2022年1月29日土曜日

仲間呼びやがった!!

 欲しかったんじゃ-!仕方なかったんじゃー!!

 セ○イモンから太平洋越えて送られてきたブツを箱を開いてボンジュールって感じで並べて記念撮影したんだけど、興奮して”ちょっとピンぼけ”になってしまってる。

 スピニング熱関連のなかでも、ミッチェル沼は特に深くてややこしいというのは重々承知していたつもりで、ひょんな事からボロい「314」を入手し手入れして使用可能な状態に整備したときに、ヌコさんから「沼にハマらないようにするにはその1台に愛情掛けてやるのはどうでしょうか?」という沼の底の方からのためになるご助言をいただき「全くそのとおりだな」と深く頷いたものである。

 にもかかわらずこのていたらく。いつものことですが説明させてください。お願いします。

 一台「314」を使うとするとですね、ラインローラー固定式でちょっとジャジャ馬入ってるって話もあるので、ライントラブルはあってもおかしくないのでスペアスプールは欲しいなと思うわけですよ。まあワシんちいくらでもリール転がってるのでスペアリール持ってけばいいんですけどね。でもスペアスプール欲しいと思ったときに、ミッチェルのような世界的に売れてたメーカーのリールになると、「314」のようなそれほど人気があるわけじゃないだろう機種でも結構な台数売れてたはずで、スペアスプールも海外オークションとか覗くと普通に売ってるわけですよ。これがまた、送料手数料除くと安くてお手頃。まあ、買っちゃえってマウスが滑りますよね。うんうん、ってここまで皆さん分かりますよね。こっからがキ○ガイの領域に入っていくんでしょうけど、スペアスプール一個買うのに3千円からする送料払うのも馬鹿臭いな、ついでに関税(小売り価格の6割が1万円以下なら対象外)かかならくてすむように1万5千円以下目処でなんか買ってしまおう。送料割安!って今思うとオカシイって分かるんですけど、アフリカの森の貴婦人はオカピーって分かるんですけど、なぜかそう思ってしまうんですよね。自分へのお年玉だと、齢50のジ様になってなに考えとるんジャなんですけどね。で、ちょうど良いブツが無ければ頭も冷めて被害も少なく済むんでしょうけど、なんというか、こういうのって運命で、買っちゃうときは買っちゃうようになってるんです。仕方ないんです。まあ昨年入手した「314」はボロい個体なので交換できる部品とか安く売ってないかなと思って、本体蓋見付けたのはまあ良いでしょう。安かったし見た目綺麗になれば間違いなく売るとき良い値段になるので良い投資と言って良いんじゃないかと。ただ、314関連で検索掛けたのは良くなかった。ナマジ素直に反省。うん、良くなかったね。ハンドルやらベールやらが無いジャンクな個体も含めて5台まとめて1万円ちょいで出てる「314」、「304」、「CAP」詰め合わせが目についてしまった。お会計、送料除いてスプールやら分ンもふくめて合計1万5千円チョイ切るぐらいになるしちょうどいいやと、ごく自然にマウスが滑ってしまったのは痛恨の極みでございます。アホかオマエは!

 と反省はしとるんですが、いざブツが届くと、もうウキウキなのは疑いようもなくて、もうアタイどうでもいいやって思っちゃうの。

 これがまた、明らかなパーツ欠損個体とかもあるの承知で買ってるので、どうしようもないクソジャンクばかりということも当然想定してたんだけど、実際には思ったより程度が良くて、機関的には問題ないような個体ばかり。パーツ共用性もあるはずなので、うまく部品のやりくりすれば4台実動状態に持っていけそうで、見た目それ程ボロってこともないので、売りゃあ1台5千円から1万円くらいにはなりそうで、5千円で3台売って部品除いたリールだけの送料込み費用とだいたいトントンで4台売れるところまで持っていければ下手すると、非常に珍しい事に儲けが出て部品代ぐらいにはなってしまうというけしからん事態。まあリールを台帳付けて管理し始めてから、買ったり売ったりしながらも台数は90台制限のはずがいまや120台と30台も超過しており、会計的には10万円ちょいの赤字。今年なんとか15台ぐらいは売りさばいて収支をトントンまで持っていきたいと思ってたので、良い値で売れてくれて儲けが出たらば悪くない。というかトレビア~ンである。

 ということで、まずはブツを見ていこう。現状確認大事。

 1台目、これは我が家の最初の一台と同じ「314」。最初ベールが返らなくなってて、ベールスプリングが折れてるな、と思ったんだけど確認してみたらベールスプリングが外れてるだけで、填めたら全く問題ない作動状態。たまに「バラしたら組めなくなってしまったのでジャンク扱いで」と格安でネットフリマにリール出してる人いるけど、そんなもん値段安くする理由になるのか?って思うんだけど、なんなんだろう。当然瞬殺で売り切れてて買えたためしないけどな。にしても5台も売りに出した人間が、この手の単純な古いリールのベールスプリングぐらい填められなかったんだろうかと不思議でならない。裏面に「304」の”昔の名前”「CAP」と刻印があり、かつ米国ではガルシアブランドで売られたんだけど、白い刻印で「ガルシア」の文字を切り直すのが間に合ってなくて、ガルシアのシールが貼ってある。このシールがあんまり丈夫じゃない素材でできていて文字も薄れてるしハゲチョロげそうだけど「米国進出してすぐのモデルでっせ」っていうのは”売り”になるので、剥がさないように丁寧に扱わねばである。深溝金属製ワンタッチスプール、”プラナマティック”なスプール上下機構搭載で、これはそこそこ良い値段で売れるかも。でも我が家のボロ314の予備機で確保しておきたくもある。まあその辺はシーバスで使って気に入るかどうかで、2台とも売っちまうか、2台確保か1台売るか、急ぎじゃないしオイオイ決めよう。って保留してると蔵の在庫が増えるんだろうな。ちなみにフットナンバーはなくて本体に「07982」(シリアルナンバーで製造年特定できると思ってたけど300系と304系では別体系の番号振られているようで海外の詳しいサイト「ザ・ミッチェルリールミュージアム2021」でも特定できなかったのでどなたか分かる方おられたらご教授願います。ORCAでも探しきらんかった)。

 2台目は「CAP」。ミッチェルの元になった会社が、注文を受けて作ったリールだそうで、その時の会社名の略であるとの説がある「CAP」という名で出てました。っていうぐらいで後にミッチェル社になっても、同じような設計は引き継がれて「304」とミッチェル式に番号が与えられたとの事。っていうのは基本情報で知ってたんだけど、ミッチェル社になっても上の314のようにCAPの銘が残ってたりもして、簡単に割り切れるものでもないのかも。これが、いつの時代のか良く分からんうえに、なぜかプラナマティックが搭載されてて、前の持ち主が組みこんだのかそういうモデルがあったのか最初良く分からなかった1台。ハンドル側の本体蓋には銘がなく、背面にデカデカと「C.A.P」の銘があり、ローター軸のギアが収まる場所の形状も他とちょっと違う。スプールは深溝なんだけど、中心軸は6本の柱で構成されていて他のモデルとはこれまたちょっと違う。ワンタッチじゃ無いスプールだけどドラグノブがベンツマークみたいな形で下のドラグハメ殺してる金属が見えているのも違い。古いリールに相応に小傷やハゲがあるし、フルベールってことは世界初のフルベールアーム搭載機「アルテックス」でハーディー社が取っていた特許権が切れた後の製造だろうから、そろそろ社名も”カーパノ&ポンズ”から”ミッチェル”になった時代かなとも思うけど、それでも一番歴史を感じられる個体で、機能的には問題なく稼動しているので、これもそこそこ値段つくかも。フットナンバー?は「Z」。

 3台目、4台目は共に「304」でワンタッチスプールじゃなくて、プラナマティックは搭載されていない。3台目は傷も少ない綺麗な個体でハンドル無し。フットナンバー「2487?53」。4台目は、ちょい小汚い感じで、ベールワイヤーもまがってて、これは意外に曲がりやすいようでペンチで挟んで戻したら簡単に直った。簡単に曲がりそうなのは要注意だな。フットナンバーは「1886445」。

 まあ2台あって、1台綺麗な方がハンドル無しなら、ハンドルそっちに移すよねッテ話で下の写真の様に移植。 

 綺麗な方の3台目は、写真でも綺麗に写るぐらいに見た目がよいので、304は値段つきにくいけど、5千円から上は堅いところかなと獲らぬ狸のなんとやら。

 作られた時代が比較的新しいのか?あまり使われなかった個体なのか、機関も分解清掃必要ないんじゃないかってぐらいに普通に好調。まあ、中も見てみたいので分解清掃してグリスアップしてやるけど、なにゆえハンドルだけ無い状態なんだろとか、今一来歴というか出品者の意図が読めン。ワシならこっちにハンドル付けておくけどな。

 最後は「304S」で、何が”S”なんだろうって、ネットで調べてもいまいちわからず。こいつはベール回りの部品がまとめて1式欠損。どうも、ハンドルが314と共通の、ノブをクルッと回してたためるタイプなのと、逆転防止のオンオフスイッチも314と同じ形のが採用されていて、ハンドル蓋回りのパーツを314と共用にした304とかなのかもしれない。フットナンバーは「3237489」。

 ということで、右写真の下の様にベール回りが足りない304Sが1台、ハンドルが足りない304が1台で、ここはあまり見かけず希少価値が多少ありそうな304Sにベール回りの一式を移植して、小汚い方の304は部品取り個体としてしまうというのが妥当かなと思う。304Sは5千円いってくれるとありがたい。ハンドルはセカイ○ンで探せばたやすく見つかるけど、それなりに値段はしていて、ベール回り一式は意外に揃わなさそうな感触なので、各所むしり取られた304はオマケで綺麗な304完品にくっつけて手元からなくすとかかな?手元に完品じゃない個体を置いておくと採算度外視で部品集めたくなる衝動にかられるので、早く手放すのが賢明かと。ワシが賢明な行動を取れたためしなど無いとしてもだ。

 とりあえず、欠損はあれども不具合はあんまりなさそうな感じにちゃんと稼動してる個体ばかりで、最初の314であまりにも苦戦した印象が強烈で、古いミッチェルってのはパカッと蓋開けると、中から腐蝕して剥がれ落ちた金属片がグリスに絡め取られて固まってるもんだ、という偏見に近い恐れが心にあったんだけど、あの個体が水没して塩噛んでたとか特殊だったようで、今回いじった5台は全て内部に酷い錆など出ておらず、何十年も昔のリールばかりのハズだけど、特に機関に問題なく支障なく使用できそうで、ワシが気合い入れて全バラしして、パーツクリーナーで古いグリスも落としてABU純正グリスでグリグリとグリスで濡れてない箇所がないようにグリスアップして整備してやったからには、おそらく次の釣り人がまた何十年と使う事ができるようになったはずである。最初の314の印象であんまり錆とかに強くないのかもって思ったけど、評価を改めざるを得ない。ストレートな捻りの入ってない単純なベベルギアにボールベアリング無し、ラインローラーも固定式と設計とかは古いかもだけど、しっかり作ってあって長く使える実用機なんだなと改めて認識した。スピニングリールなんて投げて巻けりゃあ良いはずで、そのぐらいこの時代のリールでもできないわきゃないよね。できなきゃリールじゃなくて腕が昔の人より悪いって話さね。

 パカッと蓋開けたところの5台それぞれの様子だけど、順番はさっき紹介したとおりで、上から314、CAP、304美、304、304Sとなってるけど、一番上の314の全バラし状態見て分かるように、プラナマチックのパーツが増えてもたいした部品数になっておらず、整備はとってもやりやすい。さすがに5台は面倒臭かったけど、単純で全バラし整備が楽なら、海で使ってもシーズン終わりに塩抜き兼ねて全バラししてやっても良い感じ。グリス固まってたのは下から2番目の美品じゃない方の304ぐらいで、他はまだグリスが充分潤滑油の役目を果たしてて、3番目の304美品の方とかオレンジのグリスが発売時のままなんじゃないか?ってぐらい濁りもない発色してる。逆に一番下の304Sはお尻の油差しから前の持ち主がオイル差したのか、グリスがユルくなってベチョついてるけど、機関は好調で問題ない感じ。楽しい釣りの現場でしっかり働いてきた個体なのかな?とか想像してしまう。どの機種もなんで本体が丸いのかってのが丸わかりの、きっちり丸いベベルギアが詰まってて、まあ古い時代はスピニングリールはみんなベベルギア機か単純フェースギア機で丸かったっていえば丸かったんだろうけど、なんとも丸くて愛嬌があるリール達である。

 で、明らかに本体フレームとローターは共通に見えるこれらのミッチェル(以下「丸ミッチェル」と呼称することを提唱)、モデルごと時代ごとのパーツの互換性とかはどうなのよ?ってのが5台も手に入ると気になるし、使う予定のボロ314の予備機として314以外も使えるのか?ってのも気になるところ。

 まずはプラナマティックの有無で互換性があるかないか?ッテ話だけど、本体フレームがほぼ共通なので、ハンドル軸のギアごと取っ替えれば当然どっちにもできる。ほぼと書いたのは、CAP以外では本体フレームにはプラナマティック比搭載の304でも304Sでももちろん搭載している314にも、プラナマティック関連部品の2重になってる外側の枠部分の両端の出っ張りが収まる真ん中の切れた”土手”が設けられていて、ギアごとプラナマティックを持って来たら問題なく填まる構造になっている。ただ、CAPではその土手の切れ目に相当するプラナマティックの外枠の出っ張りを収める場所が土手に掘った穴になっている(ということから最初からプラナマティックありの機体だったと判明)。ひょっとして同時代のプラナマティック無しのCAPでは穴の開いてない土手になっていて、ギアごと持って来ても互換性がないっていう可能性が否定できない。ちなみに写真で右のギアの上に乗ってる花びらっぽい部品とその外側の枠がプラナマティックの部品なんだけど、外側はギアが回っても回らず、本体の土手の切れ目に固定されて、ギアが回ると中の花びら部分がギアからの突起が偏心して刺さってるので、ウニョウニョ不思議な回転をして、花びらの突起が主軸に固定してあるオシュレーションカムを上下させて、結果スプールが行きつ戻りつたまにグイッという感じで上下するのである。

 ひょっとして、プラナマティックの部品2枚取っ払ったら、プラナマティック無しの普通のスプール単純往復になったりして?とも一瞬思ったけど、高さが違っちゃうからそりゃないわな。逆の単純往復の機種にプラナマティックの部品2枚足しても高さ合わずでプラナマティック化は無理。なんだけど、面白い事に、どうも後期の機体ではプラナマティック有り無しはギアそのままで交換可能なようだ。左の写真は304美のギアになんか填まってるなと剥がしたときのものだけど、下から出てきたギアの上の突起はプラナマティックの内側の花びら形部品を填める位置にある。つまりこの時代はハンドル軸のギアは元のプラナマティック用のギアに形を統一して、プラナマティック搭載機である314には当然プラナマティックの部品2つを填めて、非搭載機の304には写真の様な高さ調整してオシュレーションカムに突っ込む出っ張りを設けた部品を填めていたようなのである。そういえば海外オークションをチェックしてる時にプラナマティックを”普通”のオシュレーション方式に変換する部品として売ってたのを目にしたけど社外品かと思ってたらば何のことはない純正部品だったようだ。米国人は密巻きに近くなるプラナマティックだとラインが食い込みやすいので交差のキツい綾巻(クロスワインド)になる1回転1往復方式の方を要望する釣り人がいるとかどっかで読んだ気がする。これで、ギアそのままでギアに填まってる部品交換でプラナマティック搭載機を単純往復方式にする事はできる。逆は新型(充分古いけど)はできて旧型ではできない。という整理となった。とはいえ、ギアごと交換すればプラナマティックじゃなくなっても単純往復方式になるだけで使えるわけで、314の予備機として304系を取っておいて、314のギアが死んだら(ギアはなかなか死なないだろうけど、ギア裏に設けられたストッパーの歯は飛ぶ事があるらしい)304からギア移植してプラナマティック無しで使うという手はあるようだ。

 ついでに、パカッと蓋を開けた時点で、CAPがなかなかに面白い作りになってたのでご紹介しておくと、ハーディ社の持ってたフルベールアームの特許が切れた1954年以降とかぐらいまで遡りそうなこの古いリール、本体蓋に防水パッキンが使われてます。紙のような薄い繊維質の2枚の輪っかに油が染ませてあって、PENNの4桁スピンフィッシャーの大型機がハンドルの根元に油染ませたフェルトパッキン入れてたのやら思い出すし、現在、某大手が高級機種に使ってる変なオイルシーリングを安い機種にまでは採用できないので、同じような仕組みのパッキンを採用してたようにも記憶している。60年から前の技術でっせ。古けりゃ良いってもんじゃないけど、古い時代の道具の”経費削減”とかが五月蠅くなかった良き時代を感じさせる丁寧な仕事はやっぱり良いものだと思う。CAPは、他のはみんな樹脂性の丸いオシュレーションスライダーも金属製で、樹脂性のは割れることがあると聞いてるので、自分の314に移植したろうかなと思ったけど、古リール好きの1人として、同型機種間のやりくりならともかく、なるべく元の部品構成をいじりたくないので、そういう我田引水的なさもしいことはやらないでおこう。次に手にした人が同じように感じてくれたらその方が良い気がする。ぶっちゃけ逆の立場でパカッと開けたら中がクズ部品集めたようになってたら腸煮えくりかえるよねって話。

 お次に互換性をみたいところなのがスプールだけど、さすがにワンタッチ着脱の314のスプールとワンタッチじゃない304、CAPのスプールでは直接は互換性ないだろうと思うけど、304とCAPのスプールは互換性ありそうなので試してみると、結果”互換性有り”でした。まあ左写真のように左304の右CAPでちょっと見た目が違うけど、写真真ん中の304のように主軸の端がギザギザに加工してあって、ハメ殺されているドラグの一番上のワッシャーが対応した形にギザギザに穴が開いており、ドラグ作動時に一番上のワッシャーは主軸に固定されて回らない構造。このハメ殺しのドラグ、スプールの中に”バネ”が内蔵されているようで、上から押さえるとそれっぽい反発力を感じる。ドラグパッドとしては座面にでっかい繊維性のパッドが乗っていて、直径からいってドラグの本体はそちらなのかもしれない。変わってるのが座面の固定方式で、右の写真で分かるかどうかだけど、下の方に4枚羽の回る謎部品が付いていて、かつ個体によっては台座がグラグラしてるのもあるという謎構造。ぐらついててもスプールを真っ直ぐな主軸に突っ込むのでスプールがぐらつくことはないとはいえ、何がしたかったのか良く分からん設計だけど、なんか意味あるんだろうな。

 ちなみに314のワンタッチスプールは、こんな感じで主軸の樹脂性のスリーブにカセット的なスプールをポンと乗せるとカチッと填まる。スプールは下面にカバーが付いた台座の上に、スプール本体が来て上面にドラグパッドが乗ってその上にドラグパッドを押さえる金属板を加工したバネ付きのワッシャーが乗ってる。ドラグパッドと一緒にバネが回りそうに見えるけど、金具が二重になっててかつ軸に固定されているのでドラグパッドと金具が摩擦する形。単純に二重になっててバネまで固定されているとドラグノブを締めるときに、バネの先で樹脂性のドラグノブの裏がガリガリ引っかかれることになって塩梅悪いんだけど、ちゃんとバネの方は輪っかで自由に回るようにか締めてあって、ドラグノブと一緒に回るようになってる。じゃあなぜ別の部品にせず面倒臭い加工してくっつけてあるのかはワシには分からん。PENNの714zとかだと別の部品に分かれているので別でも困らんように思うけど。紛失防止とかだろうか?

 スプール本体の上面と下面の両方にドラグパッドが入ってるものだと思ってたけど、今回新品箱入りの314のスプール購入して分解してみたら、下面にはドラグパッド入ってなくて下面は実質スプールの座面とスプール本体の底がドラグの一部として働いているようだ。ここはドラグパッド入れた方がドラグ力安定しそうに思う。でもスプールの糸巻き部分が上がってしまうと”後ろ巻き”になって塩梅悪いかも。そのへんは実釣前に調整だな。


 で、314と304のスプールは”直接”は互換性がないんだけど、314が逝ったときにギアとかをボロ304から持ってくるのと逆に、314のスプール(ハンドルとベール関連も無いので一緒に)を304に持ってくる方法が実はあることが確認できた。丸ミッチェルは本体フレームは基本的に同規格でそれに乗っかる部品の違いで機種が違ってくるようなので、まず間違いなく”主軸ごと交換”すれば314と304のスプールは交換可能だろうと読んで、実際に想定されるボロ314の主軸とついでにハンドルを、ベール・ハンドル欠損304に移植してみた。写真右から左へって感じで問題ない様子。これで、売れそうに仕上がった4台は適宜売りに出して、ボロ314と予備機にベール・ハンドル欠損304のダルマ状態からさらにスプールは外して他の個体にオマケで付けて本体だけ残しても、スペアスプール2個の体制引き継げる予備ができる。プラナマティックは一度どんなモノか触ってみたいけど、より単純な往復方式もスピニングの始祖に近づける感じがして悪くない。どっちも使って比較しても良いかも。まあ急がず実際に釣り場で感触確かめて考えていこう。スプールに関しては304のハメ殺しのは海で使って中のバネが錆びたりしたら対処のしようがなく、314のワンタッチの方がバラせて単純明快でドラグの効き具合の調整とかいじるのもやりやすそうだしで好ましく思う。

 あと、5台をバラして整備してて気がついたんだけど、ベール返しの”蹴飛ばし”が丸ミッチェルではローターを留めているナットで固定された金属板を加工した金具になってるんだけど、これが3種類あることが確認できた。1種類は写真左の一番単純な形。左側の金具の先に、ベールを起こす引き金?(ベールトリップレバー)の端が乗り上げて外にズレると、引き金の反対側が外側に開いて止めてたベールアームを開放してベールが返る。ボロ314、ダルマ304、304Sの3台はこのタイプ、真ん中のタイプはCAPのみで、金具の下に引き金の端が潜り込んでいくと、金具から下に出っ張りが出てて、そこで引き金が外側に逃げてベールが返る。3つめの右端は314と304美の2台に搭載されていて、写真の位置で一旦金具に引き金が引っかかるんだけど、ここではベールは返らず、引っかかった後に抜けた先の次の金具の先に乗り上げて外にズレてベールが返る。これ要するにベールが簡単に返りすぎないように引っかかりを作ってある”ローターブレーキ”の一種なんだろうとおもう。確かに写真左の単純方式だとわりと軽くベールが返ってしまうように感じる。軽く返るのは勝手に返る不具合さえ起こさなければ美点だと思うけど、ローターブレーキの付いたタイプがあるってことは、投げるときコネ気味でハンドル回ってベールが意図せず返ってしまう下手クソ用のような気がするので、ワシャそれが相応かなとも思うけど、いま海外ネットオークションで部品売りに出てないか調べたら、3種のうちローターブレーキ付きだけ出てなくて命拾いした。あったら確実にマウスが滑る。→部品一個に送料掛けるのは馬鹿臭いな→1万5千円目処でまた要らんモノを買ってしまう。という地獄巡りにまた落ちるところだった。
 丸ミッチェル使うにあたっては、課題として”サムオントップの基本の握りでコネずに真っ直ぐ振る基本の投げ方も改めて身につける”というのも意識しているので、ローターブレーキ無しで丸ミッチェルに修行つけてもらえ、との”見えざる力”の思し召しだと考えよう。なに、いざとなったら複雑な仕組みでもないし、薄いプラスチックの板とかを加工してローターブレーキでっちあげてもいいさね。あと、ミッチェル方式ではストッパーはオフで釣って、取り込みのタモ出すときだけストッパーかけるのが正式なお作法のようなので、ストッパーの歯を飛ばさないためにもお作法どおりにやってみよう。
 
 という感じで、売りに出すつもりの4台は内部の状態はしっかりしてたので問題なしなのに加えて、ややくたびれていた個体も磨いてやったらそれなりに見栄えのする感じに仕上がって、それぞれちょっとずつ違う丸ミッチェルのその違いから、いろいろと見えてくる部分もあったりして、現時点で既になかなか満足のいく買い物だったと思っている。
 これで売る方は高く売れてくれたら文句は無いんだけど、そのためには売り時って重要かなと思ってて、例えば今すぐ売り出したら、この記事読んだ人が買おうと思ってくれるかもしれない。その中にどうしても欲しいという人が2人いれば値段は吊り上がるはずである。ただ、いまはコロナ禍でやや消費は下向き、釣り具はコロナ特需的に好調のようにも聞くけど、さすがに”密になる遊びができないから釣りでもするか”っていう層がいきなり丸ミッチェル買うとは思えない。もうちょっと育ててから、沼に引きこんでしまわねばなるまいて。とすると、ちょい買い控えてるような古リール買いそうなワシのブログの読者さんも動き出すであろう、第6波終息後、ワシが実際に丸ミッチェルで華々しい釣果をひっさげての報告後に売りに出すのが、今後の戦略となるだろう。1匹釣るごとに1台ネットオークションにかけるとかそんな感じか。

 プラナマティックはリールクルクル回してる時点ですでに、スプール上下が減速されるのでか巻き心地が良いなとは感じてて、元からあったボロ314はさすがにギアゴロ感があるけど、今回入手の314はなんかベベルギアって文句言うほどギアゴロゴロするか?って疑問に思うぐらいに滑らかに回ってて上等やんけって思う。スプール単純往復のほうは1回転で1回という忙しい上下動にともなって、シャーって感じの音というか感触があってさすがに滑らかって言うのは苦しいけど、でもまあ魚釣るのに苦労するような不具合ではぜんぜんないのでこれも別に悪くはない。3倍速ちょいの低速機なのもあって、ボールベアリング無しでも巻きはどのみち軽いしな。スプールの直径が大きいので巻き取り速度はそれ程低速じゃないよとヌコさんも言ってたし、スプール直径大きいスピニングは巻き癖つきにくくラインの放出性も良好で使いやすいというのは常々感じるところなので、実釣では見た目の可愛さ、設計の古さに反して”使える”リールなんじゃないかと期待している。

 でもって、既にボロ314は稼動状態にあるのになぜまだ使ってないかというと、ミッチェル特有の”足の呪い”があるからである。ミッチェルはフットが長くて削らんとアグリースティックには付かん。さすがにボロでも足削るのはためらう。そこまでやったら売りには出しにくいから一生責任取らねばならん。自分に合わんかったら売ってしまおうって心づもりの使ったことないリールにはちょっとやりにくい。ただ、春に使ってるブリストールはリールシートがfujiのDPSっていうパイプシートで何でも来い系の懐の広いシートでミッチェル大丈夫。なので、今年のシーバス春の陣は丸ミッチェル中心に予備機はPENN720zというボールベアリング不使用の布陣で行く予定。2月3月ちょい様子見ぐらいして、丸ミッチェルの調整とか済まして、4月ぐらいから本腰入れるかな。
 

 という感じで、最初の314を手に入れたときに、ミッチェルが仲間を呼んだらイヤだなぁ、とうすうす悪い予感を感じてはいたんだけど、ご覧のとおりの有様で思いっきり仲間を呼ばれてしまっております。皆様ミッチェルは1台家に迎え入れると仲間を呼びます。お気を付けてください。

4 件のコメント:

  1. 304株はまだそんなに沼深くはないですよ。
    真ん中に1が付くモデルと0が付くモデルでスプール共有出来ませんし速度もどれも同じですし

    バリエーションがそう多くはありませんから

    本当の底なし沼は8枚ギアでマイナーチェンジの回数、機体どころかスプールのバリエーション多数、
    速度、ベアリングの有無、440とか変種の存在と本当に底なし沼です

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    1. ぬこさん おはようございます

       8枚ギア株は水際対策しっかりして我が家には入れないように気をつけます。
       ミッチェルミュージアムとか見てても、300の歴史の重さやら後の”釣り”に与えた影響やら、偉大な名機なのはひしひしと伝わってきて、興味はあるのですが、症状の重さを鑑みるとうかつに手は出せません。
       幸い314が好みに合致するので私は”丸ミッチェル”だけで症状は治まってくれそうに感じてます。

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  2. ナマジさん、お疲れ様です。

     パソコン越しにチーズやワインのような、フランス製マシンの熟成された香りが伝わってきます。
    当方ハンバーガーやカップラーメンを好む味覚なもので、大人の味がまだ分かり切らないのが幸いしてかミッチェル沼に入水せずにすんでいます。
     
     300と408が手もとにありますが、何だかわららない”甘くてスモーキーで芳醇”な香りをかぐぐらいで、味わってどっぷり浸るとこまでいっていません。
    しかし、ハーフベール300の日本製コピーを出来心で触ってしまい、あの角で突かれてハーフベール沼に巻き込まれそうな危険を感じております。

     話戻って、まだ逆回転オリムがいるのを思い出しました。「コンドル」と言っておそらく70年代手前のアウトスプール左右両用機で後のスパークなどに続くような系統の機種です。ロディ―2000からの影響がありそうですが、オリムピックには頑固な300方式推しのベテランさんがいたのかどうなのか。

     海外の訳あり品にはどうやってそんな事になったのかとか、ミステリー物にたまに遭遇しますね。

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    1. レクエル堂さん おはようございます

       オリムピック逆回転の系譜は継続的に存在したんですね。仰るように好きな人がいたんでしょうか?
       答の無い謎を解く探偵気分ですね。

       ハーフベイル、実は1台我が家にもあって今整備待ちです。いずれネタにする予定ではあります。

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