2019年6月8日土曜日

過去の経験に学び、未来を想定し、今をなんとかかんとかする


 宿舎の灯りにコクワガタが飛んできてた。夏がやってくるなという気がする。まあその前に梅雨が来たな。
 でも今年は昨年豪雨のようにライズしていたアユが、ほんのちょっぴりしか近所には上がってきておらず、同じように季節は巡ってくるといっても実際には毎年毎年違っていて今年の夏はっていうか春も梅雨も一期一会で、今巡ってきたその瞬間はその時だけで後戻りも先取りもしようがなく、今の状況を、その状況に合わせて臨機応変に対応しながらなんとかせにゃならんのだろうなと思う。
 アユがあがってこないというのを嘆いていても仕方ない。それならそれで昨年同期はアユにかまけて放置していたヘラ釣りをしっかりやっておきたい。

 とはいえ、梅雨に入って雨が降ればテナガも釣りたいし増水濁りならば近所でシーバスも釣っておきたい。
 梅雨がやってきてアユがやってこないけど、そんななか竿がやってきた。
 まあ、竿が勝手にやってくるわきゃないので買ったんだけど、最近の物流速度には驚かされるばかりで、PENNのパーツとかアメリカから1週間かそこらのうちに届いたりするけど、さすがに竿は船便なので2月くらいはかかるかなと思ってたら、1月で届いた。船の速度がそんなに速くなってるわきゃないので、発注してからの在庫管理システムとかによる迅速な発送やら、陸送網の充実やらの分で1月がとこ早くなってるンだと思うけど、なにげに凄いことが起こってる時代だなと思う。

 買ったのは、今使っているアグリースティックライト7Fの後継として秋から導入念頭に買ったけど今から使えるな、なアグリースティックエリート7Fミディアムとバスプロのプライベートブランドのマイクロライトグラスの7.6Fのウルトラライトという安竿2本。どちらも2ピース。
 アメリカの安竿の何が良いって、グリップが今時の日本製のみたいに途中でブランクス剥き出しになってないのが個人的に好み。昔から長竿だと軽量化とコルクやらEVAの節約のためにそうなってたし、そういうデザインの竿があっても別に良いけど、今の猫も杓子も短竿でも同じようにそうなってるのを見ると使いたくなくなる。
 今回欲しかったのはアグリースティックの方で49.99米ドルの安竿なんだけど、送料が船便でも3千円ぐらいはするので、関税の対象とならない「商品価格合計の60%が1万円以下」の範囲でもう一本ぐらい安竿買って送料割安にしておくかと、また用もないのに竿を買ってしまう悪癖を発揮。竿だいぶ売ったから多少余裕あるしな。
 一番手堅い買い物するならもう一本アグリースティックで、Liteの後継らしいElite(綴り「E」足しただけや!)をもういっちょでもいいけど、気分を変えてグリップとかEVA使用で今時ッぽい仕様のGX2の同じくミディアムアクション7フィート2ピースのモデルでってのが値段も39.99ドルとチョイ安いので良い選択かなと思う。
 思うんだけど、こういうときには冒険でしょでしょということで、ルアーで狙うメバルとかカマスとか小物用のロッドって今後あると良いかもなと、ウルトラライトの短めのは渓流用のを流用すればいくらでもあるので、チョイ長めのウルトラライトロッドをと探してみた。
 米国ではブルーギルやらパンプキンシードやらの”パンフィッシュ”用の竿が各種売っててそれっぽい7.5Fの黄色いグラス竿があったのでこれにした。
 何しろバスプロブランドで出てるのもあってクソ安い。19.99ドルという持ってけ泥棒価格。ガイドはセラミックだしいかにもな安物だけど昔のイーグルクローの黄色いグラスロッドとか思い出されて見た目は悪くなさそう(ネットで見た時点では)、ガイドなんざいざとなったら取っ替えりゃよいし、失敗しても失うモノは19.99ドルとたかがしれてる。
 でもって、実物来てみると、やっぱり失敗したかな?という今年のクソザオオブザイヤーを受賞しそうな代物であった。久しぶりにドキドキするようなクソ竿感。
 7.5フィートってたいしたことはないけどそれでもこのクラスとしては長竿で、グラス100%のブランクスは厚ぼったいセラミックリングのガイドも相まってぶっちゃけ重い。使えなくはないけど尻にオモリ突っ込んで重心調整したくなる。
 グリップをはじめ全体的に予想外にゴツい。ULアクションで適合ラインは4~8LBとなっているので、バットまでグニャグニャのお遊びロッドだと期待してたんだけど、妙に本気度のうかがえる腰の入ったぶっといバットに、使うラインが細くなっても使い手の手が小さくなるわけじゃないっていえばその通りなんだけど、グリップも米国人仕様で太い。写真見てもらえれば分かるけどアグリースティックよりむしろ太い。
 このゴツい竿に細糸を巻いた小さいリールを付けてバランスが取れる気が全くしない。でも、グラスの長めの竿で遊んだら面白いかな?ぐらいの軽い気持ちで買ったけど、この米国人的には本気の小物竿は、グニャリとアタリを弾かなさそうな竿先で掛けまくり、予想外の大物の引きも粘りのあるバットでタメてしのぐというのをやってくれそうで、案外使ってみるとハマるかもしれん。いざとなったら日本人仕様の細いグリップとかに換装して使えば良いしとりあえず秋頃実戦投入してその実力を見きわめさせてもらおうか。
 ためしに、2本にそれぞれリール付けてみたら、マイクロライトグラスにアクションMはそれ程違和感ない。安物どうしで似合ってる気がする。ちょっと恥ずかしいけどこの恥ずかしさはワシャ大丈夫。身分不相応な道具とか使う恥ずかしさは耐えられんけどクソ竿ゴミスピ使ってて向けられる軽蔑の視線はむしろご褒美です。
 アグリースティックエリートに714Zの方は”近未来アグリースティック”って感じでこれは結構悪くない見た目。リールシートの部分ブランクスが剥き出しになっててリールのフットの真ん中へん浮いている。なんでこんな構造になってるんだろうと考えたけど、ひょっとしてベイトの引き金部分を取っ払っただけのデザインで、元々のベイトのグリップでは直接ブランクスに指が触れて感度が良いとかいう屁理屈が付いてたんじゃなかろうか?でもベイトでもブランクス触れるようにするならリールシートの逆側だよな?結局わけ分からんこけおどしなのかも知れんけど気にしないでおこう。


 元々アグリースティックも買った最初はあちゃー失敗してしもた!と感じたクソ竿で、使っていくうちに、そのソリッドティップの柔らかく弾かない竿先とゴツいカーボンのバットの丈夫さに惚れ込んで、今回ナマジ的には3代目にあたるエリートを買ったんだけど、1代目から伝統的にブランクスは良いのにガイドだのグリップだのがショボい。
 1代目も2代目もガイドは使っているとフットが折れたりリングが抜けたり削れたりとろくなガイドは付いてなかった。国内でアグリースティック使ってる人をネットで探してみると、やはり皆さん”ガイドはFujiのSIC”に換装されてたりする。
 今回買ったエリートに付いているガイドも「アグリータフガイド」たらいうやつらしいけど、見てのとおりステンレスのガイドフレームにラインの当たる内側だけリングっぽい丸みをもたせてその上に直接ハードクロームメッキを施したようないかにも安上がりなデキのモノが付いていらっしゃる。
 バスプロショップスの購入者レビュー欄は割れてて「安くて丈夫」「最強の費用対効果竿」という高評価の中に「すぐにガイドが削れて使い物にならん」という低評価が混じっている。
 おそらく、日本の釣り人の多くはそんなメッキなんて方式でまともなガイドが作れるわけがないと思うだろうし、高評価を付けている購入者も使っていくうちにガイドが削れて評価を改めるハメになるだろうと想像すると思う。
 それは違うんじゃないかと私は思っている。削れたと不評を書き込んでいる釣り人のガイドは釣行1回とかですぐに削れ始めたようだし、たぶん全部が同じような品質ならそういう評価ばかりになるはずで、どうも1発で削れるような不良品と、そこそこ実用的な強度の確保できてる良品とが混ざっているんじゃなかろうか?
 硬質クロームメッキが実用上充分な強度を有しているっていう事例は、ルアーマンとかにはにわかに信じにくいかもしれないけど、フライマンならスネークガイドが単なる針金にメッキしただけに見える製品だけど、ラインが太いとはいえルアー以上にラインの出入りがあるロッドに付いているガイドがメッキでも実用上問題なく、かつ構造が単純で軽いということは経験的に知っておられるだろう。
 じゃあなんで、ルアーロッドとかのガイドは昔のメッキした”針金ガイド”じゃなくて今のような硬質なリングをはめたガイドになっているのか、その辺りの事情は「Fuji」の社長であった大村隆一著「ロッドクラフト」にみてとれる。
 該当箇所を抜粋すると「ハードクロームリング ステンレス製のワイヤーリングはキズが付きやすいため、超硬質のハードククローム(原文まま)をメッキしたものが開発されました。しかし、このハードクロームは生産コストが非常に高いにもかかわらず、見た目には、普通のクロームメッキと全く区別がつかないため、過とう競争による品質の低下が行われ、その性質も普通のクロームメッキと変わらないものとなってしまいました。すなわち、ハードクロームにおいては良質の品質を維持することは不可能に近く、この種のガイドは消滅を余儀なくさせられた訳です。」となっている。性能がダメってわけじゃなかったみたいで、品質維持が難しいし、安っぽく見られて嫌われただけのようだ。
 ちなみに紹介されている物性で比較すると、「SIC」がビーッカース硬度2400、熱伝導率0.17、「アルミナ(酸化アルミニウム、ハードガイド)」が硬度1500、熱伝導率0.04、「ハードクローム」が硬度700~1300、熱伝導率0.06となっていて、流石のSICの高数値に比べると見劣りしてしまうけど、実際にはナイロンラインはもちろんPEの使用でも問題ないぐらいの性能を誇るアルミナに近いぐらいの性能が、良質なハードクロームメッキのガイドなら得られるのである。
 この本が書かれた80年代当時と「生産コストが高くて良質の品質を維持することが難しい」っていうのが今でも同じなら、品質が維持できてなくて、実用性に欠ける道具には厳しい米国の釣り人がダメ出しする品質のものから、日本人のようにSIC以上が付いていないと不安な釣り人じゃないので実用上問題なく「安くて最高」と評価できる品質のモノまで混ざって出回ってしまってるのではないかと想像する。
 試作品段階では充分な強度が得られていたけど、実際に製品として生産し始めたら、納期の関係やら経費削減の関係やら色々と絡んで、品質管理が徹底できていないんじゃなかろうか?どうした世界の工場中国よ?最近の製品にはメイドインチャイナと目立つところにプリントされていて、すでに高品質な製品の証として他の新興工業国製と差別化する”ブランド”になってるんだなと思うけど、どないなっとるねンと鬼の首を取ったように迫りたいところではあるけど、そのあたりは批判の対象であるにしても、正直49.99ドルの安竿にそこまでの品質管理を求めるのも酷だろうなという気はする。
 アグリータフガイド方式が実用上問題ない製品を安く提供する手段になり得たら、ガイドの軽量化にも貢献するだろうし、なんか新型のガイド数多いガイドシステムを売ろうという気が満々見え見えのFuji社の牙城を突き崩す勢力にもなりえるだろうし、選択肢が増えて良いんじゃなかろうかとも思うので、とりあえず1票は投じたところだし、このガイドが当たりかハズレかしばらくそのままで使ってみて耐久性とかを見てみたい。
 あかんかっても、SICの”割れ”のように発生した段階でガイドが刃物化して即使用不能になるような不具合と違って削れていくのは徐々に溝が深くなっていきダメになっていくので、気付いた時点でガイド交換で充分間に合う。
 今まで使ってたアグリースティックライト用に、Fuji社の国内向け販売製品では一番低価格のアルミナ系の「Oリング」というのが入ったの中心にステンレスフレームのガイドを確保してあるので、いつでも交換可能である。安いアルミナ系ガイドって国内じゃ売ってるところが少なくて、そもそもトップと穂先近くの小さいのはあったけど、シングルフットのバットの方に使うサイズはFuji社のカタログにもなくて、大きいのは在庫してあるSICのをそれ以外はネット店舗でOリング入ったのを探してお取り寄せで何とか確保したところ。ステンレスフレームのSICガイドだと1個400円ぐらいしてたけど「Oリング」ガイドだと一個100円200円で全取っ替えしても千円がとこで済むので、アルミナ系で実用性は問題ないと経験上知っているので多少性能落ちてもお値打ち感でワシャこちらを選ばせてもらいまっさ。自分の釣りに過剰な性能はワシャいらん。Fuji様におかれましてはアルミナ系の安ガイド国内向けももっと充実させてください。お願いしやす。
 
 てな感じで梅雨って雨は降るけど風は吹かないハズなので、雨なら気温もそう上がらないしカッパさえ着込んじまえば釣りやすい状況は多いので、梅雨までにカッパの防水かけ直しておかねばと思ってたけど、間に合わんかった。まあ梅雨の晴れ間に泥縄でやっつけよう。
 梅雨には梅雨の釣りをする。

8 件のコメント:

  1. 初めまして
    糞竿、糞リールの類い、合衆国から来た代物って高い確率で現場に出す、若しくは一匹釣る迄は「糞」認定したくなるのが多いですよね( ´∀`)
    ペンのリールも他に選択肢がない時代ですら大概な感触で慣れて独特の耐性が付くまで糞な感じでした。

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    1. ぬこさん こんばんは

       慣れると美味しいくさやの干物!!(©山上たつひこ)って感じですよね。分かってくれる人がいて嬉しいです。
       米国人の好む道具って使ってみるとだいたい私の好みにも合うのですが、なぜクローズドフェイスリールがあんなに人気なのかだけは理解不能です。使ったら案外気に入るんでしょうか?うかつに踏み込んでまた変な沼に沈みたくないのでクローズドフェイスリールには手を出さないようにしておきます。
       君子じゃなくても危うきには近づかない方が良いですからね。

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  2. クローズドフェイス、条件が厳しいけどそれに適応すればかなり合理的なアイテムになりますね。
    ゼブコのトリガースピンならバス釣りで、ボートかフローター等で近距離ピッチングなんてやるとツボにハマりました。
    あと管釣りでゼブコの一番小さいモデル使ってるアングラーにかなり差を付けられた経験もしましたから合衆国で売れ筋なのは充分理解出来ます。
    ヴィンテージのABU以外は安いですしダイワか特にゼブコなら頑丈で整備性も優れていますから味見するくらいなら良いかとw
    ペン700系みたいにカタログスペックがアレでも実際に使用するとssシリーズより能率が上がるようなしな代物じゃなく投げるのに少し慣れが必要で巻き上げが遅く弱いから操作するのも魚掛けた時でも楽しめると思います
    ゼブコのバス釣り向けのなら古めのシーバスロッドでバランス取れますしあまり散財する事もないでしょう。

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    1. やっぱりアメリカンなクローズドフェイスと言えばゼブコが気分ですね。
      アレどうやって飛距離調整するんだろうと思ってましたが、トリガースピンなら指が穴に届きそうだから何とかなるのかな?
      投げるときも巻くときもラインにテンションが掛かるのは飛距離では損するけど、ライントラブルの少なさでは得するのかなと思って、夜に細い糸使って軽いルアー投げるメバル釣りとかに使ったらライントラブル少なくて良いかもとか想像すると欲しくなってきて、ちょっと○フオク見たら新品でも3000円ぐらいでまた欲しくなるわけで困ったもんです。

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    2. ゼブコのはフェザリングはトリガーで微調整出来ます。
      強く引くとラインがロックされてドラグ関係なくフルロック出来るから巻き上げ力乏しくも太いライン巻いてランカー狙いで通用するわけです
      ABU 500やスピンキャスティングリールはその辺どうなってるのか私もわかりません。

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    3. あのトリガーそんな機能もあるんですね。やっぱり買うべきか?

      ちなみにABUの下に付くクローズドフェイスリールは、ラインが出るのが穴じゃなくて輪っか状の隙間です。輪っかの真ん中に人差し指で押すデッカいボタンが付いてます。なのでライン放出はスピニングに近い大きな同心円を描いて出て行き、巻き取るときは狭い隙間を通るので適度にテンションかかるという構造になってました。右巻のを中古屋でリアクションバイトして結局使わないので左利きの人にあげたので実釣は未経験ですがナルホドという設計だったと思います。

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  3. こんばんは
    自分も少し前にUgly Stick Eliteを買ったのでタイムリーな話題です。
    ちなみに私は7FのMを1本注文したのに何故か同じ竿が2本送られてきました(笑)
    知っていれば一本譲ったのですが……
    おそらく表記の2ピースを向こうのスタッフが2本と勘違いしたんでしょうかね?流石はアメリカン(汗

    ここ数年、カヤック用で餌もルアーもできてラフに扱えるアグリースティック的なロッドを探していたのですが、以外にも国産でそれらしい竿に出会いました。
    ノリーズのロードランナーHV660MLSとテンリュウのOL632S-DFMLという竿ですが、おそらくどちらもテンリュウ製かと思います。
    「マグナフレックス製法」なる異種素材の継ぎ技術の恩恵か「つの字曲げ」余裕の汚ねぇベンドカーブがまさに国産アグリースティックと呼ぶべきロッドに仕上がっています(褒めています)

    アグリースティックファンならば、あの味付けには唸るかと思いますよ。

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    1. こんばんは

      1本の値段でなんと2本おつけします!って笑いが止まらん。
      バスプロショップスは昔はいい加減な発送だったけど最近はちゃんとしてきたと思ってたけどやるときはやるもんですね。
      若い頃、まったく注文した憶えのない定規で作ったコンパスのようなモノが入っていて、説明読んだらギーコギーコこすりあわせる音で七面鳥を呼ぶというターキーコールなる商品らしくて本来注文したものは入っとらんし愕然としたことを憶えています。調べてみたらあっちの人はアーチェリーで接近戦で七面鳥狩るのが難易度高くて玄人好みの狩りだとか何とか。ウーン遠い異国の話だなぁと思ったのを思い出します。

      しかしよもや国産ロッドでつの字に曲げられる竿が存在するとは思いませんでした。中古で見つけたら買いそうな自分が怖い。

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