現在主に冬場のカマス釣りで振ってるフライロッドは「ロッキーマウンテンアウトフィッターズ」っていう米国のアウトドアツアー会社の貸し出し用竿っぽいブランドの8番9フィートで中古で安く手に入れて2021年5月から使い始めてはや4年という感じで、さすがに冬の間だけとはいえ年間5~60日は出番があるので、およそ想定していない酷使具合だったようで、針金のガイドが削れて糸溝だらけになってきた。
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左が一般的なスネークガイド、右がシングルフット方式 |
ガイドの向きは、ブランクを巻いて焼くときに巻いた端は重なり厚くなるので、その方向は反発力が強く、いわゆる「スパイン」と呼ばれ、スパインを背中に持ってきてガイドの向きを決めるのが定石。だったんだけど、最近のブランクスは軽さ重視で薄いシートで巻くようになってるのでスパインがハッキリしないとかも聞く。その場合は無視しても良いだろうけど、換装なら元々着いていた方向にガイドを付けておけば安パイかと。昔のスパインがハッキリしたブランクで変な方向にガイド付けると、投げるときとかに竿が気色の悪い挙動をしたものだけど今時は気にしなくて良いのかもしれない。ちなみにグリグリとブランクを曲げつつ平面に押しつけて転がしてやると、明らかに反発力が強い方向があって、それがスパインの方向。
で、トップがとりあえず付いたら、スネークガイドを全部取っ払って、新しいのを補修糸で巻き留めていく。外すのは、ガイドの上とかの金属部分をちょっと切って、巻かれているスレッドの端をつかまえて引っ張るとクルクルと剥がれてくれる。端をつかまえるのには魚の中骨抜き用のピンセットがちょうど良く便利。 新品のガイドは足の先をヤスリで削って尖らせておくと、補修糸が滑らかに乗って段差ができにくい。ラッピングスレッドとしては「イカリ印の補修糸」を何度も書いているけどお薦めする。何が良いかというとナイロン「極細」表記にもかかわらず、昔のグデブロッドのラッピングスレッドを知ってる人ならウヘェってなるぐらいに太い。太い分丈夫なのでギューッとしっかり巻き留められるのと、太いので巻く時間が少なくて済むというのがあって、特に後者は手巻きしてるとありがたい利点。欠点は巻きが厚ぼったくなるのでその分の重量増加と見た目がスマートさに欠けることぐらいか。まあ逆に力強い見た目になるので良しと思ってる。ガイドを巻き留めていく「ガイドラッピング」の具体的な方法については、過去にサイトの方で紹介しているので、そこから引っ張っておきます。
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古いガイドが外れたら、新しいガイドを瞬間接着剤かテープでロッドに仮止めして、スレッドで固定します。
スレッドの巻きはじめはスレッドの端をテープで固定しておくとやりやすいです。
スレッドの巻き終わりの処理は、細くて強いPE等をワッカにしておいて巻き終えるちょっと前の段階でスレッドで巻き込み、そのワッカに巻き終えたスレッドの端を通して、巻いたスレッドの下に通してほどけないようにします。
黒一色だと見にくいのでスレッド巻く作業だけ色変えて再度写真に納めました。
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という感じです。
今回、コーティングに使ったのは、定番の2液反応型のエポキシ系ではなく、ウレタンコート剤。ウレタンも昔から竿補修コーナーには2液性のものが売られていたぐらいで、竿補修には使える素材だけど、今回使ったのはルアーのコーティングなどに使う1液性のウレタンコート剤の東邦産業「ウレタンフィニッシャーEX」で、こいつを長持ちさせる方法が分かったので今後はガイドラッピングにはウレタンコート剤を使う予定。エポキシは意外と消費期限が短く、やるなら竿を何本かまとめて作業したくなるけど、ウレタンコート剤は”使う分だけ小出しにして空気中の水蒸気と反応させないようにして冷凍庫保管”でほぼ消費期限気にしなくて良いぐらい長持ちさせることが可能で、ちょっと使って残りはまた今度、ってのも大丈夫と判明した。そうなると使い勝手が良く、ぶっちゃけ、コーティング剤は固まった後も適度に柔らかく割れにくい樹脂で、補修糸なりラッピングスレッドがほつれないように固めることができれば用は足りるわけで、ガイドを竿に固定しているのはあくまでも補修糸なりスレッドだということが理解できていれば、ガイドラッピングには何が何でもエポキシ樹脂ってこだわらなくても良いんだと思っている。まあ、メーカーとか今時はUV固化レジンだし、釣り場で急ぎ補修とかなら、ナイロンラインでぎっちり固定して瞬間接着剤で固めても釣りはできる。というわけで、コーティングはまあできれば見栄え良さぐらいは気にするけど、ぶっちゃけほつれなきゃそれでいいので、大事なのはガイドを糸で巻き留めるときにしっかりテンションかけて巻いてやることだと思っている。何度か書いたことの繰り返しだけど、そこのところがキモなので意識しておきましょう。
でもって、その仕上げのコーティング。ロッド回しにセットして、樹脂が偏らないようにユックリグルグルさせながら、割り箸削ったヘラにウレタンコート剤を乗っけるようにしてペタペタと塗っていく。1液性ウレタンコート剤と、2液性エポキシコート剤の違いは若干あって、エポキシは実は重ね塗りが苦手で、重ね塗りする前にはサンドペーパーで塗る面をザラつかせておかないと上に乗せたエポキシを弾いてしまったりする。それもあってエポキシの場合はワシャ重ね塗りせず、基本は一発塗りで分厚く盛って仕上げていた。その点1液性ウレタンコート剤は重ね塗りは問題ないんだけど、エポキシに比べると固化時に”痩せる”割合が大きくて、エポキシは2液の科学反応で固まっていくので、盛った厚さに近い感じで固まってくれるけど、ウレタンの場合は空気中の水蒸気と反応して固まる理屈らしいけど、なんぼか有機溶剤が飛んで乾燥してもいるらしく、盛った分よりは薄い皮膜になる。ということで、今回は被膜が一回塗りでは薄い感じだったので二回塗りで仕上げた。まあ一回塗りでもほつれないだろうとは思うけど、なんとなく見栄えも気にしたりしてるのです。固まるのは半日も回しておけばOKで、そのあと吊すなりしてしっかり被膜が固化するまで触らないようにして1週間もおけば万全かと。まあ、ワシャ冬までこの状態で寝かしておくので問題ないだろう。良い感じに仕上がったと思う。
竿は、ラインやハリに比べれば長持ちするものの、部品取っ替えればずっと使えるリールと違って消耗品の部類だと思っている。使っていれば最終的にはブランクスの繊維が切れてきて、だんだん反発力が無くなっていって最後には普通に使ってて突然折れる。カーボンのテニスラケットとかでもほぼ同じような折れ方をするので、カーボンやグラスのブランクスは基本そういうものなんだろうと思っている。ブランクスが寿命を迎えたらその竿の寿命と諦めざるを得ないけど、意外にガイドが先に折れたり削れたりというのはあって、その場合”コスメチック”を換装するお化粧直しの技術を持っていると、お気に入りの道具を長く使うことができるし、なんなら竿を使いやすいように”魔改造”することも可能なので、身につけておいて損はない技術だとお薦めしておきたい。春ですし、ラインシステムも通らないクソみたいな小口径ガイドのついたクソ竿も、お化粧直しでべっぴんさんにしてあげてみるのも一興ではないでしょうか?ぜひ挑戦してみてください。竿一本、ガイド位置やら決めて組み上げるのはそれなりに難しいけど、ガイドの交換ぐらいなら簡単なので、気軽に楽しみましょう。
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