2020年3月14日土曜日

猫娘推し


 テレビアニメ版第6期「ゲゲゲの鬼太郎」が安定して面白すぎて、100話近い長期にわたってこの水準ってどうなってるんだ?と驚いている。日曜朝の子供向けの時間帯の作品のハズなのにワシのようなサブカル系のオタクなオッサンが観ても、ゾッとするぐらいの恐怖の根源に迫るような回もあれば、感涙にむせぶような良い話し系もあり、考えさせられる寓話あり、文明批判あり、人間に関する洞察あり、それでいて滑稽で楽しい部分や、子供達もワシらオタクも大喜びのバトルアニメ的要素も手抜かりなしで、日本妖怪の総大将ぬらりひょんと西洋妖怪の主バックベアードが手を組んでそろそろ物語は終演に向かいつつあり俄然盛り上がってきているので、まだ観てない人はネトフリ契約するなりして家族揃ってみて欲しいところである。途中から観ても基本一話でも成立する話が多いので大丈夫。テレビ放送時ならなんと無料で視聴可能。
 その6鬼太郎の面白さを構成する重要な要素として私は猫娘の魅力が小さくないと感じている。水木先生の原作に忠実な昭和の猫娘からはだいぶ造形が変化していて、立ち位置も歴代猫娘とはまた違っていてそれぞれの期の猫娘の変化を追うだけでアニオタなら一晩酒が飲めるぐらいなんだろうけど、6期の猫娘の設定は”ツンデレお姉さん”なのである(ツンデレがなんなのか分からん人は後でちょっと説明してますので気にせず読み進めてください)。
 今期全体通してのヒロイン枠としては砂かけ婆は除くとして猫娘と人間の少女のマナちゃんがいて、3期の夢子チャンの時のように鬼太郎を巡って恋の3角関係的なバトルも繰り広げられるのかと思いきや、マナちゃんは恋愛ネタ絡んでこなくて猫娘のことを「猫姉さん」と呼んでて妹分として、6期の底に流れる題材の一つである異なるモノ同士の共存的な部分の理想的な関係として、深刻なネタも挟みつつ互いを尊重し合い助け合い傷ついた関係を修復し仲良くする様が描かれている。ちょっとユリユリしくもあり、そのあたり令和の鬼太郎ぽくていい(放送始まったの平成だけど)。
 キャラクター発表の時とか始まった当初は、鬼太郎よりずいぶん長身で今までの猫娘ともだいぶ違う性格付けに「水木作品に対する冒涜だ!」「今時ツンデレヒロインなど流行らん」という批判もネット上散見されたけど、いまや猫娘単体で特集したムック本が出るぐらいの局地的な人気を得ておりオタクどもの間では6期の正ヒロインとして確固たる評価を得ているとワシは勝手に思っている。
 その猫娘回だった第93話「まぼろしの汽車」(ここから思いっきりネタバレなのでコレから視聴予定の人はご注意を)。この回の猫娘はどこの鳳凰院凶真か暁美ほむらかっていうぐらいのループモノの時間旅行を繰り返して世界の危機を救う。世界が吸血鬼パンデミックで人類滅亡の危機にある中、頼みの鬼太郎も早い段階で吸血鬼側に堕ちており、命からがら目玉おやじと逃げのびて、目玉おやじの最後の切り札でその命と引き替えに過去に戻ることができる”まぼろしの汽車”に乗って過去に戻るのだが、鬼太郎だけ感染から助け出そうとしても、経緯は違えども鬼太郎が感染する運命に未来が収束してしまい、人類滅亡の世界線から逃れることができない、根本的な原因に戻らねばと目玉おやじと逃げ延びる結果に終わる度に、より早い時点の原因を探りに時間旅行を繰り返し、とうとう最初の吸血鬼が日本にやってくるところを突き止める。
 その日付が2月14日だと知って、猫娘は一瞬躊躇する。猫娘は鬼太郎のことが大好きでそのことを知らないのは鬼太郎だけという、6鬼太郎は平成のラノベ主人公のような鈍感野郎なわけだが、その2月14日バレンタインデーに猫娘は勇気を振り絞って鬼太郎に告白し、どうやら上手くいって無事恋仲になれたようなのである。素直に好意を表現できないツンデレ娘の猫娘自身が”奇跡的”と感じるような恋の成就だったのである。
 2月14日にやってきた吸血鬼を倒しに行ってしまうと、鬼太郎を呼び出した河川敷には行くことができない。でも一瞬の躊躇の上で腹を決めて汽車に乗って2月14日に遡って、まだ来たばかりで何も悪いことをしていない吸血鬼を問答無用で怒りを込めて容赦なく叩きのめしてしまう超男前な猫姉さんなのである。パンデミックを防ぐには初動が重要っていう実にためになるお話で、凄い時期をとらえた放送でありアニメ製作の工程から考えて偶然なんだろうけど驚きに値する。
 人類滅亡から逃れられた世界線のバレンタインデー、美しい夕焼けの河川敷には待ち合わせをすっぽかされた鬼太郎が一人たたずむ。猫娘の気も知らずに。
 なんて切ない乙女心よ!五十路を前にした鼻毛に白いモノが混じるオッサンの心の中の乙女の部分にキュンキュン来ちゃうノ!アタイ猫姉さんのこと応援するワ!!

 てな具合にTHE猫娘も非常によろしいんだけど、最近もう一人なのか一匹なのかマンガ方面でこれまた素敵によろしい猫娘がいて、その名をイヅツミという。九井涼子先生の「ダンジョン飯」で主人公達の仲間に新たに加わった”黒魔術”で猫と混ざった獣人になる呪いを掛けられている少女で、これが猫好きなら気に入らずにおられようかという猫々しさ。
 しなやかな身のこなしと跳躍力、耳で目で語る豊かな表情、飽きっぽい性格と好き嫌いの感情の揺れ、やりたいようにヤる自由な行動、何も無いところを目で追う仕草、怪我してうずくまる所作、行儀の悪い食事の仕方、そして気に入らないモノは食べない偏食、すぐに爪を立て牙を剥く気の短さ、気がつくと毛があちこちに、典型的なツンデレで最初は警戒して敵意剥き出しにしてくる、でも知らないうちに懐いてきて、チョットぐらい嫌なことも嫌そうな顔しながらもつきあってくれる。
 まったくもって良く猫を知っているナと感心するし、それをマンガ表現として完璧に描き出せる九井先生の力量の素晴らしさったらないネ。マンガ家で”画力”が一番あるのは誰か?という話題にネット上ではだいたい「ベルセルク」の三浦建太郎先生や「乙嫁語り」の森薫先生あたりの凄まじい書き込み量を誇る先生方が推されてくるけど、「単純に”絵”が上手いって話じゃなくて、マンガ家の画力ってマンガ表現として、コマ割り含めて動きの感じられる画面構成やら、物語に沿った感情の表れとか、そういうのが写実的すぎないシンプルな絵で表現されているのが重要なんじゃネ?」っていうもっともな疑義が呈され、そうなってくると今のマンガ表現の基礎を築いた”マンガの神”手塚治虫先生やら、みんな大好き「ドラゴンボール」の鳥山明先生あたりが、劇画的な写実的描写ではなくいかにもマンガ的な単純な線を基調にした画風でありながら、動きが感じられ迫力のある”マンガ表現”になっているからマンガ家としての”画力”が高いんじゃないか?という意見もあり、ナルホドナと思う。ワシも鳥山明先生に一票入れる。
 ただ、鳥山先生もマンガ家としては実質引退していて、神様は天国におられるので、現役マンガ家で”画力”最強はダレだ?と問われれば、九井先生か「ヴィンランドサガ」の幸村誠先生のどちらかに一票入れるだろう。両先生とも栴檀は双葉より香しで、九井先生の初期作品の絵柄はちょっと、とり・みき先生っぽい感じもある単純な造形ながら、既に”画力”的には完成の域にあって、独特の感性もあってマンガ界隈では期待の新人として話題になってたのもさもありなんという感じだった。幸村先生の商業誌デビューは多分「プラネテス」のユーリのペンダントの話の原型になった読み切りだったはずで、「週刊モーニング」にはちばてつや賞という新人の登竜門的賞を取った作品が掲載されるんだけど、後に有名になるマンガ家の作品であっても新人の頃書いたのはショボかったりして目に留まらないような作品がほとんどにもかかわらず、幸村先生のは「凄い新人が出てきた!」と驚いたことを憶えている。物語の骨格自体は、戦に負けて騎士が姫様連れて山越えて逃げる途中で姫様氷河のクレバスに落っこちてしまい、騎士は氷河の流れ落ちる海辺に住んで姫様が若く美しいまま氷漬けで海までやってくるのを待って、ボロボロに年老いてそれを出迎える、っておとぎ話と一緒なんだけど、その骨格のまま宇宙に持ってってSFにして永遠の愛を描く物語を紡ぐ力量と壮大な世界観を描き出す”画力”に感服した。
 九井先生の「ダンジョン飯」は最初、ドラゴンクエストとかのロールプレイングゲーム(RPG)でお馴染みの、オークやらスライムやらゴーレムやらの闊歩する異世界で地下迷宮で仲間である主人公の妹を助けるために地下世界にとどまって闘うって話。なんだけど、食うモノが尽きたので魔物達を狩って料理して美味しく食べてしまうという異色のグルメマンガで、異世界モノも美食モノも群相化して迫り来るバッタの群れにも勝るぐらいの数描かれていて、異世界美食モノっていうだけでも「異世界食堂」と「異世界居酒屋「のぶ」」がネタかぶりやんケってぐらいに存在したりするけど、”魔物グルメマンガ”とはさすがは九井先生、独特の感性で独自性が高いなと笑って読んでたんだけど、これが巻を重ねて、妹を失うことになった因縁の炎竜を倒すあたりから、おちゃらけ異世界グルメマンガから本格ファンタジー冒険マンガとして覚醒しはじめた。そんな中で猫娘イヅツミは黒魔術(古代魔術)の知識がある主人公の仲間のエルフの娘を刃物で脅し自分の体にかけられた呪いを解けと迫るのだが、その要求はかなわず、炎竜と混ざってしまって魔物化している主人公の妹の呪いを解く可能性を探るために地下迷宮の深部をめざす主人公達に同行する流れになる。最初は悪態をつきまくり、魔物との戦闘にも気が乗らないと参加せず、魔物食を拒否し魔物食を探求する心優しきドワーフは心を痛めたりするんだけど、旅は道連れ世は情けという感じで、だんだんと”デレて”きて、最新巻の第8巻では女性同士ということもあって何かと親身に世話をやいてくれ正面から向き合ってくれるエルフの娘にそれなりに懐き始め、休憩時にはなにげにエルフ娘の膝を枕に寝ていたりする。
 この最初ツンツンしていたのが時間の経過と共にデレていくというのは、まさしく”泉こなた”が提唱した狭義の”ツンデレ”に合致するとても良いツンデレ具合なんである。
 エルフ娘の膝枕で寝ていると、主人公の語る妹の悲しい過去にエルフ娘は涙を流す。その涙に最初猫娘は飛び起きて「なんだよ ばっちいな」と悪態をつくのだが、泣いているエルフ娘を目にして、うわ面倒くせぇ、って顔をして、どうしてよいのか戸惑い、抱きつかれて驚き、イヤイヤな感じもあるけどエルフ娘の背中をさすってあげ、不器用ながらも優しさを示す。っていうのが下に画像引用させてもらった場面である(引用元:九井諒子「ダンジョン飯」第8巻キンドル版P81より)。

 どうっスか、この台詞一つないのに目と耳が表す感情の豊かさと動きのある絵で登場人物の細かな心の動きまで描ききる”画力”の高さ!!
 マンガって本当にいいもんですね(©水野晴郎)。ってこういう素晴らしい作品を読むたびに思う。以前にもマンガ論的なのを書いているけど、マンガに限らずアニメでもなんでも、人が人の楽しみのために力一杯創りだしたものの尊さって、最も人間の素晴らしさを示すモノだと思っているので、良いものがあったらなるべく皆さんにお薦めして評価されるべき人達が正当な評価を得てどんどん素晴らしい作品が世に出でれば良いなと思ってます。って、鬼太郎とか九井先生とか既に高く評価されてるけどね。もっと知られてないけど面白い作品とかをお薦めしてくれ、というむきにはサイトの方「魚雑文」のところで地味にそういうの書いてるので是非読んでみてください。最近釣りが忙しすぎて更新滞りがちだけどボチボチと書き続けてます。

 さてもう一匹、我が家の猫娘であるウニャ子の近況などご報告を。
 ウチのウニャ子もこれまたツンデレで、やっとこさデレてきて、最近は窓の柵を越えてウチの中に入ってきます。機嫌が良いとワシの手に頭ゴンゴンぶつけて挨拶してくれます。
 そんなもん何ヶ月も餌やってたら当たり前だろ!って世の猫好きの人なら思うかもしれませんが、邪悪な本性が禍いしてか犬猫畜生には思いっきり嫌われて警戒される人間なので、ウニャ子も最初数ヶ月は餌もらいに来るくせに窓開けて餌あげようとする度に牙を剥いてフシャーッ!っと威嚇してくる始末で、今でも機嫌悪いと威嚇されるし、抱き上げようとすれば窓枠とかに爪を立てて死にものぐるいで抵抗するけど、それでもやっとお腹とかさすれるぐらいに2人?の距離が縮まったのです。具体的には窓のところの枠の外から内への10センチぐらい縮まりました。
 先日など夜中にトイレに行ったらたまたま窓の外に来ていて、もともとは夜行性の動物だったせいか妙に機嫌が良くて、せっかくフライ巻く素材とか余ってる穂先とか使って作ったのに最初に一回ガッと爪掛けただけで飽きて遊んでくれなかった自作ネコジャラシで延々と遊んでくれてワシ寝不足で辛かったですヨ、へっへっへ。
 ねこっ飼いでもあるJOSさん曰く「猫の飼い主は”主”などではなく猫の下僕である。」だそうで、猫様が遊びたいと仰ってるのに下僕が拒否することなどできないのです。
 次の目標は、機嫌が良いきに出るという喉をゴロゴロと鳴らす音を聞くことである。猫好きを公言してはばからない私なれど、恥ずかしながら前述のように猫には好かれない人生を送ってきたので未だその声をYoutubeでしか聞いたことがなく、現実に膝の上とかで聞くことができたらハラハラ落涙してウニャ子に「なんだよ ばっちいな」と嫌がられる覚悟はできております。

 ということで、料理ネタに続いて猫ネタも適宜投下して読者数増加に努めねばな、と思って書いてみたりしたんだけど、世の猫好きが求めるであろう、癒やされる猫写真やほのぼのとした話題が提供できず、あられもない交尾写真やらオタ臭さにむせかえるようなサブカルネタしかお出しできずに心苦しい限りだけどコレからもたまに猫ネタは書くつもりなので読んでいただけたなら幸いです。

2020年3月8日日曜日

狙う魚が違えども釣りの根本はいっしょ


 昔は「魚釣り」って一括りにするのはあまりに大雑把で、トローリングでジャイアントブラックマーリン釣るのと用水路でタナゴ釣るのとでは全く違うと思ってた。「魚釣り」って有名な定義のように「糸の端にバカが居て、もう一方の端に魚が居たり居なかったりすること」っていうぐらいしか共通点はなく、スポーツでいえば「球技」ぐらいの大まかなくくりで、魚釣りが趣味ですっていう人でも私のようになんでもヤる人間は少なくて、普通は熱烈なサッカーファンのイタリア人と長年選手として闘ってきたインドのクリケットプレイヤーが「球技」を共通の話題として盛り上がれるかっていうと通訳の問題はさておき非常に難しいだろうって感じで、カジキ釣りの人とタナゴ釣りの人ではやってることも感じ方も興味の対象も全然違うだろうッテ思ってた。
 でも最近、”ゆるふわヘラ道”の続きとしてマアジ釣りに熱中していると、コマセで寄せつつその中にいかに刺し餌を同調させるかあるいは逆に目立たせるかとか、コマセ螺旋にアミコマセ付けて刺し餌オキアミのアジ釣りが、まんま冬のヘラ釣り食い渋り対策のウドンセットの釣りで、2年の短い期間とはいえ、基礎からみっちり試行錯誤して身につけたヘラ釣りの技術がまんまアジ釣りに使えるので、ヘラ釣りもアジ釣りもプランクトン食性の魚を寄せ餌効かせながら、浮子で水中の様子探りながら釣るということ自体は全く一緒で、そうなると縦誘いで刺し餌を動かして口を使わせるのとか、食い渋ったら長ハリスで長待ちが効くとか、違えば違うほどいよいよ同じと思わざるを得ない。
 特に、ヘラ釣りでも思ってたけど、消し込むような大きなアタリって実は違和感感じて逃げ出してる状況なはずでイマイチで、教科書見てもそういう”良いアタリ”を出すように餌とかハリスを調整しましょう、ってなってるんだけど、ヘラでもアジでもこちらが見にくい小さなアタリは向こうも違和感感じにくい状態にあって”居食い”していることが多くて、そういうアタリを出せて拾えるようになると上顎センターばっちりで釣れてくるんである。ホントだよ。
 ヘラ釣り真面目に練習しておいて良かったと感じるのは、まさに釣りの基本である”ハリとイト”についてきっちり自分なりに試行錯誤して実践をふまえて考え直す機会を得たことだとも思っている。
 ハリはそこそこ考えていたけど、イトのほうは切れなきゃいいやぐらいに考えてたので、ハリスの細い太い、長い短い、それによる張りの違いなんかを、オモリと浮子とのバランスも含めて考えるようになって、ハゼ釣りとか小物釣りにおいても”切る札”が増えて如実に釣果につながった感触がある。

 三平くんがゴッツイ道具で大物を釣るのがビックゲームなら、繊細な道具を駆使して小物を釣るのも同くビックゲームで”小さなビックゲーム”なんだよって、外国からの客人をもてなした話はまったくそのとおりだなぁと、今では素直に得心する。
 結局釣りなんて、糸の先に付いてるハリに魚が食いつくような餌なりなんなりを付けて、口使わせて掛けて釣り上げる、っていう本質的な行為はおんなじで、魚の大きさなんて多少小さくても竿を柔らかくとかイトを細くとかでいくらでも増幅可能であり、どうでもいいっちゃよくて、結局どんな釣りも面白いし、自分好みの釣りをすれば良いんだろうってだけだと思う。
 こういうことを、小物しか釣ったことない釣り人が言うと、単なる負け犬の遠吠えに聞こえるので、それが嫌で他人から見てもそこそこ大きい魚を釣っておきたいと思ってた。フッフッフ、ワシゃロウニンアジ30キロオーバーもスズキ90アップも釣ってるから多少エラそうなことほざいても許されるよネ。ロウニンアジ?まあデッカいアジだったですよ、ちゃんとゼイゴもありましたよ。とか生意気言っちゃったりして。
 
 釣りメディアとか釣具屋側が流す情報を鵜呑みにしていると、この魚はこう釣らなきゃダメだ的な洗脳にハマったりするけど、そんなもん同じ魚でも場所や時間が違えば違う性格をあらわしだすぐらいで、同じ魚でもいろんな釣り方があり得る。逆に一つの釣り方でなんでも釣ってしまうっていうことも、きちんと授業料払って身につけた釣り方を持っていればできることも多いと感じていて、私はルアーの釣りをラージマウスバスで憶えたので、基本障害物や地形変化狙いの接近戦が得意で、ルアーで釣るときは渓流のイワナだろうが港湾や河川のシーバスだろうが、障害物・地形変化をピンポイントで狙う近距離戦に特化している。
 内房の運河で使ってた6.5fのランカーギアXは多分バスロッドのたぐいで、実際バス用に買った竿だったけど、内房運河で飛距離なんて全く必要ないけど、障害物の際とかにぶち込む精度は必要なのでその長さでちょうど良かった。紀伊半島の河川のシーバスに使ってる竿も7fのアグリースティックエリートで決して長竿じゃない。
 バチ抜けは結構川の真ん中でライズしたりするので8fのブリストール持ち出すけど、それ以外ではシーバスって基本岸近くのかけ上がりやら浅瀬をやってくるのが狙いやすい魚なので飛距離なんて必要ないと思っている。飛距離的には6fの竿でもやれると思うけどある程度竿でタメてバラさないようにと思うと7fぐらい欲しいなって感じ。

 あと、この地に移住してきて”違えば違うほどいよいよ同じ”だなとつくづく思ったのが、アジ科の魚食魚は種類違えど大きさが違えどルアーとかに対する反応が一緒ってこと。
 まあ同じ系統の魚で同じ餌食いにやってきてるなら一緒で当たり前なんだろうけど、カンパチの小さいのが、メッキと同じようにポッパーやらペンシルなんかに食ってくるし、ブリの子供も同じだったのは面白かった。
 メッキがギンガメッキでもロウニンメッキでもトップにパコンと出るのは親譲りだなと思ってたけど、一族郎党親類縁者まで含めて一緒のようだ。
 カンパチってやや深い根についてて、ルアーだとジギングの印象が強いけど、浅いエリアにやってきたら当たり前にトップに食ってくるんだなというのは、知識としてはミッドウェーだかでフライのポッパーで釣ったデカいカンパチ抱えてる丸橋先生の写真とか見た憶えあって知ってたけど、自分で釣ってみるとやっぱりちょっと意外で面白かった。

 陸っぱりからの青物狙いではメタルジグぶん投げるショアジギングが一般的かもしれないけれど、遠目を回ってくるなら飛距離重視でメタルジグ一択だとしても、プラグの射程距離内に回ってくるなら断然大きさがあってアピール力の強いプラグが有利で特にトップが何故か釣れると内房のカヤックでのワカシ釣った経験からも、この地で釣ったメジロの派手な出方からも確信している。
 カヤックでナブラ打ちしてたときなんて、メタルジグなんて食わんから使わんかったぐらい。小さいカタクチ食ってても、小さいメタルジグなんて食ってこずにザラパピーを水面滑らせるようにシューッと引いてくるとバコンとでたものである。
 おそらく、ブリ一家に限らずどんな魚でも、海域やら時期、天候や潮、餌の状況、魚の機嫌によっていろんな釣り方が成立したり、その時々の勝ちパターンがあったりするんだろう。
 そういう、複雑な状況を読み切って、最適な釣り方をいつも選択できるように、なーんていう理想論は机上の空論で、”絶対トップで釣れるはず”とかいう苔の一念で魂込めて釣れるまで投げ続けるのがワシには結局取り得る唯一の方法なんだろうなと思う。
 そういう中で情報収集して失敗も経験して修正かけて、自分の中の正解にたどり着いていきたいモノである。大丈夫、今までもそうやって釣ってきた。基本は一緒。
 他人がどんな釣り方でどれだけ釣ろうが、オレが釣ったわけじゃないから関係なくって、自分の釣る魚をしっかり見つめていきたい、と隣で釣られると心千々に乱れることが多いのでここに決意として書いておこう。

2020年3月1日日曜日

COVID-19ってどう読めば良いンじゃろ?コヴィッドか?

 新型コロナウィルス感染症えらいことになっててビビる。金曜の夜シンガポールで行われた格闘技の興行を録画でみたら、なんと無観客試合で歓声のない中でセコンドの叫びとバシッとかいう打撃音だけが響くなか淡々と試合が進んでいくのが初めて見る異様な感じで、ただ事じゃない感じがしてくる。

 こういうのって、予防的に措置をとろうとすると経済的損失が少なからずあって、でも予防は治療より金が掛からんっていうのは明白なので予防措置を慎重にとっておいて間違いじゃないンだろう。
 まああれだ、人間エラそうにしてたところで、いまだ普通の生物の範疇から逃れることなどできておらず、そらこんなけ沢山増えて都会じゃ密集して暮らしてて、あちこち移動すればそれに適応した天敵ぐらい現れて当然で、進化の中では「同じ所にとどまりたければ全力で走り続けなければならない」って話で、病原生物やらとの闘いは恒常的に今までも今現在もコレからも続いていくんだろうと思っている。人の都合で制御できるなんて考えるのはおこがましい。人間も死ぬときは死ぬんである。ババ様に聞いても「運命(さだめ)ならね、 從うしかないんだよ」って答えが帰ってくる。
 関係各位、グダグダとしたいつもの日本標準対応であるにしろ懸命に対策取ってるんだろうなとネットニュースの見だしだけみても感じてるけど、まあこのぐらい頑張ってダメなら運悪く罹患して死んだとしても世の中を恨んだりせずに天命と受け入れられる気がする。ワシゃ青き衣を着て金色の野に降り立つ救世主の登場を祈るぐらいしかできん。

 とはいえ、それはネエだろと思ったのが、マスクの買い占めと東京マラソンの参加費払い戻しが無かった件。
 マスクの買い占めの件とか、いちいちワシごときが書かんでもどれぐらいクソな行為かはダレでも分かるモノだと信じたい。その程度のことが分からん人生を送ること自体がああいう手合いに課された罰だと思うぐらいでしかやりきれん。
 東京マラソンの件は、参加申し込みの時の契約だか規約だかがどうなってるか知ったこっちゃねェけど、まあ主催者が持って次年度以降の参加費から回収してチビチビと返すとかするのが筋だろうと思う。たぶん確認すらとらないけど「ONEチャンピオンシップシンガポール大会」は無観客試合にしてチケットは払い戻したはずである。当たり前だよねって話。ワシがアベマTVに払ってるお金とかが放映権料とかでチョットでも役に立ってれば嬉しい。やっぱり金は然るべき所に払うようにしないとおかしなことになるって、こういうことからも思う。

 ONEチャンピオンシップって世界3大総合格闘技団体の一つだと思うけど、アジア中心に興行打って、ムエタイの試合をオープンフィンガーグローブで金網でやったり、良い意味でアジア的混沌な感じの地方色がでてて面白いんだけど、意外に真面目で選手が事故起こしたりすると、例えば頭から落とす投げ技とか規則で禁止技になってたり、減量も無茶な”水抜き”で脱水症状起こしたりしないように尿比重検査も実施してたりして、やってることは血まみれの殴り合いの見世物であるとしても、姿勢として真面目さが見え隠れしていて好感が持てる。

 ちなみに世界3大総合格闘技団体の上の方2つはUFCとベラトール。
 3つで一組に限らず、四天王でもなんとかの7人でも一つだけ影が薄くて思い出せなくて何だったっけな~?とモヤモヤしてたまらないことって結構あって、例えばビートルズのメンバーってジョンとポールとリンゴとダレだっけとか、七福神とかもともと外国の神様の詰め合わせなので寿老人と福禄寿はかぶってるとされて吉祥天とかに入れ替えとかもあるらしいし時代によって福助加入してたりで、恵比須大黒布袋様の3強はなじみ深いし、紅一点弁財天、武神毘沙門天ぐらいは憶えてるけどやっぱり寿老人、福禄寿あたりが”なんか長寿の神様っぽい爺さんが居たな”ぐらいであやふやである。その辺りをネタに諸星先生など「六福神」というマンガ一本書いている。いま読み直して気がついたけど妖怪ハンターシリーズでも「六福神」あたりの漁師町の話で活躍する大島と渚のコンビは大島渚監督へのオマージュなんだな。
 こういう「最後の1つは何だったっけ?」系って、昔はモヤモヤするけどどうしても思い出せなくてそのまま放置するか誰かを巻き込んでモヤモヤ仲間を増やすぐらいしかなかったんだけど、長生きはしてみるもんですな、今じゃグーグル先生なりウィキペディア先生なりに聞けば一発解明アハ体験ってなモンである。
 ということで、ワシが個人的にコレまでモヤモヤとしたまま放置してしてきた三つで一組の最後の一つをグーグル先生とかに聞きまくって忘れないようにここに書いておきたい。

 一発目は、頭髪がヘビの三姉妹のメデューサ、ゴルゴンはマンガアニメでもお馴染みで、今回ググって調べてみたいと思ったのも、今やってるアニメでゴルゴーンが出てきて、「三姉妹の残り一人、今ならネット検索一発ですぐ分かるゼ!」と調べたのが発端である。
 調べてビックリ、ウィキペディア先生によると三姉妹はメデューサとゴルゴンとあと一人じゃなくて、髪の毛が生きたヘビの怪異三姉妹の総称がゴルゴンでステンノー、エウリュアレー、メドゥーサの三姉妹だそうな。五十路を目前に数十年来の勘違いが正されてモヤモヤも解消されてスッキリ。ちなみに末妹のメデューサだけ不死じゃないので例の鏡に写して戦う作戦でペルセウスに仕留められるお話しで有名でワシでもその名を知ってたけど、他の二人の名前は今回初めて目にした。

 お次も三姉妹で、寺沢武一先生の「コブラ」にて、古代火星文明の最終兵器のありかを示す宝の地図を示した刺青を背中に持つ美人三姉妹、お宝の地図を刺青になんか隠したら皮剥がれちまうゼというのは「ゴールデンカムイ」でもお馴染みの展開で、末妹のドミニクは皮剥がれてしまう。ドミニクとジェーンは容姿もそっくりですぐ思い出せるんだけど、ちょっと地味なもう一人がいつも思い出せずに悶絶する。ググったらキャサリンと判明。そうそうコブラがやっと監禁先から助け出したらすぐナニしてアレだから印象薄いんだ。コブラ全巻読み直したい。電子版全巻は持ってないけどこの際買うか?

 サクサク進めて次は「レッツゴー3匹」って若い人知らんだろうな、別に知らんでも全くかまわないんだけど、3人組のお笑い芸人で、持ちネタで舞台に上がるとまず「ジュンでーす」「長作でーす」ときて「三波春夫でございます」とオトしてハリセンでしばかれるというのがお約束ネタなんだけど、「三波春夫でございます」って言ってる人は名前なんていうのか長年謎に思ってた。正児さんだそうである。ちなみにレッツゴーじゃなくてレツゴーが正しいそうな。正児さんだけご存命で他の二人は鬼籍に入られている。昭和は遠くなりにけり。合掌。

 似たようなパターンで、アニメ「機動戦士ガンダム」のドム三機で連続攻撃を仕掛けてくるスリーマンセルのリーダーが「オルテガ、マッシュ、モビルスーツにジェットストリームアタックをかけるゾ」という台詞があるので部下2人は分かるんだけど、リーダーの名前が分からん。ホントどうでも良いよね、でも私気になります。黒い三連星のリーダーはガイアでした。スッキリ。

 イエス様誕生に際して東方から3賢人が現れて祝福したっていうのは、マンガアニメの界隈ではよくネタにされていて、例えばエヴァに出てくる人工知能「マギ」は3賢者の名を冠する三つの独立したコンピューターの判断を元に総合的に答えを出すシステムになってたり、探偵マンガの題名で3賢者の頭文字である「C.M.B.」ッテのもある。CMBだから、カスパールとメルキオールとバル・・バルなんだっけ?ってこれはこれまでも何度もググって調べてその度に「そうそうバルタザールだった」ってなるけど、たぶん今後も憶えられないんだろうな。歳だからね、仕方ないね。知らなくても何の不都合もないけど知ってたいのよ単純に。

 三種の神機なんていうのも、意外に憶えられない。もちろん家電版の方じゃなくて本家の方で、伊勢神宮のご神体である八咫鏡(やたのかがみ)と、ヤマトタケルノミコトが火に囲まれたときに燃える草を切り払って難を逃れたってな神話ネタで有名な草薙剣(くさなぎのつるぎ、別名は天叢雲剣)はすぐ思い出せるんだけど、もう一個が勾玉なんだけどなんて名前だっけっていつも思い出せない。ウィキってみると八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)。3種の神器のうち勾玉だけ後付けで違うんじゃネって説もあるようでやっぱり影が薄いのかも。神話ではアマテラスオオミカミが岩戸隠れしたときに玉祖命(豊玉神)が作って「良いもんあるから出ておいで」ってやったようだ。

 他にも「環境3R」リユース、リサイクル、リデュース(減らす)のリデュースなんてなじみがないので憶えられんがなとか、今まさにワシがそうであるニート(NEET)のNot in Education, Employment or Training(無就学・無就労・無職業訓練)とかローマ字頭文字系略称は分かりにくいので憶える気も起こらん。
 今回の「新型コロナウイルス感染症」もWHO(WHOってダレじゃ?世界保健機関なら世保機と略してくれ)公式の「COVID-19」って言われても日本人ピンとこねえから巷間に流布しないのは明白である。「新型」っていうのがちょっと今後撲滅でもしない限り未来永劫そう呼び続けるわけにはいかんので、WHO公式の方が2019年発生ってのが分かりやすくて呼び方変えなくて良い点ではあるだろうけど、「新型」で既に巷間に流布してしまっているので、当面そのまま使うのが妥当なんだろうなと思う。何にせよ、ワシはローマ字略称はデェッ嫌レェなんでぃ、と江戸っ子っぽく思っている。以前にも書いたけど漢字の略称の方が漢字が表音文字でありつつ表意文字でもあるので、ある程度の意味が初見でも掴みやすいし憶えやすいという利点を漢字使う国なら使わなきゃ損である。

 などと「三つで一組」ネタを書いてきたところだけど、最後にこれまた「3」に関わるネタ。
 働いていた頃職場で雑談しているときに、とってもパワフルな仕事もゴリゴリこなしちゃう先輩の話題になって、「そういえばちょっと前までトライアスロンとかも出てましたもんね!」と言ったら、同僚が「ああ、あのラン・バイク・スイムとかいうやつね」とかほざきよったので、

「その順番だと溺死しますッ!」

と思いっきり突っ込ませていただいたのを憶えていたりする。

2020年2月23日日曜日

3日間飢えたくなかったらカマスを12匹釣って干物にしなさい


 先週のブログはいつもに倍するぐらいの閲覧数を稼いだ。
 元がたいしたことないのでアレではあるが、既にブログさえ流行らん時流でもあり今更という感もあるけど、やっぱりせっかく書いてるからにはなるべく多くの人に読んでもらえたらそら嬉しい。
 自分の備忘録的なこととか書きたいことを書いてるだけなので、たとえ閲覧者数ゼロでも書くにしてもだ。
 ”インスタ映え”の逆を張るようなメジロの血まみれの写真ですら読者倍増である。やっぱり”グルメ記事”は手堅いのか?あと、猫の写真が載ってるとSNSとかでも受けがいいとも聞く。
 となると、いわゆる世間一般のアホグルメどもが喜ぶような「ノドグロの脂のノリが」とか「大間のクロマグロの大トロが」とかみたいな記事は1ジンバブエ・ドルほどの価値も認めていないので書かないし書けもしないけど、ネッチョリと魚の血と腸とでベタついて、干からびた鱗がこびり付いた魚を捌いたその手で書く超個人体験的な”お魚グルメ”記事ぐらいは書かねばならんという気がしてきた。あと猫の可愛い写真も撮らねばなるまい。
 猫の写真はウニャ子はカメラ向けるとイマイチご機嫌斜めになるのでオイオイ撮っていくにして、とりあえずアカカマスの干物もずいぶん作ってきて、自分なりに今のところの最適化した手順とかが固まってきたので、例によって自分の備忘録も兼ねて書いてみたい。

 まずは釣ったら、なるはやASAPで仕込む。コレ重要、っていうかコレでほぼ決まる。干物って干してる間にも分解が進んで熟成されていって味が濃くなっていくんだと思ってるけど、塩効かせてからさらに干し上げるって2日ぐらいはかかるわけで、鮮度良い状態から始めないとできあがり時点で分解進みすぎてグニャグニャッとした干物になってしまう。スーパーで安く売ってる干物なんかは冷凍原料で作ってるのでワシが思う理想の”干して引き締まった肉質”にはほど遠いグズグズのものが多く、旅館の朝食とかで出てくるアジの開きとか脂のノリはイイのも多くてそれはそれで旨いのかも知れないけど、ワシの思う干物の理想型には遠い。
 刺身は正直釣って次の日に食べても、魚種によっては死にたてほやほやの食感ゴムの味の薄い刺身より美味しかったりもするぐらいで、疲れてたら料理次の日回しでも良いけど、干物はその日のうちに仕込んでしまうことにしている。

 とりあえずはアカカマスの場合、まずはまとめて鱗を取る。写真右下の保冷剤の上に見切れている”鱗取り”は鱗が飛び散りにくくてイイ。アカカマスは鱗剥がれやすいのでそれ程手間ではないけど、日本の台所って女性が使うことを想定しているのでワシのような平均的な身長の男性でも流し台の底で作業しようとすると腰をかがめなければならず腰痛の元なので、最近は膝立ちで作業すると楽だと気付いて膝立ちでやっている。

 鱗が取れたら開いていく。わりと大事なのは包丁の切れ味が悪くなったらすぐに研ぐことで、切れない包丁で無理にどうにかしようとすると失敗するし怪我にも結びつきかねない。
 まずは、目の前ぐらいから先の上下のアゴを切り取る。歯が付いてるとせっかくパリッと焼き上がった頭が食べにくい。
 そして背ビレの上から尾ビレに向けて背骨の上に刃を沿わせるように包丁を入れる。この時は腹の辺りは背骨チョット越えるぐらいまで、シッポの方は皮残してぐらいに深く切る。返す刀で腹腔に刃先を入れていき腹骨を切りながら頭の手前まで刃を進める。ってところが上から2段目の写真。そこからヨッコイショと頭を縦にして包丁でテコの原理みたいにしてギコギコと力を入れて頭を割る。
 割ったら、内臓と鰓を指で摘まんで引きちぎって”開き”の完成。
 あとは洗って汚れを落として塩水に漬け込む。
 ちなみに開いているときに出る内臓のうち、一部は洗って飼ってる魚たちの餌に、浮き袋とちょっと膨らみ始めた卵巣はラップにくるんで冷凍しておいて味噌汁の出汁に使っている。
 ニベ科の浮き袋が膠成分多くて良い出汁が出ると中国人が追いまわすというのを聞いていたので、カマスも魚体の割に立派な浮き袋が取れるので物は試しと、干物作るときの12匹分を味噌汁にぶち込んでみたら、縮んで具としては存在感無くなってしまうんだけど、その程度の量で次の朝味噌汁がプルンプルンとゼラチン状になってるぐらいで出汁も良い味出てる気がする。まあバカ舌なので味は自信ないけど。

 でもって、塩水につけるんだけど、品質を安定させるために塩水の濃さと漬けおく時間はキッチリ測って一定にしている。
 保存性重視で塩きつめでカチカチに乾燥するか、生っぽくあんまり塩辛くない”オカズ性能”重視で行くかでも、もっと単純に好みでも塩加減は違ってくるんだろうけど、今のところ我が家では塩50gを酒チョット入れた500mlの水に溶かした10%食塩水で2時間30分がお気に入り。
 塩水はジップロックで作ると色々と捗る。まずは塩を溶かすのがバットとかの容器だとスプーンとかでカチャカチャ混ぜても溶け残りがちだけど、ジップロックに塩入れて水入れていったん封をして左右に激しく振って攪拌してやると素早く塩が溶ける。
 そして、開いた魚を入れたら空気を抜いてやれば少ない塩水の量で全体が浸かる。
 この時にも頭の先歯を切ってあるのが重要で、ジップロックに歯で穴が開かない。

 あとは2時間30分後にアラーム鳴るようにしておいて、干物網にならべて干す。1段に4匹ずつ乗るので12匹が干物原料仕入れの際の目標漁獲数となる。皮を上にして干し始めて、ある程度乾燥しきる前に一回ひっくり返すと網に干物がこびり付かずに済む。昼すぎ捌いて塩水につけて夕方干して、夜寝る前に裏返す。翌朝の一夜干しではまだ水分の抜けがあまいのでその日一日か、様子見てもう一晩ぐらい干す。干す時間は天気しだいで特に風があると早く仕上がる。
 パリパリに干し上げていない場合は、冷蔵庫に入れるときには皮の面をあわせた2枚一組みで抱き合わせてラップでグルグル巻いていくと2枚が貼り付いたりせず焼くとき取り出しやすい。
 昼と夜と2枚ずつ食べて3日分のオカズとなる。さすがに飽きてきて、食べる前は”またカマスの干物か”と思うンだけど、食べ始めるとやっぱり旨くて丼飯が進むのであった。干物と大根の味噌汁とかがあれば食事として質素ではあるかもだけど、美味しくて栄養的にも良いンじゃないかと思っている。
 当地では柑橘の栽培が盛んで、規格外品のミカンとかキロ100円切るぐらいで売ってたりするので、デザートにそれらを楽しむことで栄養バランスはさらに良くなる。1月ぐらいまでミカンが出てて、その後ポンカンがちょっと出て、今はハッサクが美味しい。

 カマスの干物って、干した繊維がギュッと締まって弾力が増して塩味と共に味が濃くなって、焼き霜造りも塩焼きも旨いけどまた違う旨さを発揮してくれる。
 干物といえばマアジが定番にして最強かなとも思うけど、カマスもなかなかどうして良い味で今現在の自分の中では干物2強という感じになりつつある。
 実家では、朝の干物といえばマアジ、タチウオ味醂、サメタレのローテーションでたまに”ハゲ”と呼ばれるウマズラハギの干物が出ると「今日は朝から豪勢だな」と思ってた。
 タチウオ味醂とサメタレは干物屋さんが作ったのをスーパーで買ってたんだろうけど、マアジは軽トラ行商の魚屋さんから鮮度良いのを買って婆ちゃんが作ってたンだと思う。あの味をまた食べようとおもえば、自分で干物作るしかないので魚料理できる人間で良かったと思うところである。
 働いてた頃は、正直釣りが終わったら帰ったらとっとと寝てしまいたいという思いが強かったので、魚リリースが多かったけど、今は魚料理をじっくり楽しむ贅沢な時間がとれるので、釣り場の資源管理は気にしつつも、自分が食べるべき魚は、作戦練って準備して楽しんで、実際に釣って楽しんで、料理して食べて楽しんで、それを文章にして楽しんで、皆さんにも楽しんでもらえたらなと思っちょります。

2020年2月16日日曜日

3日間幸せになりたかったらメジロを釣って食べなさい

 なんかここ数日体調悪いなと思ってたけど、どうも花粉が飛び始めたみたいで昨日帰ってきてから目が痒くなってきた。喉の調子も悪いけど花粉症だと内臓の粘膜も反応してるのかお腹の具合もよろしくない。今日は雨で花粉飛んでないのでチャンスだけど塩梅悪いときはおとなしくしておこう。
 嫌な季節の数え方だけど、花粉症が始まるともうすぐ春だなと思う。

 太平洋側で漁獲されるブリ(ワラサとかイナダも含む)の地位向上については常々なんとかせねばならんと思うところである。ワシャ何の責任もないけどナ。
 川崎在住時にも、その不当なぐらいの評価の低さからくる値段の安さについては、憤りつつも美味しくいただかせてもらっていて、以前にもひとくさり書いている。
 太平洋側で揚がるあんまり脂ののってないブリ一家については、ネット上でも味噌糞に貶す意見をよく目にする。
 確かに、日本海側で揚がる”寒ブリ”のように80センチで8キロになるとかいう豊度を誇る脂のノリのよい今時の消費者の嗜好に合致した代物とは別物であるというのは事実そうなのかもしれない。
 だからといって、そこまでは脂の乗らない太平洋産が不味いかといえば、全くそんなことはなくて、十分美味しい魚だし、ハッキリ言って脂がのってなければ旨いと感じられないのはバカ舌だと思うし(なんでも美味いと感じるワシの方がバカ舌か?)、脂っ気が足りないならそれを補完して、あるいは脂の少なさを生かして料理できなければ、単なる料理下手だと思うので、先日、ブリの手前のいい”メジロ”を水揚げして、半身を友人にお裾分けして、アラとかは猫にも食べるの手伝ってもらったけど、3日ほど掛けて毎食メジロで楽しんでみたので、実例をあげて太平洋側のブリ一家も美味しいんですッ!っていうのを示してみたい。

 まずは、料理なんだけど殺人犯が風呂場で死体を解体するのは、そうすれば血で汚れてもシャワーでサッと洗い流せるからで、皮も食べたいので鱗も取らねばならずってのもあってそれにならう。風呂場に90センチからある魚が転がってると非日常感が強烈で笑えてくる。

 風呂場の床に傷を付けたくないので力を入れて包丁を入れる時には下にまな板を置く。力を入れると言っても、プロの料理人がやるように出刃で頭とか背骨とかをダンッと一刀両断するってのは素人が真似すると包丁の刃が欠けるだけなのでやらない。手慣れた文化包丁は出刃ほど刃が厚くないので尚更である。
 基本は包丁で切れるところまで切っておいて、あとは手を使って力技でバリッとかいわせながらの解体作業で、尾丙の切断ぐらいは関節に包丁入れてサクッと切れるけど、頭の切断は背骨まで切ろうとせず、内臓も食べるので傷つけないようにしつつ周りの筋肉やらをグルッと切ってから口に手を突っ込んで背骨折ってねじ切る。カブト割りも、頭の先の方からある程度は骨が柔らかいので普通に包丁が入るけど、背骨に達すると包丁が進まなくなるので、そこで包丁は抜いて切れた裂け目に手を突っ込んでバリバリと割く。
 でもってなんとか魚焼きグリルに収まったので、頭半分の兜焼き。強火で5分裏返して5分仕上げに5分で皮目を焦がして中まで火をとおす。
 目の周りやら頬肉、後頭部?の肉が旨いのはいうまでもなく、パリパリの皮とクニュクニュの軟骨も手と口の周りをペトペトさせながらいただく。小腹が空いたときにネットとか見ながら”解剖”しつつ食べるのにちょうど良い。

 でもなんと言っても美味しかったのは、釣ったすぐの昼食で食べた内臓系。肝臓が特にトロッと甘くて美味しかったけど、チョット癖のある脾臓もコリコリクニュクニュの胃袋も心臓も美味。胃袋は給湯器の熱いお湯を掛けてから水でゴシゴシと洗って他の内臓もお湯掛けてからサッと湯がいて下ろしポン酢。
 今回、鰓と幽門垂、腸管は捨てたけど美味しい食べ方あるのだろうか?ご存じの方おられたら教えてくれると嬉しいです。メジロカマも当然旨い。ヒレもパリパリに焼けてたので煎餅みたいでちょっと良い味。

 新鮮な刺身は当然旨くって、定番のブリ大根ならぬメジロ大根も良い味で作り置きしておけるので昼飯にはちょうど良かった。皮もここにぶち込んでます。
 今回は初水揚げなのでベタな料理で行こうという方針で、メジロシャブもやったけど、当然美味しくいただけた。卓上コンロがないのでグツグツ言ってるコンロの上の鍋に切り身ぶち込んでから食卓に運び、余熱で火が通ってくのを食べた。

 多分そうだろうなと思ってたけど、簡単で美味しい料理方法は”ズケ”のような気がする。
 ズケなら脂っ気が欲しければゴマ油でもオリーブオイルでも足してやればよく、味付けも今回は単純に麺ツユで行ったけど、塩ネギでポキ風に仕上げても良し、各種ドレッシングで漬けても良し、風雲児さんお薦めの卵黄ダレで漬けても、ユッケ風にあとから卵黄乗せても良しでお好みの味が楽しめる。次回は卵黄ダレとかやってみよう。ブリ大根の汁かけて”ズケ茶漬け”風にしても旨かった。

 次回試してみたいのが保存食系で、脂がのってないっていうのは逆に保存中に脂が変質して嫌な臭いになったりしにくいので、干物とかには好適な素材のハズである。
 ブリの保存食って言えば富山あたりの”塩ぶり”が有名だけどあんな脂ののったヤツで作る高級品じゃなくて、適当に切り身を干した干物でも、乾燥と熟成で味がギュッと濃くなっていけるんじゃないかと思っている。
 カマスも今釣れるのは脂抜けてるけど干物原料としてはナイスで実に良い塩梅に干しあがる。
 というのをやるにはまた釣らねばならず、なんだかんだで釣りに行くんだけど、正直回遊待ちの釣りって魚回ってくるまで”魚いないところに投げてる”感が強くあって苦手だなと思う。
 一匹釣れば3日は食えるっていうのは魅力だけど、良い型といっても10キロ余裕で超えるはずの魚の5,6キロって考えると、まあ滅多に釣れない大きさではあるし釣れたら3日ぐらいは幸せになれるぐらい嬉しいんだけど、一発大物を!って自分が熱中する魚じゃないのかもしれない。
 何匹か釣ったら魅力が分かってきて熱中できると良いンだけど、現時点ではシーバスやらチヌが釣れるならそっちを優先しようかなっていう贅沢が言えるのが紀伊半島の底力かもしれん。恐ろしいゼ。

 ちなみにブリって一般的に長さなら80センチ以上。重さはブランド物の”寒ブリ”で6キロ以上とか7キロ以上とかなってて、91センチ5.7キロは長さ的にはブリの資格有りだけど、ワシ的には重さで不合格だとおもってメジロとした。ブリっていうのは文字通りブリッと太って8キロ前後ぐらいから上じゃないと呼ぶ気になれん。
 メジロが小さい魚ってわきゃないし価値のない獲物ってわけでは全くないけどね。ひねくれてるから3日も経つと喜びも薄れてモットモットと欲をかいてしまうんである。まぐれで一匹釣ったぐらいでエラそうに書くなと自分でも思うので、まずはもう一匹だな。

2020年2月8日土曜日

騙されるのが悪いのか?


 フライでカマスとか釣れば毛鉤巻く材料は在庫してるし金かからん。と思っていた時代もありました。
 全くそんなことないネ。
 アジも釣ってみようってなると6番もシュッと沈むタイプⅣ以上のラインが欲しくなるし(買いました)、カマス釣る8番も船だまりは水深あるので底近くを引くとなると60秒数えてから引っ張り始めるとか時間が掛かってイライラするので、タイプⅥの早く沈むのも欲しくなる(買いました)。
 ということで、今日はいつ来るかわからん青物を狙ってデカ目のルアー投げてる間中、横でカマス釣りまくられるという”精神的拷問”以外の何ものでもないような仕打ちを受けて、多いに鍛練が積めた気がするんだけど、帰ってきてから明日はタイプⅥも駆使してカマス釣ったるねンと、買ってあったシューティングヘッドの8番タイプⅥのライン、安物のシンキングのランニングライン、それと一緒に買ったリーダーを接続して準備してた。けど、このリーダーがどうも失敗した臭い。
 コレまで沈めて引っ張る釣りのリーダーは編み糸で重さのある「シンキングブレイデットリーダー」というらしいの(上の写真の左下の茶色いクシャッとなったの)を使っていて、その先にフロロのハリスを接続している。
 ちなみにフロロハリスは4号50センチ位、2号1mぐらいをブラッドノットで接続してその先に歯ズレ対策で4号30センチぐらいをブラッドノットより結束強度が落ちる外科医結び(サージョンズノット)で結んで、根がかったら最後の30センチ位だけ切れるようにしている。
 今回シンキングブレイデッドリーダーを買うつもりで、安物のランニングラインと一緒にシンキングの「ポリリーダー」っていうのを買った。ポリっていうぐらいだからPE系の編み糸だろうと思って買ったら送られてきたモノをみたら全然違う。


 端的に説明するとフライラインの短いヤツである。
 右の写真の上の方がフライラインで、下の方の太いのがポリリーダーであからさまにリーダーの方が太くて「これで大丈夫なのか?」という不安な状態である。あかんかったらすぐ交換だな。
 そもそもこんなリーダー付けるぐらいならフライラインの先端に直接ハリス(ティペット)を結びつければ良い気がする。
 フライラインの先に直接ハリス結ぶのは「関東一本どり」と呼ばれる接続方法で、フライも重いし散水して寄ってきた魚釣るから飛距離も出さないしでラインをハリスまで綺麗に飛ばす「ターン性能」なんてのが関係ねーゼな船で行くシイラ・カツオ釣りでは割とみんなやってた。
 正直カマス釣るのに、リーダー無しでハリス直結でいい気もするけどブレイデッドのリーダーって独特のしなやかさと癖の付きにくさがあるので、ひょっとしたら食い込みの良さやアタリの取りやすさに貢献しているかもしれず「釣れてる時は道具を変えない」のは基本だと思うので同じように組みたかったのにこの始末。
 どういう使い方のために存在するのか、お勉強しようとネットでググったんだけど、イマイチ分からん。スペイキャストの時に重いリーダーは錨になって早いタイミングで”抜け”てしまうのが防げるとか、そんなもんもうチョイとライン出しておいたら良いだけやんけ?な感じでそもそもワシゃスペイキャストなんてやったことない。唯一それはあるかもなな使い方は、ラインが竿に対してチョイと軽いかな?って時に「ラインを足す」ような効果が期待できるとか。まあそういうの必要なときには使えるかもだけど今はいらん。
 あと、裏技的に低番手の竿のシューティングヘッドとして使うってのも紹介されてた。これはアジ釣りで使えるかも。それでいいなら安上がりで良い。
 しばらくフライもやってなかったので、道具もいろんなのがでててラインに関してだけでも「スカンジナビア」とか聞いたことない投げ方用のとかあって何が何やらさっぱり分からん。
 検索すると、なまじっか半可通な一家言ある釣り人がそれぞれに違うこと書いてたりしてるから、欲しい情報になかなか辿りつけない。
 さすがにフライの道具売ってる企業のサイトはまとまってて読みやすかったけど、あいも変わらず「我が社の道具を使えばこんなに釣れます」的なクソ宣伝が多くて気分が悪くなる。まあ無償奉仕でやってるわきゃないので当たり前っちゃ当たり前か。

 だとしても、全くのペテンとしかいいようのないフライ用のティペット(ハリス)の宣伝文には気分が悪くなった。
 曰く「フライのティペット用として売られているものと比較して我が社の製品は細くて強い!なんとあのシーガーFX1号に0.8号が引っ張り合いで勝ちます。」だそうな。コレを読んで迷える羊なフライマン達は「しゅごい!コレは買わなくちゃ」と買ってしまうんだろう。騙されて可哀想に。
 確かに引っ張り強度では勝つんだろう。いやらしいことに素材がどこにも明記されていないんだけど、たぶん間違いなくナイロンであると推理。
 以前自分で実験してビックリしたけど、今時のハリス用ナイロンは引っ張り強度的には同じ太さのフロロカーボンより強い。なんでもフロロの1.5倍ぐらいあるとか。フロロであるFXに高性能ナイロンが引っ張り合いで勝ってもなんにもおかしくない。ごく普通の結果。そのへんのヘラ用ハリスでも買っとけッテ話。
 じゃあ、なんでナマジを始め多くの釣り人がハリスにフロロを選択するのか?それはフロロの方が堅くて耐摩耗性に優れているから魚の歯に接するハリスとしてはフロロの方が総合的には”切れない”からである。
 例外はヘラ釣りで、コイ科魚であるヘラは喉の奥に咽頭歯はあるけど口には歯がない。だから耐摩耗性は気にせず引っ張り強度の高い高性能ナイロンがハリスに選ばれるのである。
 アホな宣伝文句を真に受けて、ハリスを一段階細くできるなんて勘違いして使ったら、口の外にフライのアイが出てれば期待通りの”強さ”を発揮するだろうけど、口の中に入ったら”切れやすい”っていうのはちょっと考えればわかること。
 こういうペテンが昔っから繰り返されてきていて、それでも騙される釣り人が後を絶たないっていう釣り具の世界の胡散臭さが鼻についてくるので、なるべく釣り具は知ってるモノしか買いたくないんだけど、たまに便利なモノや革命的なモノも出てくるので騙されてみるのも一興かなとは思う。
 でも、あんまりしょうもないペテンをやってると信頼失いまっせ。

2020年2月1日土曜日

枢機卿も時代とともに


 知人から「カーディナルⅡっていう今時のABU(ピュアフィッシング社)のスピニング買ったんだけど、4千円ぐらいで安くて調子良いので2台買って一年ぐらい経ったら、ルアー引いてるときにたまにカツカツッて感じのアタリと間違えるようないやらしい振動が出るようになったけどどうにかならん?」と相談を受けた。
 2台とも同じだそうで、不規則にしか症状が出なくて再現が難しいらしいので原因特定できる自信がないけど、同じような症状が2台で出てるなら設計的な問題があるのかもしれず興味が湧いたので1台預かって修理に挑戦してみることにした。
 ついでに彼はアウトスプールになった時代の「カーディナルC4」を当時愛用していて今でもたまに使ってるのを知ってたので、不具合生じてないそうだけど是非分解させてくれとお願いしてこれも預かって分解清掃注油を行った。
 預かってしばらく放置していたけど、しばらく前の大時化の日に釣りに行かず時間ができたのでやっつけた。

 名機「C4」はさすがという感じで勉強になった。
 C3とともにABUの黄金期の歴史的傑作機のカーディナル33や44の機構やデザインをある程度継承しつつ当時主流となっていたアウトスプール版で左右両用化しているんだけど、33とかが中古屋の陳列棚に並んでいると、本体がスッキリと薄型で昔のボルボを思わせるようなカクカクとした北欧系デザインで格好いいのに惚れ惚れするんだけど、C4も同様に本体は薄型でスッキリしている。
 なぜ薄型なのかはパカッと本体蓋開けてみれば一目瞭然で、巻きは重いが耐久性と感度の良さでは定評のウォームギア方式なので、ローター軸のギアとハンドル軸のギアが重ならず、平面的に横に配列されるので薄くなるのである。
 同じウォームギア機でもPENNの714Zとかではハンドル軸のギアの部分モコッと丸く出っ張らせてあって、アルチェードではさらに極端におもいっ切りギアの形が分かる形状でそこにカワセミの意匠の丸いレリーフがあしらわれてて各国のお国柄がしのばれるようで面白い。
 ABUの場合、ハンドル軸のギアの隣にオシュレーション(スプール上下)のためのギアも並べて、ついでに空いたスペースにドラグも入れて、濡れたらいかんような部品が全部本体内に入ってて、おかげで何十年と使われてきても腐蝕もなければ摩耗もしておらず改めて分解清掃する必要もないぐらいの感じだった。ローター軸のギアはステンレスでストッパーが一体成型されててクソ丈夫にできてるし、他のギアも真鍮製で耐久性高いのが見て取れる。ベールスプリング交換だけで死ぬまで使えるはず。ベアリングも浸水したら交換かもしれないけれど、グリスシーリングしておいたから通常の使用ではまず錆びないだろう。ハンドルねじ込み式で軸が鋳込んだステンレス製で摩耗に強いからか、ハンドル軸は銅製のブッシュで受けていて、ボールベアリングはローター軸に一個だけである。銅製のブッシュは錆を心配する必要はないだろう。
 ラインローラーは樹脂製スリーブの入ったセラミックっぽい素材のものでなんならPEライン使っても大丈夫かも。
 分解清掃も蓋のネジ3本はずせばギアにグリス注入できて整備性が良く、全バラしもドラグを外すのにドラグ押さえの曲げた金属板の内側のスペーサーを抜いてからドラグを斜めにして外すところだけコツが要りそうだけど、基本的には単純明快でかつよく考えられてるなという設計配置で他に似たような設計のリールを見ないだけにABUがいかに凄かったかというのが改めて理解できる。
 ドラグがユルいと話してたので、チョット強めにできるように調整した。ドラグの後ろについている曲げた金属バネがへたってくるとドラグ締まらなくなってくるはずなので強く締まる塩梅に曲げておいた。ドラグパッド自体がツルツルになってるだろうからパッド交換すればもっと良くなるだろうけど、そのままでも充分釣りにはなりそうだった。

  敬意を表してグリスはいつもの海用の青いのではなく昔アンバサダーに付いてきたABU純正グリスをグリグリと塗りたくっておいた。ドラグだけドラググリスでラインローラーとベアリング、主軸にはダイワのリールオイル。
 ネジ1本なくしてしまっていたので、この時代は名古屋の”瑞穂機械製作所”が作ってて日本製なのでひょっとしてJIS規格の普通のネジでいけるんちゃうか?とリールに使いそうなステンレスネジは在庫してるので試してみたら3mmのでビンゴ。良い感じに快調に仕上がったと思う。
 C3ではベールスプリングが耐久性なく割とすぐに折れるのが玉に瑕という意見を散見するけど、このC4はベールスプリング交換なしでこれまで使ってきたそうで、大きい分スプリングの強度にも余裕を持たせることができたのかもしれない。
 日本が世界の工場だった頃の技術力の高さをまざまざと感じられて誇らしい気がする。C3、C4は人気もあったので中古で弾数も多く、消耗品的な部品であるベールスプリングも須山スプリングさんに注文すれば良くて、それ以外に壊れるような部分も見当たらないので、リール買い変えるの面倒臭くて釣り具メーカーのしょうもないモデルチェンジに付き合うのもウンザリだ、という向きにはまずは4桁スピンフィッシャーをお薦めするけど、C3、C4も弾数の多さに加えて修理だの調整だのを請け負ってくれる業者の豊富さからもお薦めできるなと思ったところ。
 持ってる人達は大事に使ったってください。
 昔のABUが”FOR LIFE”と謳ってたのは嘘じゃないって話。



 一方、カーディナルⅡの修繕ほうは難しくって、結果的には特定の状況でカツカツいうのは無視できる程度に治まったけど全体的にスムーズさは失われてしまった感じ。新品同様には直らんかった。スマン。面目ねえッス。
 樹脂製の軽いリールで巻きも軽くて滑らかで今時の安いリールはけっこう立派なもんだなと感心する。
 分解していくと、まあこの価格帯のリールはハンドル軸のギアは亜鉛鋳造製なので、ハンドル共回り式。小型リールではとくに問題ないと思っている。チープ大森も共回りだけど魚釣れるし。
 お尻の蓋を外すとギアに注油する穴が開いてるのはナマジ的には高評価なんだけど、いくつかのネジがえらくネジ山の”薄い”タップネジで外すときにネジ山舐めそうで怖かった。組み付け段階でも苦労した感じでネジ山若干削れてた。ネジがイマイチな品質ってところに安い工賃の工場で作ってるんだろうなというのが見て取れる。
 ナマジ的に減点対象が、諸悪の根源”瞬間的逆転防止機構”がついてて、かつローター内部の浸水しそうな部分に既製品の一方通行のベアリングを逆転させる仕組みを積んでるんだと思うけど、バネが剥き出しのチョット見たことない機構が乗っていて、今回ここは不具合生じてないので見えてるバネにグリス塗っただけで”ソッ閉じ”しておいた。

 カツカツ言うのは2台ともそうだということで、設計的な部分から来てるんだろうなと想定して、音がするときとしないときがあるってことはおそらく、スプールの乗ってる主軸が遊びの分ガタがあるはずだけどその遊びでスプールがあがってるときと下がってる時で違うんだろうと、スプール押さえて回転させてみたらスプールが上に来たときにカツカツ音がすると判明。
 どこか当たってるのかなと、各部品外しながら回して確認していくと、ローター外しても鳴ってるのでギアかオシュレーションかでオシュレーションの形を見たらカムがS字型の最近のダイワ方式?で、この方式は上に来たときだったか下に来たときだったか1箇所軽く引っかかるような動きをするとか読んだことあるのでどうも緩んで精度が落ちたのでその引っかかりが大きくなってるッポイ。

 なので、グリスグッチャリで粘らせてがたつき押さえてネジ締め直して緩みを減らす方針で整備したんだけど、音は静かになったんだけどアタリが取れてそれなりにスムーズになってたのがギクシャクしてしまった感じで若干もとより回転が”ノイジー”になってしまった。
 元に戻らないのは、イマイチなネジが締め込みにくいのとそもそも樹脂製なのであんまりきつく締められないってのもあるのかも。
 なんちゅうか、安価で売るために安く作ってるはずなのに、インフィニットには殺して逆転する機構もつけてあるし、オシュレーションなんて普通に往復する方式で巻き上がりフタコブラクダで何が悪いって感じだけど平行巻にするためダイワ方式にしてたり、安い樹脂製のリールには合ってない設計なのかなという感じ。

 C4の名機ぶりも感動モノだったけど、カーディナルⅡの、このデフレでモノが溢れてて新品が売れない時代に何とか売ろうとして、ダイワシマノに負けんようにインフィニットも平行巻も全部乗せでオマケに替えスプールも付けちゃうってあたりに、無理難題を突きつけられてる労働者の哀愁的なものを感じて味わい深かった。ある意味今の時代を象徴している気がする。他人の仕事を正当に評価せず、無理難題を押しつけるようなことをやってると、アンタの仕事も正当に評価されずに無理難題を押しつけられるゾって話。
 縁あってやって来たからには、多少ノイジーでも気にならない釣りにでも使ってやって欲しいと思う。

 安いリールは、瞬間的逆転防止機構は今時ついてないと店頭で回したときに買ってもらえないからつけるにしても、逆転させるスイッチなんて省略でも安価なリールを買う層は気にしないはずで、そこはPENN430ssgみたいに割り切っても良いンじゃないかと思う。
 ボールベアリングはドライブ軸のギアが亜鉛鋳造なら摩耗対策でドライブ軸に2個、主軸には逆転防止兼用で一方通行のを1個の3個でラインローラーにはなし。
 オシュレーションなんて単純なカム方式で何が悪い。スプール短く径を大きくすればクランク方式でも行けると思うぐらい。
 軽くて安い樹脂製で、ネジはすぐに穴がスカスカにならないように、雌ネジを金属製に、とかは経費かかるからせめて余裕を見て大きめ長めのタップネジで強度を確保、ぐらいの単純な設計で今時の安くて精度の出せるどっかの新興工業国で作ったら、何の問題もないものができると思う。っていうか既にそういうのは作られてると思うけど、わかりやすい”売り”がないと話題にもなんないし売れないんだろうな、物を売るのが難しい時代だなと思う。
 なんにせよ、どんな時代でも名作の影には数多くの駄作、奇作、失敗作に普通作があったはずで、今の時代には今の時代の名作が作られることを願うしかないンだけど、それがアホみたいな高額の機種ではなく普通の釣り人の手の届く価格帯に現れてほしいものだと願うのみである。