メイドイン韓国ながら、国内で販売されたリョービ「222」と同型機という謎の機種ではあるけど、まあ
「XRL35」と兄弟機であるのは見てのとおりだから、設計的にも同じようなもので、ぶっ壊れて上部が欠損してるスプールの再建だけがネタで、後は粛々とサクサクと済まそうと思ったけど、そうはいかんのでござるの巻。沼底の皆様「同じような機種で飽きた」と思わなくて良さそうなのでお楽しみに。
見てのとおりスプールが上と下とで泣き別れになって、上部は失われている。残ってりゃあ心棒でも突っ込んで固定するなりなんなり修繕のしようもあるだろうけど、無いので”再建”っていう面倒くせぇのが端から分かってるような作業をせねばらなん。再建できたからといって、このリールが高い値が付いて”ナマジ家リール売り買い収支”の健全化に資するとか、まったく期待できない話で、かつギアもゴロゴロし始めているし、ラインローラー無しの針金ベールには糸溝つき始めてて実釣面でも活躍はあんまり期待できない。じゃあなんでそんなモンに時間と手間をかけるのか?なんか知らんけど我が家に来たリールは可能な範囲で稼動機にしてやりたい、そのためには全力を尽くしたい、という謎の衝動がワシを突き動かすからである。ちょっとイヤだけど心の底ではやりたいと求めている。
まずパッと見てハンドルあたりからすでにツッコミ入れるべき代物で先が思いやられる。別に問題なさそうなミッチェルっぽいハンドルのなにがマズいの?と思われた貴兄、”ゴミスピ”と呼んで問題ないような安リールの実力を見くびってもらっちゃいけませんぜ。ミッチェルっぽくハンドルノブはクルッとひっくり返して収納時邪魔にならないようにできそうに見えるでしょ?できないのよコレ。今時の高級リール様のように一体成形で折り畳みできない仕様で、かつXRL35兄貴と同様六角芯入りネジ止め共回り方式なので、ハンドル外して袋に入れて持ち運ぶにしても邪魔。アメ人はリールロッドに付けッパで車やボートに載せッパでゲロッパなのでいいンかコレで?まあそれは良いとして、本家ミッチェル同様にハンドルノブにひねりが入ってるのは機種名に”RL”が入ってる左右両用のリールでマズいでしょ?ひょっとしてワシがまた頭の中で3D像回転できないのでマズいって思うだけで、ひっくり返しても摘まめるのか?試しに右ハンドルにしてみたらやっぱり角が指に当たるようになるので塩梅よろしくないけど、摘まめないって程でもなくて案外イケそうだった。意外。まあでもこの種の小型機(ッテほどでもなくて案外重くて280gちょいある)はルアーとか投げる釣り用だろうから、カーディナル33とかPENNの716zとか右巻仕様機が用意されてないメーカーとかも多かったから基本左巻き想定で、なんなら右でも巻けるよ、ぐらいのユルい感じなのか?こんな細かい所から突っ込んでたら終わらなくなるので、ラインローラー無しの針金ベールとかもミッチェルでも440とかで前例があるのでとりあえずは良しとしてスルー。
まずはバラして、スプール以外を掃除して注油までしておくべく進める。パカッと開けると、35兄貴と同様ハンドル軸ギア上に逆転防止の歯が切ってあって、同じ仕様だなと思うんだけど、写真ですでにおかしいのに気がついた人が居たら立派なスピニング熱患者なのでお大事にしてください。普通蓋開けたら見えるハズのものが無いんだけどお分かりだろうか?本体下の方に妙に空間があるけどここに普通何があるのか想像いただければ「なんでそれがないんだ?」と頭の中にハテナが並ぶのではないだろうか。
ハンドル軸のギアをヌポッと抜くまでワシ気づかなかったけど、主軸がハンドル軸の手前までしか来ないという驚きのメカニズム。ギアの形式はどちらも亜鉛の円筒と円盤のフェースギア。フェースギアは軸が直交するので、左右両用にはできないという常識を、主軸を短くして”直交させない”という強引な設計でフェースギアなのに左右両用なのである。主軸短いっ!片軸受けでこんな短いとスプール支える軸としてグラつかんのか心配になるぐらい短い。その短い主軸のお尻あたりから棒がでてて、ハンドル軸のギアのギア面の内側に掘られた円形の溝に沿って上下することでスプールが上下するというオシュレーション機構。
ということはこの溝の直径がスプールの上下幅だな、とまた頭の中で3Dイメージを動かせない残念なオツムで考えて、ノギスで測ったら18mmだったので意外とスプール幅広めに作らなきゃならんなと思ったけど、後で実際にスプール上下させてみたら、どうやっても9mm弱しか上下してない。現物見ながら「アレがこうなるときはコウなって」とか考えたら、当たり前だけど棒がハンドル軸越えて向こうに行くわきゃなくて、当然スプール上下幅は、棒がハンドル軸から一番遠くなったときと一番近くなったときの差で、溝の主軸から最も遠いところと近いところの長さの差なのである。9mmは狭い。ここに来てなんで
「ロディーマチック825RL」がオシュレーションのカムを部品2つ使ってるのか、そのせいで胴長なリールになってるのかやっと合点がいった。825RLも同様にハンドル軸のギアの面に円形溝が掘ってある。この円形溝を行ったり来たりする幅だけではスプール上下の幅が狭いので、一個目の部品は動きを”延長”して上下幅を大きくしているのである。名付けるなら”倍幅オシュレーション”という感じか。幅は増やしているけどハンドル一回転でスプール一往復は変わらないので減速、増速とかはしていない。という理解であってるだろうたぶん。
一つ謎が解けて、あとは35兄貴と似たようなもんで、C型の金具を外してローターをギアごとヌポッと抜いて、主軸は一瞬ハメ殺しかと思ったけどお尻の棒は刺さってるだけで外すと抜ける。ローター軸のギアはなんかちょっと角が取れて削れてるような感じがするけど最初からこんな感じだったのか?そんなわきゃないよね。削れてるなこれは。
ベール返しもスライド式で35兄貴と似た感じ。ベールスプリングが7巻もしてあって丈夫そうなのは、さすがゼブコはそのへんうるさかったんだろうな。ベールアームが薄いステンっぽい板を打ち抜いて折り曲げての板金で作ってる感じなんだけど、その薄くて堅いベールアームを受けるローターのアルミの出っ張りに真鍮製のカラーが填めてあるのも”意外に耐久性気にして作ってる”感がある。実際にはギアとベールワイヤーが先に逝きかけてるけど、心意気やよしという感じ。っていうか、ギアとベールワイヤはまだ形保ってはいるけど、そいういえばスプールが既に死んでいるよな。ハッキリいってこの種の安いリールとしての寿命は尽きているというかお役目はとっくに果たしていて、なにもいまさら棺桶から引きずり出してまた働かせなくても良いようにもおもうけど、まあワシに買われたのが運の尽き、もう一仕事ぐらいがんばってもらいたいところ。
っていう感じで分解は35兄貴以上に部品数少なくて、さすがに15個ってこたぁないと思うけど、30ぐらい。そういうヤッスイ設計ではあるけど、左右両用だし、ドラグも調整幅極狭いけど付いてるし、グリス入れ直した状態でベール起こしてハンドル回してカショーンと返してクリクリ巻いてってやってみると、ギアゴロ感アリアリだけどそんなに感触は悪くないのよね。ちゃんと回ってるしベールも軽く返る。スピニングリールとしての当たり前の機能は失われていない。ならば、失われた上半分を埋めてスプールを再建してまた使えるようにしてやろう、という気にもなろうというもの。苦労はあるだろうけどやってやろうぜ。
というわけで、今回ご用意いたしましたのはファイヤーラインが巻いてあったボビン(ボビンと言うには薄いけど書き分けのためということでご理解ください)。
人力3Dプリンターで紫外線固化レジン樹脂使って35兄貴のスプールを型に直径小さくして作るというのも考えなかったわけではないけど、いかんせん紫外線固化レジン樹脂は強度面が不安でこういう力の掛かる部分には使いにくい。ということで金属の筒、あるいは竿のブランクスの余りのカーボンの筒とアクリルやらアルミの平板を組み合わせて作るかと最初考えたんだけど、糸巻き部分なんだからライン巻いてあったボビンは使えるんじゃないか?ボビンなら筒と円盤が最初からくっついているのでそこの接続方法と強度問題はある程度いけそう。ただライン巻いてあるボビンって意外に真ん中の筒が細いのが多くて、ドラグ入れることを考えると太さが足りない。と思ってたらたまたまファイヤーラインのボビンは、真ん中の穴が6角穴でドラグ作ってくれといわんばかりで、かつ元から入ってたワッシャーとかがちょうど入る穴の大きさで、コレで作れと”ゴミスピの神”が用意してくれたかのようなおあつらえむき具合で、コレを余計な部分は取っ払って高さとか直径とか調整して使うことにする。
スプールの上半分を作るので、ボビンの芯と糸の巻いてある部分とを繋ぐ梁の部分を金鋸とニッパーで大まかに切り取っていく。
当初、梁を綺麗に取っ払ってボビンの円盤をそのままスプールの上面にするつもりだったけど、どうもどれだと強度がたよりなく感じた。おそらくプラグ作るのにも使われているABS樹脂とかだろうけど、一枚ぺらっとした状態ではそれほど強度があるように思えない。なので、強度の確保のため梁を2mmほど残してそれにCDを切って作った円盤を貼り付けて軽いけど丈夫な構造を目指してみた。
ボビンの梁にCD成形した円盤を貼り付けるのは何でもくっつくコニシのSUでガチッとくっつけて、ハンドドリルの円錐形のヤスリアタッチメントにギュッと填めて回転させつつ円形に削りあげた。
隙間を埋めてスプールの側面の形状を形作るのはティッシュでコヨリ作って隙間に詰めて瞬着を染ませてしばし乾燥。ティッシュを瞬着で固めるのは”繊維強化樹脂”の特性である、成形がし易くて丈夫という利点をちゃんと持っていて、ルアーの穴埋めに使えるというのを読んで真似していたけど、色々と応用が利くので憶えておいて損はない小技。
ティッシュが瞬着で固まったら、凸凹しているところを適宜カッターで削ったりサンドペーパーで丸めたり形を整えて最後はエポキシを盛って回転させて固めてやる。
形状的には下面が真っ直ぐで、エッジが引っかからないように滑らかであれば、上面はまあラインが絡むような変な出っ張りが無ければ何でも良いと思っている。
再建するスプール上部の土台ができたので、残ってる下部との接続部分を整えていく。
とりあえず残っている下部の一番上の面がドラグパッドの一番下が乗る面にになるので、割れて凸凹しているのをまずは金鋸で削ぐようにぶった切ってサンドペーパーで平面が出るように表面ならしていく。
次に作った上部の6角形の穴に下部を突っ込んで固定できるように、6角形の穴を寸法どりして紙に落とす。角から直線引いて中心点も分かるようにしておく。
そしてそいつを中心の穴に六角形の中心点が一致するように糊でスブール下部の上面に貼り付ける。
金鋸で切るよりもうちょっと細かい切り出し方になるので、どうするか考えて、カッターの刃を熱して熱で大まかに切る方式でいったらある程度上手くいった。ただ溶けた樹脂がバリになってたりするのでアートナイフで削って、スプール上部がカパッと填まるように調整していく。
で、スプールの幅はスプール上下が9mmなので完全平行巻きじゃなくて上下多少盛り上がるので12mm幅ぐらいで始めれば良いかなと試して、ベールワイヤーのラインが掛かる位置の高さの一番上と下を確認して、それだとやっぱり幅広すぎのように思うので、サンドペーパーで調整していって11mm弱ぐらいの幅で、スプール座面のテフロンワッシャーの枚数も調整して「このぐらいだろ?」というところに決めた。もともとのスプール下のほうは傾斜していて真っ直ぐじゃないので、下は多少崩れて前巻きになるような感じ。上は余裕は1mmあるかないかのキッチリ目にしたので真っ直ぐなスプール上面とあわせて崩れずトラブル少ないはず。
これで基本的な構造はできた。ただ、このままだとドラグノブの隙間にラインが落ちるのでカバーを付けてやらねばならない。適当な輪っかを作ってスプール上面に固定してラインが引っかからないように盛って傾斜をつけてやるという基本方針。
輪っかは樹脂の板でも金属板でも細く切り出して作っても良いけど、なんか愛猫のオモチャにしてるペットボトルの蓋にちょうど良さげな直径のがあるので試してみたらピッタリ。”ゴミスピの神”は今回協力的。おあつらえ向きの素材を用意してくれていた気がする。
アートナイフで輪切りにしつつスプール上面に刺す脚を3箇所設けてやって、スプール上面に穴開けて固定。
側面がなだらかな傾斜になるように、ここでもティッシュのコヨリに瞬着で大まかな形を形成してエポキシ盛って回して固める。そして回して黒く塗る。
だんだんそれっぽくなってきて、いよいよ上下合体である。まずはコニシのSUで接着だけど、スプールが傾くとマズいので、上下の接着面にはみ出さないように接着剤塗ってカパッと填めてから、ドラグパッド等が入ってない状態でスプールを本体に刺してドラグノブを締めて、ドラグノブのツマミ下の平面でスプール上面を押さえてやって水平を確保する。まあズレたら色々と不具合生じるベイトリールのスプールと違い、スピニングのスプールは多少歪んでても使えなくなるようなことはないのでこのぐらいやっておけば上等でしょ。
で、接着剤が固化したらできあがり、ってなわけなくていくらコニシのSUが強力粘り腰接着でも2ミリかそこらの高さの接着面ではライン巻いたら絶対もたない。もっと深く接着面設けたらいいようなもんだけど、そこはこのリールのスプール上下幅の狭さが仇になってて、さらに下まで削ると空洞の部分に到達してしまって、実際ちょっと貫通してしまってて慌ててエポキシで埋め直したぐらいで既に限界に達している。
じゃあどうやって上と下とに泣き別れを防ぐのか?2案考えて、一つは横からネジなり釘なりを突っ込んで固定してやることだけど、重なった2ミリかそこらの狭い場所に穴開けてって言うのが難しいのと、穴開けるのが端ギリギリになるので割れそうにも思うので却下。結局採用したのはもう一方の”かすがい”方式。コレなら多少穴をあける位置に余裕がある。かすがいは当然こんな小さいサイズは売ってないのでステンレス硬線をペンチで曲げてニッパで切って自作。2箇所で止めてその上からエポキシかけてコーティング。
一晩回してハイ完成!ってことでドラグ関係(また後で書きます)も入れてラインを巻いたところ、最初なんかスプール上面が斜めってるように見えて、ちゃんと水平にしてたはずなのになと思ってたら、見てる間に、まるで焼き網の上のホタテかなんかの二枚貝がクパァーッと開いていくように壊れていくのはとてもとても悲しかったです。
ライン抜いてみたら、下の元のスプールに刺した方、熱で切ったスプールの樹脂が弱ってたのか樹脂を切り裂くようにして”かすがい”外れてしまってました。ガックリ。
ただ、逆のかすがいはしっかり止まってるので、方向性としては悪くない感触。ということで、一本の矢は折れても、三本の矢は折れない方式で6角形の各辺ごとに計6本のかすがいで止めて、さらにかすがいをナイロンのセキ糸でグルグル縛って固定してからエポキシで固めるという力技でいってみた。
もっと沢山かすがい打った方が丈夫になるだろうけど、一センチ強の幅の糸巻き部分にチマチマと折り曲げて作ったかすがいを、1ミリのドリルで穴開けて先の細いペンチでそっと摘まんで差し込んで、とりあえず作業中抜けてこないように瞬着で仮止めしようとしたら瞬着のブラシにくっついてきてやり直しとか、細かい作業が爺さん目も見えにくいし手も細かい作業だと震えるしで、これ以上は正直勘弁して欲しいのじゃ。関係ないけど”かすがい”って書く度に脳裏に「グリーン豆」って浮かぶのは東海地方出身のオッサンだけに特有の現象なのか?
なんにせよこれは強度的に合格点までいったようでライン巻いても大丈夫だった。テンション掛けてラインをスプールに巻くときには意外と強い力というか圧力がスプールに掛かるようで、渓流でJOS師匠の愛機のカーディナル50シリーズの樹脂スプールが「ポンッ!」って感じで割れるのを2人で目撃したのが記憶に残ってる。ナイロンラインだとしっかり巻いていけば当然数%伸びた状態で巻かれていくことになって、何百巻とかの縮もうとするナイロンラインの力を受けているわけで、上下に割れたスプールは接着剤でくっつけたぐらいではどうにもならんのである。
でもって書くの後回しにしてたドラグ関連。
元々はフェルトのドラグパッドの一階建て方式でそれを踏襲すれば面倒は無かったんだけど、割れたときに凸凹してしまったドラグの底を再建時にはちょっと削って平らにしたのでドラグを入れる高さがその分増えている。増えた分フェルトを分厚くするだけでも良かったけど、せっかくドラグ入れる高さが増えたなら増築したくなるというもの。ただそんなに大幅に増えたわけじゃないので、3階建て6枚の円盤は入らない感じ。やっぱ無理かと思ったけど、4枚ならギリ入るので「そうだアレを試そう」ということになった。
単純に2階建てにしてしまうと一番上のワッシャーがスプールと同期して回ることになり、ドラグノブが回って締まってしまう。でもそうならない
4枚円盤のドラグを考えた先人がいるのである。スプールと同期して回るワッシャーをドラグパッドの素材で作ってしまえば、ドラグパッド、ワッシャー、ドラグパッドの3枚を1枚で代用できる。都合良くドラグの入る穴は今回6角形で金属ほど堅くない素材でもワッシャーとして働かせるブツは作りやすい。ということで一番底からフェルトパッド、主軸と同期して回らない欠いた円形穴のワッシャー、スプールと同期して回る6角形の1mmテフロン(3枚分の仕事をする)、一番上の主軸と同期して回らない欠き円穴ワッシャー、の4枚に加え主軸に填めるバネの代わりのウレタンゴム系チューブ輪切りという構成。ドラグノブの右上の透明な樹脂の輪っかは元のボビンが重ねて連結できるように填まるようになってるのを利用して作ったCクリップ的なもの。6角形の穴が下にいくほど狭くなってるので一番下から切り出すとちょうどワッシャーが落ちない大きさ。
で、ちょうどギリギリ高さは収まる感じでバッチリなんだけど、テフロンワッシャーを6角形になるように端を切って加工するのはわけなかったけど、元からあるのに加えてもう一枚の欠いた円形穴のワッシャーを作るのに苦労した。最初薄い方がイイだろうとCD割って剥いだ薄いポリカーボネイトの板で作ってみたけど、すぐに穴が削れて円形になって回ってしまう。ならばとアルミの0.5mmの薄板でやっても同様で、1mmにしても同様、結局堅くて加工に苦労したけど真鍮板1mmを加工して作るはめになった。金切りバサミで丸に近く切り抜いてサンドペーパーで削って丸くして、穴はドリルで小さめの穴を空けてから必要な形にダイヤモンドヤスリで拡張して主軸に填まるか確認しながら微調整していく。金属粉をリールの方に持ち込まないようにいちいちティッシュで拭きながら。
くっそ面倒くせぇけどなんとか作って、ライン引っ張り出してドラグの効き具合を確認してみたら、そこそこ良い感じに機能はしてるんだけど、やや安定してなくて微妙にウィンウィンしてる。ウィンウィンするのはスプールの主軸支える土台部分が短くなってしまったからか、主軸がそもそも短いからか。いずれにせよ安定して回ってない。前者ならドラグ収まってる穴の”底上げ”で主軸を支える長さを長くすれば改善するかもだけど、せっかく作った4枚円盤のドラグを1階建て2枚円盤に戻さねばならず、なんかヤだ。やれば必ず良くなるって話でもないし、まあ今回はこのぐらいで勘弁しておこう。実用上充分な性能は出せたと思う。
長かった。読むのも長かったと思うけど、書くのも長く、実際の作業はさらに長かった。面倒臭い金属削ったりする作業も時間かかったし、なにより接着、塗装関連は瞬着使う場面以外はだいたい一晩寝かしてしっかり固めてから次の作業になるので、とにかく時間はかかった。
元々が設計見ても明らかなように安リールで、人気もなければ知名度も低く、最初にも書いたけど直したところで高く売れるモノでもなく、経済的にはまったく見合わない。
スプール再建して直ったところで、それがどうしたって話で、売っても500円でも買い手がつけば御の字だろう。ワシなら買わん。”スプール再建済み”とか、素人がチョイチョイと直せるほど割れたスプールの修繕って簡単じゃないので”地雷”にしかみえんだろう。
とはいえ、金にはならんけど”スプールを再建できる”というのは切れる手札が増えて良かったし、面白くて夢中になって作業してたのも事実。もともと
5台まとめて二束三文で買ったゴミスピであり、これだけ楽しめれば重畳というもの。元なんてとっくの昔にとれているだろう。
フェースギアがゴロゴロいってるのは仕方ないとして、ベールワイヤーの糸溝は瞬着でとりあえず埋めたし、自分で使って遊ぶのには悪くなさそうに思う。使ってみないと分からないところではあるけど、使ってて気色悪い使い心地にはならん気が、苦労して修繕したせいかしてきた。
ゼブコXRL兄弟いじくって、安い設計のリールだけどなんというかそれなりにリールとしての形にはなってて、安リールとしてはどちらも悪くないようには感じている。リョービって
メタロイヤルぐらいしか使ったことないけど、リール作るのわりと上手なメーカーだったように感じたところ。
釣り具部門が上州屋に譲渡されてからも、地味にリールは作り続けていて、さすがに途中から国内生産じゃなくなったけど上州屋ではリョービのリールは長いこと扱っていた。最近はもう作ってないのかと思ってたけど、ちょっと調べたら海外で主に売ってるらしく、バリウスとかいう昔のバス用ベイトの名前だけどオフショアジギング用のベイトリールとかは日本でも通販サイトで買えるようだ。令和の時代にもしぶとく生き残っている様子。”中の人”が一緒なのかブランドだけ残ってるのかは怪しいところではあるけどな。ダイワ、シマノがいまさらワシ好みの単純な安リールを作ってくれるとは思わんけど、リョービならひょっとしてと思わなくもない。しぶとく生き延び続けたその技術力で瞬間的逆転防止もラインローラーのボールベアリングも無い安リールを作ってくれたなら、1台買わせてもらうつもりなのでリョービの人頑張ってリール作り続けてください。