2023年11月18日土曜日

アメ人も凝ったリール作るじゃん!オーシャンシティー310!!

 なかなかの珍品ではないだろうか、オーシャンシティーっていうとその名からも分かるとおり、海用の両軸とかが得意なメーカーだけど、日本じゃむしろバス用のダイレクトリールのほうが馴染みがあるだろうか?スピニングはあんまり印象無くて「350」という奇っ怪なリールぐらいしか知らんかった。しかしながら、PENNの創始者はオーシャンシティーで働いてリール作りを学んで独立したと聞いて、まあPENNの源流ならそのうちいじってみんとあかんな、と思ってたんだけど、幸いなことに物々交換でブローニング&ルー(韓国日吉釣具製)「ゴールドスピン」の換わりにわが家にこのオーシャンシティー「310」がやってきた。ちなみに「トゥルーテンパー」のシールが貼ってあって、オーシャンシティーは両軸でもちょくちょく同ブランド名で売ってるのがあって、トゥルーテンパーブランドはお得意様で、その販売網とかで売ってたのかも。

 カラーリングからして、古き良き米国な感じが醸し出されていてなかなかに味わい深い。350ほど奇っ怪な見た目ではなく、ちゃんとしたスピニングリールに見える。ただ、いざ分解していくとどうにも独特な独自路線でなかなかに楽しめたので、スピ熱患者の皆様にもお楽しみいただけるかと思っちょります。

 まずはどう分解していけば良いのか?ちょっと迷う。ドラグノブがネジ留めされていてスプールがどう外すのが正解なのかまず分からん。そして、本体は横にネジが無く、縦にネジが入ってて、どうも側面の蓋をご開帳する方式ではなく、本体を脚側と写真の様にネジの見えてる側の上下にパカッと割るしかなさそうである。

 まあ、そのへんおいおい進めるとしてまずは簡単にはずれるというか、送付時外してあったハンドルから外していくか、と外してハンドルの軸をいじると、いきなりそこからして初めて見る方式で笑えてくる。

 ハンドルが外されて送られてきて、つけるには本体から飛び出てる軸の先にハンドル側の穴をあててからハンドル側の横に出てる円盤状のツマミを回して填めてやるんだけど”ねじ込み式じゃ何でアカンのだろう?”って思ってたけど、なるほどそうなってるのかと合点がいった。ネジ込み方式でハンドル左右を付け替えるとなると、ハンドルのネジの山の切り方を左右で逆にしないと、片方側が巻いてるときにネジが緩んでしまうことになるので、4桁PENNならハンドル側を雄ネジにして根元と先でネジ山逆にして対応してるし、大森は最初ネジを右用左用の2種類用意してて、その後はごぞんじの同一軸上に左右のネジを切る方式にしている。ところがこのリールは冒頭写真でハンドルの無い側突き出した軸にキャップがハマってるのが見えてるのからも分かるとおり、左右両用でかつハンドル側が雌ネジである。雌ネジでも深さによって穴の径とネジ山を逆転させればねじ込み式にできるかもだけど、このリールは本体側の雄ネジの方が左右同じ向きのネジ山で当然同じ径になってる。なのでねじ込んでハンドルを固定するのではなく、ハンドル回すための固定自体は本体から出てる軸に填めた俵型の部品に、ハンドルの俵型の窪みをガタつかないように填めてガタ無く巻けるような構造になっていて、ネジはそのハマった俵型の凸凹部分を抜けないように固定する役割をになっている。なるほど左右両用のハンドルの固定方式としてこんな手もあるのか、という感じ。軸はこれまた本体内でギアに凸凹でハマるようでこの時点で抜けてきたので抜いておく。

 ハンドルノブの軸は鉄系の軸にノブが当たる両端の方に真鍮製のスリーブがハメゴロされてる感じでこまかいところも丁寧な作り。基本的に回転部には真鍮や樹脂製のスリーブやブッシュが入ってて仕事はとても丁寧で、古き良き米国の職人魂がそういう細部に感じられ、そういうところがPENNにも継承されていったんだろうなと歴史が感じられるところ。

 分解の方は、じゃあ次はスプールいってみるかと、ドラグノブは緩めていってもネジ留めされていて外せないので、そのネジから外していく。

 ネジ外すとドラグノブが外れて、ドラグノブの中に収納されるようにバネが入ってて、その下に軸と同期して回らない俵型穴の金属ワッシャーが入ってて、その下に革製のドラグパッド、その下に樹脂製の台座が来て、この台座にカパッとリング状のスプールを填めるカートリッジ式のスプールのようだ、で台座の裏にはドラグの音出しの金属パーツが飛び出ている金属スリーブのお尻がみえていて、この金属スリーブは台座を貫通してて、これにドラグノブをネジ留めしている。台座と金属スプールの間には繊維性のパッドと金属ワッシャーが入ってて、メインのドラグパッドは上の皮パッドだろうけど、こちらの繊維性パッドも多少ドラグの仕事はしている構造。

 一番下の写真がバラした部品で、上の方に写ってる輪っか状の部品は、糸落ち防止にスプール下部に巻かれているモール。で、今回モールもだけど皮パッドもそこそこ保存状態良くて、当時の状態を残すためにも交換せずに使った。

 お次はいよいよ本体割るかなということで、意外に長いネジをスポンと抜いて、パカッと割ると、なんか見たことのない違和感バリバリの構造が見えてくる。

 スプール上下どうなってんの?オシュレーションカムが縦に付いてるのは正しい位置なのか?それより何より、このとげとげしいビール瓶の蓋みたいなギアはなんなの?この時代にハイポイドフェースギアのような、軸をオフセットさせたギアは無かっただろうから、左右両用なので蓋開けるまでてっきりウォームギアが入ってるんだと思ってた。そのわりに巻きがジャーコジャーコと滑らかでないのも精度が出てないからとかだろうと思ってたけど、ウォームギアではなく、歯車の歯であるトゲトゲが突き出して、双方のギアのトゲトゲ歯同志が噛み合う方式。接触する面だけ考えるとトゲトゲの斜めの面どうしが接しているので、かさ歯車に切った歯どうしのベベルギアの一種なんだろうか?当然主軸とハンドル軸は直交するので、左右両用には交差する軸が重ならない工夫が必要なわけで、なかなかにそこは鋭い工夫がしてあるので見ていこう。

 まず上の写真は、本体から外してギア同士が噛んでる状態を見やすくしたもので、こういうギアです。王冠のトゲどうしで絡んでるようなギアと言うこともできるか?ちょっとネット検索したぐらいではなんというギアなのか出てこなかったので、ご存じの方おられたら是非ご教授ください。ちなみにローター軸のギアはステンかな?ハンドル軸のギアはアルミっぽいの、芯がステンっぽい堅いのを鋳込むというよりは後で出てくる写真のように継いであるように見える。

 そして、軸が直交するギアで左右にハンドルをつける方式、というとZEBCO「15XRL」が、主軸を短く、伸ばしていけばぶつかるはずのハンドル軸まで届かないようにする。という力技で解決している例は見たことあって、その時にその応用編で、主軸の真ん中をくりぬいてその中を通るハンドル軸にしてもイケるかもな、と思いついたけど、主軸であるステンレスや真鍮をそんな難儀な形状に加工するのは手間掛かって現実的ではないよな、と思ったんだけど、ステンや真鍮を加工しなくて良い。それらの素材でできた主軸に加工が容易な素材でできたオシュレーションカムを縦に接続して、そカムの中をハンドル軸が貫通してカムが上下動できるようにしてやれば良い、ってのがこの「310」の方式。写真下は見やすいように、ハンドル軸のギアに軸をブッ刺した状態で、主軸の縦になったオシュレーションカムがどう重なってるかを示したものです。カムのお尻からでてる棒がギアに掘られた円形溝にハマってギアの回転でカムが上下し、スプールを上下させるという仕組み。これだとカムは亜鉛鋳造で好きな形に作ればよいから楽だろう。ウーン独創的。

 ギアのところを見やすくするとこんな感じで、ハンドル軸のギア上に切った、スプール上下のための円形溝はこうなってます、偏心してるので真ん中の軸穴との距離が変化することでオシュレーションカムを上下させているというのがお分かりいただけるだろう。

 細かい所だけど、オシュレーションカムのギアの円形溝に突っ込む棒には真鍮のカラーが巻いてあり、ハンドル軸のギアには素材不明のブッシュがハマってるけど、これがハンドル軸とギアの継ぎ目の部分でギア側がやや太いのを軸の径まで絞ってる形に合わせて、カラーも曲線的に凹ませてある、等々は丁寧な仕事ぶりだなと感心する。ちなみにハンドル軸にもローター軸にもボールベアリングは入っておらず、ボールベアリングレス機です。エラい! 

 でもって、本体割った脚側にはナニも入ってってなかったのかというと、逆転防止機構(ストッパー)関係が入ってました。これが一見して何をやってるのか分からん謎機構。
 そもそも、ギアの裏とかにストッパー用の歯が見あたらない。填めてギアの位置とか確認してみるとローター軸のギアの歯に直接かける方式とまでは判明。
 ただ、写真上段の左がスイッチ切った状態で、ギアの歯に部品の右上端が掛からずストッパー掛からないのは良いとして、スイッチONで真ん中の状態になるとギアの歯に掛かってストッパーが働くのもまあ良いとして、ギアの歯が特に片方にしか回らないように歯が鋸の歯状になってるとかではないので、掛かりっぱなしで正転もできなくならんか?と疑問に思う。これ、下の写真の様にストッパーは2重構造になってて、スイッチON状態でも下の土台部分が動かないまま、上のギア歯に引っかける金属板の”爪”の部分はバネで緩くギアの歯側に押さえられているだけである。でギアの歯に円周に対して垂直に板を突っ込んでるんじゃなくて、斜めに当たってるので正転の時はカタカタ当たりつつも回転して、逆転の時にギアの歯にガシッと爪が噛んでストッパーとして働くという構造。ギアの歯自体にストッパーの爪掛けるのはミッチェル「300」でもやってたけど、あれはギアを痛めないように爪が樹脂性になってるところを、コイツの場合は緩いバネで柔らかくあててやるという方式。これまた独特。

 次にベール周りを見ていくと、ラインローラーが片側に覆いがかかったような形状の、金属を絞ってベールワイヤーに繋げたラインローラー周りの構造で、おそらく1950年代か60年代初期のリールだけど、ラインローラー回転式です。同じような形状のラインローラーはフルーガー「ペリカン」にもみられて、影響あったのかなという感じ。で、ラインローラーを留めるナットなんだけど、ラインローラーを填めてる部品にはネジが切ってあって、ラインローラーの填まる穴にグリグリとねじ込めるんだけど、完全に止まるまでねじ込むとラインローラー固定されてしまう。なので、ちょうど良い塩梅にローラーが回る位置で止まるようにナットを締めてやってそれ以上ネジが回らないように止めてやる方式。これだと回転するあんまり丈夫そうではない、良くてステン無垢かなっていうラインローラーが端から削れていってスカスカになったとしても、もうちょい締めて調整とかが可能で具合は良さそうに思う。

 そしてベール反転機構はというと、これがまた独特。
 インスプールのスピニングなんだけど、ベール反転の機構はスプールの下ローター内に収まってて、真ん中の写真で棒状になってるのが分かると思うけど、その棒の頭が丸まってて、一番上の写真の矢印部分のように、ローターを留めるナットの下から張り出した板の丸い穴にポコッと填まってベールが起きた状態で保持する方式。
 普通の外側にベールリリースのレバーが出てるインスプールスピニングだと、レバーがガッチリと填まってハンドル回転せずに”熊の手”で無理矢理ベール返そうとしても返らないし、下手すると壊れるんだけど、この方式だと、ポチッと穴に棒の先が引っかかってる程度なので、今時のアウトスプールスピニングみたいに手で返すことも可能。
 もちろん、ハンドル回転でベールを返すのも可能で、棒の穴に引っかかってる方と反対側の端がローターの下に突き出ていて、これが”蹴飛ばし”に蹴っ飛ばされてベールが返る。
 この蹴飛ばしがまた独特の発想のもので、一番下の矢印の部分は、本体パカッと割った脚側の突起で、本体ギア側にくっついてるローターを受けるための真鍮の円盤状の部分に填めて位置を固定する部分なんだけど、この突起がローター下に突き出していてベール反転の”蹴飛ばし”を兼務しているのである。細かい所だけど、米国の職人の独創性と合理的発想が表れた、いかにもらしくて面白い設計だなと感心した。ベール反転機構としての仕上がり自体も軽い力で止めて返して滑らか、というイイ塩梅でなかなかにヤりおる。

 で、ついでに分解方法なんだけど、ここはワシ的には減点せざるを得ないんだけど、ベールアームを支持している軸が抜けないように、一番上の写真の矢印の位置でCクリップで留められている。何度も書くようだけどCクリップ嫌い
 今回も、細心の注意を払ってローターの中にCクリップが落ちるようにお盆の上で慎重に外したにもかかわらず、外れた瞬間ピョーンと跳ねて胡座かいてる足下に落ちてしまった。足下には油汚れ防止とかのために新聞紙とか敷いて作業してて、その上に落ちたはずと血眼で探すも見あたらず、ひょっとしてと、スウェットのズボンの裾をめくったら、ありました!ってのが上から2枚目の写真。もうアタイCクリップなんて大っ嫌いなんだからっ!
 まあ見つかって良かった。
 でCクリップ外して軸を抜くと、軸の先の方は2段階の切り込みが入ってローターの真ん中に先端が填まってる設計になってて、抜いたらベール反転の棒とベールスプリングが外せる。でもって、軸とローターの間にはキッチリ樹脂製のスリーブが填まってて、ここでも抜かりなく丁寧な仕事っぷりに米国のリール職人さんの心意気を感じるところである。ちなみに、本体のロータ軸のギアが入る穴もハンドル軸が入る穴もアルミ直受けではなく真鍮のブッシュがハメゴロされていて抜かりなし。

 で全バラしすると部品数はこんな感じで、凝った設計もあってやや多め。
 今回、グリスアップして注油するに際して、グリスをどうしようかと迷った。いつもの耐腐食性重視の青グリスでは、あんまり見たことない、既にちょっと削れててジャーコジャーコという巻き心地のギアには不安がある。こりゃちゃんとしたリール用の耐摩耗性能の良いグリスの方が良かろう、となったんだけど、それじゃあ”繊細なギア”用にいつも使ってる透明なABU純正グリスでいくかとも思ったんだけど、ドラググリスは最近PENN純正グリスをドラグ用に流用してて、まずはドラグをと皮パッドとかにグリグリ塗った時点で、このPENN純正のこれまた青いグリスをドラグだけでなく機関にもブチ込んだ方が、”オーシャンシティー”という名の米国製スピニングには似合うように思って、今回贅沢にPENN純正グリスグッチャリで行きました。いつものマキシマの青グリスは一樽(約450g)2500円ぐらいと費用対効果抜群のお値打ち品だけど、PENN純正グリスは同じ大きさのを一樽日本で買うと7千円ぐらいする高級品である。ワシ貧乏なので小樽(約60g)しかよう買わんかったぐらい。今回オーシャンシティーの職人さんに敬意を表して容赦せずぶち込んだりました。
 組むときちょっとコツが居るのは、ギアの入れ方で側面の蓋をパカッと開ける方式じゃないので単純に最後にハンドル軸のギアを入れるという順番では入ってくれない。一旦ローター軸のギアを上に寄せておいて(下写真左)、ハンドル軸のギアを納めて、その後にローター軸のギアを所定の位置に下げてギアの歯同士を噛ませてから、ローター軸のギアが上がって空振りしないように、スペーサー的な真鍮の部品で隙間を埋めてやる(下写真右)という順番です。オーシャンシティー310の分解整備の仕方を知りたくてこのブログにたどり着いた奇特なお方は憶えて帰ってください。

 スプールは、前述したように金属の爪にカチッと填めるカートリッジ方式で、径の大きな樹脂製の台座の周りを取り囲むドーナツのような形状になっている。この設計はドラグの径が大きく取れると共に、オシュレーションの上下幅が小さいのをスプールの直径で補う形であり、フライリールでいうところの”ラージアーバー”的な設計で直径の大きめのスピニングは使い勝手が良いってのは、奇しくも2台あったうちの物々交換に出した残りの1台であるジャンクを復活させたルー「ゴールドスピン」を今期メッキ釣りとかで使って実感しているところでもあり、このオーシャンシティー310もギアがちょっとやかましい感じになってきてるのと、回転バランスがちょいプルプルなのはあるし、流石にドラグパッドの皮はペッタンコで使うならフェルト製にでも換装したほうがよさげだけど、使ったら案外細かい所は気にならなくて、釣り場で輝く類いのリールじゃないかという気がする。
 
 気がするんだけど、壊れた時に部品が部品取りの個体でもなんでもいいから入手できる状況じゃないと実釣に持ち出すのがためらわれる。コンパック「カプリⅡ」のドラグノブを紛失したときに、大森製ワンタッチスプールのNo.2サイズのドラグノブがなんとか流用可能で実釣に復帰させられたけど、大いに懲りた。
 このオーシャンシティー「310」はいくつか大きさ違いのあるシリーズのようで、基本型は「300」というもう少し大型の機種のようである(”300”っていうのはもろミッチェルの影響だろうか?)。この「310」はそれより小さくて、測ったら約300gだったけど、サイズ感はもうすこし小型の機種並でカーディナルのC4よりはC3に近いような印象。さらに小型の「320」もあるようだ。っていうのをイーベ○を覗いてて学んだけど、「300」はそこそこ弾数もあって、値段も買おうと思えば買えそうな即決価格のもあるけど、「310」「320」は弾数少ない、「310」に関しては見たときにはマニュアルピックアップのベールレス機しか出てなくて、コイツが1957年製とか説明されていて、そのちょい前ぐらいにハーディー社が持ってた”フルベールアーム”の特許が切れてその後各社フルベールアームのモデルを販売って流れだったと思うので、310も後からベールワイヤー付きのフルベール搭載機に変更したんだろうと思う。なので回転バランスはややプルッてるのかも。
 って具合で、壊れたら直せる目処が立ちにくいので実戦投入怖くてできません!
 道具としての評価は使ってナンボで、部屋でクルクル回しててもどうにもならんのは分かってるけど、この古き良き時代の米国の職人さんが独創的なアイデア盛りに盛りまくって仕上げた見た目も魅力的な1台を危ない目にあわすのは腰が引けて芋引いてしまった臆病者のナマジであった。

 とはいえ、分解整備してその独創的な仕組みを堪能するだけでも、蒐集家的な喜びは大いに満足させられたところであり、時期的には前後するんだろうけど、こういう独創性と職人気質に富むメーカーで修行した成果が”PENNリール”に繫がっていったんだろうな、とか想像すると歴史も感じられてPENN愛好家としても趣深かったです。なんというかミッチェルがスピニングリールを量産し始めて、ハーディー「アルテックス」のフルベールアームの特許が切れて、っていう大きな流れの中、1950年代から60年代ぐらいに、いろんなメーカーが参入して、ミッチェルのモロパクリから始めたところも多かっただろうけど、自社独自の工夫をと、まだスピニングリールの基本形式が固まらないなか試行錯誤が繰り返されていたという、スピニングリール黎明期の歴史の生き証人的な1台だったかなと感じております。

 改めて物々交換に応じていただいたレクエル堂サンには感謝を。ありがとうございました。ゴールドスピンも良いリールでこちらは実釣能力が売りなので釣り場で活躍してくれると思ってます。

2023年11月11日土曜日

祝!忠さんバイト誕生50周年!!

  それはさておき、阪神タイガース28年ぶりのアレおめでとうございます。ツーテンの虎ファンさんにおかれましては、リーグアレに引き続きベランダでセルフビールかけして寒がりつつ喜んでる姿が目に浮かぶようです。車に乗せてもらうとBGMは「六甲おろし」かボブマーリーだったのが懐かしいです(訂正:28年ぶりじゃなくて38年ぶりでしたスイマセン)。

 28年といえば四半世紀を越えていてたいがいな年月ですが、開高先生が名付け親である「バイト」が有名な常見忠さんが産んだ通称”忠さんスプーン”は、途中シマノ販売もあったりしつつも、忠さんのセントラルフィッシングから、忠さん亡き後は広島のアートフィッシングさんが引き継いでそちらから製造販売されており、なんと今年で誕生50周年だそうである。バイトと同時に誕生したのはレイカー、ダムサイト、ギンザンのあわせて4つだけど、レイカーは途中でマスターアングラー(マスター)に改名、ダムサイトとギンザンは現在販売していないということで”バイト誕生50周年”となってるけど、まあ大雑把に言えば”忠さんスプーン誕生50周年”なわけで、第1次ルアーブームの頃1973年から半世紀にわたり作られつづけている”歴史ある名作ルアー”が日本にもでてきたっていうのは、それだけで意義深いものがあると思う。国内で同一ブランドでこれ以上の歴史を刻んでいるルアーって、ヤマシタのタコベイト(初代ゴールデンベイトは1948年の発明)は漁具なのでちょっと毛色がちがうから、他に見当たらないのではなかろうか?次に古いのはなんだろ?タラ用にデッカいのを輸出してたヨーズリの「メタリックサーディン」とかか?まあこれも漁具系か?

 今後50年を越えてきそうな定番ってなにがあるだろ?K-TENN、アスリート、シュガーミノーあたりは堅そう、ジャンルを切り開いた先駆者的なコモモ、ワンダー、ニョロニョロ、クルクルあたりもいくか?意外とストライクキング社ダンスキングの金型買ってピーナッツで始まったピーナッツⅡシリーズは息も長いし次の候補だったりして、ダンスキングから数えたらそろそろいくのか?なんて想像するのも楽しい。

 なんにせよ、忠さんスプーン、我が国のルアーフィッシングの歴史において創世記から脈々と製造され続け愛され続けて50年、おめでとうございます。と言祝がせてもらおう。

 忠さんスプーンを取りあげるのは”ルアー図鑑うすしお味”関係で思いつくだけでもスプーン備蓄状況回と先日のメッキスプーン回と今回で3回目でかつその他にも、あちこちで取りあげてるので、いまさらだけど第58弾は忠さんスプーンでいってみます。めでてぇしな。

 まあ、忠さんスプーンといえば開高先生のアマゾン釣行記「オーパ!」の直撃を受けたナマジ少年としては「バイト」の印象がその時に刷り込まれたわけで、後に就職して首都圏に出てきて、バイク買って渓流ルアーなんかも始めるようになった時に、写真上のバイトの4.8gなんかも繰り出したわけだけど、バイトの4.8gはやや暴れん坊な性格でどちらかというと止水向きで、後に南の島の遠征での小物釣りとかに抜群の働きをするんだけど(あと昼の見えナマズにも効いた)、渓流ではしばらく写真下のリトルマスター2.5gとかリトルバイト3gとかを使ってた。この2つは前回メッキスプーン回でもちょっと触れたけど、一般のスプーンみたいな幅方向の局面がなく、縦方向にS字に曲げてあって、ハスルアーに近いヒラヒラっという感じの動きでなかなかに良い仕事をしてくれてた。なんで普通のスプーンぽい形状にしなかったんだろうって考えると、発売当時、管理マス釣り場用として小型スプーンが流行りつつあったんだけど、後出しでなかなか差別化するような形状のものをデザインしにくいなかでも、同じようなモノを出すのは嫌だったんじゃないかと想像している。

 っていう感じでしばらくは渓流ではコンデックス5g、ハスルアー3.5g、リトルマスター2.5gという布陣だったんだけど、東北時代渓流に狂ってたときにマスターの5gを使い始めたら、これが自分の小渓流というかボサッ川を手返し良く釣り上がっていく釣り方に抜群にハマってくれて、渓流では一時8割9割これを投げていたぐらい信頼して使っていた。小渓流で上流に投げた場合、素早く巻き始めて基本流れに負けない早引きになるけど、その時に重くて”浮かない”スプーンだと下手すると根がかってしまい、かつ重くて分厚いスプーンではワシ好みの動きの軽さや立ち上がりの早さが出せない。そこでマスター5gの出番なわけで、細長く肉薄のボディーはヒラヒラと実にワシ好みの軽い動きで表層近くを確実に泳いでくれて、マスター主戦力でイワナこれでもかというぐらいに釣った。年間尺岩魚23匹とか、小さいのは追ってきても掛からないようにかわしつつ釣ってたので、それだけ尺岩魚釣るのに200匹ぐらいしかかかってないとかいう実績から、その釣れっぷりをご想像いただきたい。イワナなんぞ数釣ろうと思ったら1日20でも30でも釣れたけど、それをやっちゃあなんぼリリースオンリーでも釣り場が荒れておしまいよって話で、数は5匹から10匹以下に抑えて尺を混ぜるってのを目標に当時は釣っておりました。現在マスターはリトルマスター除くと大物用の大きいのしか売ってないようだけど、5gの実力を知らんとは今時の渓流ルアーマンの実力もたいしたことないなと正直思ってる。イワナ釣りなら今でも効くと思う。みんな管釣り用みたいな小っこいスプーンやらアホの一つ覚えのミノーツイッチばかりでは釣れる魚限られてるしそういうルアーにはスレてくる。ある程度大きさがあってスプーン独特のきらめきでアピール力大のマスター5gの使いどころは今でも、というか他人が使ってない今だからこそあると思う。

 ってバイト使ってないんかい?と思う人もいるかもだけど、スプーンの出番が渓流だけだとマス釣りだけだと誰が決めた?って話で、バイトにもめっちゃお世話になりました、っていうか現在進行形でお世話になってます。

 でもまあ、遠征先で小物釣るのに大活躍してくれたのが印象深い。典型が南の島の珊瑚礁の魚たち、定番のカンモンハタとかの小型ハタ系、ヤマブキベラ、ハコベラなんていう美麗なベラの仲間、愛嬌のあるホシゴンベやオグロトラギス、もちろん各種メッキやコトヒキなんかも釣れてきて、陸っぱりでは4.8g、カヤック出すと10gが大活躍してくれた、カヤックではちょっと良い型のイソフエフキなんかも釣れたのも思い出深い。他にも、カザフスタンのヨーロッパオオナマズ釣りで餌のジェリフを釣るのにも4.8gが活躍してくれた。

 そして、バイトが大仕事してくれたのが、香港遠征でドカンと1発目の本命アフリカンクララをバイト13gが連れてきてくれて、その後も10gで追加のアフリカンクララとハロワン(ライギョの仲間)をゲットと、思い出深い釣りになった。

 上の写真の右が13gで左が10gで上の段が歴戦の強者達、この2種が一番動きが良くてバランスの取れたサイズだとワシャ思う。最初に作られたバイトは13gだったそうでナルホドと頷ける。けど、人それぞれに思い入れがあって、それぞれの釣り人にとっての良いサイズってのもあるんだろうとは思う。そのへんのルアーと釣り人の関係、釣り人が魂を込めて投げるに値するルアーとはなんていうのを香港遠征釣行記では熱くるしく語ってたりするので、興味がある人は読んでみてください。

 鱒は釣ってないんかい?と思うかもですが、ちゃんと釣ってます。オホーツクの海のカラフトマス。ってぐらいでバイトはワシ渓流より海とか湖のほうが強い気がしてます(当社比)。

 で、今現在忠さんスプーンにお世話になってるのは、ウグイちゃんメッキ界隈で、ウグイちゃん狙いでスプーン投げてると、結構メッキも食ってきてくれることが分かってきて、コータックが無くなってコンデックス3gとかのごく普通の小型スプーンの役割はとりあえず、手に入りやすいスミス「ピュア」に任せてたんだけど、ちょっと違うタイプのもということで、前述のリトルマスター、リトルバイトも用意していて、弾数揃えるのに中古を買ってたら、なんか普通のバイトの形で小さくしたようなのも売ってて試しに買ってみて使ったら、これがまた良く釣れたのよ。こりゃ「ピュア」の代わりにバイトの小っちゃいので良いなと、追加発注掛けました。普通の小っちゃいバイトもあるみたいだけど、アートフィッシングさんの通販では今売ってなかったので、メッキ良く釣れたのがメッシュバイト3.3gだったこともあり、同型でやや厚い4.2gとともにいくつか発注して愛用しております。

 あえて普通の小っちゃいスプーンは作らなかった忠さんには申し訳ないけど、リトルバイト、リトルマスターはそれはそれで欲しいんだけど、普通のバイトの小さいのも欲しかったので、そのあたりアートフィッシングさんが作ってくれたのはありがたいことです。

 バイトも、表面加工が違うメッシュバイト、DC(ダイヤモンドカット)バイト、シェルバイトとバリエーション増えており、メッシュの表面の何が良いって、塗装がペリッと剥がれにくいのが良いよね、って使ってて感じてます。古くからあるアメルアとかで、原理主義的に古い時代のしか頑なに認めようとしない人もいて、それはそれでそういう楽しみ方もあるんだろうと思うけど、ワシャ釣り道具だもん、魚釣れて良くなってるならそれに越したことはないと思ってる。アメリカ資本になってもラパラは今でもラパラだもん。他にもトローリング用に薄い板でできてるのが用意されていたり(渓流で上流に投げるのも想定されていて鋭い)、忠さんスプーンの範囲を逸脱しないなかでも、工夫をして進化させているのを見ると、正しく良いメーカーさんに引き継いでもらったものだと、安心するところである。

 そのアートフィッシングさんが、忠さんスプーンからちょっと離れて独自色をだした「リバードルフィン」っていうスプーンがあるようだけど、これがなかなかの苦心作で、スプーンって軽く100年以上の歴史があるんだけど、結局、ダーデヴルとオークラとハスルアーのバリエーションから逃れられていないとワシゃ思うんだけど、リバードルフィンは横振りの起点を先端のアイ付近じゃなくてボディーにもってきたという意欲作らしく、スプーン専門に作ってるスプーン屋として気合いを入れて世に問うてるのが感じられて好ましい。羊羹の老舗「虎屋」の社長さんだったかが「伝統というのは革新の連続である」とかどっかに書いてたけど、忠さんの残してくれたものをただ守るだけでなく、そこから進化させ革新的な次のスプーンを作り出そうとしているその意気や良しと、エラそうに思うのである。スプーン自作してみてエラい難しいことを実感してるのでなおさらそう思う。なんか使いどころ考えて試したくなる。100周年記念の頃にはどんな評価を受けどんな進化をしているだろうか?その未来に実り多からんことを祈る。 

 で、冒頭写真に写ってるバイトはなんなのよ?っていうと、アートフィッシングさん、自社の「パッケージ回収キャンペーン」ってのをずっとやっていて、パッケージ10個送ると、好きな商品がもらえます、ってやつなんだけど、今回50周年記念でバイトの特別版が作られてて、上のサンクス50周年版はキャンペーンのみの非売品だったので、パッケージも大事にとっておきがちなワシだけど、ちょっと欲しいなというのと、あとお祝いとお礼かたがた思うことを伝えたいなと手紙を添えて、ゲットしたりました。下の忠さんサイン入りバイトは販売中です。あと「Ken Kaiko」版も売っちょります。と、頼まれてもおらんけど宣伝してみました。

 おそらくだけど、釣り場に行って自社製品のパッケージが捨てられているのを見て、いたたまれん気持ちになったとかの経験からこういうキャンペーンをされているんだと思うけど、そもそもなんで釣り場に来てパッケージを開けてるかね?って話で、前の晩にでもルアーケースなりに入れてすぐに使えるように用意しとけよ、そんな段取り悪いことしてるから魚釣れンのやぞ、って思うと同時に、釣り場にゴミ捨てるようなアホもいるけど、こうやってどうすれば釣り場のゴミを減らすことができるか、考えて実行する人も居るってのはとても救われる話である。単にアートフィッシング社のパッケージがゴミとして捨てられなくなるということだけではなく、そういう活動をしているメーカーがあるぐらいに釣り場にゴミが捨てられているのが問題で、それはとってもみっともないことだと、多くの人には伝わるだろう。まあそれでも伝わらんアホはおるだろうけどな。目ぇ噛んでタヒね。釣り場に来んな。

 まあ、アホは放っておいて、自分の愛するルアーブランドが、そういう素晴らしいメーカーさんに引き継いでもらって、50周年を迎え、実にめでたいなとワシャ嬉しい気持ちなのである。弥栄、弥栄!

2023年11月4日土曜日

また出た日本製PENN!-パソコン椅子探偵PENNパワーグラフ2000編-

  「PENNマニアの方のお遊び用にどうですか?」という”つり書き”に綺麗に釣られて、れいによって入札者ワシだけで1800円落札+送料660円。

 PENNブランド(ピュアフィッシング社)公式PENNリールアフターサービスの「ミスティックリールパーツ」さんの「パワーグラフシリーズ」の紹介によると、1999年から2002年までの販売で、淡水から海まで対応の7モデルがあり、本体とローターは炭素繊維強化樹脂製、スプールはアルミ、そして大事なのは”瞬間的逆転機構”が採用されていません、ってところ。れいのローターの裏にストッパーの歯を設けた”マルチポイントストッパー方式”で、ワシが提唱する”スピニングリールの最高傑作は樹脂製本体で瞬間的逆転防止機構が採用される前に出現する”という法則にピッタリあてはまっている。

 で、足裏には"MADE IN JAPAN"とあり、日本製なんだけど一体どこのメーカーが作ったリールかというのが今回のお題。前回の日本製PENNである「PENN101」はダイワ製と推理したけど、今回のブツはマルチポイントストッパーだし、そもそも発売が1999年ということを考えると、既に世界的にも2大ブランドの1角にのし上がっていたダイワ様が他社ブランドの下請け仕事をやってたとは考えにくい。

 当時マルチポイント方式を採用していたのは、「メタロイヤルVS3500ZM」や「サイノスSS700ZM-T」で確認取れているリョービと「92”ツインパワー2000」で確認取れているシマノがすぐに思いつく。

 とりあえずシマノ様はダイワと同様既に他社ブランド生産(OEM)しなきゃならんような状況にはなかったし、かつ”バランスドローター”となってるローターの腕?のあたりとかの形状がリョービの「サイノス」とかの”Zローター”っぽいなとネットで画像を探して比べてみると、「サイノスXS2000ZM-T」と特徴一致。部品の形状とかハンドルノブも同じの使ってて、コイツのOEM版がPENN「パワーグラフ」という感じ。「パワーグラフⅡ」になるとドラグがPENNの「HT-100」ドラグパッド入りになってちょっとヤる感じになってくるけど、無印初代パワーグラフでも手で回した感じからいってドラグも悪くなさそう。ちなみにパワーグラフは第4世代まで続いたようだ。

 期待して集まってくれてたPENN沼の関係者の皆さん、謎解きいきなり終了してしまったので解散してください。お疲れ様でした。

 リョービは、いつまで経っても下請け体質が抜けなかったのか、シマノの後を継いでルーの「スピードスプール」も作ってたようだし、ゼブコ「XRL」兄弟は以前紹介したとおりだし、フィンノールブランドで出てた「エイバブ8」とかも確かリョービが作ってたはず。「メタロイヤルVS」も海外ではフィンノールブランドで売ってたっけ?あと海外ブランド向けに限らず、国内でもズィールとか古くはミノルタとか、自社のブランド力がイマイチなせいもあって仕事選ばずという印象。

 とまあ、珍しく早々に謎は全て解けたわけですが、せっかく我が家に来てくれたのでパックリ割ってじっくり整備してみたいと思いますので、ご用とお急ぎでなければごゆっくりとお楽しみください。

 

 まあ、この時代の標準的な日本製リールの域を出てないだろうし、そんな酷い作りでもないだろうから、適当にサクサクとバラしていく。

 まずはドラグなんだけど、ドラグパッドはちょっと表面ざらついたテフロンみたいな白いブツで、なんなんだろうな?とミスティックリールパーツさんのサイトのパーツ図で調べるとやっぱりテフロンで、ツルツルだと滑り良すぎて日本のドラグをしらない釣り人には「ツマミがしっかり締まらんがな」と怒られてしまいがちなので、あえて表面ざらつかせてたんだろうな。ご苦労様です。なんか金属ワッシャーの数が3階建てにしては1枚多い気がすると思いますが、高さ調整で1枚余分に入ってるだけなので気にしないでください。スプールにはドラグ用のボールベアリングもブッシュも入ってなくてアルミの直受け。スプール裏のドラグ用の音出しが、ライン引っかける樹脂製パーツの反対側に突き出てたようだけど折れてるのでコレはタチウオ用のステンレスワイヤーを折り曲げてでっち上げておいた。アルミスプールはチリチリリンと良い音が響く。

 ハンドルは心棒六角形のワンタッチハンドルでネジ留め式。なんでワンタッチハンドルが一般的になったのか、亜鉛一体成形のハンドル軸ギアに心棒突っ込む方式では、共回り式なら別にワンタッチでなくてもねじ込み式同様緩めて折りたたむのでも良いけど、共回り式は防水性良くないのでということでネジ留め式にして蓋つけて防水すると、ワンタッチじゃないと工具使わずにハンドルたたむ方法がない。ということで国産スピニングは、金の掛かる芯に堅い素材を鋳込んだギアにねじ込み式ハンドルじゃなくて、亜鉛鋳造ギアに心棒ネジ留め式が一般的になったら自ずとワンタッチが一般的になったということだったんだろうな。で、昔の大森スピニングやら4桁PENNやらABUカージナルCシリーズとかの爪の垢でも煎じて飲んだのか、我が国スピニングも近年やっと高級品はねじ込み式ハンドルが主流になったんだけど、こんどはあつものに懲りて膾吹き始めてハンドル折りたためなくなってやがんの。バカじゃねえのか?でパワーグラフに戻ってパカッと開けるのにネジがタップネジ直なのは、まあ樹脂製本体なら雌ネジも金属製のを入れろとか耐久性にこだわるうるさ型には、PENN社としては「それならスピンフィッシャー(当時4桁で5500以下が炭素繊維強化樹脂製本体)をどうぞ」って話だろうし、日本では、それをやった大森「マイクロセブンC」シリーズがたいして評価されていないことからも需要がないからこれでいいんだろう。って話だけど、パワー”グラフ”って名前でカタログスペック的にも堂々と「カーボン繊維強化樹脂製の本体とローター」となってるのに、なんだこの白い安っぽい樹脂は?せいぜいガラス繊維強化樹脂だろ?これはいかんのとちがうか?ちなみに最初蓋だけかなと思ったら、本体もローターも塗装が薄いところは同じような樹脂が見えている。炭素繊維って黒いよね?まあその程度の安いリールってことか。でギアはさっきも書いたけどハンドル軸のが亜鉛鋳造でローター軸のが真鍮切ったのでできたハイポイドフェースギアというまあ普通のギア。ちょっと良いのがボールベアリングがローター軸に1個だけで、でもハンドル軸の両側には真鍮のブッシュが填まってて樹脂本体で直受けにしていないところ。亜鉛の軸が削れないのか若干心配だけど、リョービもドリルとか回転モノの機械作ってる会社だし大丈夫なんだろうと信用しておこう。スプール上下は何の変哲もないハンドル軸のギアの回転から歯車回してオシュレーションカムを上下させる減速式で、この時代独特の順テーパーのロングスプールにわりと綺麗にラインが巻かれていたのでメタロイヤルに入ってたヤツみたいな凝ったのが入ってるのかと期待したけど肩すかし食らった。

 でもって、このリールの最大の売りである”マルチポイントストッパー”なんだけど、まあメタロイヤルとかと基本一緒で、ローターの裏に山が設けてあって、本体上部ローター内のオレンジの丸で囲った角がこれに引っかかって止まる。角が外に出るように部品の下にバネが入っている。で、正回転時に矢印のように回ると、ローター軸のギア上部に填められた部品に填まってるワイヤーによってストッパーのパーツが内側に引っ張られて、ローター裏の山にはアタらなくなって正回転時には静音化されている。でもって、下のほうがストッパーの部品を取り出してパーツクリーナーかけた後の写真なんだけど、この部品がさすがダイキャストメーカーであるリョービという感じでちょっと格好いい。亜鉛じゃないちょっと堅そうな材質で、なんだろ銅系かな、磁石はくっつかなかったので鉄系じゃないけど、これが綺麗に鋳造されていて、型に刻まれてた数字がワシの指の指紋の幅2,3本分しかないけどしっかり「2」と読める。型の隅々までちゃんと流し込んでるなという感じか。

 で、ベール周りに行くと、まずラインローラーがPEも問題無さそうな大口径だけど、ここはちゃんと錆びやすいボールベアリングじゃなくて樹脂製ブッシュが入ってるのはエラい。ついでにベールスプリングは既に耐久性の良いグルグルスプリング方式で良し。なんだけど、ベールアーム支持部、反対側のベールワイヤーのお尻の支持部共に回転部をローターの樹脂で直受けしてるので、写真見ると分かるけど既に塗装は剥げはじめていて、長期的には削れていきそう。ちなみにベールアームは樹脂製でベールワイヤーのお尻の部品は亜鉛っぽい金属製。いずれにせよローターの樹脂で直受けでタップネジで止めるより、カラーを入れるかネジの軸を上のほうで太らせてそこで受けるとかの方が耐久性は良いはず。

 もいっちょ樹脂で直受けはどうなのよ?なのがベール返しの蹴飛ばし部分。
 ベール起こすと右の写真の矢印の部分が飛び出て、左の写真の楕円で囲った本体から出っ張った部分にぶつけて蹴飛ばす方式なんだけど、写真の様に塗装はハゲてて白い線状に下の樹脂が見え始めていて、これまた長期的には溝掘れてきそうな感じになっている。
 まあこのあたりの長期的な耐久性を求めるようなリールじゃないってことか?

 という感じで、全体的に安っぽさは否めないモノの、ワシのような道具長年酷使するような釣り人なら、わざわざリョービ製のPENNリールなど買わすに素直に4桁スピンフィッシャー買っておけなんだろうけど、休日にはたまに釣りに行ったりもする、程度の釣り人にとっては悪くないリールなんだろうなという気がする。パーツ数少なめで整備性が良いのはそういう購買層には直接は関係ないだろうけど、単純で壊れる部品が少ないのは実用性高いだろう。樹脂製で錆には強いし、ラインローラーにもボールベアリングが入ってないので、丁寧に道具を扱うための知識があまりなくて放置してもあんまり不具合生じなさそうに思う。クソである瞬間的逆転防止機構が入ってないので間違って水没させたりしても、その場で問題は生じないし、後でベアリングが錆びてシャーシャー言い出すかもだけど、さすがにその程度は釣具屋さんにでも持って行けば直してもらえるだろう。遊びもほとんどなくて上出来。タップネジも分解整備とかせんのなら何の問題もないだろう。ぶっちゃけ樹脂直受け部分が削れるまで酷使することもないんじゃないの?って考えると、米国でもそういう購買層は一定数いるんだろうし、我が国でも同様でリョービの「サイノスXS」はリョービ最高傑作かについては怪しいところだけど、悪くない選択肢だったんだろう。とりたてて良くはないんだけど、ちょっと使う分に不具合が出るとも思えず、わりと快適に使えそうに思う。サイノスシリーズは中古市場でも弾数多くてそれなりに売れてた様子。リョービはわりとリール作るの上手な気はする。だからこそあちこちのお座敷からお呼びがかかったのだろう。

 ただワシが使うとなると、何に使うか出しどころは悩む。重さ約330gで樹脂製なので重量のわりに結構大きめで、糸巻き量的にも10LB220ヤードとか4桁PENNなら4400ssあたりに相当するはずで、そのあたりのリールに任せてる釣りとなると、シーバス用や青物だろうけどシーバス用の今使ってる竿にはちょい大きいし、青物やらせるには信頼感がイマイチ。磯投げ竿でルアーブン投げてタチウオとか狙うのをコイツにやらせるというのは、まあまあイケる気がする。純テーパーのロングスプールなので飛距離は出せそうで良さげ。ただ4400ssを外して出撃させたくなるほどの魅力があるかというと、正直微妙。まあ、こういうリールもあったんだなあというのを愛でて楽しんで、それでとりあえずは良しということにしておこう。なかなかに楽しめました。

2023年10月28日土曜日

食欲の秋、読書の秋、スピニング熱の秋ーパソコン椅子探偵ダイナミック釣り具編ー

 インスプールの「コメット」買っちゃいました。とはいえワシ人気の大森コメット買えるほど老後資金に余裕はないし、ぶっちゃけ天邪鬼なのでみんな知ってるようなリールにあんまり興味はない。大森コメットのこと知りたければTAKE先生にでも訊いてくれと。今回買ったのはダイナミック釣り具ブランドの「コメットNo.170」である。皆さんご存じないのではなかろうか?ワシも買うまでしらんかった。

 見た目なんということのない、古い国産インスプールにありがちといえばありがちな寸胴なくびれのない形状でちょっとオリムピックの「S79」とかも思い出させる。

 ワシ”スピニング熱”患者だけどスピニングリールだったらなんでも欲しがるクレクレタコラかというとそうでもなくて、実際使いたいリールとスピニングリールの歴史というか”文脈”を理解するためにパックリ割って中身見てみたいリールの他には、不当に安い値段がついている大森を救出するぐらいで、見境なく買うわけじゃない。特に今回のダイナミック「コメット」のような誰も知らんような機種は、後で売るにしても知名度が無ければ、人気も需要も無いので売りようがないので、買うのも金かからずヤ○オクで500円落札+930円送料というゴミスピ価格だったのでまあ被害額はたかが知れているけど、整備して売っても500円スタートで買い手がつけば御の字で、なにしろワシが出品してるときはワシが買わんので買い手がつかないことが想像に難くない。写真わざとピンぼけにしまくって「ダイ・・なんとかいうブランドの”コメット”ですインスプールで希少です」とか嘘ではないけど詐欺的な売り方で売れンだろうか?売れんだろうな。

 でも買ったった。なぜなら名前が「コメット」だからである。見た目からして大森ではない気はする、するんだけど名前が一緒というのは、工業製品においては無視できない程度には意味があって、登録商標とかの関係があって、他社の製品名を使うことは難しくて、逆に自社の古い製品の名前は自分ところで押さえているので再利用したりしがちである。実際に大森製作所の「コメット」といえばタックルオートのインスプール版のような皆様ごぞんじのモノがパッと頭に浮かぶだろうけど、実は大森コメットには古い機種が存在して、それは外蹴りアウトスプールの「フリッパー」のベールにラインローラーが付いてるような機種で名前は一緒だけどモノは全く違うのである。というぐらいに名前一緒でモノは全く違うけど製造元は一緒というのはけっこうある(例:ダイワ「スマック」旧はインスプールスピニング→新は船用小型両軸、リョービ「メタロイヤル」旧はスピニング→新はチヌ落とし込み用片軸)ので、ダイナミック「コメット」もひょっとしたら大森製かも?という感じで山っ気が出てしまい、どうせ開始価格で落札だろうとマウスが滑ってしまったのである。

 とはいえ、冒頭写真の下のほうに総発売元として「ダイナミック釣具株式会社」とあるので、大森製の線は薄いかなとは薄々感じてはいた。じゃあダイナミック釣り具株式会社ってなんぞ?って調べてみると、これがまたネットには情報があんまりない。唯一それっぽい情報が引っかかってきたのは、ダイワが初期に1ブランドとして主に海外向けで「ダイナミック釣具」の名前を使ってたという記述だけど、ダイワの社史とかウィキっても該当するような記述はなく、確かにダイワには昔両軸リールで「ダイナミック」シリーズとかもあったので、なくもなさそうだけど確固たる根拠まではたどりつけなかった。

 中身見たらなんかヒントがあるかもって思ったけど、こちらも特に製造元特定につながるような部分はみあたらず、パソコン椅子探偵またも敗北である。れいによって情報お持ちの方はタレコミよろしくです。

 とはいえ、せっかく我が家に来ていただきパックリ割ってみたので、その様子はご紹介しておきたい。

 外観から見ていくと、まずは本体なんだけど、パッと見の形状から、大森「マイクロセブンDX」みたいに、左巻き右巻き双方ラインナップに対応して本体のハンドルと反対側も外れそうな雰囲気なんだけど、これ蓋じゃなくて外れません。っていうことは左巻き機種のみの可能性が高く、国内向けじゃなさそうって気はしてきて海外向けブランド説を後押しする特徴ではある。あと、熊の手対策でベール反転レバーの下に棚が設けてあるのかなと思ったら、下じゃなくて上に棚があってこれはベールアームの”止め”になっている。っていうのはベールアームの形状からして独特だなと思うけど同様の方式をとってる例は確かに古いダイワにあったりする。でも、ダイワのその時代のはナットの頭がオレンジ色のポチになってて微妙に違う。ラインローラーは固定式でベールワイヤー含めてこれといって特徴は無い。

 ドラグが、バラしてみると上の写真の順番になってたけど、もしこれが純正の順番ならドラグが分かってない製造元ということになって、初期ダイワ説は補強されるところ。まあ初めっからドラグが分かってたのは大森製作所ぐらいで他の日本メーカーも似たようなもんだったけど、大森ではないという可能性は高くなる。これ、せめて上段の金属製ワッシャーの順番を、片耳付きを真ん中に持ってくれば、下段右から2つめの手裏剣型のバネをドラグパッドの位置に入れてもドラグとして機能はすると思うけど、このままだと一番下の赤い繊維質のドラグパッドはスプールとスプールに同期する片耳付きワッシャーに挟まれて一緒に回ってるだけでドラグパッドの仕事していない。ドラグパッドの仕事してるのは下段左から2枚目の1枚だけである。いっそ一番下のドラグパッドと片耳付きワッシャー省略で1階建てでも単純で良いかも。とはいえ3階建てが入る高さもあるし、ちょうど良いテフロンパッドがあったので手裏剣型バネにはバネとしての仕事だけしてもらうことにして、写真下のような構成に組み替えておいた。ちょっと厚さが不足してドラグが締まりきらないので、1枚百均フェルトにして、これで3階建ての上出来なドラグになった。

 でもって本体蓋をパカッとご開帳すると、ギアは真っ直ぐの傘歯車どうしのシンプルなベベルギア。ハンドル軸のギアは鉄系の芯を鋳込んだたぶん亜鉛。ローター軸のギアは真鍮のパイプに亜鉛っぽい歯車をCクリップ留めしてある。ギアは若干アルミかなという気がしないでもないやや白い色調。

 ボールベアリング無しだけど、ちゃんと本体のアルミで直受けではなくて、真鍮製のスリーブがハメ殺されていてそこは真面目な作りになっている。

 このあたりは特に特徴のない、この時代にありがちな設計といえる感じで製造元につながるような情報は特に得られなかった。

 ベベルギアを回す感触は、ミッチェル304系で味わってるけど、なかなかに悪くないのよね。90度回転方向を変えるというケッタイな糸巻き機であるスピニングリールにおいて、一番基本的なギア方式という感じがする。素直に力が伝わって、ちょっとザラつく巻き心地も「ギアが頑張って回転方向変えて力伝達してるな」というのが感じられて悪くないように思う。このリールも使ってみたら案外楽しめるかも。とはいえ実釣に持ち出す場合に、こういう人気もなければ弾数もない無名の機種は、スペアスプール確保はおろか、どっか故障した時点で交換する部品も手に入らず詰むので使いにくい。

 逆転防止のストッパーはちょっと特徴的で、逆転防止のレバーからつながる棒が、バネでギア裏に突き出るようになっていて、ギア裏に片側が絶壁の山が設けられていて、ストッパーをONにすると、ストパーレバーがカタカタと上下しつつ逆転にはストップがかかる。

 ストッパーレバーを捻ってOFFにすると、ギア裏に突き出していた棒が引っ込んで、逆転可能な状態になる。

 っていう、D・A・Mっぽい仕組みの逆転防止機構になっている。

 ドイツのダム社はリールの歴史をお勉強していくと、どうも日本じゃ知名度いまひとつな感じだけど、なかなかどうして世界中のリールに色々と影響与えているようで、ABUの2番煎じのベイトリール作ってたメーカー的な印象をもたれがちというか、ワシも正直そう思ってたけど、なかなかに鋭いメーカーだなと改めて思うところである。

 ただこの逆転レバー、ハメゴロされている感じで、捻ってみたり引っ張ってみたりしても外し方が分からんかったので、無理して壊すとそれこそ部品が手に入らないのでグリスまみれにするだけでソッ閉じしておきたい。

 ローター内部を見てみるとベール反転方式は、本体から突き出た円柱で反転レバー蹴っ飛ばして反転させるというありふれた方式なんだけど、イヤに目立つのがクソデカい回転バランス取る用のオモリ。

 回転バランスはおかげで取れているけど、こんな大きなオモリはどうなのよとリールの重さをあんまり気にしないワシでも思ってしまうわけで、ネジ留めされてるのを外して測ってみたら45g強って、ちょっと重すぎじゃなかろうか?

 組み上げた状態で約420gで、大きさの感じはカーディナルC4ぐらいなんだけど単純な設計なのに重め。まあこの時代は軽量化とか小うるせぇこと気にしてなかったのか?

 全バラしした感じはこんなもんで、部品数少なくて好ましい感じ。

 さて、全バラししたし、あとはパーツクリーナーで金属部品は洗浄して、グリスぶち込んで組み上げるか、ってなって予想外の問題発生。

 パーツクリーナ吹きかけて、歯ブラシでシュッシュと磨いてたら、ハンドルが付いてた本体蓋が、なんか汚れてるなとクリーナー液が濁るので不審に思ってたら、よく見たら、塗料が剥げてというか溶け出していて磨いてたところはアルミの地金が見えてきてしまっている。ナンジャこりゃ?

 ちなみに先に磨いてた脚付きの本体とローターはまったく問題なかった。パーツクリーナーが樹脂製部品に悪影響があるっていうのは聞いていたけど、塗装やられるとは想定外だった。ひょっとしてとおそるおそるスプールも磨いてみたら、あきらかに塗装が溶け始めて慌ててティッシュで拭いたのでスプールは被害免れたけど、本体蓋はすでに写真のような有り様で、ただでさえ買い手がつかなさそうな機種に見た目もボロいとなると致命的なので、どうにかせねばならなくなった。ワシ、塗装とか外観関係は苦手というかセンスがないというか、下手に触ると汚すに似たり、なのは自覚しているのでガックリ。

 とはいえこのまま放置するのも気分が悪い。いっそ全部塗装剥いでしまって「こういう仕様なんです」っていう体で行くか?とも思ったけど、耐腐食性が落ちるだろうしよろしくないなと、ならば仕方ない苦手の塗装に挑戦するか、まあ失敗しても良いからぐらいのつもりでコイツには悪いけど練習台になってもらおう。

 とりあえず、塗るにしてもなるべく色を合わせないと不自然になる。いっそここだけ思いっきり違う色にして「こういう仕様なんです」って顔をするというのも手だけど、蓋を違う色にすると、このリールのデザイン的に反対側の”なんちゃって蓋”の部分も色を揃えてやりたくなる。そうなると、このくすんだ鉛色に合うセンスの良い配色を選ばねばならず、そんなセンスがあったら苦労せんわい、ということで却下。まあくすんだ鉛色みたいな色をでっち上げるんだろうなという方針とした。

 基本は銀色のスプレーラッカーがあるので、それをベースにして茶色か黒を足して元の色に寄せていくっていう方法だろうと見当をつける。印刷屋さんマンガの「刷ったもんだ」読んでると、職人さんが色混ぜて出したい色に持っていく技術とか出てくるんだけど、もちろんワシそんな技術持ってない。でもやってみる。

 銀と黒は我が家にあったので、茶色のプラモ用の塗料を適当に買ってきて色々混ぜる量を変えたりして試してみたところ、茶色は赤茶系の錆っぽい色だったのでか、思ったよりも赤系の発色が出てしまって、ちょっと伝説の”アズキメタリックカラー”に近くなってしまい、茶色は極少なくして黒でくすんだ色調を合わせる感じで、ワシのセンスではこんなもんかなというところまで行ったんだけど、ベースにした銀色がつや消しなので、仕上がりもつや消しでいまいち本体と合わせると違和感が大きい。

 仕方ないのでツヤ出しに、透明な樹脂でコーティングすることにする。けど、いまエポキシもウレタンも接着剤はあるけど、コーティング剤は切らしている。どちらも基本使い切りなので、今回だけのために購入するのもためらわれる。ルアーとか貯めてたのはまとめてコーティングしてからまだ日が浅く、次使うまで日が空いてしまうと冷凍庫保存でもコーティング剤は固化してしまいがち。

 ならばと、新機軸だけどドールアイ作成とロッドのスレッド塗装に使った紫外線固化レジンを使ってみることにした。紫外線固化レジンは固化するタイミングは自由に調整できるので、塗ってしばらく放置して表面が滑らかになってから紫外線照射すれば、綺麗に均一な皮膜が得られるのではないかと思ったけど、そんな簡単にはいかんですね。しばらく放置して待ってると一部下の塗装がレジンをはじき始めたりして斑状になっていく。ダメだコリャとティッシュで拭き取ろうとしたら、以外に薄くて均一な感じになったので、理想的とはいかないまでも”ここで手を打とう”というとっさの判断で紫外線照射。次の日1日たまに方向変えながら日光浴させてガッチリ固めた。

 今はこれが精一杯

 まあ、最初はこんなもんでしょう。塗装とか外観を整えることができるようになると、ボロリールを売りさばく上では非常に役に立つので、ちょっとずつでも挑戦して上手くなるようにボチボチと場数踏んでいくことにしよう。道のりは遠くとも。

 という感じで、涼しくなって作業ブース(台所部屋の隅)も暑くもなく寒くもない季節になってきたので、夏場放置していたリールの整備を再開してみましたとさ。

 秋の良い季節のうちにゴリゴリ整備を進めて、年内は難しいにしても、この冬中ぐらいに、いま積んである29台ぐらいはカタをつけないと、使ってるリールも年1回ぐらいは全バラして整備したいし、放っておくと”スピニング熱”が一向に治癒しないこともあり、リールが積み上がっていくばかりなので、精力的に取り組む所存であります。お楽しみに。

2023年10月21日土曜日

悶絶と殺気と試行と思考

 ブッコミ泳がせの釣りモノとして、そこそこ近所漁港に数が居るらしい「ハモ」を狙ってるところなんだけど、コイツが狙ってみるとなかなかにくせ者で、小アジの活き餌でもブツ切りでも、囓ってドラグ鳴るぐらい引っ張っていくんだけど、それでもちゃんと食い込んではいないようで、アワせると歯形でザクザクになったアジが帰ってきて「イーッ」となってしまい、アタイ悔しいの。

 悔しいから色々考えて、一つにはその場で飲み込まずに居られないように、餌を引っ張って持ち逃げできないように、重いオモリで海底に固定するなりドラグ締めて竿を真っ直ぐに仕掛けに向けてしまうなりして「なんやお持ち帰りできひんのか?ならここで食ってくか!」とハモに思っていただく、っていうのは、底延縄なんかを使って漁師さんが漁獲するときにも、重いオモリで幹縄を固定してそこから枝縄伸ばしてるんだろうから、王道のような気もする。気もするけど食い込みが悪い渋い状況でオモリの抵抗を大きくすることに関しては、ワシの心理的にも抵抗が大きい。竿柔らかくハリス伸ばして抵抗をゆるめたらアカエイキビレが釣れた実績もあるので  なおさらである。

 もう一つ考えたのが、たまたまイカが邪魔しやがるので成敗してやろうと繰り出した、活アジの後ろにイカバリを引っ張らせるイカ仕掛けを使ってたら、ハモが掛かったというのがあって、タモ入れ失敗でイカバリ折られて逃げられたけど、その方向性がまずはあるのかなと。ただ、掛かりが悪いからハリ数増やして顔でも体でもどこでも掛けられるところに掛けてしまう、というのは魚釣りの正道からは明らかに外れていて、口の中に掛けるのが基本というのがヘラ釣りとかもやってた人間からすると思うところで、そんな邪道な方法に頼っていると自分の釣りが荒れる気がしてやや忸怩たるモノがある。石橋宗吉氏というスパンカーを考案したりして日本の漁業に大いに貢献した漁師さんが書いた「一本釣り渡世」を読むと、ハリ掛かり悪いカジキにどうハリを掛けるかの工夫の試行錯誤が記されていて、その時にやはりハリを沢山散らして顔に掛けてしまうという方法についても思いついたけど、矜持がゆるさんからとかでやめたと書かれていて、ワシのような釣れても釣れなくてもぶっちゃけ困らん釣り人と違う、釣れなきゃオマンマの食いあげである本職の漁師さんでも、自分の中に釣りの美学的なものがあり、それを外れてしまうと何でもありで釣りが荒れてしまうというのが、やはり感覚的に分かっていて避けていたのかなと思う。とはいえ忸怩たる思いがあろうとも、とりあえずは1匹釣らないと話にならないので、もともと”邪道上等”な釣り人であるワシ、まずその方向性で試行錯誤してみたい。そこから再度また不要な部分を切り落としていく作業をしたり、他の方法も試したりして、意外といつも単純なことが多い”正解”へとにじり寄っていきたいと考えている。美学だなんだと格好つけていられるほど上手い釣り人じゃないからね。

 というわけで、寄ってきたのを掛けるのなら、参考になるのはアユ釣りだろうなということで、冒頭写真の様にザイロンハリスに孫バリ付ける方向でトリプルフックをぶら下げたのと、”散らしバリ”を後ろに並べたのを用意して、前夜散々ドラグ鳴るまで引っ張ってくのに掛からなかったリベンジマッチに、今宵こそ目にモノ見せてやると鼻息も荒く、釣れる気満々準備万端おさおさ怠りなく出撃したところ、約6時間アタリもカスリもせずという丸ボウズをくらってしまった。

 1日違ったら状況全く違うなんてのは釣りでは良くあることではあるけど、なんなのこの仕打ち。まあ準備万端気合い充分で行くと空回りっていうことは良くある。っていうかそういう殺気だった状態で釣りに行くと、水中に殺気が伝わって魚が逃げるとさえ感じるところである。携帯電話の着信時になぜか異様に魚が食ってくるとか、長いこと釣りしてる人なら憶えがあるだろうし、まだそれほど経験がないワシのブッコミ泳がせに限ってさえ、アカエイ諦めて柔らかい竿に細くて長いハリスにしたらアカエイ食って来たし、じゃあアカエイ掛かっても良いようにとギャフを釣り座に用意するようになったら食ってこない。ハモ諦めてとりあえず邪魔なイカをやっつけようとしたらハモが掛かってきた。どないせぇっちゅうねん?

 ルアーの釣りでさっきも書いた携帯着信時に食ってくるっていうのは、その瞬間巻くスピードが変わったり、実際に電話に出て巻くのを止めたりしたのが食う”間”を作っているのかもという気もする。でも投げっぱなしのブッコミですら明らかに油断してると食う気がしてならない。殺気の正体がなんなのか、音なのか視覚的情報なのか匂いなのか、それら一般の五感意外の電気的なもの、あるいは磁場の変化等とかなのか、それらの複合要素なのか、正体はわからんけど、人間には感じられないようななんらかの”気”を人間以外の生き物は感じているとしか思えない。熊打ちの猟師さんの著書で、若いときには殺気が溢れ出ていて犬にも怖がられたというようなことが書かれていて、歳食ってやっと殺気が薄れたとも書かれていたけど、ワシも若い頃、元同居人の母方の実家の犬にションベンちびるほど怖がられていて、犬ってそれほど視力良くないそうで、ワシの方が早く見える距離に入るハズなんだけど、車の中から犬小屋が見えるぐらいの距離に近づくと、すでにシッポを股に挟んで犬小屋の中に入っていくのが見える。ワシの車じゃないし運転さえしていない。匂いが伝わるにはまだ時間も距離も遠すぎるだろうし、音はワシの運転してない車のエンジン音でワシと分かる要素が考えられない。もちろん犬をイジめたりはしていない。当時のワシは、もしワシの中に狂気があるのなら、それも利用して釣ってしまいたいとか考えてる頭の悪さで、雪崩が起こりやすい解禁直後、ダム上流の流れ込みにスノーシューズ履いて単独特攻したり、雨降って放水中のダム直下で落下の衝撃で死にかけてるワカサギに狂ってるイワナを狙ったりと、削った安全の重さで魚の目方を稼ぐような殺気と狂気に満ちた釣行を繰り返していた。犬もションベンちびってびびろうというものである。

 というあからさまにキチガイだった若い頃ほどではなくても、今も殺気には不自由してないので釣る気満々で新しいハモ仕掛けも準備して出かけるに際して、”殺気対策”も考えて出撃した。まあ、あれだブッコミの場合、竿先をジッと見てアジが竿先ビクビク動かすの見てても楽しめるんだけど、そうするとアジが暴れて竿先がガクガクしたり、囓られてちょっと絞られたりすると、ヨッシャ来たとばかりに竿手にとって、結果的に我慢しきれず早合わせになりがちである。なので、ドラグがジーッと鳴るまで放置しておいた方が得策であり、よそ見して油断してた方が良いのである。たぶん。

 竿先見ずに後片付けし始めるとアタるのも良くある事例。なので、竿先見ずに暇がつぶせるようにkindleFireタブレットに小説ぶち込んで持ち込んでいた。

 またこの時読んでた小説が”意味のある偶然の一致”としか言いようのないもので、ハードSFな作風の上田早夕里先生の「妖怪探偵・百目」だったんだけど、この小説、「天才バカボン」方式で、主人公というか狂言回しはタイトルどおりではなくて、探偵である妖怪”百目”じゃなくて、助手の人間であると同時に、主人降格の登場人物があと二人居てそのうちの一人が全ての妖怪を一度祓って土に返そうとしている”拝み屋”播磨なんだけど、物語のラスボスである、人の恨みつらみや憎悪、絶望といった負の感情が好物で、強大に育つと全てを飲み込んでしまう災厄級の妖怪”濁(ダク)”と、その播磨が因縁浅からぬ関係で、八重山の離島で台風の避難所で発生した疫病に乗じて、両親を友人を、初恋の人?を、心通わせた愛嬌ある妖怪をまだ成長初期段階の濁に殺されていて、恨み骨髄なんだけど、濁自体がそういう負の感情を食べて育つ妖怪なので恨めば恨むほど仇討ちどころではなくなる。そう気がついて絶望して死のうと彷徨った森の中で古木の神に、濁に食われるような心の動きを封じてもらう。それは何かを憎んだりすることもなくなる代償に人を愛することもできなくなる縛りなんだけど、播磨はそれを喜んで受け入れる。読んでてそういう冷静さは是非とも欲しいと思ったけど、そうすると釣りに行く際の欲望、砂漠で遭難した人間の乾きに近いような濃い感情が消えてしまい、結局釣りが楽しめなくなるのではないかという矛盾に思い至り、いつも思うことだけど釣り場で冷静にありたいとは思うけど、冷静で居られなくなるぐらいに狂おしく求めるからこそ面白いんであって、冷めてしまっては楽しめないから、結局ワシは紀伊半島の山を彷徨って古木の神を探すことはしないでおくのである。

 っていうぐらいで、気がはやって早合わせに走ってしまうとかの、理屈のあるていどつけられる”殺気”は防ぐ方法を講じたつもりではあった。しかしながら結果としてはまるっきりアタリ無しという、人間には感知不能の殺気にビビって魚が消えたぐらいに思わすにいられないほどの惨敗で、新しい仕掛けの真価はまったく評価することはできなかった。それでも釣れないながらも両方試したところ、散らしバリは絡む、孫バリに3本バリは3本バリを尾鰭近くに刺したら泳ぎ邪魔されるのがいかんのか、すぐ死んで”泳がせ”的にはイマイチ。孫バリの方をブラブラさせてるとそうでもなかった。とかの基本的なことは理解できて、アジが活きの良い状態でアタリ待つときのハリの掛け方とアタって魚居るの分かってからの”ハモ掛けモード”で使い分けるのが現実的かなとか。絡むのにはザイロンにウレタン接着剤塗って張りを持たせたら改善するかなとか、いくつか整理・検証すべき着眼点は拾えて、それだけでもまあ良しとしたい。

 とまあ、こうやって新しい釣りモノに挑戦して、ちょっとずつ知識と経験を蓄えながら、釣り場で試行錯誤して苦労して獲物に迫っていくのは、それこそ”釣りの王道”だと思っているので、独自路線で邪道で天邪鬼なワシではあるけど、引き続き地道にボチボチと精進していきたい。

 殺気も適度に枯れて”釣るも自在釣らぬも自在”っていう境地に至れば、釣りに苦労なんてしないのかもしれんけど、なんちゅうか殺気放つようなギラギラした心をなくしたらダメなような気が直感的にするのである。”気”も日常生活に支障が出ない程度にほどほどに狂ってた方が良さげ。みんなでニコニコ楽しく釣っても良いンだけど、たまには目を血走らせて怖い顔で釣っておきたい、ってのも正直な気持ちなのよね。

2023年10月14日土曜日

ティースプーンでも買ってきて柄をぶった切った方が早い

  メッキ釣ってて、スプーンに反応良い日があってスプーンも良いなと思ったんだけど、ふと考えてみると我が家には各種厚さの銅板やら真鍮版やらがあり、金ばさみ、金鋸もドリルもある。

 「これスプーン自作できるんじゃないの?」


 といらんことに気がついてしまったのである。こまったことに。

 現在メッキ用に用意してるルアーはスタンダードな形状性能のスミス「ピュア2.7g」、水面近くをヒラヒラとイレギュラーな動きが魅力のルーハージェンセン「ハスルアー」3.5g、思い入れのある”忠さん”ブランド、現アートフィッシング「リトルマスター」2.5gあたりで、ぶっちゃけその布陣で困ってない。弾数もそれなりに備蓄あり。

 でも作ってみたくなったのだから関係ないんである。作るのである。

 ルアー製作において、実際にメーカーで製造するのにスプーンのあの曲面を均一に出すのは結構技術が必要で、木を削ったり、樹脂を金型に流し込んだりして作るプラグよりずいぶん難しいとは聞いたことがある。金属板から型を打ち抜いてプレスかけるんだろうか?

 「バイト」の制作者である常見忠氏は、最初銅板を金切りバサミで切って、トンカチで叩いて形状を出したそうで、ほぼ鍛造の世界である。やろうと思えば確かにできるけどそれで微妙な形状調整をとなると、何度かやり直しすることを考えると気が遠くなる。その方向は捨てるのが無難かと。

 じゃあスプーンにならないじゃん?と思うかもだけど、平面の板を折ったり曲げたりだけでも、スプーンとして成立はするようなのである。先ほど名前が出てきた「ハスルアー」はまさに平面的な金属板の腰?のあたりをクイッと1回曲げただけである。リトルマスターも基本的に平面の本体を頭の方をちょっと上に曲げ、お尻の方をちょっと下げて、写真の様に横から見たらS字状にうねらせているだけである。でもどちらのスプーンも充分以上に魚は釣れる性能に仕上がっている。

 方針としては、食卓のスプーンのような局面を打ち出しとかで作るのは面倒臭いので、曲げを二カ所か一カ所入れて、その曲げ具合の調整とかで釣れる動きのスプーンに仕上げていこうと思う。これなら素人がペンチで曲げるだけという簡単な作業で作成可能である。

 それでは早速作ってみよう。っても簡単である。一応同じ形のを量産したいなと、リトルマスターをやや引き延ばしたような形状の”型紙”を養生テープで作って1ミリの真鍮版に貼り付けて周りをマジックでなぞって、型紙ペリッとはがしてまた隣に貼ってマジックでなぞってと型を写す。一番左の赤いのは参考にしたリトルマスター。

 とりあえず3タイプつくってみるので3つ。

 金ばさみで、大まかに切り出して、端を切れるだけ金ばさみで切っておいて、グルッと周りをサンドペーパーで削って面取りしつつ角を丸めていく。金ばさみでゴリゴリッと切り出すとちょっと曲がるので、そのあたりはあとでペンチ使って曲げるときに戻して良い塩梅にする。

 アイとフックの穴をドリルで開ける。真鍮は削りやすいので電動ドリル使うまでもなく、手動で充分穴が開けられる。小型のスプーンなのでドリルの直径は1.5mmを使用した。

 ここまで来たらあとは曲げるだけ。ペンチ2本使ってギューッと力入れて曲げてやる。1mmの真鍮板はわりと簡単に曲がる。現場でも調整可能だろうと思う。

 3つあるので、それぞれちょっとづつ曲げ方を変えてみた。

 上の写真、上から緩やかに曲げてアイ側をちょい上げ、フック側を下げた物、真ん中が、やや鋭角的にアイ側をちょい上げフック側を下げたもので、一番下だけ二カ所曲げではなくフック側を下に一カ所曲げている。

 下の写真は横から見たところで、左から緩やかに二カ所曲げ、真ん中やや鋭角に二カ所曲げ、右がお尻の方一カ所曲げ。

 という感じで、色ぐらい後で塗っても良いけど一応完成したので釣り場に持ち出して試し投げしてみた。

 これは難しい!今売ってるルアーのほとんどが、アイ側の上げが大きい「オークラ」型、アイ側の上げが小さく比較的幅広の「ダーデブル」型、平面を曲げた「ハスルアー」型のどれかにほとんど収束していて、その派生程度にしかバリエーションがないのも頷ける。

 今回作ったのは、3つめの平面を曲げたハスルアー型の派生形になるんだと思うけど、最初の曲げ方の段階で全て低速でもクルクル回ってしまい、ラインが縒れて使いものにならんことが想像に難くない状態だった。これ、ワシだけじゃなくて初期の日本製スプーンでもありがちで、ダイワのクルセイダーの小さいサイズのは回転しまくりで「クルクルクルセイダー」とか呼ばれてた。なにしろ最初からアイにはヨリモドシが装着されて売っていたぐらいである。ある程度以上の速度になると回転してしまう、というのは悪い面だけではなく、それはそれで使いどころがあって、回転しやすいぐらい水を噛むってことは回転しない低速では動きが良いってことで、忠さん「バイト」の4.8gは高速では回転しやすくて流れ横切らせたりするとライン縒れまくったりするけど、止水では動きよくて頼りになるスプーンだったりする。とはいえ、作った3個は使用に耐えないレベルで低速でも回転する。

 でもまだ慌てる時間じゃない。最初から上手くいくわきゃないことぐらい想定している。ペンチを出して、ああでもないこうでもないと曲げを変えて投げてみる。

 結果的に二カ所曲げてる場合はユルい曲げ方にした方が回転は治まるけど、やや調整難しく、2個のうち片方はどうにも調整しきれなかった。二カ所の曲げ具合のバランスもあるのでか意外に用件複雑で上手く決まらない感じ。

 一方一カ所曲げたヤツは曲げをややきつめにすると回転は治まってくれて、動きも尻振りを基本にたまにバタバタッと変な動きが入る感じで、曲げ方が似てるからあたりまえかもだけどハスルアーに動きの質が似ている。これは調整も難しくないし実用的だと思うので、当面自作スプーンはこのタイプの形状違いやら大きさ違いを暇見て作って詰めてみようかなという感触。ちなみにウグイちゃんで試してみたら普通に釣れました。まあちゃんと動けばあたりまえに釣れるって話。

 スプーンはルアーの元祖的な存在で単純な形状素材なんだけど、その動きを制御しようとするとなかなかに難しいというのが理解できた。どこのメーカーが作っても似たような形状になるのは、そこから外して釣れるルア-として成立させるのが超難問だからなんだろうなと納得した。簡単そうだし自分で作って釣ってみたいと安易に手を出したけど、なかなか一筋縄でいかず学ぶことが大きかった。そのことが分かっただけでも自作してみたかいは既にあったのかなと思うところ。

 ということで、ルアー図鑑うすしお味第57弾は自作スプーン作りを主体にメッキ用スプーンということでいってみましたとさ。

2023年10月7日土曜日

冬までもてば良い-ウェーダー補修のアレコレ-

 今使ってる立ち込み用のウェーダーは、2015年前後に買ったモノのようで、途中健康面の問題とかでカヤック出せなくなって使用実績ほぼなしの年もはさみつつではあるものの、長年にわたる酷使といって良い使用状態で、もう減価償却はとっくに終わってるんだけど、あと一回ぐらい修繕して、今年中くらい使いたいなと思っている。

 だいたいウェーダーの修理って、新品から水漏れが始まって、1回目の修理はかなり上手くいって新品に近い快適な状態に復活するんだけど、2回目の修理の頃には、もうあちこち劣化し始めていて、大きな穴は埋められたとしても縫い目からの染みやら、藪漕ぎで空いた針穴とかは全て防ぎきるのは難しく、直しても、釣り終わって靴下絞らなきゃならんような状況からは脱出できるとしても、なんかじっとり湿ってる箇所が何カ所か残るモノである。3回目はもう直しても補修剤の無駄なので買い替え時だと認識している。

 実は、このウェーダーは春シーズンの終わりに2回目修理を実施して、透湿素材とネオプレンのソックス部分の接続箇所とか一周ぐるりと補修して、他にもあちこち補修したんだけど、秋になって何度か使ったらやけに早く水漏れ状態が酷くなって、どうもアクアシールの替わりのつもりぐらいで使った、ボンド「Gクリア」が剥がれかかって水漏れしているようである。Gクリアはゴムを溶媒に溶かしてあるタイプの接着剤で仕上がりはゴムそのもので柔軟性があってアクアシールっぽい使い方ができそうに思ったんだけど、どうも曲げ伸ばしとかズレるような部位につかうと接着力自体はあまり強くなくて剥がれてきてしまうようである。

 ウェーダーではなくて長靴をゴロタの蛎殻に引っかけたか何かで穴開けてしまって、ゴムとGクリアで補修してあったのは使い始めてすぐにゴムが剥げてきて浸水して「コリャダメだ」となった。曲がらないような部位はともかく長靴やらウェーダーでは補修用としては接着力不足なようなので、前回Gクリアで貼り付けたようなところは引っぺがして貼り直しである。とりあえず長靴に関してはボンド「くつピタ靴用接着剤」というシリル化ウレタン樹脂製の製品を使ったところ、問題無く貼り付いてくれて乾燥してもあまり縮まないので”盛り”も適正にできて、これはそこそこ使える感触なんだけど、やや量が少ないわりに値段がお高いので、ウェーダーの足回りグルッと丸ごと×二本足とか貧乏人はやってられない。縫い目の防水もあちこち怪しいのでそちらも対策が必要でこれまたワシ足長くないけど、それでもチューブ入りの接着剤で何とかしようとすると苦労する程度の長さがある。どないしよ?

 ということで、今回いろいろネット検索もして勉強して、縫い目の防水に関しては、アイロンで熱着するシームテープを使うのが王道で結局安上がりかなということでシームテープを何種か買ってみた。そしてパッチ当てて接着したり、水漏れ箇所に盛って穴埋めしたりという定番の”アクアシール”の代替品として使えるのはセメダイン「スーパーX」だというのが、ネットの識者の見解で、変性シリコーン樹脂主体の空中の水分と反応するタイプの化学反応形接着剤であり、固化時縮まず固化後も柔軟性があって接着力も強く、かつアクアシールみたいに固化に一晩かかるようなことはなく1,2時間でだいたい固まるので作業時間も短いとのこと。気になるお値段も写真の135mlの歯磨き粉サイズなら千円チョイと高くはない。保管は例によって冷凍庫保管だろうけど、アレコレ使えるなら便利かもということで、今回Gクリアの貼り直しはスーパーXでいくことにした。

 では、方針も決まったし作業に入っていこう。

 まずは、縫い目のシームテープだけどテント用とかのやつは安かったけど薄くてちょっと心配なので縦方向の縫い目に、ちょっとしっかりしたリトルプレゼンツのシーリングテープは50センチ売りで高めなので透湿素材とネオプレンの継ぎ目の大穴空いててパッチをあてた部分以外に使ってみた。

 使い方はアイロンの熱で溶かして圧着っていう単純なものだけど、意外にこれが難しい。マニュアルどおりに間に布を挟んで充分くっついたかなというぐらいに高めの温度でくっつけても、冷めると端がペリペリと剥がれかかってたりする。ならばと直接アイロン当てて”これでどうだ!”というぐらい熱してやると接着は上手くいったけど、なんか真ん中へんが溶けて穴開いてたりして、良い塩梅の熱し方に慣れるまでちょっと試行錯誤が必要だった。まあ穴開くぐらい溶かしてやって溶けた穴には再度シームテープ上貼って再度アイロンでなんとかごまかしておいた。溶けた穴にスーパーXでも良かったかもしれない。

 次にスーパーXで穴を塞ぐんだけど、まずは穴を特定しなければならない。風呂桶に張った水に、裏返したウェーダーの片足をグリグリと捻って太もものあたりを絞ってから息を吹き込んで膨らませて、絞りをキツく捻って沈めてブクブク泡が出てくるところを見つけ一旦水から上げて布で水気をサッと拭いてペイントマーカーで印をつけていく。その時に染み出してる程度でスーパーXちょいと直盛りで済むか、ボコボコ大穴から空気が抜けていてパッチ当て作業が必要か判断して分かるようにペイントマーカーで印を書きわけておく。

 今回は春にGクリアで貼り付けたゴムボートとかの修理用のシートを切って作ったパッチを、一旦剥がしてGクリアのゴム状に残ってるのを擦って除去して、マニュアルに書いてあるようにパッチとウェーダーの接着面両方にスーパーXを塗って、しばし乾燥(というか反応を開始させるということか?)させてから、貼り合わせてしばし重石で押さえておく。小さな穴は適当に盛って付属のヘラでならしておく。

 1.2時間で作業可能なぐらいに固まるので、これを表裏両足分作業すれば、あとは丸1日ぐらい固化させてやれば作業終了お疲れ様でした。という感じ。

 仕上がって早速使ってみると、大きな穴はふさがってて靴下絞らなければならないような水漏れはないけど、案の定しっとり浸みている塞ぎきれない小さい穴とかは残ってしまっているようだ。まあそのぐらいは想定と許容の範囲内なので良しとしておこう。

 ついでに晴れてる間にとカッパ関係も洗濯して撥水処理をかけなおしておいた。8月に台風来まくって、今年はどうなってるのかと思ったら一転9月は台風ほとんどこなくて、これまたどうなってるんだって話だけど、準備はしっかりしてあるので、秋の雨で良いシーバス釣れるよう切に願うところである。

 カッパと、ウェーダー含めた足回りは魚釣る上で極めて重要な道具であり、適切なものを手に入れて、適切に手入れしておくことは快適な釣りに直結し、自ずと釣果に関わってくる部分なので、面倒臭いけど手が抜けない部分である。雨具とウェーダーが水漏れ甲介では、雨の日に出かける出足が鈍るというもの、それじゃシーバス釣れねぇって話。

 ゆめゆめ怠るべからず。