2024年7月27日土曜日

虎だ、虎になるのだ!

 ヘドンのタイガー高すぎ問題というのがある。ワシの中で。

 ”海水温上昇対策”で、キビキビとしたあるいはブリブリとした強めの動きのミノーが欲しいとなった場合は、それこそラパラやロングAをはじめとして選ぶのには困らないぐらい豊富な種類が市場に存在する。ところが、タイガーのような側面見せるぐらいのロールも伴いながらグワングワンに暴れる系のミノーというのは意外に選択肢が少なく、なかなか代替品を探すのに苦労する。そもそもタイガーが入手容易ならタイガー買っとけばイイんだけど、これが人気のわりに中古も弾数少なく、しばらく再販もかかってなくて良いお値段している。

 プラドコ版が安かった時代のタイガー(1020)と鉄板リグのビックタイガーは中古で値段安かったときになんぼか備蓄してて、ビックタイガーは後に値段高騰して千円かそこらで買ったのがヤフ○クに出したら5千円ぐらいにはなって、ちょっと小遣い稼がせてもらった。残弾2個。買った記憶もあんまりないけど小さいタイガーカブもなぜか2個出てきた。タイガーはプラドコ版なら今でもそこまで値段は高くなってなくてタイミング良ければ2千円以下で買える、とはいえ中古に2千円弱も出せるかよって気もする。弾数もクソもないのがマグナムタイガー(1030)で、意外に日本だけで人気なのかスミスが国内向けに再販かけたんだけど、これがもうバス釣り人口も減ってて、昔のプラドコ版みたいな薄利多売が通用するほど数が出ないようで、そうなるとマニアに高く売りつける方式になって、最近国内向けのヘドンブランドの再販物はえらく高いけど、その中でも特にお高い値段設定だった。3千円くらいだったと思う。まあ今までのパターンから言って、そのうち中古が安くなる時期があるだろうからその時に買おうと思って、待ち続けたけど予想に反して中古が安くなるどころか、最初っからプレミア付きの”転売屋価格”でそっから値が落ちずにジリジリと値を上げて、今では箱入り新品は1万円超えとかアホみたいな価格になってて、中古のショボい品でも5千円は下らない。実弾として買えるかよって値段になってる。日本のバスルアー市場もいよいよ終わりが見えている気がする。っていうかコロナ禍のおりの釣りブームもすっかり冷えて、釣り具業界死にかかってるだろう。せっかくのブーム時に”アジング”に代表される、ろくに釣れもせんのに道具ばっか買わされる系の釣りをゴリ押ししてたような業界の自業自得である。

 ってな具合でマグナムタイガーは表層引けるので水草の藻面を通してライギョ釣ってた冒頭写真の個体、いわゆる”当時モノ”が一個という有り様で実質実弾が尽きている。米本国でプラドコ版がドカッと再販されるとかがないかぎり、マグナムタイガーの補充は無理っぽい。なんかタイガーじゃなくても良い塩梅の暴れん坊ミノーぐらいあるだろうって探し求めた結果について、今回ルアー図鑑うすしお味第65弾では行ってみましょう。

 探し始めると、さすが情報化時代という感じで、ルアーの動きまで動画で紹介しているような情報がパソコンの前に座ったままサクサクと手に入り、多重露光写真でなんか逆に凄い動きしそうな妄想を掻き立てられてた昭和の時代とはだいぶ違う。候補もわりとすぐに3つほど見つかって、中古でたいした金額じゃないルアーばかりだったので早速手に入れて一件落着になるかというと、そうでもなくてネットで得られる情報にはやっぱり限界があるなと思い知らされることになる。

 暴れる系のミノーは、最近のシーバスミノーにもいくつかあるようだけど、いまいち”釣り人釣る系”の見た目が好みじゃないので無視して、中古だと安いし弾数もそこそこ豊富なコットンコーデル「レッドフィン」、ラッキークラフト「CLミノー」、デュエル「マッディーミノー」に絞った。

 レッドフィンは昔はシーバスマンなら誰でも持ってたってぐらいのルアーで、ワシも一番下のジョイントの13センチと11センチを持ってた。持ってたけどほとんど使ってないし魚も釣ってない。若かりしころシーバス用に買ったんだけど、シーバスにはCDラパラみたいなニョロニョロとしたおとなしめの動きのが良いと思っていてグワングワンでラトルカランカランのジョイントレッドフィンを釣り場で投げてすぐに「コリャ釣れそうにないな」と感じて、以来蔵で眠らせていた。じゃあなんで当時買ったんや?っていうと、レッドフィンを最初に知ったのは”経典”「ブラックバス釣りの楽しみ方」で、そこではレッドフィンは「テイルを振る。というよりはむしろ、バイブレーションといった感じなのだ。」と紹介されていた。バイブレーション的な小刻みな動きならイケるだろうと思ったのであるが、実際には暴れん坊で、また則サンに騙された、と思ったものである。

 ところが今回レッドフィンをなんぼか買い集めてみて、則サン(山田さんかも)の表現もあながち嘘じゃなかったのかもと認識を改めさせられた。レッドフィン、コットンコーデルがプラドコ傘下ブランドになった今でもっていうか、まさに今現在再販かかってるようなご長寿モデルであり、金型も何度も作り直したような売れっ子である。その金型作り直してるってのがどうもくせ者のようで、時代ごとやらでえらく動きが違うのである。具体的には昔の背中がちょっと反ったぐらいの時代の(写真では下)はタイガーに比べたらおとなしくてバイブレーションっていう表現もまあ許せるかなという感じで、逆に今のモデルにつながる太目でノペッとしたタイプ(写真上)のはだいたいグワングワンに暴れてくれて、真ん中フック外して後ろフックをシングルに替えるとその傾向は強まって13センチに関してはマグナムタイガーの代打を務められそうである。ただ、レッドフィンにはラトル有り版と無し版があって、その違いが見た目では分からんというのがある。最近ラトルの有り無しは釣果的にはハリ音とかもあるしあんま関係ないかなって気がしつつあるけど、やっぱり気にはなる。買った数がそれほど多くないので違いが分かってないだけかもだけど、11センチは2本ともラトル有りで、動きもおとなしめなので11センチは無しの方向で、14センチは購入してから手元に来るまでラトルの有無はまるで分からん感じで、それはジョイントも同じでかつラトルの音も違ったりして多少買ったぐらいでは何も分からんに等しい。派手にいくならラトル音有りのほうが良さげかなと思うけど、派手に行くならその前にまずジョイントの13センチいっとけ、というのが今のところの結論である。

 13センチのジョイント、すんごく暴れます。ジョイントなので後半のお尻のほうを振り回さなくて良い分、前半の本体がロールを伴ってグワングワンに暴れて、それにシッポの方が逆振りされる感じで感動的に派手。11センチの方は手元の個体2個はいずれもそこまで派手ではなくロール少なめニョロンニョロン系で今回の目的的には13センチジョイントが”合格”で13センチ太目が及第点ぐらい。なんでジョイントばかり買ったんだろうって思ったけど投げてみて分かった、3フックがじゃまくさいので2フックのジョイントを選んだんだろう。フック3つあると確かに掛かりやすくはなるんだろうけど、ハリ同士の干渉やハリ一つあたりのアワセの力の伝わり方の減少で抜けやすくなってトントンで、あげてからのハリ外しのめんどくささがあるから2本バリの方がワシ的には勝る。3本バリだと太いハリが背負わせにくいし前のフックがライン拾いがちなのも欠点か。ボーマーのロングAの15A、16Aで唯一気に入らないのは3本フックなところで、その点を改良したAソルトってのが一時出てたけど3本フック信仰は米国でも根強いのか定着せず廃盤になった。なんにせよ繰り返すけどレッドフィンの13センチは暴れる個体ならマグナムタイガー代打要員となるし、13センチジョイントはまた違って強力に派手なミノーなので買いである。で、レッドフィンといえば胸ビレが3本線で書いてあるのがお約束でレッドヘッドが代表カラーで中古の弾数も多いけど、レッドヘッド、東京湾でシーバス始めた頃の釣れない修業時代にCD7のレッドヘッドを使ってたせいでトラウマ級に”釣れない”印象があって正直苦手。とはいえフラットラップのレッドヘッドではけっこう釣ってだいぶ苦手意識薄れたのでレッドフィンではレッドヘッドも使う。ただワシ的に好みなのはいわゆる”練りパール”の青背で、その色の13センチジョイントがあったらもうちょっと買い足してレッドフィンはまあこんなもんでしょう。

 次がCLミノー、名工加藤誠司氏の作で、昔のシマノのエルモとかいうルアーが下野プロのお気に入りで、「あんなの作って」という要望に応えての焼き直しらしいけど、ラッキーのCL(クラシカルリーダー)シリーズは古典的なルアーの焼き直しらしく、ルアーなんて見た目とか古くさかろうがリアルじゃなかろうが、ちゃんと動く機能があれば釣れるんですっとかいうことを示したくて出したシリーズらしく、クランクはノーマンのリトルNだかの焼き直しのようだ。パクリといえばパクリだけど、そういう意図もネタ元もバラしたうえでパクってるのは”オマージュ”っていってよいんじゃなからろうか。オリジナルなルアーデザインも当然できるっていうか日本でも屈指のルアーデザイナーによる、あえての温故知新なオマージュルアーということか。とはいえ我が国の釣り人はバカが多いのでそこまで人気は出なかったようで、既に廃盤で中古も送料込み600円もあれば買えるので実弾として弾込めしやすい。ただ色が選べるほど豊富には中古弾数がない、というかこれだけ反リアルな造形でも、人気なのはゴーストアユとかメタリックワカサギとか地味な魚っぽい色でそのへんも我が国釣り人はバカが多いと再度書かざるを得ない状況。

 まあ、ワシャ色は好きに塗り替えれば良いので気にせずボロくて安いの買わせてもらいました。そういえばタイガーも塗装がワームで溶けてるようなのを中古屋で安く買って、スプレーで銀に塗ってウレタンコートかけるときに銀色のフリカケ振ってという、塗るのが簡単で地味系の内房運河実績カラーにして使ってた。内房シーバスにもタイガーそこそこ効いた。ということで、いつもの黄色白の”紀伊色”に塗り直したんだけど、色以外にもちょっといじった。CLミノーは固定重心で動きはまさにタイガーを彷彿とさせるような頭の方を起点にロールも伴ったグワングワンした泳ぎなんだけど、タイガーはノンラトルなんだけど、CLミノーは固定重心で、オモリが前後には動かないけど、横にはコトコトと動く金属球なのでラトル音はある。有るのと無いのとで、このルア-で釣れるような派手な動きが効くときに違いがあるか?っていうと、無いか、有るとしてもラトルあった方が良いんじゃないか?と思うんだけど、実際には状況にもよるだろうし実釣してみて試さなけりゃ分からんだろう。ということで写真のオレンジで囲ったところに入ってる、2個あるオモリの下から、玉が填まって落ち着くぐらいの大きめに穴開けて瞬着流し込んでオモリ固定。穴はティッシュ詰めて瞬着で固めた”ノンラトル”改造版と改造無しコトコトラトル音有りの2種類用意した。用意したんだけど、同じ色だとどっちがどっちか振らないと見分けがつかん。ということでタイガー化した個体には、タイガーっぽく縞模様を描いてみた。本家タイガーの縞模様、単純なヨコシマ(脊椎動物は背骨に垂直な縞が横縞)ではなくて縦縞の要素もわざと入れてあって、ロールした場合には縦縞の部分の動きが視覚的に目立つ的な解説をヒロ内藤氏がしてたけどホンマかいな?まあデザイナーが良い仕事した格好いい縞模様ではある。さて違いがでるほどかどうか?結果はいつ出るかわからんけど楽しみである。

 3つめが、今回の一番の大当たりとも言えると同時に問題児でもあり、大暴れしてくれたマッディミノー。96年のデュエルカタログでは「日本初の濁水型爆釣ミノー」とされており、そのアクションは「ハイサイドウォブルアクション」と書かれていたりする。ハイサイドってバイクがドリフトっていうかタイヤ滑ってるときに、タイヤが地面を噛んだ瞬間、車体が起き上がって滑ってた方向に体が持ってかれるような挙動のことで、事故ってるやんけ!って感じでなんのこっちゃである。要するにセッパリ形状というか、もはやバナナ状になってるボディーの背中をハイサイドよろしく右に左にロールさせながらウォブリングもするってことかなと解釈したけど、そんなに暴れるんならいっちょ試してみるか、と購入した最初の個体は肩すかし食らうぐらいで、あんまり暴れず口ほどにもねぇな、って感じだったんだけど、試し投げ中になんか良さげな魚が食ってしまい、かつしょうもないミスで切られてルアー口に付けたまま魚に逃げられるという失態を犯してしまった。魚が食うってのは魚釣りでは正義であり、もう一個買っておくかと購入した個体を投げて戦慄が走る。「何じゃこの暴れっぷりは?」。確かにセッパった背中をグワングワンと右に左に倒しながらの強いローリングを伴いつつ、やや前方起点に大きくウォブリング(横振り)もしていて、タイガーに匹敵するぐらいの暴れっぷりである。濁水型ミノーの名に恥じない暴れっぷりだと認めざるを得ない。かつ重心移動有りで太くて重量あることもあってぶっ飛ぶし、重心移動のオモリはラトルにもなってて派手さに拍車をかけている。動きの立ち上がりも悪くなく巻き始めてすぐにグワングワンと暴れ始める。欠点としては最初の個体みたいな”ハズレ”が出てくることにも繫がるんだと思うけど、動きの安定性がやや低いということか。

 タイガー、レッドフィン、CLミノー、マッディミノーに共通するのはミノーにしては太いボディーで浮力が強いことで、逆にマッディーミノーだけが異なる点は飛距離を気にしている点で、まずは重心移動が入っているのが目立つけど、実はもっと”動き”に関係してくるのはリップの小ささで、マッディミノー以外の3つのルアーの場合は、空気抵抗大きそうな、ボディーから角度大きくて突き出した大きなリップを持っているのに対して、マッディミノーは角度も浅く小さいリップが付いている。このリップでなんでタイガー並みに暴れられるかっていうと、ボディー形状全体でフラットフィッシュとかの本家?バナナ型ルアーみたいに泳いでいるのでリップが小さくできたんだと思う。ただそれで限界近くまで暴れさせると、安定した動きをさせるのが難しい。タイガーとかその点立派でけっこうな早引きにも対応するけど、マッディーミノーはそこまで早引き得意ではなくあんまり早引きすると重心移動のオモリの挙動も関係するのか、ひっくり返って跳び出したりしがちで、かつラインアイの調整がシビアでかなりキッチリ左右調整してやらないとすぐに片方に飛びだしてしまい動きが破綻する。90ミリと65ミリのJrの2種類大きさはあるんだけど、小さい方がその傾向は顕著で、ラインアイの微調整めんどくさいんだけど、決まるとサイズからは想像もつかんぐらいに水をかき混ぜるようにして暴れてくれる。90年代のイケイケのバスブームのころだからあり得た”攻めた設計”だったんだと思う。マッディーミノーが含まれるフューズシリーズはあんまり評判聞かなかったけど、地味にペンシルのバナナボートは現在でも形状はL-ブルー クイックドッグペンシルに引き継がれていってるように見受けられ、意外にやるシリーズだったのかもしれない。とにかくマッディーミノーは暴れる系ミノーとしてはタイガーとはまた違った一つの極致であるとまで書くと大げさかもだけど、なかなかお目にかかれない個性的なミノーなので超気に入った。この強烈なアピール力、どっかでハマるときがあるに違いない。とりあえずこれまた色が選べるほど中古の弾数がないので、とりあえず安いのもあって片っ端から確保した。現在一時的にヤ○オク、メル○リから安い中古品が消えてるけどワシが買い占めたせいですゴメンナサイ。でも、黄色いお店とかの中古釣り具屋に行けばワンコインもせんぐらいでそこそこ珍しくない程度にはぶら下がってるはずなので、是非手にしてその暴れっぷりを楽しんでみて欲しい。これ使いこなせる人にとっては他で代替不能の切り札になるかもしれん。代替しようとすれば、いっそクランクベイトから探した方が正解がある気がする。それぐらい強烈なアピール力ある強い動きのミノーだと思う。こういうのを温故知新で見つけることができたりするから、ルアー買うのはやめられんのよね。

 と言うことで、グワングワンに暴れるミノー四天王はワシ的にはタイガー、レッドフィン、CLミノー、マッディーミノーで、ほかにコイツらほどではないけど暴れん坊だったのが、すでに紹介しているヨーヅリ「クリスタルミノー」クリークチャブ「パイキー」で、クリスタルミノーはややおとなしめ、パイキーはロールがあんまり入らない系、どちらもこれはこれで魅力的なのは言うまでもない。ちなみに四天王ってなんぞ?って思ったのでググったら、仏教由来で持国天、増長天、広目天、多聞天の四神のことだそうな。

 って感じでこのへんについても一応の終息状態になってきたんだけど、途中マッディーミノーにたどりつく前に、暴れるミノーは全部太くて固定重心ということで、なんかKテンみたいな太目のシーバスミノーの重心移動のオモリを固定したら良い動きになるんじゃないか?という今考えたら泳がせているときは基本オモリの位置は固定されているわけで動きが変わるわけないんだろうけど、とりあえず試してみた。”ガン玉ぶち込み”みたいな後で抜いたら元に戻せる改造ではなく、瞬着流し込んで固めてしまうので、Kテンやらザ・ファーストを贄にするのはしのびなく、どうでもいいようなパチ臭い重心移動の太目のミノーで試すか?ということでマミヤOPのマリンファイターというのが安かったので、穴開けて固定重心化してみたけど、固定重心のオモリが音をたてなくなったっていうのは変化としてはあったのかもだけど、動きは変わらず。飛距離は重心移動を想定して設計されてるヤツを固定にすると飛行姿勢が崩れて飛距離出しにくいねってのが分かった。試す前にわかれよって話か。
 

 という感じで、暴れん坊ミノーについては良い感じに自分の中で整理がついて、実弾もそこそこ確保できてめでたしめでたし。なんだけど、アメルア方面暴走状態が、今セ○イモン倉庫への入荷待ちになってるのが無事海を越えて我が家に到着したら、一応の一区切りになるとは思う。けど、到着までいましばらくかかるので、またその後ネタにすることにして、”海水温上昇対策”ネタは一旦中断という感じになります。記事をお届けできるのは秋頃かな?まあそのへん船便次第でということで、塩味やや濃い目でお届けしたいとおもっちょりますのでこうご期待。

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