2019年12月7日土曜日

カリッとはしていないけどサクッといけるルアー製作



 ルアーなんて、魚釣れればいいって程度なら作るの難しくないって昔も書いた
 いろんな小難しい屁理屈つけて新しいルアーが釣具屋に並ぶけど、昔からルアーに求められる要素もそんなに変わるわけじゃなし、売れるルアーを作るのは難しいんだろうけど、釣れるルアーなら今まであまた作られてきたルアーをお手本にすれば、”図工”レベルの技術で何とかなるものである。

 今私は無職であり、なるべくこの働かなくて良い自由を満喫するべく、食費を始め諸経費切り詰めていくというのを、ある種の”遊び”として楽しんでいるところなんだけど、極論すれば楽しく生きるために仕事辞めたのに、楽しみのための経費を削って楽しみ自体が目減りしてしまっては元も子もないと、電子書籍やネット動画配信サービス、それに釣り具に掛けるお金は極力安く上げる努力はするけど”買わない”という選択肢はとらないことにして、欲しくて必要だと思うモノはためらわずに購入する方針でコレまできたところ、書籍や動画はたいした金額にならなくてホッとしたモノの釣り具関連があからさまに家計を圧迫してくる状態。
 まあ、新天地で新しい釣り場や釣りモノを開拓していくにあたって、新しいルアーが必要になってくるなんていうのはある意味仕方なく、シンペンが効くってなったらワンダースリムやら海爆リップレス、フラッタースティックと新品中古買いあさって弾数揃え、やっぱりチヌにはCD5だってなると、蔵の在庫では心もとなくなって買いあさるって感じで、一年回して必要なモノを買いそろえた後なら、それ程買い足しする必要はなくなるので落ち着くとは思いたいんだけど、暇は魚釣るには忙しいちゃ忙しいんだけど、2日操業1日休みが体力的に良い感じなので、休漁日にはある程度時間ができるんだし、ルアーなんて作っちまえば良いじゃんということになった。

 とりあえず、ミノーは意図する動きを出して安定して同じように作っていくにはちょっと手間が掛かるけどシンキングペンシルはぶっちゃけ、重量のバランスと形ぐらいしかいじる要素なく簡単なはずである。
 それじゃあいっちょ作ってみるかとあいなった。

 シンペン自体は、川崎でも”自作シンペン”は良い仕事してくれていて作成経験ありである。
 とはいえ、川崎御近所ポイントで使ってた自作シンペンはスレきった都市河川のシーバス対策で”動かない”のが売りだったんだけど、当地では普通に動いた方が圧倒的にシーバスの反応が良いと感じている。
 そして、色なんてなんでも良いって思ってたけど(今でも割と思っている)紀伊色が良いって思い込んでおけば色で迷う要素がなくて集中できるので、黄色と白のツートンの”紀伊色”のが良いだろう、ってことで紀伊半島仕様の自作シンペンを作ってしまおうということになった。


 作り方も以前もちょっと紹介したけどもうちょっと丁寧に解説してみる。
 まずは、シンキングペンシルが尻を振って動くのには2つのタイプが有るんじゃないかと思っていて、中間的なのもあるけど、片方が尻を下げてボディーのお腹に受けた水流を受け流すことで尻を振るタイプで、海爆リップレスがこれ。もう一方がルアーの背中で水を切る感じで受け流して尻を振るタイプでフラッタースティックとかこっちかなという感じ。
 というわけで、後方重心にして水を受ける頭の部分を斜めに上向けてアイを上に付けたタイプと、中心に重心を集めて背中をやや盛り上がらせてアイは真ん中へんに付けた2タイプをまずは作ってみた。
 作り方は、0.55mmのステンレス線で骨組みを作ってスズハンダで重量付けて割り箸にくくりつけて腐蝕止めに塗装。というこの段階でも”お手元ルアー”として使える状態にして、ここからバチより太さのある魚食ってるヤツ想定でボリュームが欲しいのと、水を受ける表面積も欲しいので肉付けする。


 肉は手芸用のアクリルフェルトの白と、黄色は派手な黄色は何かないかと探したら、自分ちの蔵のフライマテリアルの棚に”オレゴンチーズ”色のエッグヤーンがあったのでそれを使う。
 基本的にフライタイイングに近いって書くと、全国のフライマンからそんなタイイングしてるのはオマエだけやッ!って突っ込まれそうだけど気にしない。
 盛り上げたいところとかにはあらかじめ肉もっておいて、グルグルと巻き付けてフライタイイング用の糸でグルグルとボンレスハムのように巻いていく。
 巻いたら、脱酢酸系のシリコン接着剤を酸っぱ臭いの我慢してネチョネチョと繊維の隙間に浸透するように練り込んでいく。ある程度この段階で好みの形状に整えられる。
 昔、プラスチックワームで家内制手工業で手作業で金型に流し込んで作ってる”ハンドポワード”なワームがあったけど、英語的に違ってる気がするけど1日ほど放置するとハンドポワードなシンキングペンシルの完成である。
 綿系の素材をシリコンで固めて成型するというのは、海のフライの世界でポポビクス先生が開発した手法で、知ってる人なら知ってると思うけどそのルアーへの応用。
 昔っからこの手の柔らかい樹脂製のプラグって存在して、古くは変態軟体ルアーメーカーのバーク社トップドックとか経典「ブラックバス釣りの楽しみ方」に載ってたぐらいで、いまでもマドネスのシリテンバイブとかあって私も使ってる。
 こいつら、経典ではミスキャストして対岸の岩にぶつけても音がしない、って紹介されてたように音を立てることが少ないので、ハリ音も少なくできるってのがあって異音に敏感になったスレたシーバス狙いの”自作シンペン”にはそういう意図もあってこの作り方を採用したんだけど、今回は単に作るの簡単だから採用している。
 柔らかい樹脂製のボディーのもたらす影響について、ケン一が先日面白い考察をしていてナルホドナと思わされた。水中では音っていうのは重要な要素でハリの音が小さい云々より、周りの環境の音が跳ね返ったり吸収されたりする時に、固いプラスチックや木製のプラグと柔らかい表面素材のプラグとでは違いが大きくて、魚食魚の”ソナー”に対するアピールの仕方が違ってくるんじゃないか?ってやつでありそうな気がする。
 とはいえ、使ってみた感想としては今のところ固いワンダースリムと明確な違いを感じるほどではなく、泳いじまえばそっちの水をかき回す要素のほうが大きいってことかもしれない。でもシリテンバイブは妙に強いときがあるのでそういうことはあってもおかしくないと思っている。

 2タイプ作ったうちの後方重心タイプは思惑通り浮き上がり早く水面に貼り付いてくれるんだけど尻振らなかった。海爆リップレスは小型だから成立する方法かも。
 背中盛り上がらせた真ん中重心のは最初シリコンが浸透してない部分に空気が入って浮いてて焦ったけど、すぐに浸水してシンペン化して思惑通りこちらはユラユラとCDリップレス系の尻振りをしてくれた。魚も問題なく釣れている。
 こっちのタイプをしばらく大きさや重さ微調整して主軸のシンペンに育て上げていきたい。”オレゴンチーズ”色がそう見せるのか、凸凹とボンレスハム状態のボディーがどうにも湖池屋スコーンにみえてしかたないので「スコーンペン1号」と命名する。
 シリコン接着剤で巻き付けた綿系素材を固める方法は初公開かもしれない。秘密にしておいても良かったけど、見た目がショボいルアーは真似する人がほとんど居ないということは経験上分かってるので、読者の皆様にだけに大サービスで教えちゃいます。自分で作ったルアーで釣ると楽しいので今までルアーメイキングというと、銀紙貼ったりエアブラシで塗装したりとやたら面倒くせぇ印象があったかもですが「このぐらいの工作ならオレでもできる」って感じだと思うので、色々作ってみてください。リップもやり方しだいで付けられると思います。

 もいっちょオマケで、有用な工作技術をご紹介。
 ルアーぶつけて欠けたとか割れたとか、折れて後半が水底に沈んだとかだと修復不能だけど、穴が開いたとか欠けた程度ならカナリの強度で修復する方法あります。
 橋の欄干にぶつけたときにお尻が欠けたカクーンは、幸いエイト管を留めている支柱部分は生き残ってたので、欠けた部分さえ補ってやれば復活できそう。
 ということで、瞬間接着剤を欠けた部分に付けて、そこに適度な大きさに丸めたティッシュを押しつけてやって乾燥させる。そして固まったら余分な部分をカッターで荒削り後、サンドペーパーでならすと使用可能なぐらいに復活。
 繊維質の素材を樹脂で固めるってFRP(ファイバーレインフォースドプラスチック)がもろにそうだけど、樹脂だけじゃ強度が足りない場合にそれを補って、かつ成型を容易にする技術で種々応用効きます。先日雨漏り修理するのにシリコンコーキング材でグチャグチャにしたティッシュを大穴に詰めて修理したりました。


 欠けたカクーン、あとは塗装なんだけど、今回はいっそ紀伊色に塗り直してしまおうと全体再塗装。 
 隈取りもペイントマーカーで入れて”紀伊色ハトリーズ風版”という感じに仕上がっちょります。

 ルアーいじるのは買ってきても楽しいんだけど、作ったり補修したりするとまた愛着も湧くし釣りも楽しくなるので、お金を節約しつつ楽しさは削らない方向でうまくやっていきたい。ルアー買いすぎは自重する方向で。
 金なんかちょっとでもメッチャ楽しく生きてやるゼ。

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