2022年1月29日土曜日

仲間呼びやがった!!

 欲しかったんじゃ-!仕方なかったんじゃー!!

 セ○イモンから太平洋越えて送られてきたブツを箱を開いてボンジュールって感じで並べて記念撮影したんだけど、興奮して”ちょっとピンぼけ”になってしまってる。

 スピニング熱関連のなかでも、ミッチェル沼は特に深くてややこしいというのは重々承知していたつもりで、ひょんな事からボロい「314」を入手し手入れして使用可能な状態に整備したときに、ヌコさんから「沼にハマらないようにするにはその1台に愛情掛けてやるのはどうでしょうか?」という沼の底の方からのためになるご助言をいただき「全くそのとおりだな」と深く頷いたものである。

 にもかかわらずこのていたらく。いつものことですが説明させてください。お願いします。

 一台「314」を使うとするとですね、ラインローラー固定式でちょっとジャジャ馬入ってるって話もあるので、ライントラブルはあってもおかしくないのでスペアスプールは欲しいなと思うわけですよ。まあワシんちいくらでもリール転がってるのでスペアリール持ってけばいいんですけどね。でもスペアスプール欲しいと思ったときに、ミッチェルのような世界的に売れてたメーカーのリールになると、「314」のようなそれほど人気があるわけじゃないだろう機種でも結構な台数売れてたはずで、スペアスプールも海外オークションとか覗くと普通に売ってるわけですよ。これがまた、送料手数料除くと安くてお手頃。まあ、買っちゃえってマウスが滑りますよね。うんうん、ってここまで皆さん分かりますよね。こっからがキ○ガイの領域に入っていくんでしょうけど、スペアスプール一個買うのに3千円からする送料払うのも馬鹿臭いな、ついでに関税(小売り価格の6割が1万円以下なら対象外)かかならくてすむように1万5千円以下目処でなんか買ってしまおう。送料割安!って今思うとオカシイって分かるんですけど、アフリカの森の貴婦人はオカピーって分かるんですけど、なぜかそう思ってしまうんですよね。自分へのお年玉だと、齢50のジ様になってなに考えとるんジャなんですけどね。で、ちょうど良いブツが無ければ頭も冷めて被害も少なく済むんでしょうけど、なんというか、こういうのって運命で、買っちゃうときは買っちゃうようになってるんです。仕方ないんです。まあ昨年入手した「314」はボロい個体なので交換できる部品とか安く売ってないかなと思って、本体蓋見付けたのはまあ良いでしょう。安かったし見た目綺麗になれば間違いなく売るとき良い値段になるので良い投資と言って良いんじゃないかと。ただ、314関連で検索掛けたのは良くなかった。ナマジ素直に反省。うん、良くなかったね。ハンドルやらベールやらが無いジャンクな個体も含めて5台まとめて1万円ちょいで出てる「314」、「304」、「CAP」詰め合わせが目についてしまった。お会計、送料除いてスプールやら分ンもふくめて合計1万5千円チョイ切るぐらいになるしちょうどいいやと、ごく自然にマウスが滑ってしまったのは痛恨の極みでございます。アホかオマエは!

 と反省はしとるんですが、いざブツが届くと、もうウキウキなのは疑いようもなくて、もうアタイどうでもいいやって思っちゃうの。

 これがまた、明らかなパーツ欠損個体とかもあるの承知で買ってるので、どうしようもないクソジャンクばかりということも当然想定してたんだけど、実際には思ったより程度が良くて、機関的には問題ないような個体ばかり。パーツ共用性もあるはずなので、うまく部品のやりくりすれば4台実動状態に持っていけそうで、見た目それ程ボロってこともないので、売りゃあ1台5千円から1万円くらいにはなりそうで、5千円で3台売って部品除いたリールだけの送料込み費用とだいたいトントンで4台売れるところまで持っていければ下手すると、非常に珍しい事に儲けが出て部品代ぐらいにはなってしまうというけしからん事態。まあリールを台帳付けて管理し始めてから、買ったり売ったりしながらも台数は90台制限のはずがいまや120台と30台も超過しており、会計的には10万円ちょいの赤字。今年なんとか15台ぐらいは売りさばいて収支をトントンまで持っていきたいと思ってたので、良い値で売れてくれて儲けが出たらば悪くない。というかトレビア~ンである。

 ということで、まずはブツを見ていこう。現状確認大事。

 1台目、これは我が家の最初の一台と同じ「314」。最初ベールが返らなくなってて、ベールスプリングが折れてるな、と思ったんだけど確認してみたらベールスプリングが外れてるだけで、填めたら全く問題ない作動状態。たまに「バラしたら組めなくなってしまったのでジャンク扱いで」と格安でネットフリマにリール出してる人いるけど、そんなもん値段安くする理由になるのか?って思うんだけど、なんなんだろう。当然瞬殺で売り切れてて買えたためしないけどな。にしても5台も売りに出した人間が、この手の単純な古いリールのベールスプリングぐらい填められなかったんだろうかと不思議でならない。裏面に「304」の”昔の名前”「CAP」と刻印があり、かつ米国ではガルシアブランドで売られたんだけど、白い刻印で「ガルシア」の文字を切り直すのが間に合ってなくて、ガルシアのシールが貼ってある。このシールがあんまり丈夫じゃない素材でできていて文字も薄れてるしハゲチョロげそうだけど「米国進出してすぐのモデルでっせ」っていうのは”売り”になるので、剥がさないように丁寧に扱わねばである。深溝金属製ワンタッチスプール、”プラナマティック”なスプール上下機構搭載で、これはそこそこ良い値段で売れるかも。でも我が家のボロ314の予備機で確保しておきたくもある。まあその辺はシーバスで使って気に入るかどうかで、2台とも売っちまうか、2台確保か1台売るか、急ぎじゃないしオイオイ決めよう。って保留してると蔵の在庫が増えるんだろうな。ちなみにフットナンバーはなくて本体に「07982」(シリアルナンバーで製造年特定できると思ってたけど300系と304系では別体系の番号振られているようで海外の詳しいサイト「ザ・ミッチェルリールミュージアム2021」でも特定できなかったのでどなたか分かる方おられたらご教授願います。ORCAでも探しきらんかった)。

 2台目は「CAP」。ミッチェルの元になった会社が、注文を受けて作ったリールだそうで、その時の会社名の略であるとの説がある「CAP」という名で出てました。っていうぐらいで後にミッチェル社になっても、同じような設計は引き継がれて「304」とミッチェル式に番号が与えられたとの事。っていうのは基本情報で知ってたんだけど、ミッチェル社になっても上の314のようにCAPの銘が残ってたりもして、簡単に割り切れるものでもないのかも。これが、いつの時代のか良く分からんうえに、なぜかプラナマティックが搭載されてて、前の持ち主が組みこんだのかそういうモデルがあったのか最初良く分からなかった1台。ハンドル側の本体蓋には銘がなく、背面にデカデカと「C.A.P」の銘があり、ローター軸のギアが収まる場所の形状も他とちょっと違う。スプールは深溝なんだけど、中心軸は6本の柱で構成されていて他のモデルとはこれまたちょっと違う。ワンタッチじゃ無いスプールだけどドラグノブがベンツマークみたいな形で下のドラグハメ殺してる金属が見えているのも違い。古いリールに相応に小傷やハゲがあるし、フルベールってことは世界初のフルベールアーム搭載機「アルテックス」でハーディー社が取っていた特許権が切れた後の製造だろうから、そろそろ社名も”カーパノ&ポンズ”から”ミッチェル”になった時代かなとも思うけど、それでも一番歴史を感じられる個体で、機能的には問題なく稼動しているので、これもそこそこ値段つくかも。フットナンバー?は「Z」。

 3台目、4台目は共に「304」でワンタッチスプールじゃなくて、プラナマティックは搭載されていない。3台目は傷も少ない綺麗な個体でハンドル無し。フットナンバー「2487?53」。4台目は、ちょい小汚い感じで、ベールワイヤーもまがってて、これは意外に曲がりやすいようでペンチで挟んで戻したら簡単に直った。簡単に曲がりそうなのは要注意だな。フットナンバーは「1886445」。

 まあ2台あって、1台綺麗な方がハンドル無しなら、ハンドルそっちに移すよねッテ話で下の写真の様に移植。 

 綺麗な方の3台目は、写真でも綺麗に写るぐらいに見た目がよいので、304は値段つきにくいけど、5千円から上は堅いところかなと獲らぬ狸のなんとやら。

 作られた時代が比較的新しいのか?あまり使われなかった個体なのか、機関も分解清掃必要ないんじゃないかってぐらいに普通に好調。まあ、中も見てみたいので分解清掃してグリスアップしてやるけど、なにゆえハンドルだけ無い状態なんだろとか、今一来歴というか出品者の意図が読めン。ワシならこっちにハンドル付けておくけどな。

 最後は「304S」で、何が”S”なんだろうって、ネットで調べてもいまいちわからず。こいつはベール回りの部品がまとめて1式欠損。どうも、ハンドルが314と共通の、ノブをクルッと回してたためるタイプなのと、逆転防止のオンオフスイッチも314と同じ形のが採用されていて、ハンドル蓋回りのパーツを314と共用にした304とかなのかもしれない。フットナンバーは「3237489」。

 ということで、右写真の下の様にベール回りが足りない304Sが1台、ハンドルが足りない304が1台で、ここはあまり見かけず希少価値が多少ありそうな304Sにベール回りの一式を移植して、小汚い方の304は部品取り個体としてしまうというのが妥当かなと思う。304Sは5千円いってくれるとありがたい。ハンドルはセカイ○ンで探せばたやすく見つかるけど、それなりに値段はしていて、ベール回り一式は意外に揃わなさそうな感触なので、各所むしり取られた304はオマケで綺麗な304完品にくっつけて手元からなくすとかかな?手元に完品じゃない個体を置いておくと採算度外視で部品集めたくなる衝動にかられるので、早く手放すのが賢明かと。ワシが賢明な行動を取れたためしなど無いとしてもだ。

 とりあえず、欠損はあれども不具合はあんまりなさそうな感じにちゃんと稼動してる個体ばかりで、最初の314であまりにも苦戦した印象が強烈で、古いミッチェルってのはパカッと蓋開けると、中から腐蝕して剥がれ落ちた金属片がグリスに絡め取られて固まってるもんだ、という偏見に近い恐れが心にあったんだけど、あの個体が水没して塩噛んでたとか特殊だったようで、今回いじった5台は全て内部に酷い錆など出ておらず、何十年も昔のリールばかりのハズだけど、特に機関に問題なく支障なく使用できそうで、ワシが気合い入れて全バラしして、パーツクリーナーで古いグリスも落としてABU純正グリスでグリグリとグリスで濡れてない箇所がないようにグリスアップして整備してやったからには、おそらく次の釣り人がまた何十年と使う事ができるようになったはずである。最初の314の印象であんまり錆とかに強くないのかもって思ったけど、評価を改めざるを得ない。ストレートな捻りの入ってない単純なベベルギアにボールベアリング無し、ラインローラーも固定式と設計とかは古いかもだけど、しっかり作ってあって長く使える実用機なんだなと改めて認識した。スピニングリールなんて投げて巻けりゃあ良いはずで、そのぐらいこの時代のリールでもできないわきゃないよね。できなきゃリールじゃなくて腕が昔の人より悪いって話さね。

 パカッと蓋開けたところの5台それぞれの様子だけど、順番はさっき紹介したとおりで、上から314、CAP、304美、304、304Sとなってるけど、一番上の314の全バラし状態見て分かるように、プラナマチックのパーツが増えてもたいした部品数になっておらず、整備はとってもやりやすい。さすがに5台は面倒臭かったけど、単純で全バラし整備が楽なら、海で使ってもシーズン終わりに塩抜き兼ねて全バラししてやっても良い感じ。グリス固まってたのは下から2番目の美品じゃない方の304ぐらいで、他はまだグリスが充分潤滑油の役目を果たしてて、3番目の304美品の方とかオレンジのグリスが発売時のままなんじゃないか?ってぐらい濁りもない発色してる。逆に一番下の304Sはお尻の油差しから前の持ち主がオイル差したのか、グリスがユルくなってベチョついてるけど、機関は好調で問題ない感じ。楽しい釣りの現場でしっかり働いてきた個体なのかな?とか想像してしまう。どの機種もなんで本体が丸いのかってのが丸わかりの、きっちり丸いベベルギアが詰まってて、まあ古い時代はスピニングリールはみんなベベルギア機か単純フェースギア機で丸かったっていえば丸かったんだろうけど、なんとも丸くて愛嬌があるリール達である。

 で、明らかに本体フレームとローターは共通に見えるこれらのミッチェル(以下「丸ミッチェル」と呼称することを提唱)、モデルごと時代ごとのパーツの互換性とかはどうなのよ?ってのが5台も手に入ると気になるし、使う予定のボロ314の予備機として314以外も使えるのか?ってのも気になるところ。

 まずはプラナマティックの有無で互換性があるかないか?ッテ話だけど、本体フレームがほぼ共通なので、ハンドル軸のギアごと取っ替えれば当然どっちにもできる。ほぼと書いたのは、CAP以外では本体フレームにはプラナマティック比搭載の304でも304Sでももちろん搭載している314にも、プラナマティック関連部品の2重になってる外側の枠部分の両端の出っ張りが収まる真ん中の切れた”土手”が設けられていて、ギアごとプラナマティックを持って来たら問題なく填まる構造になっている。ただ、CAPではその土手の切れ目に相当するプラナマティックの外枠の出っ張りを収める場所が土手に掘った穴になっている(ということから最初からプラナマティックありの機体だったと判明)。ひょっとして同時代のプラナマティック無しのCAPでは穴の開いてない土手になっていて、ギアごと持って来ても互換性がないっていう可能性が否定できない。ちなみに写真で右のギアの上に乗ってる花びらっぽい部品とその外側の枠がプラナマティックの部品なんだけど、外側はギアが回っても回らず、本体の土手の切れ目に固定されて、ギアが回ると中の花びら部分がギアからの突起が偏心して刺さってるので、ウニョウニョ不思議な回転をして、花びらの突起が主軸に固定してあるオシュレーションカムを上下させて、結果スプールが行きつ戻りつたまにグイッという感じで上下するのである。

 ひょっとして、プラナマティックの部品2枚取っ払ったら、プラナマティック無しの普通のスプール単純往復になったりして?とも一瞬思ったけど、高さが違っちゃうからそりゃないわな。逆の単純往復の機種にプラナマティックの部品2枚足しても高さ合わずでプラナマティック化は無理。なんだけど、面白い事に、どうも後期の機体ではプラナマティック有り無しはギアそのままで交換可能なようだ。左の写真は304美のギアになんか填まってるなと剥がしたときのものだけど、下から出てきたギアの上の突起はプラナマティックの内側の花びら形部品を填める位置にある。つまりこの時代はハンドル軸のギアは元のプラナマティック用のギアに形を統一して、プラナマティック搭載機である314には当然プラナマティックの部品2つを填めて、非搭載機の304には写真の様な高さ調整してオシュレーションカムに突っ込む出っ張りを設けた部品を填めていたようなのである。そういえば海外オークションをチェックしてる時にプラナマティックを”普通”のオシュレーション方式に変換する部品として売ってたのを目にしたけど社外品かと思ってたらば何のことはない純正部品だったようだ。米国人は密巻きに近くなるプラナマティックだとラインが食い込みやすいので交差のキツい綾巻(クロスワインド)になる1回転1往復方式の方を要望する釣り人がいるとかどっかで読んだ気がする。これで、ギアそのままでギアに填まってる部品交換でプラナマティック搭載機を単純往復方式にする事はできる。逆は新型(充分古いけど)はできて旧型ではできない。という整理となった。とはいえ、ギアごと交換すればプラナマティックじゃなくなっても単純往復方式になるだけで使えるわけで、314の予備機として304系を取っておいて、314のギアが死んだら(ギアはなかなか死なないだろうけど、ギア裏に設けられたストッパーの歯は飛ぶ事があるらしい)304からギア移植してプラナマティック無しで使うという手はあるようだ。

 ついでに、パカッと蓋を開けた時点で、CAPがなかなかに面白い作りになってたのでご紹介しておくと、ハーディ社の持ってたフルベールアームの特許が切れた1954年以降とかぐらいまで遡りそうなこの古いリール、本体蓋に防水パッキンが使われてます。紙のような薄い繊維質の2枚の輪っかに油が染ませてあって、PENNの4桁スピンフィッシャーの大型機がハンドルの根元に油染ませたフェルトパッキン入れてたのやら思い出すし、現在、某大手が高級機種に使ってる変なオイルシーリングを安い機種にまでは採用できないので、同じような仕組みのパッキンを採用してたようにも記憶している。60年から前の技術でっせ。古けりゃ良いってもんじゃないけど、古い時代の道具の”経費削減”とかが五月蠅くなかった良き時代を感じさせる丁寧な仕事はやっぱり良いものだと思う。CAPは、他のはみんな樹脂性の丸いオシュレーションスライダーも金属製で、樹脂性のは割れることがあると聞いてるので、自分の314に移植したろうかなと思ったけど、古リール好きの1人として、同型機種間のやりくりならともかく、なるべく元の部品構成をいじりたくないので、そういう我田引水的なさもしいことはやらないでおこう。次に手にした人が同じように感じてくれたらその方が良い気がする。ぶっちゃけ逆の立場でパカッと開けたら中がクズ部品集めたようになってたら腸煮えくりかえるよねって話。

 お次に互換性をみたいところなのがスプールだけど、さすがにワンタッチ着脱の314のスプールとワンタッチじゃない304、CAPのスプールでは直接は互換性ないだろうと思うけど、304とCAPのスプールは互換性ありそうなので試してみると、結果”互換性有り”でした。まあ左写真のように左304の右CAPでちょっと見た目が違うけど、写真真ん中の304のように主軸の端がギザギザに加工してあって、ハメ殺されているドラグの一番上のワッシャーが対応した形にギザギザに穴が開いており、ドラグ作動時に一番上のワッシャーは主軸に固定されて回らない構造。このハメ殺しのドラグ、スプールの中に”バネ”が内蔵されているようで、上から押さえるとそれっぽい反発力を感じる。ドラグパッドとしては座面にでっかい繊維性のパッドが乗っていて、直径からいってドラグの本体はそちらなのかもしれない。変わってるのが座面の固定方式で、右の写真で分かるかどうかだけど、下の方に4枚羽の回る謎部品が付いていて、かつ個体によっては台座がグラグラしてるのもあるという謎構造。ぐらついててもスプールを真っ直ぐな主軸に突っ込むのでスプールがぐらつくことはないとはいえ、何がしたかったのか良く分からん設計だけど、なんか意味あるんだろうな。

 ちなみに314のワンタッチスプールは、こんな感じで主軸の樹脂性のスリーブにカセット的なスプールをポンと乗せるとカチッと填まる。スプールは下面にカバーが付いた台座の上に、スプール本体が来て上面にドラグパッドが乗ってその上にドラグパッドを押さえる金属板を加工したバネ付きのワッシャーが乗ってる。ドラグパッドと一緒にバネが回りそうに見えるけど、金具が二重になっててかつ軸に固定されているのでドラグパッドと金具が摩擦する形。単純に二重になっててバネまで固定されているとドラグノブを締めるときに、バネの先で樹脂性のドラグノブの裏がガリガリ引っかかれることになって塩梅悪いんだけど、ちゃんとバネの方は輪っかで自由に回るようにか締めてあって、ドラグノブと一緒に回るようになってる。じゃあなぜ別の部品にせず面倒臭い加工してくっつけてあるのかはワシには分からん。PENNの714zとかだと別の部品に分かれているので別でも困らんように思うけど。紛失防止とかだろうか?

 スプール本体の上面と下面の両方にドラグパッドが入ってるものだと思ってたけど、今回新品箱入りの314のスプール購入して分解してみたら、下面にはドラグパッド入ってなくて下面は実質スプールの座面とスプール本体の底がドラグの一部として働いているようだ。ここはドラグパッド入れた方がドラグ力安定しそうに思う。でもスプールの糸巻き部分が上がってしまうと”後ろ巻き”になって塩梅悪いかも。そのへんは実釣前に調整だな。


 で、314と304のスプールは”直接”は互換性がないんだけど、314が逝ったときにギアとかをボロ304から持ってくるのと逆に、314のスプール(ハンドルとベール関連も無いので一緒に)を304に持ってくる方法が実はあることが確認できた。丸ミッチェルは本体フレームは基本的に同規格でそれに乗っかる部品の違いで機種が違ってくるようなので、まず間違いなく”主軸ごと交換”すれば314と304のスプールは交換可能だろうと読んで、実際に想定されるボロ314の主軸とついでにハンドルを、ベール・ハンドル欠損304に移植してみた。写真右から左へって感じで問題ない様子。これで、売れそうに仕上がった4台は適宜売りに出して、ボロ314と予備機にベール・ハンドル欠損304のダルマ状態からさらにスプールは外して他の個体にオマケで付けて本体だけ残しても、スペアスプール2個の体制引き継げる予備ができる。プラナマティックは一度どんなモノか触ってみたいけど、より単純な往復方式もスピニングの始祖に近づける感じがして悪くない。どっちも使って比較しても良いかも。まあ急がず実際に釣り場で感触確かめて考えていこう。スプールに関しては304のハメ殺しのは海で使って中のバネが錆びたりしたら対処のしようがなく、314のワンタッチの方がバラせて単純明快でドラグの効き具合の調整とかいじるのもやりやすそうだしで好ましく思う。

 あと、5台をバラして整備してて気がついたんだけど、ベール返しの”蹴飛ばし”が丸ミッチェルではローターを留めているナットで固定された金属板を加工した金具になってるんだけど、これが3種類あることが確認できた。1種類は写真左の一番単純な形。左側の金具の先に、ベールを起こす引き金?(ベールトリップレバー)の端が乗り上げて外にズレると、引き金の反対側が外側に開いて止めてたベールアームを開放してベールが返る。ボロ314、ダルマ304、304Sの3台はこのタイプ、真ん中のタイプはCAPのみで、金具の下に引き金の端が潜り込んでいくと、金具から下に出っ張りが出てて、そこで引き金が外側に逃げてベールが返る。3つめの右端は314と304美の2台に搭載されていて、写真の位置で一旦金具に引き金が引っかかるんだけど、ここではベールは返らず、引っかかった後に抜けた先の次の金具の先に乗り上げて外にズレてベールが返る。これ要するにベールが簡単に返りすぎないように引っかかりを作ってある”ローターブレーキ”の一種なんだろうとおもう。確かに写真左の単純方式だとわりと軽くベールが返ってしまうように感じる。軽く返るのは勝手に返る不具合さえ起こさなければ美点だと思うけど、ローターブレーキの付いたタイプがあるってことは、投げるときコネ気味でハンドル回ってベールが意図せず返ってしまう下手クソ用のような気がするので、ワシャそれが相応かなとも思うけど、いま海外ネットオークションで部品売りに出てないか調べたら、3種のうちローターブレーキ付きだけ出てなくて命拾いした。あったら確実にマウスが滑る。→部品一個に送料掛けるのは馬鹿臭いな→1万5千円目処でまた要らんモノを買ってしまう。という地獄巡りにまた落ちるところだった。
 丸ミッチェル使うにあたっては、課題として”サムオントップの基本の握りでコネずに真っ直ぐ振る基本の投げ方も改めて身につける”というのも意識しているので、ローターブレーキ無しで丸ミッチェルに修行つけてもらえ、との”見えざる力”の思し召しだと考えよう。なに、いざとなったら複雑な仕組みでもないし、薄いプラスチックの板とかを加工してローターブレーキでっちあげてもいいさね。あと、ミッチェル方式ではストッパーはオフで釣って、取り込みのタモ出すときだけストッパーかけるのが正式なお作法のようなので、ストッパーの歯を飛ばさないためにもお作法どおりにやってみよう。
 
 という感じで、売りに出すつもりの4台は内部の状態はしっかりしてたので問題なしなのに加えて、ややくたびれていた個体も磨いてやったらそれなりに見栄えのする感じに仕上がって、それぞれちょっとずつ違う丸ミッチェルのその違いから、いろいろと見えてくる部分もあったりして、現時点で既になかなか満足のいく買い物だったと思っている。
 これで売る方は高く売れてくれたら文句は無いんだけど、そのためには売り時って重要かなと思ってて、例えば今すぐ売り出したら、この記事読んだ人が買おうと思ってくれるかもしれない。その中にどうしても欲しいという人が2人いれば値段は吊り上がるはずである。ただ、いまはコロナ禍でやや消費は下向き、釣り具はコロナ特需的に好調のようにも聞くけど、さすがに”密になる遊びができないから釣りでもするか”っていう層がいきなり丸ミッチェル買うとは思えない。もうちょっと育ててから、沼に引きこんでしまわねばなるまいて。とすると、ちょい買い控えてるような古リール買いそうなワシのブログの読者さんも動き出すであろう、第6波終息後、ワシが実際に丸ミッチェルで華々しい釣果をひっさげての報告後に売りに出すのが、今後の戦略となるだろう。1匹釣るごとに1台ネットオークションにかけるとかそんな感じか。

 プラナマティックはリールクルクル回してる時点ですでに、スプール上下が減速されるのでか巻き心地が良いなとは感じてて、元からあったボロ314はさすがにギアゴロ感があるけど、今回入手の314はなんかベベルギアって文句言うほどギアゴロゴロするか?って疑問に思うぐらいに滑らかに回ってて上等やんけって思う。スプール単純往復のほうは1回転で1回という忙しい上下動にともなって、シャーって感じの音というか感触があってさすがに滑らかって言うのは苦しいけど、でもまあ魚釣るのに苦労するような不具合ではぜんぜんないのでこれも別に悪くはない。3倍速ちょいの低速機なのもあって、ボールベアリング無しでも巻きはどのみち軽いしな。スプールの直径が大きいので巻き取り速度はそれ程低速じゃないよとヌコさんも言ってたし、スプール直径大きいスピニングは巻き癖つきにくくラインの放出性も良好で使いやすいというのは常々感じるところなので、実釣では見た目の可愛さ、設計の古さに反して”使える”リールなんじゃないかと期待している。

 でもって、既にボロ314は稼動状態にあるのになぜまだ使ってないかというと、ミッチェル特有の”足の呪い”があるからである。ミッチェルはフットが長くて削らんとアグリースティックには付かん。さすがにボロでも足削るのはためらう。そこまでやったら売りには出しにくいから一生責任取らねばならん。自分に合わんかったら売ってしまおうって心づもりの使ったことないリールにはちょっとやりにくい。ただ、春に使ってるブリストールはリールシートがfujiのDPSっていうパイプシートで何でも来い系の懐の広いシートでミッチェル大丈夫。なので、今年のシーバス春の陣は丸ミッチェル中心に予備機はPENN720zというボールベアリング不使用の布陣で行く予定。2月3月ちょい様子見ぐらいして、丸ミッチェルの調整とか済まして、4月ぐらいから本腰入れるかな。
 

 という感じで、最初の314を手に入れたときに、ミッチェルが仲間を呼んだらイヤだなぁ、とうすうす悪い予感を感じてはいたんだけど、ご覧のとおりの有様で思いっきり仲間を呼ばれてしまっております。皆様ミッチェルは1台家に迎え入れると仲間を呼びます。お気を付けてください。

2022年1月22日土曜日

オミクロンよりアトラスのほうがヤバい?

  昨年末に大森製のコンパック「アトラスⅡ」を紹介したときに、norishioさんとオリムピック製初代?「アトラス」との交換密約が締結され、年明けてお年玉交換とあいなった。左が我が家にやってきたそのオリムピック「アトラス」。

 「ねっとり濃厚なレビューを」とのご要望ではあったけど、正直古い時代の単純なウォームギア機で目新しい機構とかあんまりないだろうから、ネットリ書けるか自信が無かったけど、分解清掃してみたらこれはなかなか相当に面白かった。

 ということで、ネットリ濃厚になるよう書きまくってみたいので、ご用とお急ぎでないお好きな皆様におかれましては、楽しんでいただければと思っちょります。

 まずは、届いて外観見てクルクルッと回してみたりするんだけど、塗装も銀系だし、スプールもアルミの鏡面仕上げで全体的に銀ピカでキリッとしてる。そしてコイツは国内販売版なんだとおもうけど、昔懐かしい”トビウオ五輪マーク”で「Atlas Olympic」と銘がある。多分蓋だけ国内版と輸出用「コンパック」ブランド版を変えてたんじゃないかと思うけど、本体は金型作り直すような手間はかけられなかったようで「Compac Japan」と足裏にある。「アトラスⅡ」の時に「gapan」って謎の国名は何じゃろ?って思ったけど、筆記体のJの大文字だったと判明。分かってみれば謎でも何でもないな。

 ワシうすうすお気づきの方もおられるかもしれないけど、ちょっと”ウォームギアフェチ”な部分があるようで、ギアを重ねず横並びにするウォームギア機ならではの薄っぺらい本体にたまらない魅力を感じたりしちゃうんです。キュッと締まったこのボディーライン、実にイイ!

 こまかいところだけど、ラインローラーを固定してるマイナスネジ、それをラインを引っかからなくして収めるために金属製の襟巻き?みたいな部品がハマってて、なかなかに丁寧な仕事ぶり。ラインローラーは固定式で固い金属系。

 逆転防止のオンオフのスイッチが変わってて、ハンドルの根元の樹脂性の円盤で切り替えする形式。

 お尻の油差しのキャップがハマってる筒は内部では主軸のお尻が刺さる場所でもあるんだろうなとは思うけど、本体のお尻の部分がパスッと叩き切ったような造形で、そこから筒が伸びてることには意味があるんだろうか?まあ、バラしていけばそのへんはオイオイ分かってくるはず、とこいうことで、とくに整備せずとも良いぐらいに軽やかに回っちゃいるけど分解清掃。

 まずはスプールからいっとくかと、スプール外そうと樹脂性のドラグノブをクルクル回していくと、主軸からスプール自体は抜けるんだけどドラグノブはスプールにくっついたままで、頭にマイナスのネジ山が見えるしネジ外すんだろうなと、外すとそれでもまだドラグパッドを押さえている金属部品は外れず、スプ-ルにハマってるCクリップを外してようやく部品外せてドラグパッドが抜けるという謎構造。オリムピックの設計者ってドラグノブが落っこちるのをよほど恐れていたのだろうか?「エメラルド350」でもドラグノブは主軸から外れてもCクリップで引っかかってて力かけないと外れないつくりになっていた。

 でもって、ドラグパッドとワッシャーも独特っていうか、ドラグの構造自体がまだ黎明期の日本のリール設計思想ではちょっと理解が届いてない感じがして、それはそれでなかなか味わい深く面白い。写真にあるようにドラグパッドは厚めのフェルトのが2枚入ってるんだけど、ドラグの仕組みというか構造を分かってる読者の皆様なら「???」と頭に疑問符が並ぶだろう。ドラグパッド2枚使うドラグシステムが無いわけじゃない。通常は直径小さく摩擦力小さくして「ドラグパッド」の仕事を邪魔しないようにチョンとスプール座面に単なるワッシャーとして乗せられているパッドをスプール上面のドラグパッドと同様の大きさ素材にしてスプールを上下から挟むようにしたドラグとかで、「ミッチェル314」とかは実質そうなってる気がする。

 ただし、通常スプール座面にはさっき書いたように小さなワッシャーが入ってるだけで、ドラグとしてはスプール上面から穴ぼこもうけてそこにドラグパッドとドラグワッシャーを配置する。その場合は3階建てが主流でドラグパッドは3枚入る。あるいは1枚というのも珍しくはない程度にある。大型リールでロングスプールの中に3階建て以上のドラグをぶち込んでるのもあったと思うけど珍しい事例で、かつその場合のドラグパッドは奇数だったハズである。なぜなら、多層式のドラグの場合は構造がスプールと同期する面(以下「ス面」)と主軸と同期する面(以下「軸面」)で適度な滑りと摩擦の素材でできたパッドを挟んでやって、固定された主軸に対して回転するスプールとのズレに対し適度に摩擦力を生じさせる事によってブレーキとして”ドラグが効く”ようになってるので、底の方から考えると最初は「ス面」でスプールそのものかス面同期のワッシャー、次にドラグパッド(ドラグパッドをワッシャーが兼用というのもあり得る)、その上に軸面同期のワッシャーが来て、またドラグパッド、ス面ワッシャー、ドラグパッド、軸面ワッシャーという感じに3階建てだとなってて、ス面と軸面は交互に来ないと、ズレないので間のパッドも一緒に同期して回るか止まってるだけで意味を成さないし、かつ一番上が軸面ワッシャーで終わらないと、ドラグノブでスプールと一緒に回転するス面ワッシャーを押さえる事になりドラグノブが回ってしまいかねずこれまた塩梅が悪い。ドラグパッドの数を増やせば増やすほど比例して安定性に寄与するとかなら、ドラグパッドとワッシャーを兼用させてかつ薄くして5階建てとかもあり得るのかもしれないが、ドラグパッド1枚でもデキの良いドラグは充分性能良いので、多けりゃ良いってもんでもなさそうには思う。ちなみにスプールと主軸の回転時のズレで摩擦抵抗を発生させる通常のドラグと逆に主軸が回転して本体同期面とのズレでドラグを効かせるリアドラグ方式ではドラグパッドは2階建てとか偶数になるハズだと思う。両端に回転する軸面ワッシャーが来ないようにすると最小枚数では本体同期ワッシャーで軸面ワッシャーをサンドイッチにするからワッシャー同士の間、ドラグパッドが挟まる面は2面となる。大森マイコンシリーズはそうなってる。

 でもって今回のアトラス。ブ厚めのフェルトパッドが、スプール底面のス面の次に来て、次に写真の様に主軸に縦溝を入れてその溝に出っ張りをはめる独特の形状の軸面ワッシャー、その上に2枚目のフェルトパッド、そしてドラグノブを構成するドラグパッドを押さえる金具と来ている。これ、上の方のドラグパッドは軸面ワッシャーとドラグパッドの金具というどちらもドラグが効くときには主軸に固定されて回らない部品の間にあって挟まれてるだけで仕事してねえんじゃネェの?という状態である。ドラグノブが上からネジ止めされているとか複雑な構造なので、ひょっとしてこれネジが主軸に直結してるけど、ドラグパッドを押さえてる金具は”浮いてる”構造になってて、ドラグ作動時にはス軸と同期して金具は回るけど、ドラグ値が変わったりしないようになったりしてて、とかも考えてみたけど、ネジは金具と樹脂性のドラグノブの部品を止めてるし、ドラグ効かせた状態でスプール回してみても、ドラグノブ関係はどの部品もスプールと同期はせずに主軸に固定されているようにしか見えない。

 上のドラグパッドはドラグパッドとしては機能しておらず”死に体”のようである。ただドラグパッドとしては機能してないけど、無くて良いかというとこのリールにおいてはそうでもなさそうなのである。このドラグ、多少調整幅は小さめだけどちゃんと効いてくれてドラグとして充分機能しているのである。ドラグとして機能するために地味だけど重要な部品が一見なさそうに見えるんだけど、おわかりだろうか?何かといえば”バネ”である。普通の3階建てのドラグなら多くはドラグノブの中に、ミッチェルとか多分その真似しただろうPENN714zとかではドラグノブの下にビヨヨンと金属板を加工したバネが配置されている。これ適度にドラグノブでドラグパッドとワッシャーを締め付ける圧力を調整してくれて、無いと調整幅が極小さくなって使えないドラグになるようだ。でもバネ無しのアトラスのドラグ、まあそこそこ使用に耐える実用的なドラグには仕上がっている。どうも、ブ厚めのフェルトパッドが、1枚はドラグパッドとしては死に体だけど調整幅を持たせるバネ的には効いてるようで、無駄に入ってるわけでもなさそうなのである。こんな日本スピニングリール黎明期(「ベルせか」でみると1957年から60年のカタログに「アトラス No.89、1,600円」で登場、大森製「コンパック89 アトラスⅢ」の”89”ってなんじゃろ?と思ってたけどオリム由来なのか?)から、小型リールのドラグパッドにはグリス染ませたフェルトが良いなんてのはあったりまえのコンコンチキだったようである。何度も何度もしつこく書くけど、今さらすんごい性能のドラグができましたってなことを謳ってる宣伝文句はデタラメ大げさ紛らわしいことこのうえないったらありゃしないのである。

 てな感じで、スプール関係はこんなもんだろうと満足して、次に本体蓋をパカッと開ける。

 うわっなんか内部も銀ピカやな!という一目見ての感想なんだけど、オシュレーション(スプール上下機構)カムが真鍮製なぐらいで、他はローター軸のギアはまあ良くあるとしてハンドル軸のギアも見た目ステンレスなら、オシュレーションのクランクもネジも当然主軸もステンレスにしか見えない。

 ウォームギアって精度出すの難しいンじゃないの?ステンレスって固くて加工しにくい印象だけど、オリムピックってなにげに技術力あったんだなと感心する。ハンドル軸のギアはステンじゃなくてニッケルシルバー(銅と亜鉛とニッケルの合金「洋白」)って可能性はあるか?でもそれなら真鍮でよさそうだし必然性がないか?いずれにせよさすがは一時は国内で向かうところ敵無しを誇った釣り具メーカーっていう技術力である。海外のリールマニアの掲示板で「時計のSEIKOから暖簾分けしたメーカーだから技術力あったんだよ」とか書いてる人がいてちょっと笑った。それ精工ちがいでオリムピックは元の名前が「植野精工」で時計のほうは「服部セイコー」って教えてあげようかと思ったけど、あんなマニアックな輩どものところに、のこのこ「古いリールの大好きな日本人でーす」って無邪気に入ってったら、待ってましたとばかりに質問攻めにされて英語力もないのにエラい目に遭うことは間違いないのでやめておいた。まあ英語圏じゃオリムピックはSEIKO関連企業だったという伝説があったって良いんじゃないの。誰も傷つかないし、そういう遠くに行くと伝言ゲームで根も葉も生えて話が盛り上がって繁ってくってのも楽しいジャン。

 でもって、この時点で銀ピカ以上になんじゃこりゃなのが、オシュレーションのクランクが文字通りクランク(曲折)してることで、通常の単純クランク方式と違うのは、支点からの距離が違う事でスプール上下の幅が変わるのと、当然それに伴って動かす幅が違えばそのために必要な動力も変わってくるっていうのがあって、このアトラスの場合はスプール上下させるほうの”枝”が短いので、スプールの上下幅は小さく、スプール上下に必要な力は小さく済むはずである。要するに”テコの原理”そのもの。ギアの歯車を介してスプール上下を減速して必要な力を軽減するオシュレーション方式は一般的だけどこういう方式は初めてみた。そして、もう一つ、曲げてるので本体内でクランクの可動位置がギア方向に小さくおさえられていて、スプールの上下幅(≓スプールの幅)が狭い事ともあいまって、リール全体で寸詰まりのコンパクトな設計になっている。お尻に筒が突き出てるけど、その部分を除いたぶった切ったような本体後部までにギアと主軸の先を除いたオシュレーション機構が収まっていて、逆転防止もハンドル軸裏にラチェットの歯を設けてる方式なので全体的にちっこいスピニングリールになってるのである。この方式がオリムピックの独自設計なのかコンパックブランド側の指示なのか、はたまた元ネタがあるのか、いずれにせよ初めて目にする方式で面白い。お尻の筒は同社を代表する大ヒット作「モデル93」シリーズも彷彿とさせて、この時期日本のメーカーは海外製品の模倣の時期にあったはずだけど案外オリム独自の設計だったりして。

 独特のクランク方式も初めて見たけど、初めて目にするといえば、このリール、ネット情報によるとスラストベアリングとかいう、見たことないボールベアリングの一種が使われているらしくて、これは是非ともみておきたいと、ローター外そうとしたらば、またこれが問題発生で”外れない”。

 外れないのはダム社「クイック110」で経験済みで、ローター自体にネジが切ってあってローター軸のギアを固定してローター回すんだろうなというのは、ローター止めてるナットを外してもネジ山がローターに続いている感じにみえるので、予想はできるんだけど、パーツクリーナーで洗浄するために一旦外してたハンドル軸のギアを填め直して、ハンドル軸の穴に先細ペンチを突っ込んでギアの回転を止めて、ローター回そうとするんだけど、ローターが外れるより両ギアがズルズルと回るのが先で外れてくれない。困ってしまって、元の持ち主であるnorishioさんに助けを求めると、手元にあるもう1台の方はハンドルまで付けた状態でローター回せば外れたとのことで、少なくとも”ハメ殺し”ではなく固着してなければ外せそうではある。1回諦めて全体組み直してあったのを、最低限必要な部分だけ外して、ハンドル残してローター回そうとしたらハンドルが外れて上手くいかなかったけど、クランクが残ってるのをみて、ひょっとしてクランク残したままハンドル軸のギアの穴に棒突っ込んで回したら”つっかえ棒”状態になってギアは回りようがなくなって、ローター回せるのでは?と閃いて試してみたら”ビンゴ”でローター回ってくれて外れた。一安心。

 外してみると、ローターの下から噂のスラストベアリングがおでましになる。あれやね、なんか回転する玉をはめたタンバリンみたいな輪っかを、玉が転がるへこみが設けられたリングでサンドイッチにしてる構造で、なにが普段よく見るボールベアリングと違うんだろうと、簡単にネットでお勉強してみたところ、カチッした金属の枠の中に玉が収まってるボールベアリングとは、横というか側面が空いてるところが大きな違いで、挟みつける力加減で適切な回転の軽さとかに調整できるようになっているようだ。

 回転を締め付けで調整するという点では、「ミッチェル408」とか触ったことのある機種では「アルチェード2CS」にも入ってた、開放式で外すと玉が転がり落ちてしまうタイプのベアリングに似てるけど、このスラストベアリングでは玉が転がり落ちないように枠でまとめている。なかなか珍しいベアリング方式で、色々と変わった個性的なリールだなと思う。

 ちなみに、ベアリングのはまってる横にチョコンと突き出してるのはベールリターンのための”蹴飛ばし”。

 という感じで、ローター外すのに苦戦したけど、でっかいCクリップではめ殺しっぽくなってる逆転防止の樹脂性オンオフスイッチは特に変わった構造でもなさそうなので今回放置したけど、ほかは無事分解できて、透明で部品の様子がよく見えるので最近気にいり始めている「ABU純正グリス」でベアリングにもグッチョリ、ギアにも当然グッチョリで仕上げた。小型機ならいいけど、PENNの大型機をこのグリスでいつものようにグリス漬けにしたら、ワシ老後の資金が心配になるな。まあそんな感じで仕上げたんだけど、ベアリングの締め付け具合がやっぱりコツがいる感じで、最初キッチリローターで挟んで組んだら強すぎたようで回転重く、仕切り直しでちょっとユルいかなというぐらいにローターはしておいて、ナットでしっかり留めたら正解だったようで軽やかにクルクル回ってくれるようになった。ナットは最初緩み止め剤が付着していたので、実際に使うならネジ用の緩み止め剤を使っておくのがイイのかも。

 さすがに、半世紀を越える昔のこの時代の綺麗な個体を、淡水ならともかく海で使う気には恐れ多くてならんけど、使ったら多分これ普通に魚釣れそうに思う。思った以上にしっかり作られてるリールでちょっと驚きに似た感情を覚えたところ。オリムピックっていうと、後年「マミヤOP」時代にダイワ・シマノに水をあけられてパッとしなかった時のイメージが正直残ってるんだけど、ワシがインスプールに手を出してズブズブと沼に沈む原因の一つになった「トゥルーテンパー727」もしっかりした作りの実用性充分の良いリールだったし、オリムピックってのは日本で一つの時代を築いた偉大な先駆者だったんだなと改めて認識させられたところである。オリムピック「アトラス」興味深くてなかなかに素晴らしいリールでした。norishioさんありがとうネ。

 でもって、気がつくとこれで我が家に、3機種「アトラス」が揃ったわけで、せっかくなので並べて記念写真パチリ。

 写真でもオリムピック「アトラス」の寸詰まった感じが分かるんじゃないでしょうか?あと、右端の「アトラスⅢ」で200g切るぐらいとかなりの小型機なんだけど、他の2台もさらに小さいかもってぐらいに可愛い大きさのリールで、1950年代の昔から、こういう小さく”精巧”なモノを作らせると日本の技術者はやっぱりやりおるんだなと感慨深い。

 ということで、今年1発目の”スピニング熱”ネタはいきなり筆が乗って書きまくっておりますが、実はこのあとに控えてるネタが結構あったりして、今年もスピニング熱の症状はぜんぜんおさまっちょらん感じで、先行きが危ぶまれるのであった。

 ということで、リール好きの沼の住民の皆様、今年もボチボチと書いていきますので旧年同様ご贔屓に。この記事最後まで読んじゃってるような人は、もう沼から抜け出せない運命だと思うので、一緒に沼に沈んで仲良くやりましょうね。

2022年1月15日土曜日

岸壁大型根魚泳がせ竿

 

 今年の目標に「港内の良型根魚」っちゅうのをあげたわけで、竿もそれ用に組んどりますって書いてたのが、完成いたしました。ジャジャーン!パチパチパチ!

 どうでしょうか?そもそもの発端が「PENN77シーホーク」ちゅうPENN社の歴史で最初期から作られてた機種のうちの一つであるらしいダイレクトリールを手に入れて、こういう低ギア比の”ダイレクト”っちゅうぐらいで、逆転防止もなく魚が引っ張ったらハンドルが逆転するような”直撃的”な機構のリールで、良型根魚と根に潜られないように力勝負とかしたら、さぞかし気持ち良いだろうなと妄想した、というのが事の発端で、そういう意図なら力を掛けやすい短竿で、かつ体に優しく折れにくいグラスロッドでいこうと思って、昔いただいたヘドンのソリッドグラスのマスキーロッドが良いんじゃなかろうかと付けてみたんだけど、どうにもコレではパワー勝負ができそうにない感じだった。シングルハンドのグリップでキロ単位の根魚を根から剥がせるほどワシの左手握力スゴくない。岸壁で足使って攻める事を考えると、ジンバル使って竿立ててというのも現実的ではなく、その条件で力技でいくなら、グリップエンドを左脇に挟んで、竿をファイト時は斜めに水面に向けて、バットで魚の引きをためつつリフティングパワーを稼いで、利き手の右手でグリグリ巻いてしまうというのが良いのではないかと考えた。

 まあ我が家の蔵には、竿が120本からあるわけで、適当な竿がないかといえば正直あって、ライギョ釣りに使ってたバスプロショップスブランドの2本継ぎマスキーロッドの短い方はガッチリ条件にあてはまる。カーボンロッドなのでちょっと固いけど及第点だと思う。

 でも、新しい事に挑戦するときには、新しい道具も欲しくなっちゃうっていうのに”抗えぬ~”なワシ。で、素材はこれまた我が家の蔵には条件に合致する竿がだいたい組める程度には転がってる。ブランクス本体は竿を2本継ぎに改造するときとかのジョイントのために買ってあったソリッドグラスがそのまま使えそう。バットは丈夫だけど竿先付近はそこそこ曲がるので活き餌を食い込ませるには良い柔らかさに仕上げられるだろう。ガイドは最近の小口径ガイドとか、リーダー結んだら通らないようなモノはまったく用がないので、古い折れ竿とか安くで中古屋とかでたたき売られてたのを買ってガイド外して確保してあったステンレスフレームのSICガイドがそれなりに揃ってる。穂先のほうのブランクスに密着する片足ガイドは酸化アルミ系の”Oリング”のを通販で買った。Oリング安くて助かる。ガイドが最近小口径なのは、リーダーとメインラインを接続する方法を”結び目が無い”摩擦系ノットである”FGノット”にしてラインシステム組む事を想定しているんだと思うけど、ワシャFGノットのような結び目を1回も作らないノットは肝心なところで抜ける危険性があると思ってるので使わない。1回電車結びを作る”電車FGノット(オリジナルは「監督さんの、新・組あわせノット」)”なら、長時間のやりとりとかで継続的に力が掛かった場合でも、結び目が締まっていく方向に力が働くので、絞め殺して切れることはあっても、滑っていって抜ける事はほぼ想定しなくて良い。摩擦だけで止めているノットは、短時間なら問題ないように見えても、だんだんと滑っていって最悪最後に抜ける。抜ける前に勝負が付いたら良かった良かったとなるけど、長時間のやりとりになるような大事な魚でこそ”抜け”が発生しやすく信用できない。フィジーでガイドが結んだ、綺麗にできてる”FGノット”が10キロ無いようなバラフエダイ3匹釣ったら、ショックリーダーの端ギリギリまで滑っててライターで炙った玉で何とか止まってた有様で、これもっとデカいのが来てもっと長時間やりとりしたら抜ける可能性おおいにあるなと直感的に理解した。多分その感覚は間違ってないはず。たいした引きじゃない短時間で勝負が付く魚相手に使うならともかく、一生に一度あるかどうかの大勝負にそんな危なっかしいノットはワシャ使わない。なので竿に付けるガイドは実際使うリーダーで、今回使用する道糸はナイロンなので電車FGノットじゃなくてビミニツイストでダブルラインにしてからフィッシャーマンノットにしたラインシステムだけど、それが通るか試して内径を決めた。小口径ガイドに何の利点があるのか知らんけど、多分また感度と飛距離という特に古いガイドで困ってもないワシには関係ない項目だと思うのでもう一生縁がないだろう。

 グリップが、折れたオフショアジギング用の竿のグリップとグリップに刺さるバットの根元部分のブランクスが残してあるので、このブランクスをそのまま利用してそこに用意したソリッドグラスを突っ込んで、グリップ着脱式に仕上げて持ち運びしやすい仕舞い寸法にしたい。このグリップがもともと付いていた竿は船からの対サメを想定して中古で買ったんだけど、部屋でテスト中に耐破壊強度にはまだまだ余裕がある加重であっさり折れくさった。中古ではあったけど、ガイドを止めてるスレッドとかにもヒビとか入ってなくてそんなに使われてないはずだったけど折れたモノは折れた。グラスの新素材で軽くて従来のグラス素材並みの強度を謳ってたけど、結局軽さを売りで作るとどうしても使用を想定した強度ギリギリの軽さに仕上げるだろうから、余裕を持った昔のグラス竿のような丈夫さは求めようがないのかもしれない。試験でギリギリの強度で合格した程度では釣り場じゃ”想定外の自体なんて想定済み”だから結局折れる。まあ釣り場に行く前に折ったけどな。カタログ上の軽さなんて”軽く扱える”こととは道具全体の重量バランスとかも重要なので、あんまり関係なくアテにならんのにそれを重視してる馬鹿な釣り人が多いから、丈夫な竿など作ってくれなくなるって話。売ってないから自分で作る。

 まあゆうても簡単だけどな。投げる必要があればそれなりにガイド位置とか似たような竿参考に慎重に決めるけど、今回足下に仕掛けをたらす用途だから、ブランクスの曲がり見て適当な間隔で良く曲がるところに多めに、曲がらんとこにには少なめにで、曲がったときにラインがブランクスに当たってしまったりしない程度に付けてあれば充分なので、マスキングテープで仮止めしながら位置決めて、バットからはみ出した分のソリッドグラスのブランクスは金鋸で切って、折れたバットとソリッドグラスの隙間をスレッドで傾斜分を埋めてエポキシで接着。

 で、ガイドをスレッド(セキ糸)で止めて樹脂でセキ糸を固めるんだけど、通常”ガイドラッピング”の際には2液性のエポキシ塗料が使われてきたんだけど、最近大手メーカーの作ってる竿ではほとんどの場合、紫外線で固化する樹脂、いわゆる”UVレジン”が使われるようになってきたとのこと。UVレジン、百均でも売ってて扱い方習熟しておけば、樹脂製部品の修理やら作成にも応用効きそうなので、この機会にと導入してみた。まあ、だめでも300円なので被害は少ない。何種類かあったけど、真ん中の黒いボトルのが良い感じに固まってくれた。左のチューブのはややべたつきが残った感じ。


 結論から書くと、コレ便利。最初通販で安いUVライトを買ったらイマイチ固化の速度が得られなくて、ケン一が釣具屋で夜光のワームとかに蓄光させるために売ってる「根魚権蔵君」ってのが良いと教えてくれたので、買ってみてついでに安モノも同時に使って2灯式でやってみたら、裏表”ロッド回し”で回しながらの固化作業なので時間倍かかるはずだけど、4分ほどでカチッと固くなってくれる。エポキシだと最低1日は放置せねばならず。今回のようにダブルフットのガイドにあらかじめ下巻きをして、それをエポキシで固めてからその上にガイドを乗っけてセキ糸で固定してまたエポキシっていうダブルラッピングっていう作業となると、1日おいただけでは表面ベタついてるときとかもあって、2日おいてから次の作業とか時間が掛かる。それがUVレジンだとものの数分で固化してくれるので、ガイド数にもよるけど、やろうと思えば一晩で作業を終わらせることも可能で、商業的に大量生産するなら時間の短縮はもろに経費削減に直結するはずで、現在主流となってるのも納得の素早さである。強度面とかどうかは使ってみないとまだ分からないけど、市販の竿で使われてるぐらいだし百均だからといって、それほど品質劣るとも思えないので大丈夫かなとは思っている。まあ樹脂で固めるのはセキ糸がほつれないようにという用途が主で、セキ糸はグデブロッド社がなくなってから愛用してる”錨印”の丈夫なヤツなので1回使ったら樹脂が割れてバキバキとかの不具合がなければそれで良しだろう。百均UVレジンの良いところは、なにより少量で売ってるのがありがたく、多分竿2本ぐらい組んだら使い切るんだろうけど、竿なんてそんなにしょっちゅう組むもんじゃなしで、2液性のエポキシだとだいたい全部使い切れずに冷凍庫保管でも片方が固まってまだ沢山残ってるのに使えなくなるのがお約束で、そのあたりのお手軽感も実に良い。割れたガイド一個だけ交換とかの場合なら尚更ありがたいだろうと思う。グラスソリッドのブランクスってそのままだと使ってると繊維がささくれ立ってくるような話も聞くので、念のためウレタン樹脂を塗布しておこうかと思ったら、昨年ルア-コーティング用に買って使ってこれまた冷凍庫保管してたヤツがやっぱり固化してて使えず、って感じで使い切りの小容量って地味にありがたいのよね。ちなみにグラスソリッドの表面は普段使ってる2液性エポキシ接着剤(コニシのクリア)をティッシュに含ませて薄く塗布しておいた。コニシのクリアは少量で良い値段してるけど常温でも勝手に固化しなくて優秀。

 さて竿も完成したし、リールにライン巻いておくかと、独逸のアンデのナイロン20LBが目方売りで買ってあるので20LBラインを道糸にする。PEの太糸巻いて力勝負というのも考えたけど、根がかったときに切るのが難しくなるのと、ナイロンのほうが伸びて衝撃を吸収してくれて体に優しいだろうという判断。20LBって9キロぐらいあって、ジンバル無しで脇にグリップ挟んで引っ張り合いして、この竿なら10キロの圧はかけきらないぐらいだろうから、この辺が妥当なところかなと思う。あんまりライン強度上げすぎるとドラグが無いだけに怪我しかねない。ショックリーダーは50LBで多分活き餌が沈むぐらいの軽めのオモリを天秤かクレーンサルカンでぶら下げる仕掛け作ってという感じかなと思っている。切れるとしたら根ズレでリーダーのほうだろうとは思う。まあそのへん含めやってみて詰めてくんだろうな。20LB引っ張り合いで切るような事があったら道糸50LBに上げて直結か?50LBの道糸は体に悪そうだな。

 でもって、リールに皮パッド装着。なにせドラグもなんにもないリール。唯一の制動機構であるクリックブレーキだけではどうにもならんので、左手親指によるサミングでブレーキをかけるか、右でハンドルをガシッと止めて魚の突進を止めざるを得ないんだろうけど、良型根魚突進時、右手からハンドルを離して竿のフォアグリップ握って耐えるとかが想定され、そうなると左手親指が頼みの綱なんだけど、皮グローブはめてりゃ良いけど、そうじゃないと親指の皮剥けかねない。なーんて大物が掛かってくれれば良いなと夢想しつつ。昔のトローリング用のリールにもあったような、スプールに親指で押しつけてブレーキかけるための皮パッドを装備してみた。実際使うかどうかは別にして、気分盛り上がるよねって話です。普段は竿尻方向に垂らしておいて”いざキャバクラ”ってときにスプール側にパタンと返して親指でグイグイ押すわけですよ。多分、餌がパクッといかれてちょい竿先送るときに右手親指あたりで皮パッドを返してからの、竿先持ってかれるのを確認しつつ、根から引きはがすような膝使ったストロークの長い渾身のアワセを食らわせる感じかな。窓からペットボトルでも垂らして練習しておかなならんな。

 ちゅう感じで、今年の目標に向かって着々と準備は進んでおります。こうご期待。

2022年1月8日土曜日

ねこまっしぐら?

 ペットが餌を沢山食べるのを見るのは飼い主冥利に尽きる。人間でも食って飲んで寝て出すのが全ての基本であるように、ペットの健康も成長も繁殖も全ての基礎に餌をちゃんと食うことがあると言って過言ではないと思う。
 我が愛猫コバンちゃんもよく食べる。最初の健康診断で猫白血病のウイルス持ちと診断され、長く生きられないかもしれないと聞いたときは胸が潰れるようだった。免疫力を強化するインターフェロンの注射(結構お高い)を打ってもらい「沢山食べさせて体力つけてやってください」との事だったので、アジの頭中心にガンガンと食わせた。ときには若アユとか刺身の端っことか贅沢なモノも食わせてた。やっぱりワシが旨いモン食ったとき、猫様にも食わせて差し上げたくなるものである。

 結果、猫白血病ウイルスは”陰転”して、骨髄のほうに残ってたりする可能性はあるみたいだけど、基本ウイルスが増殖して悪さをする状態ではなくなって喜びに打ち震えたモノである。と同時に食えるだけ食わせてきたので、食欲旺盛な育ち盛りの去勢済み雄ということでモリモリと食って、ムチムチと音がするぐらいに固太ってきた。外から触って肋骨が分かるぐらいならデブではないと読んだので、固太りの範疇だと思ってたんだけど、昨年末、定期予防接種のときの健康診断で「ちょっと太りすぎです」とのご指摘を受けてしまった。

 「コバンわれデブやったんか!!」

 7キロ超えはさすがに重すぎるようで6キロぐらいまで落とすように指導を受けてしまった。飼い主(下僕)としては愛猫の健康管理が上手くできておらず反省するしだいである。
 「餌を同じ量でもより低カロリーのダイエットフードに変えてみてください」とのこと、アジやらカマスやらは脂の乗ってないのを食わせようと思っても、そんなの選んで釣れるわきゃないので、主食の魚の頭とかはちょっと量を減らして、夜食や1階で留守番事に食べるカリカリをいつもの安っすいスーパーで買ってくるヤツから、ダイエット用のカリカリに変えようという方針で、さっそく近所のドラッグストアという名の雑貨安売り店に行ってみると、クソッ、愛猫の健康のためには背に腹変えられない下僕の足下みくさって、お高いんでやンの。なんで猫の餌にワシかて食った事無いような七面鳥肉を使用とかの高級品を食わさにゃならんのじゃ?猫様に対してはそのぐらいさせていただいて当然なのか?下僕の幸せなのか?
 はなはだ疑問に思ったので、もっと安いのないかネットで調べてみたら、さすがにそこそこ手頃な商品もあった。それでも2キロ強で500円のいつもの安カリカリに比べたら高級だけど「カルカン ドライ 肥満が気になる猫用 毛玉ケア まぐろと野菜味 キャットフード 成猫用 1.6キログラム」というのが600円程度とまあ手頃な値段なのでコレで手を打った。カルカンっていったら「ねこまっしぐら」で有名な老舗ブランドだし安心だろう。猫餌検索してて気がついたけど、最近は猫餌でも”グレインフリー”とかいって穀物原料不使用を謳ってるのがあって、まーた消費者を小馬鹿にした「猫は本来肉食で」とかいうアホ理論で高級品を買わそうとしてるのが目に見えて不快だった。アレルギー持ちとかじゃなければネコは穀物食ってもちゃんと消化して健康に育ちます。猫は人間との共生の歴史で雑食性を習得してます、ってしつこく書いておこう。ちなみにカルカンも原材料の最初に来るのは「穀類(トウモロコシ、小麦等)」となっている。良心的・庶民的で良いです。
 でもって、餌の脂質含有量とかで食べるかどうか決めてるという説もある猫様。そんな脂質を減らしたような餌を食ってくれるのだろうか?
 という心配は全くの杞憂で、珍しい餌はとりあえずガッついてみるのが我が愛猫。宣伝どおり「ねこまっしぐら」な感じで食ってくれて一安心。
 でもって、いつもの安いのと味違うんだろうか?とちょっと摘まんでカリポリと食べてみたら、まあ食えなくもないけど美味しくもなく、正直味の違いはわからんけど、安いのを料理して人間の餌化をこころみたときに障壁になった”なんかわからんキツ目のハーブ臭と酸味”は感じられないので、コレで料理したらまた違う展開があるのかも。とは思うけど基本あんまり美味しいものじゃないのは変わらないので、非常食として「食べる事もできる」って認識で扱い変わらないんじゃないかな。

 でもって、体重を落とすときの基本は摂取カロリー量を落とすのと、使うカロリー量を増やすのが鉄則でありほぼ全てなので、コバンには激しく運動してもらわねばなるまい。といっても動きたいときは動き、動きたくなければ梃子でも動かないのが猫様である。
 なにしろ冬になって寒くなったらほとんどの時間をコタツで丸くならずに伸びきってくつろいでおられる。ノラ時代の警戒心は何処へいった?
 てな感じで、犬のように散歩に連れて行けばいくらでも走らせてカロリー消費させられる生き物とは違うので、猫様御自ら動きたくなるように配慮せねばならない。
 という事で最近のコバンのお気に入りはペットボトルのキャップなので、今部屋にはペットボトルのキャップがゴロゴロ転がってる。いつ何時猫様が遊びたくなっても対応可能なように、いつも手元にペットボトルの蓋の弾数は用意している。そして興が乗られた際に、これでもかとペットボトルの蓋を投げまくって、空中キャッチや、アタック、畳の上を弾いて追っかけるなどのお楽しみに全力で励んでいただき、ハアハアと息が上がるまで運動してもらっている。

 ワシのダイエットは”酢締め”で成功しているので、猫様のダイエットも何とか成功させて、漢一匹、猫一人、楽しく健康に生きていきたい。

2022年1月1日土曜日

2022寅 あけおめ

 

 ガオーッ!

って吠える猫科のケモノは喉をゴロゴロ鳴らすことができず、逆に吠えることができなければ大型猫科獣でもゴロゴロ喉を鳴らすんだとか。チーターとかクーガーはデカいなりでゴロゴロいってるのが動画とか検索すると出てくるので興味のある人は検索してみてください。などと、雑学ネタで入らせてもらっておりますが、今日は1月1日。

 ”一年の計はガンタンク”と、いつものネタもしつこく繰り返しつつ、まあ昨年の反省と今年の目標など考えてみると、昨年の目標である「ちょっとは健康のことを考える」はまずまずできたのかなと。ジョギング始めたらすぐに膝が痛くなってきて断念してしまったけど、豆アジ小アジを油を使う”カラッと揚げてからの南蛮漬け”という必勝パターンをやめて、頭とワタだけ取って酢締めを主体にしたら、昨年末の健康診断ではコレステロール値も正常に戻って、体重も5キロほど減って持病はあるし膝痛いけど、まあ悪くない健康状態。今年も気をゆるめず健康には多少気を使っていきたい。

 でもって、釣りのほうは昨年特にアジ釣り絶好調で”オカズ釣り”が堅調だと博打打つ釣りモノにも思い切って手が出せるので、アジ釣りはじめ今までやってきた釣りは引き続き精進しつつ、ボチボチ博打的な釣りで釣りたいモノがでてきたので、今年はそっちを何とかしてみたいなと思っちょります。

 一つは、アカエイで去年なぜかスロープの浅瀬にワラワラッと5,6匹の群れが居た時があって、そのうち2匹ほどが尻尾切られていたので、漁師さんが網に掛かったけど売り物にならないので危ないから尻尾切ってから海に戻したのが結構港内にいて、網掃除で捨てた小魚とかあさってるような気配がある。東京湾でも狙ってた獲物だけど、なかなか狙うと釣れないモノで苦戦してたけど、紀伊半島で仇を討つかと作戦考えている。釣れたら10キロとかあると思うので、煮付けて煮こごり楽しんで、エイヒレ大量に作ってと食いではあるし料理と味でも楽しめそう。

 もういっちょは港内の良型根魚で、まあ60ぐらいのクエとか実際に釣れてるのみたことあるぐらいで、多分真面目に狙わないと護岸の根元とかに潜られて瞬殺されるハズなので釣りきられずに残ってる個体は居るんだと想像している。クエ、ハタ、オオモンハタあたりの2~5キロ前後ぐらいまでは真面目に狙えばそのうち釣れるかと思うし、意外にそれ以上のドン引き系の大きさのがいてもあんまり驚かないと思う。ご近所漁港には何でも居るからな。というわけで今それ用の竿を一本組んでる最中でアジ釣って泳がせで狙う作戦を考えている。

 とはいえ”来た魚釣る”ってのが大原則としてあるので、とにかく健康をなるべく損なわない範囲で、釣り場で豆に足を使って情報収集して、良い魚がきたら釣ってしまいたい。って感じだろうか。この地での釣りはそんな感じで楽しめてるし、今年も楽しむ自信はある。

 ということで、コロナ禍は第6波がどんな感じなのか、変異株はどうなってくのか、治療薬やらの対処法は進むのか、先のことはあいかわらず分からん感じだけど、ただ生きるためにだけ生きるのではなく、楽しく幸せに生きるために今年も愛猫と共に生きてみたい。

 冒頭写真は愛猫コバンのちょっとトラっぽいところを接写してみました。オカーチャンのウニャ子もお姉ちゃんのハイカグラも色は違うけど前脚だけ虎縞で、親から子に引き継がれていく遺伝というモノの不思議を感じるところ。命はこうやって繋がっていくみたいです。

 それでは今年もよろしくお願いします。

 皆様のご健勝とご活躍をお祈りいたします。