釣り具に求められるものは、必ずしも性能や実用性だけでないことは重々承知で、ややジャジャ馬な丸ミッチェル使いこなす楽しみなんてのも知って、そういう実用面以外も大事だと改めて思うようになったけど、今時のリールが高性能高機能を謳ってるわりには、ぜんぜん道具として実用度が高くなさそうに思うのであえて書く。実用性にこだわるなら、4桁PENNで事足りる。今時のハンドルもたためン、水辺で使うのに浸水したら不具合生じるようなクソリールよりは少なくとも実用性が高いと改めて書いておきたい。
でもって、今6台の4桁PENNを整備しているところなんだけど、最近ワシもうちょい古い時代のインスプールの714zをシーバスでは主に使ってるし、4桁は青物とか狙うのに4500ssをたまに投入するぐらいで出番作れていないのになぜ6台も整備する必要が出てきたのか?縁というのは実に妙なるもので、当ブログの読者様から「実はペンリールを整理していた所、使わないリールなどが出てきたので是非ナマジさん引き取って頂けないでしょうか?ヤフオクなど出品も面倒でしないので受け取って頂けるとありがたいです。」とのメールがあり、まあワシも好きなほうなのでありがたく頂戴したところ、送られてきたリールたちをみて「しまった、軽くホイホイともらってしまったけど、これはモノが良すぎる!」とちょっと焦った。使い古してボロボロのを何台かもらって使えるように整備してやろうぐらいのつもりでいたけど、1台やや回転重くなってるのがある程度で、特に整備無しで実戦投入しても問題無さそうなのが、スペアスプールも豊富に6台。具体的には5500ss(j)3台、4500ssj、4400ss、440ssで、そんなに値段がつく機種ではないにしても実用機としての根強い需要はあって、1台5千円ぐらいはヤフ○クとかに流しても値が付きそう。銘板ハゲ個体すら一台しかなく状態は良好。
さすがにこれは申し訳ないと「オクで売るので半額返させてください」等と提案してみるも「ブログ楽しませてもらってるお礼です、老後の資金の足しにでもしてください」とやんわり断られてしまった。ここでご厚意を固辞するのが不粋なのは自明なので、ありがたくいただくことにした。特に、ドングリノブとコーヒーミル型ノブの個体は、PENNのT字ノブは軸がやや太く指の腹が痛くなってくるのであまり得意でないワシには好適で、中型機のコーヒーミル型ハンドルは中古市場でも弾数少なく貴重なので実用面でありがたくもある。
とはいえ、わしの釣り人人生はこれまでも諸先輩方や仲間にいろんなモノを有形無形問わずいただいてきてばかりである。いかがなモノかと思わなくもない。とても素敵なエピソードで何度か紹介したネタだけど、スピルバーグ監督がインタビューで「あなたは既に充分なお金も名誉も得ているのに、なぜまだ映画を撮り続けるのですか?」というクソみたいな問いに「オレはディズニーに神聖な負債があるんだ。だから映画を撮り続けなければならない」と答えていて、いたく感動した。ワシも諸先輩方や、釣りの技術や文化を創造してきた先人達にシャレにならないほどの神聖な負債がある。良くしてもらった本人に返す機会があれば返しても良いんだろうけど、彼らはワシからの見返りなど期待もしていなければ、彼らに受けた恩に報いるだけのものを返す術もぶっちゃけ持ち合わせていないし、遠い先人とかであれば返しようもない。ただ、ワシが負債を返すのを、彼らが若輩者であるワシにしてくれたように、ワシの後輩である若い釣り人やらに返すというのは、神聖な負債の返し方としては上等で真っ当なものであり、そうやって技術だ文化だ精神だというものは引き継がれていくのが正しいのだろうと思う。微力ながらワシもそう思って、釣具屋さんにあんまり騙されすぎないように、こんなブログを書いたりしているし、迷える子羊たちにヒントになるような釣りに関するアレコレを書いたりもしている。釣りの面白さ、楽しさ、苦しさ、難しさをも伝えたいと、丸ボウズくらったり手ひどい失敗したりとかもなるべく包み隠さず釣行顛末記の方には書いている。そういった聖なる負債の返済の一環として、今回、新春お年玉企画として、縁あってわが家に来た4桁PENNのうち、とりあえず確保したい3台を除いた3台を、4桁スピンフィッシャーの良さを知ってもらって、実用度の高いリールっていうのはこういうモノだよってのを実感してもらうために、きっちり整備して読者にプレゼントしてしまおう、というつもりでいたところ、お屠蘇気分を吹っ飛ばす北陸の地震で企画は一旦お蔵入りとした。
で、まだまだ被災者はインフラの復旧もままならない中ご苦労されているとはいえ、ボランティアの募集も始まったようで、次の段階に移行しつつはあるようだ。ということで、そろそろ良い頃合いかなと蔵から企画を出してきたんだけど、ワシ良いこと思いついた。これ自主的チャリティーオークションにしてしまって、得たお金を能登半島地震関連に募金してしまえば、4桁PENNが欲しい人にリールが渡って、かつ復興の一助にもなる。ワシは整備と出品の手間ぐらいで、元の持ち主の方も悪くない使い方だと思ってくれるだろう。ということでチョイチョイとパーツを組み替えたりしつつ比較的綺麗でかつ、売りやすいラインローラーにボールベアリングが入ってる”ssj”な5500ssjと4500ssjとをヤフオクに出して売上金を全額寄付。残りの一台5500ssは銘板片ハゲ個体なので値段つきにくいし、コイツは読者への遅いお年玉ということで一名様に送料もこっちで持つのでプレゼントしてしまいたい(海外の方は送料高いので無理です)。お年玉の方は使って気に入らなければ売っぱらおうがなにしようがかまわないけど、最初から転売目的は遠慮してください。何釣りに使う予定か等を書いてサイトのホームページ下の方にあるメールアドレスまで「5500ss希望」と明記のうえ、送り先、氏名と電話番号を書いてご連絡ください。着順とメール内容を考慮して、こちらで一名様に発送させていただきます。ヤフオクの方は、商品説明の隅の方に括弧書きで(売り上げは寄付する予定だけど落札者に個別に報告とかするつもりないのでブログ読者以外は気にしないで)との旨書いて出品中です。締め切りは17日(土)の夜ですのでふるってご参加ください。売り上げ寄付した証拠の画面はプリントスクリーンででも保存して後で当ブログでご報告かなと考えております。
というわけで、久しぶりの4桁PENNの全バラしフルメンテ、改めて気がつくことなどもあったので、4桁PENNの宣伝がてら、その設計やら何やらを紹介してみたい。とりあえず4500ssと5500ssは大きさが違うだけで設計等はほぼ共通の兄弟機なので、4500ssjを例にご託を述べてみたい。
まああれだ、リールの本質は”糸巻き”と言われるぐらいでスプール周りのデキの良さ作りの丁寧さを見てもらえれば、このリールがいかに実用度が高く、戦闘力が高いかご理解いただけるかと。ドラグは3階建てでカーボンシートのバッドと、別にどうということはないように見えるかもしれない、ただカーボンのドラグパッドにはインターナショナルやセネターといったトローリングというドラグが重要な釣りでPENN社が培った技術がこめられており、スピニングへの採用に関しては先駆者的な存在でもある。多少調整幅が今時のスピニングより狭い程度で、ドラグの性能自体はPENNに勝てるモノがあるとは到底思えない。トローリングの世界での圧倒的な実績を考えると昨日今日ドラグを付け始めたメーカーのドラグが魚掛けてからの性能でPENNを凌駕することなどありえんぐらいに思っている。そのぐらいPENNのカーボンドラグパッド”HT-100”は信頼性が高い。調整幅がやや狭いけど、だいたいそのリールの大きさで狙う魚に相応のドラグ値あたりにドラグノブ締めていってキュッと締まる前後で決まるようにはなっていて、気に入らなければ緩めるなら一枚テフロンパッドに締めるなら一枚赤ファイバーワッシャーにとかで調整は可能。あと、初期のドラグノブは樹脂製だったけど、途中からドラグワッシャーを押さえる部分は真鍮製になっていて、高速でスプール逆転してドラグが熱くなってドラグノブが溶けることがないように改良されている。ドラグはそのぐらい熱を持つということは知っていると、ペットボトルの水掛けて冷却したりと対策もとれる。
でもって、ドラグがブッ刺さっている軸は真鍮で太くしてある。これ理屈は良く分からんけどドラグの作動が安定するようには感じていて、アメリールだと60年代製造のシェイクスピア「2062」も既にそうなっていて、干からびてた皮のドラグパッド換えてやったら調整幅、作動の滑らかさ共に文句なしの状態に調整できた。軸が太いのが安定性に寄与するのなら、ボールベアリング噛ませるのも軸?は太くなるわけで安定性の面では役立っているのかもしれないが、何度も書くけど負荷が掛かった”重い”状態で回転して機能するドラグにボールベアリングの軽く回る”低摩擦生”は全く必要ないだろうと思う。ポリアセタールのブッシュでもカマしとけば軽くて安くて充分だろうと思う。アホかと。あと、この真鍮製の軸、実は割れます。といっても割るのにワシぐらいのヘビーユーザーで10年ぐらいかかったけど、当時はすぐにPENNリールジャパンから部品取り寄せ可能で問題生じず、後に「ミスティックリールパーツ(当時のスコッツ)」さんで予備確保しておこうと思ったら実際に割れた5500ss用のは売り切れていて、ハードに使い倒すとやっぱり割れるようなのである。ちなみに4500ssのは在庫あったので確保してある。真鍮の部品が割れるぐらいに海のルアーとかやってると道具は酷使するわけで、ドラグなんて滅多に使わない内水面の釣り中心の場合とは道具の評価基準も自ずと違ってきてあたりまえである。
ということで、本体は4桁になって樹脂性になってもスプールは丈夫なアルミ製。でも丈夫なアルミ製だとしても真鍮の軸が割れるぐらいにドラグを使うことを想定すると、軸をアルミで直受けすると削れる。なので、ポリアセタールかなんかの黒い樹脂製のスリーブが入れてあるって思ってたけど、今回よく見てみたらスリーブには真鍮製のものもあるようで、いずれにせよ回転部分は直受けせずにスリーブ入れるという丁寧な仕事ぶりなのである。下の写真の右が樹脂スリーブ入りで左が真鍮スリーブ入り。
スプールエッジの形状も真っ直ぐで端だけちょっと斜めってて、今時のスピニングと機能的にあんま変わらん。この4桁PENNのスプールから、今時の高級スピニングのスプールがなにか進歩して明らかに優れている点ってあるんだろうか?ワシ思いつかないんだけど?かつ、ボールベアリングまで入れてクソ高くなってるとおいそれと替えスプール体制組めんだろって話で、新品で2千円台とかで売ってて替えスプール2個3個と用意していろんな釣りに対応できたりしてた4桁PENNのアメリールらしい質実剛健、実用的で無駄のない造りは”戦闘能力”高いなと思うのである。替えスプールは増やすと如実に効果がある買う価値のあるモノだと思うけど、今時の高級リールのユーザーってちゃんと替えスプール用意してるんだろうか?替えスプールだけで何万とかしてまっせ。
次にパカッと本体蓋を開けていく。ギアとスプール上下機構(オシュレーション)は普通。どってことない仕様でローター軸のギアは真鍮、ハンドル軸のギアは真鍮の軸を鋳込んだ亜鉛、と真鍮と亜鉛の経済的なハイポイドフェースギア。スプール上下機構もハンドル軸から回転を持ってくる単純な減速式で、今時のみたいにカムがS字になってたりしないので巻き上がりは上下に盛り上がりができる。けどまあ気にするほどでもないかなと思ってる。端が崩れてドバッと出るライントラブルとかは糸巻き量を減らせばどうにかなるし、スプール上下幅と糸巻き幅をキッチリ合わせたければスプール下面に板でも貼って調整してやってもいい。ワシャそこまでやるのは面倒なので、スプール座面のテフロンワッシャーを薄いのに換えて前巻き気味にして使ってたりもするけど、そのままでやや糸巻き量少なめ運用が面倒が無くて良いかなと思ってる。特に尖ったところのない”普通”の安っぽくさえあるギア周りである。ハンドル軸が真鍮でネジ込みハンドルになってるのは丈夫で良いけど、こんな安デキのギアで大丈夫かと、今時の”我が社のギアは特別製で素材からして強度があって”とかやってるのを目にしていると思うかもしれない。でも大丈夫なんである。回転の軽さとか本体の軽さとか気にせず、充分な余裕を持って設計しているんだろうとおもうけど、この4桁PENNのハイポイドフェースギア、ワシいまだギアが逝くまで使い潰した個体はないっていうぐらい長持ちします。超ジュラルミン?鍛造?そんなもんどうでもいいから、充分な分厚さと接触面を確保して設計しておけって話なんだと思う。どうせ魚釣るときには魚が掛からなくってもルアーの重さとかが掛かった状態で巻くんだから、リール空回ししたときにいくら軽く回っても意味ねえっちゅうの。ギア比やらギア方式を効率よい方式に変えるのならいざしらず、空巻きした時に軽くまわる性能が魚かかったときに軽く巻けることに有利に働くとは思えない。マイナスには働かなくとも無視できる程度の差でしかないだろう。例えばシャッターの上げ下ろしの手巻きウィンチとか、ベアリングもクソもないようなキリッキリやかましい代物でも、ギア比が適正ならキリキリ巻いてるとちゃんとシャッター動いてくれる。あれにベアリング入れて空回り時クルックルに仕上げたとしても軽く回せるようになる理屈が無い。油ぎれで重くなってたらさすがにまずいだろうぐらいのことはあるにせよ普通に回ってれば充分で、空回しでクルクル軽く回ることと魚が掛かったときに力強く巻けることにはあんまり関係がない。よっぽど軽い仕掛けやルアーを使う場合は空回しと同じような巻き心地で釣りができるのかもしれないけど、そうなってくると巻きが軽すぎるときに起こりがちな”巻き感度”が悪くなるという不具合も生じてくる感じで、空巻きで軽く滑らかに回ることに実釣上の優位性などほぼ無いと思った方がいいと思う。本体樹脂製なんだけど、本体蓋留めているネジはタップネジを樹脂に直接ねじ込んでるんじゃなくて、金属製の雌ネジを填めてあって、分解清掃等メンテナンスを前提として設計されていて好感の持てるところ、スピンフィッシャー第4世代の430ssgは使ってるウチにネジ山潰れてきてリコイルで修復した。
あと分解清掃で憶えておいた方がイイのがハンドル軸のギアを抜く順番で、本体蓋開けてすぐに抜こうとしても抜けない。なぜならスプール上下用の歯車が主軸と逆転防止のスイッチ用の軸に邪魔されて抜けないから。まずネジ2つでガッチリ止めてある主軸を抜いて、しかる後にハンドル軸のギアを抜くというのがお作法です。
でお次はローター周りバラしていくんだけど、この個体はラインローラーにベアリングが入っていて、かつ規格品の小さいボールベアリングにあわせたのか、ラインローラーの填まる軸の太さがそれまでと違う新規格になっている。そして、その太さの違うベールワイヤーの軸に銅色のボールベアリング入りラインローラーが填まっているので、社外品のボールベアリング入りラインローラーを組みこんだのではなく、コイツは4500ssの終盤にでた4500ssjなんだろうと思う。ベールワイヤーごと交換してssj化するのも良くやられていたので、その可能性もあるけどとにかく仕様としては4500ssj。これが、つねづねこんな潮かぶりやすいところにボールベアリング入れたらいかん、と言っているのを裏付けるかのように錆が出ている。この位置のボールベアリングの錆を防ぐには毎回塩抜きでパーツクリーナーやCRCに漬ける必要があって、海で釣りする人には一般的な水道水でジャブジャブ洗った程度では塩残ってしまう。だったら錆びないポリアセタール樹脂入りの旧型のラインローラーの方が良いじゃないか、ということなんだけど、シーバスぐらいまでは全くそうだと思う。陸っぱりの青物でもそれで足りる。でも船でシイラカツオ釣りに行ったら、なんかエラいのが掛かってしまった、っていう状況は想定の範囲内である。具体的には10キロ越えるようなマグロ系、メーター軽く越えるようなサワラ系、あるいはカジキ系のような、ある程度重さもありつつ速い魚だと、ラインローラーにベアリングがあった方が安心なんである。ラインローラーの回転に掛かる力(摩擦力≓回転の重さ)は、ラインを引っ張る力と引っ張る早さの2乗に比例するはずで、設定してたドラグ値で速度が落ちていく程度の大きさの魚はいかに速くてもラインローラーの限界を超えることは無い。カツオとか速さは特筆モノだけど、普通2キロとかのドラグを逆転させながら加速していくほどではない、これが重さも速さもある想定外の大物だと、設定したドラグ値を屁ともせず加速していき、速さの2条に比例するが故にある程度の速度に達するとアッサリとローラーの回転を止めるほどの摩擦力が生じてしまい回転が止まり、固定式のラインガイドに成り下がりかつ90度一番角度を付けてラインを曲げている摩擦がキツい部分がローラーの部分なので「バンッ!」と破裂音を残して切れてしまう。んだと思うんだけど、まあ理屈はこれであってるのかどうか知らんけど想定外の速度で走られるとラインローラーで切れるっていうのは現象としてあると思う。なので、マグロやらがでてきそうな海域に船をだすとかの場合は、ラインローラーにベアリングが入ってるのは安全策として機能しえる。元々のラインローラーの回転にかかる力、引っ張る力がボールベアリングが入れば軽くてすむようになり、かなりの状況に対応できるようになるだろう。ということで、ワシは船で沖に出るときは念のためボールベアリングあった方が良いかな、って思って、陸っぱりなら青物狙いであってもマグロなんぞかからん!(とは限らんけどな)と割り切って手入れが面倒じゃないボールベアリング無しの樹脂製スリーブ入りを選択している。まあこの辺は、毎週、毎夜のように行くシーバス用のリールで毎回塩抜きとか面倒だけど、年に2、3回とかのシイラカツオ船ならその時ぐらいは塩抜きするかっていう感じかと。 ローター周り続いて、ベール反転機構とベールスプリング。なんてことはない、3巻きになって、多少耐久性ありそうとはいえ普通のベールスプリング、そして2つのバーツでベールを反す、ベール反転機構。特に変わったものが入ってるわけじゃないけど、特徴としてはベールスプリングがベールワイヤーのお尻側に入っていて、ベール反転機構がベールアーム側に入っているということか、これ5500ssとも4400ssとも共通の設計。って書くと550ssオーナーから嘘つけ、とお叱りをいただきそうだけど、そのへんの話はまた別途まとめてみたいと思っております。5500ssと4500ssはローター周りも含めて共通の設計が多い兄弟機です。でも550ssと450ssは必ずしもそうじゃないのよね。
で、ローターの下にはストッパー関係が鎮座している。ローターの下には当然雨水も入ってくれば、水没させれば塩水も入ってくる、この位置に瞬間的逆転機構を入れているスピニングをこれまで口汚く罵ってきた。アホかと。濡れたら困るんなら大森やカーディナルCとかのように本体内に入れておけよと。でもPENNのこれは何の問題もないと思っている。
見たら分かると思うけど、真鍮ステンレスアルミと濡れて困るような素材の部品はまったく見えない。下に鎮座しているステンレスボールベアリングへの浸水が”グリスシーリング”で防ぎきれなかった場合、ベアリングが錆びて交換とかになるけど、水没したところで、この部分に塩水かぶったって当座は別にどうともならん。だから別にこのリールにご大層な防水性能なんてのは必要ではない。常々書いているように瞬間的逆転防止機構なんていう、利点がしゃくったときにガチャガチャいわないぐらいしかない、水で濡れると困る機構を水辺で使う道具であるスピニングリールに入れるからアホみたいなリールになってしまうんである。馬鹿くせぇ話である。
上の写真の手前に見えている真鍮の部品はベール反転の蹴とばしである。樹脂でもいけるだろうけど、そこはPENNしっかり金属にしてある。ただ見ての通りローターブレーキの類いは付いていないので、キャストがぶれると意図しない反転がガッシャーンと起こるときはある。ちょっと適切な場所がないのでマジックテープ貼り付け型のローターブレーキ追加は難しく、やるなら大森式に薄い銅板でも曲げてれいの“簡易ローターブレーキ”を追加するほうが簡単かもだけど、もっと簡単で抜本的な方法として、邪道ではあるけど、ベール反転機構の部品2つを取っ払ってハンドル回ってもベールが返らないので手で返す”マニュアルベール反転機”にしてしまうという処置がある。実際ワシ4500ssはそれで運用している。ワシ、ライン放出の調整は右手人差し指で行ってハンドルでベール返すのも、ライン調整左手でしてそのまま左手でベール反転させるのもどちらもできるので使える外法。まあ、正道はぶれずに真っ直ぐ投げておけば意図しないベール反転は起きないはずで、キャストがきちんとできるように練習しておけって話なんだろう。でも人間たまにミスるもので、良いところでミスるとムカつくので、外法をもってことをしのいでおるしだいであります。
分解進めていくときにストッパーを外すときにはお作法があって、下の写真の様にドックの金属板の爪でラチェットをはさんだまま2つの部品を一緒に抜いてやらないと外れない。填めるときも同様。で、このストッパーは真鍮でガッチリしてるのでとても丈夫。ドックの爪が経年劣化で割れることがあるので予備部品は確保してあるけど、ラチェットはなかなか壊れない部品で、結局スピニングリールで強度がいるのは、アワせ喰らわしたり、魚が突っ走るのを止めたりというときに逆回転を止めているストッパーと、高速で魚が突っ走ってるときに作動しているドラグ周りであり、それ以外の部分の強度なんてそんなにいらんと思っている。ギアなんて亜鉛と真鍮のハイポイドフェースギアで充分、ボディー剛性?樹脂で結構、剛性とか五月蝿いこと言ってハンドルもゴリ巻きで壊すヤツはスピニングの使い方が分かってないってだけでPENNなら純正品で充分。ゴリ巻きが必要ならそもそも強度が出しにくいスピニングにこだわらずベイト使えって話で、投げるのが難しいっていったって、それをどうにかするのが”釣り人の腕”ってもんだろうと思うし、今時”DC”とか最適なブレーキを制御してくれる機構とかもあるんだろ?ベイトで投げとけって。スピニングはゴリ巻きせずにポンピングで竿で稼いだだけ巻き取る。基本のキだとワシャ思うんじゃけど、磯に乗って記録魚狙うような人除いて大型魚狙いでベイトでキャスティングってなぜか流行らんのよね。
という感じで、それほど複雑なリールじゃないのでサクサクと分解できる。難しいところも特になく整備性は極めて良いのがPENNの魅力でもある。今回樹脂製本体ということで、本体の汚れはCRC吹いてぬぐっておくぐらいにとどめている。パーツクリーナーはそこそこ強力なので、金属本体でも塗装剥げたりはやらかしているので、使う時は注意した方が良さげ。樹脂製本体は塩水でも錆びることがないのは大きな利点。
ラインローラーのベアリング始め、ボールベアリングは針で突っついてCクリップ外してシーリングが外せるものについてはハズしてパーツクリーナーで洗浄してから、耐塩性重視のマキシマグリスをぶち込んでやる。これで多少は塩に耐えてくれると期待したい。でもまあラインローラーのボールベアリングはマメに塩抜きしないとダメだろうなとは思う。
組むときは、金属パーツにはグリス盛り盛りでもってやり、ドラグにはPENN純正を盛ってやったので、ドラグもバッチリだろうと思う。基本的には、放置でも大丈夫なリールなので、ラインローラーのボールベアリングの塩抜きはマメにしておくべきなんだけど、その他にはドボンと水没させてプクプク内部に海水が入ったとかがなければ、これといって分解整備の必要がないぐらいで、海から帰ってきたらシャワーとかでジャバジャバ洗って乾燥、ハンドルノブの根元、スプール外して主軸の根元への注油、ラインローラーへの注油ぐらいの外回り注油だけで5年、10年と好調に使えると思います。スペアスプールも2個付いて、戦闘能力は充分。これはお買い得でっせ。ベールスプリングは交換必要になるので須山スプリングさんに作ってもらうか自作しましょう。
5500ssjと5500ssも同様に分解整備。”勝手にチャリティーオークション”用の4500ssj、5500ssj、お年玉読者プレゼント用5500ssもスペアスプールは2個付きです。ただ、プレゼントの5500ssにつけたスプールのウチ1個は純正ではない樹脂製のパッドが入ってます。調整幅は増えた感触だけど耐久性とかはどうなのか使ってないのでぶっちゃけ分からんところ。たまにPENNのドラグパッドをフエルト製に換装してあるのとか目にするけど、PENNのHT-100という信頼性の高いドラグパッドを調整幅増やすため程度の理由でわざわざ交換する意味が分からんなと思っちょりますが、何かワシの思いつかん利点あるのかも。ないのかも。
ってことで、瞬間的逆転防止機構が搭載される前の4桁スピンフィッシャーって、使ってて問題のない機能、丈夫さ、耐腐食性、メンテナンスのしやすさ、特筆モノのドラグの良さ、モロモロ勘案すると、買ってずっと使える一番面倒のないスピニングだと思うので、まあ評価基準が違えば自ずと答はまた違うんだろうけど、海での釣りが多くて、雨や波飛沫をかぶっても釣りをして、毎回全バラするほどまめじゃないけど、道具いじるのが好きならば、4桁スピンフィッシャーはそんなあなたのためのスピニングです。お年玉希望、オークション参加お待ちしております。
※お詫び:普段からクドクドと同じことを繰り返す芸風ではありますが、今回珍しく風邪ひいて(38度以上の熱が出てたのでインフルやコロナだったかも)熱にうなされつつ書いてたせいか、さらにネチっこく妄執的な書きぶりになっておりますことを伏してお詫びします。健康って大事。
この記事読んで私も440ss復帰です。
返信削除コチ&ヒラメ目的のナイロン担当です
私も4桁スピンフィッシャー中期モデルのあのノブ合わないですね
魚雷ノブからPENN人生始まったのが理由です
4500ss〜6500ssのHT−100ワッシャーの使い古しの薄いやつ、
ミッチェル持ってたら有効活用出来ますので捨てずに保管しておくのが吉です。
おはようございます
削除昨日ちょうど440ss整備してました。来週そのへんのネタもあるのでお楽しみに。
ペタンコHT-100、教えていてだいて既に丸ミッチェルに活用済みです。良い感じです。