2017年6月30日金曜日
ハリスはどっちだ
腰の具合は思ったほど酷くなくて、この分なら明日は釣りに行けるかなという感じになってきた。痛みというよりは違和感程度にまで回復。
ヘラ用の0.5号のハリスを一巻き使い切ったのを買い足しに行こうと思って色々考えた。
まずは、いつもの台詞で申し訳ないが「ヘラ釣りの道具は何でも高い」 というのがなんとかならんのか?と思うところ。
50mで2千円以上とかの高級品の横に並んでいるから、50m千円のハリスも「普通」の値段に見えるけど、これまで親しんできたルアー用のナイロンラインなら、割と良いやつで100m千円、費用対効果抜群のダイワ「ジャストロン」なら500m千円しない。
正直、それが相場だから、ヘラ釣り用のラインは中級グレードは50m千円、高級品は50m2千円とかの価格設定になってるだけで、実際の原材料費だの製造費だの製品としての価値だのとかとは別の所で値段が高く設定されているような気がしてならない。
まだ、ハリスは分かる。直接魚に触れる部分だし、吸い込みよくしなやかで、でも短くても切れないように強度も必要とか結構難しい条件を満たさないといけない。
でも道糸なんて、見やすくて安定した強度がある以上に求められる要素ってあるの?伸びないように吸水性を抑えるコーティングが、とか流れの影響を受けにくいようにあるいは早く沈むように細く、とかあるのかもだけど、前者は今時のラインならルアー用だろうがなんだろうが当たり前の処理で、ヘラ用だけ高級な理由にならない。後者はフロロカーボンでも使ってろって話。
なので、最初0.8号の道糸はダイワの良いやつを買ったけど、ハリスを0.5に上げたときには、道糸新たに買うのも馬鹿臭くなって、1号っていったら4ポンドだろうから、昔渓流でルアー投げてた時のがあっただろうと、ごそごそ探してみたら、10数年前の当時お気に入りだったザウルスの「バスラインスピニング4LB」が残っていたので、想い出深いコレを使ってみた。とっておいても仕方ないしね。ナイロンラインって経年劣化する印象が強いかも知れないけど、暗所で紙パッケージに入れて保存してあると、かなりの長期間でもさほど劣化せずに使える。ちょっと試しに結んで引きちぎってみて充分な強度が残っているようなので使っていた。道糸高切れもなく問題なく使えていて、渓流でルアーの航跡を目で追えた白系色の視認性の良さも健在。
でも、ナイロンラインは2回ぐらい使ったら交換という早めの交換でバンバン使っていくので、半分ぐらいは残っていたと思うこのラインももう使い切りそう。
ということで、手頃なナイロンラインでまた視認性良いのをと考えると、残念ながらジャストロンが2号以上しかないので、ルアー用で派手めのカラーのを探してみたら、バリバスの「スーパートラウトアドバンスサイトエディション」というのが、蛍光緑で見やすそうで値段も100m千円強とまあこんなもんかというところなので4LB1号相当のを買ってみた。
道糸用のラインは余り悩まずに済んだのだけどハリスは悩ましい。最初に買ったときに「今時ナイロンハリスなんだ!」と驚いたぐらいで、細ハリスならフロロカーボンの時代に、あえて柔らかいナイロンにこだわらないと吸い込みが悪いと聞くし、細けりゃ切れる確率は上がるしで細くて柔らかくて強くて結びも丈夫というのはけっこう条件難しい。
とりあえずバリバス「スーパーへらハリス」は50m千円の中級グレード品で、まったく使用に問題を感じていないのだけど、正直「こんなのヘラ用じゃなければもっと安く売ってないのか?」と思ってしまう。
ので、ネットで色々と調べてみた。狙い所としては、ヘラ専用じゃない「銀鱗」とか「スタークU」あたりの一般的な安めのハリスで良いのがないかというのと、そもそもハリスじゃなくて良いから今時の高性能ナイロンで0.5号とかの細いのがないかあたり。
「スタークU」は既に代替わりで「スタークU2」になって値段もお高くなってしまっている。「銀鱗」は今でも健在で、これの0.5号とか50m500円くらいで使えるかもしれん。とか思っていたら、ヘラ釣り界隈では使える安ハリスとして東洋ナイロンの「レブロン」というのがあるという情報をみつけ、ちょっと調べてみたら、「安いけど太い」という批判もあるにはあるけど「安いのに丈夫」「アワせ切れしにくい」という好評が多く、どうもこれは「当たり」っぽい。特にフライマンがティペットに使ったらアワせ切れがなくなったとか書いているのは、ナイロンラインらしくビヨーンと伸びてショックを吸収してくれているからのような気がする。値段も定価は50m千円だけど実売は600円くらいとお安いので早速買ってみた。
もう一方の、ハリスじゃなくて今時の高性能ナイロンの細いのも探してみたが、これがあんまり無い。細い道糸自体は管理釣り場のトラウト用にあるにはあるんだけど、だいたい見やすい色が付けられていてハリス向きじゃない。でもまあ東レ「ソラロームⅡトラウトリアルファイターエリアスペックスーパーソフト」というのとバリバス「トラウトエリアマスターリミテッドSVGナイロン」というのは条件に合致しているようなので、バリバスの方が馴染みがあって好きなのでバリバス「SVG」を買ってみた。
「最高峰ナイロン」を謳うこのラインはなんと、0.5号相当の太さで3LBという強度があるらしい。普通今のナイロンラインは1号相当で4LBなので比率で行けばその1.5倍というメチャクチャな強さ。ホントかよ?という感じだが、お値段は150m千5百円(実売1350円)で安ハリス代表のレブロンより単位当たりの値段は安い。
製法自体が他のナイロンと違うような説明で、今までのラインの2クラス上の強さとのことだが、それにしては同じバリバスのヘラ用高級ハリス「プロバージョンVへら」「スーパーステージ マスタースペックへら」にはその「SVG製法」は使われていないようで、これはヘラハリス向けじゃないフロロみたいな堅さがあるとか、直線強力があるけど結束強度が落ちるとかそんなのかな?と解せない気持ちが湧いてきた。
まあ、そんな場合は実験だよね。ということで実験、実験!
今回の実験は単純明快。バリバス「スーパーへらハリス」、東洋ナイロン「レブロン」、バリバス「SVG」の0.5号をアスカ5号に結んで8の字チチワ作って50センチのハリスに仕立てて、ハリを段ボールのカドに刺してハリがどっかに飛ばないようにビニールテープを被せて貼って、チチワの方を秤にかけてゆっくり引っ張って切れたときの数値を読む。3回平均ぐらいでいく。
0.5号ナイロンは普通引っ張り強度2ポンドぐらいのはずと認識。だけど、100%ノットでもなんでもない外掛け結びでハリを結んでいるし、8の字結びも強度低下するだろうから、1ポンド約454グラムで2ポンド約908グラム、結束による強度低下分で8掛けするなら700グラム台ぐらいが基準で、今時のナイロンならもうちょっと出てくれても良いかなという心づもりで実験スタート。
まあ、部屋での実験なんてのは、実際に釣り場に行けばまた色々条件違ってきて、あんまり実験の結果に印象引っ張られたりしないように気をつけなきゃなぐらいで、参考程度のものだと思っている。
思っているんだけど、実験するたびに自分の思い込みがいかに間違っていたか、自分が何も知らないということを知ることになるので、実験はしておいた方がイイと思う。
でもって、驚きの実験結果。
まず、バリバス「スーパーへらハリス」が、940g、1230g、1190gの平均1120g。
いきなり2ポンド余裕で超えました。切れたのはチモト2回、高切れ1回。2回目なかなか切れないと思っていたら「高切れ」ってどんだけ結束強度高いのかって話で、ちょっと信じられない。
50m千円で高いとかいってゴメンナサイ。
次に、期待の「レブロン」。事前情報で号数より「太い」と聞いていて、デジタルノギスで測って太いことを証明している人もいたりしたのだが、正直どう太いのか分からない。0.5号のハリスのちょっと太いのが感覚的にわかる人ってスゴいなと感心する。
結果は、810g、1065g、790gで平均約887g、このぐらいが今時の高性能ナイロンハリスの性能だろうと予想していた数値だけど、もうこのレベルは一昔前の性能なのかも知れない。でも1キロ越えたときはチチワで切れていて(他はチモト)ハリの結び方次第ではもう少し強度稼げるかもという感じ。
ただ、柔らかくてしっとり伸びる感触があって、実釣では数値以上の使いやすさを発揮するかも知れないと感じた。全然悪いラインじゃないと思う。愛用者が多いのも分かる気がする。
最後の「SVG」だけど、ひょっとして表示通りの3LBなら1.5キロ近く出てメチャクチャ強いんじゃないかと期待したけどそれ程でもなく、結果は、970g、1030g、1080g。平均約1027gチチワで2回、ちもとで1回切れた。
「0.5号で3LB、コレまでのナイロンラインの2クラス上」という宣伝文句に偽りありじゃないのか?と思って、試しにスパイダーヒッチでダブルライン作ってそれをダブルにして8の字でチチワ作ってスプールから直接引っ張って切ってみたら、あっさり1200g越えて、どうも直線強力自体が3LB相当というのは嘘って訳でもなさそう。でも結束による強度低下がわりとあって、このラインの本来の性能引き出したいならビミニツイストでダブルライン組んで1号とかのフロロのリーダーに接続してやるべきだろうけど、管理釣り場のトラウト狙いでナイロンラインを使うならリーダー無しで直結してそうで、そのへんどういう使われ方をしているのかちょっと気になった。まあどうでも良いか?ハリスとしては強度はこれだけあれば問題なさそう。値段もヘラ用ハリスに比べればお買い得。あとは実釣で「レブロン」と逆にちょっと堅くて伸びが少ないようなところが、合わせ切れやら食いの悪さにつながらないか見極めていきたい。フロロほどは堅くはなくて割といけそうに思う。
ということで、しばらくメインの0.5号は「バリバススーパーへら」「レブロン」「バリバスSVG」をローテーションで使って使い心地を試してみたい。
もうすぐ使い切りそうな0.4号、次はとりあえず手堅く「バリバススーパーヘラ」でいこうと思っている。今使っているダイワの「スペクトロンへらXP」は「高級品」だと思うけど、いきなり走られさえしなければ60ぐらいのコイが寄るぐらいで強さは充分なんだけど、ヘラでもスレ掛かりで突っ走った時とかにあっさり飛ぶことがあって、ショックを吸収する適度な伸びは「高級品」より「中級品」のほうがあって、バランス的には「中級品」が普通の釣り人にとっては優れているのではないかと今のところ感じている。
そのへん、「箱」でバンバン釣って比較してみると良いのかも知れない。
しかし、思いの外ハリスが丈夫というのが分かって、心配になるのが道糸の方が先に切れるんじゃないかということ。
試しに、買った4LBの道糸を8の字で輪っか両側に作ってペン片方に刺して足で押さえて片方を秤に掛けて引っ張ってみたら、案の定1200gぐらいで切れることが多くて、「バリバススーパーへら」なら上手く結べているとハリスの方が強くなってしまう。
チチワのところで道糸高切れした時になぜそうなるのか不思議に思ったけど、これはなるわナ。
「小ネタ」にも書いたけど地味に最近改善策として実施している、竿先に繋ぐチチワをスパイダーヒッチで作る「蜘蛛撚り式チチワ」だとどうだろうと、4LBの道糸を両側スパイダーヒッチでチチワ作って測ってみたら、だいたい1700gぐらいで弱くても1500gは越える感じで、やっぱりこの方が安心である。
ヘラ釣りの教科書にも、上手い人の仕掛けを見ても、道糸はハリスの2倍の号数というのが定石で、昔の弱いハリスならそれで良かっただろうし、今の強いハリスでもそれにあわせた「高級道糸」を使うのならチチワを8の字で作っても問題ないのだろう。
でも、私のように道糸はあんまり高性能なのいらないだろうと思って「普通」のナイロンラインにしてしまうと、ハリスが信じられないぐらいに強くなっているので道糸のチチワから高切れする可能性が高くなる(サルカンに結ぶユニノットをもっと弱い結びにすればサルカンで切れるようにはできるか?)。
私のような初心者が結ぶの下手で高切れするのは、まああることなんだろうと思っていたが、雑誌とかで「手練れ」がコイに浮子ごと持ってかれたとか書いていて、そういうケースはそれ程特殊じゃないと感じるようになるにつれ、なんで糸太くするなり、結びを変えるなりしないんだろうと違和感を感じていたけど、今回の実験でなんとなく原因は分かった。みんな、ハリスがこんなに強いなんてイメージできていないのではないだろうか。
古くからの慣習的に、道糸はハリスの2倍となんの疑問も持たずにやってきていたのだろうと思うけど、時代と友に道具も進化していくので、常に釣り方は更新していかなければならないと思ったところである。まあ、難しいけどね。
私もヘラ釣り初心者だから、真っ白な頭で疑問に思ったことには突っ込んでいけている気がするけど、5年も釣っていけばドップリはまって手癖で釣り始めるだろうから、今の「初心」のうちに思いつく疑問やら何やらは意識して拾ってチマチマとつめておきたい。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
タナゴ鉤の高いのは、テトロン糸が付いてますよね。
返信削除柔らかさと吸い込みの良さを追求するなら、PEの0.1号クラスがベストな気がするけど、
どうなんだろう。ノットが滑りやすいのと結節が弱いので、そこは糸留めと瞬間接着剤
で補えば何とかなりそうだけど。
昔「どのノットが一番強いかテスト」に凝ってたときは、ダブルクリンチノットなら
丁寧に作ればノットではなく本線上で切れることが意外なほど多かったので、
SVGも良く伸びる0.5号クラスなら直結で3LB出るんじゃないかな。
和幸さん こんにちは
返信削除吸い込みの良さならモノフィラメントじゃなくてブレイデットか撚り糸だとやっぱり思いますよね。私も思いました。タナゴ用のテトロンは買って強度測って弱すぎたのであきらめて、割と高価なPE買うのも馬鹿臭くて、なんか無いかと思ってロッドラッピング用のナイロンスレッド測ったら0.3号相当くらいの強度はあったので試したところ、それまでアタってたのにまったくアタらず。絡まないようにナイロンハリスの先端に10センチぐらい接続していたのですが、思いっきり嫌われたようです。
というわけで、その時の色が「赤」だったので駄目だったんじゃないかと思って、黒の補修糸を買ったわけです。写真に補修糸が並んでるのはそういう理由だったりします。まだ黒糸は試せてません。秋以降に試してみる予定。