2015年12月31日木曜日

2015年のベスト3(エンタメ編)




 今年も、一年を振り返る時期になりました。今年は病気で3ヶ月も自宅療養していたせいもあってアッちゅう間に過ぎたような気がします。自宅療養中、漫画やら小説やらにはずいぶん無聊を慰められました。今年もお面白い作品に沢山出会いました。

○本:1位「鯨人」、2位「1984年」、3位「謎の国家ソマリランド」
 1位はインドネシアのマッコウクジラを漁る部族のルポ。文字通りの血の海で狩られる鯨は悲しげな瞳でなにを見ているのか?他者の命を奪って生きていくという「生きる」ことの本質そのもののど真ん中ストレートの豪速球に痺れた。
 2位はSFの古典的名作だが、書かれたときから今に至るも色あせず、全くもってリアルな「監視社会」「言論統制」の恐怖を描きだしている。むしろ気軽にみんながネットにつながり、そこかしこに防犯カメラが設置された今こそ読んでその恐怖を認識しておかねばと思う。
 3位は辺境作家高野先生がいつものエンタメノンフな軽いのりのまま激ヤバの紛争地帯を行き、高野秀行はどう考えても圧倒的に面白いという事実を世間にしらしめたものとなっている。
 他にも釣り本では「磯の作法」「服部博物館」なんてのに出会えたし、SFでは「華竜の宮」もよかった。たくさんの本が書かれ続けているうえに、今年は自炊もしたので機会が多かったが再読したい本もたくさんある。幸せなことである。

○マンガ:1位「ゴールデン・カムイ」、2位「ヴォイニッチ・ホテル」、3位「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」
 1位はこの面白さが続けば国民的マンガになるのは間違いない。と、近年同じように太鼓判を押して予言したマンガのうち「宇宙兄弟」は見事的中させたが「ヒナまつり」は知る人ぞ知る的なマンガにとどまっており、これをはずすと負け越すので面白いだけでなく売れてほしいぐらいに思っているがたぶん期待通りになる。アイヌ蘊蓄も楽しい冒険活劇。
 2位は独特のセンスで読ませる気鋭の、なんというか変なラブストーリーという解釈でいいのか?説明難しいので3巻完結で短いし読んでほしい。ギャグも切れて俺好み。この人マイナーな掲載誌で短いのしか書いてないが長編描かせたら大ヒット飛ばせるはずの実力とみた。どっかメジャー青年誌が引っこ抜くべきだ。
 3位は「デ」の数間違えたかも?なにげに細密な画力もすごいが、癖のある皮肉っぽい切り口もなかなかにやりおる。空飛ぶ円盤が攻めてきた非日常の日常系。1位、3位あたりはすでにマンガ読みの間では評判になっている。次々に面白いマンガが生み出され続けていてとても楽しめている。
 マンガでは他に「シドニアの騎士」が講談社漫画賞取って完結したのも一ファンとして感慨深かった。

○アニメ:1位「SIROBAKO」、2位「響けユーフォニアム」、3位「シャーロット」
 1位のシロバコは年またぎの二期ものだったので今年のアニメに入れるべきか迷ったが、圧倒的に面白かったので入れざるをえない。アニメ制作現場の苦労やモノを創る情熱を描いた超良作でこれみてアニメ製作会社に就職したけど早くも絶望して辞めた若者がけっこういるとか聞く。働く現場の物語って「サラリーマンモノ」というジャンルがあるんだろうけど、全くもって人脈広げて出世してとかいう世界に共感も感心もないナマジ的にはドーデモイイ分野だけれど、こういうみんなでモノを創っていく物語は自分のような社会不適合者でも共感できるんだと意外な発見。
 2位は「ちはやふる」が開拓した「文化部モノでも熱いスポコンは成立する」を追証明した激熱部活モノ。1位2位は、売り上げを比べればもっと売れている萌え萌えした作品とかあるけど、ネット上の評判とはほぼ一致。シロバコもユーフォニアムも主人公達はまあそれなりに今時の「萌え」に対応したキャラクターデザインだが、そこにとどまらない熱い物語の質がネットのうるさ型の批評家たちを唸らせた。
 3位は、「監獄学園」と「下ネタ」も候補で迷ったが、シャーロットはどうにも好み。超能力バトルモノでアニメオリジナルの脚本。いろいろアラもある作品だと思うけど、食い物が旨そうなのと、ちょっとゲスいぐらいの駄目な主人公を取り巻く仲間との関係とその成長とか、なかなかに良かったと思う。
 深夜アニメは低予算だし数も多くて粗製乱造でつまらなくなってきているという批判も目にするが、そんなことはなくて面白いのがちゃんと創られていると思う。
 
 長期の自宅療養に突入したとき、まあ、初めは体調とか悪くてひたすら寝てるだけだったけど、ちょっと回復すると退屈し始めるわけで、長い療養期間どうやって暇つぶしするかということを考えると、さすがに1月も2月も読む本が小説でもマンガでも続かないんじゃないかと心配した。でも、全くの杞憂。
 自炊して再読したい本だけでも100冊単位であるし、そもそも新刊を追っかけるだけでかなり手一杯な状態で、病気療養中に「積ん読」状態の読んでない新刊ぐらいは読み尽くすだろうと思っていたがまだ結構残っている状態。
 世の中には人が一生かかっても楽しみ尽くせないぐらいの、沢山の本やらなんやらの作品が既にあって、さらに新しい作品が日々創られている。
 小説が読める、マンガが読める、アニメも観られるという趣味・嗜好を持っていることによって、どうも一生退屈しないですむことが約束されているらしい。
 たとえ病床にあろうとも寝たきりになったとしても、私の人生にはそういう楽しみが存在して奪われることはないと考えると、我が人生はけっこう安心だなと心やすらかに思うところである。

(イメージ画像:集英社新書「鯨人」より)

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