2025年12月20日土曜日

フグと和解せよ!

  今からカリスマ釣り師(自称)のワシが書く技術は、本当なら極秘にしておきたいぐらいの核心を突いたものである。にもかかわらずあえて公開するのは、心ない釣り人に陸上に放置されるフグたちの姿など見たくないからである。当ブログの読者さんは幸運である。こんな素晴らしい技術がタダで教えてもらえるなんて、釣具屋の回し者の言うこととか聞かされた日には、やれロッドがどうのこうの、やれルアーがどうのこうのと、いやっちゅうぐらいに散在させられるはめになるのは自明だけど、ワシの今回紹介する技術は基本的にはお金はかからない。それでいて効果は波及効果も含めて驚くほど大きく恩恵がデカい。是非最後まで読んでいってください。そしてできればお友達にも教えてあげてください。
 大事なことなので太字で書きます。

 フグの猛攻を防ぐのに一番良いのは、釣れたら則リリースしてフグを警戒させ”スレさせる”ことである。

 これは年間200日から釣りに行き、その多くの時間をオカズのマアジ釣りに費やしてきたカリスマ釣り師ナマジが、経験と実戦と考察と試行錯誤でたどり着いた境地であり、少なくともうちの近所の漁港では鉄板の技術で、そうやってスレさせたフグたちは、その日だけでなくしばらくは学習して刺し餌をなかなか食ってこなくなり、コマセをついばんでまき散らす「自動コマセ拡散機」とさえなってくれるという事実。これは一緒に豆アジ釣りしたツーテンの虎ファンさんもひじさんも目撃しているところであり、とち狂ったワシが言うてるだけではないのでご安心を。ちなみに魚の学習能力については川村軍蔵先生の著書とかによると、コイで実験したらハリにかけられた後、半年くらいは食い方が慎重になったとのことである。

 となると、釣ったフグを殺すような輩はフグをスレさせずに沢山釣る方法を実践しているにすぎない。バカはここでも罰ゲームをやらされているわけである。罪もないフグを殺して平然としていられる神経とゴミを捨てていくしつけのなってなさで併殺食らってる。まあそれが釣り人の代表的な姿と一般的には思われているだろう、ってことがワシには我慢ならん。およそ全ての趣味人で昨今一番評判が悪いのが”撮り鉄”で次が”釣り人”あたりなんではないだろうか?ゴミ放置していくし、立ち入り禁止や駐禁も無視するし、事故起こしたりするしでろくでもない輩と思われていて、同じ釣り人としてワシャ恥ずかしい。

 フグを知り味方につければ他の釣り人が敬遠するような釣り場がパラダイスに変わる。フグと和解せよ!である

 という話のきっかけはMasahiroさんところのブログで釣り人が酸欠必死の潮だまりに捨てていったフグ救出のネタを読んで、どこでも釣り人は同じ罪を犯してやがるなと思ったことで、Masahiroさんは地磯に降りていく小道の草刈りやロープの更新を見知らぬ先人から自主的に引きついておられるんだけど、そのロープの先に付けたゴミ捨てないでねというお願いの看板に「私は、看板に文言を追加した方がいいのでしょうか? 「自然を愛せ。さもなくば魚市場に行け」とか。」と悩んでおられる様にいたく共感して書き込みさせてもらったところであり”フグと和解せよ!”はその時にワシの頭に降りてきた文言でMasahiroさんにも気に入ってもらえたようである。でも本当は看板に文言追加しなくても済むというか、そもそも看板が要らないというのが望ましいように思う。

 なんにせよフグもおらんような貧しい海で釣りなどして面白いか?といつも思うし、生き物の命に敬意もない輩に釣りなどして欲しくない。我が家のVIP様である”釣りの上手い人”は根魚釣りとかしていて、フグしか釣れなくても「フグは結構好き、ちゃんと引くし膨らんで可愛いし。どうせ根魚釣ってもリリースするし食べられなくても関係ないし。」と実に分かってらっしゃる。バカと天才の違いはそういうところだぞ!と思わされる。

 ワシ自身、オカズ釣っててフグにハリ取られるのは勘弁願いたいところだけど、リリース前提で遊んでるときに(オカズ釣ってるときも遊んではいるけどな)、フグが釣れると楽しいし、釣ったことがない種とか釣れると興奮する。尺越えのヒガンフグとか普通にメッキ釣れるよりよっぽど得がたい釣果で超楽しめたのが印象に残ってて、フグの話を書くならあの写真は要るなと真っ先に思ったぐらいである。冒頭写真の下から2番目がそれ。

 まあ、釣りはフグもいれば鳥もいてっていう自然環境を相手にして、それらの複雑な関係性を把握することに努め、それらの要素も楽しむべきだと思っているし、そうでなければ面白くないだろう。よくカワウが魚を食うからと目の敵にする釣り人がいるけど、以前も書いたけどカワウが魚を食うのはそういう鳥だから当たり前だろって話で、もっと言うなら適正量もクソもなくジャブジャブ養魚場育ちのトロ臭い成魚を放流しまくってカワウを増やしておいてどの口が言うって話で、遊漁用の魚の放流量とカワウの増殖との相関関係は多くの報告が上がってる。今ちょっと検索かけて代表的なのを上げるなら「日本の河川におけるアユ放流がカワウの採食行動や分布に及ぼす影響(熊田那央2013年)」とかが面白かった。カワウの繁殖への影響もあれだけど、アユの資源量に関する影響としてはカワウの食害は放流当初ぐらいで限定的で釣り人の影響の方が大きいっていう当たり前体操な身も蓋もない報告で苦笑いさせられる。まあ目の前で魚咥えて上がってきたらムカつく気持ちも分からんでもないけど、それも含めた自然の中でやるから面白いんであって、カワウもおらん釣り場が良いのなら室内釣り堀にでも行っておけって話である。釣り堀は釣り堀で面白いっていうのはヘラ釣りで経験してるので、嫌ならそうしろとしか思えない。それを「美しい自然の中で釣りがしたい」とか言いながら、自然の構成員であるカワウを駆除して、ある意味ゆがめてしまおうとするような矛盾したことを言ってるバカは、罰として、カワウほぼ関係なくて上手な人は同じ条件でキッチリ釣ってくるのにテメェだけ釣れなくてカワウに責任転嫁するという人生が待っているんだろう。心底つまんねぇ罰ゲームな人生。鳥が餌食ってるの観察するのって”バードウォッチング”っていう趣味が人気あるのも当然って感じで楽しいものである。先日もミミカイツブリだと思う鳥が足下で餌のトウゴロウイワシを追い回していて、セイゴとかも逃げまくって釣り一旦休憩になったけど、一生懸命潜って餌追っかけてる姿が冬の澄んだ海では丸見えで、なかなかに楽しかった。


 そういう鳥とも和解せよ、なワシだけど先日とてもショッキングな出来事があった。釣り終えて撤収がてら歩きながら海面見ていたら、見たくもない悲惨なモノが目に入ってきた。ラインが絡んだミズナギドリっぽいのが死んで浮かんでる。ラインが死体から長くたなびいいているので、回収しないと延々と生き物を傷つけかねないので、苦労してフライを引っかけて寄せてきて、トリプルフックとオモリで作った簡易落としギャフで引き上げた。釣りをやめたくなるような、いたたまれない気持ちで胸が締め付けられた。(申し訳なかったけど”鳥の人”に気の滅入る写真を見てもらったところ、くちばしの描く曲線ぐあいの違い、オオミズナギドリにはある塩分処理の器官の出っ張りである”鼻の突起”がない、くちばしの色の境目がくっきりしている等からウミネコ幼鳥と教えてもらいました。)


 釣り糸は漁師さん含め我々”釣り人”が、意図して捨てたか意図せず根掛かりで切れたか分からんにしても、出したゴミであり。責任は我々釣り人にある。オレが捨てたゴミじゃないと思う人は思えば良いけど、さっきも書いたけど一般人から見て同じ”釣り人”だと見られているのは間違いなく、そのことを看過できるのかと問いたい。ワシャやっぱり我慢ならん。だからゴミを拾う、そしてしつこいぐらいゴミを捨てるな、根掛かりで切れるような部分のハリスは生分解性のラインを使えとしつこくしつこく書く。ショックリーダーは全て6ナイロンと66ナイロンの共重合素材で生分解性があると報告された「クインスター」と「バルカン」に、ハリスも号数がない細糸を除いてその2銘柄に加えて「銀鱗」に、道糸用のナイロンラインも「クインスター」に変えて運用中だけど、当初フロロほど摩擦に強くないのでハリス切れやらかしたりしたけど、その場合単純に太くしてやれば良いので解決済みで既に問題なく使用できている。太くしても問題が生じないようにするのがカリスマ釣り師の腕ってところだぜ。

 書いても、誰も言うことを聞いてくれなければ意味がないので、多くの人が読んで賛同してゴミを拾ってラインを生分解性のモノに買い替えて、ってしてもらいたいので、ワシはカリスマにならなきゃならん。カリスマ釣り師になって、釣り糸が絡んで死ぬような可哀相な鳥がいなくなるようにせねばなるまいと思う。この鳥が死んだのは、ワシのカリスマ性が足らんかったせいであると、深く海より深く深く後悔した。

 ”日本の釣り場の現実写真”が自転車の前カゴに満載したゴミと鳥の死骸、朝日に輝く岸壁上に放置された絡んだ釣り糸とアミコマセとか、絶対に誰がなにを言おうとも間違っている。間違っているなら正さねばならない。

 フグと和解し、鳥を愛で、読もうと思っても読み切れない魚に右往左往させられ、ゴミを拾い、釣れた魚を必要な分だけ持ち帰り料理も楽しんで美味しく食べる。時に仲間にも食べてもらって共に楽しむ。そういう釣り人に私はなりたい。カリスマ釣り師なんてほんとのところはどうでもいい、まともな釣り人でいたいとワシャ切に願うのじゃ。

1 件のコメント:

  1. ナマジさん、その節はお世話になりました。

    私のブログでも、さっそくナマジさんの文言「フグと和解せよ!」を使わせていただき、新しい看板を作りました。
    リンクも貼らせてもらいました。

    フグとの和解が、私の周囲でも進んでいくことを願っております。

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