左「マイクロセブンNo.5」、右「オートベールNo.5」、双方600gを越える、糸巻き量6号240mの大型機である。大森製作所のリール的にはNo.6サイズがあるので最大ではないにしても大型で、PENNなら糸巻き量的には6500SSぐらいの大き、見た目の大きさ的には糸巻き量考えるとコンパクトで5500SSよりちょい大きいかなってぐらい。
大森の小型機は人気機種ではなくても、それなりに情報がネット上にも転がっている。でも大型機に関してはその人気の無さ、注目の薄さを反映してか情報たいして出てこない。むしろロシアのオッチャンが外蹴りマイクロセブンを激賞してたってぐらいで、シェイクスピア版で馴染みのあった海外の釣り師の方が詳しいかもしれない、日本語サイトの情報は限られている。
そんな中、興味深い報告をされているのが、以前ギブスのルアーネタのときに書き込みいただいた、米国製海用ルアーを投げている方で、ブログを読ませてもらっていたら、「タックルオートNo.4」を愛用されていて、かのリールには「ストローク減速機構装置」というのが搭載されていて、スプール上下のオシュレーションカムが斜めになってるのがそれではないか?と書かれているんだけど、おそらくストローク減速機構装置自体は、ハンドル軸ギアの回転からギアを介して回転を持ってきて、ギア比によってハンドル1回転で1回スプール上下するのではなく、ハンドル数回転でスプール上下1回とかにスプール上下を減速するという、一般的な減速式のオシュレーション機構そのもののことだろうなと思う。このあたりの大森スピニング、外蹴りアウトスプール「マイクロセブン」「タックル5」はNo.3の大きさまで、「タックルオート」や「オートベール」もNo.2の大きさまでは、単純クランク方式でハンドル回転1回転でスプール上下が1往復で、使ってて特に問題は感じていない。それ以上の大きさになってくると、ハンドル軸のギアからギアを介して回転を減らしたいわゆる”減速オシュレーション”となっている(タックルオートNo.3はクランク方式ではないけど減速してないのかも?確かめたくてまた物欲が・・・)、減速オシュレーションにする理由としては、デカいスピニングになるとまずはスプールからなにから重いので、減速して軽く巻けるようにというのがあるだろう、ギア付きの自転車で坂道で低速ギアに入れるようなモノである。デカいスプールがハンドル1回転ごとにガションガションと上下してる様は迫力ありそうで見てみたくはあるけど、実釣的には巻きが重くてどうもならんだろうな。さらに、減速式にすると、巻きが綾巻気味から密巻き気味に変わるので、投げるときのラインの放出性は良くなるだろう。その分綾巻のトラブルの少なさは削られるのは行ってこいの関係で、そのへんは良い塩梅の減速比率で仕上げるのだろう。けどまあ、大型リールで減速無しはあんまりないぐらいでそれが使いやすい妥当な設計なんだろうと思う。
なので、オシュレーションカムが斜めになっているの自体は「ストローク減速機構装置」そのものを指しているのではないんだろうけど、ここで興味深いのが、タックルオート(たぶんオートベールでも)でNo.3サイズではオシュレーションカムが水平なんだけど、No.4からNo.6サイズでは斜めになっている。これは何の意味が効果があるのだろうか?私気になります!
ということで、自分でいじくってみんとあかんなということで、買いました。なんで2台あるねんって話は、れいによって予備スプール体制が組めるからで、実釣に持ち出す予定もないのに予備スプールもクソもあるかよ、という気もするけど気にしない。欲しけりゃ買うんです。
マイクロセブンの方はクソ安くて1000円落札+760円送料、オートベールは出物が少なく、ちょっと高いけどコレ買わんと次がないかなと、3980落札+980円送料とボロ個体に張り込んだけど、その後綺麗なのが3000円即決で出ててジイさんちょっとガックリ。まあ綺麗な個体はコレクター氏の棚に、ボロい個体はワシのところで整備して良い状態に、ってことでこれで良かったんだと思っておこう。
ということで、わが家に来たからには分解整備。
先に見た目ボロいオートベールから、まずスプール周り、ドラグがちょっと面白い。この時代の大森スピニングはフェルトの湿式ドラグパッドが標準装備で、この大きさでも基本は一緒なんだけど、3階建てのドラグで3枚のパッドのうち1枚が赤いファイバーワッシャーになっている(写真上列右)。このあたりの大型リールの国内での用途としては、投げ釣りが主に想定されるのでドラグとしての性能よりもしっかり締まって、投げたときにドラグが滑って指を切らないというのが求められていたのかなと想像するんだけど、ドラグパッドを一枚摩擦の大きい繊維性のドラグパッドにしてそのへんの”締まり”を確保しているんだと思う。3階建てドラグでドラグパッドの材質やらを変えるとき、変える枚数に応じてドラグの性能が調整できるってのは以前実験したとおり。さすが大森製作所、わかってらっしゃるという感じだ。 あとは、簡易ローターブレーキがついた内蹴り機構、真鍮のローター軸ギアに鋼を鋳込んだ亜鉛のハンドル軸ギアのハイポイドフェースギア、ローター軸直上の鉄系のストッパーあたりのいつもの大森方式なんだけど、さすがに大物用のリールという感じがするのは、主軸が5.6mmもあるステンレス系なのと、小型機だと樹脂製のベールアームがアルミっぽい金属製なところとかで、このあたりガッチリ強化すべきところは強化されている。ローター軸のギアもゴン太で、ギア比は4.2:1とやや低速だけどスプール径もデカいのでこんなもんでしょ。 でもって、問題のオシュレーションカム、確かに主軸に対して垂直じゃなくてちょっと斜めっている。なんで斜めになっているのか?オシュレーションカムの形状をS字にすると、だいたいスプール上下が等速に近くできて、ダイワとか最近の機種は高級機種でも丸ABUの平行巻機構に使われているようなクロスワインド方式じゃなくてS字カム方式だそうで、オシュレーションカムの形状いじると、当然スプール上下に何らかの影響が出るはずで、なんのためにそうなっているのかは、後ほど考察してみたい。
とりあえず、全バラしするとこんな感じで、ボールベアリングが2個も入ってる高級仕様だけど、無駄なモノがついてるわけじゃなく単純明快な設計になってて整備性は良い。ただ、デカいのでお盆にバラした部品が乗り切らないので、お菓子の箱を用意して適宜作業が終わった固まりからそちらに移したりして作業した。
デカいリールは当然ながらグリスぶち込むにしても必要なグリスの量が多く、こういう海で使うしかないだろって機種こそグリスグッチャリにしておきたいけど、リール用高級グリス様ぶち込んでたらいくら銭があっても足りまへん。芋グリスでも良いぐらいにギアとか丈夫なので、まあいつものマキシマの青グリスぶち込んでおく。
ただ、ぶち込む前に、ちょっとばかしお化粧直しはしてやりたい。ワシそっち方面苦手だけど、ちょっとずつ練習していこうと思ってるので、今回は塗装ハゲハゲで地金が見えてるところを、黒の車用タッチアップペンでごまかして、奇跡的に全部揃ってる銘板を、一旦剥がして貼り直しておく。銘板は、パーツクリーナーかけた後にマイナスドライバーで突っついたら、いとも簡単にペリッと剥がれる。この時代の接着剤に期待してはいけない。
色は本当は黒じゃなくて濃紺みたいな色なんだけど、黒でもごまかせるだろうエイヤァという、やっつけ仕事。タッチペン付属の筆でペタペタ塗ると確実に塗ったところが段差になって物理的にも雰囲気的にも浮くので、いったん小皿に出して綿棒でポンポン叩いて乗せたり、シャッシャと薄く汚す感じで見えてる地金を隠したり、あんまり塗り直したところがあからさまにならないようには努力したつもりだけど、銘板もコニシのSUではりつけて仕上げたけど、まあ新品同様とはいかんのはいかんともしがたい。
それでも、いつものことだけど、大森スピニングのギア等内部構造はまったくガタなど来ておらず、ベアリングも今回錆びておらず、機能的にはクルックルの絶好調に仕上がったので良しとしておこう。
当時の国内では、大型のスピニングは糸巻き量が必要な投げ釣りが主な使いどころで、正直、キスだのカレイだの釣るのにこのリールの性能は必要ないというか、対大物用の性能が活かされていたのかはなはだ疑問ではある。そもそも大物用には両軸使えって話ではあるけど、このリールの想定しているナイロン6号、8号あたりって、ポンド換算でいえば22ポンド、30ポンドぐらいなわけで、PENNでいえば6500SS、7500SSで狙うような、必ずしも両軸にお出まし願わなければならんほどじゃない大物に使うなら、その実力を発揮しえるだろうなと夢想する。
続いて、マイクロセブンNo.5の方も分解整備していく。古いリールなのでグリスがネットネトになっていて、最初エラい重いのでやや不安な立ち上がりだったけど、鬼門のラインローラーナットも固着しておらず無事外せて、グリスをパーツクリーナーで洗浄したら、ギアも当然健在でベアリングも錆びておらず、スプール裏とかに多少砂が残ってたけど、大事に使われていたのか、はたまたこの青い塗装は強いのか、見た目的にも表面塗装のハゲとかは少なく、小さな置き傷とか擦れはあるけど、比較的綺麗な個体で、外蹴りでオートベールよりもさらに単純な設計なのでサクサクとバラしてグリスグッチャリで仕上げた。うーんどうにも格好いいな。小型の機種については、最近も代打で登場願った「マイコン301TB」で感じたんだけど、ベール反転が内蹴り式で軽いのは使っててすんごく気持ち良いってのはある。ワシ、昔はスピニングは全部左手でライン放出調整してそのまま左手でベールを返す方式でやってたけど、インスプールスピニングも使うようになって、最近は小型スピニングは基本どおり右手人差し指でライン放出調整してハンドルでベールを返すようになっててベール反転が軽いことの重要性が腑に落ちてきてはいるんだけど、一方なぜもともと左手でライン放出調整してたのかといえば、デカいルアー投げると右手人差し指ではライン放出調整しきれないので、そっちにあわせてたんである。ということは内蹴り式でベールをハンドルリターンした時の感触はオートベールに軍配が上がるけど、大型機では左手で返すからハンドルリターン時の感触は関係なくて、となると単純な設計の外蹴りマイクロセブンのほうがワシ向きかなという気もしてくるのである。
ドラグの方式は、オートベールと同じくパッドが1枚赤い繊維性のワッシャーで、スプールの互換性もあり。オシュレーションカムが”斜め”ってるのも同じで写真は引っこ抜いて溝が見やすいように裏向けたところ。基本オートベールは外蹴りアウトスプール版の「マイクロセブン」に内蹴り機構をぶち込んで、本体の形状をやや曲線を帯びたデザインにあらためた後継機だという認識で良いんだと思っている。
マイクロセブンにも大型機ならではの強化が施されていて、ローターのベールが付く”腕”部分に斜めに張り出した補強部分が設けてあり、いかにも大物仕様といった雰囲気が醸し出されている(訂正:小型機でも補強されてました。嘘書いてゴメン)。やっぱり格好いいぞ。写真はベールアームと反対側のベールワイヤー支持部で左側にはみ出してる部分がそれ、もちろん向こう側のベールアーム側にも同様の補強部分がある。そして背景に見切れている主軸はこちらのも太ましい。まあスプール共通からして設計同じだろうからあたりまえか。
でもって、今回の大きな疑問である”なぜ大型機でオシュレーションカムが斜めになっているのか”についてだけど、頭から煙噴くぐらいに考えたけど、コレっていうしっくりくる答にはたどりつけなかった。たぶんこうかな?という推定はしてみたけど、正しくその設計思想が読めた方がおられましたら是非、私めにも教えてください。
まず、前提条件としてワシ頭の中でイメージ図を動かすことが苦手というかほぼできない。なので、そういうのが得意な人からしたら「なにやってんだコイツ?」かもだけど、そういう人なので四苦八苦してるところはお見苦しくともご容赦願いたい。とりあえず、疑ったのは”斜めにすると平行巻に近づくのではないか?”ということで、これはマイクロセブンNO.5に最初巻かれていたナイロンラインが、そこそこ綺麗に巻かれているようにもみえたので、きっとそうだと期待してしまった。
なんだろ、オシュレーションカムの端まで棒が来て折り返す”死点”の前後で上下動のスピードが落ちるのが平行巻にならず端が盛り上がる原因だけど、斜めにすることで死点が上下動の一番上と下とズレるとかか?と思って、頭の中でイメージが動かせないので、現物でとりあえずと考えてる作業風景が、マイクロセブンの分解整備作業の写真でオシュレーションカムを溝が見えるようにひっくり返しているものである。正直斜めの角度も緩いので良く分からん。ということで、次にこれはTAKE先生がS字カム方式のときに書いてたような略図を書くしかないなと書いてみたのが、写真上の図なんだけど、適当にフリーハンドで角度を決めて点を打ってるので精度が全くアテにならず、死点を越えてから下がってるのか上がってるのか良く分からんかった。つぎにじゃあ実際に回転する時におこるイメージを視覚的に追えるようにしてみようかと円書いて、仮想の主軸位置(紫)と仮想の傾きを紙に書いて、その上に重ねられるようになんかの蓋だったプラのシートに仮想のオシュレーションカムの溝(オレンジ)+仮想の主軸(これも紫)を書き込んで、プラに書いた主軸を上下させて、死点を越えて主軸が上がったり下がったりするのか確認したところ、「しない」「速度が死点前後で落ちて、上下動は両死点の高さの間」だとワシャ判断した。誰か同じようなこと調べてないかなと思ったら、インスプールのカーディナル33とかは、クランク方式だけどクランクを回してるハンドル軸のギアの一番上と下から斜めにずれて死点が来る点で似ているようで、じゃあスプール上下の動きはどうなるのか?っていうのを考察されている方がいた。その方は、ワシみたいな”数学が苦手な理系”というアホとはちがって、三角関数つかってグラフ書いて同じような結論にたどり着いていた。彼我の理系的頭の良さの差を思うと泣けてきた。サインコサインは役に立たない数学的知識の例として歌にまで歌われていたけど、知ってると機械の働きとか理解するのに役に立ったりします。じゃあなぜ、オシュレーションカムを斜めにしているのか、死点間の高さでスプールが上下動するので、運動エネルギーがその分節約できる。っていうのはスプール上下幅減るのと行ってこいの関係で、それをやるならオシュレーションカムを上下させてる歯車の径を小さくすれば良いだけで、そのほうが軽量化にもなるだろう。
って考えてって、スプール上下のためになにか寄与してる、っていうのではなさそうだなと思う。じゃあなんでって考えて、本体内の配置とか見ていると、どうもオシュレーションカムを真っ直ぐにしてしまうと、ハンドル軸と干渉してしまいそうに思う。単にそれを避けるためという配置上の都合であったのではないかというのが、今のところの私の考察。たぶん、No.4サイズから設計していったので、同じように設計しようとしたら、大型化するに際してカムの肉厚とかも増したら「入らんがな」ってなって、回転する歯車の上のカムに刺さる棒をもっと中心に寄せて回転する径を小さくするか、カムを斜めに下げて干渉をさけるか、どちらにしてもスプール上下幅が小さくなるけど”致し方なし”として後者としたのではなかろうか?これら2台より後発になってギア形式の違いから設計やり直しができた「スーパー7No.3」では素直にもう1枚歯車を入れてハンドル軸からオシュレーション上下の歯車を遠ざけている。その際にカムは斜めではなく真っ直ぐになっていて、斜めにすることでラインの平行巻に寄与するようなことがあれば、後発機でもそうしてそうだけど、スーパー7はまだNo.3サイズで直接比較にはならんのかもだけど、他に「マイコンNo.6」でも斜めではなく、やっぱり平行巻への寄与はなさそう。設計上スペースが無かった、っていうショボい理由が案外正解かなと思っちょります。「こういう利点があるんですよ」というのが分かった賢い方がおられましたら、是非とも教えてください。ワシのピンボケた頭ではこのあたりが限界でした。
なんで、あんまり巻き上がりが凸凹してないのか不思議な感じである。れいによってスプール上下幅より糸巻き部分の幅を大きく取ってごまかしてるのかと思って、スプール上下にともなってどこまでラインが巻かれているか、ラインの色を変えて確認してみたところ、写真の様にわりとキッチリ上下幅一杯にラインが巻かれていて、なかなかヤる感じになっているのである(この写真で見ると真ん中へんが若干くぼんでて平行巻にはなってないなという気はする。ちなみに減速比はギア比4.2:1でハンドル一回転で4.2巻きと考えると、片道6巻きになってるからだいたい1/3弱ぐらいに減速というところか?) というところも含め、2台いじくって感じたのは、大森のこの時代の大型機はなかなかやってくれそうだということで、90年代ぐらいにルアーキャスティングの世界でPEラインが使われるようになり始めて、ロウニンアジとかが対象魚として注目されるようになったんだけど、当初国産の大型機はお話にならなかった。ほぼPENN一択。なぜならそれまで国内向けの大型スピニングは前の方でも書いたように投げ釣り用が主で、ドラグもろくなもんじゃなかっただろうし、強度も不足していたはず。なので、ルアー用の大型スピニングを、ってなっても作り慣れてないので、最初の頃はダイワのトーナメントもシマノのステラも、PENNユーザーが鼻で笑う程度のデキだった。ファイト中に瞬間的逆転防止機構が壊れる、ドラグはウィンウィンと音を立ててしゃくる、ハンドルノブのベアリングが錆びて潮かぶると一発でキコキコ鳴き始める。そこで反省してPENNみたいなスピニングを作っておけば良いのに、そうならずに逆転防止機構の改良やら防水、あつものに懲りてドラグにボールベアリングまでぶち込んで、ベアリングも防水してってやって、アホみたいな価格の高級リール様が誕生するに至っている。もし、あの頃に大森大型機を投入するという発想があったら、案外すんなりロウニンアジぐらい釣れたんじゃないか?っていう気がするのである。オートベールNo.5で”釣力”17kgとなってて、これは最大ドラグ値(あるいは耐破壊強度のほうか?)と同じような意味だったはずで、手持ちのスピニングタックルでドラグ値10キロ以上に上げて使えるマッチョな釣り人など希有なぐらいではあるけど、そのぐらいの負荷に耐えうる強度は確保してあるっていうことで、実際ワシを例に出すならPENNの7500ssでドラグ値6~7キロで運用してたんだけど、そのぐらいのドラグ値なら大森大型機はまるで平気な気がする。主な購買層が投げ釣りで、性能の良いドラグも、大物と渡りあえる”釣力”も必要とされていなくても、大型のスピニングリールならば大森製作所はそれが必要だと考えてたんだと思えてくる。ただ、大型スピニング用のドラグパッドとしてフェルトはどうなんだろう?とかドラグノブ樹脂製なのはドラグキツめで突っ走られたときに摩擦熱で溶けたりしないだろうか?っていうのは、ちょっと不安なところではある。ただ、ドラグ周りは難しい機構じゃないので好きにいじる余地はある。パッドはたぶんアクリルとかの化繊であるフェルトよりは、フライパンの表面加工にも使われるぐらいの耐熱性があるテフロンや、大型リールでは定番のPENN方式といって良いかも?なカーボンシートやらのほうが良さそうだし、ドラグノブの摩擦熱対策は、ドラグノブと一番上のワッシャーの間に、熱伝導率の良くないパッドを断熱材として挟んでやるとか工夫はできそうである。逆に言うと不安なのはドラグ周りぐらいしかなく、何しろギアやら本体枠やらはガッチリ作られていて頑丈で、設計も複雑なところがなく壊れる要素も少ない。90年代始めには大森製作所はなくなってしまったので、100g超の大型ルアーのキャスティング向けとしては誰も目をつける人はいなかったけど、もし使ってたら多少の改造でアッサリ必要な性能を確保できてたのではないかという気がしてくるのである。なので、遅きに失した感はあれども、この冬ちょっと手を入れた対青物仕様の大型大森スピニングっていうのを考えて、遊んでみようかなと考えている。実際の青物釣りは、この地で岸からだと試行錯誤して遊んでる余裕はないので、実釣はPENNで行くんだけど、魚掛けなくてもドラグテストとかは可能なのでちょっと頭の中に試したいことがいくつかあるので、暇をみて試してみたい。
タイトルに使うにあたって”斜にかまえる”という言葉を検索して意味を確認したところ、実はこの言葉はもともとは剣術の用語に由来するようで、剣を斜めに、つまり中段にかまえて、相手の動きに即応できるようにかまえることから、本来「真正面から気合い入れ直してかかる」的な意味だったようだ、現代では逆に「正面からとらえず、皮肉な態度をとる」と反転している。
大森製作所が、オシュレーションカムを斜にかまえたのは、まさに”斜にかまえて”設計上の問題に即応したんじゃないかと考察したところであり、適当に語感の良い言葉を並べただけのタイトルなんだけど、なんか意味深長な感じになってるやんけ、とほくそ笑んだところである。