2022年7月30日土曜日

屋根の上のFRP塗り

 我が家は家賃滅茶苦茶安い、ただ古い家なので壁がハゲちょろげてたり、雨漏りしたりというのは多く、引っ越ししてきた当初は急ぎのモノは大工さんに入ってもらって直したけど、壁とか時間もあるだろうし自分でリフォームしようと思ってた。けど、これが案外貧乏暇なし、ってわけでもないんだけど、魚釣るのに忙しくて、ついでにリールいじるのにも忙しくて、リフォームしている暇がない。ベニヤ板でも買ってきて壁張り直しするつもりで気合い入れて水平器だの墨引きだの購入したけど、いまだ出番なし。

 とはいえ、雨漏りは放置しておくわけにもいかず、またこれが急ぎ直してもらった大穴の他にも、だんだんボロくなって雨漏り始まる箇所とかもあって、その都度天井板ぶち抜いて、水漏れ箇所を確認して修理してきた。これまで2箇所が、なぜか屋根の真ん中を貫く設計になっている雨樋の接続部の防水樹脂が劣化して水漏れしていて、さらに一番高いところの釘穴の防水樹脂の劣化もあり、もう一箇所は外板のトタンが錆びて大穴空いていた。とかいう状況については各種コーキング材等を駆使して何とか修理して事なきを得た。

 ただ、昨年秋の低気圧で時化た時に釣り具部屋にボタボタと水漏れしたのは、冒頭写真の様に梁のあたりが広く濡れていて水漏れ箇所が特定できないのと、その後雨が降っても水漏れしてこないので、穴を塞ぐべき場所が特定できずに苦戦していた。どうも時化て風が強く吹いたときに雨漏りするようで、ボタボタ室内に落ちてくるまではならなくても、梁が塗れ始めることはあり、そのあたりから目星を付けて、屋根に上って状況確認すると、どうも薄い”スレート風”瓦が、経年で劣化しつつ反り返って隙間ができて、強く風で雨が拭き上げられるとその隙間から雨が遡って浸水している気配がある。スレート瓦は本来薄い石版か焼き物だと思うんだけど、ウチの屋根のはそんな高級品ではなくスレート風の樹脂系の薄い板を瓦のように重ねて、水が下から上には流れないことから、雨水を上から下の樋まで流しつつ屋根裏への通気性をある程度保った構造になっているもののようだ。その樹脂が長年雨風日光にさらされて劣化しつつ、反って写真の様に隙間ができている。特に継ぎ目の箇所はその下のスレート風瓦との重なりが終わるところまで雨水が上がると、屋根裏に雨水が落ちる構造になっているはず。ということで、雨漏りが確認された付近の縦の継ぎ目に余ってた固まりかけのペンキでベタベタとコーキング材の替わりに防水してやって、雨漏りの状況がどう変わるか様子を見たところ、広い範囲に浸みていた状況がかなり改善されて、ほぼ1箇所から浸みているという感じになった。他の場所は漏れなくなったのになぜそこが漏れているのはは分からないけど、そのあたりを何とかすれば、どうにかなる気配がしてきた。

 とりあえず、そのあたりをガバッと防水シートかなんかで覆ってしまえば良いかもと、試験的に、猫餌の袋をシリコン接着剤で該当箇所に貼り付けて、錘で飛ばないようにして、ちょっと時化た日に確認してみると、雨漏りしている気配がない。 

 これは、このあたりを面的に防水してしまえばどうにかなりそうである。大工さんが大穴塞ぐのにグラスファイバーのシートを樹脂で固めて、いわゆる”FRP(繊維強化プラスチック)”で雨漏り箇所を覆うという方法をやっていたので、そういう手法が素人でも可能かと検索して調べてみたら、綺麗に形を整えてバイクの部品を作るとかならそれなりに技術がいるけど、平面的な場所を覆って防水する程度であれば、特に難しい技術も必要ではなく、素材もグラスファイバーシート2×1mとポリエチレン系の樹脂液2kgと固化剤の3点セットで2千円強で、作業用のバケツと刷毛を百均ショップで買ってくれば、3千円かからないぐらいでどうにかなりそう。

 ということで、天気の良い日は昼間は暑い時期なので、夕方涼しい風が吹き始めたあたりで、ベランダの物干し用の柱を伝って屋根に上り、硝子繊維のシートを広げてみると、だいたいペンキで溝埋めしたあたりは覆うことができる。長さはちょっと余るので切った。

 まずは、樹脂液主剤全量に気温高いと固化速度が速すぎるおそれがあるので、固化剤8割ぶち込んで刷毛で100回ぐらい混ぜる。途中で薄いピンクだったのが茶色く変色してきてちゃんと混ざって反応始まったのが分かる。

 混ぜたらモタモタせずに、まずは屋根の上のシートを乗せる予定地にペトペトと樹脂を塗っていく。塗りおえたら、その上にシートを乗せて、シートの上から残りの樹脂を塗っていくんだけど、ここで不具合発覚。下塗りのさいスレート風瓦が凸凹してたので思ったより使った樹脂が多く、あからさまにシートの上から塗る樹脂が足りていない。何とか伸ばし伸ばして塗ったけど、屋根との間に空洞ができて全体的に白くなっている。空洞があっても硝子繊維のシートが樹脂で固められて下に水が漏れなければ問題ないけど、どうもそこまでは樹脂が足りていない。

 樹脂1kgと固化剤だけ追加発注で千円強。で雨降りそうな予報だったので2日後届いたらすぐまた屋根に上る。

 昼前の暑い時間帯だったので屋根が熱せられてて熱いッ!高いところに上るのに足裏の感覚重要なので、足袋がいいんだけど持ってない。なので、足指が分かれている軍足で上がってるんだけど、なんかの拷問みたいなことになってる。”焼き樹脂塗り”とかか?

 今回はドバドバと上から追加塗りだけなので、モタモタしてるとこちらが焼き上がりかねないということも加味して、固化剤全ブチこみで速攻で行く。

 塗り終わると、上の追加前のように白く抜けたスカスカなところがほぼ無くなり、白く残っている部分は逆に追加の樹脂が浸透しないぐらいに防水性が確保されているっていう理解で、まあこのぐらいにしといたるか。とアチアチ言いながら屋根から降りる。これで、現時点までに生じていた雨漏り箇所は全部処置済みになったと思う。また台風でも来たら、今大丈夫なところが剥げたりめくれたり穴開いたりとかはあるかもだけど、またその時はその時で直そう。今回の修繕の結果もまだ実際に大時化来てないので、秋の台風でその真価が問われるのかも?大丈夫な気はしている。

 このぐらいの比較的簡単な作業でも、本職に頼むと最低でも日当1万円からスタートでモロモロ積み上がると数万円コースなので、自分でできると安上がりで良い。作業が上手くいって不具合が治ると気分も良い。

 硝子繊維使ったFRPによる修理、今回初挑戦だったけど、値段も手頃だし作業も難しいところは特になく、知ってると色々つかえる技術かも。思わず「屋根全面FRPで覆って防水したろかな」と考えたけど、どうも調べると、瓦っていうのは水は下に落とすけど、空気は出入りさせるっていうのが木造建築では重要な要素で、完全に密閉すると屋根裏に湿気がこもって、カビたり木材が傷んだりするので良くないらしい。まあ、スレート風瓦の素材自体劣化し始めてるので、騙し騙し使っていってどうにもならなくなったら、業者さん入れて屋根の葺き替えだなとは覚悟している。

 屋根新しくしたら津波が来て元の木阿弥、ってのはありがちなのでできればあまり金かけず騙し騙しでしのぎきりたいな、と思っている。

2022年7月23日土曜日

幸福の空色自転車

  10年もたんかったか、2013年に購入したので9年がとこ乗ったことになるのかな。川崎でも紀伊半島でも、リュック背負って前カゴに布バケツだの突っ込んで釣り場へと走りまくった。長い期間にわたって共に走ってくれてありがとう。お疲れ様。

 買った当初は車で運んで、釣り場で小回りのきく移動手段として運用するという目的もあったので、小型の折り畳み式のを買った。小型でも走行性能やら運搬能力やらには何ら問題は感じず快調だったんだけど、さすがにタイヤの直径が小さいのは当然同じ距離走ったとしてもタイヤの摩耗やらは多くなる理屈で、9年でチューブは2回、タイヤそのものも1回交換している。タイヤそのものがそんなに早くダメになるという認識がなかったので、タイヤ交換したときには気がついたらチューブが見えかかってるぐらいに摩耗していて焦ったのを憶えている。

 ブレーキワイヤーも1回交換してもらってて、ブレーキシューはこれまた気がついたらゴムのパッドがすり切れてて金具でタイヤのフレームを削ってる状態で、我ながらもうちょっと気をつけて乗れよと反省しつつ交換。先日変速機のワイヤーが切れて、これも2回目だと思うけど、今回は自分で交換しようかと思ったけど、方法ネットで検索したらシマノの低グレードのタイプで、わりと調整が難しいとのことなので、他にもペダルのがたつきがスパナで締めても治らないとか、なぜか後輪のスポークが2本折れてブラブラしてて後輪がよく見りゃ真っ直ぐ回ってない、とか様々不具合生じてたので自転車屋さんに持って行ったところ。「よくこんなになってるの乗ってたね」とあきれられ、買い換えた方が早いよと、商売っ気関係なしに本心から勧めてくれているようなので、安いのないかと聞いたところ、なんか素人がペンキ塗った感じのありありとする空色のママチャリが、なんとお値段控えめ1500円でいいよ、とのことだったので自転車無いと釣りはもちろん日常生活でも即困ってしまうので即決現金とっぱらいで購入させていただきました。海添いの街で坂が多いのでギア付きのがありがたいけど、まあ必要ならもう1台買ってもいいかなと思いつつ、そんなに困らないかなとも思っている。

 川崎では、車だと駐車スペースが確保できなくて邪魔くさいうえに渋滞つかまるとイライラするので、病中病後の体力増強のためもあって、結構な距離を自転車で走って釣り場に通っていた。春先のテナガは河口近くのテトラ帯を狙うんだけど、片道40分がとこかかってて、今考えると膝とかよくもったなと感心する。比べると今は釣り場が近いので比較的遠くの釣り場まで走っても15分程度、急ぐ必要もなしでママチャリでチャリチャリと行くので間に合いそうに思う。川崎では管理釣り場にヘラ道具を背負子で背負って行ったりとかもしていた。写真探してて懐かしくて見入ってしまう。

 まあでも、9年乗った先代チャリといえば、紀伊半島に来てからの前カゴに獲物を直接ぶち込んでの自宅凱旋がなんといっても記憶に残っている。

 自転車の機動力とこのクラスの魚を収めるクーラーボックスはまったく相容れない要素で、釣り場から家まで遠くて15分なので、持ち帰る(あるいは持ち帰らざるをえない)魚が釣れたら、その日の釣り終了でとっとと帰宅するという方針で今後も行きたい。それにしても90超えのメジロ(ブリの手前)は運びにくかったけどな。錆は海沿いの街は潮風にやられて厳しいとは聞いてたので定期的にCRC666吹きまくって拭いてたのでそれ程でもなかったけど、さすがに海水したたる獲れたて鮮魚を直積みしてた前カゴは錆もひどかった。そら鮮魚運搬を想定したカゴじゃないだろうからしゃああんめい。

 リヤカーと連結してカヤック運搬できる体制も整えたけど、カヤック漕ぐ体力が既に無く、残念ながら1回漕いだだけで終わっている。なんとか体鍛え直してママチャリでリヤカー曳いて漕ぎ出したいけど、まあ陸っぱりでも楽しめてるので無理せんでもいいかという気もしている。

 自転車の機動性は、足で釣るワシの釣りにおいて極めて重要な要素なので、新しい空色自転車にもその実力を遺憾なく発揮してもらうことにしよう。

2022年7月16日土曜日

ネコはどこから来てどこに行くのか、PCチェアディテクティブ猫パンチ編

 

 ウチの猫「コバン」は母ネコ「ウニャ子」が住み家にしていた裏の家の崩れた離れから、我が家に来て(というか拉致って)、コレからどこに行くのかワシと共に行くんだろうけどまだよく分からない。その後はペットたちは虹の橋を渡ってどっか安らかな安息の地にて眠るとか聞く。

 という、ごく個別具体的なネコのどこから来てどこへ行くのかではなく、”イエネコ”という種が人との共生の歴史を経て、どこから来てどこに到着しているのか、といういイエネコの歴史は?というあたり、特にどこから来てってところで腑に落ちたりしたことが、猫と暮らしてみてあったので、日々の暮らしと共に紹介してみたい。

 最近のコバンさんのご様子は、暑い昼間は寝る。夕マズメ朝マズメが活性高い。という感じで、さすがに朝マズメ4時とかの高活性にお付き合いするのはしんどいので、カリカリと共に一階に放流して広い部屋の中を走り回ったりして遊んでおられる様子を耳にしつつ下僕は2度寝。


 昼は一緒にワシもお昼寝なんだけど、一緒の布団で寝たいと思うものの、夏の昼のお気に入りの寝床はパソコン箱のうえのダンボールの”巣”で、よほど機嫌が良くないと布団では寝てくれない。むしろパソコンいじってるときに横でコテッと寝てこちらを見つめて”撫でろ”と催促してくるのでネッチョリと撫で回して差し上げる。

 夕方は、釣りから帰って来てシャワーで汗を流して一階に迎えに行くと、せっかく付けた臭いが消えているので、一所懸命自分の臭いを付けようとしているのか、頭をスリスリと足にこすりつけてくるのでとても愛らしい。顔中心にワシャワシャ撫で回してから2階の居室にて餌を与えて、活性が高くなったところで、ペットボトルの蓋やら丸めた紙の棒やらで遊んでいただく。最近、窓にヤモリ2匹が張り付くようになって、ヤモリを襲うのはお気に入りの日課で、まあガラス窓の向こう側なので、ヤモリもなれてきてすぐには逃げなくなってきてたりするけど、ひとしきり飽きるまで暴れてくれるので延々ペットボトルの蓋投げなくて良くて助かる。

 ネコって、小動物とかを狩ると、さんざんなぶり回して遊んで動かなくなってから食べるという行動をよくしている。猫ッ飼いの皆様にはお馴染みの行動かと思う。

 これ、多分定説では、餌を自分で獲る必要ない飼い猫では狩猟本能を満たすための遊びのようになっている、とか、仔猫が狩りの練習をしている行動の延長戦とか言われていると思うんだけど、我が家のコバンさんの場合、狩猟本能を満たすだけでなく、そのあとお食べあそばすので、見てて「食べるんだったらサッサと食えばイイのに」と食べ物で遊ぶことを良くないことと躾られてきた昭和の人間としては思うし、仔猫が狩りの練習をしているっていうのにしては、コバンさん、ダイエットしても6キロ半からある大ネコで仔猫では既にないので違和感がある。

 食べさせようと掴まえてきた、蛾だのバッタだのを遊び倒してから食べるのはまあいいんだけど、我が家の対ゴキブリ戦線で活躍が期待されるアシダカグモ軍曹(候補)が気がつくとベシベシと猫パンチをくらってまさに”虫の息”になってるのは、ちょっと困りもので、コバンさんには申し訳ないけど取りあげて復活しないか様子見てみるんだけど、結局死んでしまってコバンにお返しする事になりがち。さすがにトゲトゲした脚は食いにくいのか残してるけど、本体は最終的にはペロッといただいている。

 なんでこんな一見”残酷”に見える食べ方するんだろうなと、思っていたんだけど、先日、ちょっと肝を冷やす場面に遭遇して、ある程度それっぽい仮説がパソコン椅子探偵の頭に閃いた。謎はひょっとしたら解けた!

 下の階のたたきのスペースは、コバンの運動場的な放流場所となっていると共に、雨の多いこの時期洗濯物干し場にもなってるんだけど、洗濯物を取り込みに1階の放流場に入って行ったら、最初足下にじゃれついてたコバンが洗濯仕事し始めたら、「下僕め相手してくれないんだな」と悟ったのか、部屋の奥の方に行ったと思ったら、なんか激しく猫パンチを繰り出している。また軍曹候補が餌食になろうとしているのかなと、ふと見て背筋が凍った。ムカデに攻撃しかけている。しかもトビズムカデとかいう頭の赤い大型種で10センチ弱はある。噛まれたらムカデ毒耐性自信のあるワシでもちょっとダメージくらいそうな大きさ。コバンなんてイエネコとしては大きいとはいえ6.5キロとかで毒量によっては致命傷くらいかねない。慌てて引き離したんだけど、コバンの指先やら鼻先やら確認しても噛まれて腫れているような様子は認められず、これから腫れて来るという可能性はあるけど(大丈夫だった)、とりあえず痛がってもいないのでそれもあまりなさげで胸をなでおろす。コバンとしてはせっかくいたぶってた獲物から引きはがされて「解せぬ!」と非常に不満そうな顔をしていたけど、こんな剣呑な生き物に猫様を近づけるわけにはいかないので、ネコトイレ掃除用のスコップでムカデ拾って外に放流した。刺されてたりしてたら報復措置で、ワシがキンタマ噛まれたときのようにブチッと頭潰してしまうところだけど、さすがに今回は迷い込んだらコバンに一方的に攻撃されてた状況なので気の毒でもあり、我が家に入ってきて噛まない限りにおいては、ゴキブリやらナメクジやら他の害虫を食べてくれるハズなので、逃がしておいた。

 しかし、逃がす時点でかなりダメージ食らってて足取りがおぼつかない。あの脚の数なのでなんとかスコップの上を這ってたけど一部機能してない脚もあって、全体的にヨタってた。これしつこく猫パンチで相手の噛みつき攻撃の反撃受けずに完封勝利を収めたら、バリバリ食ってしまえるんだろうな。という感じで、イエネコやるなと思ったときに、ハタと合点がいった。

 イエネコのルーツは”リビアヤマネコ”だといわれている。うちのコバンさんのだらけた姿からはそんな野生の格好いいご先祖さんの姿は想像しにくいけど、北アフリカから中近東に棲む猫科獣で、実際にはいろんな環境に適応して林に棲むこともあるようだけど、一般的には乾燥した砂漠や草原のような環境に適応したヤマネコとして知られている。餌はさすがイエネコのご先祖、ネズミなど齧歯類が筆頭に上がるけど、昆虫から鳥から魚から小動物をなんでも食べるこれまた適応力のある獣のようである。イエネコ同様の大きさで仕留めることが可能で食えるエモノはなんでも食う食性なんだと思う。実際にイエネコも人間由来の餌の他に、意外なぐらい昆虫もよく食べる。自販機の前にたむろしている仔猫が居るので何してるんだろうと思ってたら、飛んできた蛾をバシッと狩ってバリバリ食ってたのを見たことがある。という虫系もいける食性で、リビアネコ棲んでいるのがアフリカや中近東の乾燥した環境が多いとなると、とうぜん先週紹介した「ワイルド・アラビア」でも出てきてた、オブトサソリ(悪名高き”デスストーカー”)なんていう剣呑な毒虫も食うだろう。その時に、さんざん猫パンチでいたぶり倒して、動かなくなってから食うというのは実に理にかなっている。毒虫が一種類なら例えばサソリなら尻尾を先に潰してから食うとかもっと効率的な仕留めかたはあるんだろう。でも砂漠の毒虫には尻尾で刺すサソリも居れば、毒蜘蛛やヒヨケムシのような牙で噛む系もいる。そういう攻撃方法が違う毒虫にたいしても、とりあえず動かなくなるまで一方的に叩いておいて、攻撃する能力を奪ってから食ってしまうのであれば危険性が少なく応用が効く。日本のムカデにもおそらく効いて、あのまま放置してても大丈夫でムカデもバリバリ食えたのかもしれない。

 しかも、その攻撃方法は”仔猫の狩りの練習”の行動をそのまま持っていればいいわけで、特別な技術を大人になって身につけなければならないというわけではない。

 「イエネコが、獲物を動かなくなるまでいたぶってから食べるのは毒虫に反撃をくらわないため」「その攻撃方法は、仔猫の狩りの練習行動に由来する」というのが、今回のパソコン椅子探偵の推理。

 どうでっしゃろ?なんとなくホントっぽくないでしょうか?どなたか科学的に裏付けとって論文でも書いてくれないかしら。”いたぶる”攻撃方法が毒虫に有効なのは、イエネコに毒虫与えてみて、毒虫が動かなくなってネコがさあ食おう、としたときに、かわいそうだけど取りあげて(刺されてもかわいそうだしね)、その状態の毒虫が果たして刺したり噛んだりする攻撃能力を残しているか調べればある程度分かるか?多くの猫科獣で比較して、餌として毒虫を食べている種に”いたぶる”攻撃方法が顕著ならこれも裏付けにはなるか?なんとなくそんな気はするよね。ライオンとか虎とかの大型猫科の成獣が獲物を猫パンチでいたぶってる映像とかあんまみないよね?基本前脚の爪でひきずり倒したら首根っこに噛みついて全力で仕留めにかかってる気がする。


 という感じで、ルーツをたどればなんとアフリカ北部や中近東由来という、今でも色濃くその野生の生態を残しているイエネコ。一緒に暮らしていると動物モノのドキュメンタリーを観るのにも似た驚きと発見にあふれていて、そのうえで可愛いという素晴らしい生き物である。コバンかわいいよ。

2022年7月9日土曜日

この情報化時代にそれでもアラビアの花の名前を僕たちはまだ知らない。

 我が家には地上波テレビジョンを視聴するためのアンテナがないのは以前にも書いたが今でもそれは変わっていない。というか最近ますます地上波民放局の存在意義がなくなって斜陽化して”終わってる”と感じる。馬鹿相手にテキトーな視聴者舐めきったような程度の低い番組垂れ流し、声のデカい馬鹿のいちゃもんと闘う気概もなく牙を抜かれ、自分にとって見る価値ある番組っていえば深夜のアニメと格闘技の生中継ぐらいだと思ってた。アニメはネット配信のいわゆる”サブスク”でどうとでもなるけど、ボクシングのタイトルマッチとかは生で観られないと面白さが半減するのでそれだけちょっと残念に思ってた。

 ところがどうだ、自分の人生で目にすることができるとは思えなかった日本人のミドル級という重い階級の王者である村田諒太選手が同階級の伝説的王者であるゲンナジー・ゴロフキンと統一戦を、もいっちょ、ワシ想像もできてなかった日本人初のパウンドフォーパウンド(権威あるボクシング雑誌選出による全階級通して一番優れた選手)にその一戦に勝った結果なった井上尚也選手がノニト・ドネアと闘ったこれまた統一戦という、歴史的な2戦、どちらもサブスクというよりは巨大通販サイト”アマゾン”のオマケ的な「アマゾンプライムビデオ」で独占ライブ配信で、テレビ局放映権料高くてもう買えねえんでやンの。とどめは那須川天心VS武尊という我が国格闘技ファンの夢の対決「THE MATCH2022」という東京ドーム超満員5万5千人超のチケットが分で売り切れたという巨大興行をフジテレビ結局放映できずイモひきやがって「アベマTV」独占生中継という有様。ワシも安くはないペイパービューの視聴権買ってパソコンに齧り付いて観てたけど、メインカード以外も夢の対決メジロ押しで、まったくもって金払った甲斐があった。パトロンの一人として大満足じゃ。もうテレビなんかに面白い番組流す余力も残ってないし、見てるの暇つぶしにタダだからとダラダラ流してる層とかパソコン持ってないジーサンバーサンだけだろうと思うと、なぜだかしらんけど胸がすく。視聴者舐めきった姿勢が招いたこの有様だザマミロ。まだ同じ”終わった”マスメディアでも新聞の方が役に立つ。何しろ新聞購読すると新聞紙が手に入ってお掃除にネットでモノ売るときの緩衝材に焚き付けにと様々に使えるときたもんだ。

 という感じで、テレビ放送なんてもう役目は終わってて無くて良いなと改めて思ってるんだけど、一方で金払って視聴するネット配信の番組のデキの良さには充分満足している。現在契約して視聴しているサブスクは「アベマTV」「NHKオンデマンド」「ネットフリックス」「アマゾンプライム」で、「アベマTV」はアニメと格闘技が充実していて一番よく利用してるんだけど、他の3つはドキュメンタリーがなかなかに面白くて余は満足じゃと感じている。「NHKオンデマンド」では人間に関する医学ネタやら文化ネタやらを最先端の研究の紹介とか交えつつスタジオで専門家にも来てもらってアレコレ雑談するという「ヒューマニエンス」シリーズや博物館、美術館などの裏側を紹介する「ザ・バックヤード」シリーズなんてのが定番の「NHKスペシャル」「ダーウィンが来た!」と共に面白い。ネットフリックスでは海賊がアリューシャン列島の島に隠した金貨を発掘する「アダック」、ハンターが米国のあちこちで色んな獲物を狩って料理して楽しむ「ミートイーター猟理の達人」なんてのが最近観たのでは面白かった。「アマゾンプライム」ではオリジナルモノは少ないけどBBC系のドキュメンタリーは充実していて、中でも「ワイルド・アラビア~神秘の王国~」という3回シリーズのが、ちょっと出色の面白さだったので紹介してみたい。ということで今回サイトの方でやってる「アニメ・映画など日記」の出張版でいってみます。思いっきりネタバレ含みますので、視聴予定の方は以下読むなら自己責任でお願いします。

 ”アラビア”っていうと地域としてはほぼアラビア半島と同義らしく、国としてはど真ん中大半を占めるサウジアラビア、南東のカタール、アラブ首長国連邦とオマーン、南西イエメンで構成されてて、砂漠の産油国というのが一般的なイメージだろうか。現代では”イスラム社会”であるというのも重要な要素か?

 ただ、この半島の生き物や人々の文化というモノについて、我々ははたしてどれだけ知っているだろうか?人々の文化としてはドバイのオイルマネーによる高層建築群とか先住民族である砂漠の民ベドウィンが駱駝と暮らしてるのとかぐらい知ってればマシな方だろうし、生物にいたっては、生き物詳しいと自負しているワシでさえラクダと”デスストーカー”ことオブトサソリぐらいしかすぐには思いつかない。

 それもそのはずで、我々日本人は曲がりなりにも”西側”陣営に属していて、その西側の欧州諸国と中東のイスラム圏の国々は、少なくとも十字軍というイスラムの人々からしたら何度もしつこくやってくる侵略者、略奪者の時代から、石油産出が始まってからは”上客”の部類ではあったとしても、対立的な関係にあったハズで、なかなかその実態というのは知り得なかったというのがあったようだ。

 今回、取材にあたったBBCも「初めてアラビアの空からの撮影の許可を得て、(西側の)誰もまだ見たことがなかったアラビアを紹介する」という感じで気合いが入っていて、確かに砂漠の景色のドローン撮影の雄大さだけでもかなりの眼福でグイグイと魅せてくれる。

 自然の映像美はBBCの売りだと思うけど、今回も砂をしっかりグリップするかんじきの役目を果たす砂漠のトビネズミの足の毛とか、砂嵐から目を守るラクダの長くてちょっと色気のあるまつげとか、細かい所まで鮮明に美しく映し出されていて、そういう映像美だけでウットリと眺めていられる。

 まあ砂漠の生き物代表と言えばラクダなわけで、コブに脂肪を蓄え大量の水も飲み溜め可能で餌食わずに長期の旅が可能なラクダについては、さすがにワシでもある程度知っている。砂漠の民のベドウィン族が共に生き、祭りで馬場馬術のような高度な調教ぶりを競う様とかにも感動するが、まあある程度予備知識はある。でも、ドバイのような都会じゃ、駱駝レースが多額の賞金の掛かる大イベントで、走る際の軽量化のために騎手は乗らず、音声やむち打ちでレーズ中伴走する車の中から指示を出せる機械が騎乗しているというハイテク化に彼の地の博打打ち達の熱の入れようが偲ばれるというものであり、予想外の方向に突き進んでて面白かった。なんでもこの50年競走馬の速度はほぼ横ばいなのに対して、ラクダの早さは30%も上昇したとか。伝統的にアラブのお金持ちは鷹狩りが好きとは聞いていたけど、鷹狩り(ハヤブサだったけど)のトレーニング用の獲物としてもドローンに疑似餌を引っ張らせてたりして、石油マネーで潤っている石油王達の生き物との付き合い方がずいぶん”リモート化”されてて面白い。逆に砂漠の民がオアシスの自分の畑に水を引く時間を、日時計で影が当たる位置で時間を決めていたりと昔ながらの伝統が息づいていてその辺の対比も面白かった。

 でも、そんな砂漠の人々と共に生きるラクダが、砂漠最強の生き物じゃあないという。じゃあそれは何かというと「オリックス」が最強だという。彼らはその美しい姿とユニコーン伝説の元ネタの一つにもなっているという長い角から乱獲され、絶滅寸前まで行ったけど、保護が効をそうして個体数は復活してきているとのこと、砂漠の強い日差しから体温上昇を防ぐ純白の毛皮を身にまとい、顔にはメジャーリーグの野球選手がデーゲームの時に目の下を黒く塗っている様を連想させる黒い隈取りがあって、長い2本の角の迫力もあって実に美しい獣である。これが、餌や水の少ない砂漠で、雨の臭いなんかを敏感に感じながら餌を求めて、超長距離を移動していくことによって砂漠で生き延びているという”砂漠最強”の動物なんだそうである。ラクダは確かに砂漠を渡れるがそれは人との共生により人が道を示す必要があるけど、オリックスは自らの能力で砂漠を行き来して生きていけるんだとか。正直、野球のチーム持ってるカード会社?のトレードマークでしか知らなかったので、その美しさも砂漠への適応具合もまったく初めて知ったしだいである。

 他にも砂漠に住む独特の生物の紹介がありどれも面白かったけど、インド洋の一部であるアラビア海からの湿った空気で、比較的湿潤な気候を持ち、ヒョウまで居る多種多様な生き物の宝庫となっている山岳地帯「ドファール」の生き物たちも興味深かった。特に断崖に棲む猛禽コシジロイヌワシが、イワダヌキことケープハイラックスを狩る技が、見たことも聞いたこともないような方法でお見それした。雄雌のつがいで狩りを仕掛けるんだけど、雄が太陽に向かって高度を上げ、視認しにくい太陽の方角から急降下で仕掛ける。これ自体は他の猛禽とかでも見られるはずで、むしろ戦闘機の戦闘機動として太陽背負って急降下ってのは定番かと、アニメで有名なのは「風の谷のナウシカ」のペジテの王子アステルのトルメキア軍への奇襲突撃シーンとか。でも、ケープハイラックスも負けていない。遠くはゾウの親戚というアフリカ獣上目の牙の生えた狸大のネズミっぽいパッとしない見た目に反してやりおる。その目の網膜には青い色素があってサングラスの役目を果たし、太陽背負って急降下してくる猛禽の姿も捉えることができる。それ故に雄の急降下に気をとられているケープハイラックスを雌の方が不意をついて狩ってしまうのである。これには撮影陣もすっかり騙されたようで、雌が狩った瞬間が撮影できていない。気がついたら雌がハイラックス掴んでドヤ顔で悠々と飛んでいるのである。猛禽ではオーストラリアで野火を延焼させて逃げ出てきた動物を狩る種が何種か報告されていてビックリだけど、アラビアにもまた驚くに値するやつがいるのである。これがまた見た目も実に美しくカッコイイ。カラスと違い光沢をもたないマットな黒の羽を基調に腰のあたりに白い模様が入る。こんなまだ見ぬ猛禽もいたんだと素直に感動した。自分が無知だと認識させられるのは悔しくもあるけど、まだこういう知ることの楽しみが待っているのなら無知もまた楽しからん。

 その他にも、寒流がぶち当たるので魚が豊富で季節的な長距離移動をしないザトウクジラとか、海上の石油採掘リグに蝟集する様々な魚たちとか海も魅力的で、その海から立ち上る霧にけぶる崖の道を、アラビアヒョウが歩いて行く姿がこれまた絵になる格好良さでシビれる映像美でありました。

 なんというか想像もしてなかった世界がそこにはあって、世界はまだ知らないことに満ちてるんだなと、深い感動を覚えたところ。昨年のNHKのシロナガスクジラVSシャチのド迫力もスゴかったけど、さすがBBC負けてない感じで、迫力はシロナガスに軍配上げるとしても、未知の驚きや映像美の質の高さといった総合点で勝るとも劣らぬものを見せてくれた。

 今後ともたいした額でもないけど、パトロンの一人としてサブスク契約続行して新しい作品を楽しみに待ちたい。

 金払う、その価値のある作品を見ることができる、素晴らしいことだ。

2022年7月2日土曜日

糸巻きよ原始に戻れ

 ワレこの円安やのに何セカイ○ンでお買いモンしとんじゃ!?

 という、皆様のツッコミが聞こえてくるかのようですが、待ってください、今回は違うんです。仕方なかったんです。そのへん定例ではございますがご説明させていただきます。

 まずこれ、買ったのこんな円安が進む前、年明け2月かそこらにポチッとしたのであって、ロシアのウクライナ侵攻が2月の下旬だったと思うので、買っといて良かったと胸をなで下ろしてるぐらいで円安でエラい割高とかにはなっちょりません。

 そして、今回はリールを買ったのではなく、リール周りの部品購入です。そりゃリールも部品の在庫とかなければ運用ままならんですから必要経費でっせ。ちゅうことで皆様におかれましてはなにとぞ広い寛容の心を持ってして、大目に見ていただけると助かります。

 あと、ついでにア○ゾンで買ったマキシマの青グリスも写ってますが、1樽使い切ったので2樽め突入です。これは”グリスシーリング”するには必需品なので経費経費。


 でもって、魚については近所で釣ってきて自分で料理して食べるという”地産地消”を実践するナマジが、はるか大平洋を越えて米国から何を購入したのかというと、この春から集中して実戦投入している”丸ミッチェル”関連の部品ございます。

 なんとか運用も軌道に乗り、激渋2022春シーバス戦線の中なんとか小マシなヒラフッコゲットした「314」のハンドル周りと、”丸ミッチェルジャンク込み5台購入”の際に、欠品部分を寄せ集めたようになってしまい、ハンドル、スプール、ベール周りがないダルマ状態の「304」のためにハンドル、スプール、ベール周りを結局買ってしまいました。本体フレームが歪んでるとか致命的な損傷があれば、”部品取り”と割り切ってそのままの状態で放置しておけるのだけど、まだ使えそうな本体、ギア、主軸があれば、部品買って1台組み上げたくなるというもの。これは仕方ないですよね?みなさんも同じような経験ありますよね!?ってポチポチやってたら結局、れいによって関税掛かってこない1万5千円前後まで老後マネーを突っ込んでしまいました。ワシの未来はどうなるんだろう。心配じゃのう。

 だがしかし、明日ミサイル降ってくるかもしれんのに、先のこと考えてどうする!!マニアは欲しいと思ったモノは欲しいと思ったそのときに買っておけ買っておけっ!!また今度なんて思っても次も売ってるとは限らんのじゃ!と思っちょります。


 でもって、具体的に買ったモノを紹介しつつ運用状況などご紹介していきますと、まずは314関係。

 ミッチェルのハンドルノブは樹脂製でひねり入りのが一般的だけど、これ摘まみやすさに定評あるけど、耐久性はイマイチで削れてきてスカスカになるらしく、穴を拡張してルーロンとかの樹脂製スリーブかまして強化してやる方法もあるみたいだけど、とりあえず替えのノブがあればだいぶ持つかなということで買いました。なぜハンドルごと買ってるかっていうと、今付いているハンドルのノブを止める棒が固着していて外せません。このノブがすでにスカスカし始めてるんだけど、使用に耐えなくなったらハンドルごと交換。ということでハンドルごと購入。ついでに替えノブも確保。これで長期運用大丈夫。一安心。

 と思ったんだけど、現物確認してて問題発覚。

 ハンドル交換してみてクリクリ巻いてみるとなんか、ノブがスカスカでガタつく。ハンドルノブを留めている棒を抜いたら「この野郎、写真に写らんからっていい加減なもん売りくさって!」という感じで、純正の部品じゃなくて、単に太さが合うネジを突っ込んで固定しているだけで太さが全然細くて合ってない。世界中どこにでもこの手のクソしょうもない輩はいるものである。見えてないところの不具合なんぞ文句言っても「写真で判断してくれって書いてあるでしょ」って話だろうし、セカイ○ンは基本返品手続きはやるけど、交換のための交渉とかは請け負わないという方針のようなので、いまさら返品も現実的ではなく、仕方ないので何とかする。

 太さ的に、蔵にある真鍮パイプを突っ込んで何とかする方針で、ある程度削ったり逆にセキ糸巻いて隙間埋めて接着剤で固定とかも考えてたけど、これがなんとネジはギリギリ入るぐらいで、ノブはちょうど良い隙間ができるぐらいの奇跡的な太さの真鍮パイプで、長さ確認して金属鋸で切って、高さをテフロンワッシャーで微調整するだけで何とかなってしまった。普段の行いが良いからだな(普段の行いが良けりゃクズ部品掴まされたりしねぇっちゅーの)。

 という感じで、長期運用を見据えた部品体制が整いつつある314だけど、とりあえず次に使いたい304が控えているので、ネットオークションで売る時用の良い写真も撮れたし、水没したのでその処理も兼ねて、全バラしフルメンテグリスシーリングのうえでしばらく蔵で眠ってもらうこととした。水没後にパカッと本体蓋開けたら、グリスグッチャリの上に水溜まりのように水が乗っていて、グリスシーリングを突破して部品にまでは到達してなさそうな見た目で、使用中ならティッシュで水分拭き取って”ソッ閉じ”して年末大掃除の時にでも全バラフルメンテでも良さそうな感じ。ただ内部の錆がひどい個体なので、グリスが茶色に濁っており錆とかの金属粉が混じったままで回すのはいただけないので、ちょうど良いタイミングぐらいでグリス入れ替えできたのかもしれない。ちなみに自作の”オシュレーションスライダーⅡ”はまだ割れてなくて大丈夫そう、耐久性見たいので保管にまわる314には予備の新品を入れて、使ってたのを304に移植する方向で。

 でもって、2月にポチって4月までには我が家に到着してたはずの部品をなぜ今になって確認したり組み込んだりしてるかっていうと、単純明快魚釣れなかったので今頃になったという話。314で早々に良い魚釣って314系売りに出して、次は304で良い魚釣って304系売りに出すという獲らぬ狸の皮算用をしていたんだけど、シーバス絶不調でアテが外れてしばらく蔵に袋に入って転がったまま放置。で、やっとダルマ状態の304を組んでやろうってことになった。

 部品を探すにあたって、ハンドルは問題なく304用の純正部品が手に入った。スプールは304用のを手に入れても良かったけど、314との2台運用になることを考えるとスプール共有してしまえると何かと便利で、かつドラグが填めゴロされている304用よりドラグパッド交換とか調整簡単な314用が好みでありワンタッチも便利なので、314用スプールを一個追加で、全部でスプール三個体制にした。当然ながら主軸をワンタッチ対応の314用のに交換せねばならずこれも確保。一番苦労したけど、結果今回一番の目玉となったのがベール周りの部品で、ベールスプリングは簡単に手に入りそうだけど、ベールアーム、ラインローラー、ベールアームを固定するネジが揃わない。困ったなとオークションを眺めていたら面白いモノを発見。なんとミッチェル純正の”マニュアルピックアップ用部品一式箱入り新品”が売りに出ている。もちろん流れる様にクリッククリックで確保した。

 最近丸ミッチェルを使ってるのは、PENNや大森のように”丈夫で使いやすいから”という実利面で使ってるというのとは微妙に違う。丸ミッチェルPENNのようには耐塩性優れていないし、大森のようにギアが滑らかというわけでもない、ラインローラー固定式はさすがに回転式よりはトラブル多めだし、ドラグもPENNや大森と比べてしまうとちょっと頼りない。でも、このリールはスピニングリールの歴史において重大な意味を持つミッチェルという会社の歴史を感じることができるリールである。そういう”スピニングはどこから来てどこに行くのか”的なことを考えつつ、ちょっとジャジャ馬だけど要領押さえて慣れてくれば、楽しく魚釣るには問題ないぐらいの性能は充分持ってて、そういう使うこと自体を楽しむ事ができるリールだと思っている。そういう中で314はこれまで使ってきたどのリールよりも、リールの歴史を遡った機構をもつ1台だと感じて好ましく思ってもいた。さっきも書いたけどラインローラー固定式、ボールベアリングなんて不使用、ギアはスピニングリールの始祖イリングワースⅠの時点でそうだった、回転を90度変えるならまずは基本だろう”かさ歯車”を使ったベベルギア方式。プラナマティックが付いてるのはちょっとモダンだけど、結構古典的な設計。っていう314から、”もう一声”って感じで304のベールを”フルベールアーム”取っ払った固定式のマニュアルピックアップ方式のいわゆる”ベールレス機”にしてしまうと、さらに歴史を遡った”原始的”なスピニングリールの方式になる。”ベルせか”によると、フルベールアームは1932年ハーディー社「アルテックス」の登場を待って世に出た機構だけど、ハーフベールを飛び越えてさらに古い形式のベールワイヤーなしでベールアームが固定式のマニュアルピックアップ用の部品を実装すると、306は一気に先祖返りして、始祖イリングワースの第3世代1913年登場の「イリングワースⅢ」とちょうど似たような仕様になる。マニュアルピックアップではあるけど、ドラグも付いているし、ベベルギアで、スプール上下機構はハンドル1回転1往復方式で搭載と、今のスピニングにも通じる機構が出そろってきた萌芽の時代のスピニングっていう感じになる。もちろんボールベアリング不使用、ボールベアリングなんぞは低速機にはいらんのです。さすがにこれ以前、つまりイリングワースⅢより古いスピニングとなるとイリングワースⅡにはスプール上下機構がなかったり、他社製品はローターじゃなくてスプールを回す方式だったりして、ちょっとばかし異質すぎて使いこなす自信がない。マニュアルピックアップは現代でも米国じゃPENNスピンフィッシャーⅥの6500番台にマニュアルピックアップ機が用意されているぐらいで、トラブルの原因にもなりえるベールワイヤーやらベール反転機構のないシンプルな設計はそれなりに利点もあって、我が家にも706Zなんてのがあるぐらいだし、扱いに習熟しておいて損はないだろう。そうすることで、きっと歴史を感じつつ楽しく釣りができるんじゃないかとも思う。最新鋭のスピニングリールなんでどうでも良いけど、自分が扱える最古の形式のスピニングリールとはどのようなモノか?なんてのにはおおいに興味がある。ということで、ダルマ状態の304を使えるようにしたいだけだったのが、純正のマニュアルピックアップ部品の登場で100年から前のスピニングリールの持っていた機能を追体験できそうで、ちょっと面白いことになってきた、と心ときめくのである。

 組み上げるの自体は、すでに本体は分解清掃済みだったこともありリールは単純設計だしで簡単。

 本体蓋外して主軸を抜いてローターも外して、グッチャリ青グリスでグリスシーリングしながら組んでいく。主軸はスプールを314のワンタッチ式のにするので、314用のモノに交換、オシュレーションスライダーは使ってた314から回収したモノを組む。ローター填めてマニュアルピックアップの部品は本来ベールアームが収まる位置の角を出っ張りで位置決めして固定する形なので、そのような位置にベールアーム固定ネジで固定。本来ベールワイヤーの反対側を固定するためのネジ穴には、蓋をする用途の小さいネジが付属しているのでそれをネジネジッと填めてやる。ドラグは上面のパッドは赤いファイバーワッシャーだったのでPENNの4500SS等用のカーボンドラグパッドに換装。台座との接点等ドラグの擦れる面にはドラググリス塗布で整備しておく。後は適宜全体的にはみ出したグリスをリール表面に塗りたくって組み上げ完了。

 組み上がったら早速ラインを巻いて実戦導入の準備。れいによって下巻きを手動でやや極端に前巻きにしてやって、その上に道糸いつものダイワ「ジャストロン」2号を巻いていく。巻いていくんだけどここで問題発生。なんとあと少しで巻き上がりというところで、ハンドルが巻けなくなり、逆回転してみたら巻けるようにはなったけどスプールが上下していない。自作オシュレーションスライダーⅡが割れてしまったようだ。巻いてるときに若干感じてたんだけど、やっぱりスプール上下が密巻きに近い”プラナマティック”の時は行きつ戻りつしながらゆっくり上下していて、上下動にかかる力は少なくて済んで軽い感覚があったんだけど、306の単純1回転1往復方式は忙しくスプールが上下してて上下動に力を使ってる感じがあった。自作オシュレーションスライダーにこだわって、使用する樹脂をわりと脆い印象のUV固化レジン樹脂から2液性性エポキシ樹脂に変えて”Ⅲ”を作成しても良かったけど、面倒臭くなって純正の樹脂製オシュレーションスライダーに戻しておいた。ライントラブルの原因となる巻き形状の問題は、下巻き手動前巻きによる調整のみとして、あとはライントラブル起こるようなら素直に糸巻き量を減らすのが効くと学習済みなのでその方向で対処しよう。

 でもって、実際に1回釣り場に持ち出して魚釣ってみたんだけど、ミッチェル式の逆転ストッパーを普段外しておく方式と、マニュアルピックアップ方式は実は相性が良いようだ。普通にストッパー掛けたまま使ってたスピンフィッシャー706Zは投げるときにラインをラインローラー部分から摘まんで外さねばならんかったりして面倒臭かったけど、逆転ストッパーをオフにしてあると、投げるときは上の写真の様にラインを人差し指で引っかけてから、ハンドルをチョイと逆転させてやるとラインローラーからラインが外れて投げる体制に入れる。逆に投げてから巻き取りに入るときには、ライン放出を右手人差し指で調節したその人差し指で、写真下のようにラインを引っかけてスプールの下面ぐらいまで引っ張り込んでやってからローターを正回転させればラインローラーの先の”ピックアップピン”がラインを引っかけて拾ってくれる。この時実釣の場面では、ラインを人差し指で拾い損ねることが結構あった。そういう時は竿先をちょっと立ててラインを出しつつ人差し指でラインを拾うというのが簡単な方法だった。多分このあたりがマニュアルピックアップの”投げて巻く”お作法かなと思うんだけど、もっと適切な方法を知っている方はぜひご教授お願いします。

 ちょっと、ライン拾い損ねてもたつく場面はあったモノの、初陣では初めて使ったにしてはそれ程イラつくような場面もなく、そこそこまともに釣りができて(実際魚は釣れた)、まあ100年前の釣り人達はこの段階の設計のスピニングリールでちゃんと魚釣ってたんだろうから、できなきゃおかしいわなという感じ。慣れればもう少しライン拾いそこねとかなくなって”普通”に釣りできるようになるかも。今年はもう梅雨明けしてシーバスは秋まで基本お休みで、秋には秋に使いたいリールも待ってるので、マニュアルピックアップ仕様304の本格的な出番は来春になるかもと思ってたけど、ここに来て”戻り梅雨”でお湿り期待できそうな状況で、”雨降ったらシーバス狙い”で引き続き習熟していって良い魚釣って、304系の在庫の価値を上げて売りさばきたい。まあそういう下世話な話なしでも、スピニングリールの歴史を遡る旅的な”遊び”は面白いんだけどね。

 結局、ボロい314を2千円がとこで入手したことに端を発して、ズブズブと丸ミッチェル沼にハマって、これまでに、いったいいくら使ったんだって話になるけど、まあ楽しめているので良しとしておこう。


<宣伝告知>ガルシアの黄色いシールが貼られている「314」とプラナマティック搭載の「CAP」は7月3日~10日ヤフオクに出品予定です。ちょい強気の価格設定とネッチョリとした”釣り書き”で、なんぼかでも老後マネーを回収できたらなと思っちょりますので、興味のある人は覗いてみてください。お願いしやす。安い値でしか売れやンというのならワシが墓場まで持っていく所存。