っていうのは、みんな知ってるし、スズメバチの仲間とか巣に近寄れば警告的に頭上を飛んできたりしてくるので、よほどのアホか不慮の事故的な場面でなければ、それほど危なくはないように思う。国際的な人の動きが活発になって気温の上昇とともに蚊が媒介する病気の危険性が高まっているというのは、一時東京でデング熱が発生して現実味のある事態として広く知られるようになったと思う。ハエとかGとかは逆に潔癖すぎるぐらいに排除しようとされているように思うけど、奴らタフなのでそのぐらいでちょうど良いのかもしれない。
というなかで、今回ご紹介する写真の昆虫は、意外なぐらい身近だけど、異様なぐらいヤバいという、オオスズメバチが日本の昆虫界の番格ならばさしずめ”裏番長”的存在なので、たまたま我が家に侵入した個体を捕殺したのでご紹介したい。その名を「アオバアリガタハネカクシ」という1センチに満たない小虫にもかかわらず、以前にも紹介した世界中の毒性物に実際に刺されたりしてその”痛さ”を評価するというアホな企画番組「キングオブペイン」で、サソリ、毒蜂、タランチュラ含む並みいる強豪を押さえて、ベスト3に入ったのがインドネシア産の同種か亜種とみられるハネカクシ類で、その体液中に含まれる毒は独特で”ペデリン”というらしいけど、触ったすぐには何ともないけど数時間後に水ぶくれが生じ、番組の実験では潰して体液塗りつけてたけど、水ぶくれできてそのまま放置した結果、一週間後には患部が穴が開いたような潰瘍状の症状となり、実験台となった2人もあまりに予想外な被害の大きさに衝撃を受けていた。
同様に体液が毒で触れただけで水ぶくれができる昆虫としては、カンタリジンという毒素を持つツチハンミョウの仲間もいて、近年近い仲間のヒラズゲンセイが見た目から”危険な赤いクワガタ”としてニュースにもなっているけど、コイツらはハナバチの仲間(後者はクマバチだそうな)の巣に寄生するというファーブル先生も解明にてこずった特殊な生活史からか、めったにお目にかかれない珍昆虫で、ツチハンミョウの毒はその昔忍者が暗殺に使用してた説もあるぐらいだけど、まずお目にかかれないぐらいのレアキャラでまあ知らんでもどうということはないと思う。
ところがアオバアリガタハネカクシは、我が家の場所が紀伊半島の自然豊かな田舎だから出現したってわけではなくて、子供の頃に実家でもよく目にしたぐらいで、まあ実家も田園地帯を切り開いた新興住宅地で田舎なんだけど普通に地方都市なら居てもおかしくない。かつ灯りに飛んできて小さいので網戸の隙間とかもくぐり抜けて、気がつくと食卓の上を歩いてたりするのである。間違って潰してしまったりして体液が皮膚に付着したら、なまじ即効性の毒ではないのもあって、水ぶくれができても何が原因か普通分かりようがない。実際、実家ではそれなりの頻度で見かけてはいたけど、幸運なことに一度も被害にあったことはない。とはいえ潜在的には危険で、小さい虫とはいえ知らないと酷い目にあいかねないので、せっかくなのでと写真撮ってご紹介したところ。生きて動いているのを写真に撮るのは危険が危ない感じだったので、潰さないように刺激しないようにとティッシュで包んでビニール袋に入れて冷凍庫にぶち込んで殺してから触らないように気をつけながら撮影したので、ワシのつたない写真技術のせいもあるけど、生きているときの毒虫ならではの美しい色合いが再現できてないのが悔しい。名前に”アオバ”とあるように羽がクシャクシャッと”羽隠し”な感じに折りたたまれている部分が金属光沢のある青で頭とお尻が黒、その他がオレンジという派手な色合い。綺麗なバラには棘じゃないけど、綺麗な虫には毒があるという感じ。室内で見つけたら素手で触らず処理することが肝要。不幸にも体液がついて水ぶくれができたら水洗いしてできれば皮膚科にというところか。
他にも、意外に知られていないヤバい昆虫というと、チャドクガとヌカカ、ブヨの類だろうか?ヌカカとブヨはだいぶ違うやろというツッコミはあるかもだけど、”水辺とかの小バエみたいな吸血昆虫には要注意”ってことで注意のしどころは似てるのでまとめて気をつけておいても良いように思う。
チャドクガは、名前のとおりお茶っ葉にも発生するけど、庭木のツバキやサザンカにも幼虫である毛虫が発生するので、毒毛虫の類いでは昔のタナゴ釣り師は餌として蛹を珍重したイラガの類の幼虫も柿の木とかによくいて身近な毛虫ではあるけど、チャドクガとヒロヘリアオイラガの幼虫双方に刺された経験から言って、ダントツでチャドクガの方がヤバい。イラガの幼虫は刺されても瞬間的に”痛いっ”ってかんじでビリビリっとくるだけで、すぐに痛みは引くけど、チャドクガは酷かった。とにかく気が狂いそうになるぐらいの痒みで、皮膚科に飛び込んだら先生一目見ただけで「毛虫ですね」とステロイド軟膏出してくれたんだけど、クスリ塗ってもその日は寝られないぐらいの痒みに悶絶していた。まあ高校生の時、窓から中庭に出入りするというお行儀の悪いことをしていたせいで自業自得なんだろうけど、窓枠から飛び降りたときに、生け垣のツバキにチャドクガの毛虫が湧いてるのに気付かず、肩から背中を接触させてしまい、背中半分赤く腫れただれ、腫れが首筋までのぼってきていて痒いのなんの、っていうのは2度ごめんな経験であった。ツバキなど照葉樹に群れてる毛虫には要注意って話だけど、チャドクガは実は成虫も、そして卵さえ毒針で武装しているという”黒い呪術師”アブドラー・ザ・ブッチャー氏もかくやという”毒針殺法”の使い手なのである。毛虫時代の毒針(フサフサで派手な毛とは実は違う細かい毒針らしい)を繭の中にとっておいて、成虫になっても使うので、灯りに誘引されて部屋に飛び込んできたりすると、毒針が散らばって原因不明の痒いかぶれになったりということもあるらしい。死んだ毛虫の毒針が散らばってもかぶれの原因になるぐらいらしく、ワシ件の高校の中庭の毛虫たちは後腐れないように、花火持ち込んで焼き払った。ちなみに卵の毒針は母親が護身用にくっつけてくれるそうな。毒蛾とはいえ母の愛は偉大だね。
ヌカカとブヨはヌカカが最近海辺で全国的に増えてるようで、昨年ケン一が噛まれまくって痒くてたまらんかったそうである。ブヨはどちらかというと綺麗な沢水の近くに多くて、目の前をしつこく飛ぶのでウザいんだけど、噛まれるとこれまた痒い。普段刺され慣れてない虫はアレルギー反応強く出るのかヤケに腫れて痒みも長びく気がする。で噛まれ慣れていないと、こいつら見た目は小バエ程度の小虫なので案外気がつかなかったり気にしなかったりして、目の前でその小バエみたいなのが腕の上にとまったなと思ってたら、パカッと大顎を開いて噛みついてくる、ってのを見るまで吸血性の昆虫だと気がつかないことも多く、気がつくと肌の露出しているところに何匹もとまってて、ブヨだと噛んだあとの出血痕も既に何カ所もあったりして、慌てて追い払ったり虫除けふったりしてもあとの祭りで、酷いと一週間二週間と熱持ってボコッと腫れたりして滅茶苦茶痒いのに苦しめられる。双方何種類もいるようで、中には動物の毛の中に潜り込んで吸血する輩もいるようで、ワシ気づかずカザフスタンにて1日帽子からはみ出ている側頭部を餌場として提供してしまっていた。コロナ禍で密を避けるレジャーということで釣りやらキャンプやらが人気のようだけど、蚊の他にも吸血性の昆虫はいるというのを知っておかないと、せっかくの楽しい行楽で長びく酷い痒みをもらうことになりかねないので、皆様お気を付けて。
とまあ、今回ちょっと知られてないかもしれないけど、わりと身近で遭遇してもおかしくないヤバい昆虫について、皆様に注意喚起して健やけく過ごしていただく一助となればと書いてみました。スズメバチみたいな”大物”は分かりやすく誰がどう見ても危ないので注意するだろうけど、アリガタハネカクシやらブヨやらの仲間は見た目ショボい小虫のくせに攻撃力はヤバめなので、油断なきよう注意していただければなと思っちょります。
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