前回作ったオシュレーションスライダーが、壊れてスプールが上下しなくなった。不幸中の幸いで、部屋でラインの巻き替え作業中だったので、釣り場でリール交換の手間もなく、最初から代打機のPENN720zで釣りには行けたけど、壊れたことを受けて、さて、次にオシュレーションスライダーを作って組み込む際に考慮しなければならない課題が浮き彫りになって来た。
本体開けてみて、まず目について、ちょっと驚いたのがオシュレーションスライダーが割れた云々より先に、本体内に結構な量浸水していて、錆と混ざった茶色い水がたまっていて、グリスも水が混じって白濁してしまっていることである。ワシ、海で使った釣り具は帰ってきてすぐに水洗いしてボロ切れで拭いて乾燥というお手入れを基本としている。水洗いはシャワーだったり水道蛇口直撃だったり、ジャバジャバとかけている。これまでもそうしてきたし、それが海で使った道具の扱い方の常識だと思っていたので、最近のリールは特別なパッキンとかがないかぎりリールは水道水ジャバジャバとかではよろしくない、とかいう記事には「水辺で使う道具に水掛けるな、ってアホか!」と正直思っていた。リールは真水でジャブジャブ洗うってのはほぼ常識で、むしろ濡れたら困る”瞬間的逆転防止機構”なんぞを水辺で使う道具であるリールに入れてしまったので、そうじゃなければ多少の浸水なんぞ放置で充分だったはずなのに五月蝿く言うようになってきたんだろうなと感じてて、ワシには関係ないことじゃ、と思ってたけど、ミッチェルの古いタイプは水ぶっかけるとどうもローターの下の隙間から水はいる構造のようで、水道水ジャバジャバではよろしくないようなのである。
淡水の釣りしかしなくて、濡れた布で汚れを拭き取るぐらいで大丈夫な釣り人は、ワシのことを、なんて常識外れのバカなんだ、と思うかもだけど、重ねて主張しておくけど海で使った釣道具をシャワーやら水道ホースやらで真水ぶっかけるのは、世界共通の常識のハズで、右の写真のように釣りの宿には普通に釣り道具を洗って干すための水道ホース付きの台が用意されていたし、ハワイでは船から上がったら、ここで道具洗っていくと良いよと港のシャワー付きの道具洗い場に案内してもらって「洗うときはドラグ締めてドラグパッドに水が入らないようにしてから水を掛けろ」とお作法も教わった。そのぐらいしないと塩気ってとれなくて、っていうかやっても取れないぐらいで時に全バラしてCRCやらパーツクリーナーとか使ってフルメンテ必要になるんだけど、海で使った道具の塩抜きはガッチリやってないと即腐蝕につながるので、キツ目にやらねばならんのである。丸ミッチェルの場合、浸水しやすいのは仕方ないけど、幸い単純な構造で整備性はすごぶる良いので、水道水ブチ掛けての丸洗いは控えて、濡れた布で拭くぐらいにしておいて、代わりにマメに分解してグリス入れ替えとかをしてやることにしよう。グリスはこの際、潤滑性とか二の次で、耐塩性重視でマキシマの青グリスを大盛りにしてグリスシーリングで部品などを塩から守り、水気で白く濁ったらグリス交換ぐらいで運用してみたい。
最初にこの個体を分解整備したときに、なんでこんな本体内部が錆で埋まるぐらい腐蝕してるのか疑問だったけど、構造的に内部に塩水侵入しやすいのね。まあ分かってればそれなりの対策をして使えって話。その分、手間は掛かるかもだけど、このリールの場合そういうジャジャ馬ぶりも楽しもうという基本方針なのでゆるす。
で、問題の割れたオシュレーションスライダーなんだけど、冒頭の写真でおわかりいただけるかどうか微妙だけど、ようするに「土台を作って、その上に溝の部分を乗っけた」構造の乗っけた部分が剥がれるようにポロッと取れている。エポキシ樹脂でも重ね塗りすると剥がれたりするけど、UVレジン樹脂でも、固化した土台と上に乗せて後から固めた構造との間には、割れやすい剥がれやすい面が生じてしまうようである。同じUVレジン樹脂使ってて一見綺麗にくっついているので、強度的には一体整形に近いモノがあるかと期待したけど、そんなわきゃなかった。ということで強度が欲しければ、剥がれやすい面を補強するように針金とかで柱を入れるとか、いっそ一発勝負で一体整形にするっていうのが強度確保には必要なようだ。
といことで、まずは割れたオシュレーションスライダーの再利用で、補強を入れる方針でやってみた。剥がれたところを瞬着で固めて、穴の両横にそれぞれって感じで4箇所まち針の軸を切った支柱をいれてみた。グリスはこのぐらいグチャグチャに入れて、水が入る余地を減らして多少入っても部品はグリスで守られている感じで行く。
一応、これで組んでみたら最初問題無さそうだったけど、途中で引っかかるようになった。瞬着で固めたりしたので微妙に形変わってしまったとかだろうか?形状調整して何とかするのも、手間くうわりに、一回割れてるし強度それ程確保できない気もしたので、早めに諦めて、作り直す方針に変更。
「自作オシュレーションスライダーその2」を作成するにあたっての方針は”一体整形で補強入り”というのでいきたい。前回は前述のように台座をまず作って、その上に溝切られた部分を乗せる感じで作ったけど、今回はお湯の熱で整形可能な粘土に本物のオシュレーションスライダーを溝側からギュッと押しつけて”型”を作って、UVレジン樹脂を流し込んで、固める作業は一体成形なので一発で決める。その時に補強を入れるんだけど、前回書いたように、UVレジン樹脂は必要な準備が整ったらこちらの都合で紫外線照射を始めて固化させることができるので、モタモタしていると固まってしまう20分固化タイプとかのエポキシ樹脂より融通が利いて落ち着いて作業ができる。逆に言えばエポキシ樹脂でも固化時間が長くて半日とかかかるタイプなら落ち着いて作業はできるんだけど、待ち時間が長いと、せっかく入ってた”やる気スイッチ”が切れてしまって固めたは良いけどその後の作業を放置しがち。加えて、竿のガイドラッピングに使うような長時間固化タイプのエポキシって、今回のような小物1個作るのには向いていなくて、量が結構あるけど開封してしまうと冷凍庫に入れても半年も保たずに勝手に固まって使えなくなるので、少量売りの百均UV樹脂はその点使いやすい。
ってのをふまえて、なるべくUVレジンで仕事が済むように、補強の方法を考える。今回は前回1枚しか入れなかった網戸のナイロン網を切ったモノを3枚ぶち込んで、溝のある方にも斜めで入るようにして強度が出るようにしてみた。もっと丈夫な素材でも良いのかもだけど、引っ張り強度的にはかなり強いので、やるなら金網なんだろうけど金網だとあとで穴開けるのにジャマになったりするだろうから、とりあえずナイロンでいってみた。加えて、写真じゃ分かりにくいだろうけど、網に突き刺す形でまち針の軸を切った”鉄骨”を入れておいた。
で、UVレジン樹脂を固めるところまでは問題なくいけるんだけど、前回予想外に苦戦したのがネジの穴開けで、ドリルで穴掘ると、微妙に位置が思う場所からズレてしまい、何度か穴埋めして穴開け直すハメになった。当然、強度が落ちる原因になり得るので今回は一発で決めたい。糸巻き形状の補正のため穴の位置をずらすのに、前回穴が円形の端ギリギリになってしまって強度的に危なっかしい感じだったので、今回は、型とった時点で、熱した鉄の棒をつかって型の端を押し広げて、ズラして穴を開けても余裕がある一部出っ張った形状にしている。ちなみに作業工程が短くて済むUVレジン樹脂の利点を生かして、予備も含めて2個作ってみた。予備あると壊れてもすぐ復帰できる。
穴開けは、電動ハンドドリルがダメなら手動で丁寧にいくしかないかということで、最初穴開ける位置に熱した千枚通しでくぼみを作って、そこから細いダイヤモンドヤスリから始めてだんだんヤスリの径を太くしていって必要な大きさの穴に仕上げた。あと、当然厚さとかも現物とあわせてサンドペーパーで削っていく。できあがったものが三枚目の写真の上の方で下は型とるために現物の穴にティッシュ詰めたもの。
でもって、組み込んでやってできあがり。いまのところ現場復帰して調子よく稼働中で、どのぐらいもってくれるのか試験中という感じになっちょります。
丸ミッチェル314、キャストは意図しないベール返りとかも起きず、糸巻き量を減らしてやってからはライントラブルもこれといって生じず、って感じで手に馴染んできつつある。プラナマティックのおかげかスプールの直径が大きいのが良いのかラインの放出性は良い感じで、この時期5センチだかの小型のシンペン「海爆リップレス」を主に投げてるんだけど良く飛んでくれている。まだドラグの性能を試すような魚は掛けてないけれど、ゆるめドラグでセイゴでも最初ジジッとラインが出てちゃんと機能してるのでおそらく大丈夫そう。ストッパーを普段はオフにしておいて、取り込みでタモ使うようなときだけ掛ける”ミッチェル方式”にも慣れてきた。タモ使うような場面はまだないけど、移動時にルア-のフックをガイドの足に掛けてるんだけど、その時にはストッパー掛けている。ストッパーオンオフをロッド握ってる右手の小指で切り換えるのにも慣れてきた。
あとは、コイツで良い魚を釣って、写真付きで「使えるリールでっせ!」と宣伝文書いて在庫している丸ミッチェル達をネットオークションで売りさばく予定なので、良い魚釣らねばである。
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