2020年2月16日日曜日

3日間幸せになりたかったらメジロを釣って食べなさい

 なんかここ数日体調悪いなと思ってたけど、どうも花粉が飛び始めたみたいで昨日帰ってきてから目が痒くなってきた。喉の調子も悪いけど花粉症だと内臓の粘膜も反応してるのかお腹の具合もよろしくない。今日は雨で花粉飛んでないのでチャンスだけど塩梅悪いときはおとなしくしておこう。
 嫌な季節の数え方だけど、花粉症が始まるともうすぐ春だなと思う。

 太平洋側で漁獲されるブリ(ワラサとかイナダも含む)の地位向上については常々なんとかせねばならんと思うところである。ワシャ何の責任もないけどナ。
 川崎在住時にも、その不当なぐらいの評価の低さからくる値段の安さについては、憤りつつも美味しくいただかせてもらっていて、以前にもひとくさり書いている。
 太平洋側で揚がるあんまり脂ののってないブリ一家については、ネット上でも味噌糞に貶す意見をよく目にする。
 確かに、日本海側で揚がる”寒ブリ”のように80センチで8キロになるとかいう豊度を誇る脂のノリのよい今時の消費者の嗜好に合致した代物とは別物であるというのは事実そうなのかもしれない。
 だからといって、そこまでは脂の乗らない太平洋産が不味いかといえば、全くそんなことはなくて、十分美味しい魚だし、ハッキリ言って脂がのってなければ旨いと感じられないのはバカ舌だと思うし(なんでも美味いと感じるワシの方がバカ舌か?)、脂っ気が足りないならそれを補完して、あるいは脂の少なさを生かして料理できなければ、単なる料理下手だと思うので、先日、ブリの手前のいい”メジロ”を水揚げして、半身を友人にお裾分けして、アラとかは猫にも食べるの手伝ってもらったけど、3日ほど掛けて毎食メジロで楽しんでみたので、実例をあげて太平洋側のブリ一家も美味しいんですッ!っていうのを示してみたい。

 まずは、料理なんだけど殺人犯が風呂場で死体を解体するのは、そうすれば血で汚れてもシャワーでサッと洗い流せるからで、皮も食べたいので鱗も取らねばならずってのもあってそれにならう。風呂場に90センチからある魚が転がってると非日常感が強烈で笑えてくる。

 風呂場の床に傷を付けたくないので力を入れて包丁を入れる時には下にまな板を置く。力を入れると言っても、プロの料理人がやるように出刃で頭とか背骨とかをダンッと一刀両断するってのは素人が真似すると包丁の刃が欠けるだけなのでやらない。手慣れた文化包丁は出刃ほど刃が厚くないので尚更である。
 基本は包丁で切れるところまで切っておいて、あとは手を使って力技でバリッとかいわせながらの解体作業で、尾丙の切断ぐらいは関節に包丁入れてサクッと切れるけど、頭の切断は背骨まで切ろうとせず、内臓も食べるので傷つけないようにしつつ周りの筋肉やらをグルッと切ってから口に手を突っ込んで背骨折ってねじ切る。カブト割りも、頭の先の方からある程度は骨が柔らかいので普通に包丁が入るけど、背骨に達すると包丁が進まなくなるので、そこで包丁は抜いて切れた裂け目に手を突っ込んでバリバリと割く。
 でもってなんとか魚焼きグリルに収まったので、頭半分の兜焼き。強火で5分裏返して5分仕上げに5分で皮目を焦がして中まで火をとおす。
 目の周りやら頬肉、後頭部?の肉が旨いのはいうまでもなく、パリパリの皮とクニュクニュの軟骨も手と口の周りをペトペトさせながらいただく。小腹が空いたときにネットとか見ながら”解剖”しつつ食べるのにちょうど良い。

 でもなんと言っても美味しかったのは、釣ったすぐの昼食で食べた内臓系。肝臓が特にトロッと甘くて美味しかったけど、チョット癖のある脾臓もコリコリクニュクニュの胃袋も心臓も美味。胃袋は給湯器の熱いお湯を掛けてから水でゴシゴシと洗って他の内臓もお湯掛けてからサッと湯がいて下ろしポン酢。
 今回、鰓と幽門垂、腸管は捨てたけど美味しい食べ方あるのだろうか?ご存じの方おられたら教えてくれると嬉しいです。メジロカマも当然旨い。ヒレもパリパリに焼けてたので煎餅みたいでちょっと良い味。

 新鮮な刺身は当然旨くって、定番のブリ大根ならぬメジロ大根も良い味で作り置きしておけるので昼飯にはちょうど良かった。皮もここにぶち込んでます。
 今回は初水揚げなのでベタな料理で行こうという方針で、メジロシャブもやったけど、当然美味しくいただけた。卓上コンロがないのでグツグツ言ってるコンロの上の鍋に切り身ぶち込んでから食卓に運び、余熱で火が通ってくのを食べた。

 多分そうだろうなと思ってたけど、簡単で美味しい料理方法は”ズケ”のような気がする。
 ズケなら脂っ気が欲しければゴマ油でもオリーブオイルでも足してやればよく、味付けも今回は単純に麺ツユで行ったけど、塩ネギでポキ風に仕上げても良し、各種ドレッシングで漬けても良し、風雲児さんお薦めの卵黄ダレで漬けても、ユッケ風にあとから卵黄乗せても良しでお好みの味が楽しめる。次回は卵黄ダレとかやってみよう。ブリ大根の汁かけて”ズケ茶漬け”風にしても旨かった。

 次回試してみたいのが保存食系で、脂がのってないっていうのは逆に保存中に脂が変質して嫌な臭いになったりしにくいので、干物とかには好適な素材のハズである。
 ブリの保存食って言えば富山あたりの”塩ぶり”が有名だけどあんな脂ののったヤツで作る高級品じゃなくて、適当に切り身を干した干物でも、乾燥と熟成で味がギュッと濃くなっていけるんじゃないかと思っている。
 カマスも今釣れるのは脂抜けてるけど干物原料としてはナイスで実に良い塩梅に干しあがる。
 というのをやるにはまた釣らねばならず、なんだかんだで釣りに行くんだけど、正直回遊待ちの釣りって魚回ってくるまで”魚いないところに投げてる”感が強くあって苦手だなと思う。
 一匹釣れば3日は食えるっていうのは魅力だけど、良い型といっても10キロ余裕で超えるはずの魚の5,6キロって考えると、まあ滅多に釣れない大きさではあるし釣れたら3日ぐらいは幸せになれるぐらい嬉しいんだけど、一発大物を!って自分が熱中する魚じゃないのかもしれない。
 何匹か釣ったら魅力が分かってきて熱中できると良いンだけど、現時点ではシーバスやらチヌが釣れるならそっちを優先しようかなっていう贅沢が言えるのが紀伊半島の底力かもしれん。恐ろしいゼ。

 ちなみにブリって一般的に長さなら80センチ以上。重さはブランド物の”寒ブリ”で6キロ以上とか7キロ以上とかなってて、91センチ5.7キロは長さ的にはブリの資格有りだけど、ワシ的には重さで不合格だとおもってメジロとした。ブリっていうのは文字通りブリッと太って8キロ前後ぐらいから上じゃないと呼ぶ気になれん。
 メジロが小さい魚ってわきゃないし価値のない獲物ってわけでは全くないけどね。ひねくれてるから3日も経つと喜びも薄れてモットモットと欲をかいてしまうんである。まぐれで一匹釣ったぐらいでエラそうに書くなと自分でも思うので、まずはもう一匹だな。

3 件のコメント:

  1. こんばんは。
    遅くなりましたが、おめでとうございます!
    こりゃ堪能できたでしょうね。あっさりしたメジロは養殖物とか、脂ノリノリのものとは違ってなんぼでも食べられてしまうのが困りものです。味付けも色々と試して楽しめますしね。

    ブリの腸管ですが、壱岐の料理「ブリのワタ汁」はいかがですか?
    http://beishowme3.seesaa.net/article/162444059.html
    「築地魚河岸三代目」というマンガにちらっと出てきて気になってました。なかなか試すチャンスがないのですが、不味くなる要素はないですよね。

    エラに関しても同じ作品に「能登では鰓まで味噌焼きにして食べるそうです」というようなセリフがあったので調べてみたのですが、これはちょっとめんどくさそう・・・。
    https://temaeitamae.jp/top/t2/kj/999_K/023.html

    こっちのエラの唐揚げの方が楽でいいかも。
    http://www.ntv.co.jp/aozora/recipes/2010/02/post-144.html

    ぜひ感想を教えてくださいませ~。

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  2. ↑の、私です(汗)

    ブリやヒラメ、イシダイなんかは金ダワシで楽して鱗を落とせるのがありがたいです。
    たわしの欠片が残らないように要注意ですけど。

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    1. 風雲児さん お祝いのお言葉、料理の助言ありがとうございます。

       ワタ汁と鰓の唐揚げは簡単そうでかつ旨そう。次回挑戦してみます。この手の内臓系の料理は鮮度が大事なので釣り人の特権ですよね。
       「ぶりかげ」の方は九州の方でタラの鰓とそれにつながる胃袋の干物「たらおさ」を戻して煮付けにするのに通じるものがありますね。鰓もそこそこ大きくて食いでがありそうだったので、たぶんどっかに利用する郷土料理あるはずと思ってましたがやっぱり先人はいろいろ工夫して無駄なく食べてますね。
       先人の知恵と風雲児さんの知識にも敬服です。

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