掛けてから引っ張ってくる途中には、当然底には蛎殻生えた石ぐらい転がってるだろうし、護岸際とか護岸の凸凹とか潜り込む隙間もあるだろう、って感じで、止めたとしても魚は向こうに行けなくなってるだけで、下にも横にもなんなら上にも行けるのである。上にはシーバスでもなければ行かんとしてもだ。となると力勝負でなるべく魚の頭をこっちに向けっぱなしにして寄り道させずに寄せきるっていうのも手としてはあるんじゃないか?っていうのと、もう一つには今まだ40~50センチ級ぐらいしか掛けてないから良いようなものの、餌では60センチ級も釣れているのを見ているので、それが今のバスロッドでどうにかなるのか、さらに大きい”想定外”の魚も低い確率ではあるけど掛かってしまうと想定しておくべきなのが海の釣りであり、そういう大魚を釣るために自分の扱える最大火力の武器を試し撃ちぐらいはしておくべきだろうと思い、よく「パワーこそ力!」と小馬鹿にはしているけど、真面目に考えて準備してみた。

 まあ、ベイトリールで利き手でグリグリ巻くのが前提としてあるので、そういう用途ならジギングタックルかライギョタックルで、ジギングタックルはルアー投げるのを想定してないことが多いうえに、我が家にはジギングタックルはスピニングしかないので、消去法でライギョタックルとなる。いうても我が家のライギョタックルは左手サミング用に魔改造を施されたのやら、2ピースのマスキーロッドとかけったいな竿ばかりではあるけど、堅さと取り回しの良さからバスプロショップス「PMX66MHT-2」という6.5fの、マスキーロッドとしてはまだおとなしめの竿を選んだ。もう一本のデカいジャークベイト用のマスキーロッドは今使ったら手首が死にそうなカッチカチの棒である。竿がある程度以上堅い、そしてドラグはきつめとなるとラインの太さがある程度太くなる。デカいの想定で力勝負の引っ張り合いを考えているからPEの方が向いているんだけど、引っ張り強度だけなら4号もあれば足りる。けど、伸びないPEラインは瞬間的な力のかかり方に弱く、ロウニンアジ釣りで練習では問題なかった5号PEがアドレナリン全開で筋力制限解除状態の釣り場でバッチンバッチン切れて泣いたことがある。国内だったので6号買って巻き直した。っていうぐらいで”アワセ切れ”対策を考えると6号は欲しいところで、ライギョ釣りの時には、PEラインは高価でおいそれと巻き替えられないので、余裕を持って8号にしていた。毛羽立ったら先の方を切ってワンシーズンぐらい使い倒す。歯ズレ対策に先っちょには両端抜けない輪っか状にしたケブラーノット15号(ザイロンノットというのが後継品「ザイロンX」という紛らわしい品は輪っか作れないので注意)ぐらいをメインラインにビミニツイストで輪っか作って4回回しのループトゥーループっていう当時のラインがそのまま巻いてあるリールが2台残ってたので、そのうちの”釣りの上手い人”が使ってた当時バレーヒル扱いだったゼブコ「クァンタム1430MG」というのが本体樹脂製で塩水で使うにはちょうど良いかなということで、今回整備して投入してみた。

 でもって基本釣りの上手い人が、丸アブは手が小さいので使いづらいというので、非丸型のでライギョ釣りに使えそうなのをテキトーに見繕って買っただけなので、あんまり興味もなく注油ぐらいで使いっ放しで今回初めて分解整備である。

 なんかハンドル回りを取っ払っても本体蓋のネジが片方は注油窓のネジで実質1個しかなく、やや途方にくれかける。ベイトはABUぐらいしかいじったことがないので勝手が分からん。

 そういえばこいつ新品で買ったから箱と取説あるはずだな、と蔵を捜索して釣りの上手い人のライギョ用必殺ルアーのゼタベイト「スワンプラット」を入れてあったのを発見。取説見てメインギア入ってない方の蓋は手で外してスプール交換とかしやすいようになってたなと思い出して外していく。

 ブレーキは遠心ブレーキで、スプールに付いてる黒い円盤ユニットから出てる白い突起を出し入れしてブレーキの効きを変えられるようだけど、初期状態で普通に投げられたので、いじったことがないし今回もいじらない。蓋側のブレーキの当たる金属の輪っかの下に平行巻(レベルワインダー)を動かす歯車が入ってて、このリールはレベルワインダー連動式。ついでにスプールに軸が固定されている方式。

 メインギアのほうの蓋を開けるネジは、シャフトを貫通しているのがレベルワインダーの上下に2本と、スプールの下に1つあって、そいつらを抜くと無事パカッと開けることができる。

 パカッと開けて、蓋の方にワンウェイクラッチが見えているように、こいつは瞬間的逆転防止機構が付いてしまっている。まあベイトだしそんなに気にならんのと、丸アブとかに入ってるのと比べるとワンウェイクラッチも、それが押さえるスリーブもゴツめで丈夫そうではある。

 ドラグは、謎の樹脂製パッド1枚のABUでもよく見られる方式。ただドラグパッドを押さえる小判穴の金属ワッシャーが分厚い。この辺はドラグの安定作動には曲がらない十分な厚さのあるワッシャーが重要って考えているようで、PENNスピンフィッシャー小型機の1枚パッドドラグとも共通する設計思想のようで、ドラグを使う釣り人の国のリールって感じがして好感が持てる。実際ドラグ性能は悪くない。

 中のグリスは悪くなってないようだったけど、拭き取って金属面はすべからくグリスで濡れているように、今回はPENN純正グリスで仕上げた。

 若干残念だったのは、せっかく工具いらずでパカッとブレーキ側の蓋を開けて注油とかスプール交換とかできるようになってるのに、汚れやすいレベルワインダーのグルグル棒を外すのには、ギア側の本体蓋を外してEクリップを外さねばならず面倒くさい。まあ、しばらく放置でいけるようにグリス多めに塗ってからオイル注しておいた。樹脂本体で軽くは作ってるんだろうけど、全体的に丈夫には作られているようで実用的なリールだなと思ったけど、正直スピニングほどベイトは数触ってないので分解整備した程度ではイマイチ評価しきれない。

 じゃあ、釣り場に持ち出してどうだったのか?というと、1回使っただけなので長期運用はまた別の話だけど、とりあえずは投げて巻いて快適に釣りができて文句はない。

 文句はないんだけどリール単体ではなく、堅い竿と太くて強い糸と組み合わせると、通常の道具立てなら問題ないような”ルアーや接続具の強度”が問題になってきてちょっと悩ましい。根元細く絞った長いリップの「ダウンディープラトリンフラットラップ7」のリップが草むら釣ったときに竿あおったらあっさり折れた。そういえばライギョ釣りの時にも接続具はクロスロックのスナップとかアワセ一発でミョーンと伸びてただの針金に帰り、ウィードレススプーンのフックがこれまたミョーンと伸びたりもした。伸びない強いPEラインで堅い竿、締めたドラグだと想像以上の力が瞬間的に掛かることになり、どこか弱いところがあるとそこから綻びが生じる。ルアーが壊れるならまだましな方で、下手すると体が壊れかねない。ドラグは強め設定にはするんだけど締めすぎるのは危険だと思う。接続具は細い針金を折り曲げて引っかけた”構造”で引っ張り強度を持たせているようなスナップではなく、針金自体が元から太くて曲がりにくいハワイアンフックやスプリットリングの変形版みたいなのを使うべき。ルアーはリップが差し込み式のラパラ系やらバグリー系は避けて、ゴン太の一体成形リップが付いてるのを選ぶ必要がある。あと、ラインが太いとどうしてもルアーの潜行深度に影響がでてきて潜りにくくなる。これはより潜る大きなクランクベイトを使うとかで対応は可能だろう。

 という感じでいちおう試し撃ちして感触は掴んでみたので、必要とあらばいつでも繰り出せるようにはしたけれど、ちょっと”強すぎる”のも扱いにくいなというのが正直なところで、当面はバスロッドメインで行こうかなと思っちょります。まあ奥の手ということで切る手札として持っておく感じ。こいつらの出番があればそれはそれで胸躍る展開ではあるので、そういう未来もうっすら期待しておこう。


<おまけ>ダメ元で確認してみた、ABU「アンバサダーブラックマックス」と同「アンバサダーMAX」のスプール互換性。ばっちりありました。どうもブラックマックスような”スプール固定するスイッチ”がある機種が先にあって、その後に出た簡略版が無印MAXのようで、フレームにスプール固定スイッチ用の穴が開いていて、スプールをピニオンギアに固定する金具はスプール固定用の歯車と一体形のものになっているのをそのまま使い回している。ということで予備スプール体制が組めることになって、戦闘力爆上がりなのであった。ブラックマックス活躍してくれているし、つくづく良い買い物だった。