以前、インスプール初心者にはベールを手で閉じようとする”熊の手”対策でベール反転レバーの保護のための”棚”がローター本体から張り出している機種が良いよ、とお薦めしたところである。
まったく今でも「ワシ、我ながらイイこと書いてはるな」と思うところだけど、そういう”初心者用インスプールスピニング”の中でも、PENNスピンフィッシャーの714Zはダントツにお薦めできるリールじゃないかと感じている。
ハッキリいってつまんないぐらい良くできていて、釣っててライントラブルだのが全くないとまではいわないけど、それはスピニングならどれでもそうって話で430ssgと同程度には気持ちよく問題生じずに使える。
使えるから魚も何の問題もなく釣れる。少なくとも道具を言い訳にしなければいけないような不具合は生じそうにない。釣れてないのは腕が悪いせい。
だって、初陣で仕留めたのが写真の80のコイだったんだけど、ドラグも流石PENNというかんじで安定して効いてくれるし、”投げて巻く”部分についても思いのほか調子が良い。とくに飛距離は直径大きな浅いめのスプールって実は有利なんじゃないか?って感じるぐらいに放出性良く飛んでくれる感じがあって投げてて気持ちいい。
さすがにウォームギアは巻きが重い部分はあるけど4300ssや430ssgで慣れているので気にするほどのこっちゃない。ワシ、魚かかったらゴリ巻きせずに基本ポンピングで竿でよせた分だけ巻くから「重くて巻けない」とかいう、そう書いてる記事とか見る度に「ポンピングしろよ、それがいやならベイト使っとけ!」と心の中で突っ込まなきゃならんような台詞は吐かなくてイイけんね。まあコイの80問題なくあげときゃ春のシーバスならメーターぐらいまでは問題ないんじゃないの?釣ったことないから知らんけど。
正直、もっと苦戦して、スペアスプール頻繁に交換して「ジャジャ馬乗りこなしてやってるぜ!」ってな達成感にひたれるモノかと思ってたけど拍子抜け。右手の人差し指でラインの放出調整して糸ふけ出さないようにしてハンドル巻いてベールを戻す、という古式ゆかしい”基本のスピニングリールのお作法”さえ手に憶えさせてしまえばどうってことない。憶えるまでには何度もベールを左手で起こしそうになるけど、トゥルーテンパー先生の”熊の手対策の棚”がワシの熊の手を何度も止めて教え込んでくれてたので、714Zでは既にベール手で起こそうとすることはなかった。
さも「使うのが難しいインスプールのリール使ってる俺ってエラい」っていう雰囲気出してくるよな”ややこしいインスプール使い”は、多分ライントラブル防止のための、ラインローラーの水平を出すとかスプールの高さ調整でラインが後ろ巻きにならないようにとかの然るべき基本を押さえてないのでトラブル多発のリールを使ってて、それを喜んでるンじゃないだろうか。気持ちは分からんでもないけどウザいよね。
まあ、そんなわけで714Zは”熊の手対策付きリール”でデキが良いのでお薦めできるっていうのに加えて、不死鳥のように復刻版が出るカーディナルを除くと、インスプールでは最後まで生き残った部類で、日本市場で90年代まで売ってたロングセラー機であり中古の弾数多くて、かつそれ程古くなってない程度の良いのも多い。値段も高くもなく安くもなくほどほどで7、8千円ぐらいが相場とお求めになりやすい。
かてて加えて、PENNなので丈夫で部品もまだ結構手に入るということで、ダイワやオリムピックの古いインスプールより長期運用を考えると安心感がある。
「PENNスピンフィッシャー714Z」ピュアフィッシングさん復刻してくれないかしら?米本国では一回復刻あったらしいような不確定情報あったけど日本でも是非。
で、なんでワレ716Zまで買ってるねン?と責められると私も心苦しい。
つい出来心でやってしまったんです。反省してます。って感じだけど、渓流もこれまで4300ss、430ssgの大きさで私にはちょうど良くて、4200ssは小っちゃすぎて巻き癖とかキツくてダメだと感じてたので、インスプールでも714Zで良いだろうと思ってたんだけど、正月に気仙沼に置いてあったフェンウィックHMGのGFS55Jが似合うんじゃなかろうかとこちらに持って帰ってきて付けてみたら、微妙にリールが大きく感じる。スプールの径が大きいのでちょっとバランスしない感じになってる。まあそのへん好みの問題という程度なので使ってれば目がそのうち慣れるんだろうと思う。思うんだけど、もう一つ小さい716Z”ウルトラライト”ならスプールの径はそれ程小さくないようだし、よく似合うんじゃなかろうかと思ってしまい、思ったらポチッとする手を止められなかった。病気が憎いッ!憎い憎い憎い!!渓流なんていつ行く予定があるっちゅうねんッ!
でも、おかげさまで716ZはGFS55Jのリングシートにしっぽりと似合ってくれて、アタイ後悔なんてしてないワ。ちなみに相場は714Zよりちょっと高め。
そして買ってみるとチマチマとした発見が。
710系Zシリーズにはハンドルの根元に油差しの穴が開いている初期型と開いてない後期型があるというのは、714Z買ったときに気がついていて、写真の上の方が後期型の714Zで下が初期型の今回買った716Zなんだけど、じつは油差しの穴以外にも違いがあることが判明。
下の写真をよく見て欲しい。銘板が714Zでは平らなのに対して716Zではリングが盛り上がっていて立体的、っていう細かい違いより実は大きな違いがあって、後期型714Zの蓋が樹脂製なのに対して、初期型716Zは蓋が金属製なのである。よく見ると金属製の蓋の方はのっぺりとしているけど樹脂製の蓋の方は枠っぽい出っ張りがある。
714と714Zの違いについて書いたときに、714Zになった時に緑から黒金に色が変わったと共に蓋が樹脂化され軽量化が図られた旨書いたけど、謹んで訂正したい。ま~たまた嘘書いてました。度々スイマセン。
スピンフィッシャー710系はZシリーズにモデルチェンジした時に色だけ黒金に変わっただけでしたとさ。ズルッとずっこけるけど、前回書いたとおり見た目って重要だからイメージカラーの変更は大きかったと思う黒金好きなナマジであった。
でもって初期型が金属蓋で油差し有り、後期型が樹脂蓋で油差し無しかっていうと、どうもそれだけじゃないようで、中期型とでもいうべき樹脂蓋で油差し有りも普通にあるようだ。PENNの場合部品共有でマイナーチェンジしながら継続的に売っていくというのが普通なので、後期型に移行しようとしたらまだ油差しの穴の開いた本体が残ってたのでとりあえずそっちの在庫から樹脂蓋付けてさばいていったというのも充分あり得るけど、それにしては数が多いので、段階的に、軽量化でまず樹脂蓋になって、その後に経費削減か機械油の品質向上とかでいらんだろとなって油差しの穴が廃止ってなったと考えるのが自然か?復刻版が樹脂蓋で油差し有りという可能性もあるかも?いずれにせよ中古市場では3タイプがあるのでお好きな人はその辺の細かい違いも楽しんでいただければ幸いである。
お約束で、また716Zもスペアスプールとか買ってるわけなんだけど、世のPENN使いな諸先輩方の記事とか読んでると、710Z系にはベールスプリング以外で壊れやすい部品が2カ所有るようで、1つはワンタッチスプールの着脱のための主軸の先端に付いた銅製の3本の爪で、これはハメ殺しなので壊れたら主軸ごと交換が必要なようだ。もう一つはベールスプリングが強いのでベールワイヤーに負担がかかって長期使用ではベールワイヤーかベールアームが折れるというのも目にした。これはベールワイヤー交換かもしくはベールアームのベールスプリングを引っかける穴をもう少しバネを絞らない方向にズラした位置に追加で開けてベール反転の衝撃を弱めてやるという改造も紹介されていた。なので、ついでに予備を買っておくかといつもの「MYSTIC REEL PARTS」さんに発注かけようとしたら残念ながら主軸もベールワイヤーも欠品だった。っていうのもあって復刻版出たら部品の欠品も解消されるだろうから期待しているのである。本体も1票入れるつもりで買うんだろうけどさ。
現実的には、主軸については714,714Z、716Zで共通なので3本あれば足りそうな気はするし、ベールアームはまだ在庫していたので失敗した時用に確保して、穴開けて改造を試してみようと思う。いざとなったら中古一台追加して買えば良いっちゃいいか。
さて、では最近の釣果写真にも出てくる冒頭写真の3台目の茶色いのは何なのか、そろそろ吐いたらどうなんだ?と取調室で刑事さんに凄まれそうなので白状します。
「スピンフィッシャー720Z」ネットオークションで買っちゃいました。
720系には他に720、722、722Zがあって、722と722Zが誤解を恐れず書くなら”PENNが作ったミッチェル408”で720、720Zはその低速巻き版なんじゃないかと解釈している。
ミッチェルを真似して作られたリールなんてのは”オリムピック81”みたいな完全再現を始めいっぱいあって、むしろ世界的に売れた量産機であるミッチェルの各機種に同時代においては影響されたスピニングの方が自然というか、そういう流れがあったんだと思う。今のリールがみんな似たようなのばっかりで個性がないとかいうけど、昔も売れてるヤツの真似はとりあえずしておけってノリはあったんだと思っている。
で、ミッチェル408は60年代に登場して、720系が作られたのは70年代中程らしいけど、その頃売れまくってた歴史的名機なんだけど、なにが特徴かという話は”ミッチェル大好きTAKE先生”がネッチョリ書きまくってるので詳しくはそっちを読んでもらうにして、簡単に説明するなら、「308譲りのスポーツフィッシングに対応した手に馴染む設計を引き継いで、力の伝達効率の良い”スパイラルベベルギア”を搭載し高速化を図った小洒落たフレンチリール」なのである。
それを質実剛健、海にも強いぜなPENN社が「ギアを作るのは我が社も得意だし、うちもスパイラルベベルギア機作っちまおうぜ」と作ると、しちめんどくせぇ平行巻機構のロアナプラじゃなくてプラナマティックなんて省略で単純にギアの上にカム乗せて往復方式、ギアはローター軸のは真鍮切削もので、ハンドル軸のはステンレスを鋳込んだ丈夫なの、ハンドルノブはごっついアメ人の手に合うようにデカいけど、ちゃんと本家のように捻りの入った樹脂製で、なんとPENNにしては珍しく全体的な造形も本家とはまた違ったアメリカンポップカジュアルな感じでオシャレに仕上がってるスピニングが誕生するのである。
特に、初期のZ以前のモデル(当時はスピンフィッシャーの名前は付いてなかったという情報有り)の青いやつで蓋の上に魚が二匹書いてあってその魚に「PENN」「722」とか書かれているデザインのは、なんちゅうか愛らしい見た目で素敵スピニングなんである。
ただ、そういうオシャレな部分が逆にPENNリールとしては異質で異端でいまいちピンとこない部分もあって、「722Z良いっスよ」という書き込みをいただいたときも「ワシの使うペンのインスプールは710系じゃけん」と邪険なつれない態度を取ってたぐらいだけど、その実、喉から手が出るぐらい欲しくて仕方ないのを押し隠してツンデレっていたのである。
屁理屈こねて遠ざけておかないと、古い時代のとか結構な値段もついてるのでエラいことになりそうで「あの葡萄は酸っぱいに違いない」と自分にいい聞かせていたのである。
でも病気だから一度でも欲しいと思ってしまったら負けである。結局買うことになる。ブクブクと底の無い沼に沈んで行くのみである。
とはいえ、90年代まで生産されてた黒金のZでも7千円ぐらいの実用機価格が相場だし、古いのは大1枚は軽くしているので使うアテもないのにおいそれとは買えず、程度悪い部品取り用とかの個体が出てこないかなと長期戦覚悟で狙ってはいたけど、そんな都合良いやつがそうそう現れるわけもなく、部品破損個体がオークションにかけられても、PENN使いどもは部品在庫有るかどうかぐらいすぐ把握できるので意外に値段が落ちなくて全然自分の入札額では落とせそうもなかった。
ところがどっこい待てば海路の日和ありで、蒐集家が720系まとめて何台も放出するというまたとない機会が巡ってきた。さすがにまとめて全部落とせるほど潤沢な資金を持ってる入札者はいないだろうから、人気が割れて一台当たりの競争者が減るのは明白。
箱入り美品から、ベールアーム折れてベールワイヤー無しのボロ個体まであって、どれに狙いを定めるか吟味を重ねて最終的に落札した個体に絞った。
ベールワイヤーは「MYSTIC REEL PARTS」さんにも在庫がないようだったので一番ボロいのは回避して、2番目にボロい個体で「ハンドル回すとスプール上下することは確認、それ以外は不具合あり」という、どんな不具合かも良く分からないうえに銘板が剥がれていて720Zか722Zかも分からんという茶色い一台に決めた。
茶色というのはメイシーズだかどっかの百貨店で売ってた色だとか何とか目にしたことある。PENNの青は薄い空色でなかなか合わせる竿が難しいし使う人間も選ぶ気がするけど茶色は無難かつ渋くて悪くない。っていうかイイ。
不具合の状態やら、ハンドル一回転で何回ローター回るかとか質問したくなるのをグッと我慢して値段が釣り上がるのを回避し、開始価格3000円を例によって3200円で入札して見事3100円でハンマープライス。
無事入手できて我が家に来て、ハンドルクルクル回してみると1回転でローターは4回転。ということはギア比1:4の720Zで確定。ちなみに722のほうは1:5。低速機なら同程度の糸巻き量の714Zとも使い分けできそうで結果的に正解だったかも。
回転は重くもなく問題なさそうだけど”それ以外の不具合”がちょっと触った段階では酷かった。
ベールスプリングは生きているようでベールは返るんだけど、反転レバーが機能していない。まあこれはレバーを押さえるバネの取り寄せで何とかなるだろう。でもドラグがまったく効かなくて締めてもスカスカなのにはちょっと何が起こってるのか分からなくて不安にさせられた。単にワッシャーはめそこなってるわけじゃない。
ともあれ、分解清掃して購入必要な部品を洗い出していくしかあるまい。
とりあえずスプール周りからかなとドラグノブをはずすと欠けててバラバラと部品が抜けてくる。ドラグが締まらないのはこのせいかと思ったけど、よく考えると欠けている樹脂製の部分は、ドラグノブのナットと調整幅持たせるためのバネとドラグに押しつける金属の皿とをバラバラにならないようにまとめているだけで本質的には部品さえあればドラグは締まるはずである。本格的に修復不能かなと不安になりつつ、とりあえずもう一方の不具合である反転レバーを押さえるバネを確認すると、取り付け方が間違っていただけでちゃんと組み直したら復活した。
ドラグノブの方はあれこれいじるもドラグスカスカのままで、どうにもスプールとドラグノブ交換必要っぽいなと思って在庫あるか確認してみたらスプールはまだあったけどドラグノブは在庫がない。これはどうにかして直さないといかんなと危機感もってしげしげと眺めていたら、主軸のスプールが刺さってるところが、主軸そのものじゃなくて座面と一連の’’スプール刺し部"になってるんだけど、その上の部分がドラグの上面より先にドラグノブの皿状の部品と接触して皿がドラグをぜんぜん押さえていない。単純な話で皿の凸凹の面を逆に組んであったので機能してなかっただけだった。反転レバーのバネといいドラグノブといい壊した人間お粗末といわざるを得ない。おかげで安く手に入ったんだけど。
たぶんスプールを填めてる主軸の部分にわざわざ太くした”スプール刺し部”を設けているのは、太くした分接触面積を増やしてドラグが効くときの摩擦抵抗を分散させて安定させるためなんだと思う。写真右のように4桁スピンフィッシャーでも同じような”スプール刺し部”が設けてあってかつスプールのほう軸が貫通する部分には樹脂製っぽいスリーブが入っていてベアリングなんていう錆びて経費がかかって過剰で下品なものをぶち込むより実用的な設計だと感じる。
ドラグ締めるのは問題なくできるようで、とりあえず最悪の事態は避けられそうなのでドラグノブの修繕は後回しにして全体ばらしてパーツクリーナーで洗っていく。
ドラグの構造はテフロンパッドの3階建て方式で何の問題もなさそう。
スプールの裏についている音出しが欠損していたけどこれは在庫があったので注文。
蓋をパカッとあけると鎮座しておりますどとらも傘状のギアが主軸上で直交するスパイラルベベルギア。歯も欠けてないし何ら問題なさそう。
ただ、ギアを横?に配列できるウォームギアと違って重ねる形になるので本体の厚みが必要で本体内部スカスカな印象がある。本体自体は同じぐらいの糸巻き量でもウォームギア機の714Zの方が小さくまとまっている印象。714Zは8フィートのシーバス竿にはやや小さいと感じたけど720Zはちょうど良い大きさ。
ギアは亜鉛鋳造かと思ってたけど、パーツクリーナーで洗浄したらピカピカしててアルミ(切削?鋳造?)っぽい。軸はステンレスで、裏に設けた逆転防止の歯は真鍮製。
ローター外してローター軸のギアが本体にネジ止めされているのを外してもボールベアリングが見えてこないので、これはれいの開放式のボールベアリングで油断してると弾が飛び散って落ちるヤツだなと、お盆の上にティッシュ敷いて慎重に真鍮のスリーブをズラしていくと、なんとビックリ弾なんて入ってねえぜ。
このリールはボールベアリング一個も使ってません!!”ブロンズベアリング”機!なんと素晴らしい!
我が家ではダイヤモンドスーパー99についで2台目のボールベアリング使ってないスピニングリールである。漢らしいジャン。
グリスアップする前から普通にローター回っててグリスシーリング後は全く快調という感じで重くもなくクルクル回ってくれる。
展開図見て確認すると、720Zはボールベアリング無しの”ブロンズベアリング機”で722Zは途中から設計変えて入れたのかもしれないけどローター軸に一つボールベアリング入れている。
要するに、力の伝達効率の良いスパイラルベベルギアでギア比が低いのであれば、力強く巻けるので、ことさら摩擦の小さいボールベアリングなど入れなくても実用上問題ないという設計思想のようだ。逆にギア比大きく高速巻き仕様だと巻きが重くなるのでボールベアリングが必要になるという判断なんだろう。
PENNと大森というナマジ大好きなリールメーカーが、等しく低いギア比のスパイラルベベルギア機にはボールベアリングを入れていないというのは、それが妥当な機械的解答だからなんだと思えてくる。
実際に使ってみて、ボールベベアリングなしでも720Zなんの問題もなくクルクルと回ってくれる。回転が特に重いということはなく714Zとかのウォームギア機よりは軽いぐらいである。
以前、ローター軸のベアリングが錆びて金属製ブッシュに成り下がっている状態の4400ssを使ったことがあるんだけど、正直重くて巻くのが嫌になるぐらいだった。ハイポイドフェースギアも力の伝達効率は悪くないはずで、あのときはギア比が高いからそう感じたのか、もしくは回らないボールベアリングの幅だけで受けていると回転が不安定で、ちゃんと最初から適切に設計された”ブロンズベアリング”とかなら滑らかに回ってくれたりするんだろうか?
いずれにせよ今時の高級スピニング様がベアリング数10ッコ以上とかを誇っているのを尻目に、ボールベアリング無しの720Zで普通に魚を釣るっていうのは密かに「あんないりもせんベアリングゴチャゴチャ入ったリール買わされてゴクロウサン」という底意地の悪い優越感が湧いてきて気持ちよく釣りができる。
「リールにボールベアリング入ってなくても魚ぐらい釣れまっせ!!」
ということで、分解清掃してハンドル軸やらブロンズベアリングにはオイルを注しておいて、その他はとにかくグリスで全面を覆うグリスシーリングでグッチャリにしてやれば、じつはこの時点で欠品はスプール裏の音だし機構のみであり、無いと困るような部品の不足やら修理不能の不具合とかはなく即実戦投入できそうな感じである。
ということで、実戦向けて調整を施していく。
まずは壊れているドラグノブの再建。そのまま部品を順番に並べただけでも機能はさせられるけど、スプール交換とかしようとするときに、ばらけてしまうようではやはり塩梅悪いだろう。一旦パ-ツクリーナーで脱脂乾燥後、順番に樹脂のノブに填めていってドラグを押す金具の”皿”を半分ぐらい残っている樹脂製部品の填まる土手に瞬間接着剤で固定。これだけだとずれたり外れたりしそうなので、樹脂の欠けたところに熱した針金で穴を掘ってそこにカーボンの心棒を突き刺して”皿”がズレないように瞬間接着剤で固定。欠けているところ全体にウレタン樹脂を盛って防水性を高めておいた。これで皿・ばね・ナットが抜け落ちてくることは当面防げるだろう。ドラグを締め付ける動作も問題ないようでちゃんとドラグ効いてくれる。
ラインローラー水平に角度調整するのはベールアームが金属なのでゴツいペンチ2本でちょっとずつ曲げてやれば問題ない。
ただ、ラインローラーが固着したまま放置してあったらしく、パーツクリーナーで漬け置き洗いしても腐食した錆のようなモノまでは除去できない。
ラインローラーの左右面は平面なので目の細かいサンドペーパーで錆を落とせるけど、曲面であるラインローラーの内側及びラインローラーが刺さっているベールアームの軸は下手に削ると偏ってしまい回転を妨げることになりかねない。
ということで、大まかな部分はサンドペーパーで落としつつも、仕上げはラインローラーに研磨剤を塗りつつ実際に高速回転させて”あたり”をとる方式でいってみた。研磨剤は金属磨き用のコンパウンドとかがあればそれに越したことはないけど、歯磨き粉が身近な品で研磨剤入りなので使える。学生時代昆虫の樹脂包埋標本作ったときにレジン樹脂磨くのに歯磨き粉持参するように指示があったぐらいで、クレンザーほど削りすぎて傷つける恐れがなくつるつるに磨ける。
手で回すわけに行かないのでラインクリッパーの上に付いているルーターに輪ゴムをかけてもう片方の端をラインローラーにかけてアニメ見ながら半時ほど回してやったら良い感じに引っかかりも少なく実用充分な感じに回るようになった。
これで準備完了。とラインを巻いてみると困ったことに写真のように、えらい後ろ巻きになっている。
とりあえずスプール座面のテフロンワッシャーを薄いのに変更してスプールを下げてみたけどまだ足りないので、あれこれ考えて、ローターの下にワッシャーを噛ませて上げる方法はこのリールは使えなさそうな構造なので、ベールアームとベール反転レバーの位置と形をいじってちょい前巻き程度に調整した。
具体的にはラインローラーの位置を高くしたいので、ベール反転レバーを下げることでベールアームのラインローラーの付いている側を上げてやる。そうすると当然ラインローラー自体は水平だったのがベールワイヤー側に傾いた状態になるので、水平に戻すためにベールアームのラインローラー取り付け部分をベールアームの反対側に反らして曲げて調整してやる。
これでバッチリの調整具合と実戦投入したら、ベールワイヤーの付け根が若干ろう付け剥がれかかってささくれていて、そこにラインがかかってラインローラーにかかるのを妨げてるときがあったので、引っかかる段差がないように瞬間接着剤を薄めに盛ってサンドペーパーでならしてみたら問題なくなった。以降好調で8時間労働でも特にライントラブルも生じず快適に使えている。
ここのところの経験が生きて、壊れた樹脂部品の再建とかラインローラー角度調整、スプール後ろ巻きの補正等が、基本が分かってきているのか多少リール毎に状況違うにしても慌てることなくすんなりできるようになってきている。
ということで替えスプール、ベールスプリング予備とかも発注して無事届いてるんだけど、落札して届いた時点でも、なくても釣りにはなるスプール裏のドラグの”音出し”以外は最初からそろってる完品に近い中古品だったという、最初不安な滑り出しだったけど結局大勝利的な落札であったとさ。
ちなみに他に確保しておいたほうがいいパーツあるかなと確認していたら、「720Z」の銘板もあったのでコレも確保したった。見た目的にもかなり良い塩梅のイイ個体に復活した。スペアスプールも用意したしライントラブル防止のための微調整も決まって、かなり実釣能力の高いリールに仕上がっていると自画自賛する。
私にとって、初の”熊の手対策の棚”が付いていない”インスプール初心者用”じゃないインスプールスピニングだけど、トゥルーテンパー先生、714Z先生によくお稽古つけてもらった後なので、手でベールを起こそうとするようなこともなく快適に使えている。
ボールベアリングさえ入ってない単純なリールで、そこら辺でフッコ釣って遊ぶぐらいなら何ら問題なく釣りができるっていうか、むしろ単純ゆえの使いやすさも感じているところ。ギア比が低いのも気が短くて巻く速度が速くなりがちなワシにはおあつらえ向きかもしれん。手を掛けて修繕したこともあり使ってて楽しく嬉しいのでしばらくこいつを使ってご近所のフッコたちに挑みたい。間違ってスズキ様なんか釣れちゃったらなお嬉しい。
インスプールのリールとかいうと小難しそうなこと言う人が多いので敬遠するかもしれないけど、大したこっちゃないので興味がある人は、まずは”熊の手対策の棚”付きの機種で稽古をつけてもらって、そのあとは、人気のABU、ミッチェル、大森にいこうが、イタリアやら英国やらにいこうが、アメリカに行こうが旧共産圏に行こうが、温故知新で古い日本製にいこうが、それぞれの道にそれぞれのふかいふか~い沼が待っていてズブズブと沈んで楽しめることうけあいなので、ぜひそういう方向にも楽しんでみてはいかがかな?と、ともに病と闘う仲間を集めるために感染の拡大を狙うナマジであった。
そろそろ手持ちのネタもつきそうで、来週もいっちょPENNネタ連投でしばらくスピニングネタはお休みの予定。リール予備機を売りさばいたりして何とか90台に収めたし、そろそろスピニング熱は快方に向かってくれていると信じておきたい。
おはようございます(^^)
返信削除沖縄からPENN使いのびっちゅうと申します(^^;)
ナマジさんのHP以前からよく拝見させてもらってます。
PENNのインスプール、いいですよね~♪ 大きいのから小さいのまで、色々使ってますよ。
これからもちょくちょくお邪魔しますのでよろしくお願いしますm(_ _)m
びっちゅうさん おはようございます
削除初めましてって感じは実はしてなくて「GARO GARO釣行記」よく参考にさせてもらってます。
お察しかと思いますが本文中の「世のPENN使いな諸先輩方の記事」の一つがびっちゅうさんのブログでした。
過去記事参考にベール反転の衝撃をやさしくするための穴開け直しとかも実践しております。
粗忽者ではございますが今後ともよろしお願いします。