人間関係を当たり障りのない見せかけの笑い顔で繕い、仕事のミスをとりあえず頭下げて繕い、女性の機嫌をモノでとり繕い、自分の才能のなさを「あのブドウは酸っぱいに違いない」と繕い、繕いすぎて元の自分がどんだだったのか分からんぐらいに繕ってきました。などとダメ人間文学風に始まっておりますナマジのブログですが、まあ人生そんなもんだろうから一々気にしちゃ始まんねぇって話で、本題は文字どおり、針と糸で繕うお話です。
物価高で何でも高い。そういうときに限って使ってたモノが寿命をお迎えしなさる。まあしゃーないことであり、すべてのモノはいつか壊れるんだから、買い換えも必要である。特に釣り関係の、いわゆる”釣り具”に分類されるようなハリ、糸、竿、リールなんかにはご存じのように金使いまくりで、おかげで多少壊れて調子の悪い道具が生じたぐらいでは、すぐに別のものを代替として用意することすら可能であり、何ら問題がない(財政的には大問題である)。
ところが、釣りに直接係わるけど、釣り具とはちょっと違うモノ、たとえば水くみバケツ、たとえば魚ばさみ、たとえばウェーダー、たとえば救命胴衣。なんていうのは、良いものがあるからと片っ端から買い集めるような収集の対象にはあまりなり得ず。良くてそろそろ古くなってきたなと思ったら、早めに次の候補を選定し確保して備えておく程度である。ウェーダーやカッパは値段とサイズの問題もあり、壊れてすぐ買うってわけにもいかないので、早め早めに準備はしている。とはいえ物価高騰の折、なるべくなら長く使い伸ばしたいと思うのが人情というもので、ウェーダーは昨年の秋シーズンにいい加減ぼろぼろだったけど「冬までもてば良い」とセメダインスーパーXとか駆使して修繕して、昨年の秋シーズン、今年の春シーズンと乗り切って、もういっちょ修繕して使えないかと試したものの、もうどこからともなく水がしみてきてビチャビチャになる状態で、穴をふさぐとかどうとかいう状態ではなかったので泣く泣く諦めて、今期から新しいウェーダーを下ろして使っている。シューズはソールが削れて薄くなっていたので、本体が壊れたシューズのフェルトソールを引っぺがして”ニコイチ”して復活させておいた。年間200以上釣りに行くとしても、ウェイダー履いて立ち込むのは50日もあるかないかだけど、一般の釣り人と比べたらもちろん酷使してる部類だと思うので、3~5年は修繕しながら持たせたいモノである。 で、そういう釣りに関するモノが壊れるときはみんなまとめて寿命を迎えて壊れはじめるもので、魚ばさみの挟みつける面のトゲトゲが丸くちびてしまってゴンズイとかヌルヌル滑って挟みきらないのとか、危なくって仕方ないので高いモノでもないしコレは素直に買い換えた。アジ釣りとかに使ってるクーラーバックも、縫い目ほつれてきてダクトテープで応急処置してあったり、ファスナーが本体からはがれたりしてぼろぼろだし、コレまでもロングノーズのプライヤーが貫通した穴とか繕って愛用していたアングラーズハウスのウエストポーチもそろそろ穴繕った跡だらけで、新たな穴も開いたし、そろそろ買い替え時だなと、ウエストポーチの方は廃盤品なのでネットの中古市場を探してそれなりにまだ使えそうなのを確保した。ってやってたら、加えて大物がきやがった。自転車のタイヤが芯の繊維が見えるぐらいツルツルに禿げ散らかしていて限界。チューブは明らかな空気穴にはパッチ当ててふさいであるけど微妙に空気が抜けていく感じでこれも寿命だろう。交換の時期はとうにもう過ぎているぐらいか。自分でやったら多少安上がりとはいえ、自転車の後ろタイヤの交換は面倒くさくて、リールの改造は多少面倒くさくても楽しくやるけど、自転車は失敗すると交通事故にもつながりかねず、本職の自転車屋さんにお任せした。10500円は痛い出費。中古の自転車買い直した方が安いことは安いだろう。ただ、まだタイヤ周り交換さえすれば使える自転車をスクラップにしてしまうのは、もったいないと感じてしまうのである。1500円で買ったボロいママチャリに1万円から使うのは”コスパ”が悪いと言われてしまいそうではあるけど、ワシの財布が多少軽くなるとしても使えるモノをゴミにしてしまうことの”もったいない感”のほうが勝る。以前、とある魚料理のブログ記事を読んでいて、磯魚を”塩釜焼き”にして楽しむというネタの時に、卵白で固めた食塩の中に魚を突っ込んで蒸し焼きにするような瀬戸内海のマダイで有名な調理法なんだけど、焼いた魚は美味しいんだけど、釜として使った塩がなんかもったいなくて、良い再利用方法はないのか?と管理人さんがぼやいてたんだけど、それに対して掲示欄に「塩なんて業務スーパーとかでまとめ買いしたらとても安価で、もったいないってほどでもないですよ」と書き込んでる輩がいて、たぶん管理人さんも多くの読者も「そういうことじゃねえんだよ、金うんぬんじゃなくて、まだ使えそうな塩がたくさんあるけど、それは食べるわけじゃないから、卵白で固まってるのをどうにかする方法考えて再利用方が思いつかないと捨てるしかないのが”もったいない”んだよ」って話だけど、金銭的価値しか思い浮かばない輩には言っても分からん感覚だろうな、という気まずい沈黙が掲示欄に漂っていた。
正直、ワシの貧乏は計画的な貧乏であり、ある程度蓄えもあれば、年金も後々もらえるはずで(やや疑わしいがワシだけの話じゃないのでとりあえず棚上げ)、タイヤに1万円払える余裕はある。ビンボで金なんかあんま使わなくても楽しく幸せに生きていけるんだよってのを示すために、ビンボを楽しんでるという側面もある。そういう中で、1500円で買った自転車に1万円からの修理費用を掛けるのはコスパが悪いとか言い出すのは、なんか違うんである。ワシの目指す幸せはそんなしょうもないコスパを求めた先には無いと思っている。モノは大事に長く使うのが多少費用対効果が悪くとも”もったいなくない”と考えて進むその先にこそワシの幸せが待っているような気がしたりしなかったりするのじゃ。
とはいえ、1万円からの出費はナマジ家会計的には厳しいのも事実。要りもせんのにこの夏買いまくった釣り具の出費に比べたらかわいいモノだけど、それはそれこれはこれというやつである。我が家の緊縮財源をさらにキュッと締めねばなるまい。
ということで、ウエストポーチは交代要員確保したけど、再度繕ってもうひと頑張りしてもらい、クーラーバックも同様に繕って今しばらくの現役続行をお願いすることとした。チマチマめんどくせぇ針仕事ではあるけど、やることは単純で、丈夫な糸とごつい針で破れ目、裂け目を縫いまくって、途中で切れてほつれてくるのをある程度防止するために、縫い目をセメダインスーパーXやウレタン系接着剤で固めてしまう。丈夫な糸としては、竿のガイドのラッピングやら飾り巻、補強に使ってる”イカリ印補修糸”がナイロンとかポリエステルとかの丈夫なのがあるので、最近は竿のラッピングも入れ物関係の補修にもイカリ印補修糸愛用してます。指ぬきがあると作業がはかどるので、100均ショップに行ったら買おうと思って毎回忘れてて、爪で針の頭を押してます。裂けてたところは穴がふさがり、外れかけてたジッパーもしっかり縫い付け、ダクトテープは剥がすとベリベリッとなりそうなので、そのまま縫い込み、クーラーバックもウエストポーチもまだしばらくは働いてくれそうに復活。
エコとかロハスとか、分かったようなよく分からんことはイマイチワシ腑に落ちないけど「道具は大事に直しながら最後まで使う」っていうのは、それが道具の本懐だろうから素直に腑に落ちるので、昭和の男はそういう風に育ってきたんだ、と思っちょります。