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2025年5月31日土曜日

君の名は?テナガエビ三種盛り編

上からテナガエビ、ヒラテテナガエビ、ミナミテナガエビ
 ワシ、結構釣れた魚(に限らないけど)が初物だった場合、大喜びする。過去何度も、「君の名は?」と問い、魚種を特定するために鰭の筋の数やら、模様の違いやらこまごまとした違いを調べてという同定作業をこなしてきた。

 そんな細かい違いに何の意味があるのかと、釣ったら自慢できるような魚種ならともかく、”外道の雑魚”の名前が分かったぐらいでナニが面白いのか?と感じる人もいるだろう。まあワシそもそも外道も雑魚も魚を指し示す概念として持ち合わせていないからな。

 ただ、言わせてもらえれば、自分の釣っている、釣った魚がなんなのか、その最も基本的な情報である魚種名さえ知らないとなると、ナニを足がかりにその魚の情報を探っていけば良いのか?その魚が釣りの直接の対象魚でなくても自分の狙う魚とどういう関係があるのかは知っておくべき情報のはずである。もちろん同じ魚種においても地域差とか個体差も生じ得て、釣り人は時に、「種」以上に細かく自身が釣りの対象とする魚について知っていかなければならないとしても、まずその魚の種名ぐらい分かってないと話にならない。昔の磯の底モノ師がハタの類いの大型種を全部”クエ”のひとくくりで済ましていて、そんなんじゃ戦略立てようがないだろうと呆れたものである。少なくとも種が違えば生態や行動に差があっておかしくなく、最終的に包括的に複数種を狙うことになることは珍しくないにしても、種ごとにどう違うのか、どう同じなのかが分かっているのと分かっていないのでは大違いで、戦略の立てようが違ってくるだろう。

 過去何度も書いた繰り返しだけど、生物の世界はきっちり切れ目がある世界ではなく、むしろ今現在でも変化して進化して種の分化や統合が起こりつつある状況にあって、「種」という整理は、人間側が名前付けて整理しておかないとややこしいので、一定の基準で、本来なだらかにグラデーション状に変化していく生物の集団に人間の都合で分かりやすいように区切りを設けたモノだと思っておけば間違っていないと思う。というここで、おさらいがてら「種」という概念とその定義を確認しておくと。生物学的には「種」は形態や生態により、他の生物集団から区別できる生物集団であり、同一の種内では交配して子孫を残すことができ、他種とは遺伝的に隔離されている。というのが一般的な種の概念で、最後の「遺伝的に隔離されている」ことは「生殖隔離」とよばれたりして種の定義とされている。ただ、さっきも書いたようにキッチリ線引きができるモノではないので、アマゴとヤマメみたいに普段は生息地のちがいとかで生色隔離が成り立ってるけど、一緒にしておけば交雑してしまうような、種よりゆるやかな分かれ方「亜種」とされたり、DNAとか調べると結構ちがう傾向が出てくるけど、普通に天然でも交雑してることも多く、なだらかにいろんな変化を含んでるような場合では、線引きが難しいけど、なんとなくいくつかの個体群に分ければ分けられそうで「○○タイプ」とか整理されることもある。そのへん、種を分けるべきか、同じで良いか、むしろ統合かとかはDNA調べるような分子生物学的な手法が盛んになってきてから色々と分かったり、逆に混乱に拍車がかかったりしてもいる。生き物ってのはそれぐらい変わり続けて多様性に富むのがあたりまえで線引きが難しいということは、前提として念頭に置いて考えるべきではある。

 ということで、種なり亜種なりが一緒なら、あるていど形態や生態が同じ生物集団だと考えることぐらいはできそうであり、よって釣りの対象とするなら、その魚の種なり亜種なりの特徴を知り、それを対象とした釣り方を学び、そういった一般的な知識に自分の釣り場、釣り方の特性を加味して、知識を上積みして、戦略を練り試行錯誤していく必要がある。

 で、今回のネタの、本州で普通に狙えるテナガエビの仲間3種については、江戸前小もの釣り修行でもっとも得意として修練を積んだのがテナガエビだったので、思い入れもあり、首都圏在住時にテナガエビとヒラテテナガエビは釣っているので、南方系で関西以西に多いとされているミナミテナガエビは是非釣りたいと移住時考えていた。紀伊半島以南ぐらいだと普通にテナガエビ釣ってるとミナミテナガエビも混ざってくると聞いてたので、釣れると思ってたらテナガエビ自体が近所の川では釣れるほど居るところ見つけられなくて半ば諦めていた。

 ところが、鮎毛針釣りで暗くなるまで粘った帰り道、トボトボジャブジャブと川の浅瀬を帰路についていたら、ヘッドランプの明かりの中にテナガが入ってくる。その川ミナミヌマエビはワサワサいる川でその夜も抱卵雌とかがホヨホヨと泳いでたんだけど、テナガは少なくてこれまでシーバス釣ってるときとか、鮎釣りの帰途に足下とかに居ないか気にはしてきたけど、下流のテトラではたまに見るけど、それも釣りになるほどは居ないのでテナガは居ない川という認識だったけど、何匹か居るのでちょっと意外な感じがして、やや大きめのオスがいたので捕まえたくなってタモ構えてそっちに足で追い込んで確保。手にとってみて戦慄が走る。ハサミに毛があんまり生えてない。ひょっとしてと思って、歩く足の爪を確認すると明らかに短い。ミナミテナガエビだった。その場でススキの枯れ穂を竿に仕掛けをでっち上げて、川虫とミナミヌマエビむき身を餌に10匹弱釣ったところ、どれもミナミテナガエビだった。

 その日の探索の結果、ミナミテナガがいるのは10mあるかどうかの狭い範囲の流れの強い側の浅瀬に限られていて、それまで反対側の流れの弱い砂底の方は何度も通っていたのに気がついてなかったという、ちょっと入渓地点を変えたことによりたまたま見つけた生息地だった。釣りってそんなもんだけど、ドンピシャの場所と時間の黄金郷のすぐ隣に不毛の砂漠が広がっていたりする。端から端まで場所と時間と状況を変えてすべてを調べ尽くすことのいかに難しいことか。あらためて思い知らされることとなった。

 テナガエビとミナミテナガエビとヒラテテナガエビの3種においてヒラテテナガエビは形態的にかなり違うので、テナガエビ釣ったことある釣り人ならすぐに判別可能だろう。その名のとおりハサミ脚(第2歩脚)がごつくて平べったい。全体的にゴツくて殻も分厚く、どこかニホンザリガニのような渓流性のザリガニを彷彿とさせる雰囲気がある。ちなみに外来種のアメリカザリガニがニホンザリガニを減少させたというのは、ほぼ嘘っぱちである。生息環境が止水や下流域の暖かい水を好むアメザリと渓流やわき水の冷水域を好むニホンザリガニでは生息地があまり重ならない。多くの人が昔は田んぼの脇の水路とかにニホンザリガニが居たと言ってるのは、冷たい湧き水を引いてるならともかく、基本的には赤く発色するまえのアメリカザリガニの幼令個体をニホンザリガニだったと思い違いしているだけである。田んぼで捕まえてきた赤くないザリガニを長期飼育していると、脱皮して大きくなっていく課程で、あるときハサミ脚が赤くなったなと思ったら次の脱皮で全身真っ赤になる。ちゃんとアメリカザリガニの長期飼育ができていればそういう勘違いはしないはずである。アメリカザリガニとの競合が起こりそうな河川の下流域や止水域では生息域がかぶるのはテナガエビやスジエビなどであり、これらには何らかの影響はあったんだろうと思う。思うけど大河川ではテナガエビの方が優勢なように思う。アメリカザリガニが問題になるのは天敵のナマズやらウナギやらも居ないような狭い水域に持ち込まれ、希少な植物やら刈り取って動植物を食い散らかすような場合だろう。ちなみに逃げ場もない水槽でアメリカザリガニとテナガエビを一緒に飼うと、テナガエビが長いリーチを活かした攻撃でアメリカザリガニを完封してしまい、アメリカザリガニ歩脚全部切られてダルマ状態にされるらしい。ハサミの強さならアメザリ有利に思えるけど攻撃できる間合いに入らせてもらえないようだ。ロングリーチを活かしたジャブとストレートでゴリゴリのインファイターを懐に入らせないアウトボクサーみたいなものか?

 で、ノーマルのテナガエビとミナミテナガエビの違いは、パッと見ただけではわからんぐらい似ている。ちょっと昔はミナミヌマエビは胸の”M”字模様がくっきりとしているのに対し、テナガエビはややグチャッと乱れるとか書かれていることが多かったけど、模様だ色だは個体差やら体色の変化やらでアテにできないことがある。今回ミナミテナガエビとしたエビたちも、M字はハッキリしていない。ていうか写真だとM字がない。これは夜間に釣ったからというのが原因と思われ、光の強い状況では保護色に効く模様をハッキリとさせていることが多くても、夜とか濁りの中では色がボヤけてることが多い。あと個体差も大きい。この程度の模様の出方で種の同定ができるとは考えにくい。肉眼で細かく見ればうっすら透けて見えるような模様は確認できるかもだけど、そんな難しいことしなくても他の見分け方を使えばいけるので、そっちを使う。

上段2匹テナガエビ、下段2匹ミナミテナガエビ
 頭の触角が生えているところの角の長さ等も同定の際の基準となるようだけど、ワシがテナガ釣りするようになったころから言われ始めて、見分けやすいので使われるようになったのが、ハサミ脚の毛の有無、歩脚の爪の長さの違いで、特に歩脚の爪の長さの違いはハサミ脚の発達していない小型個体や雌にも適応できるので、一番頼りになると思う。ただパッと見て目立つのはオスの場合ハサミ脚の毛で、今回もタモで掬った1匹目で毛の少ないハサミが目についたので、初物のミナミテナガの予感に戦慄が走ったのである。写真上段は過去釣ったテナガエビで毛が良く写ってるハサミ部分を切り取った画像で、下が当地で釣ったミナミテナガエビ2匹のハサミ。いかにテナガエビのハサミが毛深いかおわかりいただけるだろうか?

上列テナガエビ、下列ミナミテナガエビ
 で、これはミナミテナガエビだろ!って色めき立って歩脚の爪を確認する。短い、っていうか普通。ミナミテナガエビの歩脚の爪は、まあエビの爪ならこんなもんだろ、石の上這い回ったりするし、しっかり引っかけるためにある程度太くないと駄目だろうしという感じで納得できる。

 ところが、テナガエビの歩脚の爪は、上段写真の真ん中の雌の黒っぽい卵を背景に写ってるのが分かりやすいけど、鎌かっていうぐらいに細くて長い。後ほど考察するけど、なんか特殊な用途にでも使わない限りこの細長さはないと思う。

 このぐらい違うと、生物の世界に100%はなく、例えば交雑個体の可能性もないではないし、ワシが念頭においてない最初から検討対象としてない南方系の種とかが気温上昇の影響で生き残ってるとかあるかもだけど、まずミナミテナガエビで間違いないだろうと思っている。国内最大種のコンジンテナガエビとかだったりしたらそれはそれで嬉しいけどね。24センチ(半分ハサミ脚だけど)とそこそこ大型のオス個体でもハサミ脚が黒くはなくコンジンっぽくなかったのでコンジンはないだろうけどな。

 で、そんな毛だの爪の長さだのが違う種が釣れたぐらいで、なにを”戦慄”せにゃならんのだ?どうでもいいだろ、たいした違いかよ?って思うかもしれない。そう思うのは”センスオブワンダー”の欠如であり、生き物や自然の不思議や仕組みに対する興味や感動する心を欠いているといわざるを得ず。せっかく魚釣りして自然や生き物に触れる機会が多いのに、その楽しさの根源にあるものを理解できておらず、木を見て森を見ていないと指摘せざるを得ない。センスオブワンダーって言葉は今では”SFを楽しむ素養”的な意味合いで使われることが多いけど、もともとは「沈黙の春」で有名なレイチェル・カーソン先生の著書から来ていて、自然や生命の不思議を楽しむ素養というような意味があった。カーソン先生引用されまくってるから知ってるけど著書はパラパラと摘まみ読みぐらいで通して読んだことないっていうのがちょっと恥ずかしいけどね。

 種が違うと、似ている種同士でもちょっと違う。そのちょっとの違いがなぜ生じているか?っていうあたりにまで突っ込んでいけると、その違いはメチャクチャ楽しめる味わい深い違いとなる。

 今回のテナガエビ(以下「ノーマルテナガ」と書く)とミナミテナガエビの違いでいえば、前々からノーマルテナガのほうがハサミに毛が多く、脚の爪が長いってことは、河口域の葦ッパラとかにノーマルテナガは適応していて、ドロドロッちい環境で底の有機物を毛で濃し取るようにして食べてたり、葦に長い爪を引っかけて行動してたりしてるんじゃないかと思っていた。葦のある釣り場では葦の上の方に餌垂らしておくと登ってきて釣れる。っていうか底の方に餌落とすと絡んで上がらないことがある。

 で、今回釣ったついでにネットでまたお勉強してみたら、やっぱりノーマルテナガのほうが河口域に適応しているというのはあってるようで、逆にミナミテナガは中流域とかにも居るとのこと。ノーマルテナガの脚の爪の長さについては不自然なぐらい長くて、内股に折り曲げて爪の背で歩いているのは何の意味があるのか?と水槽観察から書いている人もいて、歩くときの爪の向きまで見られていなかったので、見る人は見てるもんだなと感心した。葦とか壁面とかに引っかけて登るほかに、ドロドロの底に沈まないように長い爪で重量分散させて歩いているのかも?とか考えるとまた楽しめる。

 で、重要なのはミナミテナガとノーマルテナガでは生息域が川の河口ではかぶるけど、ミナミテナガはノーマルテナガでは産卵期でもなければ居ないような中流域でも生息しているってことで、これまで紀伊半島に来てからテナガを探したのは河口域ばかりで、ミナミテナガが中流域より上にもいる可能性は考えてなかった。ノーマルテナガがグチャッと居た東京湾に流れ込む川とかでの成功体験に意識せず引っ張られてしまってたっていうお粗末。なので近所の河川でももうちょっと中上流域を探らないといけなくなってきて、イマイチ釣れていない絶不調もあり自転車積んで電車でGOとかで新規開拓するか?とか思ってたけど、そんなことやってる場合じゃなくなってきた。改めて探って居なければ居ないでそういうもんだけど、N川の上流では数は少ないけど、やっぱりミナミテナガが居て釣れたし、釣れないまでも初めて探りを入れたN川の支流で意外に大型のカワムツが多いとか、テナガに限らず発見はあって、不調で停滞気味だったのを打破して新しい展開に突っ込み始めている。

 ノーマルテナガとミナミテナガとの違いの、違いが生まれた背景、生態や進化に思いをはせるだけでも、お好きな人間なら丼飯余裕の楽しさがあるうえに、さらにその違いから釣りの戦略を立て、実際に獲物を手中に収めることができるとなれば”センスオブワンダー”は釣りをより楽しくする香辛料の役割だけでなく、”釣るための武器”の一つにさえなり得るのである。

 釣り人ならくっだらない新製品をありがたがってる暇があったら、センスオブワンダーを磨いておけって、ちょっと魚釣れないと道具ばっかり買ってることへの自戒も込めて今回テナガネタを書いてみた。

 以前、釣り人なら「新しい釣り場」の発見については、新しい天体の発見以上の価値を認めるべきと書いた。もちろん新しい釣りモノや釣り方についても同様である。今回ミナミテナガエビという新しい釣りものを見いだし、新たな釣り場を開拓できたことは、ワシ的にとても大きい意味を持つ。たとえ釣れるのがそれほど大きくもないエビで”小物”であったとしても、その楽しみは決して小さくなく、ワシにとっては天体の発見にもひけを取らない大発見であると満足している。

2016年6月26日日曜日

手長蝦釣り小ネタ


 テナガ釣りで、そろそろかかっただろうと上げてみると、途中まで重さを感じるけどすっぽ抜けというのがけっこうある。
 エビは餌を端からカジカジと囓っていくので、ハリまで食い切れてなくてある程度仕方ないのかなと思っていたが、ハリをタナゴ用の半月から、ちょっとサイズアップして手長エビバリの2号にしたら、活性高い状況においてはかなりすっぽ抜けが減った(ように感じた)。針先がやや長くて口に入ったけど抜けるというのが少ないのか、なんかわからんけどかかりやすいときがある。タナゴ針では小さすぎてかからず抜けるときがあるようにも思えてくるが、逆に半月の方がかかりが良い時もあって日によりけりなのかも。
 

 ということで、現地でハリを交換したりするのだが、よる年波で、0.3号のハリスで8の字結びでワッカを作るのとか、目も見えないし、指も思うように動かないしで、目の前でエビが釣れさかってたりすると気ばかり焦っていらいらすることになる。
 ということで、あらかじめ家でハリスでワッカを作った交換用のハリを用意しておき、釣り場ではよりもどしに通して接続するだけにしてみた。
 作業用の道具は、ハリのカエシもつぶしておいた方が手返しが良いので小型ペンチ、ハリス切る用のハサミ、8の字結びの補助として先を曲げた針金というところ。
  8の字のワッカ部分を引っかけて引っ張り出すための針金1本あるだけで、なかなか通せずイラッとするめんどくさい作業がだいぶ楽になる。

 8の字で結んだあとは、ルアーのフックが刺さってた発砲素材に切れ込みを入れて並べて刺しておく。
 左から使っていくように右から順番に指していく。

 これで、釣り場でのハリ交換はかなり改善したはずだ。
 細かいところだが、よりもどしをやや大きめにしておくと、これまた8の字で作ったワッカのついたハリを通して接続するのが楽なので、よりもどしは大きめがお勧め。
 ちなみに、ごく最近までワッカ側をよりもどしに通してからワッカにハリを通していたが、ハリからよりもどしに通した方が簡単というのに今更ながら気付いた。

 
 もう一つ小ネタ。
 テナガの最盛期は梅雨時の暑い時期ということもあって、昼の暑い時間帯に釣っているとすぐにバテてしまう。
 今日も梅雨の晴れ間なのだが、熱中症にならないようにこまめに給水とか、日焼け対策とかしたところで、炎天下の釣りはいい加減オッサンには無理があるというモノで出足が鈍る。

 ということで、夕涼みがてら、という夜釣りの方法を考えてみた。
 基本、玉浮きの下に小サイズのケミホタルを付けたシンプルな仕掛け。
 これで、夜障害物の少ない釣り場で、ヘッドライトでエビの光る目を探しながら釣ろうという目論見である。

 今晩か、来週か?

2016年6月4日土曜日

手長蝦釣り指南



 テナガエビ釣りに関しては、これといった師匠につかず独学で適当な釣りを展開している。
 とはいえ、都市河川の豊富な栄養を基盤にものすごい数がいるテナガエビを相手にしているので、いやでもそれなりに経験や技術的な蓄積やらが増えてきて、いっちょまえの釣果を出せるようになったと自分では思っている。
 これまでの最高は数では120匹、大きさは26.5センチである。まあ2010年から初めて数年でこのくらいいけば上出来だと思っている。

 とりあえず、自分なりの釣り方的なものも固まってきたので、この機会に紹介したい。

 まず、テナガ釣りの季節だが、一般的に梅雨時がシーズンというイメージで、その認識でだいたいあっているが、実際にはもう少しシーズンは長い。
 私が主戦場としている川でも下流のテトラ帯と上流のガレ場ではつれる時期がまた違い、テトラ帯では早いと3月からと聞くが4月ぐらいからぼちぼち釣れ始め、5月には好釣となり、8月いっぱいぐらいは釣れるのを確認しているし、もう少し秋まで釣れそうにおもう。
 上流のガレ場はもう少し釣れる期間が短くて梅雨入った6月後半から7月にかけて、産卵時期にのっこんでくる感じである。逆に下流は4、5月とかまだ卵を持っていない雌も釣れてくるので、のっこんできているのではなく、下流の河口近くで多くの個体が周年生息しているのではないかと考えている。
 そのあたりの季節的変化を読み間違えると全くエビのいないところで釣っている羽目にあったりするのでこまめに定点チェックして、エビの活性や雌の抱卵具合等を確認しておきたい。

 次に仕掛けだが、至ってシンプル。エビは基本底でしか食ってこない(テトラの壁面や葦の上の方で食ってくることもあるが例外的)ので、必ず底が取れるように重りが浮きに勝って沈むようにして浮きは小さいのを目印的につけている。浮きがない脈釣りだとラインがふけてトラブルになるのでラインをある程度まっすぐたてるためにも浮きは必要。
 テトラ帯ではあまり浮きの動きを悠長に見ているとテトラの下やらに潜り込まれて根がかるし、ガレ場では見釣りが主なので浮きであたりをとる必要性はあまり感じていない。しかしながら、浮きを50センチぐらいとか一定の棚にしておくと、後ほど書くけどテナガはあまり深いところでは釣りにくいので「浮きが見えるぐらい」と気をつけることで浅い場所を狙い続けることができる。
 重りは最近は小さいサイズは鉛ではなくスズ製のガンダマを使っている。鳥の口に入るサイズの重りは鉛を避けるべきだと思ってそうしている。
 ハリは小さいヨリモドシを介して、たなご用の「半月」を使っている。半月は軸が長いので釣った後つまんでハリはずしがしやすい(好活性時すっぽ抜けるようならエビばり2号にサイズアップ)。

 竿は2.1mと1.2mの2本用意している。短い竿に短めの仕掛けをセットしたものを用意しておくと、テトラのオーバーハングした場所にもぶち込みやすく重宝する。がれ場でも狙う水深が変わって2本あるといい塩梅である。
 細かいところだが、テトラ帯では竿尻近くに洗濯ばさみを挟んでおくと、テトラの上で転がらずに安定して置き竿に便利。

 餌は、豚レバに落ち着いた。冷凍して保存しておき、釣りに行く際に、凍ったまま薄くスライスして、それをさらに5mm×10mm弱ぐらいの短冊に切る。
 釣り場では縫い刺しで使うが、ちょっと餌箱から出しておいてやや干からびたぐらいがハリに刺しやすい。
 餌はほかにキジ(売ってるミミズ)も使ったが、キジも餌としては問題ないのだが、釣りに行く前日か当日ぐらいに買いに行くのが手間で、冷凍保存できる豚レバのほうが都合が良い。
 ほかに一般的にテナガ釣りの餌としては赤虫、カニかま、生ハム、エビなどが使われる。最近は生ハム人気のようだ。要するにテナガエビは結構どん欲な肉食のエビなので、餌は何でも食ってくるので、手に入りやすく、餌持ちがよい使いやすい餌を選ぶのが肝だと思う。カニかまとエビは餌持ちいまいちだが、エビエサで釣れるというのを知っていれば、餌がなくなったときに釣ったテナガを餌に釣り続けることもできる。
 ちなみに豚レバーというのは、台湾とかのオニテナガエビを釣らせる釣り堀での定番餌からヒントを得て使ってみたら、保存性、エビの食い、餌持ちともに良く気に入って使っている。

 ポイントについては、テナガは意外に浅い場所に多いので、直接ウロウロしている奴を見つけて狙うなり、小さいのが多い場所を狙うなり、とにかく目を使って探っている。
 浅い場所にエビが多いのは、深いとシーバスやらコイやらに食われるので、10センチぐらいのごく浅い水深から膝下ぐらいの水深に追い上げられているのではないかと思う。長竿で深めを狙って釣れている釣り人を見たこともあり深めにもいないわけではないと思うが、いたら見えるという勝負の早さもあって私は浅場の釣りに絞って釣っている。
 特に、のっこみ時期のガレ場のポイントでは、普段生息している場所ではない水域に大挙してエビがやってきているので隠れる場所が限られていて、浅場に沈んでいるなんということもない石の周りにゴチャっとエビが集結していたり、浅場をウロウロと歩き回っていたりということが多い。そういう場合はしっかり「見釣り」で狙っていきたい。
 「見釣り」とは逆に直接エビが見えない場合、エビの通り道になるような場所に置き竿して狙うのだが、いかにもな障害物際とかも良いといえば良いのだけど、そういう分かりやすい場所よりのっぺりとした砂地やテトラの壁面が斜めになっているような場所で不思議といつまでもつれ続ける場所がある。なので、2本竿の片方を置き竿でそういう場所を探索するのに使うという戦術で、特にテトラ帯はエビが直接見えにくい日もあるので、通り道になっているような「良い穴」を見つけるのが重要になる。

 「あわせ」のタイミングはこの釣りのキモの一つである。大ざっぱにいって「遅あわせ」がだいたい正解。遅あわせだと障害物の下に潜られそうなときもテンションかけつつ可能な限り遅あわせ。
 見えているエビにハリについた餌を食わせようとすると、活性高ければ長い第2歩脚で、触覚の届く範囲ぐらいの餌はつまんで口の前のはさみ脚とリレーして口に餌を持っていくのが見える。このタイミングであわせてもがっついている奴だとうまくかかるが、口元に餌を持っていっても端の方から噛んでいる状態だとハリが口にはいるまでしばらくかかるようで、このタイミングのあわせはすっぽ抜けることがある。
 また、足下においても餌をすぐに口に運ばない個体もいたりして、とりあえず私は見えているテナガ周辺に餌を落としたら、テナガが食ったアクションがあってもなくても、いったん置き竿にしてしばらく待つか、置き竿にしない場合でも、そのぐらいの「間」を意識して遅あわせを食らわせるようにしている。
 あわせの強さは、通常手首を返す程度の軽いあわせでハリが掛かり、エビ独特のピンピン跳ねてクルクル回る引きを堪能できる。
 エビバックされると根がかるような場所ではあわせはかけずにそーっと根からはがして持ち上げてくるようにする。その場合水面近くでエビバックしたときにしっかりハリが掛かりする。
 置きざおの場合の合わせは、テンションはって「聞きあわせ」してみてエビがついている重みを感じたら軽くあわせる。
 いずれにせよ、見えているエビがハリについた餌を食う様子をよく観察し、どのタイミングであわせをくらわすのが適切か、日によって食い込みが悪い日などもあるので良く観察して習熟しておきたい。


 釣り方はだいたい以上のような感じだが、食味の良い獲物なのでその辺もひとくさり書いておきたい。
 泥抜きは正直必要ないぐらいである。でも水なしで冷蔵で持ってくると1時間ぐらいならほとんど生きているので帰ってきてからバケツとかで泥抜きする事も可能。
 味の良い素材なのでシンプルに素焼きにした「鬼殻焼き」、とか唐揚げ天ぷら素揚げの「揚げ物」が定番。
 でかいのは「手」が堅くて食いにくく、口の中が血塗れになるのではずして調理しても良いかもしれない。
 鮮度を保つために、現地ではズック魚篭で水中につるして生かしている。バケツで生かしておくのは高温期の釣りなのでブクブク使っても意外に難しい。
 持ち帰るためには、タッパーと保冷剤が入る小型保冷バックを用意して釣り具と一緒にリュックに入れて運んでいる。真夏の場合もう少し大きめの保冷バックに冷凍ペットボトルを入れて保冷力を確保した方がよいだろう。

 ということで、現時点で整理したことを書いてみた。
 サイトの「工夫」のコーナーにも保管しておくこととする。
 テナガ釣りという、身近でとても楽しめるこの釣りの、何かの参考になれば幸いである。