2024年4月13日土曜日

オマケの1台ーダムと言いつつシマノー

  ネットオークションでセットでジャンクなリールがまとめて売られていたりすると、欲しい一台を確保するために「ままよ」と全部行くときってありますよね?ネットフリマは交渉次第で1台だけバラ売りもありえるけど、モタクサしている間に買われてしまうのが嫌だったり、そもそもゴミみたいな扱いで持ってけ泥棒価格の一山いくらをバラで売ってもらう交渉も気が引ける。ということで、これまたまとめてスルルのポチチで買ってしまうことも、スピニング熱に限らず蒐集系の沼の住人にはアルアルではないかと存じます。

 今回ご紹介しますシマノ「SLS1」もボロい大森「タックルNo.2」と2台まとめて1800円(送料込み)というゴミ処理価格。これをバラ売りで片方千円でとかいうのは、ワシが売りに出してる立場なら「安いんだからまとめて買っていらんほうを捨てろ!」って思うよね。などと他者の都合を思いやって生きていきたい今日この頃なのでポチった。タックルNo.2の方は既に整備済み改良済みで実戦投入中。こちらは良い感じに仕上がって実稼働中であり、すでに元は充分以上にとれている。マニュアルピックアップ機に仕上げてあるので、使いこなす喜びもあり、ミッチェル式で逆転防止OFFで使ってると、大森ハイポイドフェースギアの素直に滑らかな回転もカリカリ音抜きで楽しめてとても使ってて気持ち良い。スプールエッジをなで肩から真っ直ぐに調整したおかげか、単にスプールの直径が大きくなって、もともとその傾向のあった直径大きめスプールがさらにその傾向を強めたおかげか、ラインのさばけ方もよく、投げるのも快適。

 ということで、もう一台のオマケは複合ゴミの日に捨てても良いんだけど、ワシがそんなもったいないことをするわけもなく、わが家に来たからには全バラし分解整備のうえグリスグッチャリで仕上げてやりたい。

 だいぶ昔にこのシリーズの中型機を紹介したことがあるし、ご存じの方も多いかと思うけど、このシマノ「SLS」シリーズはドイツD・A・M社との技術協力のうえシマノが製造っていうシマノ製ダムなのである。同時期にダイワはPENNのスピニング作ってたようだし、今や考えられないけど、両国産メーカー2大巨頭もOEM(相手先ブランド生産)という下請け仕事を昔はやってたのである。

 前回の「SLS2」だったかはボロボロであんま状態良くなかったので、正直評価もクソもないような個体だったし、せっかっく小型のSLS1が手に入ったので、可能なら使用できるところまで持っていって、シマノ製ダム機の実力を見てみたいところであり、早速分解整備していこう。

 まずいつものとおり、スプール周りからなんだけど、このリール最大の売りが多分ドラグで、かなりケッタイな独特のドラグになっている。構造としては、スプールの上下の2面を使ったドラグなんだろうけど、まずは下側のスプールが乗っかる台座面は直径大きく、スプールが刺さる主軸に被せたスリーブも太くていい感じなのが写真右等で確認できるだろうか、直径大きな樹脂製台座の側面にギザギザが切ってあってドラグの音出しになっていて、写真右下のようにスプールの内側をグルッと回したワイヤーで音出しの爪になっている。メインのドラグはスプール上のもののようで、写真左上のようにドラグノブを外すとその下にコマのような円錐形をしたドラグ押さえが入っていて、それを摘まんで外すと、カーボンシートっぽいドラグパッドがスプール上面との間に入っているのが写真右上でみてとれるだろう。このパッド含めドラグの摩擦面が上も下も直径が大きく、ドラグの安定性自体は悪くなく、整備後ライン巻いてドラグの具合を試してみたけど、シャクリもせず滑り出しも悪くなく、ドラグ暗黒時代の日本製とはいえ、そこはダムと組むとまともなドラグが付くんだなというところ。ただ、このドラグよく見てもらっても”バネ”的な部品が見つけられないだろう。だって無いんだもん。ドラグパッドが乗っかってるのはスプールの上部がアリジゴクみたいに傾斜しているところで、それに合わせて円錐形のドラグ押さえが乗っていて、ひょっとしての斜めになってる構造で上手く調整幅が出せるのかも?と思ったけどイマイチよく分からず、バネがないので調整幅は狭くて、キュッと締まる、まあまあ良い感じに滑る、ズルズルの3段階ぐらいにしかならず、良い感じに滑る幅は狭くドラグ値の調整はこれでは思うようにはできないだろう。もう少し何とかならんのかといじくり回していて思いついた。これ、現状ではアリジゴクの巣にあわせてドラグパッドも傾斜してしまっているけど、元は平面で平面がアリジゴクの巣の傾斜に押しつけられてたわむことでバネの役割を果たしてたんじゃないか、と思いついてドラグパッドひっくり返して逆傾斜状態のドラグパッドにしてみた。今時のドラグみたいな幅広さはさすがに出なかったけど、そこそこ調整幅がでてバネ無しでも機能するように設計されていた。なかなか個性的で”攻めて”いて改めて悪くないドラグだと思う。

 次にハンドルなんだけど、ネジで”固定式”でハンドル根元のスリーブが捻りながらバネで上に押し上げられている方式で、ひねると折り畳める。まあこの時代の国産スピニングにはままある方式だったように思う。しかし、このハンドルなんかぐらつくんである。押し上げるバネが弱まってるのか、どっか摩耗しているのか気持ちよくキュッと止まるねじ込み式でも、パチンと止まるワンタッチでもあまりグラつくハンドルというのは見たことなかったけど、これはいただけない。なんとか調整しようにも折り畳み機構がハメ殺しなのでどうにもならん。まあ多少ガタつくのは気にしないでおくかと、次に本体開けていく。

 オッ、ハイポイドフェースギアが入ってる。以前いじった中型機ではギアはローター軸のギアの歯が真っ直ぐで軸の中心が交差しないオフセットしたフェースギア的な作りのギアが入ってた。このギア方式は稲村製作所も使っていて、削れてる場合が多く、削れていると非常に嫌な感じのギヤーッという感じのギアノイズが生じるので、あんまりこのリールを整備しても使う気なかったけど、普通にハイポイドフェースギアが入っているなら、心臓部のギアは問題ないだろうから、ハンドルなんとか調整して使えるように整備してみたくなる。ちなみにスプール上下は単純クランク方式、ローター軸のギアは真鍮でハンドル軸のギアは亜鉛一体成形で、心棒が4角。ボールベアリングはローター軸のギア上に1個のみ、ハンドル軸のギアの軸は本体アルミで直受けしていてやや手抜き感がある。

 ローター周りを見ていくと、ラインローラーは真鍮にクロームメッキの回転式で直受け、ラインローラーの手前でラインが当たって糸溝できてるのでエポキシでここにはラインが止まらず流れてローラーに落ちるようにしておいた。ベールの反転はU時の金具を使ったどうと言うことのない方式。逆転防止はローターの下に入っていて、ローター側に六角穴で填めた、ステン打ち抜き2枚重ねのラチェットを本体上の爪で止める方式でこれは丈夫そうな作り。スプールのシールが剥がれるのはこの時代のならお約束か?エポキシで貼り直しておいた。

 分解、洗浄、グリスアップはサクサクと進み、難しい機構もなく整備性は悪くない。

 ただ、整備完了の冒頭写真の状態でハンドル回したり、ベール返してみたりすると、ハンドルのがたつきはやっぱり気になるし、ベールの返りが重くて、力入れるとハンドルがクニャッと畳まれてしまったりして、どうにもいただけない。ドラグは良い感じなれど、ドラグノブが浮き気味で、ドラグノブとスプールに間ができてしまっていてラインが巻いてしまいそうなのもイマイチな点。

 ぶっちゃけシマノ製ダムはダイワ製PENNに比べると見劣りする。ダイワ製ペンはボールベアリング1個の安い機種なりに、ハンドル軸には樹脂製のブッシュをいれてたり、ねじ込み式だったりと丁寧に作られていた。ワシ、固着して糸溝できていたラインローラーの予備と替えスプールを確保してしまうぐらいに、安いつくりながら良くまとまった設計だと感じた。けど、このSLS1はそもそもハンドルがダメでってなると、他の機種からガタつかないハンドル探してきて移植するとかも馬鹿臭く、まあ、いじってお勉強できたしそれで良いかなと思ってしまう。ハンドルがガタつくってあんまり経験無くて、ワンタッチでもワンタッチの爪が折れたとかは経験あるけど、こんなにグラグラするのは初めてで、亜鉛一体成形のハンドル軸ギアの場合は、安っぽいけど”共回り方式”の方が単純で信用できる気がしてきた。その方が軽いし。もちろん軸に鉄系や真鍮のを鋳込んで”ねじ込み式”なら何の問題もない。

 まあ、この時代の試行錯誤しているスピニングにあんまり完成度をもとめても意味ないのかもしれん。ダム社という欧州老舗と技術協力して、新しいリールを作ろうとした挑戦に意味があったのかも。少なくとも今みたいに技術は充分に成熟しているはずなのに、瞬間的逆転防止機構の搭載されたしょうもないクソリール作ってるってことよりはマシだろうと思う。

 せっかく整備したけど使い道なさげなので、いじってみたいという方は送料負担いただければ先着1名様に進呈いたします。なにげに読者プレゼントのPENN5500ssも応募者なしなので、欲しい人は是非うちの蔵の整理にご協力ください。PENNの方は送料も持ちます。よろしくね。

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