2017年4月23日日曜日

あなたの知らない安竿の世界

 薄々感づいておられる方もいるかと思うところだが、ナマジは安竿が好きだ。って何回も書いてるからご存じか。

 なぜ好きなのか?「好きだから」と書いてしまうと終わってしまうのでつらつらあげていくとすると、まずは比較して高い竿が嫌いだというのがあるのだろう。

 高い竿のドロドロとした欲望まみれの金儲けの腐臭が漂ってくるところが嫌いだし、薄くて軽くて折れやすいのが嫌いだし、感度だとか飛距離だとか魚をかけたことがない人間でも評価できる要素ばかりに力を入れているのも嫌いだし、ピカピカの高級ロッドが放つ俗臭さが嫌いだし、なにより高くて買いにくいのが嫌いだ。

 その点安竿は良い。まあ安くてだめな竿もたくさんあるけど、素人が乱暴に扱っても大丈夫なように丈夫に作ってあるところが好きだ、田舎臭く分厚い巻きの重量感が好きだ、ダルくて感度が悪くて人も魚もかかったことに気づかなくて早あわせしなくてすむのが好きだ、デカい魚がかかったときに折れてもいいやとギリギリ曲げられる気安さが好きだ、その時に意外に折れずに魚が上がってくる頼もしさが好きだ、自慢臭くならないさりげなさが好きだ、なにより財布に優しいところが好きだ。

 たぶん古今東西の安竿のうちベストオブ安竿を選ぶなら、シェイクスピアのアグリースティックでまず間違いのないところだろう。特にアメ人とかオージーとかの労働者階級の釣り人なら分かってくれるはず。特権階級はセージでも使ってろ!俺たち労働者階級はアグリースティックの透明なグラスソリッドティップを愛するッ!
 主にカヤックのシーバス用で愛用。突然の青物にも余裕で対応の頼もしい竿たちだ。

 ゆうても、普段シーバス釣りに使っている竿は、それほど安物ばかりではない。
 今年一発目に大物スズキを釣る幸運に恵まれたときに、ケン一から「どうせまた安モンのパックロッドとか使ってたんやろ?」とおちょくられたが、ジャクソンの「ブリストールBP805L」を安竿というのは失礼だろう。まあ、手間のかかる5本継ぎで発売当時の定価で2万円くらいだから良心的な価格だとは思うが。

 ケン一のいう安モンのパックロッドとは、仕事帰りの釣りとかで活躍してくれる「NEW WAVE minipack210」のことだと思うが、これは正真正銘の安竿で中古屋で300円で買ったのである。
 しかし、そんな安竿でいいのなら竿なんて何でもいいんだろうと勘違いされては困るのである。ぜんぜん狙って設計していないんだろうけど、たまたま私のシーバス釣りに丁度いい調子に仕上がってしまった奇跡の安竿なのである。
 それまで、鞄に放り込んで仕事帰りや出張のお供としていた竿は、リョービの「ジョイスピン606ML」というパックロッドで、これまた中古で2千円ぐらいの安竿だったけど、竿先は堅いカーボンソリッドでアタリをはじき、突っ込まれると耐えきれずに身切れでバラし、リングのリールシートは滑ってリールがよく落ちるという、なんとかならんのか?という竿だった。しかし、安いルアー用のパックロッドって当時それぐらいしかなくて、出張先で先輩も同じ竿使ってたというような竿であった。
 もっといいパックロッドがあったら買い換えたいと思って、中古屋とかで餌釣り用も含めてパックロッドがあったら伸ばして調子を見てみたりしていたけど、なかなか良いのには出会えなかった。耐久性とか心配な針金ガイドの竿とかは安くても実用性が無いし、ちょっと良い竿だとやっぱりティップが堅かったり全体的なバランスがいまいちだったりする。
 そんな中で、地味な見た目でワゴンで安売りしてそうな「NEW WAVE」は、まず安竿のくせにガイドがハードガイドが付いている。伸ばして調子をみてみると「これはいける!」と確信が走った。ソリッドグラスのティップが柔らかく全体としての調子もダルめのシーバスのアタリをはじかないような調子。しかも値段は300円。ためらうことなくレジへ。実釣での性能も文句なしで超お気に入りの1本となった。石積み護岸でこけて穂先を折った後も、穂先交換して使い続けている。
 中古釣り具屋にいくと、もう一本ないかとパックロッドのコーナーを今でも探してしまう。
 安竿すべてが良い竿ということではなく、安竿にも良い竿があるということだと思う。

 運河でよく使っているフェンウィックも「ランカーギアX」は売ってた当時で実売2万円ぐらいの中級モデルといって良い竿だけど、姉妹竿の「イーグル」は実売1万円ぐらいの立派な安竿である。
 こういう、大手メーカーがいろんなグレード出している中の安い方のシリーズの竿って「当り竿」があってお買い得。単に安出来でダメなのもあるけど、例えば先のフェンウィックなら、ランカーギアXもイーグルもブランクス一緒なのである。ガイドがSICかハードガイドかなんて普通実用上差がでるほどの違いじゃない。上位機種譲りの性能でお値段控えめはお得感大。
 ダイワも初心者用から競技用の高級機種まで、いろんな竿をだしているけど、グラスのオレンジ色の「アタッカー」の時代からダイワの安竿にはお世話になっている(※2018.10.18グラスのは「ジェットスピン」でした)。
 「パシフィックファントム」の振り出しシーバスロッドも丈夫で良い竿だったし、カレイの船釣りで使っていた「早船」も良かったので、もう一セット新しく買ったときにもまた「早船」買ったった。インドネシア製で換え穂も付いて1万円台とお手頃な安竿だった。実用性問題なし。
 というわけで、へら釣り始めるにあたって、まず1本にダイワの「陽舟10尺」を選んだ。中古屋でシマノ「抜作」というイカした名前のと迷ったが、抜作先生の方は中古で1万円ぐらいと、ちょっと高級ロッドぽい感じだったので安竿感満載の「陽舟」に決めた。3千円ぐらいでお財布にも優しいし、初心者にはこのぐらいのがお似合いというものだろう。ダイワのウェブサイトで確認すると全17シリーズにもわたるダイワのヘラ竿のうち一番下のグレードの定価もなくオープン価格のシリーズである。竿の善し悪しが分かるぐらいに上手くなれば良い竿買えばいいようにも思うけど、たぶんそうなっても安竿を愛用しつづけそうな気はしている。

 ヘラ竿としては、もいっちょ13尺の天竜「天昇峰」というのを、これも3千円くらいで買って、やや広い池の管理釣り場はこの2本で始めてみようということになったのだが、管理釣り場で惨敗。「箱」での修行にF師匠から「短竿の提灯ウドンセット釣りを練習するように」との指令があったので、関東の釣り堀では竿は8尺からの規定が多いらしいので8尺を買おうと思って、ハタと気が付いた。8尺って、2.4mだとすると我が家に結構あるんじゃねえの?
 ハゼ釣りやらテナガ釣りに使う小物竿には確かに「NEW白滝240」とかがあるが、小物竿でヘラ釣ると弱すぎてあげるのに時間がかかって案配悪そう。
 でも、「NEW白滝240」が塗装も剥げちょろげになって買い換えたときに、後継の「白滝Ⅳ240」を買ったは良いけど、小物竿にあるまじきごっついグラスの太竿だったのでお蔵入りして、結局「風雅」というカーボンの小物竿を買ったのを思い出した。
 お蔵入りしていた第4世代「白滝」の出番が来た。
 写真見て「小継渓流」となっているのに、なぜ小物用として買ったのか、ナマジはアホなのかと思われるかもしれないが、アホなのは否定しないけど、「NEW白滝」は渓流とか書いてあっても、実にいい案配に柔らかいグラスの小物竿だったので油断した。通販の怖いところである。
 「白滝Ⅳ」は前述のようにバットが太いグラスロッドなので竿受けに乗るかちょっと心配だったけど、ギリギリ乗りそうなので、ヘラ竿として活躍してもらうこととした。
 へら竿っていったって、長尺の竿なら軽い方がいいとかあるんだろうけど、短尺の竿ならそこそこの丈夫ささえあれば何だって良いんだろうと正直思っている。
 特に提灯釣りならあまり振り込みも必要なく竿の性能は掛けてからの楽しさを重視したっていいんじゃなかろうか?竹竿とかはそういう性格もあるんだと思う。
 グラス竿のグネグネとした釣り味は竹にも通じる面白さがあるとかないとか聞くけど、個人的にはとても好きである。
 実際、この竿でヘラを釣ってみて、実にいい案配に竿が魚をいなしてくれるし、グニャっと曲がりつつも太いバットはしっかり魚を寄せてくれて実にいい。8尺は白滝Ⅳで行く。「白滝Ⅳ」で食わせ餌「シラタキ」で釣るというくだらない釣りを真面目にやるつもりだ。

 そもそも、この「白滝」シリーズは、九州の釣り具販売チェーン店の自社ブランドっぽい「タカミヤ」のグラスののべ竿シリーズで。お店の入り口近くのワゴンのあるあたりにぶら下がっている安竿である。九州時代に小物釣りしようと思い立って「とりあえず800円で安いしこれでいいや」と買って、そのまま気に入って「NEW白滝」を使い続けていたのである。ちなみに今タカミヤのウェブサイトをみると「白滝V」となっていて笑えた。第5世代に突入したという、由緒正しい安竿である。
 「NEW白滝」の引退に伴う買い換えで、第4世代白滝はゴツすぎて一端お蔵入りになり「風雅」を買って実戦投入しているが、実はその後「NEW白滝」長さ違いで何本も中古屋で見つけて買ってしまった。「風雅」がくたばったらまた「NEW白滝」を使いたい。ついでに初代「白滝」も中古で見つけてしまいゲットした。
 「白滝シリーズ」第3世代が見つかれば現行第5世代は入手は可能なので全世代コンプリートである。まあ、誰もうらやましがらないコレクションだけど、第3世代の「白滝」を見つけた方はタレコミよろしくお願いします。たぶん名前は「白滝Ⅲ」と予想。

 とまあ、安竿への愛を書き綴ってみたところだけど、私が安竿を使うのは「愛故に」というのが一番の理由だけど、「道具なんて安モンでいいから興味があるなら釣りは始めたらいいよ」と声を大にして言いたいからというのもある。
 釣り具屋側は高い道具を買って欲しがるけど、そんなのとりあえずは無視していいよと、釣り具屋に騙されるのも釣り人の努めだろうな、とは薄々感じつつも、天の邪鬼の役目として安竿への愛を謳うのである。

4 件のコメント:

  1. ヘラ、してやったり感が楽しそうやな。
    始めてのルアー竿はできたばっかりのラ●パークでせがんで買ってもらったオレンジがかった赤色のダイワ製スピニングやった記憶が蘇ってきた。これ確かアタッカーだったはず。
    今でこそセージやオービスやらも愛用しているけど、10マン普通に超えるハイエンドモデルは使ったことない(買いたくても一生買えんわ)。 一平じいちゃんの「金に糸目をつけぬボンクラ息子めがっ!」というセリフが脳ミソに刷り込まれていて、買えたとしてもなんか恥ずかしさが先に立ってしまってもうダメです。

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  2. まいど~ おはようさん

     まだ「してやったり」とまではいかんよ。なんか分からんけどとりあえず釣れたという感じ。でも、この段階で既に楽しいので、この程度で良ければヘラ釣り言うほど難しくもないし敷居も高くないよ。まあ、関東はヘラ釣り盛んな地域なので魚の濃い釣り堀を選べるというのが一番大きいと思うけど。難しく楽しもうと思えば競技の世界に行ったり、野釣りの巨ベラ狙いに行ったりいくらでも突っ込んでいけるだろうけど、初心者にいきなり難しいこと言ってあまりビビらさんといてくれと思う。

     「ラ●パーク」また懐かしい名前やな。
     ハイエンドモデル買える人は買うべきだとは思う。そういうのが売れないと釣具屋も良い道具開発していけなくなるだろうから。でもそういうのじゃないと釣りが成立しないようなことを言ったり、安竿使って楽しんでる人間を馬鹿にしたような態度を取ったりしないでくれと思うので、ワザと高い竿にケンカ売るようなことを書いてます。
     高いハイエンドモデル買ってくれる人がいるから、その技術を応用した「良い」中級、初級モデルで我々が釣りを楽しめるというモノで、特権階級のパトロン様達には感謝しなければいけないのかも知れません。でもおちょくりたくなる気持ちは分かるよね。

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  3. 初コメです。ここ三日前に鯉釣りで使える竿無いかな?家を探していたら白滝渓流330H(元は小学生の頃釣りクラブで小物釣ってました)が出てきたので、これ冬の低活性の鯉いけるんじゃねっとふと思い久しぶり使ってみたんですが40~50cmの鯉4本上げれましたw恐るべしwほかにもタカミヤはシーバスやバスロッドなど愛用してます!で最近白滝Ⅱ万能Hを鯉竿メインの買うことにしました。とてもいいメーカーですよね!

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    1. こんにちははじめまして。返信遅くなっちゃってゴメンナサイです。

       私以外にも白滝の良さが分かる方からのコメントがいただけてとても嬉しいです。

       白滝、丈夫に作ってあって小物竿でもけっこうおっきいの来ても上がっちゃいますよね。超お気に入りです。
       九州在住時の楽しい釣りの想い出と共にあるタカミヤの竿、タカミヤほんと良いメーカーさんです。
       これからもお互いタカミヤの竿で楽しく釣りましょう。

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