2024年10月26日土曜日

蔵に転がってたデカミノー

 30センチほどもあるキチガイじみた大きさのクリークチャブ「ジョインテッドパイキー」は、ロシアにタイメンでも釣りに行くなら必要だよなと買ってあった。

 ミローのトローリング用ミノー「108MR」「107MR」はなぜかネットフリマで見つけたときにマウスが滑った。

 グデブロッド「スーパーマーベリック」においては、どこでどうやって入手したのか記憶にございません。

 というわけで、ルアー図鑑うすしお味第72弾はなぜか蔵に転がってたデカアメミノーでいってみましょう。

 クリークチャブっていったら、なんといっても世界記録を釣ったとされてたりされてなかったりする「ウイグルフィッシュ」が有名かもだけど、我が家の蔵にはそんな高価な代物は転がってない。でも「パイキー」は結構転がってて古いジャンクの再塗装とかも過去にやっている。で、写真一番上のデカブツなんだけど30センチくらいはあって、いにしえの時代にトローリング用かなんかで存在したらしい大きさのを2000年代ぐらいに復刻したもので、お尻の針金の玉で処理してる感じとか、そのころに流行ったでっかいヘドンの「マグナムザラスプーク」とかと同じ工場で作られたんじゃないかと思う。ちなみに世界の工場中国製。とにかくデカいしリグは海で使っても問題ない貫通ワイヤー方式で丈夫だしで、ジョイントじゃない小さい方(いうても20センチぐらいあるがな)とともに、2mの巨大タイメンを狙うならこのボリューム感が必要だろう!と息巻いてロシア釣行の予定もないのにガサゴソと買ってしまった代物である。7インチ17.5センチ級のミノーは今後海水温上昇に伴う”紀伊半島南の海化”に伴い出番あると期待しているけど、さすがに30センチもあるようなミノーに今後出番あるんだろうかは疑わしい。ちなみにこのデカパイキーは国内に正規では入ってきていないのでレアものといえばレアもので、いくつかまとめ買いしてるし、お好きな人に高値で売れないかとか考えるけど、クリチャブものは国内では不当に人気ないし売れんのだろうな。マグナムザラスプークとか一時価格暴騰してて、そっちをなぜまとめ買いしておかなかったのか悔しくてならんかった。1個買ったけど使って目玉剥げてしまってて自分で使うしかない。当時はネタ扱いで普通にルアーコーナーで売っててちょっと高いけど話の種にと買いはしたけど、何が値段高くなるかなんてわからんもんである。話ずれたけどCCBC(クリークチャブベイトカンパニー)ものは日本じゃマイナーであんまり馴染みがないかもしれんくて、ワシも初めて手にしたのはシイラに使おうと思って購入した「ストライパーストライク」で釣り場で投げたらブクブク沈むシンキングポッパーで当時は使い方知らんかったので途方に暮れてその後放置したっていうぐらいのモノである。バス用としてはパイキーシリーズの他にダブルスイッシャーの「インジャードミノー」、そのものずばりな名前の「ダーター」、ポッパーの「プランカー」あたりが国内には入ってきてたようだ。個人的にはリップが掻いた水が背中の穴からクジラの潮吹きみたいに吹き出るらしい「ジガー」が面白いと思ったけど、コレクターズアイテムで手が出るような金額ではないので入手は断念している。樹脂で勝手に復刻した代物があるようだけど権利関係でどっかともめたようで、そういう品はちょっと買うのがためらわれる。という感じでよほどのマニアでないと日本じゃあんまり話題にもならないけど、パイキーは良いミノーだと思っちょります。デカブツはさすがにノタノタと鈍重な動きにしかならんのは想像どおりで求めているモノがデカさのアピール力なのでまあ良いんだけど、普通の大きさのはグワングワンに振り幅の大きいロール少なめの横振りで他にあんまり類を見ない感じ。アピール力すごくある。タイガーのロールを無くしてその分横に振らせたような感じ。ここのルアーはラージマウスバスを始め記録ハンターで、パイキーもパイクの世界記録出してたし、ストライパーストライキングもストライパーの世界記録出してたはず。日本じゃマイナーだけど本国アメリカでは深い沼に沈むマニア多数の超人気ルアーである。円も安いし海外に売れんかな?とかやくたいもないことも考えてしまう。まあ面白いブツなので蔵に転がしておけば良いか。

 ミローもまた、国内じゃややマイナー味の染みた渋いメーカーで、その昔は社名も「L&S」って名で、日本で唯一人気と言って良いダブルスイッシャーの「サーフェススピナー」も「ダブルスキャット」の名前で出てました(源氏名は「5M」「コーリングアップ」「Aプロップ」とか変遷あり)。あとは「ジョイントポッパー」とか「トップドック」「トリプルアクション」なんかも水面系のバスマンなら馴染みあるかも。でも、ここの得意は本来塩水系で、地元フロリダではターポンなんかをスローシンキングのバイブレーションプラグ「TT」シリーズとかでやっつけてるし、今時だと水中ドックウォークさせて使う”トィッチングベイト”的なシンキングペンシル?も得意としている。で、写真左上の「108MR」「107MR」は見たまんまCDマグみたいなトローリング用ミノーで7インチ級。両者で何が違うのかというとリップの大きさがちょっと違う。 

 ここのルアーはこういう細かい違いのが多くて、極端な例になると体側の黒点のあるなしぐらいしかどうにも違いが分からんのが別の名前になってたりする。で、まともな名前が愛称的についてるのもあるけど、基本は数字とアルファベットの機械的な略称で名付けられていて独特。ミノー自体はキャスティング用の「スイマー」とか「バスマスター」とか投げて釣る用の大きさのも作られているけど、独特なのは命名方法だけでなく、以前も書いたけど樹脂本体の内側に金属膜が配置されていて、樹脂越しにヌメッと良い感じに輝きを放つのである。バイブレーションプラグはそれなりに買って東京湾とかで投げたけどイマイチ成績振るわず。今後はデカミノーとついでにデカいペンシル「101MR」で青物釣ってみたいと思ってる。青物狙いは魚回ってくるかどうかの一ッ発勝負なので、投げ続けるためにこういう”楽しめる”ルアーの存在は意外に重要だと思っている。

 で、お次のグデブロッドも樹脂本体の内側に金属膜が配置されているのが特徴で、経典で則さんたちが紹介していた「マーベリック」「トラブルメーカー」は特に有名。ほかにも水面系なら「ブラバーマウス」「シナースピナー」なんかもあるし、古くは我が国第一次ルアーブームの頃、銀山湖なんかで開高先生も使ってた「バンプNグラインド」なんてのもある。あるけど、ロッドビルディングをたしなむ人間ならグデブロッドといったら、ガイドを巻き留めるためのラッピングスレッドの最大手で昔はどこの竿メーカーも使ってて趣味で巻く人も皆お世話になっていた。「あそこの竿には●△番」とか色指定が決まってて良かったんだけど、グデブロッドがスレッド作らなくなるというのを聞いたときには、そのあたりがわからんようになる云々以前に、どっか他にスレッド作ってるメーカーなんてあるのか?と界隈ザワついたものである。まあなんとかなってるんだけどワシャそれを機にラッピングスレッドは漢らしい太さもそろってる「イカリ印」の補修糸を愛用している(「漢らしい太さ」とか書くと今時、性差別とセクハラとで小突き回されるかもしれんが俺は好きに書くぜ)。

 でもって、スーパーマーベリック。たぶんどっか中古屋で見つけて、カラーが特徴だと書いた内側金属膜ではなくて、コットンコーデル社のルアーみたいな”練り”系の樹脂でできてて、大きさもふざけているし、マーベリックの形だけまねたパチモンだろうなと思いつつも面白がって確保したんだと思うけど、後にネットでこのルアーの記事を見つけて、ちゃんとした本家の製品だったと知って驚いたものである。見るからに浮力強くて暴れそうで期待しちゃうんだけど、1個しか持ってないしわりとレアキャラらしいので補充もできそうにないので、実戦投入なしで観賞用だな。グデブロッドの最大ミノーはこいつで間違いないと思うんだけど、グデブロッドのミノー?としてはトラブルメーカーに金属リップ付けたような「バスピリン」ってマイナーなのがあるので、その巨大版「スーパーバスピリン」とかは、ないよね、まさかね。

 って感じで、デカアメミノーシリーズ的には第3弾いってみました。次あたりから沼にハマりまくってるので引き続きお楽しみに。

2024年10月19日土曜日

米国製ミノープラグって言ったら、まずはこのあたりでしょう

左四天王、右通常?サイズ
 このあたりはルアーマンなら誰でも知ってるだろうし、古くからシーバスやってる爺様たちなら実際に使ってたっていう人もいるかもしれない。

 ワシ的にデカアメミノー四天王を選ぶなら、ボーマー「ロングA17A」17.5cm、、レーベル「ミノー7インチ」17.5cm、コットンコーデル「レッドフィンC10」17.5cm、バグリー「バンゴー7インチ」17.5cm(長さは目安程度で見ておいてください)だろうと思う。まあ、バス釣りでも実績のあるミノーのソルト用、あるいはパイク・マスキー用の大型のモノなので、釣れて当たりまえのラインナップ。

 ワシ的には、デカい餌、たとえばボラとかコノシロとかを食ってるシーバス用にというのが念頭にまずあり、次に海外遠征で頼りになるのはこのあたりの”世界基準”のルアー達だろうということで備蓄していたのが大半で、最近の海水温上昇対策の流れて購入していたモノもある。

 デカい餌食ってるシーバスがデカいルアーで釣れるっていうのは楽しみ方として面白いかもだけど、実は14センチとかそこまで大きくないミノーでも食ってくることが多い、とか身も蓋もない事実はあるけれど、いずれにせよ、デカいミノーをということを考えたときに頼りになるのは、北欧系のラパラマグナムとかもあるけど、アメルアならこの辺だろうと思っている。レーベル、バンゴーはカタログ落ちでやや入手難だけど、レッドフィンC10は最近再生産もされ、歴史あるルアーで製造されていた期間も長いので中古の弾数的にはそれなりにあるので、今でも入手は十分可能だろう。いわんやおや、現役モデルのロングA17Aをや、って感じでロングAの7インチ(約17.5センチ)サイズは、今でも現役で世界中で投げられている、このクラスのミノーの世界的標準機だろうと思う。

 ボーマーというメーカーは今はプラドコ傘下の「ボーマー」と「ソルトウォーターグレードボーマー」の2ブランドになっているけど、古くは爆弾形の金属リップのディープダイバーで身を起こし、フレッド・ヤング氏が「ビックO」で火を付けたアルファベット戦争に参戦し数々の記録を打ち立ててその地位を確固とした名作クランクベイト「モデルA」と、その派生だと思う「ロングA」シリーズで確固たる地位を築いた。ロングAはツーテンの虎ファンさんいわく「ロングAは細長めのクランクベイトや」というのが的を射ていた表現だと思う。太めでキビキビよく暴れてよく釣れるジャークベイトとして米国ではスミスウィック「ログ」派と2分する人気を誇るミノーとなった。ミノーだったりライブリーだったり、クランクベイトだったりジャークベイトだったりという呼び名は、使い方によるというか好みによる整理の仕方でしかなく、雑にミノーと捉えておけば良いんだろうと思っているけど、ロングAはライブリーとして水面ちょんちょんで魚を誘うこともできれば、竿でビュッとメリハリ付けてやればジャークもこなし、グリグリ早めのストップ&ゴーとかでブリブリとしてメリハリのある動きの強さで食わせるならラトル音響かせてクランクの仕事もこなし、ただ巻きでよたよたとシーバスミノーとして使ってももちろん問題ない。いろんな使い方に対応できる千両役者で、13A、14A、15A、16A、17Aというサイズ展開や、シンキングやディープダイビングタイプといった派生タイプの多さからも、いかに評価を受け愛されてきたか分かるというモノ。

 その他にボーマールアーといいえば、最近小さめの「モデルA」、「ファットA」を使い始めているけど、意外に付き合いがなかった。シーバスの”バカ貝パターン”に効くだろ?って小判形のメタルジグ「スラブスプーン」は東京湾とかでずいぶん気合い入れて投げたけど成果なく、中坊の頃に入手した「ジャークベイト」はジャークして水中ドックウォークさせるためのルアーとは思いもよらず、使い方分からず蔵で死蔵、リップシャッドは箱入りで所有してたけど使う前に小遣い稼ぎに売ってしまった。ロングA除くと、魚釣ってるのは「スピードシャッド」ぐらいで、これは高校生の頃40UPのバスとか釣ったので思い出深い。他にも「ボーマーポパー」とか「ウォータードグ」とか、ぱちモノ続出してたぐらいだから良いルアーなんだろうけど、縁が無かった。

 まあ、ロングAについてはその分お世話になっている。シーバスメインで主に15Aと16Aで、固定重心で動きの良い派手な泳ぎでラトルも入ってるという、活性の高い魚が居れば一ッ発で勝負が決められるアピール力で、なんども良い魚を連れてきてくれた。意外に他のルアーにスレた魚にやけくそでぶち込んだらバコンと食ってきたとかもあって、スレたらルアー小さく大人しくだけが取り得る戦略じゃなく、逆に派手にかき回してアピール力で食わせてしまうというのも時と場合によりあり得るというのを知ったのもロングAでの釣果で、思い入れも深いしなかなかに優秀なミノーだと思って頼りにしている。

 って感じで、ボーマー史上最大ミノーは17Aなのは常識だよねっと思ってたら、ソルトウォーターグレードボーマーブランドから「サーティファイドデプス」というのが出てるようで、こいつの大きい方が8インチで実は四天王が一人17Aはボーマー最大ではなかったと判明。早速入手しようと思ったけど5千円以上もしやがるので新品購入諦めて6インチの中古のが安かったのでそれでお茶を濁しておいた。えらい潜るトローリング用ミノーらしいので根魚用に使えるかも。

 コーデルのレッドフィンは、その昔ジョイントを買ってそのグワングワンの暴れぶりが気に入らずお蔵入りしていたけど、海水温上昇対策で”強い”動きのミノーをとなったときに再評価して弾数そろえたのは以前書いたとおり。コーデルと言えばまずは「ビックO」なんだろうけど、拾ったのをリペイントしたやつで学生時代なんぼか釣った程度であまり思い入れはない。そしてもう1つの大ヒット作がバイブレーションプラグの「スポット」で、このスポットのシンカーの固定がヌルくてズレてカタコト音を立てたのが”ラトル”ルアーの始まりだという説は有名。まあほかのルアーでも同じような現象が起こってたって説も読んだことあるけどな。スポットシリーズは売れたので派生展開しまくりで、各種サイズ違いはもちろん、長細いのやらフローティングやら浮き上がる「トップスポット」、「ジョイントスポット」なんてのもあった。他には購入した水面狂を戸惑わせたシンキングポッパーの「ニアーナッシン」は今なら海で使えそう、水面系ならダブルスイッシャーの「ボウイハウディー(ペンシルも有り)」に「クレイジーシャッド」、けったいな設計の「ウォーキンスティック」、ベビトーのぱくり系の「チョップスティック」あたりがコーデル組の主な構成員だろう。「レッドフィンC10」はサイズが大きくてアピール力が高いのに加えてフックが2つなのもワシ的にはポイント高い。3フッカーは前のフックがライン拾いがちで邪魔くさいし、デカいハリが乗せにくいので、大きいサイズになると2つフックになるのは、ロングAもレッドフィンもレーベルも一緒で、バンゴーだけ3つフックで四天王では少数派になる。

 レーベルミノーってバスルアーとしては地味だし、シーバスミノーとしてもマイナーだしで、四天王のなかでも最弱!って感じでその辺はワシ好みではある。たぶん「ラパラをプラ素材で」っていう設計思想で作られていて、それはかなり成功しているので動きは良いけど飛ばんってのが長所短所でラパラフローティングと一緒だけど、さすがにデカサイズは重量それなりにあるので飛ぶと思う。思うけど弾数揃えにくいのであんま投げる気にはならん。レーベル9センチはバス釣り少年の頃愛用してたので大人になって箱買いしたけど出番なく蔵に備蓄されている。レーベル軍団と言えば、ミノーシリーズ、革命児「サスペンドR」含めたウィーRシリーズ、ナチュラルプリントが当時は最高に”リアル”だった「ベビーブリーム」とかナチュラルシリーズ、モノホンのザリから型どりしたという売り文句のクローフィッシュシリーズあたりがバスマンにはなじみ深いだろうけど、なんと言ってもバスマンなら「ポップR」は外せないだろう。トップ好きならレーベルミノーのリップ無しにオモリ突っ込んだような「ジャンピンミノー」も好きかもしれない。ダイブも得意な縦浮子ペンシル。あと忘れちゃならないのがバッタとか「タドポール」とかのちっちゃい系とキワモノっぽい見た目のわりに超ロングセラーの「バスンフロッグ」あたりか?今では各種ルアーブランドを吸収して巨大グループを形成しているプラドコの大元になった樹脂関連会社の釣り具部門がレーベルだったとかで、ナチュラルプリントやらサスペンドやら新機軸の技術も開発してきた老舗ブランド。そもそもプラ製ミノーの元祖がレーベルミノーだろって話だろうし、実力は間違いないところ。デカいのもそのうち投げてみるか?

 とここまで書いて、レーベル最大のミノーが「レーベルミノー7インチ」ではないことに気がついてしまった。ボーマーに引き続きなんたる失態。そういえばレーベルも海のトローリング用にラパラのCDマグタイプの「ジョーブレイカー」っていうのを出していて、8インチ20センチサイズがあったはずで、最大はそっちだな。まあいいや今更買う気もないやね。ジョーブレイカーそこまで大きくないのは蔵に転がってます。

 バンゴーのデカいのは、ワシがデカいミノー好きなの知ってるツーテンの虎ファンさんが蔵に転がってたからやるよ、とくれた頂きモノでこのサイズは現行ドミニカものは作られてないはずで貴重なモノかなと、バグリーのルアーの美しさといったら、アメルアはもちろん、日本製ルアーでも樹脂性ルアーの成形時のバリが残ってて当たりまえの80年代に、ツルンと継ぎ目やら分からない綺麗な仕上げでカラーバリエーションも豊富で実に眼福なルアー達であった。一時エルサルバドル製だかになったときは、ホイルもしわだらけで目がズレてて福笑い状態のとかが出荷されてて泣けてきたモノだけど、今のドミニカ製バグリーは往年の美しさを取り戻している。好き者はフロリダのウィンターヘブン工場時代のがどうたらこうたらリグが真鍮でどうたらこうたら小うるせぇけど、ドミニカで綺麗なバグリー品質の製品が作られ続けていて、ブランドが存続していることに感謝せねば嘘である。ワシ一票入れる意味で3つほど買ったからな。バグリーのルアーは80年代でも2000円ぐらいしていてバス釣り少年には”高値”の花だったので、潜りもののキラーB2とかは眺めるだけにして、あまり根掛かりの心配しなくて良い「ラットフィンク」がお気に入りだった。っていうぐらいであんまりバグリー製ルアーを実釣で使い込んでこなかったんだけど、シーバスに「バンゴーディープ」、根魚に「ダイビングB3(DB3)」は投入していてボチボチ結果も出ている。中空でカンカラとラトルやハリの音が響く樹脂性ルアーと、中身のみっちり詰まったバルサ含めた木製ルアーでは魚の誘い具合に違いがあるように思っていて、木製ルアーが明らかに効くときや、樹脂性ルアーと変化をつけたい時には有効な札だと思っている。塗装はオモリ埋めた前フックのあたりとか割れてくるし、リップの接着は抜ける、それがなくてもでかい魚にネットの中とかで壊される恐れありとかの脆さはあるけど、それを補う魚を誘う力の強さとルアーとしての魅力がバグリーのルアーにはあるなと最近よく使うようになって改めて感じている。バグリー軍団には数多くの団員がいて、なんと言ってもバルサの浮力を生かしたクランクベイトが得意で、B1~B4の”バルサ”シリーズ、DB3を代表とするダイビングバルサシリーズ、にキラーBシリーズ、ラトル入りのチャッターシリーズ、変わり種のETシリーズやらママキャットシリーズなど各種豊富に取りそろえている。レーベルとは仲が良かったとかなんとかでリアルプリント系も得意で「クレイフィッシュ」や各種北米小魚シリーズもある。水面系も役者揃いで前述のラットフィンク始め「ICU」「スピナーミノー」「ポップンB」「007」「リトルジョン」「ラトリントゥイッチャー」に忘れちゃならない元祖スピンテールミノー「スピナーテールバンゴー」ときたもんだ。あとなにげに日本の会社とのコラボ企画もあって、シマノとか上州屋のルアーも作ってる。バグリー製シマノはえらい値段になってるのがあるけど、上州屋のハリーシリーズとかゴミ捨て価格で笑える。上州屋御用達ブランドのスズミの竿とか愛用してるし気にいっているけど、上州屋ルアーをモノがいいからといって買うかと言われれば、ワシも買わんという不思議な現象。量販店で安くて品質もそこそこ良いモノを提供してきたことはもうちょっと評価してやっても良いのかもだけど、どうにもアレなんだよな。

 ちなみにバグリーの最大ミノー候補として「ダイビンバンゴーB8インチ」というマスキー用らしいゲテモノじみたデカブツがあったんだけど、バンゴーBシリーズはどちらかというとバンゴーミノーというよりキラーBを引き延ばしたクランクみたいな形状なのでバンゴー7インチを最大ミノーということにしておきましたとさ。

 という感じで、今回ルアー図鑑うすしお味第71弾はデカアメミノー四天王とその実家ブランドについてあれこれ書いてみた。四天王は四天王でワシの中では普遍で変更はないけど、歴史あるブランドだとそれ以上のデカミノーも作られていたりして温故知新。

 デカアメミノーネタは今後もボチボチ書くのでお好きな人は引き続きお楽しみに。

2024年10月12日土曜日

Ugly Stikは別腹

  この夏の”デカアメミノー熱波”以来、ルアーばっかり買いあさっていて、リールと竿方面の症状は治まっていたんだけど、また悪い病気が・・・アタイ病気がにくいッ!

 なに2本も買ってるねん?しかも片方グリップにシール貼ってあるってことは新品やろ?また円安の時になに海外通販やってるんや?って話を、れいによって説明させてください。お願いします。

 ワシの蔵にはロッドは林立していて、大概の状況には対応できるだけの備蓄がある。なぜそんなに備蓄しているかといえば、今時の高級な”お竿様”がとんと気にいらないし、今後もワシの気に入るような耐久性に優れた使える竿が作られることは期待できないので、予備竿含めて使える竿で必要になりそうな竿は確保しているのである。おかげで今期”根魚クランク”という新しい試みを始めたときにも、道具はあれこれ比較して試していけるぐらいには備蓄はあった。

 で、そんな「備えよ常に」とボーイスカウト時代から心得ているワシなんだけど、安い出物があったらとりあえず押さえることにしている竿があって、それが”世界一の安竿”シェイクスピアブランドのアグリースティックなのである。なにしろ丈夫でワシ好み。感度?飛距離?軽さ?そんなもんがたいして役に立つかよ、想定もしていないような大物が掛かった時に、とにかく折れずにしのぎきれる丈夫さ、手になじむまでガイドやら取っ替えつつ徹底的に使い込める耐久性、竿先はグデグデのグラスソリッドでもバットはカーボンでパワーがあり一本でこなせる仕事の幅広さがある、釣り場に持ち出して魚を掛けて使い込んでこそ良さが分かるこの一ッ本(現在10本保有してるがな)。世界中で「竿なんぞ折れんで長持ちすりゃ上等」という労働者階級の釣り人達に愛されまくっているロングセラーシリーズ。日本では一部好き者しか評価していないのは、日本の標準的な釣り人が、お部屋で天井に竿先あてて美しいベントカーブとか堪能してるだけの腰抜けどもだからである。アグリースティックのベントカーブはすごいぞ、”しの字”に曲がる様はまさにアグリー(醜い)って感じで美しさにはほど遠いけど、それが好き者にはたまらんのですよ。とりあえず安けりゃ買っといて備蓄してりゃぁそのうち出番も回ってくるし、なんならブランクスだけ利用して切ったり継いだりで欲しい機能の竿に再構築してやるって手もあってその素材としても優良。

 でもって、なに新品臭いやつまで買ってるねんって話だけど、これ新品じゃなくて、この状態で中古釣具屋のネット販売で売られてたんです。しかも、2本とも安い!二千円台で送料入れても5千円ちょい。元値がそもそも安くて50ドル弱だとしても、今日日海外通販で買うと長物の送料なんて恐ろしいことになる。となると、ここであったが百年目でもう買うしかワシに選択肢はのこされていなかった。グリップのビニール剥がしてないぐらいで使用感も少なく程度も良いのになぜにクソ安いのか、それは黄色いお店独特の「店員さんに商品知識がなくて変な値段が付いてることがある」って典型で、アグリースティックのソリッドグラスを見せびらかすためにわざと竿先の方に塗装をしていないのを「トップから#1ガイド下部まで塗装がはがされているためB-です。」と査定していて笑いましたよワシ。そういう仕様だっちゅうの。ありがとうございますって話だけど、よく考えると黄色いお店は買うときもそのB-の査定で買い取ってるんだろうから損はしてなくて、どうも俯瞰してみると、損したのは売った人で得をしたのはワシということのようだ。どこのどなたか存じませんがあざっス。たぶん海外通販で手に入れたは良いけど、重いしダルダルな調子で馴染めんしで早々に手放したことは想像に難くない。だってワシも最初に買ったときそう思ったもん。でも使ってるうちに良さが分かってくるのである。手放してしまった人は実に惜しいことをしたと思う。

 というわけで我が家においでなすったんだけど、これ備蓄用じゃなくて使用を想定してます。当然いま絶賛試行錯誤中の根魚クランク用で、まあ40、50ぐらいまでの根魚なら、ベイトのバスロッドでグリグリとやればどうにかなるような目処が立ち、今使ってるウエダの「Pro4ピッチンスティック7F2」は良いあんばいで、この竿は東北のボート根魚用に買ったんだけど、ウエダが解散した頃にネットオークションに流れてた竿で1万円ぐらいだったので、定価考えると安い値段で確保できて、さすがウエダの竿はお高くとまってやがるけど良い竿だと感心したのでもう一本確保したという竿で、2本持ってるので予備竿には困らないはずなんだけど、東北に行くたびにロッドケース持って移動するのは面倒くさかったので、1本は”釣りの上手い人”のお兄さんの家に置き竿にしてある。ので我が家には今1本しか無い。無いと予備が欲しくなるのが病人の病人たるところで、フェンウィック「ランカーギアX LGX66CM-2」もバスプロショップス「マイクロライトIM6グラファイト ML60MC-4」もあるヤンコビッチって話だけど、もうチョイとパワーのあるのが良いなとウエダを持ち出したわけで、ウエダの予備としてはややパワー不足。ということで急がないけど予備竿は探していたところにタイミング良く(悪く)出て来たのが、黒い方の「アグリースティックGX2 USCA662MH」で、今シーバスで使ってる「アグリースティックエリート」シリーズと同一ブランクスでグリップがEVAでやや安いほうの「GX2」シリーズのミディアムヘビー、ライン指定が15~25LBの6フィート半の2ピース。ウエダよりチョイ短くてパワーがある感じで、純粋な予備竿というよりは若干パワーアップさせた感じになってるけどあんま気にしない。で、もいっちょの白い竿が「アグリースティックキャットフィッシュ」シリーズという、やる気のあるナマズのイラストからしてワシの好みをピンポイントで突いてくる竿で元々欲しかったけど、不要不急だしなと手を出さずに済ませていたのに思わず手が出た。「アグリースティックキャットフィッシュUSCACAT802MH」はライン指定は15~30LBでルアーは3オンスまでいけるとある剛竿、って現物触るとスペックから感じるほどガチムチではなくて、ジジイでも扱えそうな適度なネッチョリ具合が良い感じ。2ozクラスのマグナムディープクランクぶん投げて片膝ついて竿半分ぐらい海中に突っ込んでグリグリと岸壁ニーリングするには良いあんばいかも。こいつは目的考えず買ってしまったけど、期せずしてフェンウィック「ランカーギアプラスLP89CH-2J」の予備竿として機能してくれそう。バットエンドがジンバル対応で十字切ってあるんだけど、キャップなどというこじゃれたモノはつていおらず、十字切ったバットエンド自体が丸っこくゴムっぽい素材でできているという”こんなんでいいだろ”感が素敵。

 で、90年代のFujiのハードガイドが付いてた時代を除いて、アグリースティックの最大の欠点はガイドがショボいということで、すぐに壊れる道具を評価しない米国で売ってるのに、なぜか削れる「アグリータフガイド」がいまだに採用されている。

 モノとしてはどう見てもステンレスにクロームメッキをかけただけって代物である。ただ、ステンレスに硬質クロームメッキって今でもフライロッドのスネークガイドには普通に採用されているし、見た目ほど弱くもないし実用十分な強度は確保できるらしいのである。

 過去にも引用させてもらったけど、Fujiの創業者である大村隆一氏著「ロッドクラフト」の該当箇所を抜粋すると「ハードクロームリング ステンレス製のワイヤーリングはキズが付きやすいため、超硬質のハードククローム(原文まま)をメッキしたものが開発されました。しかし、このハードクロームは生産コストが非常に高いにもかかわらず、見た目には、普通のクロームメッキと全く区別がつかないため、過とう競争による品質の低下が行われ、その性質も普通のクロームメッキと変わらないものとなってしまいました。すなわち、ハードクロームにおいては良質の品質を維持することは不可能に近く、この種のガイドは消滅を余儀なくさせられた訳です。」とあって、大村氏の昔には硬質クロームメッキは難しかったけど、今ではそうでもなくて、実は見た目ショボいアグリータフガイドも実用性充分の品質に仕上がってるのではないか?と思って、現在シーバス用に使ってる「アグリースティックエリートUSESP702M」は購入時にそのままガイド換装なしに使ってみた。現在その竿にはFujiのOリング(酸化アルミ系)とSICリングのガイドが付いている。釣行数回で糸溝ついて削れたやんけ!やはり大村氏のご指摘どおりで、良質の品質を維持することが難しかったようである。ちゃんと品質管理しておけよって話で、技術力的には中国とかの外注先は充分できる能力あるんだろうからなんとかしてくれプリーズ。でも一応今回も現在中古状態で削れていないということに一縷の望みを託して、最初はそのまま使ってみる。SICガイドの”割れ”のように発生した時点でラインがグザグザにされるので即時使用不能になる不具合と違って、糸溝ついて削れていくのは削れ始めたのに気がついてから対処すれば間に合うので、とりあえず様子見である。

 最近、我が国も景気悪くて、お高いガイドの付いた竿は売れんようになってきてっていうか、釣り具自体売れんくなってるんだろうと思うけど、国内ブランドの竿でもSICやトルザイトのリングじゃなくてアルコナイトっていう酸化アルミ系の安いリングのガイドが付いた竿が売られ始めたようで、例によって、ガイドが削れるのを心配せにゃならんほど魚釣らんような人種が「削れる」とか騒いでるけど、Oリングより性能上がってるらしい酸化アルミ系のセラミック素材がそう易々と削れるかよって話で、酸化アルミ系のリングが削れるような過酷な使用条件ならSICも削れるって話で、削れるのがいやならローラーガイドにでもしておけって話。アホクサ。編み糸のPEラインが泥とか砂とかの粒子を拾いやすいので砂浜や濁った水域でPEラインつかうと削れることがあるといわれてて、砂浜で使ってて削れた事例は聞いたことある。けどそんなのは珍しい事例で、ワシ泥っぽいクリークでPEライン使ってライギョ釣りしてたけど、マスキーロッドに付いてた酸化アルミ系のハードリングもトップガイドの謎金属ガイドも削れんかったので気にしてない。

 まあ、ワシには関係ない話でございます。ワシにとっては自分の竿のアグリータフガイドが削れるかどうか、それこそが問題でありゆゆしき事態なので、今のところ一回出撃時点では大丈夫だけど、巻くときにラインが結構張ってるディープクランク引きまくりの釣りで継続使用するとどうなるのか、自分の目で確かめておきたい。

 たとえ、結果”ガイド総取っ替え”というめんどくせぇ作業が生じたとしても、今時の高級ロッド様では逆立ちしても手に入らない信頼性のある竿が2本も格安で手に入ったので現時点で大いに満足である。蔵に竿が林立していても、アグリースティックならペロッと”おかわり”いけてしまうワシなのであった。

2024年10月5日土曜日

パワーこそ力!

 その方向にはろくでもない結果しか待っていないことはうすうす知ってはいる。

 まだ魚の大きさの上限がしれているなら、最大火力で殲滅するかのような力押しは通用するだろう。カムルチー狙いでガチガチの竿で藻の中潜り込ませず勝負を決めるってのは戦略として取りえる。あいつらデカくてもメーターちょいだろ?

 ところが海の魚の場合、魚の上限はそれこそホホジロザメでも狙えばトン超えてくるし、カジキやマグロの大型も力勝負で勝てる相手ではないのは明白。それらは沖の何も無いところで掛けることができるから、力勝負で最初から止めようとするのではなく、ドラグ鳴らして超持久戦という戦略がおそらく正解だろうことにはあまり異論はないだろう。

 ただ、ハタだのクエだのの類いの大型の根魚の場合はどうか、根に潜られたらそこでサヨウナラ終了なので、根までの短距離で止めざるをえない。えないけど魚が10キロ超えたらもう手持ちの竿で力勝負で止めるのは難しくなってくる。そうなってきて昔の磯の底モノ師が陥ったように、より強力な道具でより強い道糸でってやり始めると、速攻で一番大事な道具である”人体”が制限要因になって手詰まりになる。手詰まりになってるのに強引にその方向に突き進んだ先には、竿を磯の岩に打ったピトン(杭)やらロープやらでガチガチに固定して、リールのドラグもトンカチでドついて締めて、魚が食ったら魚の引きは磯の岩に任せて、魚が弱ったらリールを巻く作業だけ頑張るっていう「それ本当に楽しいのか?」っていう、IGFAのルールとか堅苦しいものを持ち出すまでもなく、それで”釣ったこと”になるんかいな?っていう疑問がつきまとう有様が到達点で、真面目にやってた人には失礼な物言いでもうしわけないけど、ワシャそりゃちょっと違うようねって思ってしまう。

 じゃあどうするか?達人級は手持ちの道具で磯の上からでも、立ち位置変えて根に潜られない方向から引っ張ったり、わざと広い方に行くように緩めて誘導したり、ありとあらゆる技術・戦略を駆使して釣るようである。あるけど、魚の引きを磯の岩に任せてゴリゴリ巻いて釣るより格段に難しくてあたりまえで、当然大きな魚は釣るのが難しいだろう。でも難しくて揚がらん大きさの魚はいて当然で、それを揚げたいからといって”釣り”かどうかもよく分からんくなるような方法に頼ってどうするっていう話で、何やってもいいんなら磯にウインチ固定して、発電機持ち込んでワイヤーで引き上げるとか、そこまで行くとさすがに釣りじゃないだろって感じが強くなるけど、なんか竿とリールを使ってさえいれば”釣り”だってやってると、行き着く先がわけわからんつまらないことになる。どこに線引きするかは個人の自由だけど、ワシャ文豪ヘミングウェイが仰ったらしい「立ってようが椅子に座ってようがどうでもいいけど、釣りというのは魚の引きのすべてを自分の体で受け止めなければならない。」っていうのに賛成である。

 とはいえ、今やってる根魚クランクで、バスロッドでも16LBナイロン巻いたベイトリールでグリグリやってて40センチ級ぐらいまではなんとかなることが分かってきた。障害物に突っ込まれるのは、今のところリーダーを長く太くして多少引っかかった場合とかは立ち位置変えて外しに行ったりして対応できるようになってきた。船とかなら、底を切ってしまえばあとは根に潜られることは少ないんだろうけど、陸っぱりで魚を掛けてから引っ張ってくる途中には、当然底には蛎殻生えた石ぐらい転がってるだろうし、護岸際とか護岸の凸凹とか潜り込む隙間もあるだろう、って感じで、止めたとしても魚は向こうに行けなくなってるだけで、下にも横にもなんなら上にも行けるのである。上にはシーバスでもなければ行かんとしてもだ。となると力勝負でなるべく魚の頭をこっちに向けっぱなしにして寄り道させずに寄せきるっていうのも手としてはあるんじゃないか?っていうのと、もう一つには今まだ40~50センチ級ぐらいしか掛けてないから良いようなものの、餌では60センチ級も釣れているのを見ているので、それが今のバスロッドでどうにかなるのか、さらに大きい”想定外”の魚も低い確率ではあるけど掛かってしまうと想定しておくべきなのが海の釣りであり、そういう大魚を釣るために自分の扱える最大火力の武器を試し撃ちぐらいはしておくべきだろうと思い、よく「パワーこそ力!」と小馬鹿にはしているけど、真面目に考えて準備してみた。

 まあ、ベイトリールで利き手でグリグリ巻くのが前提としてあるので、そういう用途ならジギングタックルかライギョタックルで、ジギングタックルはルアー投げるのを想定してないことが多いうえに、我が家にはジギングタックルはスピニングしかないので、消去法でライギョタックルとなる。いうても我が家のライギョタックルは左手サミング用に魔改造を施されたのやら、2ピースのマスキーロッドとかけったいな竿ばかりではあるけど、堅さと取り回しの良さからバスプロショップス「PMX66MHT-2」という6.5fの、マスキーロッドとしてはまだおとなしめの竿を選んだ。もう一本のデカいジャークベイト用のマスキーロッドは今使ったら手首が死にそうなカッチカチの棒である。竿がある程度以上堅い、そしてドラグはきつめとなるとラインの太さがある程度太くなる。デカいの想定で力勝負の引っ張り合いを考えているからPEの方が向いているんだけど、引っ張り強度だけなら4号もあれば足りる。けど、伸びないPEラインは瞬間的な力のかかり方に弱く、ロウニンアジ釣りで練習では問題なかった5号PEがアドレナリン全開で筋力制限解除状態の釣り場でバッチンバッチン切れて泣いたことがある。国内だったので6号買って巻き直した。っていうぐらいで”アワセ切れ”対策を考えると6号は欲しいところで、ライギョ釣りの時には、PEラインは高価でおいそれと巻き替えられないので、余裕を持って8号にしていた。毛羽立ったら先の方を切ってワンシーズンぐらい使い倒す。歯ズレ対策に先っちょには両端抜けない輪っか状にしたケブラーノット15号(ザイロンノットというのが後継品「ザイロンX」という紛らわしい品は輪っか作れないので注意)ぐらいをメインラインにビミニツイストで輪っか作って4回回しのループトゥーループっていう当時のラインがそのまま巻いてあるリールが2台残ってたので、そのうちの”釣りの上手い人”が使ってた当時バレーヒル扱いだったゼブコ「クァンタム1430MG」というのが本体樹脂製で塩水で使うにはちょうど良いかなということで、今回整備して投入してみた。

 でもって基本釣りの上手い人が、丸アブは手が小さいので使いづらいというので、非丸型のでライギョ釣りに使えそうなのをテキトーに見繕って買っただけなので、あんまり興味もなく注油ぐらいで使いっ放しで今回初めて分解整備である。

 なんかハンドル回りを取っ払っても本体蓋のネジが片方は注油窓のネジで実質1個しかなく、やや途方にくれかける。ベイトはABUぐらいしかいじったことがないので勝手が分からん。

 そういえばこいつ新品で買ったから箱と取説あるはずだな、と蔵を捜索して釣りの上手い人のライギョ用必殺ルアーのゼタベイト「スワンプラット」を入れてあったのを発見。取説見てメインギア入ってない方の蓋は手で外してスプール交換とかしやすいようになってたなと思い出して外していく。

 ブレーキは遠心ブレーキで、スプールに付いてる黒い円盤ユニットから出てる白い突起を出し入れしてブレーキの効きを変えられるようだけど、初期状態で普通に投げられたので、いじったことがないし今回もいじらない。蓋側のブレーキの当たる金属の輪っかの下に平行巻(レベルワインダー)を動かす歯車が入ってて、このリールはレベルワインダー連動式。ついでにスプールに軸が固定されている方式。

 メインギアのほうの蓋を開けるネジは、シャフトを貫通しているのがレベルワインダーの上下に2本と、スプールの下に1つあって、そいつらを抜くと無事パカッと開けることができる。

 パカッと開けて、蓋の方にワンウェイクラッチが見えているように、こいつは瞬間的逆転防止機構が付いてしまっている。まあベイトだしそんなに気にならんのと、丸アブとかに入ってるのと比べるとワンウェイクラッチも、それが押さえるスリーブもゴツめで丈夫そうではある。

 ドラグは、謎の樹脂製パッド1枚のABUでもよく見られる方式。ただドラグパッドを押さえる小判穴の金属ワッシャーが分厚い。この辺はドラグの安定作動には曲がらない十分な厚さのあるワッシャーが重要って考えているようで、PENNスピンフィッシャー小型機の1枚パッドドラグとも共通する設計思想のようで、ドラグを使う釣り人の国のリールって感じがして好感が持てる。実際ドラグ性能は悪くない。

 中のグリスは悪くなってないようだったけど、拭き取って金属面はすべからくグリスで濡れているように、今回はPENN純正グリスで仕上げた。

 若干残念だったのは、せっかく工具いらずでパカッとブレーキ側の蓋を開けて注油とかスプール交換とかできるようになってるのに、汚れやすいレベルワインダーのグルグル棒を外すのには、ギア側の本体蓋を外してEクリップを外さねばならず面倒くさい。まあ、しばらく放置でいけるようにグリス多めに塗ってからオイル注しておいた。樹脂本体で軽くは作ってるんだろうけど、全体的に丈夫には作られているようで実用的なリールだなと思ったけど、正直スピニングほどベイトは数触ってないので分解整備した程度ではイマイチ評価しきれない。

 じゃあ、釣り場に持ち出してどうだったのか?というと、1回使っただけなので長期運用はまた別の話だけど、とりあえずは投げて巻いて快適に釣りができて文句はない。

 文句はないんだけどリール単体ではなく、堅い竿と太くて強い糸と組み合わせると、通常の道具立てなら問題ないような”ルアーや接続具の強度”が問題になってきてちょっと悩ましい。根元細く絞った長いリップの「ダウンディープラトリンフラットラップ7」のリップが草むら釣ったときに竿あおったらあっさり折れた。そういえばライギョ釣りの時にも接続具はクロスロックのスナップとかアワセ一発でミョーンと伸びてただの針金に帰り、ウィードレススプーンのフックがこれまたミョーンと伸びたりもした。伸びない強いPEラインで堅い竿、締めたドラグだと想像以上の力が瞬間的に掛かることになり、どこか弱いところがあるとそこから綻びが生じる。ルアーが壊れるならまだましな方で、下手すると体が壊れかねない。ドラグは強め設定にはするんだけど締めすぎるのは危険だと思う。接続具は細い針金を折り曲げて引っかけた”構造”で引っ張り強度を持たせているようなスナップではなく、針金自体が元から太くて曲がりにくいハワイアンフックやスプリットリングの変形版みたいなのを使うべき。ルアーはリップが差し込み式のラパラ系やらバグリー系は避けて、ゴン太の一体成形リップが付いてるのを選ぶ必要がある。あと、ラインが太いとどうしてもルアーの潜行深度に影響がでてきて潜りにくくなる。これはより潜る大きなクランクベイトを使うとかで対応は可能だろう。

 という感じでいちおう試し撃ちして感触は掴んでみたので、必要とあらばいつでも繰り出せるようにはしたけれど、ちょっと”強すぎる”のも扱いにくいなというのが正直なところで、当面はバスロッドメインで行こうかなと思っちょります。まあ奥の手ということで切る手札として持っておく感じ。こいつらの出番があればそれはそれで胸躍る展開ではあるので、そういう未来もうっすら期待しておこう。


<おまけ>ダメ元で確認してみた、ABU「アンバサダーブラックマックス」と同「アンバサダーMAX」のスプール互換性。ばっちりありました。どうもブラックマックスのような”スプール固定するスイッチ”がある機種が先にあって、その後に出た簡略版が無印MAXのらしく、フレームにスプール固定スイッチ用の穴が開いていて、スプールをピニオンギアに固定する金具はスプール固定用の歯車と一体形のものになっているのをそのまま使い回している。ということで予備スプール体制が組めることになって、戦闘力爆上がりなのであった。ブラックマックス活躍してくれているし、つくづく良い買い物だった。