2023年4月8日土曜日

ゆく川の流れは絶えずして同じ川に二度入ることはできない

 ななな、なんじゃこりゃ-!!

 釣り場から帰ってきて、苦労して修繕して釣り場復帰させた、大森製コンパック「カプリⅡ」を洗おうとして衝撃が走る。近場の釣りがほとんどなので竿にリール付けたまま2本継ぎの竿をロッドベルトで束ねて持ち運んでて、帰ってきたらそのまま外の水道でジャバジャバ洗うんだけど、釣ってるときは明かりつけたくない(魚が警戒しかねず釣り場がバレかねない)ので暗くて気がつかなかったけど、ラインがワンタッチのボタンにグルグルに巻いてしまっている。と一瞬思ったんだけどなんかそれにしては、巻いている部分が長い。ボタンそんなに飛び出てたハズがないので理解に苦しんでたけど、理由が分かってマズいことが起こっていることが判明してゾッとする。これドラグノブが無くなってる。

 普通スプール押さえているドラグノブが無ければドラグ滑ってラインが巻けなくなるかスプールが落ちるなんだけど、ドラグノブが填まってた位置にラインがグルグル巻きになってるのでドラグは効いてないけどラインは固定状態で近距離は巻けるしスプールもおちないので気がつかなかったようだ。写真は普通に巻ける部分15~20mを引っぺがしてグルグル巻きに到達した状態。ドラグノブ落ちた直後にラインが巻くという不幸な偶然が起こってしまったのかと思ったけど、そんな都合の良いというか悪いタイミングでそうそうことが起こるとは思えず、逆にラインが巻いたからドラグノブが落ちたというのが正解かもしれん。ラインがドラグノブの下に潜り込んで巻いてしまい、ドラグノブを押し上げて落としたっていうほうがありそうに思う。

 とにもかくにも無いと困るので探しに釣り場に戻る。途中の道も目を皿にして下を向いて探しつつ、釣り場では3つのポイント、立ち位置的には7箇所で投げたので足下はもちろん、柵から乗り出して投げてた場所もあるので、ヘッドランプで水中も照らして探したけど、足下には落ちてないのは間違いなさそうだけど、水中は暗い時間水位もあるとなんも見えんのでどうにも分からんかった。こうなっては発見は望み薄だけど、それでも一縷の望みにかけて次の日明るい時間の干潮時に行ったけど、降雨で増水してたから釣りに行ったぐらいで流れは結構あったし、アルミの軽くて小さい部品など流れてしまっただろうし、どこで落ちたのかも定かではないので覚悟はしてたけど見つからなかった。犯行に使われた凶器を探す警察のように鋤簾(じょれん)とか使って川ざらいしてしまいたいぐらいだったけど現実的ではなく、泣く泣く泣き寝入り。

 なんでワンタッチの部分を接着剤で固める必要があったのか?と以前の持ち主の意図が分からんかったけど、多分こういうことがあって、落として気がついて回収できたので固めたのかもしれんと思い当たった。なんにしても手間暇掛けて金掛けたリールが使用不能になってしまいガックリ来た。モノはいつか壊れる。釣り具が釣り場で壊れるのとかはある程度覚悟して使っている。どうしても壊したくないなら釣り場に持ち込まずに棚にでも飾っておけという話ではある。とはいえ自らの不注意で落としたことに気付かず、ラインをフケさせて巻いたから起こる不手際が原因だとなると、リールに対して申し訳なくてどうにか復活させられないかと悪あがきを始める。

 まずはパーツ取りにできるような個体が出ていないか、普段毎朝チェックしている国内ネットオークションとかに出てないのは調べるまでもないので、セカイモンでイーベイに出物がないか見てみるも、「86カプリⅣ(デラックススーパー系)」は部品売りさえあるけどカプリⅡはない。そらそうだ、ラインローラーが錆びて朽ちる素材でストッパーが削れる素材だと、使われたらすぐに壊れて生き残った個体は少ないハズで、完品が出てくるとしたら箱入りデッドストックぐらいで、ジャンクで残ってて今さら売りに出るほど売れもしなかったんだろうというのは想像に難くない。ジャンクと部品売りは薄い可能性に賭けて今後もチェックしておきたいけどコリャダメだ感が強い。なんかちょうど良いナットでも探して填まらんかな?填まればあとはスペーサーとか使ってドラグ締めるツマミぐらい何とかなりそうには思ったり思わなかったり、既に死んだ子の歳を数えるに近いような悪あがきに突入してるけど、手塩に掛けた我が子が生きていればいくつになったか親なら数えずにいられないように、ワシも諦め切れん。

 ネジ入ってる道具箱とかさらってみるも大きめのナットって在庫が無くて、ホームセンターまでひとっ走りするかと思って、ふと「待てよ、大森製のワンタッチのスプールのドラグノブならひょっとして填まるのがあるんじゃないか?」と悪あがきしてみる。大きさ的にはNo.3ぐらいかなと、先日いじったばかりの外蹴りアウトスプール版「マイクロセブンNo.3」のを試したらちょっと大きくてスカスカ。やっぱりダメかと諦めかかりつつも毒くわば皿までで一つ下のサイズの「マイクロセブンNo.2」のドラグノブを試したら、オオッ神よ!信じてないけど感謝します!!填まるしちゃんとドラグ締めてくれて機能する。相変わらず下部に隙間ができるのと見た目が致命的に全く合ってないというのは仕方ないとして、釣り場に再度復帰させられそうには思う。とりあえず今シーズンぐらいN川要員で使ってルーロン樹脂製のラインローラーの耐久性試験をしつつ、魚釣って釣り道具としての本懐をとげさせて、あとはドラグノブ外してわが家の蔵でワシが死ぬまで眠ってもらい、運が良ければ純正ドラグノブ入手して復活の目もなきにしもあらずって感じか。

 ということで、しばらくドラグノブは借り物で行くんだけど、浮いてるのでまたドラグノブの下にライン巻いて落としかねない。ちゃんと指でライン放出調整して糸フケないようにしておけよというのはごもっともな意見なんだけど、大きめのリールなのでアタイの小さめの手では指届きにくくてギリギリなの。許して。マイクロセブンNo.2は綺麗な個体でコイツまでドラグノブ欠品にしてしまうのは避けねばならぬ。仕方ない、ボロい個体探すか。と何が仕方ないのか全く分からんけど部品取りできそうな個体の出物が無いかネットオークションとか探してみた。なんとまさにビンゴなシェイクスピア版マイクロセブンNo.2同型機「2410」の”ドラグナット”がイーベイに出てる。しかし円安のおりセカイモン通して購入すると6千円以上となってしまい、何か別のモノ買うことがあったら送料節約できるので関税かからない額まで調整するのに買っても良いけど、さすがに部品一個にその金額はキツい。普通に中古リールが余裕で買える。かつ買うのはマイクロセブンNO.2でなくても、大森製作所の同じドラグノブ使ってる機種、具体的にはオートベールでもスーパーセブンでも問題無い。

 へっへっへ上玉が見つかりやしたぜ。ジャーン「オートベールNo.2」。我が家に新品箱入り娘がいるので2台目だけど、ひーとり娘とやるときにゃ親の承諾えにゃならぬ~♪ってぐらいで、おいそれと使えないのでちょうど良い。何がちょうど良いのか自分でも分からんけど次女なら問題ない。黄色いお店のネット通販で2,657円+送料880円の計3,537円で、カプリⅡにこれまで突っ込んだ金額はだいぶエラいことになりつつあるけど、趣味で楽しんでやってるんだから良いンです。と沼の底からゴボゴボと叫んでおこう。6千円でドラグノブ一個買うことを考えたらお得!れいによってハンドル周りの銘板が片側剥げ落ちて、かつラインローラー固着ということで中古屋価格としては安めだけど、ぶっちゃけネットオークションとかで待てばもっと安いかも。だけど、今必要なので時価で買うしかない。ということにしておこう。

 せっかく我が家にお越しになったので、とりあえずは整備しておくかと、固着してるというラインローラーも予定どおり復活させて全バラし青グリスグッチャリで仕上げたら、銘板ハゲやら小傷やらはあるけど、これまた予定どおり快調に仕上がった。大森ダイヤモンドリールにおいては部品欠損が無ければ、ギアも充分以上に余裕持って丈夫だから摩耗したりしてるのはまず無いし、ベアリングは今回生きてたけど、錆びてシャーシャーいってても規格品なので交換でクルックルに復活する。ベールスプリングが折れるのはこの時代の安全ピン開いたような”トーションバネ”では避けられないけど、バネ屋さんに作ってもらえば交換で復活するし、何なら自作してもいい。

 今回このオートベールをいじってみて、自分が大森ダイヤモンドリールの分解整備について”だいぶ慣れたもんだな”と感慨深かったのと、この機種がやっぱり大森製作所を代表するような標準機だなという思いを新たにしたので、ちょっとオートベールの整備については別途ネタにしてみたい。
 そして、なぜオートベールが”標準機”だと考えるのかというと、大森的なアウトスプールスピニングの基本設計、硬質フェルト製湿式ドラグパッド3階建てのドラグ、丈夫で滑らかなハイポイドフェースギア、使用中にガタがでない左右用のネジ山を交互に切った独特のネジ込みハンドルと、そのためにハンドル軸のギアに鋳込んだ鋼製の芯、丈夫でかつ本体内で浸水などから守られているローター軸ギア直上のストッパー、高らかに機種名で謳われる軽い内蹴り式のベール返し、ルーロン系樹脂スリーブ入りの回転式ラインローラー。収納時折り畳めるベールとハンドル。小型機種には単純クランク方式のスプール上下(オシュレーション)、ローター軸のギアのボールベアリングに加えハンドル軸のギアにもボールベアリング1個。ワンタッチ式のスプールが奢られている。というあたりが必要充分なアウトスプールスピニングの一つの完成形というように感じるからである。それ以前の外蹴りアウトスプール版マイクロセブンには、今のスピニングでは標準装備の内蹴りのベール返しがまだなく、オートベールの同時代の簡素版的な機種であるタックルオートはワンタッチとハンドル軸ギアのベアリングがない分単純で、その後の樹脂系キャリアーやらインスプールのコメットやらへの発展の原型とはなっているけど、設計の順番的には当時考えた一番の設計をオートベールに持って来て、簡素で値段を抑えたタックルオートをそこから作ったと考えるのが自然かなと。今時の大手メーカーみたいに旗艦機から4つも5つも別グレードを用意して、あげく魚種別、釣り方別に特殊モデルまで売りさばくようなことはしていなかったけど、大森製作所も旗艦機種と簡素版っていう品揃えはしていたと思う。外蹴りアウトスプール時代(写真上)にはマイクロセブンの下にはタックル5があってまさに、オートベールとタックルオートの関係と同様で、タックル5はワンタッチスプールじゃなくて、ベアリングも一個、ついでに左右のハンドルネジは交換式でネジ収納部がハンドルにあるのがマイクロセブンのデザイン面での特徴となっててタックル5にそれは無い。後の時代の樹脂製のマイクロセブンCキャリアー(写真下)になると、若干関係は違っててキャリアーはタックルオートの樹脂版という設計で軽量化に振ってて、マイクロセブンCは樹脂製でも耐久性を確保するために補強入れたりした新機軸の設計になっている。とはいえ凝った上位機種と簡素版という関係ではあったと思う。この2機種はどちらもワンタッチじゃなくてドラグパッドがテフロン製のスプールは共通。で、オートベールで完成の域に達した大森ダイヤモンドリールの機構を踏襲しつつ、ドラグを尻に持って来たのが大ヒット作”マイコンシリーズ”ってことなんだと思う。ってなことも今回オートベールNo.2をいじってみて感じたところである。
 
 とまあ、紆余曲折あってなんとかカプリⅡはオートベールNo.2からドラグノブを拝借して、釣り場復帰させることができるようにはなった。
 正直ジャジャ馬が過ぎるというか金の掛かるヤツである。
 でも最近の高級リール様が、いりもせんような遊びの無い逆転防止とか過剰な回転性能とかの他に、売りにしている機能をつらつらと読んでいくと、結局それってヘッタクソでもトラブルなく使えるようにメーカーさんが苦労して付けてくれた機能だよね?ってワシ思いあがってるかもだけど思わずにいられんのじゃよ。まあワシそんなに技術に特化した釣り人じゃないいけど、そこまでしてもらわんくても普通に釣りできるんで、高級リール様のお手を煩わすまでもないのですじゃ。つまりヘッタクソ用のリールなんか使わんでいい身分なので、ジャジャ馬でも楽しめりゃ良いさと思ってます。まあ今回みたいな致命的なトラブルは困るのでこれっきりにしてもらいたいけど、もうさすがに不具合は出尽くしたと思うので使います。どんなトラブルが出るか想定できてれば、防止も対処もできるので、道具は手に馴染んだモノが結局頼りにはなる。なるけど違う道具使うのも楽しいからアタイやめられないの。
 
 もしも最新鋭の高級リール様でないと釣りが成立しないとか感じておられるならば、一度貴兄が釣具屋や釣りメディアに洗脳されてはいないか、あるいは失礼ながら腕がヘッタクソではないか、ご自身を見つめ直してはいかがかと存じます。

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