2025年4月12日土曜日

コチの頭はワシに食わせろ

  一年近く前に恥辱にまみれた同じポイントで雪辱を果たした。恥を雪げたのはよかったけど、予想以上に獲物が大きくルアーがっぽり飲まれて流血沙汰。復活するかなとしばらく潮だまりに活かしておいたけど虫の息だったので、締めてお持ち帰り。こういうとき樹脂製の自転車カゴはサビを気にせずにすんで良い塩梅。まあ下のスポークやらに血潮混じりの海水かかってるけど、先日グリス塗り塗り整備したばかりなので大丈夫だろう。あと釣ったのは根魚クランクの道具立てでマジェンダFだったけど、ワシの道具たちはよく働くと感心する。特にマジェンダはシーバスに元々使ってたけど根魚に底物に大活躍してくれている。最新のわけ分からんルアー持ってきてもコイツにはまず勝てんだろうと思う。傑作です。

 さて、お持ち帰りにしたマゴチ、自己記録で66センチと大型、流しにギリギリの大きさで、そのままだとまな板に乗りきらないので、まずは頭を落として作業する。釣り場の魚を1匹減らしてまで持ち帰った魚であり、せっかくなので、食べられる部位は全部食べて楽しませてもらうことにする。頭が手のひらぐらいあってワニみたいな迫力がある。コチはヒラメのように5枚おろしにしていく方法もあるけど、個人的には普通に3枚におろしていけば良いように思っている。ただ、型が良いので冷蔵庫にしの字に曲げて一晩放置していたので、しの字に死後硬直しているのでストレッチしながらおろしていく。
 解体すると頭もでかいけど、胸びれ腹びれ周りの肉も美味しそうかつ量もある。加えて大型魚食魚なら内臓を食え!だとおもうけど、胃袋も肝臓もボリュームがあり、マゴチは大型に育つのは雌らしく発達しかけの卵巣もあったので、1食目は内臓を良く洗って湯がいたもののネギポン酢、と胸びれ腹びれ片方を潮汁にまわし、もう片方を塩ふって焼く。潮汁にする前に背骨やらのアラは熱湯かけてヌルを落としておき、頭は面倒なので一回兜焼き。兜焼きの時点で笑える見た目なので”睨みコチの頭”にしたけど、食べたのは下になってる鰭付き肉、鰭自体も根元は堅くて食えんかったけど先の方はパリパリしてて良い、そして、内臓は安定のネギポン酢、胃袋には消化された魚の骨と意外に小さいカニとエビが入ってた。肝臓も卵巣も胃袋も鮮度が良いと最高に旨い。ネギポンの他にも辛子醤油とかもあうと思う。そして潮汁は塩味で大根と背骨やら鰭周りにネギぶち込んで、骨からイイ出汁出まくりでゼラチンも出まくりで翌朝には煮こごってる。1食目は昼飯だったけど刺身にたどり着けなかった。でもこの時点で超旨い。
 そして、愛猫コバンさんも、久しぶりのカマス以外の魚肉に大喜びで、猫用に塩振らずに焼いた骨とかから手で身をむしって食べていただいたけど、カマスは「飽きたんだよ」って感じで残すようになってたのに、ガツガツ食ってて、わしの手に着いたゼラチン質やら脂やらのペタペタしてるのも熱心に舐めていた。
 コバンさん、ちょっとアホの子の傾向があって、デカい骨丸ごとあげると、丸ごとかみ砕こうとして、上手く食べられなくて苦戦したりする。猫なんだからザラザラの舌で骨周りの身を舐め削って食べれば良いのに、あまりそういう行動をとらない。オネーチャンのハイカグラは骨格標本かというぐらいに骨から綺麗に身を舐め取ってたけど、姉弟でも違うモノである。仕方ないのでワシが手で身をむしって提供させていただいてます。

 次の2食目の夕飯にやっと刺身に到達する。腹側の身は肋骨とか鰭とか外して柵にするのが面倒だけど、その肋や鰭周りの肉が軟らかくて美味しいようにも感じた。もちろん潮汁の背骨周りの肉も食べ応え、味共に文句なし。
 マゴチといえば代表的な、刺身が美味しい白身魚という感じだけど、その評価も妥当なうま味のある刺身。脂も潮汁にはうっすら浮かぶので多少は乗ってると思うけど、脂の乗った旨さというより、白身のうま味の美味しさという感じ。ヒラメの美味しさにも通ずるモノがあるかも。かたや横になって、かたや上から押しつぶされたように平べったくなってと形は違えど、砂底とかに棲んでる魚食魚というのは共通していて、そのあたりから筋肉の質とかに共通するモノがあるとかだろうか?なんにせよいずれ劣らぬ美味しい魚なのは確か。

 3食目の昼飯は豪華で、肋骨をハズした部位をめんつゆと酒でヅケておいて焼いたモノと、引き続き刺身、潮汁。
 マゴチの腹回りは意外と骨が多くて、肋もややこしい感じに入ってるけど、綺麗に外せなかったら、肋周りの肉ごと大まかにハズしてしまい、ハズした部位を加熱調理してしまうと、骨離れは加熱すれば良くなるので、骨外しながら食べられる。
 もちろん味も非常に良く、大量の刺身で飽きてくるぐらいなので、むしろしっかり味付けて焼いたのの方がオカズとして優秀なぐらいだった。まあ、煮ても焼いても旨いさね。
 でもって、ワシが刺身を食っているときには、愛猫も刺身を食っているわけで、中骨の部分とか、肋周りとか、背骨はさすがに噛み砕けないけど、小骨は難なくボキボキ音させてかみ砕いて食っていた。元野良のワイルドさが頼もしいぜ。ワシが美味しい魚食ってるときには、コバンにも美味しい魚を食べてて欲しい。一緒に美味しいモノを食べるというのは”共に生きる”ことを強く感じさせてくれる。美味しそうにアグアグ食べてるのを見てるとこちらも幸せな気分になる。

 4食目夕餉、皮は当初焼いてコバンさんに上げようかと思っていたんだけど、肉厚で旨そうだったのでワシが食うことにした。鱗がやや剥がれにくいので、多少残っててもカリッと焼いてしまえばサクサク食えるだろうと、グリルで強火でこんがり焼き目が付くまで焼いてみる。鱗ごと揚げて鱗の食感を楽しむ松笠揚げっていう料理法があるけど、そこまで鱗主役じゃないにしても、残ってしまった鱗も食ってしまう方針。そして、一旦兜焼きにしてあった頭は、潮汁に醤油足して野菜足してアラ汁にして解体しつつ食べる。皮は想定したとおり上手くいって、パリパリした感じに焦げ目の香ばしさと鱗のシャクシャク感も悪くなく、ちょっとやる旨さ。ネギポン酢で食べたけど、マヨ醤油に七味でパリパリ摘まんだりしたら酒のアテにちょっと堪えられんかもしれん。魚の皮の旨さは、最近皮目をバーナーで炙ったりするのが流行って知られるようになってきたと思うけど、捨てるなんてもってのほかの味わい。
 頭の方は、頬肉とか意外に肉量あるけど、基本平べったい口腔の骨が多くて、肉を食うというよりはむしろ骨に着いている皮や軟骨をしゃぶるためにあると言って良いかと。あと出汁は出まくると思う。
 せっかくなのでベロベロと舐め取って綺麗にして、エラの棘のところの骨と、下あごの骨は記念に取っておくことにした。乾燥させてどっかに飾ろう。戦利品であり、飯の記録でもある。

 5食目6食目の3日目は基本的に柵にしてあった刺身と潮汁にあれば骨際の身の漬け焼き。柵を切って潮汁温め直す程度で手間はないけど、同じのばかりだと飽きるので、醤油をいつもの”たまり醤油”から普通の醤油に変えたり、白身の魚だし、おろしネギポンも試してみた。普通の醤油は普通に旨いってだけだけど、おろしネギポンは割と”味変”できていい。潮汁は煮返しているとだんだん身がグズグズとくずれて白濁してきて、それはそれで旨い。

 最終日4日目、7食目8食目は初日に柵取りしてから酒とめんつゆで”ズケ”にしてあったのを、ユッケ風ズケ丼と、漬け茶漬けで締めた。ユッケ風漬け丼は最近ズケ作るときの鉄板になってきた。不味いわけがない。黄身だけ使うので白身は飲むのがお約束。茶漬けのほうは、最初普通に刺身みたいにつくって食べて、ご飯が減ってきたら、ズケ汁を適宜薄めて沸騰させたのちに、残った漬けの切り身を入れてからご飯にかける。ズケ汁にエキス分がしみ出してイイ出汁出てる。タンパク質が凝固して灰汁みたいに浮いてくるけど、それごといきます。うまいぞ。

 という感じで、4日間にわたって1人と1匹で楽しませてもらいましたとさ。
 まあ、殺される方の魚からすれば、雑に扱われようがなにしようが一緒かもしれんけど、釣って殺す側の立場からすると、最初の方で書いたように、釣り場の魚を1匹減らすという、結構ワシ的には大ごとをやっているので、やっちまったからにはめいっぱい楽しまねば損というか嘘だと思うので、あれこれ試して美味しくいただきましたとさ。
 「「ごちそうさま」と言っておけば何でも許されるのか?」という内澤洵子先生の疑問は鋭いと思う。だとしてもやっぱり「ごちそうさまでした」と言いつつワシは魚を食うしかないんだろうなと思う。他者の命を奪ってワシャ生きている。そういうことを直接的に自分で殺して食って知る機会って、猟師さんや食肉関連職の人でなければ、釣りぐらいしかないようにも思う。
 エラの方からナイフの刃を入れて締める時に感じる、命を奪う覚悟や残酷さ。そういうのも釣りの大事な一側面かなと思ったりしております。

2 件のコメント:

  1. この様な書込み大変失礼致します。日本も当事国となる台湾有事を前に在日メディアによる大衆誘導と、反日勢の本格的な日本侵略が始まっている事にどうか気付いて頂きたいです。

    世論誘導が生んだ09年民主党政権、公約反故から、中韓を利す為の超円高誘導による日本企業と経済の衰退、技術を韓国に渡さぬJAXAを恫喝や、3万件の機密漏洩など韓国への利益誘導の為に働き、日本は破綻寸前でした。

    更に今れいわ維新ら反日政党の拡大で内外から中韓の侵略が進む中、民主党の売国法がどれだけの後遺症を残したか、どうか読んで頂きたいです。
    https://88moshi.hatenablog.com/
    メディアに踊らされず、掛け替えないこの日本を知り守る機になる事を願います。

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    1.  書き込みいただきありがとうございます。
       ただ、うちのブログはお気楽釣りブログです。あんまり政治的なお話はご勘弁願いたいというのが正直なところです。私自身たまに政治的なネタを書くこともありますが、あくまで“ネタ”レベルの戯れ言です。
       「政治と宗教には手を出すな」が死んだ父の教えでもあり、特定の思想信条に基づく書き込みは管理者権限で削除させていただくこともありますので、ヒラにご容赦願います。

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